※「新竹取物語 1000年女王」、「銀河鉄道999」の用語が出てきます。ご注意ください
――タイムフラワー。それは本来、のぞみたちに一時の奇跡(リスク付き)をもたらすものであった。だが、1000年女王という超常の存在が介入した事により、タイムフラワーが完全に開花する事はなくなった。のぞみたちが彼女らの力により、恒常的な変身能力を取り戻したからである。大人のぞみはそれを心から望んでいた節があり、別世界の自分との『同一化』も受け入れた(ZEROの力によるもの)。そのため、のぞみAと能力と記憶を共有する存在となったのである。(別個体である自覚はある)――
――シロップと接触したクレオパトラから伝えられた『タイムフラワー』の存在だが、大人のぞみにとっては『今更なぁ……』というのが否めない存在であった。一時的な奇跡と言われても、1000年女王の力はそれを更に超越していたからだ――
――そもそも、1000年女王とは何か?かつて、地球の軌道上にあった惑星『ラーメタル』から植民地たる地球の支配のために派遣された行政官のような存在であった。ラーメタルは複数の次元の地球を統治しており、『オトナプリキュアの世界』、『未来世界』もその一つであったという。そして、クレオパトラ、卑弥呼は実際には、そのラーメタル人であったという。その1000年女王の最後の後継者『雪野弥生』こそが、後に『機械帝国』を興し、冷酷非道の独裁者と成り果ててしまう『プロメシューム』その人であり、あの銀河鉄道999のメーテル、クイーン・エメラルダスの実母であったのだ――
――宇宙戦艦ヤマト 士官室――
「1000年女王……雪野弥生……か」
ドラえもんから『1000年女王と、最後の女王であった雪野弥生の悲劇』を聞かされた大人のぞみは別の自分と同様の道を歩む事を決意。歴代の女王(と、その候補者)の願いを汲み取む形で、戦い続ける事を選択していた。
「タイムフラワーの騒動があったとて、あたしはどのみち、戦うのを選んだだろうけど、1000年女王達の想いと、その行きつく先を知らされちゃうとなぁ。やるしかないな。この世界の守護者として」
ある意味では、ココと『この世界では結ばれない』事を悟った故の自暴自棄ともとれるが、彼女はそれを選んでいた。つまり、世界の守護者として存在し続ける事を。Aとの存在の同一化はいうならば、ことはと同等以上の存在になる事だからだ。
「のぞみ、あんたも?」
「うん。平行世界の記憶のおかげで、心に踏ん切りがついたよ、りんちゃん。1000年女王達の意志は……あたしが継ぐ」
「やっぱりね。でも、それにはまだ……」
「うん。街を救ってからさ。白色彗星帝国を倒した後に起こるだろう騒動を終息させたら、さ。あたしはそれを心のどこかで望んでたのかもしれない」
のぞみが心のどこかで望んだ事は『プリキュア5は永遠不滅であってほしい』という子供時代の願い。それは1000年女王という異能の存在によって叶えられたのかもしれない。
「いいの?」
「どのみち、若いまんまじゃ、いずれはどこかに去らなきゃいけなくなるからね。昔の漫画みたいに、さ」
「ポーの一族、か。あんた、意外なの知ってるのよね……」
「うちの叔母さんが若い頃に好きだったとか言っててさ……」
のぞみは絵本作家の子と言う環境で育ったためか、漫画に親しんでいた。そんな環境故か、自分の生まれる前の漫画も知っていたようだ。これはAとも共通する。
「地球連邦軍の駐屯部隊がいずれ、月か火星に置かれるだろうから、いずれはそこでバイトするよ。それは提督に言ってある」
大人のぞみは自身が『ヒトという存在では無くなった』自覚を持ったため、地球連邦軍にいずれ再就職する事を決めたようだ。
「うちの学校、今回の事で、かなりの損害被ったからなー。戦いが終わった後も『あるかどうか』……」
「全部の校舎を建て直すんじゃねぇ……あんた、そうなったら?」
「そうなったら、うちの中学にでも再就職するさ。まだ『おタカさん』(のぞみの現役時代に通っていた中学校の理事長。普段は『売店のおばさん』に扮していた)が理事長だろうし、OGなら、再就職し易いだろうし。私立の学校まで、財務省や文科省が補償するとも思えないからなー。一応、中学の教員免許も取っといたから」
「え、嘘」
