――プリキュア達に生じた『敗北』の因果。それはのび太達と出会ったプリキュア達とは別の次元の同位体が遭遇してしまった『高次元生命体』(のび太は『何十人ものプリキュアが太刀打ちできなかった』という断片的な情報から、空間支配能力を備えた『ラグース』級の敵が攻めてきたと推測した)に全プリキュアが為す術もなく倒される世界が生まれ、その因果をZEROは出現させたのでは?と、のび太はある時に推測した。プリキュアのありとあらゆる攻撃が無意味であり、いかなる防御も突破されるというのは、空間支配能力による無力化しか考えられないからだ――
――遠征中のこと――
「のび太、ラブの言う事を信じるのか?」
「君たちが負ける世界がどこかに生ずるのは予測できることさ。空間支配能力を持つ何かが現れれば、君たちの力は無意味でしかない。だから、空間支配能力を持つことが重要になるのさ。聖闘士はその領域に達している」
のび太は空間支配能力の存在を知っており、高次生命体が備える最大の武器だと、キュアメロディに教えた。ゲッターエンペラーもそれを進化で会得しており、聖闘士も黄金になれるほどの者であれば、その領域に達しているとも続ける。
「それを使われたら、どうなる?」
「君たちのやること全ては無意味になる。それどころか、幼児退行も精神崩壊も相手の意のままにされるよ。それに対抗するには、同等の能力を持ち、果てしなく広い空間を支配できるようにならなければならない。会得できれば、かの『ドグラ』でさえ無力化するよ」
のび太はその肝を教える。空間支配能力さえ会得していれば、かの凄惨な空間兵器『ドグラ』でさえ無力化できると。
「……!」
「フェイトちゃんが見せたことあるだろ、ドグラの凄惨さを。それさえも無力な兵器でしかないのさ、聖闘士たちのいる領域じゃね」
空間支配能力はある種の上位存在が備えるものであり、仮面ライダー達は昭和ライダーに限定すると、『仮面ライダーBLACKRX』と『仮面ライダーJ』がその領域に達しており、その力を他のライダーに分け与える事ができる。聖闘士と神々の戦闘が単純に見えるのは、この能力が発動し、なおかつお互いの支配空間が拮抗した状態であると、のび太は言う。
「お前、解説キャラって柄でもねぇだろ」
「ズル木の奴と、小学校の時にディベートやった事あるから、そうでもないさ。君たちが上位存在に対抗するには、少なくとも、神ゲッターロボの領域に達する必要があるってことさ」
「あの領域ねぇ……」
真ゲッターロボが土壇場で進化した『神ゲッターロボ』。そのゲッターと同等以上の領域に達し得ないと、人智を超えた存在には太刀打ちできない。マジンガーがそれらに対抗するために『皇帝』へ進化したように。
「でもよ、そこまでしてどうすんだよ?」
「君たちはある種の希望の象徴だからね。敗北を覆せるだけの何かを単体で持ってなければ、人心を失う可能性がある。昭和ライダーはその事を知ってたからこそ、再戦で勝つことに全てを賭けた。常に勝っていた君たちに驕りがあるって言われるよ?」
昭和ライダーは敗戦の経験を現役時代にしているが、プリキュア達は敗戦しそうな局面でも、何かかしらの奇跡で乗り越えてきた。それ故に、完全敗北は経験がないのは事実だ。
「SFに詳しい出木杉くんに聞いたけど、スワンプマンという概念があるそうな。ある種の哲学実験のようなものだけど、ある事で死んだ存在と全く同じ……脳の記憶までもが違わない存在が当人が死んだ後に現れたけど、その人物は死んだ人物と同じと言えるのかっていう奴。例えば、君たちが倒された後、地球や宇宙全体の意志で再生される『プリキュア』は君たちと本当に同じ存在って言えるのかって事」
のび太の言うことは哲学に踏み込んでいるが、SF作品では、1980年代のあたりからあるというテーマでもある。その場合、『因果地平の彼方に吹き飛ばしたのを呼び戻したのだから、同一の存在だ』という論と『本人の経験で得られた事が知識なのだから、それは単に記憶であり、知識にはなり得ない』という論調が存在する。のび太が仮定したその状況は『プリキュアオールスターズがどこかで遭遇し得た』可能性といえるものであり、キュアメロディは薄ら寒い感覚さえ覚える。
