ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

609 / 787
前回の続きです。


第五百四十一話「宇宙戦艦ヤマトにて 2」

――大人のぞみは別の自分の身分を借りた。折しも、彼女が勤務する学校は空襲と艦砲射撃で大損害を被り、休校になってしまったので、勤務を休む言い訳を考えずには済んだ。本来、彼女らが遭遇したであろう出来事はプリキュアらしい騒動であっただろうが、白色彗星帝国残党の襲来により、地球の存亡を賭けた大戦争に変貌。プリキュア戦士達も集結しつつあったが、大半は力を失った状態であった。大人のぞみは『本来起こるであろう出来事』が回避された状態で『プリキュアに復帰した』上、様々なフラグがへし折れた状態で戦いに臨むことになった。ミルキィローズ(美々野くるみ)も『宇宙戦争』という地球全体の危機では、ココとナッツに来てもらうのを躊躇ったため、大人のぞみとココの再会は先延ばしにされたのである――

 

 

 

――大人のぞみは外的要因でプリキュアに戻った上、のぞみAの全てがインストールされている。その都合により、戦闘ポテンシャルに関しては現役時を超越した。また、彼女の抱いていたモヤモヤも『のぞみAの記憶』のおかげで解消した(たとえ、現世では無理でも、来世でココと結ばれる)ため、ココを呼ぶのをむしろ止めさせ、自分に道を指し示してくれた『英雄たち』のように、自分たちが主体になって世界を守らんとしていた。本音としては、白色彗星帝国との戦争に愛する者を巻き込みたくなかったのもある――

 

「アンタ。なんで、くるみが手紙を出すのを止めさせたの?」

 

「ココとナッツに会うこと自体は、いつでもできる。この戦争はココとナッツがいたとしても、どうにもできない。若い頃に戦ってた敵とはわけが違う『侵略者』。こればかりは、地球人の手でどうにかしないといけない」

 

「確かに、パルミエ王国の人たちには想像もできないでしょうね。血なまぐさい戦いって奴は」

 

「会いたいけど、会ったところで、何か言えるわけでもないし、ココもあたしの生活の邪魔はしたくないって思ってるだろうから」

 

「あんたらも難儀なカップルね」

 

「向こうじゃ結婚できたけど、ココも地球人に転生してたからこそ、できた事だもん。それに、義父さんが説得してくれたそうだし…」

 

コージは転生後、のぞみの危機に助けに行くことを躊躇っていたが、のび太の後押しで参戦。のぞみを『踏みとどませた』。のぞみはその真相を聞かされ、結婚後はのび太を冗談交じりに『義父さん』と呼ぶようにもなった。その記憶があるからだろうか、所帯持ちのような口ぶりだ。

 

「あんた、この世界じゃ独身貴族になりそうだってのに、所帯持ちみたいな台詞言って……」

 

「いや、向こうじゃ本当に所帯持ちだしさ。はーちゃんとも姻戚関係だし」

 

「みらいが聞いたら、泡吹くわね」

 

「だろうねぇ。向こうのみらいちゃんとは喧嘩したけどさ」

 

「こっちのあの子が聞いたら、なんていうかしら。自分たちを倒した相手と和解して、一つになったなんて」

 

「存在自体が人から変わったからなぁ。それはあたしも同じだから」

 

「どうすんの?これから」

 

「さぁ…。あたし達はこの世界を守る役目を背負わされたから、たぶん……」

 

「まぁ、どんな事になっても、つきあうわよ。たとえこの先、不老不死になろうとも」

 

「でもさ、ヤマトがある世界って、そのハードル低いような」

 

「俺たちはテレサがいたから、不老不死くらいじゃ驚かなくなったよ。彼女は反物質生命体だったからね」

 

南部が言う。

 

「反物質?」

 

「世の中には、物質と反物質ってのがあるだろう?彼女はどういうわけか、反物質で構成される生命だった」

 

話は白色彗星帝国が唯一、心底から恐れた者『テレサ』の存在に移る。南部と大田は当事者の一人であるので、その存在を今でも不思議に思っている節を見せた。彼女が身を犠牲にして、地球は救われたが、あいも変わらず内輪揉めを続けた事も併せ、人の愚かさを痛感したと。

