ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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第五百五十四話の続きです。


第五百五十六話「大人のぞみの戦技無双と、集結する地球連邦艦隊」

――のぞみA(魔女の世界に転生していた夢原のぞみのこと)とマジンガーZEROの力で存在が同一化した大人のぞみはその力と知識をフル活用。各地に展開した白色彗星帝国を陣頭に立って蹴散らしていった。変身もAがパワーアップを重ねていた恩恵により、キュアモ無しでも可能になっていた――

 

「メタモルフォーゼ!!」

 

大人のぞみは16~7歳前後に若返ったため、髪型をその当時のハーフツインにしていた。(中学生当時よりは外見が年嵩であるため)教師の仕事をしている時はハーフアップのセミロングにしているが、教師の仕事は当分はないためだろう。『メタモルフォーゼ』もキュアモを介さず、なおかつ、この世界における『タイムフラワー』による一時的な奇跡でもなく、乙HIMEの『マテリアライズ』に近い、『体の細胞を活性化させる事で、肉体を戦闘向けに仕上げる』手法によるものであった。のぞみAはパワーアップ後は『プリキュア化』の現象を科学的に分析しており、乙HIMEの『マテリアライズ』(ナノマシンで戦闘用のボディスーツを形成する)に近い現象であると突き止め、アイテム無しでの変身を可能とした。プリキュアであった者は『変身を起こすための因子』が体内に形成されており、『変身アイテムを失ったとしても消えず、人々の思いが具象化されれば、変身はできる。それが地球連邦の科学技術省がのぞみAを被験者にして分析した結果である。大人のぞみはその記憶を呼び起こすことで、『アイテムを介さない自発的変身』をしたのである。

 

(そういえば、若いあたしと面談した官僚、自己判断でよく『勅』を破けたもんだよな。普通は上に聞くだろ?エリートとはいえ……思想の問題か?)

 

大人のぞみが不思議であったのは、『若い自分が面談した官僚』が上司に伺いを立てずに、昭和天皇の『勅』が書かれた紙を破り捨てたことだ。扶桑の昭和天皇の書いたものとわかっていて、『やった』のなら、扶桑の公安が動く案件である。

 

(そうだ。先輩に聞いてみるか)

 

――そうくると思ったぜ。ZEROが騒ぐから、なんだと思ったが――

 

――あ、事情聞いたんですか?――

 

――こっちはメンバーの点呼が終わって、今からインペロの制圧だ。お前、ZEROのせいで存在の同一化が起こったろ――

 

なんと、黒江と世界を超えたテレパスでの会話が実現した。お互いに小宇宙を会得している故の高度な技能だ。

 

――どうもそうらしくて。そっちのあたしには?――

 

――提督から、事後承諾を求める書簡が来た。後で俺が返事を出す。こっちのお前、体を入れ替えてる最中だからな――

 

 

――あたしがそっちでの軍籍使って、大丈夫ですかね?――

 

――なに、複数の同一人物が別々のことを同時進行でするなんざ、ドラえもん達にとっちゃ、日常茶飯事だ。手柄はこっちのもんになるが、提督は報奨金と恩給を保証してくれたぞ――

 

 

――こっちだと、実家出て、賃貸暮らしなもんで、助かります――

 

――高額の報奨金だから、マイホームでも考えたらどうだ――

 

――こっちだと、世界情勢が荒れてたから、そんなの無理ですって――

 

大人のぞみは戦いつつ、テレパスで会話を続ける。

 

――先輩、ヤマトに運び込まれてたコンテナって、試作の?――

 

――元々は俺がダイ・アナザー・デイん時にアナハイム・エレクトロニクスの軍需部門に依頼してたヤツだが、ビスト財団関連のゴタゴタや、野比財団に支配者が入れ替わるとかがあって、延び延びになっていたんだ。別の時間軸にいる、お前の孫娘が持ってきた設計図から起こしたブツも多い――

 

――ま、孫ぉ!?――

 

――俺たちに取っちゃ、時間軸の違いは些細なもんだ。お前にとっても、な――

 

魔女の世界においては、数十年後に孫娘を持つことを知らされる大人のぞみ。タイムマシンの解析と製造を扶桑は2000年代で完遂した関係か、孫の世代の人間たちの手で(自分たちが楽をするために)その時代にはある装備の設計図が持ち込まれることも、ざらにあった。それはのぞみも例外ではなく、プリキュアの因子を継ぐ孫娘が21世紀の扶桑皇国空軍にいるのだ。

