ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第五百二十六話「仮面ライダーディケイドの仕事 5」

――大人のぞみは平行世界の自分が戦士としての道を選んだ事を知ることで、自分が見た『奇妙な夢』の正体を悟った。戦士では無くなって久しい故か、羨ましいと取れる表情を見せる。

 

「そっちじゃ、キュアモがあるんだ。私はエターナルとの戦いが終わって数年後……高校三年くらいに無くなったからさ……」

 

「あるけど、今はあまり使わなくなったよ」

 

「え!?」

 

「変身能力が存在自体に紐付けされたせいか、かけ声さえ発すれば、変身できるようになってるんだ。だから、シャイニングドリームにも通常形態を飛ばして……」

 

「何それぇーーー!?」

 

「パワーアップだよ、パワーアップ。あたしだって、キュアエンジェルになれてんじゃん?」

 

「ずるいよーーー私はミラクルライトないと、シャイニングになれなかったのにーーー!」

 

「こっちだと、スーパープリキュア化してても普通に危ない時が多いからさ。のぞみちゃん、それで闇落ちしかけたんだ」

 

「や、闇落ち!?」

 

「こっちでの話だけど、りんちゃんが心の支えだったから、りんちゃんがある戦いで記憶を失っちゃった事で、加速度的に精神不安定になっちゃったんだよ」

 

「り、りんちゃんが!?」

 

「うん。それで、そう追い込んだ一味の構成員を半殺しにしちゃったり……その首領とシャイニング形態で戦ったけど、手も足も出なかったんだ。その時に何かが切れたらしく……」

 

デザリアム戦役で見せた『半落ち』とも言える『ダークプリキュアとプリキュアのキメラ』形態。それを目の当たりにしたラブとことはは緊急で協議し、B世界からかれんとこまちを連れ出す事を緊急で決定。のび太にその旨を伝えた。のび太がそれを受け、キャプテンハーロックに相談した事で、彼が動いたわけである。かれんとこまちの登場で『憑きものが落ちたように』泣きじゃくるのぞみA。そして、正式にチームが再結成の運びとなった事、それでも、ヌーベルエゥーゴやネオ・ジオン、デザリアムの猛威に対抗しきれずに窮地に陥った事、危機をコージが烈火の鎧を引っ提げて救い、のぞみAと『再会』した事、その際に『今度は俺が君を守る番だ』と述べ、パルミエ王国の住民として果たせなかった想いを地球人として果たすことを明言した。事実上のプロポーズである。容姿はかつてとはまったく変わっているが、想い人である事を実感したのぞみAは、それまで抑え込んできた感情が溢れ、コージに抱きつき……。

 

『ココぉ……あたし……あたし…!』

 

『いいんだ、いいんだよ、のぞみ……』

 

二人はこのエンカウントの後に正式に婚約を交わし、魔女の世界での1948年に入籍した。のぞみAは想い人を前にして、頭の中がグチャグチャになり、それしか口に出せなかったが、コージはすべてを受け入れた。以降はコージは時たま、のぞみたちに加勢するようになり、自身の必殺技『双炎斬』をのぞみに伝授するわけだが、転生した『コージ』の容姿は『昭和末期のイケメン』と言った感じである。この時、デザリアム戦役の中心軸の一つがのぞみであることは明白であり、コージはその状況の助けになるべく、参戦したわけだ。そして、のび太の転生体である『ノビタダ』の手引きで、ガンダムXに乗り込み……。

 

「ココが転生して、地球人になって……それで結婚かぁ……。こっちだと、独身貴族で終わりそうだからなぁ……」

 

大人のぞみは結ばれぬ恋愛の経験故か、半ば独身貴族と化しており、両親から『孫の顔を見せろ』とせっつかれる年齢に達しつつあっった。そのため、転生をお互いに挟んだとはいえ、想い人と入籍に至った『別の自分』が羨ましいようである。

 

「オヤジたちからはせっつかれる歳になったけど、若い頃の事を思うとねぇ……」

 

大人のぞみはココと久しく会っていないようで、大人の世界の現実に疲れている様子が窺える。それ故に、変身アイテムを失ったのだろう。若かりし頃のように、純粋に未来に希望を見出せなくなった精神状態であるのがわかる。とはいえ、否応なしに『地球を守護する』役目を背負わされているのぞみAも、それはそれで過酷な宿命である。

