ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前々回の続きです。


第五百四十九話「SAILING FOR MY DREAM 4」

――大人のぞみらは1000年女王たちの異能で往時の力を取り戻したため、キュアローズガーデンに生えた『タイムフラワー』の力とは関係なしに、プリキュアに戻っていた。日本上空のワープ妨害装置が破壊された後に自身のみが転移に成功した『シロップ』はその事を伝えたのだが。

 

「シロップ。タイムフラワー云々言われても、わたしたち……普通にプリキュアに戻ってるんだ」

 

「なぁ!?それに、お前……なんで、軍服姿なんだよ」

 

「細かい説明してる時間ないんだ。これから、世界各地に飛ばないとならないから」

 

連邦軍の軍服(ロンド・ベル仕様)に身を包む大人のぞみ。軍服には、少佐の階級章、ダイアナザーデイなどで自身が叙勲された勲章の略綬がつけられている。

 

「ココとナッツに伝えて。当分は地球に戻れないかもしれないって」

 

「ど、どういうことだよ!?」

 

「今の仕事が終わったら、宇宙戦艦ヤマトのいる艦隊に加わって、土星空域に遠征するから。ココとナッツには、無事だって事は伝えて」

 

「お、おいっ!のぞみ!!」

 

大人のぞみはそれだけ言うと、シャイニングドリームへ自己意思で変身し、その場を飛び去る。かつての自分とは決定的に変わり、地球全体を守るために『修羅』となったことをシロップに示す。

 

「あ、うららだったら、家で身辺整理してるはずだよ」

 

「そ、そうか……」

 

最後にそう伝えると、シャイニングドリームはヤマトがドック入りしている横須賀の方面に向けて飛び去る。重大なことが起こっている事は理解できたが、プリキュア化をタイムフラワーというものと関係無しにできている事、軍服を着ている(軍人になっている)などの妖精たちへの『爆弾』を置いて、彼女はこの日の軍務についた。その目的は日本の各地を蹂躙する白色彗星帝国の駆逐であった。

 

 

 

 

 

――東北方面――

 

関東と東北の境目に追い詰められた住民と自衛隊の一連隊の救出に赴いた地球連邦軍。その中には、現地に獣医の仕事で赴いていた、キュアパインであった『山吹樹里』、その彼女と合流していたキュアベリーであった『蒼乃美希』の姿もあった――

 

「今もプリキュアだったら……あんな奴ら!」

 

フレッシュ組も力を失っていたようで、単なる一市民であった。ラブはダンサーになり、美希はモデルになっていた。異世界の住民であったせつなとの交流も乏しくなっているが、二人は比較的に往年の面影を残している容貌であった。

 

「!?」

 

「美希ちゃんに樹里ちゃん!?どうしてこんなところに!?」

 

「ドリーム!?アンタどうして……!?」

 

「説明は後でする。あたしが道を開くから、二人は一気に突っ切って!そうすれば、救援部隊に拾ってもらえる!」

 

「わ、分かったわ!だけど、後で説明してよね!姿が昔と変わってないとか!」

 

「わーってる!」

 

美希が樹里を先導する形で逃げ、ドリームはその道を開く形で敵を引き付ける。美希と樹里は往年とは全く異なる、ドリームの戦法を目の当たりにした。

 

(グンドゥラさん、あなたの十八番、借ります!!)

 

心の中で別の自分の上官であるグンドュラ・ラルへ断りを入れ、彼女の前世である『御坂美琴』のように、超高圧電流を鞭のように放ち、敵兵と戦車を薙ぎ払う。これはグレートマジンガー系のマジンガーの能力の応用でもあり、その発電量はそのグレートマジンガーをも超越し、マジンエンペラーGに匹敵する。直接の上官である黒江も『電撃使い』であるし、更にその黒江をも凌ぐ電撃の使い手たる仮面ライダーストロンガーの戦法も見ているので、いくらでも応用は効く。

 

『エレクトロサンダーフォール!!』

 

離れた地面に電気の火柱を迸らせ、ドロイド兵の内部回路を焼き切る。

 

「えぇ!?な、何よ、今の!?」

 

