ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第五百五十話「援軍とトチローの危惧、そして、バード星」

――オトナプリキュアの世界での動乱に当たり、続々と集結する地球連邦艦隊。その概要を説明された大人かれんとりん。超弩級宇宙戦艦(アンドロメダ級、ヤマト型など)、通常の戦艦、巡洋艦、駆逐艦、空母に加え、その他艦艇多数。次元潜航艇は地球連邦軍に於いては、まだ試験段階であるので、一隻もない。とはいえ、潜宙艦対策はなされており、次元潜航艇はそれより思想を進めた新兵器であるので、ガルマン・ガミラスにおいても最新鋭の『潜水艦』と言うことになる。

 

「凄いわね……いくら、宇宙のオーバーテクノロジーを得たからと、23世紀の時点で、こんなに宇宙艦を造れるなんて」

 

「しかも、建造自体はオートメーション化されて、戦艦や空母でも、工事に平均で半年ほどしかかからないんですって」

 

「皮肉なものね。内戦続きだからと、『工業分野の機械化』が進むのは」

 

戦艦や空母になると、装備の公試もあるため、正式な竣工は半年以上を要するが、かつてに比べれば、雲泥の差であった。彼女らが目にしているのは、合流してきた『第二艦隊』の威容であった。第二艦隊は戦艦部隊であり、構成される艦艇の殆どがドレッドノートタイプの宇宙戦艦である。260m前後と、地球の戦艦としては取り立てて大きいわけではないが、主砲口径が40cmなので、戦艦とされた経緯がある。また、初の量産型波動エンジン艦であるので、俗に言う『沖田艦』との大きさの差をさほどつけないように、という政治的理由もあった。量産型故か、艦影に差は殆どないが、波動砲を収束式に変えたもの、強行突入のために装甲を増加し、波動砲を外殻を残して撤去した『指揮戦艦』タイプも存在する。なお、第二艦隊は日本州に配置されている都合で、名前は日本の旧軍事組織の艦名規則を継いでいる。事実上の日本連合艦隊だ。

 

「あの戦艦、名前が書いてあります。えーと……加賀ですね」

 

「日本の戦艦ってこと?」

 

「らしいですね…?」

 

二人が目撃したのは、第二艦隊総旗艦のドレッドノートタイプ(後期型)の『加賀』であった。塗装はデザリアム戦役以降の標準である、艦隊旗艦を示す青色だ。また、デザリアム戦役を生き残ったのか、錨マークと参戦章が描かれていた。

 

「あ……土佐、豊後、隠岐……。日本艦隊って事かしら?」

 

かれんも驚く。援軍の第一陣の戦艦は全てが日本名だからだ。10隻前後のドレッドノートタイプが隊列を組んで飛来し、横須賀の沖合に、アンドロメダ級と交代で着水していく。舟形である波動エンジン艦の為せる業だ。

 

「横須賀が混雑するわね…。自衛隊の護衛艦や米海軍艦だけじゃなくて、宇宙戦艦の大群が交代で停泊するんだから」

 

「第二艦隊の連中が来たか。あそこは古株だからな」

 

「あ、トチローさん」

 

「ここは俺たちが借り受けた。米軍と自衛隊も了承済みだ。連中は今回の戦には戦力にならんからな」

 

「でも、いいんですか?波動砲が水に半分……」

 

「設計屋のミスだよ。波動砲の砲口をデカくしたんだが……。まぁ、D級は隊列を組むか、アンドロメダ級のブースター代わりになる運用だから、気にされてないが」

 

「単独で使う想定はされてないんですか?」

 

「波動エンジンの出力がヤマトより控えめだからな。一通りの事はできるが、器用貧乏なんだ。だから、反地球の逆輸入で、アンドロメダ級のブースターにするか、隊列を組ませて使う前提だ」

 

「問題あるじゃないですか」

 

「ああ。上もそれはわかってるが、今は殆どの州が旗艦運用に使う、ワンオフのチューン艦の建造に傾倒しちまっててな。量産型の更新は後回しだ。一応、日本州がそれをしてるがな」

 

日本のみがドレッドノートタイプに代わる次期主力戦艦の開発に勤しんでいるが、これは他の州がヤマトのような、旧各国の軍事組織のシンボルの不在に悩んでいるということも関係している。他の州は政治的理由もあり、波動エンジン搭載の『州の代表格』を欲しがっているが、これはマクロスやヱクセリヲン、ヱルトリウム級などは『地球全体のシンボル』ではあるが、旧各国の個性はないからだ。

