――魔女の世界の世界情勢は同位国の介入で狂わされた感があり、カールスラントは国家そのものが転覆寸前に陥り、扶桑は国内の農村部がカルチャーショックで急激に衰退し始める(大地主の解体など)など、当事者の予想外な反応が表れた。扶桑の那覇市に大損害を与えた『日本の市民団体』は『知らぬ存ぜぬ』を通し、地元民に責任を押し付けようとしたが、自分たちが地元の伝承を無視し、怪異の封印を解いてしまっていた事が発覚。自分たちの市民運動の正当性を自ら否定する格好になり、結局は代表は雲隠れし、地元民は半ば泣き寝入りであった。この莫大な損害賠償は日本政府が肩代わりすることになった。現地の安全保障の問題も絡むため、結局は二隻の空母を港に留め置き、そこから空戦魔女を送りこむこと、空挺魔女をその空母に常駐させることが取り決められ、また、航空便用という名目で空港は結局造成される(地元の要望)ことになったため、彼らの行為は『地元に災厄を呼び込んだ』だけであった――
――結局、扶桑の那覇市の発展はこの事件で大きく歪められた形になり、地元民の恨みを相当に買った。また、魔女への強度の差別意識を伝播させる形にもなったため、扶桑の政府と軍が対応に苦慮する羽目に陥った他、それを広めた側の彼らも『魔女を差別をするつもりはなかった。我々には扶桑軍の近代化の遅れを咎める意図が……』と言い訳がましい声明を出す羽目となった。また、彼らの強い圧力で学校を追われた魔女候補生への損害補償も絡んだため、結局、扶桑軍は一握りの英雄らに頼り切る様相を強めてしまう。扶桑軍は本来、『魔女の事変世代からの入れ替わりを想定しての体制づくり』を始めていただけに、その逆の『事変世代ありき』にされたのは、人材の新陳代謝的には逆戻りと言わざるを得なかった。また、予想外であったのは、海軍航空隊の縄張り意識の大きさであった。これにより、エースパイロットの大半が空軍に移籍する事態に陥った。付随して、海軍の航空機のあり方も否定されたため、結局は史実の米海軍と同じ道筋をたどることになるなど、生え抜きの海軍航空の軍人と技術者には『ショックな出来事』が続いた。結局、現場も事変世代と事変後第一世代の対立が強まり、空軍から『組織が回っていない』と揶揄される有様となった――
――魔女界隈も『過度に実力主義が蔓延っている』と外部から強く批判されたのは予想外の出来事であった。フーベルタ・フォン・ボニンは過去の発言が原因で、日本連邦の大衆から強く誹謗中傷された。(撃墜数を持たない時代のパイロットを愚弄しているという批判が大きかった)本人はコンドル軍団出身であるのもあり、ものすごい批判を浴びた。コンドル軍団出身者は他世界からの白眼視に立ち向かうため、率先して戦線に立つようになっていき、その少なからずは戦陣に散る。カールスラントはこの貴重な人材の喪失も重なり、軍事大国の地位から少しづつだが、確実に失墜していく。本来、後続を育てるのも役目であるはずの古参世代が自身の名誉の回復のために、最前線で戦い続けた結果であった。日本連邦が皮肉なことに、その彼女たちのもたらしたノウハウで『次の時代の魔女大国』へ成長していくのは、大いなる歴史の皮肉であった。――
――カールスラントの政府は実質的に崩壊していた。内戦で行政府は停止、軍は内戦で軍閥化、警察は連絡と統制が絶たれて散り散り。頼みの皇室は亡命してしまったため、内戦を止めるには、外部からの介入しかなかった。元々、半ば軍事国家化していたため、NATOが矯正しようにも遅きに失していた。20世紀後半の西ドイツと日本の混合を規範に再生することになったが、軍隊は多くの人材をリストラせざるを得なかった。それはエースパイロットであっても同様で、日本連邦に有能な人材の大半が流失する事態となっていた。日本連邦はちょうど、国内の動乱で中堅層の魔女がごっそり抜け、人材的にガタガタになっていたので、カールスラントからの人材受入れは大歓迎であった。日本側は(かのコンドル軍団出身者が多数いた事から)強く難色を示したが、飛行時間が長く、高練度の魔女はすぐには得られない事、コンドル軍団の実情が史実と正反対であった事で容認された。扶桑軍の魔女部隊は皮肉なことに、兵科の解体が決まった後に中興を迎えていくのだった――
