ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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オトナプリキュアの世界編です。


第五百六十九話「魔女の世界の変化、オトナプリキュア世界の動乱」

――結局、扶桑と日本は同位国とはいえ、『別の国』であるという意識が日本側で薄かったことが軋轢の元であった。日本の左派はとりわけ、双方の政府から『トラブルメーカー』と見做された。Gフォースの設立は左派の妨害防止のためであった。結局、Gフォースは『実験装備の試験部隊を兼ねた存在』という説明がなされていたが、実際は後の地球連邦軍の母体の一つになる実戦組織であった。64Fの人材と装備の充実はそのためという説明が(主に日本向けに)行われていた。実際、腕利きを後方で『遊ばせておく』と、日本系国家では陰口を叩かれるのが常であり、現在では、エースパイロットは自動的に前線配置となる。これは陸軍航空審査部と海軍航空本部がエースパイロットを多数有していながら、防空任務に就かせなかったことが強く批判されたからで、政治的妥協の産物であった――

 

 

 

 

――ある意味、未来世界での『エースパイロットには最高の機材を与える』というドクトリンの始祖的な存在が日本連邦軍であった。常に数的劣勢であるが故の妥協であったのも事実だが、武士の時代の名残りが強い日本系国家では、英雄の存在は特に歓迎された。扶桑の航空関係者はこの風潮を歓迎してはいなかったが、カールスラント軍の醜聞が明らかになると、次第にエースパイロットの存在を認めていった。その事により、ミーナは余計に扶桑の古参の魔女らに睨まれたのである。また、元来の『フライング・エース』という言葉が和製英語である『エースパイロット』にすっかり駆逐されるなどの変化も重なり、日本連邦が『魔女の世界における覇者』になるのは疑いようのない事実であった――

 

 

 

 

 

 

 

――元来、扶桑の航空部隊には『個人の手柄よりも、集団の戦果を誇れ』という風習が古くからあったが、ダイ・アナザー・デイでのカールスラント軍の醜態により、『欧州は裏で自分を馬鹿にしているし、差別している』という実情が明らかになり、扶桑軍は慌てて、従軍記章の創設や『事変のスコアを(未確認含めて)全面的に公認する』という動きを見せた。志賀などの古参はこの流れで立場を失い、自身の前途すら投げ出してでも、『組織の伝統の維持』をしようとしたが、大元帥たる『天皇陛下の意向』の前には無力であった。ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケは彼女らの恨みも買う形になり、彼女らによる襲撃への対策もあり、1945年からしばらく、公の場での動向が途絶えることになった。公には『何処かで病気療養』という発表をした上で。カールスラント空軍は一連の流れで権威を喪失したばかりか、扶桑の国民感情が冷却化してしまい、扶桑から援助を引き出すことが困難になってしまうという苦難に見舞われ、軍はほとんど『人材派遣会社』と揶揄される有様へ堕ちていくのであった――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――こうして、日本連邦は『カールスラントの代わり』を求められたため、扶桑の軍縮を外圧で封じられる形になった。だが、自分で人材確保を難しくするという失策を犯したため、結局は外国から義勇兵を募る羽目になり、軍縮で職にあぶれた『各国軍の退役・予備役軍人』が大量に応募し、採用された。魔女部隊の多くはこの応募による義勇兵が数的意味での主力となっている。坂本は『やむを得ない』と容認している。志願制が主体になった上、反戦の風潮が強まった時代には、義勇兵を集めなくては、前線の需要を満たせない事をわかっているからだ。有事には志願は減る事もあるのだ。その代わりに、既存の人材は使い倒されることは確定している。兵器技術の飛躍がありながら、魔導理論の進歩に素材技術が追いつかないことから、第二世代理論の熟成には長い時間を要することになった――

 

 

 

 

 

 

 

 

――オトナプリキュアの世界ののぞみや咲は何故、往時の能力を失っていたのか?それはいくつかの仮説があった。一つはパワーソースが現役時代から変化せずに『役目を完全に終えると、資格を失うシステム』となっていたのか、そもそものパワーソースが『オールスターズの世界』とは異なっているのか。プリキュアの力は本来、変身者の加齢程度では失われないはずである。現に、なぎさたちは『のぞみ達の後続のプリキュアが出てこなかった』世界線においても、往時の変身能力を維持していたが、それはなぎさとほのかが『全ての始まり』であるが故であろうか。大いなる謎であった。大人のぞみはなし崩し的に第二次ガトランティス戦役を戦うことになったわけだが、同位体がZEROと融合している影響で、思考が完全に同一化し、大人のぞみ本来の性格より苛烈な戦いぶりを見せるようになり、口調も荒くなっていた――

