ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

619 / 788
「オトナプリキュアの世界編」です。


第五百六十四話「烈火の怒り」

――大決戦の記憶をプリキュアのうちの何人が持つのか?それは定かではない。だが、その際に垣間見た『未来世界の動乱の歴史』が彼女らの運命を変えたのは間違いないだろう――

 

 

 

 

――大人のぞみが横須賀基地のドックに入っている『宇宙戦艦ヤマト』の甲板で佇んでいると――

 

 

「あれが……」

 

「うん。大和型四番艦を改造した宇宙戦艦。その名もまほろば」

 

「まほろば……」

 

オトナプリキュアの世界に飛来した『まほろば』。宇宙戦艦ヤマトの准同型艦という体裁だが、元々は大和型四番艦であり、途中で超大和型戦艦に切り替えられたという経緯を持つ上、ヤマトよりも後に改造されたためか、ヤマトと違い、原型艦の面影がより残っている。まほろばという艦名は旧日本海軍の命名規則から外れているが、これは大日本帝国の回天を目論んでの『轟天計画』による願かけの一環であるという。

 

「まほろばまで動員されたって事は……いよいよ本気だな」

 

「あなた、なんでそんなことまで……」

 

「地球連邦軍のある世界の自分の記憶と力を持ったからさ」

 

大人のぞみは連邦軍の軍服を着込み、すっかり軍人と言える風体だ。別世界の自分が授与された勲章の略綬もつけているため、傍から見れば、これまでに数々の戦功を立ててきたベテラン軍人に見える。そのため、大人くるみ(ミルキィローズ/美々野くるみ)は驚愕する。

 

「どうして、ココ様が来るのを止めたのよ!?こんな時だからこそ…!!」

 

「今回はココたちにはどうにもできないからだよ。宇宙戦争を戦うんだよ?デッド・オア・アライブを地で行くんだ。地球そのものを消し飛ばせるミサイルをたんまり持ってる国家の残党だ。地球連邦軍が宇宙戦艦ヤマトを艦隊戦で使う時点で『本気』なんだよ、くるみ」

 

「宇宙戦艦ヤマト……どうして、昔の戦争で沈んだ戦艦の名前を継いだだけの船が……」

 

「それは我々の世界では『ヤマト』という言葉は特別な意味を持ったからです」

 

「まほろばが呼ばれたのなら……そうか。貴方も来てるってことか…。羽黒妖さん」

 

「お久しぶりです、夢原少佐」

 

その女性士官『羽黒妖』。まほろばの幹部乗員であり、なおかつ『1000年女王の経験者では?』という疑惑がある。まほろばがデザリアム戦役に参戦していた都合、のぞみとも面識がある。

 

「は?え?し、知り合い!?」

 

『昔からの知り合い』かのような挨拶を交わす二人に衝撃を受ける、大人くるみ。

 

「前にちょっとね」

 

大人のぞみは関係の説明無しで『仕事』の話を進める。

 

「まほろばが表に出るという事は?」

 

「ええ。白色彗星帝国の残党にボラー連邦が物資援助をしている疑惑が持ち上がりまして。下手をすれば、ボラー連邦と正式に戦争状態に」

 

「なんてこった、ボラー連邦が加担してやがるだと?ボラーの無法者共めッ!」

 

のぞみとの口から荒い口調の悪態が口を突いて出たため、大人くるみはさらなる衝撃を受ける。

 

「銀河連邦はなんと?」

 

「彼らは最高戦力(ギャバン、スピルバン、シャイダー)を派遣してくれたそうです。ボラー連邦ははぐらかしていますが、小手調べで我々と一戦交える気満々でしょう。」

 

「汚い真似を!外交筋は?」

 

「演習を通告してきていますが……例によって、でしょうな」

 

「ガルマン・ガミラスに援軍を乞うのが現実味を帯びてきたなぁ」

 

「既に、古代艦長が個人的なホットラインで援軍を依頼しているとのことです」

 

「三つ巴どころじゃない戦になりそうだなぁ……今回の戦は」

 

「下手すれば、銀河系を実効支配する星間国家同士の『大戦』の火蓋を切る事に」

 