 

「ただ、元のアメリカは政治的理由もあって、旗艦を欲しがってるんだ。何せ、予定されてる艦名が『アリゾナ』だしな」

 

「あ、アリゾナって……真珠湾攻撃で沈められたっていう?」

 

「そうだ。そのアリゾナだ」

 

「縁起悪いような?」

 

「アメリカはお前たちの時代の繁栄ぶりが嘘のように零落してな。その立て直しに躍起なんだよ。ティターンズ派の拠点でもあったから、今は政府にも冷遇されてるからな」

 

りんとかれんは驚く。アメリカが『宇宙戦艦ヤマトのある世界』では没落したという情報に。ティターンズの拠点であったり、遊星爆弾が落とされ、ゼントラーディに念入りに焼かれ、ズォーダー大帝に滅多打ちにされたため、北米の中央部は原始時代に戻り、弾丸が逸れなければ、北米と南米は強引に分離させられていただろうと言わしめるクレーターがあったり、『ここ数百年は世界で最も栄えていた』故の悲運により、すっかり零落した有様であると。

 

「統合戦争末期の大統領が反日思想の持ち主でな。日本を切り捨てようとしたが、当時の自衛隊にメタメタに艦隊がのされたところで罷免されて、どうにか本土の被害を抑えたんだが、統合戦争の末期に元の東側がトチ狂ってな。ニューヨークに核をぶち込んだんだ」

 

トチロー曰く、統合戦争末期の混乱は東側諸国の軍部が一発逆転を狙って、あちらこちらに熱核兵器、更にはコンピュータ網の破壊を目的にしての電磁パルス攻撃を見境なく仕掛けたため、膨大な技術情報が失われたという。その結果、日本が苦労して築きあげた『ひみつ道具社会』は脆くも崩壊し、残されたロボット工学などの情報はモビルスーツなどの登場に繋がったのだと述べる。

 

「核攻撃自体は大した事はなかったが、その後の電磁パルス攻撃がまずかった。前後の見境なくやりやがってな。その結果が、今の歪な文明だよ」

 

「つまり、元々はドラえもんの過ごしてた世界があったんですね?」

 

「ああ。ほんの30年とちょいほどだったがな。遺産は残ったが、それを理解できる人間が統合戦争であの世に行っちまったせいで、多くがロストテクノロジーになっちまった。俺の一族はその再現を少なくとも、曾祖父さんの代からしてきてきた」

 

大山一族の天才を以てしても、その復活に長い時間をかけてきたのがわかる一幕であった。彼らの悲運は過激派スペースノイドの多くはその時代における『反テクノロジー派』の流れを汲む者達で、ザビ家はその影響を強く受けていた事だろう(その割に、ガンダム打倒のために非人道的研究をしまくっていたが)。

 

「殆どの発明は善意でなされるもんだが、ザビ家の連中は『過度の文明は人を怠惰にさせる』だの言って、あれこれしやがった。アメリカに俺の一族が開発した食料品プラントがあったのに、自分たちの政治的な主張のために、消し飛ばしやがった。俺のじいさまと親父の悲願だったのに…」

 

ここで、デラーズ・フリートが破壊した『食料プラント』は大山一族が二代に渡っての血と汗で築いたものであった事が判明した。トチローがジオンという国を嫌うのは、祖父と父が心血を注いだ『食料品プラント』を自分たちの主張の正当化のためだけに消し飛ばし、北米に致命傷を与えたからだ。ドラえもんの登場が画期的と言われたのは、コスモリバースを用いなくとも、土地のダメージを20世紀の状態に回復させられる力を持っていた(一介の子守用ロボットが、である)からだ。

 

「で、北米はほとんど不毛の地になって、多くがアメリカ系住民が以前から持ってる大規模コロニー『ネオアメリカ』に移住したから、北米は西部開拓の頃に逆戻りさ」

 

アナハイム・エレクトロニクスの力で、比較的に文明的な暮らしを保つ西海岸、戦乱で荒廃し、かつてのビル群が遺跡のように朽ちた姿を晒すニューヤーク。地球が星間国家になろうかという時代になったら『身ぐるみ剥がされるから、東海岸には行くな』と注意喚起されるほどの混沌の地に落ちている。その有様は『アメリカ合衆国の腐乱死体』と揶揄されている。元の富裕層はネオアメリカで文明的かつ、かつての享楽的な暮らしを謳歌するが、残された者達は西部開拓時代にまで逆戻りした生活であり、博物館から引っ張り出した蒸気機関車が交通機関になっているくらいに退化している。その一方で、南部諸州は21世紀レベルの文明が保たれ、ヒューストンが管区の首都扱いになるまで発展していたので、同じ大陸でも、文明のブレが両極端であった。