 

 

――オトナプリキュアの世界――

 

「あーもー!!数だけしか能のない『カブトガニ』野郎め、性懲りもなく!!」

 

エターニティドリームとなった大人のぞみ。本来、この次元では影も形もないフォームだが、ZEROの影響で覚醒していた。むろん、必殺技も。

 

『ハイドロブレイザーァァァ……ギガバースト!!』

 

ハイドロブレイザーギガバースト。大空魔竜ガイキングの最大技の一つである。ギガンタークロスという武器を弾体にして放つ『ハイドロブレイザー』の派生であり、最大パワーを誇る。それを再現したわけだ。威力は本物と同等であるので、艦爆隊は一撃で数十が消し飛び、数百が損傷を負う。

 

「ハァッ!!」

 

右腕をおろむろに振るう。『聖剣』を使ったのである。残敵掃討にうってつけの攻撃であった。その場から動かずに、数百の艦爆を始末する。

 

「厚木には、整備中のコスモタイガーがたんまりあるんだ。手出しはさせない!」

 

厚木基地には、艦載機の整備施設がある。23世紀の世界でも、その施設は何度めかの改修工事を経て、現役である。無論、この世界にも、それはある。ドリームはそれを守るべく、別世界の自分に感謝しつつ、さらなる攻撃に入る。

 

「バスターランチャー、借りといて良かった。あの世界、ダウンサイジングできるもんな」

 

ドリームはなんと、のび太が友人のツテで手に入れ、その後に連邦軍が『高エネルギーを扱える者』用に量産、支給している『バスターランチャー』をメネシスから射出してもらい、それを受け取り、構える。バスターランチャーとは、『どこかの世界』最強の武器であり、撃てば『確実に数日は命中した先の空間が歪む』とされるほどの高エネルギーを放つ、波動砲と似た方向性の超兵器だ。既に、タキオン波動砲を常用する地球連邦にとっては、生産はお手のもの。だが、使用条件が厳しく、並の機動兵器用のエンジン以上の高エネルギーを扱える『聖闘士級の実力』がなければ、そもそも起動しない。プリキュアでも、その条件を満たす者は少ない。

 

「バスターランチャー、エネルギーイン!!」

 

ドリームは異世界の同位体と存在が同一化した影響もあり、バスターランチャーを苦もなく使用できる。量産にあたり、エネルギー回路に改良が施されていたが、起動に必要なパワーを満たせる者は少ない。プリキュアでも、上位フォームになれる者でなければならない。更に、発砲の際に相応の反動があるため、それを堪えられるだけの力も要求される。

 

「いっけぇーーーー!!」

 

黄金聖闘士級の実力を持った彼女であれば、最大出力で扱える。厚木基地の上空で第二陣を発艦させようとしていた空母機動部隊はバスターランチャーの光芒に飲み込まれ、空間が歪みつつ、消滅していった。

 

「ふう……。あー、ネメシス?上空に航行禁止の勧告を」

 

「おそらく、一週間後に空間震が起こり、元に戻るだろうから、それまでの期間を設定しておく。全部隊の艦載機の重整備には、それ以上の時間がかかるだろうが」

 

メネシスの艦長はそう答える。バスターランチャーを最大出力で撃てば、2000~3000m級の山も一発で消滅する。だが、あまりの高密度のエネルギーを扱う都合上、空間自体が一時的に歪む。それを予め想定しての設定だ。

 

「本艦は発進する。護衛を頼む」

 

「了解」

 

アンドロメダ級は着水性能が低いため、ラー・カイラムなどの旧来型同様に、陸上への着陸機能がある。艦型が完全な舟型ではないが故だ。艦艇部のスラスターを更かし、一定高度まで浮かび上がり、波動エンジンを起動させ、巡航モードに入る。純然たるアンドロメダ級の運用上の難点とされる点だ。

 

「うへぇ……排水量で10万あると、迫力あんなー……」

 

「ドリーム、なに関心してんのよ」

 

「みんなは大変だねぇ」

 

「あんたは自前で飛べるからいいけど、こっちは乗り物使わないと、普通の姿じゃ飛べないのよ~!」

 

と、ミルキィローズが愚痴る。

 

「ミラクル、大変だねぇ」

 

「昔の暴走族みたいな気分だよぉ」

 

「確かに、三人と妖精が相乗りしてる状態だしねぇ、それに」

 