「ボラー連邦の輩には、全滅してもらって、おかえりいただくのが一番だな……」

 

「拡大波動砲のテスト艦も動員されております。既に『長門』『陸奥』『河内』『土佐』の四隻が本土を」

 

「拡大波動砲はテスト段階じゃ?」

 

「ですが、ボラー連邦と戦になれば、通常の波動砲では『捌ききれない』恐れが」

 

「うーむ……」

 

「それと、欧州連合州が新鋭の『キングジョージⅤ世』級と『ビスマルク級』を、北米州は『アリゾナ』級を投入すると」

 

「完成したばかりの次世代試験型まで駆り出さないと、とてもおっつかない。そういうことか」

 

「ええ」

 

二人の会話からは、『ボラー連邦の参戦』が現実味を帯びてきている事、次世代技術の試験にと、地球の旧・列強諸国の地域が独自に建造中の『ポスト・アンドロメダ』を目される新鋭艦も投入が決まった事がわかる。拡大波動砲という新型波動砲(アースの波動砲はタキオン粒子が前提のエネルギー砲であるので、ガイアとサレザー・イスカンダルの条約には抵触しない。)も投入が決まったということがわかる。

 

「出立は艦隊編成が完了次第。それまでにタイタンに基地の設営を終える予定です」

 

「分かった。ありがとう」

 

「それでは、私は古代艦長にご挨拶するので」

 

敬礼し、艦橋のほうに向かう羽黒妖。彼女の出自は謎であり、1000年女王の経験者、もしくは候補者の生き残り(1000年を既に生きたという言から)というのが濃厚である。

 

「あの人、誰だったのよ…?」

 

「羽黒妖。超時空戦艦まほろばの幹部で、たぶん、1000年女王の関係者。あれで1000年を生きてるそうだよ」

 

「せ、1000年!?」

 

「宇宙は広いからね。恐ろしく長命の民族もいるのさ。彼女はその関係者じゃないかな。そうでなきゃ、1000年もの年月を若いままで生きれるわけがない。普通はね」

 

「1000年女王……」

 

「地球はそれ以前に栄えてた宇宙の文明が何かかしら影響を及ぼしてたってこと。1000年女王はその最たる例さ。その本拠があったのが日本なのさ。大和は日本の別名でもある。それと同時に、地球を汚染から救った希望の光。その意味を持つようになったのさ」

 

ヤマトという単語が持った、新たな意味。ヤマトは文字通りに何度も地球人類の運命を回天させ、起死回生に繋げたと教える。

 

「起死回生……」

 

「それを実現させた原動力がヤマト。つまりはこの艦なのさ。そして、戦艦大和の生まれ変わりでもある」

 

「第二次世界大戦で沈んだ船を引き上げたの!?」

 

「緊急事態だったから、作り替えつつ、往時の外観を偽装に用いたんだそうな」

 

ヤマトは大和の生まれ変わりである。ひいてはラ號、まほろばもだ。ヤマト型は基本的に、大和型とその後継艦をベースにして改装で生み出された宇宙戦艦を指すのだ。

 

「ヤマトだけじゃない。まほろばも大和型戦艦、つまりは戦艦大和の姉妹艦を改造して生まれた宇宙戦艦」

 

「スケールが大きすぎるわね……」

 

「な~に。些細なことさ。それに、この世界だと、本当は『タイムフラワー』で一時的にプリキュアに戻って、事態を解決する』。それがあたしらの最後の戦いになった。だけど、それどころじゃなくなったし、1000年女王の介入で、恒常的な変身能力が戻った。ココにそんなの、どう説明する?」

 

「そ、それは……」

 

「ココには悪いけど、事態が終わるまでは来ないでもらう。地球があるかどうかの保証もないからね、ボラー連邦も介入すると」

 

「ボラー連邦?」

 

「ヤマトのある世界での、天の川銀河の半分近くを支配する共産主義国家。昔のソ連邦みたいな国家さ。ソ連より節操ない無法者だけどね」

 

「なんで、そんな事を知ってんのよ!?」

 