 

「その一方で、戦禍を南部は免れてな。南北戦争の意趣返しが図らずしも、果たされた。今や、アメリカ地域の首都はヒューストンだしな」

 

「なんですか、それ…」

 

「俺たちの世界での結果だ。日本のように、地下都市を作って、繁栄を続けた地域は多くないってことだ。関東はいざとなれば、そこだけ都市宇宙船になる機構が隠されていたし…」

 

「!?」

 

「1000年女王様の残した遺産さ」

 

1000年女王たちの最大の遺産とは、関東平野まるごと(富士山含む)が都市宇宙船に変貌するよう、日本列島自体を改造していたことだろう。故に、地球連邦政府もフォン・ブラウンのバックアップ機能を東京都市圏の全てが合併した『メガロポリス』に置いたのだろう。

 

「故に、地球連邦の重要拠点は必然的に日本列島になっていったのさ。それと、俺たちのいる世界だと、東京って地名は使われなくなった」

 

「どういうことですか?」

 

「戦災復興事業の一環で、元から一体性が強かった東京とその周辺の都市圏をひとまとめにしようって言い出してな。メガロポリスって名前にされたよ。アメリカのマクロスシティと並んで、地球の中心都市にされた」

 

トチロー曰く、マクロスシティを首都とする案もあったが、スペースノイドからの猛烈な反対に遭い、フォン・ブラウンが新たな首都となり、メガロポリスは関東平野の全都市圏を包括する都市として成立した。人口はフォン・ブラウンが5000万、メガロポリスがその六割ほど。地球連邦ではその二つが最大の経済圏として機能している。

 

「火星も開発が始まってるが、ゴタゴタしててな。それに、テラフォーミングしたんで、居住可能地域がアフリカ大陸くらいしかないからな。おまけに木星はややこしい事に、木星を爆弾にしたら、同じ場所に平行世界の木星が同じ座標に現れた」

 

「なんですか、そのトンチみたいな」

 

りんはそうとしかいえない。

 

「俺だってわからん。だが、反地球が俺たちの次元に戻る時に、その行ってた先の世界の星々を引っ張ってきたらしいのよな…。おまけに、太陽の伴星も見つかるわ…天文学者が泣いてるぜ」

 

23世紀世界のこの天文学上のパニックは後世に『太陽系の再構築パニック』と呼ばれている。木星を爆弾にしたはずが、気がついたら、木星が同じ場所に『ある』わ、火星、金星が増殖する、反地球が現れる……。天文学の常識が明後日の方向にぶっ飛ぶ衝撃の変貌であった。そのため、呼び名を使い分ける必要がある星々が生ずる有様(アースとガイア、マーズとアレスなど)であった。地球連邦にとっては喜び半分と困惑半分であった。ガイアとの包括条約を結び、統一政体を近いうちに作る事、軍部の統合もできるだけ早く済ませる事。それが連邦の外交課題であった。

 

「天文学的にありえない事の連続なんで、匙を投げた学者も多いぞ。白色彗星帝国は幸い、それを知らん。だから、この世界の土星空域で艦隊決戦となるわけだ。元々、奴らは白色彗星帝国戦役で土星空域にいた地球艦隊の主力を空襲するつもりだった。それを利用する。土星空域にデブリがたんまり出るだろうが、この世界の人間がそれを見つけるのは、遠い先になるだろう」

 

「そうですね、貴方方は銀河の外に進出していますが、私達の世界は原始的な宇宙ステーションがせいぜい……。土星にいくのは……当分先のことでしょうね」

 

かれんがいう。それほどに文明レベルが違うのだ。

 

「おまけに、つい最近、第三、第四の地球が発見されて、てんやわんやだ。どこかの平行世界から転移していたんだろう。つまり、俺たちの地球はいつの間にか、多重連星になってたんだ」

 

ただし、それらが宇宙文明のレベルになっているかは不明で、一つは月くらいしかないという。第四の地球相当の惑星については不明だ。発見されたばかりで、どこの平行世界からの転移かもわからないからだ。

 

「ただ、お互いに離れているから、向こうは俺たちの地球に気がついていない。宇宙文明のレベルの文明は反地球にあるが、それ以外はわからん。探査団送れる時勢でもないしな」

 