事実上の四人乗り状態のブルホーク。仕方がないが、通常フォームのプリキュアは飛べないのだ。

 

「箒だったら、定員オーバーで、地面を這いずり回ってたよ。昔に経験があるけど」

 

「でも、あたしまでプリキュア扱いなの、なんでなのよ」

 

「プリキュアに準じた力を持つんだし、大まかにはプリキュアでしょ。ルミナスだって、他の世界じゃ、プリキュア扱いで落ち着いてるし」

 

ミルキィローズは正式には『プリキュアに似た存在であって、正式なプリキュアではない』が、大まかにはプリキュアである。シャイニールミナスからして、プリキュア扱いにされているからだ。

 

「でも、他の世界じゃ、子供まで知ってるなんて……」

 

「まぁ、普通にアニメになってたからモフ~妙な気分だったモフ」

 

「悪い気分じゃないっしょ、ローズ?」

 

「そりゃ、まぁ……」

 

ミルキィローズは『平行世界では、自分たちはアニメの存在である』ことに複雑な気持ちらしい。

 

「はーちゃんなんて、なぎさとほのかをアニメとして見ることになったから、思いっきり困惑してたモフ。その頃は動けなかったけどモフ」

 

「ああ、聞いたよ。なんていえばいいのかって顔だったって」

 

「うん。後で聞いたけど、のぞみも一年目はヘソ出しだったモフ?」

 

「そうだよ。若い頃はそうだったんだ。二年目以降は一年目とは別のパワーで変身してるから。なぎささんもそうだったはず」

 

「若い頃はって……たった12年でしょうが」

 

「長いよ、12年は」

 

と、ローズはツッコむが、ドリームにとって、12年は充分に長い時間である。当時は14歳であったのぞみ(1993年生まれ)も、2020年には27歳前後。教え子がプリキュアになっていてもいい年齢だ。

 

「教育実習の時の教え子が2023年にプリキュアになるって聞かされてさ……」

 

「えぇ!?」

 

「うん。教育実習で受け持ったクラスをまとめてた子なんだけど、その子が未来にプリキュアになるって聞かされてさ…」

 

「ああ、キュアバタフライだね。世間は狭いなぁ」

 

「モフ」

 

ミラクルとモフルンはこの反応だ。この世界では、キュアバタフライ/聖あげはは、のぞみの教育実習時代の教え子であったらしい。教え子がプリキュアになるという事を聞かされたからか、自分の実年齢を意識せざるを得なくなったらしい、キュアドリーム。

 

「歳食ったの、実感するよぉ……」

 

「それが大人になるってことだよ。まぁ、プリキュアになってれば、みんな10代だから」

 

「うぅ……」

 

「ある意味、好きなタイミングで若い肉体になれるから、のぞみちゃんも、みらいちゃんも、太るとか気にしないでいいんじゃ?」

 

「そうなんだねぇ。ま、のぞみちゃんはこの世界じゃ、6年で酒飲みまくってたみたいだから……」

 

「あーん!酒は控えるって~!かれんさんにも言われたし…」

 

のぞみはこの世界線では、仕事柄、酒を飲むようになっていた。頻繁に飲むため、肝臓に負担がかかっていたらしく、若返っていなければ、肝臓を近い将来に悪くしていたであろう数値が以前の健康診断で出ていたらしい。

 

「仕事でストレスかかるからって、酒を頻繁に飲むのは、肝臓に悪いモフ」

 

「うぅ……モフルンに言われると、余計に堪えるなぁ」

 

と、酒飲みなことをツッコまれる。だが、教師というのは、理想論で食っていけるけど、優しい仕事ではない。のぞみAはその相克の果てに『破滅した』のだ。大人のぞみは酒を飲むことで、ストレスを発散していたのか、余計に堪えたようだ。

 

「ま、教師ってのは、みんなが思うほどは優しい仕事じゃないしね」

 

「この戦いが終わったら、どうするの?」

 

「昔通ってた学校にでも、再就職するよ。今の学校は潰れそうだし」

 

と、冗談めかしつつも、半分は切実な回答であった。彼女自身、自宅のマンションが空襲で焼けてしまったので、当分はヤマトで寝泊まりするしかない。実家もただではすまないだろうというのは容易に推測できる。

 

「地球の動乱が収まったら、新しいマンションでも借りるさ。その前に、実家が無事かどうかって話だけど」

 