「……確かに」
「だから、君たちは勝つしかないのさ。その手の議論になるようなことになる前に」
のび太は危機感を煽るような口ぶりであるが、プリキュア達が『真っ向から戦い、完全敗北する世界』が示唆された以上、緊急で『上位存在に抗える』状態に引き上げる必要がある。そう判断したのである。
「どうすればいい……?」
「ミラクルライトのない君たちは『圧倒する力』があれば、比較的容易に倒せる相手でしかないからね。だから、目指すんだ。小宇宙をね」
「なんか、虚無感を感じるぞ」
この時点で数人が会得済みの小宇宙だが、上位存在に対抗できるまでに至った者は更に少なくなる。初代の必殺技に後輩の放射型必殺技を加えた状態での合体攻撃さえも無意味な相手がどこかに存在し、それへの対抗手段が『空間支配能力』の類の会得と言われてしまうと、立つ瀬がないキュアメロディ。自分達の存在の脆さを突きつけられたようなものなので、そこはかとない虚無感を感じたようだ。
「そりゃ、世の中には『銀河を普通に斬り裂く、ジム似のロボット』やら、撃っただけで、歴史に悪い意味で名前の残るバスターランチャーがあるんだし、君たちはかわいいほうになっちゃうさ。宇宙の制覇がスタートラインのゲッターエンペラーを考えれば……」
「ラグースとはなんだ?」
「わからない。神の一柱とも言われるけど、謎に包まれている。多次元宇宙の多くを支配できるから、それよりも広大な広さを支配できない限り、勝てないというけど。わかるのは、大神達が生み出した兵器の一種らしいこと。ゲッターエンペラーと同類のね」
「……スケールがデカすぎで、ピンとこねぇ……」
「宇宙の外にいるバケモノ。ゼウスによれば、時天空っていう……名前の存在に対抗しうる力を持つこと。ドグラもおもちゃにすぎないよ、その次元だとね」
プリキュアオールスターズは高次次元の存在に抗えるほどの力がない事を明言するのび太。ZEROの協力で、ある次元で『80人近くのプリキュアが束になっても、手も足も出なかった敵がいた』因果の存在を知った故だろう。ゲッターロボやマジンガーは機械でありながら、プリキュアオールスターズを有に上回る超常性を持っている事が既に明らかになっているのもあり、自分達の奇跡の儚さを思い知らされたようだ。
「あたしらは……なんなんだ、なんだったんだよっ!」
思わず、ヒステリー気味に叫んでしまうキュアメロディ。『自分達が手も足も出ない敵が現れ、完全敗北を喫する』因果が生じ、ZEROがそれを紡ぎ、みらいとリコを一度は倒したという事実は残酷であったからだ。
「……なら、運命を超えるんだ」
「運命を……超えるだと」
「竜馬さんの倅は知ってるね?」
「ああ、別次元での実子っていう……あの小僧の事か?」
「あの子が言ってることさ」
流拓馬と、この時期には知己になっていたのび太。拓馬は『過去も未来もクソ喰らえだ。この次元で、俺が生まれるかどうかさえもわかんねぇからな』と述べており、運命に導かれつつも、その意のままになることを嫌っている様子を見せている。拓馬は母親(竜馬のその次元での内縁の妻)の教育の賜物、成人後はガラが悪い父親と異なり、礼儀作法にうるさい青年に育った。そのため、父の戦友であるのび太を『さんづけ』で呼んでいる。
「だから、あの二人はゲッターの力に賭けたのさ。歴代のゲッター乗りが運命に抗ったようにね」
「シャインスパークをやれってのか」
「ああ。今のあの子達なら、それができる。君も見たろ?」
のぞみとことはは太平洋戦争の時点では『シャインスパーク』を切り札としている。メタ的にプリキュアの技に耐性を持つ敵への対策の側面がある。高密度ゲッターエネルギーを直接ぶつけるため、相手が神格であろうと、その器たる肉体に問答無用で致命傷を与えられる。(神は精神体だけでも行動できるが、現し世での器があったほうが便利である)二人がたどり着いた答えが『牙なき者のために、命を燃やして戦う』というものであるのは、ゲッターの導きによるものであったとはいえ、プリキュア達が元来、全員に課されていた責務である。