「いやぁ、ちょっと力が戻ったら、思いっきりパワーアップしてたんだよねぇ。ほれ、もう一丁!!」

 

エレクトロサンダー。黒江も割に好む技である。大人のぞみはその有用性を理解したか、周囲に雷を降らし、機甲師団の隊列に穴を開けていく。

 

「あ、指揮戦車だ!二人とも、地面に伏せて!早く!!」

 

「わ、分かったわ!」

 

美希が樹里を伏せさせるのを確認したドリームはこれまた、転生後のグンドュラ・ラルの隠し玉である『超電磁砲』を手頃な金属の何かを弾体にする形で放った。コインでは射程が短いが、それより遥かに大きく、頑強なものを弾体にすれば、射程は大きく伸びる。これはメカトピア戦役時にその美琴が、ダイ・アナザー・デイ当時のグンドュラが自ら述べたことである。原理は簡単であるので、黒江はすぐにラーニングし、のぞみAもデザリアム戦役当時に会得している。大人のぞみは壊滅した自衛隊の連隊の置き土産である『重迫撃砲の弾丸』をパンチで撃ち出す形で、超電磁砲を放った。白色彗星帝国の戦車はエネルギー兵器には相応の耐性を持つが、原始的な実体弾には意外なほどに脆く、前後の護衛戦車ごと撃ち抜かれ、諸共に大爆発して果てる。

 

「……なんつー脆い戦車じゃ……。やっぱ、実体弾を長く使ってない星だと、普通の装甲技術は退化するんだな」

 

内戦と星間戦争が同時進行の地球では実体弾への防御技術も進歩が続いているが、それが宇宙国家では却って、イレギュラーな事例であった。地球の61式戦車やガンタンク、デストロイドの多くが星間戦争で見直されたのも、そこが注目されたからだ。

 

「おっと、乗員が脱出してきたか!」

 

脱出した乗員が攻撃をかけるが、既にレーザーライフルの弾道も見切れるようになっている彼女には通用せず、流れ作業的に制圧される。白色彗星帝国のレーザーライフルの弾速は地球連邦軍のコスモガンの類より弾速が遅いのだ。

 

「……ふう。二人共、今のうちに!」

 

「わ、分かったわ!この借りは後で返すわよ、のぞみ!利子つけた上で!」

 

「気をつけて、のぞみちゃん!」

 

「あんがとー!」

 

と、二人を見送ると。

 

「騎兵隊の皆さんも戦闘を始めたな、レーザーライフルの発砲音がする。でも、トチローさんの子孫が作ったコスモガンのほうが強いんだよね。どういう原理だろう?」

 

ドラえもん経由で渡された『戦士の銃』を持ってみる。ナンバーの刻印は30世紀で『クイーン・エメラルダスが持っている』とされる個体のもので、メンテナンスと改良のために、トチローの先祖に渡すのを条件に、のび太が借り受けたものだという。なんでも、原理が改良と変更を加えられつづけていたため、大山一族でないと、原理がわからない箇所があるからだという。最終的には『拳銃サイズの波動砲』となり、サレザーイスカンダルが聞いたら、口から泡を吹くような代物となっている。

 

「噂だと、別個体で星野鉄郎がプロメシュームを撃ち殺したらしいけど、そんなにすごいのかなぁ?」

 

かつて(のび太が子供の頃)地球で1000年女王であったプロメシューム。地球名:雪野弥生に引導を渡した戦士の銃。その一撃を加えた少年の容貌がかつて、プロメシュームの愛した少年に酷似していたのは、何かの因果であろうか。

 

「あ、駆逐艦だ!こんにゃろー!!」

 

試しに、駆逐艦に戦士の銃を発砲してみると、超プリキュア化していた彼女でも、両腕に反動をかなり感じるほどの『重さ』があった。だが、戦士の銃の光芒は見事に駆逐艦のエンジンを溶解せしめ、空中爆発に至る。

 

「30世紀の科学、バンザイだな。こりゃ…」

 

拳銃としてはあまりに過大な威力から、原理を『小型波動砲』にしてあると察する。通常のコスモガンをものともしないプロメシュームの機械化された体を薄紙のように貫くのだ。その威力は23世紀時点では『驚異』の一言だろう。