 

「まぁ、俺たちは地球を守るために身を粉にしてるけど、政府のほとんどは顧みないのが通例さ。人的資源の減少を理由に、政府は無人兵器の導入を進めているが……」

 

トレーズ・クシュリナーダや東方不敗・マスター・アジアの死後、地球連邦は『やむにやまれずなのだ!』という理由で、無人兵器の導入を次第に進めている。人的資源の払底だけはどうしようもないためだ。だが、シャロン・アップル事件の教訓により、無人兵器を超える有人兵器を保有する事が必要とされた。

 

「政府のほとんどは『日和る』のが得意技だからな。俺たちを必要ないと言った数週間後には『宇宙人から地球を守るためには、やむなく…』って抜かすんだから」

 

「いつの時代も変わんないんですね」

 

ガトランティス戦役の生き残り兵たちは政治と大衆の『変節』を目の当たりにした事から、政治と大衆に不信感を強く持っている。それはヤマトのクルーも同じであった。そのため、大衆は生き残り兵たちの反乱を強く恐れ、『軍隊を解体しなかったし、栄典も取り消さなかったし、別種の職業への再就職や軍への復帰も支援してるから、俺たちを許してくれよ!!』と言わんばかりに、最前線に配置している。ガトランティス戦役で軍の必要性が再認識されたが、政府の多数派が反乱を恐れたからだ。そうした背景で台頭した『民間軍事会社』の肥大化が逆に問題となり、法規制の強化が叫ばれると、民間軍事会社は『腕利きを軍に復帰させる』という政治取引で、その命脈を保った。ロンド・ベルはそうした人員の受け皿に利用されたわけである。(軍の外殻独立部隊であるため)独立部隊は13個あるが、ロンド・ベルが最も強大な権限を持つ)

 

「役人と政治屋はいつの時代も変わらないさ。保身にかけてはピカイチだよ、まったく……」

 

大多数の政治家たちはムーヴメントに乗っかった後、事態の急変で自己保身に走ったために人望を失い、軍出身者が大統領に立て続けになるなど、生粋の政治家の多くが人々から白眼視される時代に入っていた地球連邦。その一方で、一部の良識派がシビリアンコントロールを保とうと努力しているのが地球連邦の現状であった。政府の統治力の衰退により、軍部がその代行をせざるをえない。結局、地球連邦はガトランティス戦役を境に、有力な軍閥が政府の統治傾向を左右する時代に再度なっていたわけである。ロンド・ベルなどはその中で『最もまともな』派閥に属している。これは、グリプス戦役からの軍閥抗争が尾を引いた状態で『対外戦争が繰り返された』影響によるものである。

 

「仕方がないが、今の連邦は軍の影響力なくしては、政府組織が持たないってところまできてるからな。今回の派遣も事後承諾だ」

 

「閣僚がテロで死ぬのもザラだからなぁ。特に北米では」

 

大田と南部の言葉からは、地球連邦の窮状、それを支える軍部への求心力を維持するために、一部の名将達に高位の地位を与え、間接的に制御する方法を取るしかないほどに統制力が失われた組織に成り果てているが、『秩序の崩壊』は誰も望まないために、辛うじて存続しているに過ぎない有様がわかる。政府の組織再編も軍部と情報部が主体になっている時点で、政治家は『民主主義を演出するためのお飾り』と反連邦勢力に揶揄されている。

 

「戦争続きだと、そうなるんですね」

 

「君たちから見た、日本の戦国時代のようなものだよ、今の連邦は」

 

呆れる大人りん(キュアルージュに変身済み)に大田が言う。

 

「つまり、今までの政府組織が衰えて、軍部が力を持った状態ですね?」

 

「応仁の乱以降に戦国時代に入ったのは、君らも習ったろ?このまま行くと、言うならば、幕府が地球全体を治めてるような状態になるかもなぁ」

 

大人のぞみ(キュアドリームに変身済み)は南部にそう言われ、『歴史は繰り返す』という事の意味を悟り、複雑な心境になる。

 

「歴史は繰り返す、ですね…」

 

「まぁ、宇宙開拓時代に入ったから、正しいっていえば正しいよ」

 