「あ、ああ……」
のぞみはエターニティ形態への覚醒で、自己意思によるシャインスパークを可能とした。ことはは『ゲッターの使者になった』ことによる能力の変質でそれを得た。のぞみは既にそれを可能にしている者が入れ替わっていた時にも使用しているが、のぞみ本人による使用はデザリアム戦役以降のことである。また、シャインスパークは放つ者の属性により、その発光と属性が変化するようで、デザリアム戦役の際に闇属性が強まっていた状態で放った際は『赤黒い光』であった。その際の発声は『ズワルト・シャインスパーク』であった。そのシャインスパークは『ゲッターノワールG』のものであり、元来のシャインスパークよりも破壊力で優れているという。
「今後、メタ的に君たちを全滅させるための敵が出てきて、その場に居合わせていたとしても、ストナーサンシャイン、ないしはシャインスパークを使えれば、世界の摂理を書き換える存在であろうと、ねじ伏せられる。のぞみちゃんはその理論を気にしてたからね。たぶん、そういう敵が出た時は撃つだろうね」
「事情知らねえ奴が見たら、おったまげると思うぜ?」
シャインスパークはゲッターエネルギーを直接ぶつけるため、その爆発は元祖ゲッタードラゴンの場合でも、場合によれば、地球型惑星を容易に破壊しうる。その更に上位のゲッターであれば、それがどうなるか。その結果は容易に想像できる。
「勝てば官軍って奴さ。君たちの現役時代からの技は浄化にリソースが割かれてるから、純粋な破壊力は下がる。それが仇になるのさ。純粋に闘争のみを是とする相手にはね。だから、のぞみちゃんとはーちゃんは『純粋な破壊力』を突きつめていったのさ」
プリキュアの弱点を自覚した二人はプリキュア本来の『浄化』をかなぐり捨ててでも、敵をねじ伏せる力を求めた。その到達点こそが『シャインスパーク』なのだと、のび太は述べた。実際に、ことはは自分が居合わせた『ある次元でのスターズ戦』で黒幕を倒すために『シャインスパーク』を使用したと話している。プリキュアの力由来ではない技であるので、その場での皆の度肝を抜いてしまったともいう。
「はーちゃん、どこかのスターズ戦で実際に使ったらしいよ?」
「なぁ!?」
「案の定、他の子達に腰抜かされたってさ。みらいちゃん達は苦笑するしかなかったって」
「あれを撃ったら、半径数kmくらいは消し飛ぶからな……どの戦いかは調査中か?」
「うん。該当する戦いが既存のものではなさそうだしね」
プリキュアは2010年代後半からは、オールスターズと言える規模の戦いがなくなり、スターズ規模のもので落ち着いていたのだが、ZEROによれば、『2023年度には、オールスターズが敵に負けてしまう』戦が起こる世界線が生じており、自分はその世界の因果を紡いだとの事なので、ことはとのぞみはその因果を断ち切るために、マジンガーとゲッターの力を求めたのだろう。
「映像は撮れてないのか?」
「その戦いの起こったのが、どの時間軸かもわからないからね。ただ、キュアエトワールの話だと、近年の子たち、みんな腰を抜かしたって」
「そうだろうよ。あれじゃ。ゲッター機動だぞ、ゲッター機動」
上位のゲッターやマジンガーが成し得る超高速機動を伴い、シャインスパークを放つ事はプリキュア達からすれば『トンデモ』な所業である。その超高速機動は『ゲッター機動』と俗称されている。最初にしたのが『真ゲッターロボ』だからだ。プリキュアでは、おおよそありえないスピード、慣性の法則無視の動きはプリキュア本来の姿とは相容れない『攻撃性』の発露でもあるため、その様子を目の当たりにした者からは『オカシイ』と言われること請け合いである。更に。
「真ゲッタートマホークを振り回したっていうからね、その戦いで。たぶん、やむなく使ったんだろうけど、子どもたちがおったまげたろうな」
「あんな『簡単に相手を殺せます』的な武器を出してみろ、ガキ共はブルるだろ」
