ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

626 / 788
オトナプリキュア世界編です。


第五百九十二話「援軍の到来」

――大人のぞみは生身でも強く、機動兵器に乗ってもエース級と、戦闘に関しての才を存分に発揮していた。同位体であるのぞみAと比較すると、元の職業柄、指揮官適性が高くなっており、Aが戦闘特化気味の特性になり気味なのに比べると、多少はつぶしが効くようになっていた。それもあって、コズミック・イラ世界への派遣が決定された感がある。階級も中佐へ上げる事が決まっており、コズミック・イラ歴世界の実質的な平定への派遣であった。既にコズミック・イラ世界には『ブリュンヒルト』『パーツィバル』などの武装内装式の艦艇が展開済みであり、コズミック・イラ世界の諸勢力を威圧している。既にコズミック・イラ世界の地球連合はロゴスの崩壊もあり、組織として空中分解寸前であり、オーブが実質的に地球連邦軍の武威を用いて、世界の平定に乗り出すしかない有様であった。その前準備として建造されたのが、『フリーダムガンダム』のレプリカ機であった――

 

 

――台北北部を平定した後、連邦本部からの増援として『ウォーミングアップ』代わりに派遣されたのが、シン・アスカとジャンヌ・ダルク(ルナマリア・ホーク)夫婦であった。階級はジャンヌ・ダルクのほうが元英霊の下駄により高く、シンは一個人としては強いが、集団行動に難ありと見なされたため、妻より一階級低くされていた――

 

「増援って、シンだったんだ」

 

「やめてくださいよ、のぞみさん。そりゃ、史実じゃアスランに負けたけど、格落ち扱いしないでくださいよ」

 

「いや、足にサーベルあるジャスティスと蹴り合うなんてさ……」

 

「その時はたぶん、場の勢いで…。俺自身はそれを経験してないんですから……」

 

転移時の年齢が15歳前後であったため、出会った時に既に佐官になっていたのぞみをさんづけで呼んでいるシン。見かけはのぞみがドリームになっている都合で差はない。シンは元の世界では『メサイア攻防戦』に参加していないため、それを言われ、不満を漏らす。妹代わりのキュアサンシャイン(明堂院いつき/ステラ・ルーシェ)が現役時代に世話になった先輩ということもあり、シンは珍しく、敬語で接していた。

 

「機体は?」

 

「オーブで再調整がされた元の機体です。ただし、連邦の機材で改造はされてます。今となっちゃ、リニアシートに慣れちゃってるんで」

 

「だろうねぇ。いつきちゃんから聞いたんだけど、軍に正式に入ったのは最近だって?」

 

「重機の資格を取りたかったんですよ、就職前に。戦争が終わった後は工事現場で食いつないでたんで」

 

シンはデザリアム戦役後に市民権を正式に得た。しばらくは工事現場のバイトで日賃を稼いでいたとも言い、妻とは別行動を取っていた事を明言する。

 

「奥さんのヒモじゃ、嫌だったの?」

 

「俺だって、元々はザフトのトップエリートですよ?それが奥さんのヒモなんて……元の世界にいる、元上官になんて言われるか」

 

と、シンは元の世界にいるアスラン・ザラの顔が浮かんだことから、自分で日賃を稼いでいた事を述べる。シンは元々、アスラン・ザラとそりが合わなかったので、連絡がついた後に『ルナマリアのヒモです』というのが嫌だったのだろう。とはいえ、元はトップエースの一人であったので、未来世界のガンダムタイプにも一定の適応力を見せるなど、才能の高さは健在であった。また、シンとルナマリアの在籍時のザフト軍には階級制がなかったが、二度の大戦での不都合の多さと人手不足の深刻化で、二次大戦直後に階級制の導入がなされている。その兼ね合いで、シンは地球連邦軍人としての階級がザフト復帰時の階級になった。(もっとも、ザフト軍在籍時の問題行動により、実は軍事法廷行きになりかけていたが、その事実を知る者の皆が最終決戦で戦死し、予定されていた軍事法廷も『なかった』事にされたため、本人へのお咎めはなかった)

