――大人のぞみと咲は(より上位のなぎさ達の不在により)プリキュア達のまとめ役を命じられた。問題はプリキュア達の生まれが平成時代の広範囲に渡る事によるジェネレーションギャップである。一部は『プリキュア5の世界(B世界)で決戦中であるため、欠員のチームが生ずるのは仕方なしとされた。だが、2022年当時に現役の『デリシャスパーティ』が加わっているため、戦力的に遜色なしとされた――
「……ふう。幸か、不幸か…」
プリキュアの力を1000年女王達の力で取り戻した大人のぞみは別の次元の記憶を得た事で、長年の思いにある種の決着をつけ、戦いに臨んだ。幸か不幸か、彼女の勤務する私立学校『プレジール学園』は高等部に至るまでの全ての校舎が白色彗星帝国の艦上爆撃機『デスバテーター』の大編隊による急降下爆撃で消し飛んでおり、学園そのものが休校に陥っており、のぞみは『休暇の取得にまつわる言い訳』を考えずに済んだ。(他の教育機関も大空襲の影響で機能不全であったため、学童への教育自体が停滞していたが)地球連邦軍の戦列に加わってからは、別次元の自分の身分である『少佐』として勤務。機動兵器の操縦経験のある数少ないプリキュアとして、訓練の日々であった――
「これが実物の宇宙戦艦ヤマトなんですね……」
「君たちの知るアニメと違い、改修が進んでいるがね。内部は初航海当時とは別物に近くなっている。他のヤマト型に合わせた改修といっていい」
のぞみと咲は(別次元の自分がそうであるように)プリキュアの姿で勤務に就いていた。咲はかなり成長していたので、14歳当時の姿に戻る事にはかなり複雑なようであったが、プリキュアの力が戻るのとバーターであったため、やむなく受け入れている。
「ヤマトはオートウォークなんですね」
「波動エンジン艦は余剰電力がかなりあるからな。オートウォークはその産物だよ。もっとも、ヤマトの場合は大和型の複雑な内部構造を引き継いだ故だが」
波動エンジン艦の基本構造はヤマトのそれを踏まえている。そのため、オートウォークが存在する。ヤマトのそれは竣工当初から改修が重ねられているが、基本は変わらない。また、ヤマトクルーのように、昇進させるために、『ヤマトでの勤務を認める』と通達しなければならないため、艦隊の新設に踏み切ろうとしているのが地球連邦軍であった。ロンド・ベルもそれに組み込む案がある。これはロンド・ベルやヤマトのような強大な戦力がブライト・ノアや古代進の一存で動かせる状態であるのを危惧した保守派が(監視も兼ねて)提案したとされるが、良識派はこの提案を逆利用し、彼らに自由行動権を付与した。過去の戦争の教訓によるもので、民主制の難点が表面化し、滅んだという別次元の星間国家を他山の石としたのである。実際、地球連邦は停滞期の後に、一年戦争以来の戦乱期を迎えており、国家としては末期状態に近かったため、戦争を『組織の起死回生の機会』とした良識派がヤマトなどの名声を利用し、政府内での地位確立を狙ったのである。ティターンズなどの失態で強硬派は解体へ向かい、保守派は強硬派への責任転嫁で生き延びていたため、残る政敵は彼らと言える。とはいえ、保守派は軍の人的資源の確保のため、民間軍事会社の公営化を後援しており、一概に間違っているとは言えない政策も進めている。地球連邦軍は対外戦争の度に『宇宙艦隊が壊滅に近い有様になる』ので、無人兵器の増加はやむにやまれぬ流れであったのだ。とはいえ、戦乱をくぐり抜けた精鋭兵は未だ健在であり、それが連邦軍の精強さの理由であった。
「ここが第二格納庫だ。艦載機は主にこの空間で格納、整備される」
ヤマトの後部第二格納庫は空間圧縮技術などの応用で、ブラックタイガーで55機分のスペースを確保されており、現在は後継機種の新コスモタイガーが主力であるが、時代の流れで、VFとTMSも搭載されるようになり、その整備スペースの確保のために、五機分のスペースが充てられたために艦載機隊の定数は減らされている。だが、人員は随一に鍛えられており、最強の座を欲しいままにしている。
「コスモタイガーをどうやって補充してるんですか?」
「艦内工場で消耗品は製造できる。MS用のガンダリウムも、月と似た星はいくらでもあるから、精錬は可能だ」
