ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前々回の続きです。


第五百二十二話「漆黒のシャインスパーク、そして…」

――順当に大人になり、プリキュアも引退した世界線の大人のぞみだが、ここ数日は『自分の記憶にない』戦いを夢に見るようになっていた。それはのぞみAが転生後に遭遇した戦いの日々の記憶であった。当然ながら、大人のぞみには何がなんだか分からなかった。だが、戦士としての自分が世界に必要とされ続けた結果、自分ではない自分……並行世界の自分がその役目を担っているのでは?という考えがよぎった。他の面々には口にしていないが、現実感がありすぎるのだ。そんな予感を抱えつつ、日々を過ごすようになっていた――

 

 

 

 

 

――その予測は当たっていた。門矢士のお目付け役として、桃園ラブ(キュアピーチ)が送り込まれ、こっそりと大人のぞみを観察していた。その事による感応であった――

 

「いくら、大人ののぞみちゃんたちの目から逃れるためって、変身してるままで行動しろってねぇ」

 

「まぁ、この時代だったら、お前らもプリキュアを引退してるだろうしな。友達が引退してる状態で、お前らの戦いに巻き込まれるのはごめんだろ?」

 

「そりゃそうだけど」

 

2020年代には、初期のプリキュア達は成人して、戦士としての活動から退き、平和な暮らしを謳歌していた。それはフレッシュプリキュアも例外ではないだろう。ラブは遠くから、双眼鏡などのアナクロな手段で、平行世界の仲間達を観察している。プリキュア化した状態+軍用の高性能双眼鏡があれば、一般人には気づかれないくらいの遠くからの観察が可能だ。

 

「読唇術を覚えさせられたのは、このためだったかと思うと、複雑だよぉ」

 

「それに、お前は歴代の中じゃ背丈が高い方だろう?もし出くわしても、スーツを着てれば、とっさに嘘をつけるだろう?

 

「理屈はそうだけど。プリキュア化の名残りで気づくかもなぁ。のぞみちゃんたちは長い期間を戦ってたわけだし」

 

夜の街の屋上。ラブはピーチに変身している状態で、大人のぞみを双眼鏡で観察していた。2020年代に入る頃には、自分もダンサーになっているだろうから、プリキュアの力は手放しているだろう。

 

「あ、あれはくるみちゃん?地球に戻ってきてたんだ。パルミエ王国に帰ったはずだけど」

 

双眼鏡に美々野くるみ(成人)の姿を捉えたキュアピーチ。自分の記憶している出来事との差異を実感する。

 

「あ、咲さんと舞さん。この時代でも一緒なんだ。くるみちゃんと待ち合わせ?」

 

かつてはプリキュア、ないしはそれに近い存在であった者は一度別れても、お互いに引き寄せ合うのか、成人後に再会するようである。士であれば、偶然を装う形でコンタクトできるが、現役でプリキュアを続けている世界線の存在であるラブは『緊急事態』以外は顔を会わせられない。故に、影に徹するしかない。この世界の『自分』に迷惑をかけたくないからである。

 

「緊急事態以外は顔を会わせられないのも辛いなぁ」

 

「仕方ないだろ、この世界のお前に迷惑がかかるんだしな。どう説明する気だ?」

 

「はーちゃんを呼べればいいんだけど。あの子は外見上の成長はないし」

 

「贅沢言うな。奴は前線で戦ってる最中だぞ」

 

「うぅ~。説明が楽なのにな、フェリーチェなら」

 

プリキュア達は通常、年月が経てば引退するが、元々が神の後継候補であることはには『外見上の成長はない』。彼女であれば、プリキュアであり続けていても不思議ではないので、すんなりと説明できるだろうが、この世界では『引退している』であろう自分では、どう説明すべきかわからない。のぞみの『現役である時間軸の同位体』(Bのこと)とさえ、一悶着起こったのに、現役で戦い続ける上、まともな老いが来なくなった自分のことを『別の時間軸』ののぞみ達にどう説明すればいいのか。更に、自分の現在の職業はバリバリの職業軍人(少佐)なのだから。ピーチにはわからない。

 

「咲さんたちも、妖精無しで変身できるようになったしなぁ。あたしらもキュアエンジェルにパワーアップしてるし。まぁ、エンカウントはないと思うけど」

 

「あんぱんだ、食え」

 

「あんぱんねぇ。もっといいのなかったの?」

 

「それこそ贅沢だぞ」

 

