――魔女の世界では戦闘機の開発速度は遅かったのだが、日本連邦化で嘘のように加速された結果、現場が機種更新の早さに対応できないという『史実と逆の状況』が発生した。魔女の空戦での地位が大きく低下した時代を迎え、開発の優先順位が逆転したのがダイ・アナザー・デイもたけなわな頃。P-47戦闘機の『魔女狩り』が決定打となり、魔女は部隊として存在できる大義名分を失った。だが、社会的迫害の発生を抑止するためには、トップエースたちを集中運用し、確固たる戦果を出させるしか手がなかった。それまで『いくつかの戦線に分散配置させる』方法を取っていた連合軍は戦略の大転換を強いられたわけだ――
――これはダイ・アナザー・デイ当時、1945年という事で、ベテランパイロットが残っていないと早合点した日本側のミスが発端であったが、それに反対する高官も多かったが、ティターンズの攻勢の前に次々と戦死していき、なりふり構っていられなくなった。64Fに各戦線のトップエースが集められたのは、こうした危機感も作用していた。ダイ・アナザー・デイの『魔女狩り』は当時に最高の機体強度を誇った『P-47』で急降下した魔女を追撃し、ストライカーが想定された急降下速度の限度を超え、空中分解を起こした瞬間に『12.7ミリ機銃を掃射して、ミンチにする』というもの。この模様をティターンズはプロパガンダに大いに利用。ブリタニア最強とされた『グローリアスウィッチーズ』の魔女たちが容易く撃墜される様子をテレビやニュース映画でバンバン流した。そのため、魔女たちの立場は瞬く間に悪化してしまったのである――
――結局、魔女達は一度は『異物扱いした』転生者たちにすがりつく事でしか、急激に冷却化した社会の視線から自己防衛ができなかった。ストライカー無しでも、ティターンズの超人とまともに戦える魔導師やプリキュア戦士たちは瞬く間に時代の寵児になった。魔導師より魔力の応用が効かず、一部の特異体質以外は『時間制限』がある魔女は近代軍隊にはそぐわないと判断された。また、対人戦争では実質的に戦力としてカウントしずらいというのもネックとされた。肝心の対怪異戦も、怪異の一体あたりの戦闘力が向上すると、旧来型の武器とストライカーでは対応しきれなくなってしまったのも報じられ、魔導理論の根本的な進歩に総合的な科学力が追いつかない(素材技術が新理論の叩き出すパワーに追いつかない)事が大問題とされ、しばらくはF-86ストライカーと少数の新鋭ストライカーで乗り切る事になった。同時に、軍の部隊でどうしても対応できない怪異は64Fの超人に任せるという方針となった。実際、散発的にそんな怪異が現れ、軍に打撃を与えており、64Fは全体的に疲労が溜まっていた。そのため、廃棄した旧式戦艦や戦車を『エサ』として使い、惹きつけた後、超人達の必殺技で屠るという方法が考え出された。ブリタニアの耐用年数の過ぎた『ダイヤモンド級戦艦』(史実にはない戦艦)や伊勢型戦艦などが解体を撤回され、リモコン操縦に改造され(実物大のラジコンのようなもの)た後、囮艦としての任務を与えられた。これは大成功であり、怪異は金属を好む性質が確定した。それをさせるほどには影響力は残っていたわけだ――
――扶桑は空母機動部隊の少数精鋭化に戸惑う羽目になった。空母の建造自体が制限され、強襲揚陸艦も数があまり揃えられなくなったからである。潜水艦の要員育成と、建造数の問題があった事のしわ寄せであった。その制限がない水上戦闘艦艇の高性能化が激しく進展。海援隊が護衛総隊に組み込まれた事もあり、戦闘艦艇の近代化が進展した。ミサイル兵装と自動制御の対空兵器の登場はその象徴であった。ミサイル兵装も21世紀以降の規格のVLSが大型戦闘艦艇には備えられたため、隔絶した技術力の象徴となった。他国は高射砲と対空砲の配置の組み合わせで創意工夫を続けていたため、それをいきなり時代遅れにさせるミサイル兵装の登場はカルチャーショックであった。さらに、ミサイル兵装の研究に熱心であったカールスラントの研究が止まってしまい、各国は契約の違約金の獲得に狂奔したため、カールスラントは最貧国の一つにまで瞬く間に転落した。結局、日本連邦の先端技術を再現しようにも、技術理論の世代が進みすぎており、劣化コピーもままならない事から、連合国内のパワーバランスは日本連邦が優位になった。日本連邦には先端技術の流出を恐れ、兵器輸出を差し止めていたので、各国の軍事バランスの均衡は大きく崩れてしまった。アメリカも自国製兵器の市場を確立させるため、日本連邦(特に扶桑)へは破格の条件でライセンス権を与える一方、欧州にも多少の情報を供与し、多少であるが、バランスの是正を図った。1949年次には、日本連邦の優位には変わりないが、ブリタニアがジェット艦載機の本格配備の端緒につくなど、軍事バランスの改善が起こっていた――