真田は二人の質問に答えながら、ヤマトの艦内を案内する。ヤマトの見かけはベースになった戦艦大和と似たような大きさだが、実際にはその倍以上の大きさである。空間圧縮と変形機構があるかららしい。次は。
「ここがコスモ・ゼロ系統用の格納庫だ。昔の水偵の格納庫にあたる箇所だ」
もっぱら、古代専用の箇所と化しているのが、コスモ・ゼロ系を格納する格納庫だ。最近は山本玲が時たま出張してきては、予備機を出している。『倉庫の肥やしになっていては、可哀想だから』とのことだ。
「何機くらい置いてるんですか?」
「通常は二機だ。古代用ともう一機。平時は一機のみだがな。コスモ・ゼロの旧型は癖が強くてな。結局は制式な量産ラインには載らなかったんだ」
コスモ・ゼロはベテランパイロットに支持はあったが、汎用性その他に難があるため、生産機数は少数である。だが、大隊以上の指揮官機として用いられ、未だに『格闘戦では随一』の性能を維持している。
「コスモタイガーのラインを流用した新型は扱いやすいが、見分けがつかなくてな。旧型の改良も続けられることになった。そのデータ取りをしているところだ」
真田としては、親友が試作時のテストパイロットだったせいか、旧型のコスモ・ゼロには思い入れがあるようである。コスモ・ゼロは言わば、『高機動型ザク』のような位置づけになったといえるが、同機と違い、ある程度の操縦性は担保されており、大隊以上の指揮官機となっている。これは似た機体が無人化して量産されているガイアとは対照的であった。また、同機を運用している艦は多くないので、ヤマト専用機のイメージが世間に認知されている。次に、最上甲板に出てみると、ヤマトが大和の後身であることがより分かった。構造物こそ変わっているが、大まかには大和型の構造が引き継がれていた。
「なんか不思議な感じです。宇宙戦艦ヤマトの甲板に立ってるなんて」
「あたしもです。別の世界の自分の記憶で見たことあるけど、実物に……それも『オリジナルの宇宙戦艦ヤマト』に乗ってるなんて」
「ヤマトは不思議な巡り合わせのフネだ。君たちの世界の危機を救うために派遣されたのも、何かの縁だろう。だが、解せないのは、初代の三人の行方だ。全世界を隈なく探しているが、それでも見つからんのはありえないことだ」
「あたしも不思議に思っているんです。まさか、この世界には……」
「いや、プリキュアという単語がS☆Sの現役時代より前からあるのなら、あの三人が存在していなければならんはずだ。別の世界に飛ばされているとしか思えん。現役時代に会った時、将来のことを聞いていたかね?」
「うーん……。ないよね、咲ちゃん」
「同じく。なぎささんは将来の事を考えてなかった記憶あるから…。あの頃は大人になった後の事なんて、あたしも舞も、漠然としか考えてなかったし」
「あたしは目標ができたの、中二の終わりだったからなぁ。で、高校と大学で死ぬほど努力して…教職になった。気がつけば、同期は辞めていったんだよな…」
「うわぁ、世知辛っ」
「教職なんて、そんなもんさ。プリキュアの姿で言う事じゃないけどね」
「でもさ、なんで、肉体まで素で10代に戻されたんだろう?」
「君らの戦いは激しい。10代後半の『全盛期』といえる疲労回復力が必要なんだろうな。更にいえば、若い故の判断力の高さもある。大人になっていると、色々と考えてしまうんだよ。私も、子供の頃にそういう経験がある」
「?」
「私には年の離れた姉がいた」
「いたって……」
「私のせいで死んだんだよ、姉は。私が君らの現役時代よりも幼い子供だった頃、ある月面都市の遊園地に家族で遊びに行った時のことだ」
真田は自身の四肢が義肢であることを明かし、自身のわがままが発端で事故が起こり、最愛の姉の命と自身の四肢を失った事、その事故が自分を変え、科学畑に進んだ事を話した。それを要因に、生まれた時代は違えど、若者達には『自分のような目に遭ってほしくない』という老婆心を持つことを明言した。
「誤ちはただせば良い。君たちはまだ、それが効く年頃だ。私にはもうできん。年寄りのおせっかいと思ってくれ給え」
「真田さん……」