――とはいえ、太平洋戦線は(史実通りの地形と、そうでないところが混在しているため)日本もその防衛には苦慮していた。更に、中国と朝鮮が近世で滅んでいる事から、実質的に一国でアジア太平洋の平和を維持せねばならない事が判明したので、太平洋の植民地は(資源確保のために)手放せないことも、左派の提唱している『アジア国家連邦の樹立』が机上の空論であることの証明であった。特に台湾は史実と違い、魔女の輩出数が少ない事から、独立(中華系国家の再興)は不可能であった。更に言えば、中華国家の滅亡時の王朝であった『明朝』は歴代王朝の中でも腐敗が酷く、王家に対する信奉など、とっくの昔に消え失せていたため、王家の生き残りの末裔は扶桑人と既に同化していた。結局、21世紀世界の台湾軍が一定数の駐屯をすることで政治的に妥協するしかなく、彼らの構想は泡と消えた。台湾軍の駐屯の理由は名目上、扶桑軍への防衛の指南であった。また、シャムも国号を『タイ王国』に切り替え、日本連邦の影響下ではあるものの、日本連邦との協力は生存のためにも続けられた。また、アジアにいる華僑の末裔が魔女になり、タイ王国で訓練を受け、同国の戦力になるケースも増大し、同国は扶桑に次ぐ、アジア第二の魔女大国へ成長し始めるのである――
――こちらは未来世界。ネオ・ジオンの解体後も残党のテロは止まなかった。デザリアムに相当数が駆逐されていたが、ティターンズ残党の一部がジオン残党に合流。それが火星で大勢力となっていた。地球連邦の主力が遠征でいなくなった隙を突こうとしたが、火星でも派閥抗争に明け暮れるだけであった。だが、旧ギレン派はキシリア派とドズル派の派閥抗争を余所に、着々と軍備を再建していた。強力なる指導者のもとで――
「総帥、我が艦隊の再編成は順調であります」
「うむ。ずいぶんと年月が経ったようだな。我が軍の戦力は往時の30%に落ち込んでいるのは?」
「ハッ、派閥抗争が続きまして…」
「妹の醜態のせいだな。私にも責任はあると言わざるをえん」
蘇ったギレン・ザビはデザリアム戦役の騒ぎにも自軍を関わらせず、軍備の再建に時間を費やしていた。火星にいたジオン系住民を糾合しつつ、各地から落ち延びた『連邦に敗れた歴代の反連邦勢力の残党』を取り込みつつあった。ネオ・ジオンで、ミネバに面従腹背であった者たちはコチコチのギレン派であったり、キシリア派の残党なのだ。
「新型のMSの生産はどうか」
「ハッ、順調であります。先の大戦の機種からの機種更新は40%ほどであります」
「うむ。連邦のMSほどの防御性能は無くとも構わん。ビームシールドはコストを上げる要因だ」
ジオン系の技術者は連邦で普及していた『ビームシールド』を持たせるよりも、機動力を重視する傾向が強い。ギレン・ザビも一年戦争の反省により、数を揃えるのを重視しているのか、連邦で普及済みのビームシールドを嫌っていた。練度が伝統的に高めのジオン軍だからこそできる選択だが、ギラ・ドーガは『ジェガンのバルカン・ポッドくらいで蜂の巣にされる』など、ジオン系は量産機の生存性に難がある傾向は一年戦争以来の悪癖だ。
「総帥、我々は……。
「焦りは禁物だ。時が来るまでは、小惑星帯で雌伏するのだ。ハマーン・カーン……マハラジャの二番目の娘はグレミー・トトごとき、青二才すら御せなかったようだがな」