「本当。親に止められたんで、小学校にしただけだから」
そんな世知辛さも『大人』であるが故だろう。
「ココも、別れを切り出そうとするだろうからねぇ。……力になってほしいのに」
「……」
シロップがおそらく、今回の動乱を知らせただろうが、彼ら妖精たちは今回の動乱に関しては完全に無力だ。あの宇宙戦艦ヤマトが特攻を選びかけたほどの強大な星間国家なのだから。
「あんたが死地に赴くと分かれば、きっと止めようとするでしょうね。覚えてる?ほら……」
「ああ、あのオールスターズ戦の時か……今なら、あんな高慢ちきな奴はストナーサンシャインか、シャインスパークで消し炭にしてやるのに」
「あんた、言うことがゲッター線に染まってきたわね」
「にゃははは…」
「向こうのアンタが今度はそれをやるかもね」
「ありえる。向こうのあたしは過激だから」
「でも、あまり変わらなくない?」
「あたし、根本的にわかりあえない場合は殺るからね」
「確かに」
大人のぞみもそれらを撃てるようになっていることがわかる。また、のぞみAの記憶から、『命を預けあった仲間は家族以上の存在にもなり得る』というのが本当であったのなら、自分たちが若かりし頃に抱いていた感情はなんであったのか?そう考えてしまう。それは大人の「5」メンバーの全員が思っていた事だ。
「キュアモがそうなるようにしてたって?……まさか」
「でも、おかしくない?普通、戦いで結びついた仲なら、学校が違ったりしても、年に一回は会ってていいはずだよ。太平洋戦争に行ってた『じいさまのじいさま』は……」
大人のぞみは高祖父が戦友会で戦友と会っていたという話を思い出したらしく、我に返り、自分たちが『手紙を含めた連絡先を何年も聞いていない』事に疑問を抱いたらしい。
「……本当、なんだったのかしらね、あの時間は」
「あたしらは二つの組織を壊滅させたんだよ?それが反映されてるのなら……」
大人のぞみとりんは我に返り、その事を考察してみる。
「高校の頃の状態に、1000年女王が戻したのは……たぶん」
「大人の精神状態と10代の頃の万能感が両立できるギリギリセーフのラインじゃない?」
「かな?」
大人の「5」と「S☆S」の面々は戦うことを選んだ時点で卑弥呼の力により、普段の肉体は高校二年生ほどの若さに戻された。その関係で、のぞみは普段の髪型を高校時代のハーフツインテールに戻している。高校時の絶頂期と言える体に調整されたのは、『牡羊座のシオン』が『人間が最も強く、光り輝く年齢は16~8歳なのだ』と述べていたように、ヒトの肉体が最も気力と体力が充実する時間であるからだ。
「たぶん、高校の頃なら、普段の職業に戻っても、違和感が少ない年頃よ。10代後半と20の半ばって、さほど外見が変化しないし」
「確かに…」
りんの考察は見事であった。高校の二年ほどなら、元が20代半ば~後半であれば、外見上の差は少ない。その気になれば、高校のブレザーをまだ着られる年齢であるし、アジア人は根本的に若々しい外見を比較的に保てる民族であるので、26~7歳から17歳相当に戻ったところで、外見上の差異は意外に少ないのだ。
「確かに、高校生でも、老け顔は20半ばに見えるとかいうからねぇ。でも、どうする?戦闘が終わった後」
「そうねぇ……あたしも今の会社があるかどうかわかんないし、向こうのあたしの身分を借りる事にするわ。それなら、ヤマトに乗れるし」
りんもこうして、ヤマトに乗るために、Aの身分を借りることにした。記憶は共有されているため、向こう側での認識番号は自然に言えるし、書けるからだろう。
「ヤマトの出港には一月あるけれど、それまでに身辺整理は済ませておいて。土星空域に行くからね。今、衛星の一つのタイタンに臨時基地を設営中らしいから」
「土星?」
「うん。土星の空域を絶対防衛ラインに設定したからだって。ドレッドノート、何隻落ちるかな……。たぶん、500はボカチンするかも……。あれ、安かろう悪かろうな粗製乱造の生産ロットも含まれてるし」
「主力戦艦、そんなに粗悪だっけ?」
「問題になったんだって。前の土星決戦ん時、敵の衝撃砲の一発でバラバラになった個体が多かったから」
のぞみのいう通り、主力戦艦(ドレッドノート級)は白色彗星帝国の艦艇の主砲で轟沈する個体が多く、戦後に問題とされた。これは敵の攻撃力がD級の硬化テクタイト板(ヤマトのそれより質は悪い)を撃ち抜ける攻撃力であったからだ。