 

 

――そいつからの贈り物だ。若い頃のお前に瓜二つだそうだ。故あって、名前は明かせんそうだが。あ、今、提督がお前に向けて、ウエポンコンテナをしゅんらんから射出したそうだ。中身が地面に突き刺さると思うから、ちょっと下がれ、だってよ――

 

「――へ……?」

 

大人のぞみが呆気にとられる間もなく、しゅんらんから射出された『ウェポンコンテナ』が所定の座標でオープンする。

 

「面倒だ、空中で受け取る!」

 

跳躍し、中身を受け取る。中身は鞘付きの大剣である。

 

「これは……『五大剣』!あたしらの能力でエネルギーに変換して持ち歩くのを前提にした構造になってるんだっけ………。使わせてもらいますよ!」

 

彼女が柄を持つと、剣が自動的に戦闘態勢に入り、鞘が外れ、消失する。

 

「この武器は先輩がゲームからアイデアを頂いて、未来世界の技術で実現させたんだったか。先輩も好きだなぁ。で、これが孫娘からの手紙か……2010年代の扶桑にいるのか。……確かに、若い頃のあたしにそっくりだ」

 

写真が添えられており、その時代の扶桑空軍の軍服を着る、14歳の頃の夢原のぞみに瓜二つの少女が写っている。この少女が別世界における、自分の孫娘だろう。

 

「孫娘かぁ……。前世じゃ、その前におっ死んだからなぁ」

 

――そういうわけで、わかんないことがあったら、俺に聞け。またな――

 

と、黒江はテレパスを終える。

 

――ええ。また頼みますよ――

 

大人のぞみは気づいてないが、その剣『五大剣』はのび太が少年期にプレイしていたゲームに登場するスーパーロボット『ヴァイサーガ』の必殺武器のそれを再現したものである。未来世界の最高技術の結晶であり、切れ味は斬艦刀に遜色ない。時空管理局から得た技術も使用されているとの事であるが、調が古代ベルカで使い、発掘後、自身の手に戻った『エクスキャリバー』を解析して得た『古代ベルカ由来の技術』がかなり入っている。見かけの割に軽いからだ(古代ベルカの技術は流石に高く、現代の魔法文明から失われた技術もかなり多い。そのため、ミッドチルダの現代の技術では解析も不可能な『ブラックボックス』がある)。

 

「古代ベルカの技術が入ってるけど、ミッドチルダの技術レベルじゃ、劣化コピーもままならないからって、遺跡から無傷で出土した部品を入れたのか。連邦の命令とはいえ、なんとも哀れだなぁ」

 

武器の使用説明書に記されている簡潔な開発の経緯では、ミッドチルダが注文に応じられず、やむなく、オーパーツ化していた『古代ベルカの遺産』を組み込むことで、要求を達成したというのだから、古代ベルカの軍事技術は現代ミッドチルダを軽く超えるようだ。

 

「ベルカの遺産と地球とのハイブリッド……試させてもらうよ!」

 

大人のぞみはキュアドリームの状態で、五大剣を持ちながら駆けた。そして、速度をガトランティスの機動兵器が対応不能な『超光速』にまで一気に引き上げる。

 

『風を……、光を超える!!』

 

懐に飛び込んだ後、何度も斬りつけ、吹き飛ばす。そして最後に。

 

『……奥義・光刃閃ッ!!』

 

最後は居合の容量で横薙ぎに一閃し、破壊する。居合は扶桑の古株の魔女であれば、全員が技能を持つ。大人のぞみ自身は素人であったかもしれないが、別世界の自分の力を得たことで可能にした。

 

「よしっ!さすが、向こうのあたし!ちゃんと訓練してんだなぁ、居合も」

 

ZEROの力で存在が同一化した恩恵か、現役時代から12年も剣を持っていなかったはずの大人のぞみは高難度の技である『奥義・光刃閃』をバッチリ使用できている。

 

 

 

――如何にどんなに一流のスポーツ選手でも、引退から時間が長く経った後に『往年と同じパフォーマンスをすぐに叩き出せ』というのは無理な相談であるように、大人のぞみは12年もブランクがあった。そのはずが、現役時代よりキレが良くなっている様を見せつけてる。ZEROとの融合による恩恵であった。

 

 

――異次元の自分は逆に戦い続けているから、膨大な経験値を持つ。だから、12年くらいの時間の空白は『ないのと同じ』なんだ!!――

 