暗い面も多いが、宇宙のフロンティアを求める時代が恒星間航行船の普及と共に到来しているのも事実である。

 

「だから、覇権主義の国々とドンパチするのは必然なんだ」

 

「イエテマスネ」

 

「お前にしては冴えてんな」

 

「ウヌ!!失礼ナ!!」

 

アナライザーはコメディリリーフ的な立ち位置であるので、冴えた発言をすると、この反応である。

 

「ガハハハ。気に病むでない。何事も陽の面があれば、陰の面があるもんじゃ。現に、君たちの力が本来『あるべき方法』で復活しなくとも、偶然と意志の力が復活させたんじゃからな」

 

佐渡がその場をまとめる。のぞみとりんは別次元の自分たちと同じように『世界を守護していく宿命』を背負わされたわけだが、なし崩し的に受け入れたAたちと違い、大人の二人は『それぞれの生活での挫折や行き詰まりが多かれ少なかれ、往年の異能を求める心境に繋がり、その復活を受け入れる素地になった』という陰の面もある。だが、地球を次元を股にかけて守護してきた『1000年女王』たちの願いに応えたという陽の面もあるので、今回のプリキュア達の『能力の復活』は二つの側面を持っている。それは『最後の1000年女王』であった『雪野弥生』が『冷血の機械帝国の支配者・プロメシューム』へと変貌してしまう未来を予見した歴代の女王(クレオパトラ、卑弥呼など)の魂が弥生の去った後に地球を代々、守護してきた戦士たちに『歴代の女王達の願いと意志を託した』という陽の面、『大人になり、子供の頃の理想通りにはいかない現実の非情さに打ちのめされたプリキュア達が往年への回帰を望んだ』という陰の側面。その二つだ。だが、往年の力が戻ったことで、彼女らの運命は好転の兆しをこれから見せていく。それこそ、1000年女王たちがもたらした『キボウノチカラ』であったのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――大人のぞみは別の自分と同様の運命に自分が身を投じていくことを悟ったらしく、Aの体験を『自分の体験』である風に語るようになった。実質的にそうなったからである。それはかれん、りんも同様であった。彼女らは自分たちに戦闘のブランクがあるのをよくわかっており、トレーニングルームで若返った体を動かしたり、変身した状態で、現役の戦士であるゆい、別世界からやってきた『戦友』のラブにスパーリングを頼むなど、戦闘のカンを取り戻すための努力を始めた。そのスパーリングには、地球連邦軍きっての精鋭と名高い空間騎兵隊も協力するようになり、いずれも変身した状態の三人に対し、多くの隊員が優勢に立ち回るほどの『プロフェッショナル』ぶりを見せた。かれん、りんの両名は空間騎兵のある隊員に二人がかりで挑んだ(無論、変身済み)が、合気道でたやすく制圧されるという衝撃を味わい、空間騎兵での研修の経験を持っているのぞみのみが、銃剣術(これには同位体の経験が大いに役立った)で一本を取るという殊勲を挙げた――

 

 

「あんた、別の自分が軍人だからか、動きが良かったわよ」

 

「そうなんだよ。あたし自身はそうでないはずなんだけど、体が自然と動いた。別次元のあたしが如何に訓練で叩き込まれたか……」

 

「こっちはかれんさんと二人がかりでやっても、合気道であっさり制圧されたってのに。あんたは銃剣術で一本取った。日本軍は白兵戦で世界一って言われたそうだけど……」

 

「うん。機械化された後も、武士の時代の名残りと銃弾の補給能力の都合で盛んだったからね、あたしの転生した先の世界だと、国力が史実よりだいぶあったから廃れ気味だったけど、隊の先輩たちが再興に導いた。当代屈指の使い手だしさ、上官の尽くが」

 

 

魔女の世界では、扶桑海事変が終わってしばらく経つと、戦時速成が重視されるようになり、魔女の軍人には『白兵戦の技能』は求められなくなっていた。リーネやひかりがそうであるように、元から白兵戦技能を持たない魔女も多くなっていた。扶桑も、その訓練を受けていた『事変世代』が高齢化した1943年には少数派に落ちたが、ダイ・アナザー・デイでのプリキュアや『七勇士』の生き残りメンバーの獅子奮迅の活躍で再興し、徐々に意識が変化しつつある。