「向こうの世界のあたしと存在が同一化したせいかもしれない。シュレディンガーの猫って理論があるけれど、『どこにでもいて、どこにもいない』。そういう存在になった。だから、今の容姿から老け込む事もなくなったし、死ぬこともなくなった。だから、向こうの世界での記憶があるんだ」

 

大人のぞみは17歳当時の容貌に戻っている他、自身がもはや『普通の人間』ではない(世界を超えて存在できるマジンガーZEROと別世界の自身が融合した影響)という認識を持っている。

 

「ん?あなた……さっきから思ってたけど、微妙に若返ってない?」

 

「失礼な、10歳は若返ってるよ」

 

「いや、20代から10代へは誤差の範囲だって」

 

大人くるみはのぞみの容貌が10代の時のものに戻っている事に気がついた。現役時代より三年ほど加齢した『高校生』の時代の容貌になっているが、元は26歳であるのを考えると、傍からは『微妙な違い』である。

 

「あ、こんなところに。お~い。のぞみちゃ~ん。出動要請出てるよ~」

 

ゆいがやってきた。古代からの伝言で、お呼びがかかったと伝える。

 

「どこに?」

 

「えーと、厚木基地の救援だって」

 

「あそこ、海自の救難部隊や輸送部隊しか常駐じゃなくなってるからな、攻めやすいと踏んだか……。ええい、しょうがない。ヤマトの機体もオーバーホール中だし、変身して行くしかないか」

 

「え、ここ横須賀よ!?厚木基地って、大和市と綾瀬市の境じゃ!?」

 

「大丈夫、今のあたしなら『飛べる』から」

 

「え!?」

 

『メタモルフォーゼッ!!』

 

大人のぞみはそう唱えると、なんと、この世界では影も形もないはずのフォーム『エターニティドリーム』に直接の変身を遂げ、背中の黄金の翼(形状は天使のように滑らかな黄金の羽。神聖衣化した射手座の聖衣に近い)が出現し、それを羽ばたかせる。

 

「な、何それーーー!?」

 

「向こうのあたしからのプレゼント。そう考えてる。ゆいちゃんも後から来て!!」

 

「うん!!」

 

エターニティドリームはその黄金の翼で真ゲッターもかくやの超高速機動で厚木基地に向かった。大人くるみは茫然自失の有様だ。

 

「くるみちゃん、ぼさっとしてないで、みんなに伝えて!」

 

「そ、そうね……あなた、実際はうんと年下なのね……なんか来るわ……」

 

「え、くるみちゃん、妖精でしょ?」

 

「妖精も年は取るの!」

 

と、人間態の外見が26歳相当の美々野くるみが正真正銘の14歳(現役世代)の和実ゆいに叱られるのはシュールだが、あまりに衝撃過ぎたのだ。

 

「とにかく、あたしも後を追うから!」

 

「ち、ちょっとまって!あなた、変身したとして、飛べるの?」

 

「……あ~!しまったぁ!」

 

「素で飛べるプリキュア、少ないのよねぇ……。あたしも飛べないし」

 

飛行能力を素で持つプリキュアはハピネスチャージプリキュアやS☆Sなどの少数である。中間フォーム以上でないと飛べない傾向が続いているからだ。

 

「ゆいちゃん、銀河連邦警察から借りてきたよ~!」

 

「あ、みらいちゃん!」

 

「え!?みらい、あなたも来てたの!?」

 

「まぁ、この世界の私じゃないんだけどね。宇宙刑事シャイダーの『ブルホーク』の同型のオートバイ借りたから、くるみちゃんもミルキィローズに!」

 

朝日奈みらいはジョンストン島攻略の直後にリコ共々に召集されたようで、その際にブルホークの同型車を借り受けたという。

 

「わ、わかったわ!リコはどうしたの?」

 

「リコは別の仕事!とりあえず、ドリームの後を追うよ!咲ちゃんと舞ちゃんは飛べる形態で向かうって」

 

「変身してるのね」

 

「あたしたちは、はーちゃんしか単独で変身できないし」

 

「ミルクも早く変身するモフ~!」

 

「そういえば、あなた達の代は変則的だったわね…」

 

モフルンも、『魔法つかい』の変身システムの都合で同行している。モフルンがいなければ、みらいとリコはプリキュアになれないのだ。それをモフルンの姿を確認したことで思い出した大人くるみ。