それが気がかりなようであった、キュアドリーム。離陸するメネシスを護衛しつつ、一同は同艦に同行する。上昇を終え、しばらく飛んでいると、この日に護衛を務めるドレッドノート級の艦隊とメネシスが合流し、艦隊を組み直す。この事から、基本的にアンドロメダ級は艦隊を組んでの行動が運用の前提条件な事がわかる。そこは単艦行動の多いヤマト型と趣を異にする点である。

 

「今日は台湾近くの空域に陣取る艦隊の始末だって」

 

「敵は戦力を小出しにしてるの?」

 

「多分、こっちの戦力を探ってるんだろうね」

 

「宇宙時代には、惑星自体を破壊できる兵器があるから、惑星にいる戦力を顧みない風潮があるんだよ」

 

「うん。地球連邦の同盟国のガルマン・ガミラス、地球とガルマン・ガミラスの共通の仮想敵国『ボラー連邦』は、惑星破壊プロトンミサイルを持ってるしね。つまり、弾道ミサイルの宇宙版。もっとも、惑星を滅ぼすわけだから、周りの影響が大きい時は、彼らも使わないけど」

 

「星を滅ぼせる兵器……そんなのがあるなんて」

 

「星の海をいく船が普通にある時代になると、惑星が一つの街のような感覚になるんだよ。今でも、核兵器で国が滅ぶ~なんてあるじゃん?それが星になるだけ」

 

「うーん……スケールが大きくなりすぎだって」

 

「宇宙時代になっても、食うのはあまり変わらないよ。ヤマト亭、見たっしょ」

 

「うん。数百年くらい後の船なのに、食べ物は変わらないんだね」

 

「いや、すごいことだよ。今の時代(2022年)の技術じゃ、TVでよく見るような『宇宙食』がせいぜいだしね。それを考えて。人工重力が働いて、宇宙にいても、地球と同じ食事が普通に食べられるんだよ?」

 

「あ、それもそっか……」

 

「ヤマトは元々、脱出用の移民船だったのを宇宙戦艦にしたから、居住施設が他より充実してるけどね」

 

キュアドリームとキュアミラクルはキュアプレシャスに『ヤマトのある世界での宇宙戦艦の食事事情』を教える。地球連邦軍はジオン軍の艦艇と違い、比較的に居住性を重視した設計だが、食事のあり方が変わったのは、波動エンジンやフォールド機関などの外宇宙航行機関技術が登場してからである。食料品の自給自足ができるようになった事、人工重力技術が根付いたことにより、出せる食事の質が劇的に向上した。それでも、D級(ドレッドノート級)は建造された時期によって、その居住性に差があるし、アンドロメダ級でさえ、ヤマト型と同レベルの居住性になったのは『第一次ガトランティス戦役』からずいぶんと後になる。一年戦争以来の動乱の時代とはいえ、船の居住性は地球連邦軍であっても、軽視される時期があったが、『第一次ガトランティス戦役』の後からは外征の増加が見込まれた。その任務の変化が居住施設の刷新に繋がったわけだ。

 

「ドラえもんのおかげで、携帯食も進歩しそうだしね」

 

「うん。ミラクル、あれは持ってきた?」

 

「ドラえもんに送ってもらった『チューイングピザ』でしょ?持ってきてる」

 

「恩に切るよ!」

 

キュアミラクルは皆にそれを配る。それは以前、ドラえもんたちが『ドリーマーズランド』の騒乱を鎮めた記念に一個づつもらい、ドラえもんがその後に『保存食』として、22世紀で個人的に買い込んでいた携帯食であった。ドラえもんの時代、この手の携帯食はかなり充実しており、昔のチューイングキャンディなどの感覚で食べられる携帯食が多かった。その内のピザ味のものを持っており、ドラえもんはそれを、オトナプリキュアの世界に赴くキュアミラクルに提供したのだ。

 

「どっかのチョコレートみたいな形だけど、味はサラミが乗っかってるピザ……。どうなってんの!?しかも、腹がいっぱいになる……」

 

一口食べてみたミルキィローズはこの感想だ。

 

「確かに、ピザの味だ~!すっご~い!チョコレートみたいな見た目なのに」

 

「これが、ドラえもんのひみつ道具の力ってことだね。現地についたら、本格的な戦いになるから、みんな、一粒か二粒は食べといて」

 

「分かった」

 