重要な要素だが、Aの持っていた経験と記憶がインストールされた事により、ブランクはもはやないも同然だ。それは動きに表れており、現役時代よりも早く動けている他、攻撃への反応速度も現役時代よりも迅速であった。

 

「アトミックサンダーボルトッ!」

 

本来は利き腕ではないが、開いている左拳でアトミックサンダーボルトを放つ。威力は充分で、利き腕ではない方で放っても、彗星帝国の戦車が一瞬で蜂の巣にされ、爆発していく。小宇宙で形成された拳から発せられるエネルギーの破壊力はそれほどのものだ。

 

「秘技・ライトニングフレイム!!」

 

ライトニングプラズマの最高位技『ライトニングフレイム。アーク放電に伴って起こる炎も攻撃に用い、二重の意味で敵を攻撃するもの。元のライトニングプラズマ自体が光速拳の乱打なので、『雷と焔を同時に起こすライトニングプラズマ』と考えていい。そのエネルギーは超電子の領域に入るもので、あのマシーン兵器『ガンバスター』のバスターコレダーすら遥かに超えるエネルギー量である。

 

「こりゃ……凄い。跡形もない。それに、地面がガラス化を起こしてる。我ながら、怖くなるくらいだ」

 

発生する焔も青色であるなど、りん(キュアルージュ)の『ファイヤーストライク』が子供だましにしか思えなくなるほどのパワーである。

 

「次は……智子先輩も試したことがない……何代か前に失伝してたという水瓶座の闘技……やってみるか!」

 

剣をエネルギーに還元し、虚空にしまうと、オーロラエクスキューションの構えを取る。だが、そのエネルギー量はそれすらも超えていた。

 

「オーロラ・アナイアレイト!!」

 

漢字表記で『極光滅殺』と表記される、その技はオーロラエクスキューションの更に上位の技であり、熱力学第三法則を無視した凍気を発する。つまり、『オーロラエクスキューションを超えたオーロラエクスキューション』と考えればいいだろう。少なくとも、カミュの代には既に失伝していた技だという。属性を考えると、本来はかれんが習得してもいい技だが、立場上、あまり前線には出ないので、智子とのぞみ(A)がこの時点で会得者になる。

 

「これ、本当はかれんさんの領分な気がするなぁ」

 

撃ちつつも、氷属性は『かれん(キュアアクア)の領分』であろうことを気にする。とはいえ、未熟な練度の者が放つ『オーロラエクスキューション』では到達不能な凍気を発しているのも事実だ。

 

「絶対零度が有名無実になるけど、ギャグ補正ありだと、これでも生きてるからなぁ。シリアスでも『異能生存体』ってあるけど」

 

メタ的な側面で『絶対に死なないヤツ』は存在すると考えつつ、敵兵を倒す。

 

「絶対零度以上の凍気だ。兵士の自爆機能も機能しなくなるはず」

 

ガトランティス(白色彗星帝国)は世界を問わず、捕虜になった自軍の兵士を遠隔操作で爆破する手段を取っている。大人かれんの勤務している病院はそのせいで機能不全に陥り、医療スタッフの多くが死傷した。かれんが参戦を決意した理由はそこにある。

 

「後腐れの無いように、この辺り一帯を燃やし尽くすか……。幸い、この辺りは無人だ。一輝、技借りるよ」

 

この頃には、のぞみAが鳳凰星座の一輝と知り合いになっていることを窺える台詞である。

 

『咆極煉皇!!』

 

鳳翼天翔の強化技『咆極煉皇』。本来は一輝がアイオリアの後を継いだ後に生み出されるが、メタ情報で一輝に先行して黒江が情報を伝え、一輝が先取りで編み出した後に、他の者へ伝わった。鳳翼天翔そのものは『炎と風属性を併せ持つ技の基本形』であるので、似た技は意外に多い。大人のぞみは『別世界の自分が炎属性を持った』事、小宇宙に開眼済みである』のをいいことに、咆極煉皇を放ったわけだ。

 

「おお……すごい……。さすがは鳳凰と獅子のダブル属性技。一輝が黄金に選ばれるわけだ」

 

一輝は将来、アイオリアなどの後釜として、獅子座の黄金聖闘士になる運命を持つ。その未来の確定を意味する技がこの『咆極煉皇』である。つまり、一輝は『鳳凰の属性を失わずに獅子へ転ずる』事になる。

 

「あたしが使えるっていうことは、向こうのあたしが使えることだから、現役時代の時間軸の世界のあたし……凹んでんだろーなぁ」

 

