ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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五百八話の続きです。


第五百十話「ジョンストン島沖海戦と、突入作戦」

――日本連邦は国防の多くを扶桑に依存している。仕方ないが、自衛隊は政治的な枷が多く、『日本列島を守れるかどうか』というラインで固定されてきたため、学園都市が捕ってきた極東ロシア地域に割く余裕は全ての点でなかった。そこで活用されたのが、第二次大戦までの外征が前提で整備されてきた扶桑軍の余剰人員であった。それが太平洋戦争での余裕の無さに繋がるわけである。人的損害を極限したい日本側が本土の部隊を動かすのを極端に嫌うからである。とはいえ、連合艦隊も、1949年次に主力の多くが長期ドック入りという事態に陥っており、大ピンチであった。そのため、Gフォースが度々、火消しに駆り出される有様であった。マットアロー一号とウルトラホーク一号もそれであった――

 

 

 

 

――マットアロー一号は『Gフォース専用戦闘機』という触れ込みで、骨川コンツェルンの航空事業部が開発した。SFそのままな外観だが、学園都市の航空技術を使うことで解決。『装甲戦闘機』というカテゴリを生み出した。この傾向はVFにも間接的に引き継がれていくため、『防御力充実』の項目の元は安易に機体を失えない日本の政治状況からの要求から生まれたのがわかる。一方のウルトラホークは売りの一つである『合体分離機構』はオミットされているが、これは21世紀の誘導技術では、M粒子の影響を受けてしまうからである。21世紀当時の最新技術を使っているため、飛行性能は当時の第一線級戦闘機に遜色ない他、ウルトラホークに関しては、宇宙空間にも出れる仕様になっている。これはあくまでマットアローは『戦闘機』としての機能に特化しているのに対し、ウルトラホークは宇宙往還機の代替として使用される予定であったためだ。これは1980年代末から90年代前半に研究されていた『日本版スペースシャトルの夢よもう一度』を願っていた者が骨川コンツェルンに拾われていた関係であり、非戦闘任務にも使用可能な作りにされていた。Gフォース以外にも、非武装機がJAXAにも搬入されており、スペースシャトルの後釜を狙う宇宙往還機としての研究に用いられていた。この研究は後の宇宙戦闘機のカテゴリの誕生に深く関わることになり、一年戦争中の『セイバーフィッシュ』はその思想の延長線に属するという。――

 

 

 

 

 

――ウルトラホークは日本陸軍の『飛行戦艦』の素案を翻案して生み出された。大型かつ、高価な機器を積む機体であるため、おいそれと生産はできず、月産で三機が限界であった。陸軍は中島飛行機に製造させるつもりであったというが、敗戦直前の要望のようなものであった。骨川コンツェルンは三菱重工業に資金援助を行い、彼らの持つノウハウを流用する形で製造にこぎつけた。JAXAには2021年末に提供され、宇宙往還機の研究に使用された。Gフォースにはその翌年に武装仕様が納入。空中指揮管制能力も備えた万能機であり、B-52以上のペイロードを誇る戦略爆撃機としての顔も持っていた。正式なカテゴリは戦闘爆撃機であるが、爆撃任務装備では対地掃射用の機銃とロケットランチャーも装備されるため、襲撃機としての任務にも耐えうる。64Fの第二大隊の任務に帯同したのも、同仕様のウルトラホークであり、ジョンストン島の施設を破壊する事を目的に動員されていた――

 

 

 

 

――ジョンストン島を無力化し、将来の布石を打ちたい扶桑軍は稼働状態になる、なけなしの戦艦のうち、二隻を動員した。大和型戦艦とその後継である水戸型戦艦のネームシップ『水戸』である。水戸はこれが初陣である。水戸は53cm砲搭載の新型であり、竣工から間もなかった。日本の『超甲巡を巡洋戦艦として強化するべし』という恫喝に近い提案を呑むのと引き換えに承認された新型戦艦である。これは加賀型戦艦が、上陸支援艦への改装で『戦艦』から籍が外れるため、用兵側が代替の戦艦を求めた結果であった。水戸型戦艦の登場により、扶桑は戦艦の世代交代を完全に済ませることとなったが、水戸型戦艦は大変な時期に実戦に駆り出されることになった――