 

「いいじゃん、それいったら、現役時代に恋人がいたほうが少ないんだよ?あたしは答えを出せなかったしさ」

 

「うーん……」

 

「ま、それは人それぞれさ。とりあえず、食事にしよう」

 

三人は食事に入る。立場と年相応の服装の大人のぞみだが、別の自分は若かりし頃の容姿のままで軍服に身を包んでいる事を思えば、夢をストレートに叶えた分、幸せなのだろうと考える。

 

「ねぇ、そっちの私って、どうして戦う道を最終的に選んだの」

 

「地球が常に巨悪に狙われているのを知ってしまったためさ。それと戦う存在もいることにね。豊臣秀吉が木下藤吉郎だった時代からの事さ。その時代からヒーローはいたからね」

 

それは豊臣秀吉が木下藤吉郎だった時期に活躍していた『仮面の忍者 赤影』の事である。一見して平和な時代である江戸期になっても、快傑ライオン丸、風雲ライオン丸、変身忍者嵐などが現れていた。

 

「第二次世界大戦の頃のナチスは、そのためにヒトラーを操って、そのためできた組織だったし、歴史上、1950年代以降の独裁者は多かれ少なかれ、その影響を受けてるし、ナチスの残党自体も裏で暗躍してきた。彼らに人生を奪われ、意のままに動く兵器にされた人たちも億単位で生まれた。その彼らに対抗できる力を得た者はすべからく、彼らに対抗していく宿命なんだよ。しかも、全部の平行世界を股にかけての」

 

「それを私は背負ったの……?」

 

「半分は君自身の意志さ。半分は世界全体の願いだとしても、ね」

 

別の自分は戦士として戦い続ける選択肢を選んだ。マジンガーZEROとの融合もあるが、半分は世界がそのような状況であるからだ。ドラえもんは見かけはかわいいが、口ぶりは厳格な現実主義である。持論が『力には力だ』というほどだからだ。

 

「力には力だよ、のぞみちゃん。理不尽に抗うには、それしかないのさ。ぼくの世界の23世紀はまさにそれだ」

 

のぞみAは未来世界で地獄を見てきたため、理不尽に抗う術を求めた。更に言えば、宇宙戦争では『慈悲』は必要ない事を知ったため、地球人類全体を守護する存在の必要性を悟ったのも大きい。(ウィンダミア王国の内部で蜂起派が先鋭化したのは、地球連邦本国が強大化してしまう前に、と焦ったのも大きい。だが、地球人類の殲滅という考えがゲッターエンペラーの逆鱗に触れ、球状星団そのものが滅亡の瀬戸際に立たされてしまうのである)ゲッターエンペラーは地球にルーツを持つ者の守護が目的だが、地球そのものに反抗する意志を見せれば、シリウス星系のように、瞬時に滅ぼす。ゲッターエンペラーの強大無比な力は図らずしも、23世紀以降、地球外の星系の勢力への抑止力として機能していたわけだ。ウィンダミア王国はゲッターエンペラーの記憶によれば、そう遠くない内に王統が絶えてしまい、分家筋を立てて王制を維持するよりも、共和制になり、地球の影響下で一定の自治を得るほうがいい事を悟り、王統が絶えたのを大義名分に、共和制へ移行。以後は地球の軍門に降る。このように、ゲッターエンペラーの介入如何で、星間国家の運命が決まってしまうわけである。エンペラーの仮想敵は時天空とラグース。それを考えれば、ウィンダミアなどは取るに足りない敵である。

 

「地球人は遠い未来、化け物を生み出す運命にあるんだ」

 

「化け物!?」

 

「そう。宇宙を滅ぼす機械のバケモノ……究極のゲッターロボ。ゲッターエンペラーをね。君がパワーアップの際に幻視した光景がこれだ」

 

ドラえもんの言う通り、のぞみAはゲッターの深淵を見た際に、究極のゲッターロボの姿を見ている。ゲッタードラゴンが三度の進化と融合で変貌した『皇帝』を。30世紀の地球人を虫けらのように扱っていたイルミダスの艦隊が何をしても無意味という凄まじいパワーと空間支配能力による絶対性。

 

『チェーンジ!!エンペラーヌァァン!!』

 