「君に現役の頃の姿で言われてもねぇ」
「うるせー」
キュアメロディ(シャーリー)はそこを突っ込まれ、ふてくされ顔を見せた。1949年度では、シャーリーは既に20代を迎えており、普通なら魔女では無くなっている。その事をツッコまれるのが面倒なのか、最近はキュアメロディの姿を通している。その割に、紅月カレンであった時期のガサツさが強まっているのか、口調はシャーリー本来のものよりガラが悪い。
「君、いいの?その姿で、そのガサツな」
「いいんだよ、どうせ誰も見てねぇんだ。タバコはやめたしな、ルッキーニの手前」
「君、吸ってたの?」
「若い頃、実家の兄貴に『社会に出たら、とりあえず吸っとけって言われて、軍入隊の頃までは吸ってた。あたし、事故で死んじまった弟を入れた五人兄弟で、その次女だったのさ。ガキの頃、弟の一人が事故で死んじまってな。落ち込んだ兄貴は、あたしをその代わりにした。姉貴は苦言を呈してたが、親父にも非があったから、親父は何も言わなかった。で、気が付いたら、男勝りになってた。もし、普通に育てられてたら、田舎から出ることはなかったかもな」
シャーリーには弟が複数いたが、一人は幼少期に事故で亡くなっていた事、その代わりの役目を求められて育てられたから、今の性格の雛形が出来上がった事を話す。
「時代的には、男らしさや女らしさが強く定型づけられてた頃だもんね、君」
「扶桑やガリアみてぇな『男装の麗人』って文化は、あたしの田舎には知られてなかったからな。で、都会に出て、都会暮らしが馴染んだ頃にレーサーになって、魔力の発現で志願した。まさか、本来は魔女を引退する年齢になっても、プリキュアとして戦うなんて思ってもみなかったぜ」
プリキュアにしても、大人になったら引退する事があるので、戦い続ける選択を取るかは『それぞれの次元における状況』による。シャーリーの場合は『色々な過去生の記憶が覚醒し、戦いと縁を切れない事を自覚したことと、いくつかの過去生の際に犯した罪の清算』のため、プリキュアとして戦い続ける選択を選んだのである。
「で、本当は?」
「お前には言っとく。アネモネや麦野沈利だった頃の罪を償うためもあるし、紅月カレンとしての後悔をまたしないため、それと、のぞみの奴につきあうためだ。あいつが前世で破滅したって経緯の責任は……あたしらにあるのかもしれねぇ…」
シャーリーはのぞみの前世での破滅の一因は『その次元での自分達(第一世代と第二世代プリキュア)が若いプリキュアとの対立を煽ったせいでは?』と考察するようになっており、その責任を(その自分の代わりに)取りたい』と考えるようになり、のぞみの望む事を叶えたかったと述べた。
「君、そういうとこは面倒見いいんだね」
「あいつとは……長い付き合いだからな。下手すると、いくつもの過去生の頃からかもしれない。迷惑もかけまくったからな、そうなると。だから……」
「ハンカチ、いる?」
「いや、いい」
キュアメロディはこの時、のび太に本音を吐露する事で、のぞみの前世での不幸で、力になれなかった『別の自分』の不甲斐なさを呪いたい心境を脱したかったのかもしれなかった。のび太はかつて、ドラえもんが彼自身にしたように、話を聞いてやる事で、心のつっかかりを無くしてやる。親になった事で、少年時代の親とドラえもんの心境を理解するに至った故に、こうしたカウンセリング的なことも行っていた。
「君とも長い付き合いだからね。今じゃ、僕のほうが年を取ったけど」
のび太はこの頃になると、30代に入っている。ダイ・アナザー・デイ当時より更に老成した雰囲気を醸し出し、大人として成熟している姿を見せている。
「お前、ドラえもんの事は」
「知ってるさ。子孫たちから聞かされたからね。それに、約束も交わしたのは、そのためさ」
「そんなこと、あたしらに任せろよ!なんで……なんで…!」
「ドラえもんが世界を守り、あの子達や、君たちが宿命を背負わされたなら、誰かがそばにいてあげないといけないじゃないか。そのお鉢が回ってきただけのことさ。肉体は滅んでも、精神は不滅だからね」