真田は人生で数回の過ちを犯したと延べ、若者達を導く側の立場になった故の心境の深さを滲ませた。のぞみは彼の体験談を真剣な眼差しで聞いていた。オトナプリキュアの世界では、彼女は真田と同様に『子どもたちを教え、導く側』にいたからだ。
「私……本職が教職なんで……ジーンときちゃいましたよぉ」
「ハハハ。そうか、君は教職志望だったが、ここでは叶えられたのか。おめでとうを言わなくてはならんな」
「ありがとうございます」
真田はアースでは『宇宙五大頭脳』の家系に生まれたが、子供時代は画家志望だった。その事故で一族が代々担ってきた『科学者』の道に進み、『地球連邦の最高知能』となった。ガイアでの彼は『人間コンピュータ』とあだ名される『絵に書いたようなインテリ』だが、アースでは『ウィットに富みつつ、科学者としても最高、軍人としても普通に『最高級』の万能超人(ただし、独身)である。
「でも、のぞみちゃん、パワーアップした後の属性、りんちゃんとかぶってない?」
「それ言わないでよぉ。転生先での都合も多分に関係してるんだから」
「そればかりはな」
「真田さん、ヤマトに同型艦ってあるんですか?」
「元が元だからね。同じ大和型を祖に持ついくつかが同じ規格に改装されてるが、軍艦というのは、同型艦でも仕様が微妙に異なるものさ。大和に対する武蔵のように」
「え、同型艦が残ってたんですか」
「大和型の世に知られていない四番艦と五番艦が宇宙戦艦に改装されている。大和型というよりは、その改良型だが」
「つか、日本軍にそんな余力が?」
「我々の世界での事だが、『開戦前から必死に造っていたが、間に合わなかった』か、『終戦寸前に完成した』ケースだ」
それは海底軍艦轟天号(制式名称・海底軍艦・ラ號)、超時空戦艦まほろばの事だ。いずれも、最終的にヤマトと同規格の宇宙戦艦に改装された。波動エンジンをいずれも積んだが、ラ號は元々の仕様の都合で波動砲はない。(デスラー砲のような外装式も考えられたが、却下された)扶桑の海底軍艦はラ號を模したものだ。
「大和型は本来、五隻前後が構想された。金剛型や扶桑型の後継ぎを期待されたからだ。大和と武蔵は保険代わりもあったし、扶桑や金剛の後継ぎがどうしても必要だったから、造られたにすぎん」
なお、扶桑の源田実も、その事には顔色を変えている。航空戦力に注力しても、大艦巨砲主義に注力しても、どのみち負けるのが『本来あるべき』姿なのだと。日本の一部勢力が敗戦に異様にポジティブなのは、『それで経済的な数十年の栄華を得られた』からだと知り、複雑な心境になった、扶桑の重臣層は多いのだ。また、源田は別次元の自分が批判した戦艦が『海軍の象徴』と扱われている事に愕然となり、以後は(日本の大衆に配慮して)大和型への批判を控えるようになった。また、自身が自信を持っていた『第一航空艦隊』が敗北者として名を歴史に残した事も、彼が発言に気を使うきっかけとなったのは事実だろう。
「問題は日本軍に大和型を余裕をもって、運用できるだけの燃料がなかった事だ。ゼロ戦に代わり得る戦闘機や電子装備の遅れも関係しているが、大和が嫌われた一番の要因はそれだ。我々の世界では、最終的に重力炉にたどりついたが、戦争には間に合わなかった。しかし、宇宙戦艦になった事で、その無念を存分に晴らしている。それがいいか、悪いかはより後世の人間が判断するだろう」
「ヤマトの主砲は46cm砲ですか?」
「いや、白色彗星帝国との戦争で受けた傷を直す改装の際に、マイナーチェンジで、48cmに変えたよ。アンドロメダから得られた知見の数少ない恩恵さ」
ヤマトは時期により、細かな装備がマイナーチェンジされているため、実は統一された仕様であった時期のほうが少ない。この時期以降は主砲・副砲の大口径化がなされたようだ。
「砲身のあのペイントは?」
「軍令部総長の計らいで認められた参戦章のようなものさ。ヤマトは艦歴が波乱万丈だからね」
『史実』を鑑みても、ヤマトの改装は大規模で、艦内設備もデザリアム戦役当時の新鋭と同等のものにされていた。対外的に『地球連邦軍のシンボル』と見做されている故に許可されたものだ。また、基本的にアンドロメダに批判的である真田だが、その理由は人間の介在する余地が殆どないからで、フェイルセーフがなされた後継艦については批判していない。