――日本連邦はこうした現象に自分が戸惑う事になったが、財務当局が強い力を持つようになり、軍備増強よりも経済的・文化的利益を追求する論調が強まっていったため、軍部は少数精鋭主義にならざるを得なかった。怪異への対応も次第に(魔女の社会的地位の保全のために)民間委託が進められ、狩猟免許も設けられていった都合、軍部は自然と新規採用の規模を絞らざるを得なかった。そのため、太平洋戦線での人的損耗の多くは義勇兵で賄われたと言っていい。日本側は扶桑の教育制度の改革と称し、軍事教練の廃止をし、魔女になった者の普通学校からの排除を目論んだが、魔女は突発的に生まれるため、それは物理的に不可能であった。仕方がなく、狩猟コース(怪異の猟師となるか、MATへの就職)を設け、軍への志願者は工科学校への進学を斡旋するものとされた。また、工科学校への転換で『日本での基準に満たない年齢の幼年学校生徒は追放するのか?』という社会問題が発生してしまったため、結局、工科学校はしばらくの間は『旧体制下の生徒に近代軍事教育を施し、なんとか使い物にする場』として機能するしかなく、現地社会の混乱を助長させた。日本は『日本連邦大学』の設立を急いだが、時代的に女子の高等教育は忌避されがちであったため、女子の入学は魔女含めた『軍人』か、良家(政財界の大物、あるいは進歩的な思想の華族)の令嬢に限られた。日本の目論見はこの時点で、既に破綻していたと言える。連邦大学の女子学生の多数派は『魔女出身の職業軍人』で、そこに数割ほどの良家の令嬢が混ざる状態がしばらく続く。完全に一般層の女子が高等教育を気兼ねなく受けられる様になるのは、親の世代が『近代国家としての義務教育が当たり前になった世代』へ完全に移行し、更に戦乱が一段落するのを待たねばならなかった――
――とはいえ、日本の文科省肝いりで設立させた大学であったため、教育の質は扶桑の帝大と同等以上が担保され、扶桑の戸籍の学歴欄にも『大卒』と記載されるため、メリットは軍人達にも認識されていた。この時代、大卒(あるいは士官学校卒)の学歴さえあれば、軍を辞めても、転職先は比較的に楽に見つかるからである。21世紀の日本のように『一流大を出ていても、就職難である』のとは天と地ほどの差があった。また、日本出身者(特に機械工学や電子工学、金属加工などの専門知識持ち)であれば、扶桑第一の企業が高待遇(給与水準もバブル期並のもの)で迎えてくれるため、複数のエンジニアや熟練工員が扶桑に渡っていった。日本はこればかりは法で規制できず、技術情報の保全関連で締め付けるしかなかった。また、扶桑の軍備を『自衛隊の増強を阻害しつつ、使い捨てにできる捨て駒』と見なしていた者達は超大和型戦艦の持つその威風堂々たる勇姿に腰を抜かす羽目となったという。
――ゲッター線とマジンガーZEROがプリキュア達に見せた『いくつかの可能性』。それはプリキュア達に強い危惧を生む事になり、大決戦はその決定打となった。ZEROが因果を探れたという事は、全部の平行世界の何処かには『オールスターズが敗れ去り、全員が戦死し、世界も滅んだ』世界があるという事の証明であった。それを察した黒江達はZEROとの敵対に備え、ゲッター線の力を身に付けさせる方向性の特訓を課した。それが完了した後、最終目標は『空間を支配すること』だと告げ、ゲッターエンペラーの最終仮想敵が『時天空』という途方もない存在であること、プリキュアそのものが『神々が時天空に対抗するために生み出した存在であり、異能である』可能性を教えた――