 

「で、あたしも暗黒星団帝国との戦いで、オリンポス十二神から『エクスカリバー』を授けられたからさ……」

 

「エクスカリバー!?」

 

「のぞみはその第四の使い手になったのよ。この子の上官の一人が代々、聖剣を継承する『山羊座の黄金聖闘士』の継承者だった関係で与えられたそうよ」

 

「今なら、気を研ぎ澄ませれば使えるよ。だから、現役時代のコワイナーやホシイナーは手刀で一刀両断できる。別次元のあたしはそれで世界を守ってるからね」

 

「ひょえ~……」

 

「手配してるけど、地球連邦が先輩たちの要請で開発して、剣の使い手で鳴らす軍人向けに回される『斬艦刀』の支給を要請したよ。向こうのあたしが使ってるのを回してほしかったけど、それは無理でね」

 

「あんた、向こうでどんだけのチートになってんのよ……」

 

「先輩たちには及ばないさ、まだまだ。先輩たちは三回は転生して、聖闘士やそれに匹敵する力を長い年月をかけて得たからね。転生して間もないあたしなんて、青二才さ」

 

「それで、世界を支配しようって気が起きないのも、近代以降の軍人だから?」

 

「かもね。先輩たちも社会的な立場は一軍人だからね。裏でお偉方を動かせるけど」

 

「日本人だから?」

 

「それもあると思うけど、生まれた時代もあるかも。大正生まれだもの」

 

「その時代なら、そうでしょうね。これが私達の時代なら、情報で一儲けしようとか、政治家になってやるとかって考える人がいそうなものだけど、大正の頃なら……」

 

大人かれんは飲み物を飲みながら、のぞみのいうことを自分なりに解釈する。大正時代の人間は基本的に、受けた教育の違いもあるが、戦後の日本人とは根本で異なる気質を持つ。それは『国家への忠誠心』である。扶桑もそうだが、国家への忠誠心がとりわけ重視された教育を受けているので、戦後は死語化した『滅私奉公』の概念が根付いている。戦後もその時期の人々は『モーレツ社員』と化したが、忠誠の対象が変化しただけで、根本は同じである。『個』が強い芳佳は例外的な存在なのだ。(もっとも、転生者になったため、史実と違い、護身用の銃を持ち、刀を差しているが)

 

「戦前の日本はアメリカみたいに、軍人の経験があれば、社会的に優遇された。それも、軍人の志願が多かった理由じゃない?」

 

「うん。まぁ、別次元の戦後日本が戦後の制度に統一しようとしたけど、色々と混乱が起こって、自分たちに累が及ぶのを恐れたから、国民の意識は戦後寄りに変わったけど、軍人の社会的優遇は形を変えて続いてるよ、あたしの転生先。華族も廃止されなかったからね」

 

扶桑の制度を『連邦を組んだから』という理由で戦後日本式に変えようとしたが、結局は社会的混乱への対応に無策であったり、自分たちが起こしたスキャンダルを理由に戦争になるのを恐れた政府が『手を引かせた』のが1946年以後の日本連邦だ。実際、軍人への福利厚生を戦後式に直そうとした日本側は、扶桑で社会的混乱が生じた事に狼狽え、言い訳をしまくり、その損害補償を露骨に渋ったが、扶桑との連邦で奇跡的に経済が持ち直し始めたのに水を差したくない本音からか、それまでの制度を徐々に戦後の制度に移行させる事を扶桑に約束させるのを条件に、軍人達への損害補償を行った。のぞみは(その存在自体が政府の外交問題の発端であったので)特に手厚く行われたが、『予備役編入はなかった事にする』という取り決めがなされたので、転職自体は差止められた。話が行っていた扶桑の学校には、日本政府から公式に謝罪がなされ、損害補償もなされた。プリキュア活動は『自警活動に近い』と法務省に見做されたため、軍人でいてもらったほうが法に触れないからであった(その代わりに、他の予備士官たちの多くが『口減らし』に、最前線行きにされたが)。

 

「で、また別の世界とも交流があるからって、ガンダムのパイロットになったわけ?」

 