「アンドロメダに資材を費やした弊害かもね。カタログスペックだと、ヤマトの二割落ちの耐弾性能は保ってるって触れ込みなんだけど」
「アンドロメダはどうだったの?」
「自動制御がやられると、為す術もなかったそうな。一番艦はね。二番目以降は改良したらしいから、マシだというけれどね」
「生き残った個体はマシ?」
「しゅんらん型は大丈夫らしいよ。真田さんが設計段階で改良したらしいから。だから、旗艦やれてんだって」
「なるほど。そういえば、こまちさん、今はヤマトの図書室で、資料読みふけってるそうよ」
「そっか。記憶は共有されても、あやふやなもんだしね、人の記憶は」
りんから、こまちもキュアミントに戻り、今はその姿でヤマトの所蔵資料を読みふけっているという。ヤマトの資料であれば、他の部隊にはあまり開示されていないものもあるからだ。
「で、アンタはパイロットと挺身隊を兼任だって?」
「うん。ヤマトは意外に白兵戦が多い職場なんだってさ。それで挺身隊に名簿載せられた。ヤマトはオートメーションもかなりだから、人数は増やされても、500人くらいのはず。イスカンダルと白色彗星帝国の時は110人くらいだったし」
「少なっ!!」
「必要最小限の人数だったんだそうな。その後はだいぶ増やされたはず。今は余裕見てるから、400人か500人はいるだろうな。飛行隊が増員されたから。整備班込みで」
「かれんさんは医療班の補助だって。雪さんは看護師だし、ちゃんとした医者が佐渡先生一人じゃ、過労死するって、上層部が悩んでたんだそうな」
「佐渡先生ほどの腕前がないと、ヤマトの軍医は務まらないってヤツ?」
「うん。ヤマトは単艦で大艦隊と戦ったり、白兵戦するからね」
「海賊がいた時代じゃあるまいし…」
「同乗するべき空間騎兵隊も余ってないからだって。白色彗星帝国の時の連中は最果ての惑星の守備隊の生き残りを拾っただけだし」
「で、あたしらが?」
「うん。あ、それと、芳佳は前の航海で同乗した時は弾を運んでたって言ってたから、被弾で運搬システムがぶっ壊れたら、弾運びさせられるよ。もっとも、宇宙戦艦の実体弾は軽いけど」
「学生時代に見たアクション映画であったなぁ、そんなシーン。ところで、あんた、専門外だけど、軍人っしょ?あの砲弾、どんだけ重いのよ」
「たぶん、1トン」
「トラック一台分?」
「あの映画の戦艦はアイオワだから、口径を考えると、重い方だよ。大和型だったら、もっと重いから、あの人数じゃ間に合わないかもね」
「宇宙戦艦の実体弾は意外に軽いのね?」
「ビームが撃てない場合の保険代わりだから、昔に比べたら軽いさ。火薬の性能も違うし」
「そういえば、眼帯してた、あんたの先輩は疎かったわね?」
「あの人は航空屋だもの。鉄砲屋の事は疎いって言ってた」
それは坂本のことだが、坂本は戦中の簡略化された教育課程で士官になった最初の世代であるので、砲術は素人同然。黒江に逆に教えを請う始末である。のぞみにも『私に航空以外の事は聞くな』と開き直っていた。
「まだ、みなみちゃん(キュアマーメイド)に聞いたほうがいいよ。大西瀧治郎中将の姪っ子に転生してるから、ちゃんと家で叩き込まれたはずだから」
海藤みなみ(キュアマーメイド)の転生先は竹井醇子。海軍の名家の息女である。大西瀧治郎の姪御、実父は海軍大佐であるので、生え抜きのエリートの出だ。なお、海藤みなみの人格が目覚めるまでは『竹井醇子』として本当に過ごしており、504在籍時の錦の上官であった。(ただし、のぞみの覚醒後は先輩後輩関係が逆転している)
「みなみ、あんたが覚醒めた時は複雑だったらしいわよ」
「そりゃ、覚醒前は上官と部下の関係だったもの。それが覚醒後は逆転する事になるから。プリキュアとしては、みなみちゃんは7年以上も後輩だし」
「で、こっちに来れるの?」
「無理だって。守りも置かないといけないからって、ゆかりさんに怒られた」
「あの子、高校生でプリキュアになった上、今はうちらの上官だしねぇ……」
「しゃーない。転生先が坂本先輩の師匠だもの。昔のよしみで、ゆかりさんに軽口叩いたら、坂本先輩が無礼だって怒ってさ。黒江先輩が説明してくれて、助かったよ、その時。坂本先輩は昔気質な人だから」