宇宙に轟く、流竜馬の声。ゲッタードラゴンの最終形態であり、地球人の絶対的守護神。のぞみAはZEROとの融合の際に、ゲッター線の力で正気を保ち、ZEROに人格を乗っ取られずに済んだわけだが、それには流竜馬の意志が絡んでいた。

 

「星も消し飛ばす、機械のバケモノ……!」

 

「その力を君は手にしたんだよ、のぞみちゃん。いや、正確に言えば、若い頃の君がね」

 

「若い頃ってのは堪えるんだけど。28だよ、私」

 

「30行ってるかと思ったよ」

 

「かれんさんとこまちさんも来年のはずだよ、30は。あなたにそう言われると、堪えるよ」

 

「そうか、かれんさんが勤務医になってるけど、早ければ、20代の内になれるから」

 

キュアピーチが気づく。水無月かれんは順当に医師のエリートコースを邁進していったのであれば、28歳までには勤務医になれる。その後輩であるのぞみは2020年代には20の終わりになる。

 

「とはいえ、のび太くんのパパ達の時代なら、とうに子供がいる年頃だよ?」

 

「時代が違うんだって」

 

大人のぞみはドラえもんにそう言われ、ムッとした表情を見せる。のび太の両親が結婚した1980年代後半の価値観では、20後半での結婚は早くない部類に入る。だが、晩婚化が遥かに進んだ2020年代では、30代に結婚し、子を儲けるのもザラであるからだ。

 

「2020年代だよ、今は」

 

「23世紀だと、却って逆になるけどねぇ。戦争で死ぬし」

 

「ドラえもんって、口悪い?」

 

「オブラートに包むのが苦手なんだよ。これでも子守り用だけど、ネジが一本抜けてるし」

 

「それが却って、個性を生むきっかけになったのは知ってるっしょ?」

 

「子供の頃に見てたからね…。だけど、まさか……実物がこんなにドライだなんてぇ~!」

 

「のび太君に毒舌吐いて、落ち込ませたのも日常だったからなぁ、ぼく。まぁ、一つの可能性さ」

 

往年のどら声でありつつ、毒舌キャラなドラえもんは大人のぞみにはかなりの衝撃であったようだ。

 

「で、さっきのミュージック・クリップは何なの?」

 

「広報部の依頼が来てね。問題があった。君、音痴だろ?音感はあっても」

 

「う、うん…それは本当」

 

「だから、僕の道具で歌のうまい人と入れ替わってもらったわけ。その人も特殊な出自なんだけどね」

 

実際に、ナリタブライアンがその頃、のぞみAと心を入れ替え、自身のイップスを克服すべく、戦闘に励んでいたので、撮影はその最中になされた。ウマ娘であるので、歌唱訓練とダンスは正規のものを受けており、一級の出来である。

 

「特殊?」

 

「競走馬の生まれ変わりなんだよ、その人」

 

「そんな事あるの…!?」

 

「あたしやのぞみちゃんがするんだ、馬だって転生するって」

 

輪廻転生は生物のみならず、無機物にも起こり得る。艦艇に宿った魂が転生し、人間と変わりない肉体を得たのが艦娘なら、馬が人間型のボディを手に入れ、女性として転生したのがウマ娘である。ウマ娘は艦娘よりも、生前の因果に無自覚に引っ張られる宿命を背負っており、史実と似たような出来事を体験していく。

 

「でも、転生したら、どうしてパワーアップしてるの?」

 

「神様がおまけをしてくれたって言うしかないね。何回、地球を守ったか、覚えてる?」

 

「……確かに」

 

「それと、君。いちかちゃんの口癖がこっちだと感染ってるよ。本人も了解済み」

 

「なんでなんで!?」

 

「いちかちゃんの護衛をする事も多いから、感染ったんだと思うよ。それと君、デリシャスパーティ・プリキュアを知ってるかい?」

 

「現役の末期に数回だけ。その子たちがどうしたの?」

 

「君、キュアプレシャスの技をつい最近に習得したんだよ」

 

「嘘!?」

 

「そのせいか、やたら大食いになってる」

 

「転生すると、チーム間の柵とかが無くなるみたいでさ。あたしも出来るよ」

 

「えーーーーー!?技の貸し借り!?」

 

「うん。世代が遠くてもいいみたいで、いちかちゃんも打てるよ」

 

「ほら、これが証拠」

 