 

 

 

 

――水戸型戦艦『水戸』には、宇垣纏中将が座乗していた。年齢的には既に60歳に達しており、参謀長経験者であるので、海軍大将になっていて良かったが、史実と違い、連合艦隊参謀長当時に手柄を立てたわけでもなく、参謀長を任期満了で辞した後は日本連邦体制の確立で裏方に回され、戦争勃発で、定年での予備役編入に待ったがかけられていたにすぎない。同期の山口多聞が機動部隊指揮官と連合艦隊司令長官という、実に華々しい道を歩んだのに対し、彼は(同位体の最期を理由に)使い捨ての駒のような扱いを受けていた。彼は元々、性格的に傲慢なところがあり、それが海軍の内部で不興を買っていたからである。彼自身も同位体の情報で名誉挽回のための『死に場所』を求めるようになっており、それ故に、戦艦での殴り込みに積極的に志願するようになっていた。彼自身は悪人ではないのだが、下には優しくとも、同期や先輩に気を使えないという難点があり、参謀長在任中は山本五十六と不仲であったという。また、彼は本来、参謀向きの軍人ではなく、自分でアイデアを起草できないという官僚気質も持ち合わせていたためか、日本からは『使い捨てにしていい人材』の扱いであった。これは山本五十六の司令長官時代の主席参謀『黒島亀人』も同様であった。だが、ダイ・アナザー・デイ後に『日吉に籠もろうとした』という理由で予備役にされた豊田副武よりは『洋上勤務にありつける』分、幸せなほうではある――

 

 

 

「宇垣閣下、敵艦が泊地を出港。我が艦隊を迎撃するつもりのようです」

 

「64Fに数を減らさせろ。モンタナ級が六隻以上いては、本艦や三河はともかく、護衛艦隊が持ちこたえられん」

 

「ハッ」

 

二隻の大戦艦には空母は帯同していないが、護衛艦隊はこの時期の最高のものが揃えられており、駆逐艦は戦後の『やまぐも型護衛艦』相当の艦であり、超甲巡も四隻が帯同している。とはいえ、戦艦が複数隻存在する艦隊と戦うには力不足であるので、64Fの任務は強大なリベリオン艦隊の機先を制することである。

 

「64F、敵艦隊と接触!」

 

「よし、我が艦隊は64Fの母艦の援護射撃の後に突撃隊形にて敵艦隊と対峙する。全艦、対艦戦闘よーい!」

 

宇垣もカイラム級の戦闘能力をアテにしているようであった。如何にモンタナ級と言えども、宇宙戦艦のショックカノンは防げないからだ。

 

 

――64Fの精鋭たちは機動兵器で遊撃戦に打って出た。敵艦隊は輸形陣でやってきたので、その一番外側に位置していた艦艇と航空機が64Fの人型兵器と戦う事になっていた――

 

 

「NOーーーーー!!あんなロボットと戦えるかっ!!」

 

直掩航空隊のF4U部隊はキュアミラクルの『イカルガ』と遭遇してしまい、面白いように落とされまくった。イカルガからすれば、レシプロ戦闘機の機銃などは蚊の一刺し。キュアミラクルは武器を使うまでもなく、おもちゃを壊す感覚で墜落させていった。

 

「レシプロ戦闘機なんかね、ハエよ、ハエ!!どきなさーい!!!」

 

鎧武者のような外観だが、VF用のタービンエンジンの推力をミッド式魔法で補助する事で、かつてのバイアランが直面していた諸問題を解決したエポックメイキングな機体。サイズは小さいが、その戦闘力はナイトメアフレームの最高位機種以上ともされる。補助腕を用いれば、レシプロ戦闘機を簡単にはたき落とせるため、ミラクルはこれを存分に使うことでレシプロ機を蹴散らしていった。

 

「さぁて、小バエ共よ。我が剣のサビになれるかな?ソーデットカノン解放!」

 