「顔出せないのが、こんな大変だなんて……」

 

いい塩梅に成人した姿の日向咲と美翔舞。美々野くるみと待ち合わせをしているようである。キュアピーチは『成人した世界線の仲間たち』を遠くから見守りつつ、門矢士からあんぱんを渡され、それをそのまま口に運ぶのだった。

 

「ん、クリーム入り?」

 

「女は好きだろう、そういうの」

 

「現役ん時は、あまり食わないようにしてたけど、今はあんがとね」

 

「お前、ダンサーだったか?前世での商売(仕事)は」

 

「まーね。あの時はカロリーに気ぃ使ってたけど、今は食わないと、まともに戦えないしね」

 

「激務だしな、お前のとこは」

 

「あんたとヒーローとして同期なんてさ、思ってもみなかったんだけど」

 

「仕方ないだろ、俺もお前も、2009年組なんだからな」

 

ディケイドとフレッシュプリキュアは活躍した時期が同じ時期であるためか、ラブは士とタメ口だ。互いの外見年齢が近いせいだろう。士もなんだかんだで、物腰が若干和らいでいるが、それは彼自身の精神的成長によるものであった。

 

「はぁ~……2020年代からすれば、遠い昔の感覚なんだろうなぁ、あたしの現役時代」

 

「それはのぞみも同じはずだ。15年以上の歳月は人を変えるし、環境も変わる。本郷さんでも、な」

 

15年という歳月の重みを知る身である故か、諭すように言い聞かせる士。意外に女性には優しかったりする。大人のぞみ達の動向を観察しながら、二人は引き受けた仕事をしてゆくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――こちらは対組織の前線。『キラキラプリキュアアラモード』のキュアホイップこと、宇佐美いちか。彼女も前線に駆り出されたのだが――

 

「今回は四の五の言ってられない。ごめん、プレシャス!あなたの技を借りるよ!!」

 

スカイサイクロンの量産機に移動中のコスモシーガルが襲撃され、彼女が応戦したのだが、得意のデコレーション攻撃はスカイサイクロンの機動力の前にかすりもしない。それに業を煮やしたか、後輩の技(彼女は現役時代からの転移である都合、キュアプレシャスと面識がある)を借りる形で拳を見舞った。その名も。

 

「2000キロカロリーィィィ……パァァンチ!!」

 

その名の通りの鉄拳である。拳による攻撃はジェラート以外の『アラモード』としては掟破りだが、後輩の技を借りる形なので、ギリギリセーフである。量産型スカイサイクロンはこのパンチの威力の前にはひとたまりもなく、胴体を貫かれ、爆散する。

 

「お、おい!お前がそれ使うのかよ!?それに、いつの間に覚えてたんだよ!?」

 

「あたし、現役時代から呼ばれたんだけど、プレシャスとその前に会ってね。その時に習ってたんだ。使う機会ないと思ってたけど、使うことになるなんて」

 

通信でキュアメロディに驚かれる。それは2022年のプリキュアの一人『キュアプレシャス』の使っていた必殺技だったからだ。シンプルだが、その威力は下手な仮面ライダーのパンチより高く、おそらく、ショッカーの初期の怪人クラスの改造人間であれば、充分に致命打を与えられるだろうという程の打撃力だ。

 

「空飛べる形態になっといてよかったぁ。戻れなくなるところだよ」

 

「めんどくさいから、お前はそのまま、戦艦に行け。それで、彼女(ブライアン)を援護してやれ。あたし達はちょいと遅くなりそうだ」

 

「わかりましたー!」

 

ホイップを行かせ、自分らはスカイサイクロンの迎撃を潜り抜け、強行着陸を敢行すると伝える。そう指示を飛ばし、キュアメロディはコスモシーガルを巧みに操る。元々、コスモシーガルは一〇〇式探査艇の後継機として開発されたため、『この手の輸送機にしては』という修飾語がつくが、機動力はある。それを勘案し、メロディはホイップを行かせたのである。

 

「直に、母艦の射程に入る。その前に内部への突入口を確保せにゃならんぞ!」

 

「はいー!」

 

ホイップは急行する。パワーアップフォームは基本的に飛べるからである。彼女が前線に明確に駆り出されたのは、この時が初めてであった。戦闘向きのメンバーが三号の襲撃で負傷した事による代打であったが、彼女も一年間を戦い抜いた実績を持つため、次善の策ではあった。メロディは『プリキュアの技の貸し借りをどんどん進めるかな』と考えつつも、スカイサイクロン(量産機)の追撃を躱す。