『2000キロカロリィィィ……パァァンチッ!!』」

 

「現役時代の私だ……しかも、発声もあの子に似せてる」

 

遠征の頃になると、『2000キロカロリーパンチ』は使い勝手の良さからか、本人は不在なのに、先輩戦士がこぞって、こっそりと会得するに至った。コツさえ覚えれば、意外に簡単な技らしい。

 

「元々、君たちはパンチが強いからね。いちかちゃんがプレシャスの存在を思い出したんで、こっそりと特訓してたのが始まり。君も会得済みだよ」

 

「違うチームの技を貸し借りしていいの?」

 

「チームの柵にこだわってる場合でもなかったからね、君たち」

 

「そそ。あたしとのぞみちゃんで『スパイラル・スター・スプラッシュ』撃った事もあったよ。あとで咲ちゃんが腰抜かしたけどね」

 

「いいの!?違う力のはずじゃ…!?」

 

「オールスターズができた時に、パワーソースが統一されたっしょ?その恩恵だよ」

 

「転生先の魔法の力も混ざってたけどね。広義の意味での魔法だしね、あたしらの力は」

 

「念のためだ。ぼくは道具の手入れでも始めるよ」

 

「えーと、空気砲?」

 

「最終生産ロットのものさ。ショックガンは防護服とかには通じないから、あまり使わなくなってきてるんだ」

 

ドラえもんは机に『ドサッ』と空気砲を並べ、整備を始める。空気砲は元々、ある種の暴漢撃退グッズで、子供のこづかいでも買えるような、ディスカウント商品である。だが、最大出力であれば、対戦車砲級のパワーを出せる。子供のこづかいでも買えるので、『吊るし』では使い切りだが、ドラえもんはドラ・ザ・キッドのツテでカスタマイズをするようになっており、最終生産型(統合戦争直前に出回っていた世代の空気砲)をベースにカスタマイズを加えていた。

 

「さて、こいつに着替えてっと」

 

「着ぐるみ?なんで?」

 

「ぼくはあまりに有名すぎてね。それに、普段の姿でドンパチすると、ケチつける連中が出てきたから。人間タイプの着ぐるみを着るようになったんだ。裏稼業の時はね」

 

ドラえもんはぬいぐるみ製造カメラを持つ。ダイ・アナザー・デイの後からはその道具を使い、容姿を偽装していた。その容姿というのが、かの名優『ジャン・レノ』のもので、直前に彼が出演した『レオン』を見ていたためらしい。その頃より多少の加齢が見られる年代の頃の彼を模している。武器もちゃんと普通の銃だ。

 

「のび太くんと違って、ぼくはオートマチックが好みでね」

 

「じ、銃!?」

 

「いざという時のためさ。日本じゃ、サバゲーに興味を持つか、警官や自衛隊に入るしか、銃なんて見ないからな」

 

そこで、ボイスチェンジャーを起動させ、見かけにふさわしい『いかつい親父ボイス』に変わる。見かけは完全に40から50代の中年男性だ。ベレッタ社製のものをベースにしたカスタム銃で、64Fの幹部級の間で流行中の種類の銃だ。

 

「あ、あたしのは?」

 

「君、偶には使っときなよ。射撃の定期訓練、もうすぐだよ?」

 

「あー、今年も来たか…。あたし、縁日の射的からして苦手なんだけどなぁ」

 

キュアピーチは定例の射撃訓練を面倒くさがってるようだ。プリキュアと言えど、形式的に射撃訓練は課される。元から職業軍人であった者はいいが、大半は縁日の屋台での射的にも縁遠い生活を送っていた者である。護身用に持たされてはいるが、訓練以外に使うことは殆どない。転生先で職業軍人になっていた者たちは(必要であれば)実戦で使うが、そうでない場合は形式的に持たされているだけである。キュアピーチはどちらかというと、後者寄りだが、使わないわけでは無くなっていた。

 

「コスモガンでいいから、もっときな。上や周りがうるさいからね」

 

「分かった」

 

実体弾から全面的な置き換えは成らなかったが、利点も多いので、多くが流通したコスモガン。ピーチに渡されたのは、ガミラス戦役以前からある『十四年式』で、コスモガンの基礎になったモデルである。この手の銃の究極が『戦士の銃』にあたる。

 