「あたしなんて、まだ訓練途上さ。先輩たちはスーパーロボに乗れるからね。あたしは生身で技が使える程度」

 

「いやいや、その時点で充分にチートでしょうが!」

 

と、りんがツッコむ。

 

「ま、上には上がいるし、別の世界じゃ、ココと結婚できるって知ったから、これで前向きに物事見れるよ。あたし達の知ってるココはたぶん、あたしとは一緒にいられないって思ってるのは、昔と変わらないだろうから。種族が違う以上は……」

 

「いいの、のぞみ?」

 

「まぁ、これがTV番組なら、炎上は間違いないだろうけどね」

 

大人のぞみは、別世界の記憶を得た事で、長年の淡い恋心に決着をつけたようであった。かなり悩んでいたのがわかるような声色であるので、自分たちは結ばれない(お互いに別れてしまったことが運命の暗転の引き金になったと、ココも認めており、Aが転生する前の世界線では『パルミエ王国で何らかの政変が起こり、クーデター派にココとナッツは弑逆されてしまい、たまたま地球にいたミルク(美々野くるみ)のみが難を逃れた』ことが示唆された。ココ自身がそれを転生した先での義父であるのび太に告げ、のび太が二人の結婚を促した)事を自覚してしまった故の悲しさも、戦士として生きる選択に繋がったのだと。

 

「ったく……ココ、今度会ったら……!」

 

その経緯の記憶がある故か、りんはあからさまに怒りを見せ、かれんも強く憤る。のぞみの青春はなんだったのか?という事になるからで、最も、転生した『コージ』は強い罪悪感で、のぞみの前に現れるのを躊躇い、電話などでしか話していなかったが、デザリアム戦役が契機になり、長年の思いを告げ、結婚に至っている。つまり、種族の違いというどうしようもない差が二人を隔てたので、それが解消さえされれば、すぐに結婚する仲であった。

 

「あんた、独身貴族でいるつもり?」

 

「そうなるね。今更、他の人とは……ねぇ」

 

「あ~、もーーー!あんにゃろ、シュークリームの中にハバネロ入れてやる!!」

 

「いっそのこと、それ以上の辛さのソースいれたら?タバスコと混ぜて、ね」

 

「それだ!のぞみに青春の夢を見させておいて、何たる仕打ち!!この恨み、晴らさぬにはいられないっつーの!」

 

「ええ。乙女の青春を無駄にするなんて、いい加減に堪忍袋の緒が……」

 

「かれんさん、それ、つぼみの台詞ですって」

 

「あ、あの、二人共~?」

 

と、ココは知らず知らずの内に、かつての仲間達の怒りを買っていた。『種族の違い』という、どうしようもない差を過剰に意識するあまり、長年の想い人(兼・恩人)との関係の継続に答えが出せない有様であったのだが、大人のぞみが独身貴族を通すと公言した事で、『現役時代からの12年ものの月日はなんだったのか!!』という仲間たちの怒りを煽る形になってしまった。彼は本人の露知らぬところで、最大のピンチ(?)を迎える事になってしまった。普段は抑え役であったかれんですらも、ノリノリでりんに歩調を合わせるという時点で、彼の大ピンチは確定事項になってしまったのだった。そのパルミエ王国では、ココ(妖精態)が突然の悪寒を感じ、震え上がっていたりするが、その原因が分からずに困惑していた。当ののぞみ当人は『自分の世界でのココとの関係はいずれ、どちらかの意志で終わるだろう』と達観しつつも、独身を貫くことを決めたため、学生時代の大恋愛を知る仲間のほうが(本人を蚊帳の外に置いて)ヒートアップしていた。かれんがりんにノリノリで提案するあたり、彼女の逆鱗に触れたようだ。大人のぞみは心の中で恋人に同情せずにはいられず、その場では苦笑するしかなかったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

――そんなプリキュアたちのてんやわんやをよそに、シリウスとプロシオン恒星系から発進したナグモー機動部隊の本隊は着々と地球への進撃を続けていた。その様子をキャッチした地球連邦軍も、負けじと民間軍事会社との協定やガイアとの条約を利用し、艦隊戦力を増強。さらに、銀河連邦警察にも協力を要請、既に内勤に転属が決まっていたはずの宇宙刑事ギャバン、宇宙刑事シャイダー、更には特務調査官の時空戦士スピルバンが派遣された。