 

「も~!急かさないでよ!」

 

不満を垂れつつも、彼女はミルキィローズに変身する。のぞみが1000年女王の力で能力をインストールされた影響か、彼女もまた(ごく自然に)ミルキィローズに変身した。

 

「三人乗りは危なくない??」

 

気がつけば、三人のプリキュアが宇宙刑事のマシンにまたがるという、実にシュールな構図になっていた。

 

「仕方がないモフ。みらいが交渉して、持ってこれたのが一台だったからモフ」

 

「あなた、いつの間に」

 

「いろいろあったの。あたしも『のぞみちゃんと同じ世界線』から来たから。この世界にあたしがいるかわかんないからって」

 

「それじゃ、あなたは……」

 

「この世界の住人じゃないよ。細かい説明は道中でするよ。あたしも地球連邦軍にいるから」

 

 

と、三人は厚木基地へ向かう。

 

 

――道中――

 

「それじゃ、あなたは地球連邦軍の世界にいるのね?」

 

「そうなんだ。そこで機械工学学んで、魔法を応用したロボット造れるようになった。大学で博士号も取ったよ」

 

「な、何よそれぇ!?」

 

「いやぁ、連れてこられた後は暇だったからさ、下宿先の人の持ってる、ロボットアニメを見るうちにはまっちゃって。で、また別の世界の魔導機械理論も知ったから、それで試したんだ」」

 

「みらい、なんか悪ノリしてるモフ。オタクだモフ」

 

「あなた、どこをどうしたら、そんななるのよ!?」

 

「気がついたら、朝早くからガンプラ買いに、量販店行くわ、アニメ専門チャンネルや動画の契約をしたり……。どっぷり」

 

「あなた、魔法つかいでしょーが!!ロボットなんて、機械工学の極地でしょうに」

 

「それはそうなんだけどさ、所属部隊の権限が融通効くから、最高の素材を取り寄せて作ってたわけ。プログラミングも専門学校に通って覚えて……」

 

「はぁ!?」

 

「いやぁ、魔法はもう究極の域のが使えるしさ。魔法学校で上位の成績だったし。それはそうなんだけどさ、所属部隊の権限が融通効くから、最高の素材を取り寄せて作ってたわけ。プログラミングも専門学校に通って覚えて。ロボット同士の戦闘を見てると、なんだか血が湧くような気がしてね、遠い記憶なんだけど、ずっと前に『魔法とロボットで戦ってたような感覚』があってねロボットはロボットで叩きふせなきゃって、心の奥底から感情が溢れて来るんだ。それでやっちゃった」

 

「何よそれぇ!?」

 

「響ちゃんと奏ちゃんも連れてくる予定だったんだけど、こっちの二人に1000年女王がインストールしてくれたから、手間が省けたよ」

 

『そうなんだよ』

 

「どう?紅蓮とリゼルÇ型・改の調子は?」

 

『妙な感覚なんだよ。こいつに乗ったら、血が沸き立つんだ。ゾクゾクして…。乗るのは始めてのはずなのに、他人の機体のような気がしない……どうして?』

 

キュアメロディは紅蓮聖天八極式の予備を支給されたようである。未来世界の技術で代用された箇所はかなりであるが、オリジナルの機能は全て再現済みだ。

 

『別の私、エースパイロットだったの?みらいちゃん』

 

「うん。そうだよ、奏ちゃん。グリプス戦役以来の古参なんだ。可変機乗りで鳴らしてる。Zガンダムの後継ぎに乗ってたけど、あいにく用意できなくて。量産型にしたよ」

 

南野奏は未来世界に『クレア・ヒースロー』という悪ノリ上等な、エゥーゴ以来の連邦きってのエースパイロットとして転生を遂げており、Zドライバーの古参として鳴らす『腕っこき』であった。あいにく、その愛機『ゼッツー』は用意できなかったらしいが、リゼルC型の更にカスタム機は同じZ系のTMSなので、代用されたようだ。それでも現時点では最新のZ系の一つだ。

 

『不思議なんだよね、体が自然と動く。どう操作していいか、まるで……』

 

『どういうことなの、みらい?』

 