と、のぞみBが『別世界の自分自身の強者ムーブ』に凹んでいるのを悟るのである。現役時代の自分の最終的なスペックは、どの世界でも同じだからだ。

 

「こちら、ドリーム1。敵歩兵連隊を殲滅した。これより帰投する」

 

「了解。今日のところは休むといい。明日はコスモタイガーで南洋地域にいる空母部隊の殲滅に向かうようにと、提督から言伝てだ」

 

「やれやれ。ハードスケジュールですね」

 

「後顧の憂いはない方がいいからな。小出しにしてくれたほうが、こちらとしても対応は楽だ」

 

「確かに」

 

空中の管制機のオペレーターと通信を交わし、横須賀へ戻る大人のぞみ。一般部隊に手柄を譲る事も、軍隊での処世術の一つ(特に旧枢軸国系の地域に見られる)だ。

 

「今、歩兵部隊から連絡が入ったが、君の後輩らを保護したそうだが、ややこしいことになってるぞ」

 

「ああ、ラブちゃんのことですね」

 

「そうだ。今、確認のために彼女を向かわせた。二人いる事になるからな」

 

「そうだ、この世界には、大人のラブちゃんがいるんだった。フレッシュの初期メンバーは全員?」

 

「今、自衛隊の施設にバスで向かわせたところだ。説明は彼女とドラえもん氏が行うそうだ」

 

「分かりました」

 

大人ラブが保護されたとの知らせを受け、キュアピーチが確認に向かったというのを知らされ、ややこしい事になったと思うと同時に、ラブは自分の時以上に、事情説明に苦労するだろうと同情するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

――この動乱により、現地の日本政府は損害補償に悩んだが、『国連』からの見舞金の支給に安堵していた。失われた軍事力もアメリカ合衆国の支援で回復させられる見通しが立った。だが、10数年ぶりの『宇宙からの侵略者』では、現代の科学力では無力に等しいため、主要国の首脳達は『プリキュア有志の決起に期待する』という、なんとも情けない声明を発表した。とはいえ、既にオールスターズ華やかりき時代は去っており、多くは引退済み。彼女らも成人済みの者は力を失ったほうが多い。連絡が取れても、のぞみの要請を拒む者も多く、結局は世界を超えての混合編成が取られた。プリキュア5とS☆Sはのぞみと咲を始めとし、1000年女王の力で同位体の記憶と経験がインストールされた都合上、『要』とされた。オールスターズの中でも、第一~第二世代が中心なのは、第三世代以降は『役目を終えると、能力が失われる場合が多い』からだ。オトナプリキュア世界の動乱に立ち上がった者は(2022年度の現役チームである)『デリシャスパーティー』を含めても20人ほど。64Fに属しているプリキュア達も複数が駆り出されたが、(産休などの都合もあって)全員が参加できているわけではない――

 

 

 

――出身世界が異なるプリキュアが共闘する都合上、お互いの『すり合わせ』は必須である。戦うことの法的問題等は『国連の要請によるもの』で通す事になった(四葉財閥や水無月家などの力で政治を抑える)他、のぞみ達と共闘の経験がある者たちの内、数人で護衛チームを編成する事になった。如何にパワーアップしたと言えど、のぞみを単騎で無闇に突っ込ませるわけにいかないからであった。また、パワーアップを遂げたものと、現役時代のカンは保っているが、パワー自体に変化がない者、久しぶりに戦う者もいるからだ。また、オトナプリキュア世界にいる古参のプリキュア達には『彼女らに同位体の記憶と経験を与える』という手法が1000年女王の協力で行われた。当時の現役プリキュアであったデリシャスパーティーの面々は当然のことながら、つい数ヶ月前に会った『プリキュア5の面々が本当は四捨五入で30になる年頃である』事に腰を抜かす羽目に陥っていた。

 

「あんたら、本当は三十路なのかよ!?」

 

「拓海……私……まだ、27なのだけど…?」

 

「す、すまない……」

 

プリキュアで初の『共闘する同年代の男性戦士』であった『ブラックペッパー』こと、ゆいの幼馴染である品田拓海はキュアアクアこと、水無月かれんの診察を受けていた。以前のオールスターズ戦で会っていたらしく、キュアアクアは地味に『三十路』という単語にダメージを受けていた。

 

「んじゃ、あの時のあんたは『2008年当時のあんた』なのか!?」

 