 

「A-1モドキめ!!なんてスピードだ!!あの外見で800キロだと!?」

 

速度計は800kmほどだが、スカイサイクロンはプロペラ機であるのに、なおも追撃してくる。A-1をベースに改造しまくったのだろうか。外見はどう見ても、『A-1』そのままの外見だからだ。

 

「いや、組織のことだ。高馬力のターボプロップエンジンでも積んだんだろうよ!」

 

「黒江さん、高度をギリギリまで下げるぞ!」

 

「建物をこすらないようにしろよ!あの動きと数じゃ、機動甲冑は役に立たんから、出させるなよ」

 

「わーってる!ケイさんはどうした!」

 

「ゲッターノワール1の調整が終わったら出るとさ」

 

「整備班を急がせろよ!」

 

「無茶いうな!整備に気を使う、ワンオフのゲッターなんだぞ、ノワールは!」

 

圭子はこの時、ゲッターノワールの再現機を使うつもりであった。キュアミューズとキュアビート(中身はゴルシ)を開いているマシンに乗せて。そうでなければ、ノワールの切り札が使えないからだ。

 

「ったく!こんな時に!!」

 

「苛ついてる場合か!とにかく振り切れ!!」

 

「コンテナ乗ってる連中にシートベルトつけさせろ!全速と機体強度限界ギリギリを攻めるぞ!」

 

コスモシーガルの強度限界のギリギリを攻める形で、キュアメロディ(シャーリー)はメインの操縦席で悪戦苦闘しつつ、敵機の追撃を振り切ろうとする。コンテナにいる者は生きた心地のしない揺れ方を味わうだろうが、四の五の言う暇はない。キュアメロディは操縦の技能は隊でも屈指のものを持つが、教科書通りには飛ばないためか、技能実習の教官からは評価されにくい。だが、実戦で高く評価される乗り方という事で、実戦派の魔女やパイロットからは高評価である。それは非戦闘任務用の飛行メカでも同じである。前世たる紅月カレンの頃から引き継いで持つ技能と言う。

 

「あまり無茶してくれるなよ。整備班にどやされるぞ」

 

「ローターのオーバーホールは必要になるだろうよ!」

 

「紅蓮みてぇに扱うなって。これは輸送機兼偵察機みてぇなもんだぞ」

 

「わーってる!」

 

「……あとでバルキリーの補給を申請しとけ。武子も今回は反対せんだろう」

 

「恩に着るぜ、カットラスで前進翼の感覚掴んだからな」

 

「壊したら、古代艦長代理の二代目って陰口叩かれんぞ」

 

「え、あの御仁、壊したのか?」

 

「あの人、戦闘機乗りだから、前身の一〇〇式とこいつのプロトタイプを墜落させた事あるんだよ。真田さんが愚痴ってた」

 

古代進は二つの地球で共通して、戦闘機乗りである。アースの古代はガイアの古代より無茶な乗り方をするのか、合計で三機の内火艇を壊してしまい、真田志郎に怒られている。しかも、その内の二機は艦長代理就任後のこという。

 

「シャーリー!もっと揺さんで飛べんのか、キュアハートが酔ったぞ!」

 

「無茶言うなって、村雨さん!ゲロ袋でも持たせとけ!」

 

コンテナに同乗する村雨良から通信が入る。キュアハートが酔ったというが、メロディは気にしていられない。急降下からの超低空飛行で振り切らんとしているのだから。

 

「たっく、あのガキ、戦車乗りのくせに、飛行機酔いかよ!」

 

「お前が荒っぽいからだ」

 

「あんたみてーなきれいな飛び方はガラじゃないんだよっ!」

 

「まったく。村雨さん、吐かせたら、目隠しさせて、対ショック姿勢を取らせて。少しはマシになる」

 

「村雨、まっすぐ座ってると吐いたもの戻ってくるかもしれんから、その子は伏せさせとけ」

 

「分かった」

 

村雨にそれを伝える黒江と筑波洋。自身は調の影武者を兼ねているため、シンフォギアのコピーを使っている。聖衣はあいにく、シオンとムウのところに送って、修復中である。

 

「黒江さん、あんた。黄金聖衣は!」

 

「あいにく、シオンとムウのとこで修復中!ここんとこは聖域で若い連中を鍛えてたから、意外に疲労が溜まっててな」

 