「非致死性モードにしてっと。ドラえもん、ホルスターは?」

 

「あいにく品切れ」

 

最も、連邦軍の士官は腰のベルトに差す(西部劇のように)ことが美徳のような風潮があるので、ホルスターはほとんど有名無実化しているが。

 

「SFっぽいデザインの銃だね」

 

「日本のメーカーがデザインした銃だからね。宇宙時代に入った世界の」

 

大人のぞみの目の前で見本市のような様相を呈するドラえもんの机。かの重力サーベルの姿もあり、クイーン・エメラルダスから渡されていたのがわかる。

 

「空気砲は道具なのはわかるけど、他は本当の武器……。それも軍用の」

 

「いや、一部はハンドメイドさのものさ。宇宙で五人くらいしかいない大科学者のね。」

 

「宇宙で五人?」

 

「そう。宇宙広しと言えど、彼らを超える天才はいない。時代ごとに顔ぶれは変わるけどね」

 

ドラえもんは統合戦争で行方不明になる前、その時代における一人(当時にGフォースの技術主任であった真田志郎の曽祖父)に出会い、体の部品を一部であるが、その当時の新型に交換されていた。その恩恵で、時空破断システムのエネルギーにも耐えられたのである。ドラえもん達は2115年当時は最新鋭であったが、行方不明になるあたりの時代には旧型のロボットとされていた。戦いに赴く際、話を聞き、ドラえもんズの体を案じた真田博士(真田志郎の曽祖父)の手で一部の部品が新型に取り替えられた。それは真田博士なりの手向けであった。

 

「僕はその内の一人の一族と付き合いがあってね。平行世界の調査で力を借りてる」

 

「え、そんなことになってたの?」

 

「僕の世界だとね。ぼくは本来は子守り用だけど、役目を終えた後はタイムパトロールとへ協力の功績を買われて、日本政府に雇われてたんだ」

 

ドラえもんはのび太のもとを去ってから、行方不明になるまでの期間、日本政府に雇われ、エージェントの仕事についていた。のび太の成人後にコンビを組むのは、その時間軸のドラえもんであった。公式記録上は『任務中に行方不明』として処理されている。また、真田博士はドラえもんに『30世紀の世界における大帝国の一つであり、地球を影響下に置いた時期もあった『機械帝国』の指導者であった『プロメシューム』はかつて、『雪野弥生』という名の地球人として生きた存在であり、いつしか冷酷非情な独裁者に変貌してしまった』と教えるまど、自身の生きる時代のはるか後に起こるはずの出来事を知っていたという。その謎があったが、曾孫である真田志郎により、『曽祖父はその当時にタイムパトロールで使用されていたタイムマシンより遥かに高性能のタイムマシンを作れたからだ』と明かされている。つまり、28世紀以降の世界で機械帝国を創り上げたプロメシュームは若かりし頃(生身であった頃)、地球人として生活していた経歴を持つことになる。生身の肉体を失い、かつての慈悲心も無くしたかに思われたが、今際の際には往時の『雪野弥生』(往年の1000年女王)としての言葉を娘に残し、若かりし頃に真に愛した人間のいる涅槃に召された。そのことから、ドラえもんの世界は思いっきりの『ごった煮』が神々と異星人の手で行われていた事になる。また、彼女の生身であった頃の容姿は自らの次子であるメーテルに瓜二つであった事、クレオパトラ、卑弥呼などの歴史上の女性指導者の複数が裏で地球を守護する役目を背負っていた事を真田一族は突き止めていたという――

 

「平行世界は謎が多いんだ。ぼくも全部を見たわけじゃない。ただ、わかるのは、地球を守護する役目を誰かが常に背負っていたことだね。クレオパトラや卑弥呼。少なくとも、彼女らは表向き国を率いつつ、地球全体を守ってた事はわかってきた」

 

「彼女たちが地球全体を?」

 

「うん。君には同じような使命が課せられているんだ。どの世界でも、ね」

 

「私にそんな……今じゃ、戦士でもなんでもないんだよ?教え子一人も…」

 

「だけど、その子の心は救えた。そして、君はそういう星の下に生まれた。世界を守る宿命の下にね」

 

ドラえもんは畳み掛ける。

 

「見たはずだ、夢を。別の君の夢を!」

 

「……うん。あれってやっぱり、別の私がした体験……」

 