「1000年女王様々って事。獲物は多いよ。プレシャスとロースは先に降ろすから、滑走路を確保して。制空権はこっちでなんとかする。場合によっては、あたしの機体を射出してもらって、空中で飛び乗る」

 

「な、なによ、その選択肢!!?」

 

「持ってこれたからね。それに、のぞみちゃんとかれんさんには……新型のゲッターロボも用意されてる。たぶん、今後に実戦テストを言い渡されると思う」

 

「げ、ゲッターロボ!?」

 

「あ、拓海が見てたアニメのやつだ……そっちの世界だと実物あるんだ……」

 

「大人しめの奴だけどね。前々から、橘博士が作ってた処女作なんだけど、まだパイロットが育成中で、実戦には、とても出せなくてね。ゲッターは普通の人間には乗りこなせないから……」

 

橘博士が送り込んだのは『ゲッターロボ斬』。女性がパイロットであるのを想定した初のゲッターで、忍者ゲッターの異名を持つ。真ゲッター完成後に生まれた故か、その能力はゲッタードラゴンを上回るものである。従って、パイロットへの負荷はゲッターGを超え、通常の女性パイロットには荷が重い代物となる。なおかつ、ゲッターへの適応率が高い必要もあるため、忍者として育てられていた三人の少女が見出され、育成されていたが、文明とあまり縁がない『忍者の里』で育ってきた故か、ゲッターへの適性は高いが、肝心の操縦に苦労する有様であった。そのため、隼人は妥協的に『操縦技能のあるプリキュア達に機体の熟成をさせる』という手法での実戦テストを提案し、のぞみへ送ったのである。

 

「それで、のぞみちゃんに乗るように要請が来たんだ。とはいえ、ゲッターは三人必要だから、パイロットをプリキュアから選抜しろって。のぞみちゃん、頭抱えたらしいよ」

 

「そりゃそーだって。ゲッターは合体ロボだし。自動操縦だと、パワーが出ないって設定だったし。あれ、アークは一人乗りでも……」

 

「あれは特別だし、拓馬だからだよ」

 

「あれ、知り合い?」

 

「同僚の息子さん」

 

「え~!?」

 

驚くプレシャス。ゲッターアークのアニメを見ていたらしい。

 

「良ければ、紹介するよ。ゆいちゃんたちには今後も世話になりそうだし」

 

「大丈夫?いろんな事……」

 

「その辺はどうにかするよ。咲ちゃんなんて、実家のパン屋が空襲で被害受けてないか、ハラハラだって言うけど」

 

「のぞみは?」

 

「……連邦軍が調査にいったら、住んでたマンションとその周辺は焼けてたって」

 

「え!?すると……」

 

「この寒空の下に締め出されたも同然だってこと。帰りがけの駄賃に爆撃されたみたい。かわいそうだけど、部屋は跡形もなかったって」

 

なんと、のぞみの済む賃貸マンションは帰りがけの駄賃と言わんばかりの適当な残弾整理のような爆撃に遭い、住んでいた部屋はものの見事に焼失していた事が判明した。

 

「今、焼け残ったところに、何か残ってないか、調査中だって。かわいそうだけど、写真は焼けるし、仕事のデータ入れてたPCは木っ端微塵。それを伝えたら、烈火のごとく怒ってた」

 

結局、大人のぞみは後日、賃貸マンションを解約せざるを得なくなり、実家のマンションに戻ろうにも、安全のための避難がなされ、地域ごと警察に封鎖されてしまったというショックに遭遇。宇宙戦艦ヤマトに寝泊まりするしかなくなってしまった。その衝撃も、エターニティ形態での壮烈な戦闘に繋がった。

 

 

 

 

――厚木基地上空――

 

「ガトランティス!!よくも、よくも……あたしの家を!!あんたらを生かして返すかぁ!!……『神剣抜刀』(エクス・マキナ)!!」

 