任務の合間に、黄金聖闘士としての業務を行っていたようで、聖衣を修復中であるという。いわく、童虎から紫龍の『スパークリングパートナー』を申し付けられ、童虎の愛弟子であり、聖剣の伝承者でもある彼との訓練であるので、黄金聖衣も破損するという。特に同じ聖剣持ちである都合上、紫龍の相手はヒヤヒヤとのこと。

 

「それと、紫龍の相手を老師から言いつけられてな、最近はやつの廬山昇龍覇を鍛えてたんだよ。同門になるが、新参だから、紫龍には侮られてたけど、俺」

 

黄金聖闘士といえど、外部からのスカウトであるため、聖戦の生き残り組からは侮られていたと述べる黒江。紫龍も新参の妹弟子(既に聖戦を生き延び、天秤座の後継たる地位を確立させていたのもあり)ということで、珍しく侮るような口ぶりを見せ、童虎に慢心を諌められている。

 

「そんなわけで、これを使ってる。無いよりはマシだし、慣れてるからな。洋さん、キュアハートの様子は?」

 

「うぇぇ……口の中酸っぱいぃ~……」

 

「胃液まで吐いたか、うがいして、袋に吐いとけ」

 

「はぁい」

 

「だそうだ」

 

「OK!シャーリーが振り切ったら、強行着陸だから、着陸したら、すぐに変身しとくように」

 

「分かった」

 

黒江たちの機には、スカイライダーとZXが同乗している。スカイライダーは切り札であるストロンガーやRXらの露払いを担当する。ZXは黒江らの護衛である。すんなりと着陸できないのはお約束というべきか。スカイサイクロンの機銃掃射とミサイルが乱舞し、それを黒江とキュアメロディは自衛用の装備(チャフとフレア)」を駆使しつつ、マニューバーでどうにか振り切ろうとしている。いくつかのミサイルが地上に着弾するが、今はそれどころではない。

 

「高度はギリギリだ!底面をこするぞ!!」

 

「うおおおおおっ!!」

 

コスモシーガルが超低空で街を飛び、エンジン音が盛大に響く。本来、このような曲芸飛びは想定外だったが、シーガルは救命艇の後継でもあるので安定性が高く、超低空での高速飛行でも安定を失わない。

 

「空間騎兵隊が採用したの、わかる気がするぜ!!どうすんだ!?」

 

「相手は無人の遠隔操縦だから、M粒子をばらまけ!味方に周波数と通信を切り替えさせろ!如何に脳波通信だろうと、多少は乱れるはずだ!」

 

「分かった!」

 

とっさに、味方の二番機(後方を飛ぶ)に翼端灯とバンクを用いての合図を送り、キュアメロディは一か八か、M粒子散布ポッドのスイッチを入れる。

 

「偵察機、ECMの支援を頼む!それと誘導電波を出してくれ!敵機に追われている!」

 

「了解、只今より支援を行います」

 

偵察機にも応援要請を出し、コスモシーガル隊はなんとかインペロに進路を取る。そして、スカイサイクロンの追い散らしのため、Gフォースのスカイハイヤーとマットアローが飛来し、戦闘に加勢する。

 

「ふう…。味方だ」

 

「どこから飛んできたんだ?

 

「第三次応援のカシオペアに積んであった連中だよ。21世紀の骨川航空に行かせてたんだが、無事に納入されたみたいだ」

 

「カシオペア?」

 

「純正アンドロメダの二番艦で、ネメシスのパーツ取りにされてた鑑だ。ゴップ議長が回してくれたんだよ、例のゴタゴタで退役させられたってヤツで」

 

カシオペア。アンドロメダ級の純正の二番艦だが、建造を急いだ故の不調で土星決戦の戦没を免れていた唯一のアンドロメダ級である。メネシスのパーツ取り艦に身をやつしていた都合、帳簿上は連邦軍籍から抹消されている。記録上は土星決戦への回航中の機関の爆発で亡失とされているが、これはアンドロメダ級が戦後、『地球の驕りの象徴』とバッシングされた都合によるものだ。

 

「本当は星の名前にする案があって、二番艦につけたらしいんだが、アンドロメダ級は女神の名前にするって決まったのもあって、なかったことになった悲劇の艦。予備パーツ代わりにされてたから、デザリアムの時に使えなくてな。戦後にグラナダでリファインがされたと聞いている」

 