イカルガが持つ武器の刀身が開き、ビームの刀身を形成し、それを振り回し、飛び込んでくるF4Uを膾斬りにしていく。気分が乗っているためか、どこか芝居がかった雰囲気になっている。

 

 

 

「あ~、もう。ミラクルったら。しゃーない。こっちも!」

 

キュアマジカルも龍神器『焔龍號』(要はラグナメイル)の持つ次元破壊砲を敵のファーゴ級軽巡とエセックス級空母へ向けて放つ。

 

「これ、なんかを歌わないと、機能がオンにならないのよねぇ」

 

と、妙に機能の再現度が高いところに愚痴りつつも、キュアマジカルは『収斂時空砲』と名付けられている武装を放つ。これも恐ろしい兵器であり、軽巡程度は一瞬で破壊し、大型空母であってもひとたまりもない。エセックス級空母の周囲に展開していた若い魔女たちがシールドを張るが、そんなもので防げるものではない。シールドを一瞬で破られ、艦艇諸共に消滅していく。

 

「勇気は褒めるけれど、焔龍號相手には蛮勇だったわね」

 

フレッチャー級駆逐艦の艦橋をついでに切り落としつつ、輸形陣を切り崩す。

 

「ミラクル、まずは外周から沈めていくわよ!」

 

「分かった!」

 

と、人型兵器の利点を活かす二人だが、敵も黙ってはいない。

 

「!!」

 

二人はとっさに散開したが、機体をもの凄い衝撃が襲う。

 

「つっ……嘘、リベリオンは扶桑みたいな対空砲弾を持ってないはず…!?」

 

 

陣の中央に位置する大戦艦がその攻撃を行った主であった。その名も改モンタナ級の完成型である『サウスカロライナ』である。同級は改モンタナ級の第一陣であり、50口径46cm砲を当初より搭載する設計で生まれた次世代の戦艦である。

 

「あれ、モンタナの改良型?」

 

「もう!計器に頭ぶつけたー!ムカついた!!」

 

「あ、ミラクル!!」

 

と、キュアミラクルは癇癪を起こし、ソーデットカノンを構え、突撃を敢行する。と、第二射の砲弾が第二砲塔から発射され、ソーデットカノンのエネルギーがぶつかり、イカルガはその大爆発により、大きく吹き飛ばされ、もみくちゃにされたせいか、補助腕の二本が破壊された。

 

「第一砲塔は手応えあったけど……ここまでもみくちゃにされるなんて」

 

第一砲塔の砲身は斬ったのだが、流石に砲塔の本体までは位置の関係で届かず、へし折れた姿を晒す以外は甲板が焼け焦げただけであった。

 

「補助腕をパージ。もう一回……」

 

「何をしていますの?」

 

「あ、エース」

 

「この際、私も試させていただきますわ。本当はこの機体の武器ではないのですが…」

 

駆けつけたキュアエースは斬艦刀を構える。斬艦刀装備にあたり、機体の腕部をよりトルクの高いスローネツヴァイのものに取り換えている。斬艦刀は元々、スーパーロボットのパワーを前提にした武器なので、リアル系が使うのには、ハードルが高いのだ。

 

「あれ、斬艦刀なの?」

 

「隊長に増産された分が充てがわれまして……。斬艦刀は取り回しが」

 

「斬艦刀は扱いになれないと、振り回されるよ?あ、切り込んだ瞬間に副砲の5インチ砲が飛んでくるから、そこは気をつけて」

 

「中央の旗艦は無理でも、その護衛は頂きますわ。私も遥かな過去(前世以前)に野太刀を使った経験が……」

 

「あ、やっぱり」

 

「それと、ファングも何基か積んでおきましたから」

 

「え、かなりチューンしてない?」

 

「今の私には、ドライ本来の支援は性に合わないので…」

 

斬艦刀の斬艦モードは取り回しがしずらいので、それで問題なく剣戟をこなせる者は少ない。更に言えば、一撃の威力を高められる使い手が最適であるので、赤松の弟子筋しか扱えないと称されている。

 

「んじゃ、四番艦を頼みます。露払いくらいはしますよ」

 

「分かりました」

 