 

「こりゃ、最小にパワーを抑えないと、手首がイカれるな。上位フォームの状態でさえ、手がジーンとするもんな……四分の一のパワーで駆逐艦くらいはエンジンを抜けるなんて…。えーと、ドラえもんからの説明書だと、ストライカーに切り替えスイッチが…これでよし。それでも、61式戦車やガンタンクが一瞬でスクラップの威力。ハーロックやクイーン・エメラルダスが愛用するわけだ…。そういえば、別のかれんさんはクイーン・エメラルダスに憧れたって…。流石はクイーン・エメラルダスだな」

 

と、感慨に浸っていると。

 

「あ、連邦軍のデストロイドだ」

 

『少佐、よくやった。自衛隊の救出対象は無事に我々が送り届けよう。この場の対空戦は引き受ける』

 

「頼みます!」

 

おそらく、飛鳥の同型艦で運ばれてきたデストロイドだろう。対空戦装備であった。デストロイドはあまり好まれないが、MSよりも面制圧に優れるため、開発と配備は継続されており、のぞみの前にも、その運用部隊が姿を見せた。

 

(シャイアンの改良型だな。ギアナにあった『スーパーディフェンダー』は量産が遅れてるからなぁ。上はあれを量産したいらしいけど)

 

のぞみは彼らが配置につき、援護射撃を受けつつ、その場を離れ、別のところを見に行く。すると。

 

「わーお。デストロイドの連中、久しぶりの陸戦だからって、大盤振る舞いだな」

 

デストロイドの別の部隊が本懐を遂げていた。M動乱で鹵獲された別次元のデストロイドを基に開発された『トマホーク』の発展型が大暴れしているのだ。非人道的な白色彗星帝国が相手なので、手加減無用らしい。足には、野比財団が開発している『ナイトメアフレーム』からのスピンオフか、ローラーダッシュ機構がある。ビーム・キャノンとレールカノンをそれぞれ複数備え、火力重視の改良だ。

 

「あれ、珍しいな。トマホークの純正発展型なんて」

 

『トマホークのマークⅡ。別次元のトマホークを元に開発された新式だ。白色彗星帝国の戦車なんぞ目じゃないぜ!』

 

と、その内の一機の活きが良いパイロットが吠える。

 

『我々はその運用試験中でね。なんでも、デストロイド系の刷新を狙っていてね。我々はその内のトマホーク系列をテストしている』

 

「ご苦労さまです」

 

隊長機も外部スピーカーで理由を教える。

 

『我々は幸運なほうだ。別の艦の重砲撃部隊なんて、かわいそうだ」

 

「なんでですか?」

 

『モンスターの純正発展型が試作されてな……』

 

「うそぉ!?まだ生きてたんですか、プロジェクトが!?」

 

『うむ……噂を聞いた我々も腰を抜かしたよ』

 

「ケーニヒでいいんじゃ…?」

 

『なんでも、キャプテン・ハーロックから『ハイパー放射ミサイル』ってのが将来に猛威を奮うって聞いた上層部が大慌てで開発させている代物だ。デストロイド部隊としても、手に余るんだがなぁ』

 

『隊長、何でも、上はジャイアントモンスターなんてペットネームを……』

 

『いくら将来の脅威が怖いからと、モンスターの初代を更に大きくして、どうしようと?参るなぁ』

 

と、運用側も手に余ると泣くのが、デストロイド・モンスターだ。その後継機など、現場も扱いに困るのだが、連邦軍本部はかなり本気で開発させているという。機動力の問題を重力制御とホバークラフトの搭載でどうにかするというが、更に肥大化した巨体をどうするのだろう。開発現場も困っているはずだ。

 

『デストロイドの部隊は我々以外にも、複数がいるはずだ。ここは我々に任せて、重砲撃隊の護衛に回ってくれ給え』

 

『了解』

 

と、彼らが示した座標へ向かうと。

 

「うぇえ!?なに、あのデカブツ!?グレートマジンガーよりでかい!!」

 