アンドロメダ級は本来は大艦隊の旗艦という任務を帯びていたが、一番艦の悲劇は軍に忌避感を呼んだが、設計自体は悪くはないため、改良タイプが就役しつつあった。だが、ガイアの古代進の勇み足による論文の発表で政治的に都合が悪くなり、厄介払いされつつあった。その再利用先がGフォースである。しかし、アンドロメダ級に代わり得る旗艦級戦艦の新規設計は難航していた。その後にまとめられたのが『ブルーノア級戦闘空母』である。当時の時点でヤマト型を新造し、旗艦に充てる案も出されていたが、ヤマトは日本の技術の象徴でもあるため、地球全体の旗艦にふさわしいとは言えないという意見が大勢であった。結局、ブルーノアはそれらの折衷案的な様相で採用され、戦闘空母に傾倒しだした第三世代宇宙艦隊の象徴となる。

 

「今度の連邦の旗艦はなんだ?」

 

「わからん。バトルキャリアの発展になるらしいぞ。ガミラス帝国の戦闘空母に触発されたな。後継のガルマンも採用してるからなー、ああいうの」

 

やっと一息つけたので、多少の雑談を交わす二人。マットアローが二機ほど合流し、やっと安心して飛べるようになったからだ。

 

「みんな、直に着陸に入る。準備してくれ」

 

と、メロディはコンテナにいる突入隊の人員(プリキュア、仮面ライダー、空間騎兵隊の混合)に放送で呼びかける。やがて、インペロが見えてくるが、インペロの第四砲塔が明らかに壊れている。何かあったのか。

 

 

 

 

――実はその直前、ブライアン(キュアドリームの体を使用)が大技を放ったせいであった。その技とは――

 

「四号!!お前を暗黒の淵に叩き落としてくれる!!」

 

四号の思わせぶりな態度に業を煮やしたブライアンは大技を使った。自身の属性が『黒』に近い現況を鑑みての攻撃である。

 

「ゲッタァァァァ・シャイィィンッ!!」

 

ゲッタードラゴン系統お馴染みの溜めのポーズを取り、ブライアンはゲッターシャインを発動させるが、自身の属性が反映されたか、ゲッターエネルギーは『黒光り』のものであった。更に、赤い紫電の光も奔っているため、本来のシャインスパークとは相反する属性を持つ攻撃と化している。

 

「!!」

 

赤黒い光を纏い、真シャインスパークと同様の超高速飛行で四号の隙を突く。

 

『ズワルト!!シャイィィンスパァァァク!!』

 

黒いゲッターがシャインスパークを使う場合は放つゲッターエネルギーまで漆黒の輝きを放つらしく、そのシャインスパークは通常のシャインスパークよりとは異なる反応を見せ、大爆発を起こす。なお、闇属性のためか、反ゲッター線の要素も含んでいるのかは定かではないが、ゲッターノワールGのシャインスパークはその名を持つという。のぞみ本人が自己意志で初めて使った時も、そう呼称していたため、橘博士は『リバースゲッター反応』ではないか?と推測している。その現象は極稀なことだと言うが、真ゲッター以上のゲッターであれば、理論上は意図的に可能(炉心が耐えられる)という。ゲッターノワールはその資格を持つということだ。キュアドリームの体はZEROとの融合でそれを可能にしたことも示している。そのシャインスパークの影響か、本来はピンク色のドリームのコスチュームが(ダークドリームとは違う色彩で)漆黒に染まっている。

 

『おのれ……だが、私は死んだわけではないぞ』

 

「とっさに人格を別のボディに移し替えたか!」

 

虚空より四号の高笑い声が響く。四号の予備躯体が起動と同時に、先ほどまでのボディが蓄積した記憶を移植され、それを引き継いだのだ。

 

『そうだ。私達の戦闘経験は貴重なのでな。自分の脳は既に電脳化済みだ、フハハハ……!』

 

「漫画のように、姑息な真似をしやがる。大方、どこかに中枢……本人の脳みそがあるんだろう?」

 

『生き延びる手段はなんでもいいのだ。また会おう、キュアドリーム。いや、ナリタブライアン君……』

 

「……知っていたのか、私がキュアドリームではないことを」

 

『わが組織の力だよ、ブライアン君』

 

「大物ぶりやがってからに」

 

漆黒に染まっているコスチュームは『ダークドリーム』を思わせるが、コスチュームの色彩が黒になっただけである。のぞみ本人もそうなった経験を持つ。とはいえ、ズワルト・シャインスパークの影響はプリキュアのコスチュームを黒く染める程に強いのがわかる。