「迂闊だったわね」
「うん。プリキュアとしちゃ、こっちが10年先輩だから、会えた時にいつもの調子で声かけちゃったんだよなぁ。坂本先輩、当てるのうまいとはいえ、竹刀でぶっ叩いて来るからなぁ」
「あの人、そういうの気にしないほうだけど、自分の先生に関しては、別みたい」
坂本は礼儀作法は気にしない方だが、自分の師になると、話は別である。だが、前世の人間関係を聞かされると、ものすごく困った顔になったという。
――10年も、お前が先生の先輩だと?……本当か??――
「あの時の坂本先輩、ものすごく困惑してたっけ。あたしだって参ったよ。あの子は将官だもの」
「先に転生してたとはいえ……こういうの、説明がややこしいのよねぇ」
「本当だよ。芳佳なんて、みゆきちゃんの……キュアハッピーの転生だよ?昔のあの子を知ってるから……」
「あんたも変わってるけどね」
「まぁ、そこはお互い様ってことで」
「で、ヤマトのことはかれんさん達、知ってた?」
「うん。向こうで、ハーロックさんたちから『伝説の宇宙戦艦』だって聞かされてたようだし、アルカディア号・戦闘班長の有紀螢にも説明されてたっぽい」
「ああ、あのブロンドヘアの戦闘機乗りの子」
「あの子、レーダー手も兼任してるよ」
「うへぇ…」
アルカディア号の戦闘班長の少女の名は『有紀螢』。外見上の年齢は15歳前後であるが、実は後天的に不老不死の体質になってしまった者らしく、ハーロックに拾われた時点では、既に100歳を有に超えていたという。そのため、プリキュア5のことも既に知っており、かれんとこまちに未来世界での生き方を教え込んだ一人であった。また、かれんが戦闘機の操縦技能を持つきっかけになったのは、彼女が戦闘機乗り(スペースウルフ乗り)の顔を持ちつつ、ハーロック自身も先祖代々の通例通りに元々は宇宙戦闘機乗りであった事が由来である。
「ハーロックさんも戦闘機乗りから艦長になったクチだから、宇宙時代には、戦闘機乗り出身の艦長って多いんだよね。ハーロックさんの先祖も二次大戦のドイツ空軍で鳴らしてたそうだし」
「で、机に置いてるのが?」
「ハーロック家の祖の一人『ファントム・F・ハーロック一世』が書いた『わが青春のアルカディア』って本の翻訳版。未来世界じゃ、超ロングセラーの古典だって」
『わが青春のアルカディア』。ハーロック家が財を為した要因の一つである、一世の回想録のようなものである。30世紀にも刊行は続いており、かれんとこまちはそれをアルカディア号で読んだという。のぞみは義父ののび太がハーロックの友人である関係で、書斎に翻訳版を置いており、ある時に読んでみたという。
「あたしはまだ、さわりしか読んでなくてさ」
「国語教師になっても、本を読むの面倒くさがってるの、あんた」
「原語版はドイツ語だからねぇ。その気になれば行けると思うんだけど、頭が疲れるんだよねぇ……」
「本だと、難しい言い回しも使ってるだろうし、それもそうか」
ハーロックは先祖の代から、誰かどうかの運命を変える力を持っている。先祖のファントム・Fハーロック親子は大山一族の運命を変え、ハーロック自身はクイーン・エメラルダスやプリキュア5の運命を変えるトリガーとなった。
「ハーロックさんは、向こうのかれんさんとこまちさんの運命を変え、また別のあたし自身に事の重大さを理解させた。彼の一族には『人の運命を動かす』力があるみたいだ」
「間接的に、あたしたちの運命をも変えたってわけか……」
「うん。タイムフラワーに頼らなくても、変身できるように戻った。更にいえば、心に自由の旗を掲げるようになった。そう考えていいと思う。そのおかげで、童心を持ったままで『大人』として振る舞える。人間、誰しも大人になると、多くを忘れていく。だけど、ハーロックとトチローさんは先祖代々、子々孫々までの友情を、時代がいくら移り変わろうとも持ち続け、30世紀の時に夢を実現させた。向こうのかれんさんとこまちさんはそれを知ったことで、彼のもとにしばらくいたんだろうね」
「童心、か。大人になると、色々と捨てなきゃならないものが多くなる。子供の頃に大事に思っていたことでさえも、時には……。だから、あんたやかれんさんは……ハーロックさんとトチローさんの先祖代々、子々孫々の友情に……」