「このドックは自衛隊と米軍に依頼して、厳重に管理・監視してもらっているから、ヤマトを撮られる心配はない。M粒子で人工衛星も妨害している」
「この時代のカメラオタクは望遠レンズとかで撮ってますからね」
ヤマトは極秘裏にオトナプリキュアの世界のドックに入渠し、船体の点検などを行っていた。食料や医薬品であれば、この世界の軍からも調達できるからである。
「うむ。幸い、M粒子でデジタルカメラは妨害できる。アナログで撮るのは、一部の好事家に限られているからな」
「世界各地はどこも復旧に必死だろうが、中には秩序が崩壊した国も存在するそうだ。日本は幸運なほうだよ。大まかには、交通機関の混乱くらいで収まっている」
日本は自衛隊の奮戦もあり、空襲で致命的な被害は受けなかった。だが、対空車両や戦闘機用の弾薬の備蓄がただの一回で尽きた基地もあり、継戦能力の無さを露呈する有様となった。
「現地軍は大損害を負っているが、勝てていないわけではない。だが、我々が艦隊決戦を憂いなく行えるようにするため、彼らの揚陸部隊を殲滅する必要がある。第二陣が各地にワープからの直接降下で飛来している。直に、君らにも出動命令が出るだろう」
「わかりました」
各地の軍隊が必死の防戦を繰り広げているものの、地球連邦軍が制空権確保に奔走している様は、冷戦終結後に軍縮をしていた先進国の軍事関係者にショックを与えた。先進国といえど、戦闘機を数百機しか有していないという事実は、数百~千機近くの編隊で爆撃を仕掛ける白色彗星帝国に対する数的劣位を示してしまう結果に終わった。東西対立もあり、西側諸国の戦闘機をかき集めても、殆どがアメリカの保有機。それでも、白色彗星帝国の物量に比べれば大した数ではない。そのため、地球連邦軍が自ら制空戦闘をしている。政治家が極端な消耗を恐れ、部隊の出動を止めることがあるからで、戦闘機が高価である先進国ほど顕著であった。特に、日本はその弊害で空自が却って損害を被る例が生じ、結局は戦力温存を名目に、出撃を控えさせるという方向に傾くなど、戦争末期と別の意味で末期状態に陥っていた。そのため、休養のために間借りしている地球連邦軍の機体が自衛隊基地から出動する光景が見られるようになったのである。
――その数日後――
大人のぞみはさっそくながら、白色彗星帝国の揚陸部隊の撃滅を命じられた。プリキュアが公的機関に属するケースがないわけではない(キュアソードなど)ので、のぞみが軍人として動くことに障害はない。現役時代と違うのは、持つ得物がフルーレではないことだろう。
「なんで、日本刀なんて持ってきたのよ!?」
「ヤマトにあったのを借りてきた。特殊合金製の業物だよ。フルーレはココ達いないと、呼び出せないし」
大人くるみの変身したミルキィローズにそう返す大人のぞみの変身したキュアドリーム。とはいえ、明らかに、『初めて手に取った』という者の動きではなかった。更に言えば、刀身に蒼い焔が迸っている。
「つか、どうやって出してんのよ、その炎!?」
「別の世界のあたしの持ってる力。それを試してるところ」
そうとだけ触れると、のぞみAと同様に、焔を纏った日本刀で見事なアクションを見せる。これは魔力+草薙流古武術の応用である。そのためか、焔が通常より高温である『蒼』の色を見せている。
「アンタ、意外に容赦ないのね」
「そりゃ、和解の余地ないし、下手すりゃ、遠隔操作で自爆だよ?そういう連中は綺麗サッパリ殺るのが、連中への慈悲ってもんだ」
刀を振るい、そこから炎を打ち出し、キュアルージュが霞むような火柱を出現させる。口調もAに近くなっているが、こちらはより冷たさを感じさせるものになっている。精神的に若い状態か、そうでないか。それだけでも、言動に差が生ずるのである。
「もう一つ試したい技がある。お蔵入りにしてたらしいんだけど……」
刀を腰に差している鞘に収めると、右拳を構える。すると、グローブの辺りに光エネルギーが集まっていく。これは聖闘士の基本技『流星拳』に似ているが、自前の力で手っ取り早く擬似的に再現したもの。これはまだ小宇宙を会得していない段階で、Aが考案していたが、それから程なくして、それを会得したために『お蔵入りになっていた』アイデアである。