「君はキュアドリームなんだよ、のぞみちゃん。みんなの夢を守り、世界を守る。それが君に課せられた使命。君の世代には馴染みの薄い言葉だろうけど、それが君のすべきことだよ」

 

「……でも、どうやって……。今の私には……もう、プリキュアの力は…。」

 

「いや、君はプリキュアに戻れる。何かのきっかけさえあれば、昔のようになれるよ」

 

「……そう言われても」

 

「大人の世界は辛いだろうが、折り合いをつけなきゃ、やっていけない。だけど、その世界で生きる内に、若い頃の夢を叶えたりする。君は幸せなほうさ。なりたい職業に就けてるんだから。それで成功しているってのは…」

 

のぞみは教師としても高い適性がある。学級を上手くまとめ、子供に慕われているなど、職務上で必要なことを高レベルでこなせる。だが、組合には入っていない(本人はそうしたことに興味がない)事から、上役に睨まれている。21世紀も20年を数える時代になれば、『組合が本来の役目そっちのけで、政治イデオロギーに傾倒している』ことに疑問を持つ新任教師は多い。だが、依然として一定の影響力はある。のぞみはそうしたことに興味がない世代の人間であり、また、赴任した学校が在籍していた中学校の系列校であり、同学園の理事長に目をかけられている(正確には『売店のおばちゃん』としてのつきあいだが、のぞみの人間性を高く評価していた)ことから、指導役から睨まれており、『子どもたちに夢を見させるな』といびられている。のぞみは学生時代の経験から、『子供に希望を持たせる』事を主眼とした授業をしているのだが、指導役はそれが気に入らないのである。のぞみはココとの日々を拠り所にしつつも、教え子達との関係も大事にしてきた。それが皮肉にも、仕事での上役との関係で障害になっているのだ。

 

「どうしたらいいの…?」

 

「君の望むことをすればいい。私立の先生を辞めて、別の学校でやり直してもいい。だけど、世界は君の思い描いた理想通りじゃない。むしろ残酷だ。別の君はその葛藤の末に、世界を守り続ける事を選んだ。だけど、君には君の道がある。君が選ぶんだ。君の望む未来、夢を」

 

ドラえもんは裏稼業や大冒険で世界の残酷さを見てきた。のび太も青春期に同様の苦悩があったが、のび太はキー坊との約束を果たすため、環境省に籍を置いた。たとえ、ジオンが結果的に、その努力を無にするとわかっていても。大人のぞみは『望んだ職業につけたが、現実の壁にぶち当たっている』状況。さらに、高校時代の終わりに『変身アイテムの消失』を経ているためか、それ関連で鬱屈とした思いを抱えていた。

 

「私は……」

 

大人のぞみはココとの別れ、交流の断絶、変身アイテムの消失などで悲しい思いをしてきた。更に、成長と共に、チームの皆との交流も薄れていったという事実もあり、心の何処かで『14歳の日々』への郷愁を抱いていた。前に向こうと努力しても、現実が自分を打ちのめす。どうすればいいのか。

 

「わかんないよ…。どうすればいいの…?」

 

「時間はある。それをよく考えるんだ。君が真に願うものを、守りたいもの、貫きたい想いを。悩むのは、若い子の特権だよ」

 

ドラえもんは年長者という自覚があるのか、『若い子の特権』という言い回しをした。最も、ドラえもんも生まれてから、バダンとの決戦で行方不明になるまでの年数は実のところ、ほんの数十年ほどだ。自分が中古ロボという自覚があるからこその一言であった。そして、彼女は精神的に疲れが出たのか、つい眠ってしまう。夢で、彼女は別の自分が『戦いの道』を選んだ結果、たどり着いた境地『エターニティドリーム』となり、討つべし敵へ大剣(エンペラーソード)を振るう光景を見た。そして、その相手が自分の大事な何かを傷つけた事……。大人のぞみは断片的な『夢』という形で、のぞみAの軌跡を垣間見ていた。自分と別の道を辿った『自分』の選択を、だ。それはZEROの為せる業か、それとも、彼女が若き日に背負った『戦士』としての宿命がそうさせたか。それは定かではない。だが、彼女が夢原のぞみである限り、避けては通れない因果というものがある。プリキュアという『邪な存在と戦う戦士』であるという……。

 

 

 

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