 

「あー!あなた、ズワルト・シャインスパークを使ったんですか?」

 

「お前か。自然とそうなった。私には原理はわからん」

 

「ゲッターは時々、わかりませんからねぇ。……どいててください、あのドアをぶち破ります」

 

キュアホイップは到着するなり、漆黒のコスチュームに染まったブライアンを目撃し、事の次第を察した。侵入口になるドアが砲塔の近くにあるのを見つけ、2000キロカロリーパンチでぶち抜く。プレシャスが見たら、確実にびっくりの使い方だ。

 

「味方が着陸してきますけど、どーすんですか?それ」

 

「別のフォームになっても、影響は継続するというからな。それで喧嘩したんだろう?」

 

「はい。色々といざこざもあったんで。でも、黒くなると、なんか渋くなりますよね」

 

「そういうのは、姉貴や従姉妹(タイシンやトップロードのこと)に聞いてみるとするよ。色が変わったくらい気にするな」

 

「うーん……」

 

困り顔のキュアホイップ。気にしていないブライアン。普段から質実剛健で、服装をさほど気にしていないからか、色の違いは気にしないようだ。

 

「あんたらにも元から黒い仲間も居るし、気にしても仕方ないだろう?」

 

「確かに……」

 

妙に的を射た物言いに関心させられるキュアホイップ。なんだかんだで彼女も、ブライアンの持つ三冠馬故の空気に呑まれつつあったのかもしれない。

 

「しかし、これだと、ライスの勝負服のようだな」

 

「後輩の方ですか?」

 

「ああ、同じ学園の後輩で、生徒会としても目をかけている奴だ。今は怪我の治療中だが…。あとで写真を見せる。ゴルシが持ってるはずだ」

 

ライスシャワーのことは逐一、生徒会の下部役員らに報告させている事を明言したブライアン。テイオーが代替わりで会長になった後は『贔屓』という批判を躱すため、自分とエアグルーヴが代わりにそうした事を手配していると話す。

 

「いいんですか?」

 

「ライスは頑張っているが、なかなか評価されなくてな。色々あって、レコードブレイカーとも揶揄されている。政権交代間もない時期、贔屓と取られる行いは避けないといかんが、折角の才能をおめおめと潰させるわけにはいかんよ」

 

テイオーの評判を悪くしないためと、中立の観点から、生徒会の総意という形で、ライスシャワーの治療費を極秘裏に出している事、表向き、自分とエアグルーヴの独断という形で処理した事を口にする。ライスシャワーを生徒会全体が高く評価していたからこそのことだ。

 

「その子、早く良くなるといいですね」

 

「ああ、そう願っている。そうだ、この戦いが終わったら、うちの学園に遊びに来ないか?私も直にレースがあるからな」

 

「決まったんですか?」

 

「ああ。移籍した先のチームのトレーナーの提案を呑んだんだ。私の復活を印象づけるためにも、避けては通れんレースだ」

 

ブライアンはどこか嬉しそうである。ライスシャワーの事で朗報があったのと、移籍先で上手くやっていけそうだからで、それはゴルシ一派の根回しによるもの。

 

(恩に着るぞ、ステイ、ゴルシ、ナカヤマ、オルフェ)

 

ゴルシの一派。つまり、ステイゴールドとその血族であったウマ娘達を指す。そのうち、ゴルシとオルフェーヴルはスピカに籍を置く。ナカヤマは別のチームだが、ゴルシの悪友だ。元締めがステイゴールド。ゴルシ達の父にあたる競争馬の転生にあたる。そのため、ウマ娘界一の荒くれ集団と異名を持つが、頭が上がらない者も多い。オルフェーヴルがカレンチャンに頭が上がらないように。ブライアンはそうした集団を統率する側にいるが、ゴルシ一派に世話になっているのも事実である。ある意味、素行不良だが、学園の潤滑油になっている面は認めているため、比較的にゴルシに寛容なのがブライアンである。ライスシャワーの容態の確認で世話になっているためだろう。ライスシャワーの一件に関する報道を早期にコントロールできたのは、間違いなく、ステイゴールド一派の功績であった。ゴルシと愉快な仲間たちは意外なことに、トレセン学園の新秩序の構築に多大な貢献をしていたのだ。こうして、ブライアンはキュアホイップを自分の次の発走レースに誘ったわけだが、それはそれで、トレセン学園にちょっとした騒動を起こすのだが、それは別の話。

 

 

 

 

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