損傷していない補助腕(ラーフフィスト)をワイヤー付きのロケットパンチで打ち出し、周りの水雷戦隊の艦艇の艦橋を潰していくキュアミラクル。

 

「では……リンクル・ペリドット!」

 

機体越しに『リンクル・ペリドット』(銀魔法)を発動し、ゲッターサイクロンのように、70000トン以上の巨艦を巻き上げ、宙に浮かせる。

 

キュアエースはその援護を受け、『昔取った杵柄』と自嘲しつつ、斬艦刀を通常の太刀モードで使う。

 

「はぁああああ!!」

 

刀身に紅蓮の炎をまとわせ、モンタナ級戦艦に反撃の間を与えずに、竜骨までさっぱり斬り裂く。大上段から綺麗さっぱり。モンタナ級の船体の残骸が落ちていくのは豪快だ。

 

「通常モードで斬ったんだ」

 

「斬艦モードは私ではまだ」

 

「だろうね。あれは示現流習わないと……」

 

斬艦刀は二通りのモードがあるが、赤松や黒江は斬艦モードでガンガン斬っていくし、のぞみも斬艦刀を使いこなせるが、それは転生後の都合で示現流の心得を持つ故であった。

 

「のぞみはなぜ、斬艦刀を容易に?」

 

「前に話してたけど、怪異を刀で斬るのには、示現流の心得が必要だったんだって。のぞみちゃんの代までは、明野飛行学校の必須科目だったそうな?」

 

「はぁ!?」

 

そう言いたくもなるキュアエースだが、それは本当で、錦が入隊した頃までは事変世代が隊長格を占めていたため、刀を近接武器として携行する魔女は多かった。減ったのは、43年半ば以降の速成教育のせいである。錦は刀を携行するように教育された最後の世代の魔女であったため、その技能を教育されていた。それがのぞみに技能として引き継がれていたのである。

 

「それで、斬艦刀を受け継いだんだそうな。プリキュア+斬艦刀ってんで、2019年くらいには話題になってたよ」

 

「なぁ!?」

 

戦場にいながらも、いささか情けない、がっくりなアクションを見せるスローネドライ。

 

「戦闘が終わったら、当時の週刊誌見せるよ。のぞみちゃん、かなりドヤ顔で自慢してたから、取っといてるから」

 

斬艦刀の斬艦モードを扱えたのは、複数の偶然が重なった結果であったが、黒田から斬艦刀を託された(元は黒江のもの)という事実は坂本からも『扶桑撫子の誉だぞ』と高く評価されている。斬艦刀は坂本にとっても憧れであったが、流派の違いもあって、黒田に任せるしかなかったと漏らす一幕があり、竹馬の友として、受け継ぎたかったという本音が見え隠れしている。

 

「斬艦刀が使えるってだけでも、マシではあるのよね」

 

「あ、サンシャイン」

 

ガイアガンダム(キュアサンシャイン)も到着した。

 

「のぞみとはあなた達より付き合いが長いから言うけど、あの子、戦闘のエキスパートよ。普段はてんでドジだけど。ああ見えて、現役時代は天性の才能だけで乗り切ってたのよ、だから、剣技もその気になれば相当よ。転生した時の下地もあるけれど、半分以上はあの子の資質よ」

 

「うっそぉ…」

 

「現役時代に、剣戟こなしてたって自慢した事あるのよ。ラブリーに」

 

とはいえ、現役時代に確認された剣戟は一回のみだが、聖闘士にも負けない高速で剣を振るっている。普段からフェンシングなどの習い事で手慣れていたキュアアクアではなく、素手の戦闘が身の上のキュアドリームが、である。他のメンバーはそれを知らず、本人のみの記憶だが、のび太は知っており、のぞみに斬艦刀を受け継がせようとする黒田を擁護していた。黒田が受け継がせた理由は『家を継いだから、今までみたいに前線で戦える身の上じゃ無くなったから』との事で、自分の役目は果たしたとし、後輩に受け継がせたいからである。黒田がそうしたのは、デザリアム戦役中のことであり、のぞみが特に荒れていた時期だ。黒田は一計を案じ、『家督相続』を理由に、『あなたの事は、あたしと先輩の意志を受け継ぐに値すると思ってるんだよ?』と述べ、黒江から受け継いでいた斬艦刀を託した。のぞみは躊躇したが、坂本からは『七勇士の気概を受け継ぐのも、後輩の役目だ』と背中を押され、受け継いだ。元来の持ち主の黒江も『今は三番刀を調達したから、そいつは好きに使え』と延べた。それ以降は斬艦刀を使っている。