エターニティドリームになった大人のぞみは(住んでいたマンションの焼失という、精神的ショックもあるのか)凄まじい戦闘ぶりを披露。正式名が『カラクルム級戦闘艦』という噂のある、白色彗星帝国の主力戦艦隊(前衛の30隻)にエクスカリバーのパワーアップバージョン『エクス・マキナ』(神剣抜刀)を食らわせた。これはエクスカリバーの力に『草薙剣』の力を加えたもの。つまり、東洋最強の剣の力でエクスカリバーをパワーアップさせた技となる。手刀で放たれた衝撃波は『拡散波動砲のエネルギー弾にも、当たりどころによっては耐える』とされるはずの大戦艦をも文字通りに一刀のもとに斬り捨てた。

 

「馬鹿な…奴は……何をしたのだ……!?」

 

斬り捨てられた艦の艦長は『艦が轟沈する』一瞬、切り口から見える『一人のプリキュア』の姿に仰天した。キュアドリームは手刀を放っただけだ。だが、その衝撃波で艦はバラバラにされたのである。

 

「あたしの家を焼いてくれた礼だ。とくと味わえ!!」

 

大戦艦のセンサー類でも捉えきれないほどの速度で飛翔。そこからの。

 

『ライトニングトルネェーードッ!!』

 

『雷光竜巻』。雷と竜巻のコンビネーション技であり、本来は獅子座の聖闘士の闘技である。大戦艦をも巻き上げる竜巻と雷が同時に起こり、巻き上げられた敵艦が一直線に並ぶ。

 

『ライトニング……テリオス!!』

 

ライトニング・ボルトの究極系『ライトニングテリオス』。『拳から打ち込まれし雷が敵艦のあらゆるところから吹き出て、瞬く間に消滅させる』という光景を出現させる。厚木基地にいた自衛官らは、この神の御業とも取れる攻撃に茫然自失となり、状況分析も忘れてしまう。当然の事だが、歴代のどのプリキュアも実現し得なかった光景だからだ。

 

 

――これができたのは、上官の黒江に『山羊座、天秤座、射手座、獅子座』の適性があり、それらを修めた黒江の闘技を目の当たりにし、いつしかそれを欲し、聖闘士になれるレベルの特訓をしており、最後の一押しがZEROとの融合であった。それはのぞみAが経た過程であり、大人のぞみには関係ないはずであったが、1000年女王の力、マジンガーZEROが神域の存在であったことによる『存在の同一化作用』が働いた結果、技の使用が可能となった。つまりは基礎戦闘力が一気に飛躍したのである――

 

 

「ちょ、なにあれ!?」

 

「やっぱ怒ってんなぁ。あの辺りの空間、しばらく歪むかもなぁ」

 

「あれ、ライトニングテリオスの光モフ」

 

「あーー~。やっぱ使ったか。あのエネルギー、物理限界超えてるしなぁ」

 

「ライトニングテリオス?」

 

「のぞみちゃんがこっちの世界で使う大技の一つ。超光速の雷を圧縮して、敵に叩き込んで内から破壊する。この世界でも使えるようになってるようだね」

 

「はぁ!?何よそれぇ!?」

 

「うーん…。プリキュア本来の力じゃないしねぇ。それに、敵艦が粉切れにされてるのが見えたから、草薙神剣も使ったようだねぇ…」

 

「く、草薙の剣!?」

 

「天叢雲とも言われるけど、日本の皇室が祀ってる神剣。のぞみちゃんはある時に、その力を宿したんだ。東洋最強の剣の力を西洋最強の剣の力に合わせたんだ。その威力や推して知るべしってヤツ」

 

「ど、どうなってんのよぉ!?」

 

草薙神剣は安徳天皇の入水の際に失われているが、その力は健在であった。更に布都御魂の力も合わせると『エクス・カムイ』と呼ばれる境地に至る。草薙神剣単体でも、エクスカリバーに上乗せするだけで『たいていは事足りる』。

 

「あー、ローズ。考えてちゃ、頭が持たないよ。物理限界なんて、とうに超えてるんだから。たぶん、あたしらが倒してきた歴代のラスボスは一撃で倒せると思う」

 

「!?」

 

「そりゃ、神話の聖剣と神剣を同時に使うようなものだよ?ドリームコレットを攻撃に使うのと同義だと思っていいくらいだよ」

 

「ど、どういうことよ!?」

 

「それだけの力を宿したんだよ、戦闘に関しては」

 