 

 

「第二艦隊、合流を完了!!」

 

「第三艦隊、直ちに次元転移を敢行ス!」

 

「木星圏連合艦隊、集結を完了!直ちに現地世界への次元転移を実行ス!」

 

「外惑星連合艦隊、集結を完了次第、次元転移を行う!!」

 

「第一、第二、第三巡航空母艦隊、発進した模様!到着時刻は……」

 

しゅんらんの戦闘指揮所に続々と舞い込む、主力艦隊集結の知らせ。23世紀の太陽系では、地球連邦の外征艦隊たる『太陽系連合艦隊』の全戦力が続々と集結し、オトナプリキュアの世界への転移を実行していた。主力戦艦(艦級名がドレッドノートなので、たいていの場合はそう呼称)を始めとして、フォールド機関艦も動員され、続々と転移。オトナプリキュアの世界の地球衛星軌道への集結を行っていた。また、就役している全戦闘空母も直ちに発進、ヤマト艦隊への合流が命じられた。文字通りの艦隊決戦である。

 

「ヤマト艦隊の整備はあと何日で完了する?」

 

「ハッ、乗員の慣熟のため、あと一ヶ月は。それと、敵の揚陸部隊の掃討はNATO軍の手に余ります」

 

「やはり、ガトランティスの陸戦部隊は彼らの手に余るか」

 

「善戦はしておりますが、やはり、冷戦終結後の予備戦力の不足は如何ともし難い模様」

 

「現地軍は歯がゆいだろうが、これで少なからずは『地球人』というアイデンティティとナショナリズムに目覚めるだろう。人が一つになるには、共通の敵が必要だからな」

 

「提督、援軍の第一陣はあと一時間で到着の見込みです」

 

「うむ」

 

こうして、オトナプリキュアの世界の日本は地球連邦軍の前線基地代わりになり、在日米軍基地なども含めて、地球連邦軍がその施設等を利用しだした。白色彗星帝国との戦闘で『統一された指揮で戦わないと、各個撃破されるのみ(下手すれば、町ごと消し飛ぶ)』と学んだ各国軍は空襲で消耗した戦力の立て直しのために『戦ってくれる者を矢面に立たせる』という選択を選び、『国連軍』という地球連邦軍の掲げる看板を敢えて反証せず、協力する道を選び、便宜を図り始める。だが、空襲で起こった交通機関の混乱は一向に収まらなかった。空襲を恐れ、各交通機関の運営会社が尻込みしてしまったからである。そのため、地球連邦軍は各国交通機関の安全確保にも戦力を割かねばならなくなった。列車は白色彗星帝国からすれば『化石』扱いなので、攻撃対象と見做されなかったが、車、船と飛行機は対象となった。そのため、元のプリキュア戦士であった者たちは世界各地で足止めを食らっており、地球連邦軍が各地で救援活動を行った。ただし、のぞみの要請に応えられないチームも当然あった。既にプリキュアになれない者がランダムに出ていたり、チームそのものが解散状態にあったりした上、今更、戦いに戻る気になれない者もいるからだ。だが、その一方で、未だに活動中のチームも多く、それらは率先して加勢していった。そのため、プリキュアチームは複数の世界の出身者の混合体制になった。のぞみ、かれん、りんなどのプリキュア5、咲、舞などは同位体の記憶を得たため、指揮を取ることが期待された。だが、不思議な事に、なぎさ、ほのか、ひかりの三名の消息は依然として不明であった。のぞみもこれには?であった。あの三人は複数の次元に跨っては存在していないのか、それとも、そもそも『オトナプリキュアの世界』には、初代プリキュアの三人が存在していないのか?それがのぞみのみならず、地球連邦軍全体も首を傾げる、大いなる謎であった。

 

「さて、出立まではしばしの時間がある。それまでは艦隊の慣熟訓練を怠らぬように」

 

「ハッ」

 

山南は続々と到着の見込みである援軍の第一陣の到来を示すディスプレイの表示に、ひとまずの笑みをこぼすのだった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。