『プリキュア・シャイニング・ナックル!!』
要は流星拳の真似事であるが、自前の力の応用であるため、こちらは体力の消耗がないというメリットがある。後輩は拳に集めた力でそのままぶん殴るが、彼女は流星拳やアトミックサンダーボルトの要領で『無数の光弾を放った』のである。
「なぁぁーーーー!?ち、ちょっ!?何、今の!?」
「なに、軽い真似事だよ」
「ま、真似事って……」
威力はプリキュアの個人技と同等以上であるのに、ドリームは『真似事』としている。さしもの白色彗星帝国の戦車も砲塔が吹き飛び、哀れな惨状を晒す。
「戦車を一撃で壊す攻撃よ……それを……」
「さぁて……上がったパワーを試すか!」
「あ!?ち、ちょっと!!その攻撃は……私の……」
「ハァッ!!」
ミルキィローズも驚きの、地面に拳を打ちつける行為。これはのぞみAがナリタブライアンのパワーを『継承』していた関係で実現した光景である。小宇宙を用いれば容易だが、素のパワーでやりたかったのである。元々がテクニックタイプに分類される(仮面ライダーで言えば、V3のような)ドリームは良くも悪くも、個人の戦士としては『器用貧乏』感があったが、ナリタブライアンの持つ『歴代ウマ娘でも随一のパワー』が継承されたために、ネックであった『一撃の軽さ』が解消された。また、正規の戦闘訓練を受けた『経験』がインストールされた影響で『攻撃時の力の入れ方』などが改善されたのもパワーアップの理由であった。
「わ、私の専売特許よ~!!」
「うん、そりゃ知ってる。いつかの戦いじゃ、自分がされてたじゃん」
「なんで知ってんのよ!?」
「ゆいちゃんから聞いた」
「あの子~~!」
ミルキィローズは後輩のルートで現役時代末期の屈辱をバラされたことに腰を抜かす。それはゆいも参戦していた『ある宇宙生命体』との戦い。その時、既にのぞみは倒されていたはずなので、ゆいが教えたのだと言われ、なんとも言えなくなる。
「あの戦いのことを……あなた、なんで……」
「別の世界だと、あたしたちの戦いはアニメになってるからね。ヤマトにも、アニメコーナーに置いてあるし」
「何よそれぇ!?」
「そりゃ、プリキュアが現実にいない世界じゃ、アニメとして存在してるじゃん?」
「すると、何!?わたしのあんな事やこんな事が!?」
「うん。昔はアイテムに変身する妖精だった事も知られてるよ。当たり前じゃん」
「なぁ!?」
「あ、そうそう。オールスターズで戦闘中、見えてたミラクルライトの光の半分くらいはアニメとして見てる世界から送られてきた物だからね」
「嘘!?」
「真田さんに聞いたんだよ。おっと、また来たな、鉄屑め」
「ど、どうすんのよ!?」
「こうするのさ」
空中にゲッタードラゴンのダブルトマホークと同型のトマホークを形どったエネルギーが次々と出現する。
『真!!トマホォォォク・ブゥゥメラン!!』
その叫びとともに、エネルギー状のトマホークが乱舞し、戦車を細切れに粉砕していく。
『とどめだ、ギガントミサイル!!』
最後に、膝の上にギガントミサイルを形成し、それを撃ち出す。ゲッターエネルギーを用いての空中元素固定の応用である。
「と、まぁ、こんなもんかな」
「……何よ今の!?」
「あんた、なんで、そんな力を急に!?」
「別の次元の自分の能力がインストールされた影響かな。あ、咲ちゃんもやってる」
「えぇーーーー!?」
『必殺・烈風正拳突きィィィッ!!』
キュアブルームも、別次元の自分が竜崎一矢(闘将ダイモスのパイロット)に教わった『烈風正拳突き』を精霊のパワーによる強化付きで使用、装甲歩兵戦闘車を真っふたつにへし折る。
「ふう。こっちは倒したよ。後は揚陸艦と護衛艦が上にいるけど、戦闘機はイーグレットが蹴散らしたよ」
「後は母艦だけか。よしっ!」
なんと、ドリームは通常フォームを保ちつつ、強化形態でしか出現しないはずの『純白の翼』を出現させ、ゲッター機動に移っていく。元々、プリキュア5は通常フォームが強化された場合は蝶の翼が出現する。これはドリームキュアグレースでも同じであった。だが、ドリームは意図的に天使の羽を思わせる純白の翼で羽ばたいたのである。しかも、羽がちゃんと羽ばたいている。