「うーん…。よくわかんないけど、日本神話の剣の力が?」

 

「それも、神様が振るうレベルだよ。宇宙戦艦どころか、星も斬れるよ、たぶん」

 

「なんで、プレシャスがわかんのよ!」

 

「いや、日本神話とかは常識の範囲っしょ?」

 

「うん」

 

「ぐぬぬぬ……」

 

「それに、あたしはごはんのプリキュアだし」

 

異世界出身故、地球の神話に疎いミルキィローズ。この世界では、地球に15年近く滞在していたはずだが、それでも、地球の神話には依然として疎いのである。

 

「うぅ……地球に15年近くはいたんだけどなぁ……」

 

「ど、どんまい」

 

と、プレシャスが慰めていると。

 

「あ、あれは『ファントム・フェニックス』!やっぱ、そうするかぁ」

 

「!?」

 

「見て」

 

二人が遠目に見たエターニティドリームはキュアハートのラブハートアローに似たものを構え、エネルギーの矢を生成し、鳳凰を象ったエネルギーとして射出、後続の大戦艦を屠る。

 

「あれはラブハートアロー!?どうして、ドリームが使えんのよ!?」

 

「うーん。色々な垣根がぶっ飛んだからなぁ、あたし達。あたしも『プリキュア・シューティングスター』を借りて、試しに放った事あるし」

 

「どーなってんのよーーー!!」

 

『あたしらだって、わかんないって!別の世界での記憶と体験をインストールされたって言っても……』

 

メロディとリズムも同意である。とはいえ、大人のぞみが別世界の自分に合わせられる形で強化された事だけは確かである。また、この世界では『プリキュア5の後続のプリキュアが現れていた』が、近似の世界では『フレッシュ以降が出現していない』らしい。つまり、『オトナプリキュアの世界』はアニメで言う『本編』を経た後の『プリキュアオールスターズ』のいずれかの戦いから分岐した派生の一つであることが確定したことになる。また、『プリキュア5は世界線によって、力を失う』(現役時代の心境が加齢で失われたためだろうか。それとも、パワーソースが他のプリキュアと統一されなかった世界線故か?)事も確定した。

 

「その辺は調査中モフ。ミラクルもよくわかんないらしいモフ」

 

「なによそれぇ!?ちゃんと説明しなさいよ、モフルン!!」

 

「わかんないのは、わかんないモフ」

 

と、モフルンにはっきりと言われてしまっては立つ瀬がないミルキィローズ。

 

「つまり、ドリームは色々な垣根を超えちゃってるって事だね」

 

「モフ」

 

メロディ、リズム、ローズの三人はモフルンに言われてしまっては立つ瀬がないのを理解したか、ため息をつく。だが、自宅マンションを焼かれ、怒りに燃えるドリームの烈火の如き攻撃は止まらない。

 

『ライトニングフレェェイム!!』

 

「どひゃぁ!?ライトニングフレイムまで!?」

 

『なに、あれ!?』

 

「アーク放電を伴った、すごく速いパンチ?炎つきの」

 

「パンチであんなのができるの!?」

 

「なにせ、超光速のパンチだから。それに焔と雷が伴う。まともに当たったら、アレキサンドライトスタイルのあたしでも、ゲ◯吐かされるよ」

 

「な!?」

 

「あたしとのぞみちゃん、ガチで殴り合いした事あるんだ。月面に穴を30個は増やすくらい。その時の経験。アレキサンドライトスタイルの防御力を超えてきたから、本気で金魔法使ったよ」

 

プレシャスにミラクルは教える。プリキュア同士の戦闘はご法度であるが、みらいとのぞみはマジンガーZEROのことで殴り合いに発展し、月面を揺るがす大喧嘩をした。通常フォームどころか、最強フォームで繰り広げてしまい、月面地図の全面書き換えを地球連邦政府にさせてしまった。その際に、みらいは圧倒的パワーに防戦一方になってしまったとぼやく。なにせ、アレキサンドライトスタイルの防御魔法を容易く破るパワーをぶつけられまくったので、接近戦でしか勝負のしようがなかったのだから。

 

『無限破砕(インフィニティ・ブレイク)!!』

 