ギレンはハマーン・カーンのカリスマ性を酷評した。グレミー・トトの反乱の根を摘む事ができなかったからだろう。彼らは『最後のジオン公国』として、着々と軍備を蓄えている。ネオ・ジオン関連の混乱が収まる頃を狙うあたり、ギレンの頃合いを見る目は確かであった。また、この頃には、ギラ・ドーガやギラ・ズールに代わり、一年戦争の各機種をリファインした『RFシリーズ』が台頭しつつあったが、技術レベル的には、連邦の名機『ジェガン』と同レベルのものと、この当時としては、旧世代に分類される程度のものである。だが、多くが一年戦争からグリプス戦役前の水準の機体であったジオン軍には朗報であった。ギレンの座乗する戦艦の窓から見える、新型のザクである『RFザク』はザク系MSの最終型であり、ムーバブル・フレームはギラ・ドーガと共通であるが、内装は新世代化された後継機であった。そのため、純粋なザク系ではなく、ハイザックの後継機であると言えるが、ジオン系の外観を持つMSとしては最も新しい機種であった。戦闘力もジェガンJ型と同程度であるなど、旧機種より強力なザクであった。
「上位機種の製造も始めています」
「ビームシールドはエース用に限定せよ。我々はけして裕福ではないからな」
「ハッ。我が方はシールドを使うよりも、機動力で回避するのが教本にありますからな」
「先の大戦から教本を変えておらんと、レビルは笑うだろうが、ビームシールドは目立ちすぎるのだ」
ジオンはビームシールドよりもIフィールドを積んだMAを信頼する。シールドの防御限界と、ビームシールドの普及に伴う整備コストを鑑みたものであり、かつてのザクとズダの最終的な競作コンペでもあったように、ギレンはコストパフォマンスを多少なりとも考えるらしかった。そこは実際に国と国軍を動かしていた『指導者』であった彼ならばの視点であり、国力の都合上、防御力にまで金を回せない懐事情の反映であった。
――オトナプリキュア世界での動乱は白色彗星帝国の完全掃討を図れる絶好の機会であったため、地球連邦軍は主力艦隊のほぼ全てを投入した。MSもまだ初期生産段階の機種がテスト代わりに投入され、戦果を挙げていた。オトナプリキュアの世界は複数が存在し、その内の『プリキュア5の後も、後続のプリキュアが生まれていった場合の世界』がこの動乱の舞台であった。つまり、のぞみたちの『基本世界』(大本になる世界)から派生した世界の一つなのだ――
――厚木基地――
「つまり、あたしらは大元になった『現役時代の流れ』から派生した存在だって事だね。だから、あたしは教師にはなることは決まってるってことだね」
「他の皆はどうなってんの?」
「現役時代に二通りの道がある事が示されたりんちゃんは派生が多めらしいし、くるみは『立憲君主制になったパルミエ王国の総理大臣』になるらしいよ」
「え、あたしが!?」
「うん。ただ、分からないのは、なぎささんとほのかさんなんだよね。順当に加齢してた場合、2020年で30歳になってるはずだし、今だと、32歳くらい。二昔前のバブル期なら、小学低学年の子供がいてもいいくらい。この世界にもいるようだけど……」
厚木基地に集合した一同。戦闘態勢は解かれていないので、変身したままだ。
「あたしは2016年で14になるから、本当なら二十二歳くらいか」
キュアミラクルが言う。
「ぐぬぬ……ピチピチ……」
「ちょうど就職するくらいだから、落ち着いてもいられない年頃だけどね」
「現役の年頃なの、わたしだけ?」
「そういうことになるねぇ。ま、プリキュアになってれば、みんな14歳から17歳くらいの外見に戻るけどね」
「でも、なんで、厚木が狙われたの?神奈川にあるったって……」
「航空機の整備施設があるからさ、ここは」
キュアドリームはキュアプレシャスに、厚木基地が狙われた理由を教える。航空機の整備はいつの時代も基本は同じなので、航空機の重整備が行える厚木基地は意外と重要なのだ。
「米軍が使ってた施設が残ってるから、こっちの艦載機の重整備もできるからね。今回は試作装備に載せ替えてる部隊も連れてこられてるから」