 

「のぞみも、デザリアムの時は相当荒れてたから。それで斬艦刀を……」

 

そこまで言うと、キュアサンシャインはガイアガンダムの武器である背中のビーム砲(元来はMA形態の主砲)を撃つ。目標は重巡。弾薬庫を撃ち抜いたようで、一撃で轟沈する。

 

「よし、護衛艦隊の脅威は減らした。後は艦隊に任せるわよ。獲物を残しておかないと」

 

「黄金仮面さんに華をもたせるの?」

 

「そういう指令だから」

 

宇垣に華を持たせるのも仕事のうち。彼女たちは行きがけの駄賃と言わんばかりに、水雷戦隊と護衛空母をめちゃんこにのしていく。宇垣の部内での渾名『黄金仮面』はプリキュアらの間でも広まっているのか、キュアミラクルも口にする。

 

「泊地を襲わないと。物資は頂いてから、破壊しろって指令だし」

 

「そうだね。後は任せよう」

 

彼女らは第二目的のため、ジョンストン島に向かう。彼女らが去った後には、大打撃を被った艦隊が残った。とはいえ、旗艦以下の主力は健在であるので、護衛艦隊が叩きのめされても、突撃を続ける。だが、その彼らを待ち受けていたのは宇垣纏率いる、超大和型戦艦であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――プリキュア達は形式上、パイロットとして登録されている者も多く、何人かは実際にその技能を備える。魔法つかいプリキュアは全員がパイロット技能をエース級で備えるチームであった。プリキュア5の場合はメンバーのうちの半数である。何人かが現役時代から呼び出されていたためであるのと、パイロットとしての資質はまた別であるからである。そのため、パイロットとしての任務は混成チームで務めることが常態であった――

 

 

 

 

――殴り込みの揺動に駆り出されたキュアハートはブラックゲッタードラゴンを駆り、組織の機動兵器と戦っていた。キュアミューズとゴルシ(キュアビートの体を借りている)との即席チームであったが、充分に揺動の役目を果たしていた――

 

 

「まさか、敵もゲッターを使うとはね。ただし、無人制御で」

 

「ゲッターは扱えるパイロットが限られてるからな。無人だと戦闘力は落ちるが、下手なリアル系よりはパワーは有る」

 

ゲッターは異世界の個体が持ち込まれたのを契機に、ゲッターロボGタイプが市場に大量に出回ることになった。ゲッターGは竜馬達以外の人間でも『初代以上の戦闘値を叩き出せ、なおかつ、ゲッターロボ最大の利点を活かせる』という量産に最適な型式であった。だが、当然にパイロットにも相応の能力が必要なため、多くの場合は無人の遠隔操作で運用され、テロに利用された。量産機は(オリジナルに比して)塗装が簡略化されているが、味方側の場合は黒などが用いられる。味方側は原則的に有人で用いられるため、本来のポテンシャルを発揮できない敵側の個体に優勢に立ち回ることができた。

 

「パワーはこっちが上だが、装甲はほぼ同等だ。シャインスパークで始末しようぜ」

 

「基本性能がほぼ同じだし、武装のパワーも同等となればね。よしっ!」

 

キュアハートは珍しく、ゲットマシンの一号機のシートに乗れたからか、張り切っていた。プリキュアになっていれば、ゲッターの殺人的な負荷に余裕で耐える故だが、混成チームでは二番機が多いためだろう。

 

「ムフフ……ドラゴンに乗れたんだし、いっぺんやってみたかったんだよね。訓練だと、ドリームの指定席だったし」

 

「あ、本音出た」

 

「溜まってんだ、やらせてやれ」

 