ドラえもん提供の携帯食に舌鼓を打ちつつも、一同は台湾付近へと向かう。その場所には、大戦艦を基幹とする打撃艦隊が控えているのか、アンドロメダ級を中心に、八隻以上のドレッドノート級が帯同している。艦隊戦が予想されるからだろう。戦艦、空母、巡洋艦、駆逐艦、フリゲート艦。一通りの艦種が揃った中規模の艦隊は隊列を組み、四国付近で、整備を終えたコスモタイガーやVFの部隊を空母に載せた後、正式に戦闘態勢を取る。隊列が輸形陣から、戦艦が単縦陣を、空母は護衛が囲む形になる。そして、メネシスの観測機器が敵影を捉えた瞬間。

 

「全艦、全砲門開け!先手を取る!!」

 

戦艦隊は空母以下の艦艇と別行動を取り、敵艦隊の横合いから攻撃を始める。

 

「全艦、波動カートリッジ弾を装填!敵はエネルギー兵器を想定している。連中は実体弾に関してのノウハウなど、大昔に枯れ果てている。そこが我々のつけ入る隙だ!!」

 

「全艦、発射準備を完了!!」

 

「撃て!!」

 

メネシス以下の戦艦部隊は第二次世界大戦以前の『水上の艦隊戦に戦艦がいた』時代のように、全砲塔を敵に向けての一斉射撃を敢行した。エネルギー兵器を撃ったのではなく、実体弾なので、第二次世界大戦以前の時代の記録映像のように『砲が火を吹く』。一斉射撃の反動にも揺るがない点は、波動エンジン艦の安定性を物語る。放たれた弾丸は放物線を描きつつ、台湾へ艦砲射撃を準備していた敵艦に突き刺さり、敵艦を沈める。

 

「命中!!」

 

「次弾装填、急げ!!」

 

波動カートリッジ弾は奇襲に活用されている。地球外の文明では、既に火薬を使う『実体弾』は化石のような代物と見なされるほどに絶えており、ガミラス帝国も、ガトランティスも、デザリアムも、ゼントラーディも、艦艇用の装備としては『廃れている』。ましてや、地平線の彼方から『放物線を描いて』弾丸がかっ飛んでくることなど、想像だもしない。ガミラス帝国との戦争でその事が気づかれ、以後の時代、地球連邦軍が『外宇宙文明の意表を突くための戦法』として常用するに至った。彼らはそれを実践したのだ。

 

 

「すごい……。ここからでも、戦艦が撃ちまくってるのが見えるし、音が聞こえる」

 

戦艦の波動カートリッジ弾の発砲音、発砲の際の閃光が『離れていても観測できることに驚くキュアプレシャス。

 

「40cmから56cmの口径の大砲をぶっ放してるからね。敵は普通の弾丸に耐性がない。艦隊はそこに勝機を見出したんだよ」

 

遠雷のような発砲音。九隻以上の戦艦が単縦陣を組み、横方向に砲を向け、一斉に発砲する。間近で見れれば、とても壮観な光景だろう。地球連邦軍は『エネルギー兵器は直進するが、地上での実体弾の軌道は『放物線を描く』という特性を理解した上で、敵艦隊の意表を突いた。数回の斉射で、どこまで損害を与えられるか。それこそが地球連邦軍の奇襲の肝である。

 

「間近で見たいけど、実体弾使ってるからね、そこは我慢だね」

 

「うん。いくらプリキュアになってても、戦艦の発砲のブラスト圧じゃ、遥か彼方にぶっ飛ばされるし。ましてや、普通の状態じゃ、ミンチになる」

 

遠目に、戦艦部隊が戦闘を始めたのを見ながら、ウォーミングアップを始めるプリキュア達と巡洋艦以下の艦艇ら。

 

――敵機、上方より来る!!――

 

直掩機からの連絡で、残りの艦隊は対空戦に入り、プリキュア達は上方を睨みつける。すると、白色彗星帝国の主力戦闘機『イータⅡ』が編隊を組み、爆撃装備でやってきた。

 

「ミラクル、いくよ!!」

 

「うん!!」

 

ドリームに促され、ミラクルも自己意志で最強フォームたるアレキサンドライトスタイルに変身すると、ブルホークのハンドルをミルキィローズに託し、自身はドリームと共に上空に上昇していく。

 

「あたしたちはどうしよう、ローズ」

 

「うーん……」

 

自分たちには飛行能力がないため、どうしたらいいのか。頭を抱えるキュアプレシャスとミルキィローズ。ブルホークは自衛能力はあるようだが、戦闘機相手に空戦ができるのだろうか?その疑問があった。(とはいえ、宇宙刑事たちは『サイバリアン』と『モトシャリアン』で空戦を展開した事がある)とはいえ、大空を飛ぶ能力がない事を、この時ばかりは悔しくなったミルキィローズとキュアプレシャスであった。

 

 

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