「ZEROが因果を探り当てたってことは、お前らにも『負ける世界がある』って事だ。それを超えるには、進化だ!最低でも、日本列島くらいの空間は支配しろ!!」
と、いう無理難題な言いつけであったが、プリキュア達は『敗北の因果が生まれた』ことに強い危機感を持ったため、つつがなく特訓はなされた。また、ZEROとの融合により、空間支配と因果律操作を複合する事で『世界の再構築による改変を阻止できる』能力に至ったキュアドリームは自分が『史実からかけ離れた存在に変化した』自覚を持った。そのため、史実で会得する最終形態『ドリームキュアグレース』にこだわることはないとし、個人での最高の力であった『シャイニングドリーム』を主用し始めた。空中戦が増えた事、シャイニングドリームよりも更に上の形態を得たからであった。パワーアップにより、通常フォームを飛ばしての変身が可能になったのもあり、ナリタブライアンが体を借りた段階では、スプラッシュスターの二人と同じ感覚で『任意でのフォーム切り替え』が可能になっていた。
――ゲッター線による『変化』は他のプリキュアにも表れており、本来は変身に妖精の力が必要なはずのスプラッシュスターが自己意志のみでの変身が可能になっていたり、キュアメロディ(北条響)が他のプリキュアと同様に単独変身が可能になっているなどの変化が表れていた。特に、キュアメロディは現役時代は比較的に大人しめな性格だったので、転生後の『気が荒く、ガサツそのもの』な性格は『紅月カレンや麦野沈利が由来だろう』と推測されている。キュアハート(相田マナ)は現役時代と大きく変化した事がある。素体になった逸見エリカ由来の『気の荒さ』が反映され、言動が(現役時代比で)荒くなっている他、声色を低めに変え、ある種のハッタリができるようになっていた。また、遥かな前世が中国三国時代の武将『関羽雲長』であったようで、冷艶鋸と呼ばれる『青龍偃月刀』を用いるようになっている。また、『相手を殺すこと』に躊躇が無くなっているという違いがある。これはデザリアム戦役に至るまでに『本物の外道』を見た事が理由であった。―
――変わらざるを得なかった者たちは『現役時代の自分とは異なる存在である』と、敢えてアピールする事で、アイデンティティの確立を図った。現役時代は中学生であっても、能力が再覚醒した時点では高校生以上の年齢である者が多数派であったからだ。更に言えば、のぞみにしても、成人後は一種のIFな世界線のような経緯であったので、そこが『自分は物語とは違う人生を生きる存在である』という事の証明となった。軍人として立身出世することはそれに役立った。水無月かれんにしても、連れてこられた時点では中学生相当の年齢だったが、それから数年後の時点では、成人相当の年齢に達している。また、彼女らは『童心を失わなかった』ために、プリキュアへの変身能力を加齢では喪失していない。そこが最大の違いと言えた。(他の世界線では、加齢に伴う心境の変化で喪失している)――
――他の要因として、仮面ライダーJとの遭遇により、『大自然の加護』を得た事も理由であろう。仮面ライダーの中でも、特に大自然の使者としての体裁が強い彼の力を与えられた者がいた事も、プリキュア達の力の維持に関係していた。また、曲がりなりにも公職に就いたため、軍服をコスチュームの上から羽織る形で着込む者も増加傾向にあった。二人ののぞみもそれを行うようになっているが、のぞみAが実のところ、それを最初に考えたのである。これは、元々、扶桑陸軍航空部隊の魔女の多数派は軍服を戦闘服の上に羽織るという文化があり、素体の記憶を持つのぞみAもごく自然に行ったのだが、意外にしっくりきたのと、ハッタリも効くため、その他のプリキュアに波及していったのである。ドラえもん曰く、『特捜ロボジャンパーソンも初期の頃にしてたし』との事――
――ある日――
「ドラえもん、どうして、統合戦争で行方不明に?」
「バダンとやりあったんだよ、ドラえもんズで。仮面ライダー達の眠っている秘密基地を守ってね。だから、ぼくはそれ以降は歴史から退場してるってわけ」
「バダンは何をしたの?」
「ライダー達を眠ってる内に葬ろうと、時空破断装置を使おうとしたんだ。僕たちは親友テレカでそれを止めたけど、代償は大きかった」