「そういう事になるわ。あなたが一歳の時に、私達は現役だったから。今は引退していたのだけど、何かの意志で復帰させられたって事」

 

「んじゃ、あんたは普通に医大いって、研修を終えたばかりくらいの若手か」

 

「医者っていうのは、なるまでに時間がかかるものよ。まさか、プリキュアのコスチュームの上に白衣を羽織ることになるなんてね」

 

キュアアクアは魔女の世界でおなじみになっている『変身した後のコスチュームの上に白衣を羽織る』服装を見せている。同位体の記憶と経験を得たため、『変身したままで業務についたほうが体力的に負担がかからない』事に気がついたため、キュアアクアの姿を保っている。

 

「あん時は同い年かと思ったら、実は12も上だって?頭がおかしくなりそうだ」

 

愚痴る拓海。

 

「私も、あなたが『2022年の人間』だって知ったのは、つい最近のことよ。あなた達の学校の健康診断の仕事をしたから……」

 

「来てたのかよ!?」

 

「え、ええ……」

 

「どおりで、話に噛み合わねぇところがあるはずだ。15年前が、あんたやのぞみの現役時代なら……」

 

「お互い様よ。のぞみも地味にダメージ受けてたのよ、ゆいが自分の時代には『生まれていない』から」

 

「……確かに。『あの時』、のぞみ、ゆいんちの食事を食べたそうにしてたからな……あいつ、今は何歳なんだ」

 

「26よ。私の一つ後輩だから」

 

「まじかよ……いつの時代にも、大飯食らいはいるんだな…」

 

「26はまだ、充分に若い部類よ?」

 

「俺たちからすりゃ、充分に『大人』だよ。20の後半は。でも、あんたらに敬語を使わないでいいのは楽だな」

 

「わたしたちも助かるわ。昔と同じように接してくれて」

 

キュアアクアは拓海に同意する。共闘の経験があると言うことは『気を許せる仲』であるからだ。

 

「ゆいは何してるんだ?」

 

「この戦艦の食堂の厨房で働いてるけど、戦う時には呼び出されるわ。あの子、のぞみの頼み事を二つ返事で了承してくれて、のぞみ、嬉しがってたわよ」

 

「あいつはそういう奴だからな。事情は聞かされたけど、あんたらは戦うのか?」

 

「それが私達の使命だもの。宇宙からの侵略者に地球がやられるのを、黙って見ていられると思う?」

 

「……確かに」

 

拓海はゆいをヤマトから連れ帰るつもりだったようだが、ブンドル団が可愛く見える敵が地球全体を襲っている事実、自身もガトランティスと戦ったことを鑑み、プリキュアスターズとの共闘を選ぶつもりのようだ。

 

「この艦はどこにいくんだ?」

 

「あと数週間もすれば、土星に行くそうよ。奴らの本隊がシリウスとプロキオン、αケンタウリ。少なくとも、その三つの星系から迫ってきている。連合艦隊は土星空域を絶対防衛線に定めた。そこで艦隊戦よ」

 

「なんで、土星なんだ?」

 

「地球に戦闘の影響が出ない距離だからよ。味方の船が今、続々と到着しているわ。そこの窓から見えるはずよ」

 

「す、すげえ……!」

 

拓海がふと窓の外を見てみると。横須賀付近に続々と連合艦隊の艦艇が到着しては、各地に散っていくのが見えた。そして、哨戒行動に出る『ドレッドノート級』がパトロール艦を従えて出撃していき、アンドロメダ級とすれ違う。

 

「宇宙戦艦くらい、驚かねぇつもりだったけど……すげえ……なんて言ったらいいのか……」

 

拓海は連合艦隊の勇壮な姿に圧倒され、言葉もなかった。ドレッドノートでさえ、260mの大きさを持つ。21世紀の基準では充分に巨艦と言える大きさだ。その更に倍以上の巨躯を誇るアンドロメダ級はまさに『超弩級戦艦』にふさわしい。

 

「私も驚いたわ。あんなものを『そう遠くない未来に造れる』世界があるなんて」

 

アンドロメダ級はその存在意義についての議論が絶えない存在であるが、『地球連邦軍初の10万トン超えの波動エンジン搭載艦級』という意味では、充分に意義深い代物であった。ズォーダー大帝も性能そのものは『ヤマト以上である』と評価しており、その量産が軌道に乗る前に侵攻を決断した。戦闘艦としての規模は現在では『中程度』に分類されるが、ヤマトを上回る攻撃力と巡航速度を持つことも、アンドロメダの優れていた点だ。