「白色彗星帝国の艦隊の総数はわからないんですか?」

 

「わからん。いざとなったら、ガルマン・ガミラスに援軍を頼むが、奴さんはボラー連邦ってところと戦争中でな…」

 

既にデスラーはガルマン・ガミラスという国家を作り、銀河系に版図を築きつつある事、既にボラー連邦と戦争状態にあることが伝えられる。

 

「下手したら、四つ巴の宇宙戦争かもしれん。ガルマン・ガミラスもデスラーが出てくるだろうしな。古代と友達になってるし、奴さん」

 

いざとなったら、ガルマン・ガミラスに援軍を依頼するが、デスラーはヤマトの危機と聞けば、御座艦を含めた親衛艦隊を総出撃させるだろうが、それをボラー連邦が察知した場合、土星空域だけで収まる戦ではなくなるだろう。

 

「ガルマン・ガミラスがすごい兵器を持っているのを祈っとけ。最悪の事態になったら、デスラーが鍵になるかもしれん」

 

トチローはこの時、デスラーが白色彗星帝国から接収した技術で『デスラー砲を超越した決戦兵器』を開発しているであろうことを見抜いていた。言うならば『ハイパーデスラー砲』だ。デスラー砲が通じないことで生じた悲劇にショックを受けた彼が至上指令として、次期決戦兵器の開発を急かしている事は容易に想像がつくからだ。地球連邦軍も一部の艦艇に『拡大波動砲』という次期決戦兵器の試作品を積んだように、デスラーもまた、『最悪の事態に備えた準備』を進めていたのだ。

 

「俺たちも拡散波動砲に代わる決戦兵器『拡大波動砲』を準備してきたが、まだアンドロメダ級の一部にしか積めてねぇ……テストもまだだ。本当なら、アステロイドベルト帯で試射をするべきなんだろうが……」

 

「テストもまだって……危ないじゃないですか」

 

「戦争が起こって、積み替える時間がなかった上、それが終わって、テストの認可が降りたばかりだったんだよ」

 

アンドロメダ級の半数の波動砲を拡散波動砲から置き換え、テストをする構想であったが、その工事の途中で今回の争乱となってしまったという。そのため、拡大波動砲の数はせいぜい、数隻ほど。ここぞという場面でしか使えないのだ。

 

「白色彗星帝国の本体には、拡散波動砲は無力に等しかったからな。収束型を増やしたが、今回は拡散波動砲のほうが需要があるかもしれん。射程は伸ばしてあるが……火炎直撃砲との勝負だな…」

 

「なんですか、その…火炎直撃砲って」

 

「敵さんの決戦兵器だ。転送装置などを使って、十万度以上の火炎光球を敵艦にぶつけるものだ。ドレッドノートタイプなら、一撃で艦が融解しちまうし、アンドロメダでも、完全には耐えきれん」

 

「十万度!?」

 

「そうだ。標準的な宇宙戦艦の装甲はそんなことを想定されていない。ヤマトの改修でようやくだが、試作品に過ぎん。旗艦のしゅんらんと二番艦のガイアには、俺が異星で見つけた、耐熱性が高い鉱石をコスモナイトと組み合わせた耐熱合金の追加装甲を纏わせてあるが、それとて、何度も耐えられるものじゃない」

 

「要するに、それを如何に封じるか、ですね?」

 

「そうだ。前の時はカッシーニの間隙まで誘い込んでの奇策で封じたそうだが、今回もそうなるとは限らんからな。火炎直撃砲だけはなんとしても防がないといかん」

 

「でも、10万度じゃ、あたし達の氷結系の技なんて通じないし……シールド系の技は無駄だろうし…」

 

りんもこの難題に悩む。10万度という高熱の前には、プリキュアの力も微力すぎるのだ。

 

「弾道が分かればいいが、瞬間物質伝送器が前提だからな。波動防壁をフルパワーで展開しても、通常の出力では何の効果もない。防壁弾をもっと作りゃいかん……」

 

 

トチローは波動防壁をアース側で実用化させていたが、火炎直撃砲のパワーはあまりに強大すぎるのだ。火球はブレストバーンの更に倍の温度を誇るのだから。

 

「それを為し得る国家と戦うという事を頭に叩き込んでおけよ。奴らはお前らが現役時代に戦ってきた、二つのチンケな悪の組織とは訳が違う。蛮族に近いメンタリティを持つとはいえ、れっきとした国との戦争だ。現役時代の感覚で戦ったら、ただでは済まない事になる」

 

「……はい」

 