のぞみA(髪型などは学生時代のまま)はドラえもんが『統合戦争中の事件で、歴史から退場する』という衝撃の事実をさらっと知らされた。その事を知った上で、ドラえもんは仕事をしているのだというのは、のぞみにはショックであった。
「わかってて……あたしたちに協力してくれてたの?」
「なーに、僕が好きでしてることさ。のび太君もそれは知ってるよ。君たちみたいな若い子がいれば、地球人は滅びないってことだけでも、冥土の土産になるさ」
ドラえもんはのび太の元を去った後では、文字通りに『中古ロボ』である。その時間軸の存在であるからか、言動が昔より老成している印象を与える。
「め、冥土の土産って……」
「君とも長い付き合いになった。君がのび太君の義理の娘になった以上、僕たちは家族と言っていい」
「……」
「だから、知らせておくんだよ」
「……いいの?」
「僕たちの犠牲で、仮面ライダーっていう世界を守れるヒーロー達を助けられるのなら、僕たちの命なんてのは……安いものさ」
「そんな事、言わないで!あたしがもっと早く会えていれば……」
「いいんだよ、のぞみちゃん。その事が僕に出来る、世界への最後のご奉公なんだ。のび太くんの一族に、僕の意志は受け継がれていく。それだけで充分さ」
のぞみはのび太の次子(養子)のコージの妻である。つまり、ドラえもんにとって、のぞみは家族の一員である。故に、タネ明かしをしたのだろう。
「のび太君たちが子供の頃に、何度も地球を守ったし、別の星の平和も取り戻した。それと同じことをしただけさ。それに、いつか戻れるかもしれないっていう希望はある。のび太君には、苦労をかけることになったけどね」
「だから、君たちがこの星を守る一翼を担うんだ。かつての僕たちがそうしたように、ね。君たちは昭和以前のヒーロー達のように『使命感』とかで動くタイプじゃないのは、よくわかる。だけど、宇宙人にしろ、どこかのチンケなマッドサイエンティストにしろ、イカれた夢想主義の政治屋にしろ、そいつらのどれかが野心を持って、世界征服を夢見た時、黙ってやられるのを見ていられるかい?」
「……そんなの、黙っていられないよ!あたしだけじゃない。プリキュアのみんなも――!」
「それが聞きたかった。僕たちが守った、この星を、邪な連中の好きにさせないでね」
ドラえもんは哀愁を感じさせるような背中(トレンチコートを着込んでいた)をのぞみに見せながら、静かに去っていく。この会話はデザリアム戦役の前に行われたが、のぞみAがなんとか『踏みとどまれた』理由の一つは、ドラえもんとのこの会話で交わした約束を守るという意志を持っていたからでもあった。また、ドラえもん達が人知れず、自分たちと違う敵と戦っていた(何回かは本気で世界滅亡級の危機であった)事をその会話の後に調べ、のび太から聞かされたことで、『誰かの意志を継承する重み』を実感した事も、のぞみAが軍人という職業において、『この職業を続けること』の意義を見出し始めるきっかけとなった。
「~~♪」
ドラえもんが去る間際に口ずさんでいた音楽。それは1980年代後半にヒットを飛ばしていたバンド『安全地帯』の『悲しみにさよなら』のサビの部分であった。後日、のび太はのぞみに『安全地帯の曲をドラえもんが口ずさんでいた』理由を教えた
「ああ、あれはうちの親父(のび助)が若い頃に好きだった曲だよ。その頃に若かった親父は仕事で失敗した時とかに、その曲を聞いて、自分を励ましてたんだ。僕が小さい頃は親父が奮発したオーディオプレーヤーから流れてたの覚えてる。お袋(玉子)はプリンセス・プリンセスを若い頃に聞いてたって言ってたな。それで、ドラえもんも覚えちゃってたわけだよ」
「そっか、のび太君のお父さんの時代は……」
「そう。ポータブルオーディオなんてないし、ウォークマンの類も、その頃の親父の給料じゃ、手が出しにくい代物だったからね。僕も近所の名画座で見た『トップガン』や『フラッシュダンス』のサウンドトラックを買ったの、高校ん時が初めてだったしさ」
のび太の街には名画座が存在していた時期があある。のび太が10代のうちまでは営業しており、のび太は調やことはを伴い、何回か見に行った事を教える。20歳の頃に閉館してしまったため、過去の名画を映画館で見に行くには、電車を使わなくてはならなくなった。レンタルビデオすら満足に存在せず、その内にビデオオンデマンドの時代に突入してしまったが、野比家はそうした手間を惜しまない家系であった。