のび太は転生者を見守っていくために、魂の輪廻転生の確約を神々にさせた。のび太の功績であれば、それが許されるからだ。
「バッキャロー……なんで、なんで……そんな事をしたんだよぉ……!」
「……僕自身が選んだことさ」
たまりかねて、嗚咽を漏らすキュアメロディ。泣きじゃくる彼女をのび太は優しく抱きとめる。自分達の『弱さ』がのび太に十字架を背負わせたことがたまらなく情けないのだろう。のび太は『自分自身で選んだ事だ』と明言し、慰める。ドラえもんを含めた『大切な者達』のと別離を経てきた故に、それを友人達に味わってほしくなかったのだ。故に、のび太は『契約を交わした』。
「ぼくは誰かと別れる事を経験しすぎていてね。ガキの頃からさ。会うことを誓っても、二度と会えない現実が待ってることも多かった。だからだよ」
のび太の脳裏には、少年時代からの人生で出会い、やむなく別離せざるを得なかった者達の姿が浮かんでいた。敬愛していた父方の祖母、幼稚園児時代に、元の家の隣に済んでいた『ノンちゃん』というガールフレンド、更には冒険の終わりとともに別れざるを得なかった者達。たとえば、リルルは『存在した世界線が消えた故に、歴史に存在しなくなったとなえる』。自分達のいる世界線での満月美夜子は自分達との接点のない『天文学者』として生きている事は確認している。のび太が魔法を理解していたのは、彼女の魔法つかいとしての生きざまを垣間見ていたり、自分自身も実は微弱ながら、魔力を保持するようになっていたからである。
「シャーリーさん、離していいかい?」
「お、おう……す、すまねぇ。あたしとしたことが……」
「前、はーちゃんに聞かれた事があるんだ。なんで、魔法に驚かないんだって。その理由を君にも教えるよ。チンカラホイ♪」
のび太がその言葉を唱えると、シャーリー(キュアメロディ)のスカートがめくれる。もっとも、彼女のコスチュームの構造的に『見えない』が。
「どわぁあああ!?お、お、お前……何したんだ、今!?」
「君たちとも、マホウ界のものとも、ミッドチルダやベルカのものでもない理論に基づく魔法さ。あいにく、ぼくはスカートめくりしかできなくて、カミさん怒らせるだけだったけど」
「ま、魔法だって!?」
「ぼくは一度だけ、もしもボックスで行った事があるのさ。そういう次元に。もっとも、はーちゃんの時は盛大にめくれたんで、派手に吹き飛ばされたけどね」
「だろうなぁ」
のび太は失敗談を交える形で、キュアメロディをなだめすかし、慰める。のび太はその魔法世界を見てきたのだ。
「覚える限りの事はあの子に伝授してある。最も、ぼくがいたのは、ほんの何週間かだったから、情報が限られててね」
のび太はここで、魔法世界で記憶していた、いくつかの魔法理論をことはに伝授していた事、満月美夜子が剣を使っていた事から、剣術の習得を強く勧めていた事を口にする。のび太とドラえもんが見てきた魔法は少ないが、ZEROによって、一時は固有魔法を使うこともおぼつかないほどに弱まってしまった、ことはに課せられた枷を少しづつ外す役目を果たしたとも。
と、そこへ。
「おーい。そこでロマンスだか、ラブコメやってる場合かー!」
「ち、ちがっ……そんなんじゃないって!そ、それに!!のび太には妻子いんだろ、黒江さん!!」
「それもそうか。出撃前のブリーフィングすんぞー。見に来たのが俺で良かったな、お前」
「そ、そんなんじゃないから!」
黒江が様子を見に来たので、大慌てであたふたと弁明するキュアメロディだが、黒江はそれを意に介さず、ブリーフィングの時間を告げつつも、からかう。
「安心しろ、トゥルーデには黙っといてやる」
「だ~から~違うんだぁ~!?」
ニヤニヤしつつ、とことんいじる黒江。とんでもない場面を見られたと言わんばかりに、あたふたしながら弁明を続けるキュアメロディ。結局、彼女は脳みそがその事でグルングルンになっている状態で戦闘に参加するのだが、雑念が消えていたためか、『普段より動きがいい』と言われてしまうのだった。