正確に言えば、整備を請け負っている会社の施設であるが、地球連邦軍はまとめて借り受け、コスモタイガーなどの整備に充てている。ガイア(反地球)から伝わった陽電子機関砲のテストを行っている部隊が多くいたからだ。
「あなたはどうするの、ドリーム」
「この世界の守護をしていくさ。どうせ、今の学校はこの戦争で潰れるか、規模縮小するだろうから、転職先を考えないとならなくなるし、これが終わったら、ここで本来起こるべき事件も起こるだろうから」
「タイムフラワーにまつわる事件ね?」
「多分ね。ま、他の派生世界と違って、あたしらは完全にプリキュアに戻ってるから、それほど長くかかんないだろうけど。向こうの世界のあたしにも会って、軍籍を借りた事を伝えたいし」
「向こうの世界にいるあなたって、チートの塊なのよね?さっきのあれ見ると。どれだけなのよ」
「テンセンシズ(神領域)の扉を開いてるから、たぶん、純粋な戦闘力じゃ、全部のあたしの最高ランクだろうね」
「アレキサンドライトスタイルのあたしをボコボコにできるからね。しかも、最高ランクの炎の魔法をかき消せる『大蛇薙の炎』を使えるし」
「大蛇薙?」
「ヤマタノオロチを討滅した一族の出なのよね、向こうのあたし」
「や、ヤマタノオロチ!?」
「うん。今はあたしも出せるよ。草薙剣は武術を指す言葉だったみたいでさ」
草薙流古武術の詳細は継承者ののぞみAでもよく分かっていないが、『太古の扶桑でヤマタノオロチを討った武術であり、その武術を継承してきた者』というのが、把握している範囲の情報だ。長い年月を経ているので、真偽は不明だが、のぞみの素体であった『中島錦』は次子ながらも、当代の長子(現・当主の小鷹)よりもその血が色濃く現れていた。それが、のぞみAに草薙流古武術の闘技をもたらした理由なのだ。
「で、向こうのあたしが使うようになったのは、プリキュアに戻って、しばらくした後。りんちゃんに相当に言われたみたいだけど、こればかりは転生先の都合だしね」
「確かに。あたしなんて、一度はショッカー、それと手を組んだ奴に負けて、倒されてるし」
「え!?って、ことは……」
「一度は死んだんだ。今の肉体は生まれ持ったものじゃなくて、超科学で再構成した、新しい肉体なんだよね。だから、昔と同じ姿なんだ」
「!?ど、どうやって?」
「冥界から魂を呼び戻して、新しく造った体に宿らせた。オカルトと科学が半々の生き返り方なんだ」
驚くキュアプレシャスとミルキィローズ。キュアミラクルもなかなかにぶっ飛んでる事を言うからだ。
「あたしの上官達がそれを主導したんだ。素で冥界行けるからってんで、あたしとリコの魂を冥府から連れ出したんだ。ゼウスの許しを得て、ね」
「ぜ、ゼウス!?あの……ギリシア神話の?」
「うん。そのゼウス」
みらいはその際に遥かな前世の要素が蘇っており、以前から性格が変化している。副産物として、プロ級のプログラミング技術が身についており、地球連邦大学と軍で正式な教育を受け、この時点では、自分の乗機を造れるほどの工学・プログラミング知識を持っている。
「あ、ミラクルのあれ、運んできたってさ」
「後で、魔導炉心の調子を見とくよ。野戦での起動に必要なスターターもつけたからさ」
「つけたの?」
「全機能を最初からオープンにするには、時空管理局の最新の船に使われてる魔導炉心用の新型スターターがいるから、ジョンストン島を落とした後に、取り替えるだけ取り替えた」
「あたしは例のあれのテストを向こうのあたしの代わりにしなくちゃならないから、当分は機体選択の自由ないんだよねぇ」
「いいじゃん。ドラゴンよりパワーのある新型なんだし」
「あれって?」
「見せたほうが早いね。外に出て」
ミルキィローズとキュアプレシャスの疑問ももっともなので、キュアドリームは基地の駐機場に出て、合体形態で荷下ろしがなされた『ゲッターロボ斬』を見せる。
「こ、これ……」
「ゲッターロボの新型、ゲッターロボ斬。向こうの世界で完成して間もない新型。ゲッターロボGよりパワーは上だよ」