りんとかれんはトチローの注意喚起に頷く。現役時代のような気持ちでいれば、火傷では済まない。のぞみを補佐する立場にある者として、そのことを認識しなくてはならない。二人は改めて、今回の戦の重大さを想い、家族との『別れ』を済ませておこうと決意するのだった。

 

 

 

 

 

――着々と太陽系に迫る、白色彗星帝国の残党。その狩る立場ながら、数的不利というハンデを背負わされる地球連邦軍。その援軍として、今、まさにバード星より勇士が派遣されようとしていた。

 

――銀河連邦警察本部――

 

「今回の任務はガトランティスとの決戦だ。なんとしても、転移先の地球を守り抜き給え、ギャバン、スピルバン、シャイダー」

 

「わかりました!」

 

高齢による勇退を控えた、銀河連邦警察の最高指導者『コム長官』からの最後の指令を受けた『宇宙刑事ギャバン』、『宇宙刑事シャイダー』、『時空戦士スピルバン』の三人はそれぞれの母艦の格納庫に行き、母艦を発進させていく。

 

「転移座標、インプット。ドルギラン、発進!!」

 

「ワープ装置、エネルギーコンバーター異常無し。バビロス、テイフオフ!!」

 

「全システム、オールグリーン。グランナスカ、発進!!」

 

それぞれの誇る、超次元戦闘母艦が銀河連邦警察本部のドックから威風堂々と発進していく。銀河連邦警察の中でも最高の実力を誇る者達を派遣させるあたり、コム長官の意気込みがわかる。特にグランナスカはバビロスの運用実績を踏まえ、改良された設計で建造された『最新鋭の戦闘母艦』であった。ダイ・アナザー・デイ後に内勤が内定になり、シャリバンのコードネームを次世代の刑事に譲る事になっていた伊賀電であるが、彼のエネルギッシュさが現場から失われるのを惜しんだ刑事局長がコム長官に提案し、特務刑事という枠を創設する事になり、伊賀電に新たな偽名『城洋介』と新型の戦闘母艦『グランナスカ』を与え、その任に当たらせる事にした。通常の宇宙刑事とは異なる枠組みであるので、大仰な名がいいだろうと、『時空戦士』という冠名と『スピルバン』という新たなコードネームが与えられ、表向きは『伊賀電とは別人の宇宙刑事』という事にしているが、旧知の間柄の者達の間では『シャリバン=スピルバン』は公然の秘密である。特に変装はしていないが、シャリバンとしての活動期より大人びた外見になっているのが幸いし、知り合い以外にはバレていない。また、バビロスの『ビックマグナム』を改良発展させた『ビックバンカノン』を備えるグランナスカはデザリアム戦役後の時間軸のバード星では、まさしく最新最強の母艦であった。

 

「頼んだぞ……」

 

高齢になり、ギャバンの現役時代より老けこんだとわかる風貌になったコム長官。髪はまだ黒々としているが、定年退官が間近の年齢になっている。ギャバンが娘婿になった事を亡き親友のボイザーへの手向けとしたい彼だが、バード星にとっても、古来より不倶戴天の敵であったガトランティスは叩かなくてはならない。

 

(フーマの崩壊から幾星霜。地球の勢力圏にバード星のほうが組み込まれるとは思わんだが、平和になり、連邦警察の汚職が深刻化し、醜態を銀河に晒すよりはマシか……)

 

コム長官は23世紀の地球がバード星を事実上、自分達の勢力圏に組み込んだことを歓迎した。不思議界フーマの壊滅後、次第に組織全体に規範や規律の弛緩が生じ、バード星そのものが汚職に塗れ始めていた(後にわかるが、現場の宇宙刑事も汚職に手を染めてきていた事が判明する)が、バード星自体が地球の友好国となり、実質の地球の勢力圏に組み込まれたことで、地球主導での汚職の摘発が行われているからだ。ギャバン達の再派遣が認可されたのも、銀河連邦警察の実績作りの側面はあるものの、コム長官の亡き親友とその子であり、自身の娘婿でもあるギャバンの故郷を(たとえ平行世界でも)守りたいという気持ちを発露し、事務方を黙らせたからである。

 

 

 

――オトナプリキュアの世界の地球を守らんと、三大刑事が超次元戦闘母艦を引っ提げ、威風堂々と出撃していく。その姿を執務室の窓から見送るコム長官。老齢になり、引退を間近に控えた彼にできる、若者達への最後の手向け。それが地球へ自分の信頼する三人の勇士を向かわせることだった――

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