 

「でもよ、宇宙にいったら、俺たちはどう戦うんだ?」

 

「それは検討中よ。のぞみは宇宙戦闘機とかに乗る気だけど」

 

「大丈夫かよ」

 

「あの子、そういうのはプロなのよ。戦いが終わったら、アメリカかどこかで飛行士免許を取るそうよ」

 

この日、アースとガイアの連合艦隊が正式に編成され、総旗艦はアース側の山南修提督座乗の『しゅんらん』、次席艦は『AAA級』(ガイアが竣工させた、アンドロメダの同位艦級)とされた。似て非なるもの同士だが、アースとガイア。双方の『芹沢虎徹』がアンドロメダの名誉回復を望んでいた事からの決定であった。また、山南自身、アースの『如何にもと言う風な年配の提督』と『若々しい風貌の中堅層の一艦長』という二人が同時に同じ場所にいる。なお、アースの芹沢虎徹はなんと『アンドロメダ級・カシオペアの艦長兼、三番の序列の指揮官』という形で参陣しており、軍令部次長という立場を考えると、危険な真似をしていた。つまり、自身が計画から関わった『カシオペア』に手柄を立てさせたい(アンドロメダ級の二番艦以降の建造に当初から賛成していたため)という親心からの参戦である。周囲からは『次長は土方司令長官が戦陣に散られたのを気に病んでいるために、前線にしゃしゃり出る』と揶揄されていたが、ちゃんと艦隊指揮の経験は豊富であり、一年戦争などにも参戦した古豪である。なお、地球連邦軍の生き残っている提督の中では珍しく『最初から砲術畑』の人間である。その名残りか、艦政の方針は大艦巨砲主義気味である。(逆に、地球連邦軍のシンボルとして鳴らす『ヤマト型』の艦長は意外にも、水雷・航空出身が多数派である)空母が少ないように見えるが、これは『とりあえず、戦闘艦の数を一定にまで回復させるのが先決』という彼主導の建艦計画によるものだ。その代わりに『航空戦艦』の末裔『機動戦艦』が生まれているが、中途半端だという声もある。地球連邦軍は『戦闘空母』をガミラス以上に熱を入れて研究しているが、『戦艦と空母の機能を兼任できる船』は1930年代前半以来の海軍関係者の悲願である。

 

 

「ん?空母がいなくないか?」

 

「戦艦が30機ほどの艦載機を積めるらしいし、空母は作るのに手間がかかるみたいよ」

 

連合艦隊の空母は規模を考えば、ごく少数である。これはバトル級などの戦略空母が重視され、戦術空母が軽視されがちな地球連邦軍の現状である。無人兵器の過度の普及を強く嫌う派閥が地球連邦軍の主流になったため、ガイアのように『無人兵器を多数運用する』事は『有事でなければ了承されない』。その難点と、一定以上の戦艦は一定の航空運用能力を持つので、純然たる空母艦隊はどうしても(人的資源の問題で)小規模にならざるを得ないというのが、『太陽系連合艦隊の弱点)であった。

 

「……って言っても、戦艦の数が多くてもなぁ」

 

『エアカバーが薄いか、ない艦隊は航空機の餌食』というのは、太平洋戦争の事を身内から聞かされていないであろう世代である拓海も『常識の範囲』として知っている。多少なりとも、プラモデルなどの趣味を嗜んでいれば『自然と身につく』ものである。

 

「気持ちはわかるわ。でも、ヤマトの世界は戦争続きで、人材不足なのよ」

 

「戦争続き、か……宇宙時代になっても、戦争続きってのは嫌なもんだな」

 

「地球人同士の内戦と星間戦争を同時にしてるも同然なのよ、ヤマトの世界は」

 

「宇宙戦艦ヤマトの世界、か。まさか、数年おきに宇宙人が来るってんじゃないよな?」

 

「どうも、そうらしいのよ」

 

「はぁ!?なんだよそれぇ!?よく、地球が無事だな!?」

 

地球連邦の驚異とも言うべきか。星間戦争と内戦を同時進行しておきながら、宇宙大航海時代を迎えつつあるのだ。その溢れんばかりのバイタリティは『21世紀の人間』である自分たちに想像だもできない。キュアアクア(水無月かれん)と品田拓海は地球連邦の不屈の精神と不死鳥の如く、何度も地球の文明を立て直すという地球連邦の国民の精神力に圧倒され、言葉を失うのであった。

 

 

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