「若いうちに聞いた音楽ってもんは忘れないさ。僕の大学のゼミの後輩なんて、高校の時に聞いた君達の現役後期(『YES!プリキュア5GOGO!)の頃の主題歌をポータブルオーディオで聞いてたしさ」
「うぇぇーーー!?そ、それは恥ずかしいよぉ……」
「だから、君が転生前に抱いた思いは吹き飛んでるはずだよ。君たちに憧れた子供達が大人になっても、それを糧にして、社会で生きてるってことでもあるからね」
のぞみAは『自分たちの存在が誰にも気に留められなくなってしまう』事に前世で散々に苦しんだためか、ドラえもんの世界での英雄扱いは嬉しい限りであった。現役時代から時を経ても、子どもたちの憧れでいられるというのは、前世で『周囲に自分たちの存在や戦いが忘れ去られていくこと』に苦しんでいた彼女にとっては至上の幸福であった。
「嬉しいよ、時間が随分経っても、子供たちの憧れで居続けられるってのは」
「うちの倅の友達から『プリキュアのお姉さん』って言われた時、君、ニヤけてたもんね」
「そりゃね。現役時代と違って、身バレしまくってるから、正体隠す必要ないって、気が楽だよ。くるみなんて、部活の仲間にドヤ顔できたって自慢してたし」
「僕の世界じゃ、君らのプライベートまでがまるっと、子供でも買える本に書かれてるからね。隠す必要ないさ。むしろ、違いをアピールしたほうが手っ取り早いよ」
のぞみAは軍人だが、他のプリキュアには『能力の再覚醒時点で学生であった転生組は多い。ミルキィローズこと、美々野くるみもその一人。転生後は大洗女子学園の『カエサル』であり、大洗女子学園戦車道部の一翼を担う存在である。とはいえ、ミルキィローズへの変身能力が復活してからは、カール自走臼砲を連盟から強奪するのに使ったり、大学選抜チームを『なぶり殺しにした』事への詫び代わりに、ミルキィローズの姿を見せるなど、現役時代に比べ、かなりの好人物に変貌している。この時点では、既に再会済みらしい。
「くるみ、昔はあたしに何かと突っかかってたけど、いつの頃からか、それなりにいい関係に変わっていったんだよね。今は昔が嘘みたいに……」
「ミルクちゃんの現役時代の言動のこと、根に持ってる?」
「そうじゃないってのは嘘になるね。純粋に妖精だった頃の事だから、ミルキィローズになった後は水に流したけど」
美々野くるみが純粋に『ミルク』であった頃の身勝手な言動などに遺恨が多少なりとも残っているらしきのぞみA。とはいえ、美々野くるみになってからは多少なりとも性格は改善されたので、水に流したというものの、当時の言動そのものは内心でムカついていたと告白した。
「仕方ないさ。あの子は外の世界を見る機会がなかったんだ。美々野くるみになってからは、君たちの苦労を知って、我が身を省みたんだろう。ムカつきを口にしなかった君は立派さ。僕なら、彼女の飲んでる紅茶にハバネロソース入れる自信があるよ」
と、第三者であるのび太からも、妖精としての活動初期の傲慢不遜な振る舞いを酷評された美々野くるみ(ミルク)。
「あたしもやればよかったかなぁ…」
と、多少なりとも、当時の言動だけは現在も腹に据えかねているらしいのぞみA。冗談めかした体裁だが、ところどころ本気では?と思わせる声色だ。
「かれんさんのおかげかなぁ。大人しくなったの」
「ああ、風邪引いたとか?」
「うん。地球の医学じゃどうにもならなかったんだけどね。あれからだったな、かれんさんが医者の道に行ったの。それと、ミルクがまともになりだしたの」
現役時代を回想し、懐かしそうなのぞみA。美々野くるみとは現役時代にライバル関係であった時期があれば、妖精時代はけして、関係が良好とは言い難かったとも述べ、関係が良化したのは、彼女が美々野くるみとミルキィローズの姿を得た後のことだとのび太に明確に言う。妖精時代の行動へ意趣返しをしたかったが、その機会が訪れなかった事。遠い昔のとはいえ、今でもむかっ腹が立つ言動だったと明確にしたあたり、ミルク(美々野くるみ)の自業自得な感があると、のび太は後に評した。