と、初代のシルエットを元に、新式らしいシルエットになったモンスターの部隊が砲撃を敢行しているのが確認できる。ホバークラフト機構で動いているようだが、あまりに大きすぎて、大規模な移動に難儀している様子も見える。

 

「誰だ、日本にあんなデカブツを配置した参謀は!ぶん殴ってやる!」

 

と、のぞみが憤慨するほどの邪魔加減がわかる。

 

『おお、ちょうどいい。護衛を頼む!』

 

「あの、思いっきり邪魔なんですが……」

 

『文句は作った会社と上層部の陸軍閥に言ってくれ。ドイツのタイガーⅡをもらった部隊の気分だよ』

 

と、指揮官が愚痴るのもわかるほど、改良型モンスターは肥大化していた。主砲口径が510ミリ。それが六門。砲塔が独立可動するようにはなっているが、現場としては邪魔だ。砲身も戦艦水戸のそれと同等の55口径と長く、日本での運用には適さない。

 

「どうするんです、こんなデカブツ」

 

『少なくとも、日本ではまともに使えんよ。市街地を突っ切っての移動も困難だからねぇ。我々も困っているのだ。幸い、砲兵としての働きはできるが、51cm砲は強力すぎる。流れ弾で街の一角が吹き飛ぶからな』

 

「今しているのは?」

 

『射程を利用しての遠距離射撃だ。衛星軌道からの増援を阻止する。それくらいしか使い道がない』

 

とはいえ、51cm砲の波動カートリッジ弾による砲撃は輸送艦や揚陸艦程度なら、一撃で吹き飛ばせるくらいの火力を担保されてはいたので、防衛用の移動トーチカに近い使い方をされていた。

 

「すみません、上空援護は?」

 

『敵の妨害で手配が遅れていてな』」

 

「ああ、クソ!上層部のバカ共め!面倒なデカブツを!!私がどうにかします!」

 

『すまん!』

 

と、のぞみはこの日、戦士の銃でドッグファイトを行う羽目になった。モンスターの部隊は遠距離砲撃用の装備しかなく、近接武器に乏しいからだ。

 

 

「カブトガニ連中!!あんたらの顔は見飽きたんだよーーー!!畜生め!!」

 

と、白色彗星帝国の主力爆撃機の群れに毒づかずにはいられないのぞみ。戦士の銃で落としつつ、自身の技も用いる。そして、編隊の上空に同型機を電子戦・偵察機に改装したと思われる個体がいる事に気づく。

 

「あれが電子戦を仕掛けてるカブトガニか!!逃がすもんかぁ!!」

 

のぞみはシャイニング形態での最大加速をかけ、『ゲッター機動』と飛ばれる慣性の法則を無視した変則的な動きで接近。コスチュームの腕部分に巻きつけている『バトルショットカッター』を展開し、偵察機をバラバラに斬り裂く。

 

『バトルショットォォォ……カッターァァッ!!』

 

これは圭子の十八番であった攻撃でもある。本来はゲッターロボアークの武器であるが、圭子は生身で再現、多用している。のぞみもAがデザリアム戦役から使用するようになっており、大人のぞみはその記憶を参考に、使用したのだ。得物を用いなくとも、強力な切断攻撃が可能だというのは、大いなる強みだ。

 

「プリキュア本来の攻撃じゃないけど、この際、贅沢は言ってられないか」

 

と、できればプリキュアらしく決めたかったのだが、白色彗星帝国の艦載機は頑丈であるので、自分本来の技では致命的な一撃にはならない。それを知っているので、バトルショットカッターの披露となった。

 

「これ、シロップやココたちには見せられないな……」

 

と、自嘲混じりに呟く。全身が鋭利な武器に変貌を遂げたほかない自分の姿は妖精たちへは見せられないと思ったからだろう。

 

「多分、本来の流れは『一時的に力が戻る』だけだったんだろうな。だけど、白色彗星帝国の襲来が全ての予定を狂わした。戦時中みたいに、街を焼け野原にするわけにはいかないもんな……」

 