「天使の翼を出して……飛んだぁ!?な、なによそれぇ!?」
「んじゃ、あたしも……っと」
こちらもキュアブライトにフォームチェンジし、後を追う。
「ち、ちょっと、ブライト!!説明してよ!?」
「あたしにもわかんないんだって、アレは。パワーアップが極限にまで達したから…ってしか言えないんだよね」
「なんで、ドリームがハートやピーチみたいにパワーアップできんのよ!?」
「のぞみちゃんがそう願ったから……としか。のぞみちゃん、手っ取り早く沈めるよ!」
「うん!ゴメン、はーちゃん。技、借りるよッ!」
ドリームとブライトが不死鳥を形どったオーラを纏い、急加速をかける。二人は閃光となり、揚陸艦と護衛艦に突っ込む。
『プリキュア・クラッシュ・イントルード!!』
これはことは(キュアフェリーチェ)が長年の特訓で身につけたもので、二人も同位体が身につけた技である。のび太が持っていた『宇宙の騎士テッカマンブレード』がイメージソースである。
「景気づけに、一曲行っちゃえ」
「そうだね。テッカマンブレードの『REASON』か『永遠の孤独』でも…」
「どうせなら、Ⅱの『リーインカーネイション』は?今のあたしたちにはうってつけだよ」
「よし、偵察機がサウンドブースター積んでるから、流してもらうよ。あー、偵察機?こちらは……。ブースターを起動させてくれ。景気づけだ」
と、偵察機にインカムで通信を送る。ドリームは別の自分が黒江から受けた、歌唱訓練の厳しさを思い返し、更にナリタブライアンに体を貸し出したおかげで、元々あった絶対音感が目覚めたことを思い返しつつ、歌い始めた。
『♪Just 二人今~何億年待ち続けた恋人~疑いもなく 巡り会えた気がしたの~ REINCARNATION――……』
「戦ってる時に、なんで歌なんて……って、この声……のぞみ!?ど、どうなってんのよ!?」
「味方と自分の士気挙げ!」
「はぁ!?」
『マルチチャンネルだからオープンチャンネルでプロパガンダ放送の扱いで歌を流す事出来ますから』
と、歌の合間にそう返すのぞみ。ローズに歌を流す事の趣旨を説明する、偵察機の管制官。
『♪Just 二人には運命さえ、微笑みかけてくれる~永遠に愛、貫くため~生まれたの~REINCARNATION――』
ある意味では、のぞみという存在の本音とも取れる、『REINCARNATION』のメロディ。宇宙の騎士テッカマンブレードⅡという、妙に通なセレクトだが、のぞみにとっては、恋人への本音も交じる『気持ち』である。ブライトとドリームの二人が巨大な鳥状のオーラを纏い、敵艦に突撃。見事に貫く様は見事であった。
「あれが……パワーアップした二人の……力……」
のぞみAの能力をほぼ完全に使いこなすあたり、彼女もやはり『夢原のぞみ』であり、キュアドリームであった。ブランクが10年単位であるので、これでも『自信がない』と公言しているのだ。
「何が自信ない、よ……昔より、却って強くなってるじゃない……いくら、別次元の自分の力を得たって言っても……すぐに使いこなせるわけが」
「のぞみさんはある種の天才かもしれないわね」
「舞ちゃん……」
美翔舞(キュアウィンディ)が苦笑交じりにミルキィローズのもとに降り立つ。意外なことに、咲と舞はのぞみやくるみの一学年先輩にあたるのだが、現役時代に『同年代として会っていた』名残りか、対等に接している。
「のぞみさん、多分、なぎささんの代理ってプレッシャーもかかってるだろうから、本人は気にしてるのよ。三人が見つかればいいのだけど」
キュアウィンディはなぎさたちが見つからないことを疑問に思っているようである。
「なんで見つからないのかしら……」
「分からない。別の世界に呼ばれてるとしか思えないわ。全地球規模でのスキャンで見つからないはずはないから」
それは本当だ。パトロール艦の複数隻がその全能力を駆使してスキャンしているのに、美墨なぎさ、雪城ほのか、九条ひかりの三名の所在が確認できてないのだ。
「ウィンディ、ローズ…!?」
「その声は響、奏!?」
と、戦場に迷いこんできたのは、『オトナプリキュアの世界における北条響と南野奏』の二人であった。