和風のテイストでまとめられ、女性型ゲッターといった体裁のゲッター斬だが、かつてのゲッターQと違い、本格戦闘用のスーパーロボットである。武装や機体出力はゲッタードラゴン、ライガー、ポセイドンよりも強力であるが、真ゲッターロボよりはだいぶ常識的な範疇の出力である。
「できたてホヤホヤだから、あたしらにテストさせる気なんだよね。響ちゃんが記憶に馴染むまでは、あたし一人で乗るっちゃないな」
「待って、響を乗せる気!?」
「三人乗ってないと、定格出力出ない仕組みなんだよ。とはいえ、アークの動力系統を参考にして改良したっていうけど」
ゲッターは元々、三人で乗らなければ『炉心が定格出力を出さない』という仕組みである。ゲッターアークの動力系統を参考に、動力伝達系統が改良されたようだが、未知数である。
「どうして、あなたがこんな……たいそれたロボのテストなんて」
「普通のパイロットじゃ、ゲッターについてこれずに壊れちゃうからさ。それに、ゲッターエネルギーへの適性の問題もある。明日辺りに起動テストしてみる。動きゃいい」
ゲッターロボは機体の制作が終わると、起動テストが必ずなされる。しかし、ゲッター斬は諸事情でそれができていなかったという。キュアドリームは神隼人の思惑に乗っかるのはシャクだと思いつつも、なんだかんだでテストは引き受けるあたりは『現役時代と同じく、根本でお人好し』であるからだろう。
「でも、こんな戦艦を野ざらしに?」
「仕方ないって、アンドロメダ級は降着態勢取らないと、着陸できないから。400m超えだから、掩体壕に入らないし」
アンドロメダ級は地球連邦軍の波動エンジン搭載の戦艦では最大級を誇る。だが、元々が宇宙空間の運用中心の思想で設計されたため、地上降下後の運用性が考慮されていない側面がある。そのことへの反省がさらなる次世代艦に生かされていくのである。
「これでも、艦隊と戦隊旗艦設備ある仕様で、凡百のドレッドノート級より出来いいんだけどね。」
「つまり、この船は特別仕様?」
「旗艦用に専用設計で作られた高価な船なのさ。宇宙戦艦の時代になると、他の異星人との外交にも使われるから、旗艦用の戦艦は強そうに造るんだってさ」
アンドロメダの生まれた理由の一つは『復興のアピール』であるが、物質文明の退廃の象徴のように扱われているので、旗艦の座を政治的理由で降ろされつつある。とはいえ、その能力自体はヤマトを凌ぐため、軍事的には重宝されている。そんな微妙な立場に置かれているわけだが、船体設計の美しさは随一であり、戦闘艦のメカニズムとしては、『単なる戦闘マシン』と酷評した真田志郎も『設計の美しさは認めよう』とぼやいている。大和型の基礎を崩さなかったため、水上艦艇の面影が残るヤマトと違い、新世代の『宇宙船』感があるアンドロメダは(実際の戦果はともかくも)デザイン的には人気が高いのだ。また、似て非なる『前衛武装宇宙艦』は40cm砲であったが、アースのアンドロメダ級は50cm以上の大口径砲を有しており、それが絶大な攻撃面のアドバンテージであった。
「56cm砲に換装されたって言うから、たぶん、今の地球連邦軍で一番に威力のある宇宙艦用の砲じゃないかな?」
「ご、56㎝!?」
それを聞いて、思わず腰を抜かすミルキィローズ。『大艦巨砲主義』もここまで来るのかと言わんばかりだが、実は実用上、砲の大口径化はこの辺りが限界点なのだ。
「人的資源の問題で、大艦巨砲主義にならざるをえない状況が生んだ怪物だね」
アンドロメダ級戦艦の余裕のあるターレットリング周りの設計が為し得た『砲のさらなる大口径化』。戦乱の激しさが実現させた『大艦巨砲主義』の極致。『復讐の女神』の名を与えられし『アンドロメダ級』はその船体を厚木基地で休めつつ、戦陣に散っていった長姉『アンドロメダ』の仇討ちを異世界ながらも、(アンドロメダの鎮魂のためにも)為し得ようと、その砲は空へ向けていたのである。