大人のぞみは別次元の自分が『前世で街の成り立ちを調べた事がある』ことを思い出す。戦時中、自分のいる街はB-29の数百機による爆撃で中心部を完全に焼け野原にされ、焼け野原に残った時計台をランドマークにし直して復興してきたという。その事はこの『オトナプリキュアの世界』でもあったはずである。旧日本軍はB-29にあまりに微力であり、帰途についた編隊の一部を雷電や鍾馗の部隊が撃墜できた程度であったという。

 

「終わった後は……この世界を守っていくしかない、か。1000年女王へ報いるためにも……」

 

大人のぞみはある意味、成人したことで覚悟が決まったところも多い。また、教師になり、大人としての辛さを強く味わったが故に、若かりし頃の『全てが輝いていた日々』への回帰を望んでいた一面があるのも事実であった。故に、それを起こしてくれた1000年女王に強く恩義を感じていた。教師とプリキュアの二足のわらじを履き、今後を過ごしていく。そう決めていた。それはココとの恋が『この次元では』実らない事を察してしまったからでもあり、青春時代の淡い恋では終わらせたくない本心と、大人として察してしまう自分に嫌気が差しているのだろう。その複雑な心中が彼女を『修羅』としているのは、ココ(小々田コージ)の『オトナプリキュアの世界での罪』と言えた。りんやかれんはココの思わせぶりな態度などにむかっ腹が立っているようだが、ココにとっては国を守ってくれた大恩人でもあるし、自身が本当の意味で惚れた異性でもあるが故に、種族の違いや住んでいる世界を理由にしての別れを切り出せないのである。ある意味での彼の罪はその点にあるといって良かった。往時の『祝福』が彼女の人生を縛る『呪い』に自らの手で変えてしまうのを強く恐れ、恋人であり、元の生徒でも、恩人でもあるのぞみを裏切りたくない個人としての心と『パルミエ王国の王』の責務との間で揺れ動く彼は『ロミオとジュリエット』のような立場に置かれてしまった、哀れな男性であったのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

―― そんな恋人の心知らずか、大人のぞみは白色彗星帝国との死闘を経ていくにつれ、『戦士として、引き返せない道』に足を踏み入れつつある。それは白色彗星帝国から世界を守るためであるが、ある意味では、青春の日々に味わった恋を『辛い思い出』に変えたくないという女心も多分に作用しているのかも知れなかった。学生時代の彼女の恋を応援していた戦友たちは『ココをどう罰するべきか?』と画策を初めている。事情を知ったスイートの二人も加勢したため、本人の知らぬ間に、ココはその生で最大のピンチを迎えようとしていた。プリキュア仲間の間でも、二人の恋は有名であったからだ。ただし、本人は『タイムフラワー』のこと、パルミエ王国の環境悪化などに強く悩んでおり、想い人であったはずののぞみのことを考えている余裕がないに等しい状態であった。だが、彼とナッツにとっての予想外は『のぞみがタイムフラワーの効用と関係ない、超常的な力を持つ地球の守護者の力でプリキュアに戻った』事だろう。彼女らの力を以てすれば、プリキュアを記憶するアカシックレコードから情報を呼び出し、元の変身者に『往時の力を宿させる』ことなど造作もない。シロップはそのことを知らされたが、半信半疑であった。だが、ある日の事…。

 

 

 

「ろ、ロプ!?」

 

妖精の姿になり、飛び出そうとした瞬間、それを制止しようとする女性がいつの間にか、目の前に立っていた。

 

「お待ちなさい、異界の運び屋よ」

 

「だ、誰ロプ!?」

 

「わが名はクレオパトラ。かつて、この星を治めていた者の一人です」

 

「この星を治めていたロプ……?」

 

なんと、シロップの前に、古代エジプトは悲劇の女王『クレオパトラ』がその姿を見せた。存在が確認できる『1000年女王』の中でも古参の歴任者でもあり、実際は地球人ではなかった。だが、地球のために生き、地球のために殉じた高潔な1000年女王であった。深夜のある公園での出会いであった。彼はこの時、初めて、複数の次元の地球を統治していた『1000年女王』の存在と驚異に触れあう機会を得たと言ってよかった。超然たる威容を讃えるクレオパトラ、一方は一介の運び屋の青年。そんな摩訶不思議な出会いが起こったのである…。

 

 

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