「……うん。時代ごとに立場が変わろうと、出会った時のことを忘れない。あれこそ……。ドラえもんとのび太君もそう。じゃ、私とココは……?って思っちゃってね…」
大人のぞみは自分の世界でのココ(小々田コージ)(が様々な理由で)自分との別れを切り出そうか否かを考えていることを察してしまったらしく、ハーロックとトチロー、ドラえもんとのび太の『幾星霜の時間が経っても不滅の友情』が羨ましく思えた。ココといずれ完全に別ればならないであろう自分の無力さが腹立たしかった。別次元では、その別れが原因で『現役時代に受けた祝福が自分を苦しめる呪いに変わってしまった』。
「誰かの祝福はほんのちょっとのことで呪いに変わる。向こうの私はそれを経てきたからこそ、昔に戻りたかったんだろうね。未来ばかりを向いてばかりでも、過去に固執しても、人の未来は拓けない。だけど、なにかかしらの支えがあれば……肉体がたとえ滅んでも持ち続けられる何かがあれば……道標は現れる。誰かからの祝福を呪いにしてしまうのも、その逆も……全ては……」
――転生し、サムライトルーパーになった方の『コージ』は、のぞみAの前世の自分(小々田コージ)が去った後の不幸でしかない後半生の経緯を知らされ、相当に罪悪感に苛まれ、日々、それで苦悶した。だが、義父であるのび太はこう声をかけ、彼に決心を促した――
――のぞみちゃんはお前との出会いをずっと拠り所にしてきた。たとえ、その思い出が祝福から呪いに姿を変えようとも。それを再び反転させ、あの子の心をお前が救えるかはお前自身の行動次第だ。私は止めはせん……――
大人のぞみは転生したことで、前世の後半生での『呪い』から解き放たれた、別次元での自分と想い人のことを知ったこと、ハーロックとトチロー、ドラえもんとのび太の時を超えた友情を知ることで、この次元のココが願うことと正反対の『戦いの海への船出』を選び、クレオパトラ、卑弥呼、楊貴妃ら『歴代の1000年女王の意志を自分が引き継ぐ』ことを決意していた。それは雪野弥生こと、プロメシュームが後世において、『自身を機械化したことで、自分が愛していたはずの星に仇なす、冷酷非情の独裁者』に自分が変貌してしまうという『最後の1000年女王の悲劇』を知ってしまった故に、自分ができる『彼女たちへの鎮魂』は『自分が地球の守護を引き継ぐことではないか?』という結論に至った。そして、のぞみに充てがられた士官室の本棚に一冊の本があった…。
――その本の名は『1000年女王への鎮魂歌』。雪野弥生こと、プロメシュームが地球を統治していた時代の末期に彼女が『愛していた』地球人の少年『雨森始』が彼女にまつわる騒動から後年、齢を召した頃に執筆した回想録であった。彼の若かりし頃の風貌は何の因果か、30世紀、機械帝国の女帝として君臨していた彼女に引導を渡す格好となる少年『星野鉄郎』と瓜二つであった。その共通点から、30世紀の学者はプロメシュームを『かつて愛した人間の面影を持つ少年に引導を渡された、哀れな独裁者』と評した。だが、彼女が何故そんな事になってしまい、かつての雪野弥生としての優しい人格を喪失したのか?もし、雨森始の末裔が星野鉄郎なら、プロメシュームは『雨森始の末裔に討たれることを心の何処かで望んでいた』ことになる。なお、その子であるメーテルは、クイーン・エメラルダス(実姉)を通す形でだが、機械帝国の女帝・プロメシュームとしてでなく、地球を愛した『1000年女王・雪野弥生』として涅槃に行くのをずっと待ち望んでいたのかもしれないと述べており、星野鉄郎が『母が若かりし頃に愛した少年の末裔である』可能性があることを知っていたと思われ、もし、それがそうなら、『実母が自分と姉妹にしたことを自分が繰り返す事になり、愛した男の面影を持つ少年に引導を渡された』という因果応報かつ、一人の女性の辿った顛末としてはあまりに過酷であった。大人のぞみはその本で、最後の1000年女王が望んでいたもの、守ろうとしていたものを知る運びとなり、その彼女がはるか後年に『冷酷非情の独裁者として、若者に引導を渡された』経緯も知った故に、『雪野弥生として、彼女が存在していた頃』に彼女が地球人に見せた勇気、愛、気高さを自分がキュアドリームとして受け継ぐことを心に決めていたのだった――