「プリキュアでなくなったって聞いてたのに、なんで…!?」
「それより、どうしたの?こんなところに」
「う、ウィンディ!?なんで昔のままなの!?」
「細かい話は後にして、響さん……」
頭を抱えるキュアウィンディ。彼女が頭を抱えたのは、上空で北条響の姿を視認したドリームが(北条響は同位体がシャーリーに転生しているため)『ぎょえ!?』と驚いているからだ。ブライトが『たぶん、この世界の響ちゃんだよ』と諌めている。のぞみはAが響の同位体が転生したシャーリーと『喧嘩友達』の間柄である記憶により、腰を抜かしそうになったのである。
「あー……びっくりした」
「とりあえず降りる?」
「うん。12年ぶりだし、一応……」
と、ドリームとブライトが降り立つが。
「久しぶり」
「ドリー……ム…?」
大人の北条響はドリームのその姿に圧倒され、言葉を失う。通常フォーム+白き翼、周囲に飛び散る羽のコントラストはちょうど雲の隙間から光が差したこともあり、『天使の降臨』のような神々しささえあった。12年ぶりの再会としては出来すぎな場面であった。
「あんたまで、なんで昔のままなのよ!?百歩譲って、ローズはわかるけど!?」
「お、落ち着いて。なんで、こんなところに?」
「ラブちゃんからメールがあったの。響がピアノコンサートを終えて帰国したから、二人で会ってみようってなって……なんで、みんなプリキュアになってるの!?」
南野奏もかなり取り乱している。私服姿だが、年相応の服装になっている。現役時代から夢が変わっていなければ、実家のケーキ店を継いだはずだ。
「説明は後でするよ。二人共、まだ『なれる』?」
簡潔に、ブライトが質問する。
「……うん。あたし達の変身の仕組み自体は独自のものだから」
奏が答える。
「なら、この状況でわかるね?」
「あんたたちが変身してる時点でわかるって!……奏、久しぶりにやるよ!」
「うんっ!」
スイートプリキュアは変身者の思いが同調さえすれば、他のプリキュアのように力を失うことはない。その利点により、北条響と南野奏は変身ができるままなのだ。
『レッツプレイ!!プリキュア・モジュレーション!!』
二人はプリキュアに変身する。こちらもかつてと変わらぬ勇姿であった。
「……ふう。久しぶりだから、体動くかなぁ」
「問題ないって。あたしら、バリバリ動けてるし」
「あんたらの世代は戦闘向きのプリキュアでしょうが」
キュアメロディに言われ、なんとなくうなずいてしまう一同。確かに、ハートキャッチの頃から『戦闘重視』のプリキュアは減少し始めているからだ。また、中心戦士が最高の戦闘力ではないのも、その辺りからの風潮だ。とはいえ、キュアメロディは(変身者の傾向もあり)武闘派に分類される。
「あ、あたしらを追い立ててた奴が!」
と、二人を追いかけてきた別働隊が現れるが。
『4000キロカロリィィィパァーーンチ!!』
空中からキュアピーチ(魔女の世界の)とキュアプレシャスが合体技を発動させ、急降下でダブルパンチをかます。しかも、2000キロカロリーパンチのダブル攻撃だ。
「へ…?」
「メロディ、リズム!危ないっ!!」
「うわぁあああ!?なんで、こっちに向かってくんのよぉ!?」
と、ウィンディとドリームが後輩の二人をお姫様抱っこで空中に飛び上がるのと、プレシャスとピーチのダブルパンチが『着弾した』のは数瞬の違いもなかった。二人のパンチの怒涛の破壊力は別働隊を蹴散らす怒涛の破壊力を見せたわけだが……。
「アホーーー!あたしとリズムを殺す気ぃ!?」
「あれ、メロディ?」
そこでプレシャスが気づく。
「ひ、久しぶり…」
気まずそうなピーチ。
「あんたら、何してくれてんのよぉ!?……ラブ!?どうして……」
「それも説明するから…。あー~。どうしよう、ウィンディ~…」
「……真田さん呼ぶ?」
この展開に、ウィンディも匙を投げたようだ。ドリームとスプラッシュスターの三人は頭痛を覚え、完全に蚊帳の外なミルキィローズ。ドリーム達は偵察機を介して、真田とアナライザーを急いで呼び出してもらう。また、近くで歩兵を掃討していた連邦軍の空間騎兵の分隊に来てもらい、彼らから機器を借り、ヤマトに事情を説明。響と奏は同位体が連邦軍の将校(少佐と大尉)であるので、それも絡んでくる。