ドリームは射手座のアイオロスが生前に用いた闘技『無限破砕』(インフィニティ・ブレイク)を使用する。一瞬で無数の光の矢が生成され、一斉に放たれる。意気揚々と現れた白色彗星帝国の艦載機の第一陣(400機)はこの技で一掃される。みらい(キュアミラクル)は敵に同情すらした。

 

「あー……敵の艦載機の第一陣は完全終了だな、こりゃ」

 

「すごい……」

 

「今のはほんの一部だけど、あれがパワーアップしたのぞみちゃんが持ってる闘技」

 

「パワーアップし過ぎでしょう!」

 

「何、デウス・エクス・マキナ的なポジションのなぎささんとほのかさんに比べれば……」

 

「ま、まぁ……そうだけど」

 

プリキュアのいる世界では、なぎさとほのかの力が通じない=世界が闇に堕ちるという法則が存在する。デビルマンにとっての『牧村美樹の天寿の全う』、聖闘士の世界にとっての『ペガサスの聖闘士が存在するか?』に匹敵する一種の図式であり、法則。なぎさとほのかの力が通じなければ、そこで世界の運命は決してしまう。のぞみはそんな宿命を持つ二人の力になりたいという気持ちを持っており、その想いをZEROが自分なりに解釈した結果が『神を超え、悪魔を倒す』ほどの戦闘能力であった。

 

「なぎさとほのかは、ある種の宿命に縛られてるのがわかったモフ。」

 

「宿命?」

 

「最初にプリキュアになったから、あの二人だけは世界を守るために、自分の意志で若い姿に戻れる。それが宿命なんだモフ。のぞみ達はあくまで『あの二人の後に生まれた』から、力を失う世界線があるモフ」

 

モフルンも、なぎさとほのかが『初代である』故の戦いから逃れられない宿命に同情しているようであった。

 

「そんな……」

 

「だから、のぞみはなぎさと一緒に戦った『後継ぎ』としての責任を感じてたんだモフ。だから、パワーアップした別世界の自分と同一の存在になるのに抵抗がないモフ」

 

『なぎささんたちに頼ってばかりのあたし達にも、責任があるのは確か……。だから、プリキュアに戻ったんだ』

 

この世界でのキュアメロディも、その事の自覚を持っていた。故に、ピアニストとして社会的に成功していながら、プリキュア戦士に戻る事を選んだのだと。この時代では『20代前半』なので、新進気鋭の美人ピアニストといった扱いだ。

 

「あ、ネメシスだ」

 

厚木基地に向かった自分らを援護するためだろう。アンドロメダ級三番艦(改アンドロメダ級一番艦)『ネメシス』がドレッドノート級以下の護衛艦隊を率いて飛来した。ネメシスは元々、『カシオペア』に続く、アンドロメダ級の三番艦として建造されたが、建造中に姉妹の戦没が伝えられ、戦後に波動砲を収束型に変更する小変更が施され、内部を大幅に改良された『改アンドロメダ』の一番艦(テストベッド)として竣工。大決戦にも参戦し、現在は地球連邦の旗艦級として古参の扱いになる。

 

『発光信号だ。ワレ、援護ス。だって』

 

「提督の計らいだね。厚木基地に降りよう。上空は艦隊がカバーしてくれる」

 

みらい(キュアミラクル)は紅蓮に乗るキュアメロディに、信号への返事である『援護、感謝ス』という発光信号を出してもらい、厚木基地に降り立った。

 

 

 

――未来世界でもそうだが、厚木基地は東京(メガロポリス)の近辺に位置する基地な故か、下総航空基地よりも狙われやすい。21世紀には既に戦闘機の常駐する基地では無くなっていたのに、だ。それも未来世界での『戦争の七不思議』と噂されている。とはいえ、戦闘機の整備拠点ではあったので、コスモタイガーなどは厚木基地で整備を受けたり、立川基地でパイロットの休養と言った、基地別の役割を持たせられた。厚木基地は戦闘機の整備が可能なので、此度の戦でも、地球連邦軍が現地世界の米軍と自衛隊から借り受ける形で借用していた。重要な整備拠点であった――

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。