と、キュアミューズとゴルシ(キュアビートの名義と体を借りて参戦)はそんなキュアハートに苦笑しつつも、彼女に合わせ、ペダルを踏み込む。

 

『ゲッタァァァァ・シャイィィンッ!!』

 

ブラックGもシャインスパークは搭載しているため、オリジナルと同様の手順で発動する。シャインスパーク自体は『ゲッター炉心をフルパワーにし、そのエネルギーを射出する』というシンプルなものだが、必要最低限のエネルギー以外のすべてを犠牲にする仕組みであったため、ブラックGには『シャインスパーク後に行動エネルギーを補充するための補助炉心』が搭載されている。シャインスパーク後の行動力の減退が問題にされたからだ。より次世代のゲッターはその問題が解決されているが、それはゲッター線との同調率の高さも必要なので、ドラゴンタイプでは、最終的に補助炉心の増設という、機械的な手段で解決が図られたわけだ。

 

『シャィィィン・スパァァァクッ!!』

 

シャインスパークは敵の量産ゲッターGの一団の殆どを巻き込む大爆発を起こす。シャインスパークは消耗が大きいため、ゲッターで行うにしろ、そうでないにしろ、多用はできない(真ゲッタードラゴンであれば可能だが)。だが、ハイリスクハイリターンと言うべきパワーである。量産ドラゴンは消し飛び、範囲外にいた個体が怯えるような仕草を見せ、早々に逃げていく。人工知能が動かしているような動きだ。

 

「今ので怯えたようだね」

 

「AIにはシャインスパークは扱えねぇからな。これで揺動は充分だろ」

 

「念のためだ、ライガーで辺りを偵察しておこう」

 

ブラックライガーに変形し、戦線の様子を確認する三人。三人が揺動をしている間に突撃部隊はインペロへの強行突入を敢行した。待ち受けるは仮面ライダー四号であった。

 

 

「来たか」

 

「アンタが仮面ライダー四号か」

 

「そうだ。…と言ったら?」

 

「語託はいい。狩らせてもらうぞ」

 

ブライアンは普段、レースに臨む時のルーティンをそのまま実行しているだけである。キュアドリームの体を借りているが、目つきが猛禽類を思わせるような鋭いものになっている、声色も普段のドリームよりドスの効いたものになっている。

 

「……ほう?」

 

ブライアンは元々、普段から武術を修めていた。子供の頃は臆病な性格であった故、父親がやらせたためである。流鏑馬や空手、剣道をやらされたとの事で、その時に培ったノウハウはまだ記憶しているという。レースには不必要であったが、護身術としては有効であったため、時たま自主的に道場に通っては、精神的な鍛錬に利用していたという。

 

「あいにく、私はアンタの期待した奴の体を借りただけの者だが、仕事を引き受けている以上はやらせてもらうぞ」

 

ショルダースライサーを二刀流で構える。キュアドリームの持つフルーレは本格戦闘向けの武器ではないからである。四号も彼本来のものではないが、電磁ナイフを構え、ソード形態にし、それに応える。吹き荒れる風、先行して降下した故か、甲板に二人しかいないのもあり、劇的な光景であった。ブライアンはキュアドリームの体越しでも『三冠ウマ娘としての瞬発力』を見せ、四号に迫る。四号は改造人間であるが故に、その加速に対応してみせ、ブライアンと剣戟に突入する。実戦経験はないが、動体視力その他の数値はのぞみを軽く上回るブライアンは四号の攻撃に上手く対応し、ショルダースライサーで電磁ナイフの切り込みによく対応する。

 

「ほう。なかなかの動体視力のようだな」

 

「肉体は借りものだが、どうやら、何らかのブーストがかかっているようだ」

 

それは本当である。のぞみ本人は剣戟の経験が少ない故に、無用な隙を晒すことも多いが、ブライアンは武道としての剣道で鍛えていた事、僅かな反応速度の差が勝敗を分ける『レース』の場で王者であった経歴により、改造人間である四号の斬撃に機敏に反応できるのである。偵察用の艦載機の近くで剣をぶつけ合った両者は仕切り直しと言わんばかりに、改めて対峙する…。

 

 

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