『あー、俺だ』
『あ、トチローさぁん~~!助けてくださいーーー!」
『ギャーギャー喚くな、こっちはヤマト亭の調理器具の修理中なんだ』
『す、すみません』
『真田から話は聞いた。奴はお前らの先輩のことで司令部に呼び出しを受けたんで、俺が代わりに行く。待ってろ』
ヤマトには、23世紀の大山敏郎(トチロー)が乗り込んでいた。キャプテン・ハーロックの大親友であるトチローの直接の祖先だ。同時に、ハーロック家の偉大なる祖の一人『ファントム・F・ハーロック二世』と友情を育んだ『大山俊郎』技師の末裔にもあたる。代々のトチローは『トチロー』の愛称と技術者の技能を継承してきたが、その中でも『宇宙戦艦ヤマトの時代に活躍していたトチロー』になる。子孫より口が悪く、へそ曲がりに思われるが、子々孫々と同じで『友情に熱い』気質の持ち主だ。
『お願いします』
こうして、トチローはコスモシーガル(の予備機をガイアの同名機のパーツと組み合わせて改造した個体)を使い、プリキュア達のもとを訪れる。真田の代理としてだ。10分ほどで、一同のもとに到着するわけだが、機体にはっきり『地球連邦宇宙軍』という文字が略語で記されているので、説明は長くなりそうだと、垂直着陸に移るシーガルの機体を見て、キュアウィンディとキュアドリームは思うのだった。
「よう。真田が来るより現場の話ならオレがした方が良さそうだったんで立候補してきた」
「わざわざすみません、トチローさん」
と、以前からの知り合いムーブをかますドリームにメロディとリズムは固まる。
「ほー。どこの世界も、プリキュアってのはヒラヒラした格好なんだな」
「ドリーム、何よ、この失礼なおっさん」
「おっさんとはなんだ。まだ30の前半だぞ。夢原、後輩をビシッと教育しろ。目上に対しての口の聞き方がなってないぞ」
トチローは意外にも、そうしたことにはうるさい事、実は地球連邦の最高の技師の一人であるので、軍階級はなんと、技術大佐である。
「まぁまぁ、この子達は事情を知らないんで、大めに……」
「まぁ、今みたいな口聞けるのも、若いってことだがな。俺は大山敏郎。こいつの今の仕事の上司の一人だ」
彼は大佐であり、本来は艦の機関長どころか、工廠のお偉方で良い階級である。また、本人はこれ以上の出世は望んでいないこともあり、自由気ままな生活だが、最近はヤマトに同行している。なお、一族の中では、最も軍隊で昇進したトチローでもある。
「お前たちに今起こっていることを話してやる。SFじみた話だがな。手っ取り早くいくぞ今は艦隊付き遠征部隊付き機関科長なんて資格のヤマトのお客様みたいなもんだがな、俺は」
「ヤマト?」
「そうだ。宇宙戦艦ヤマトから来たんだ、俺は。そこにいる夢原と桃園はヤマトに乗艦している」
「は?宇宙戦艦ヤマトって……あの50年前のSFの??」
メロディはこれだ。
「そうなんだ。あたしとラブちゃんはその宇宙戦艦ヤマトに世話になってるわけ」
「だから、SFじみてると言ったろう?」
「またまた~…って、えぇ!?」
ドリームとピーチが本当だと言わんばかりの目をしたので、メロディは動揺する。
「トチローさん、調子の悪かった器具は直りました?」
プレシャスは無邪気にトチローに聞く。
「安心しろ、新品同様にしてある」
「……で、でも、その宇宙戦艦ヤマトの人がなんで、あたし達を?それに、なんで、ドリームたちが関わってるんですか?」
「それを今から説明してやる。細かい質問には答えるだけの時間はないから、そこは勘弁してくれ」
キュアリズムにそう答える。真田よりは乱暴気味だが、彼もまた、地球連邦最高の技術者の一人。できるだけ簡単に、できるだけ早く、状況を分からすための努力はするが、常人には理解し難いところもあるので、ドリームたちが補足を入れつつの話となった。天才肌故に、テンションが上がると、まくしたてる癖があるからだろう。とはいえ、さすがにトチローの名を継いだ一人。今回のできごとの根幹である『多元宇宙理論』を『学業成績は悪い方かつ、SFに興味が薄い』キュアメロディに分からす際の説明は見事であったという。