 

「まさか、私がルナマリアとして働く事になるとは」

 

「ジャンヌさん、先方への通告は?」

 

「ラクス総裁と所属艦の幹部らに次元間通信でしました。ルナマリアはこのような格好だったのですね」

 

ジャンヌ・ダルクはルナマリア・ホークとしての容姿をとり、ちゃんと『お約束』の改造制服姿であるが、この時は地球連邦軍の軍服ベースであるので、服の色は茶色である。地球連邦軍に先に籍を持っている都合だ。

 

「ルナがなんで俺より一階級上なんすか、のぞみさん」

 

「そりゃ、ジャンヌさんは転生してきた英霊だよ?本部も下駄を履かせるって」

 

「私自身は中世の人間で、戦略には無知な無学者なのですが……」

 

と、そこを強調する。生前に無学なことで炎に焼かれたためだろう。

 

「いいんだよ、最悪、貴方が生前から持ってる宝具を使えば、戦局を動かせるんだし」

 

「連続使用はできませんよ?」

 

「でも、戦略兵器に耐えられるんだから、敵からすりゃ反則だって」

 

「私にコズミック・イラに残っている大量破壊兵器を弾けと?」

 

「そういう時のための『我が神はここにありて』っしょ?」

 

「そ、そうなのですが……私一人で?」

 

ジャンヌ・ダルクの持つ宝具『我が神はここにありて』の防御性能は折り紙付きであり、未来世界最強の兵器たる波動砲の直撃に耐えるほどのものである。したがって、コズミック・イラで作られた大量破壊兵器をことごとく防げるということになる。

 

「一人じゃないだろ?」

 

「し、シン!な、何、ニヤニヤして、サムズアップしてんですか!?」

 

「ヒュウ♪熱いねぇ」

 

と、二人をからかう。

 

「ドリーム、すまん。遅くなった」

 

「あ、フラミンゴ。戦車道世界で負けたんだね?」

 

「そうなんだ。ありすちゃんから連絡が入って、大会を応援してたんだけど」

 

「あ、サマーも?この世界にいたって聞いたけど?」

 

「あたしはありすちゃんが同位体同士で連絡ついたからってんで、のぞみちゃんが台湾に向かった時に話聞いてさ。それで、いったん戦車道世界に行って、あすか先輩に会ってたんだ」

 

「ずいぶんややこしい経緯だねぇ」

 

「プリキュアの力は?」

 

「戻ったよ。たぶん、のぞみちゃんに起こった現象のせいじゃないかって」

 

「私はともかく、まなつまで力が戻ったのは驚いたぞ。ちょうど、大会が終わったばかりでな」

 

「あんたんとこ、九七式がせいぜいだもんねぇ」

 

「学園上層部には、チトの導入を具申しているんだなな……私の引退する来年まで通るかどうか…。チハでどうやって、マウスに勝てってんだーー!!つか、M4でもきついわーー!!旧砲塔型が多いんだぞぉ!」

 

「うわぁ……」

 

「なぁ、のぞみ。お前のツテでウチにチト回してくれよぉ……。万年ドンケツ候補なんだよ、ウチの学校!!」

 

「先輩に言って、オイ車とチリを回そうか?うち、ちょうど戦後式とセンチュリオンに切り替えてるから、第一師団仕様が50両余るし」

 

「ぜひ頼む!多砲塔戦車でもいいから、マシなのが欲しい!!」

 

「わーった。一両日中にありすちゃんを介して送るから」

 

「恩に着る!!」

 

キュアフラミンゴは転生後に苦労が絶えなかったので、新砲塔チハがせいぜいの自校にうんざりしていたらしい。また、のぞみは現役時代が2007~2008年である都合上、あすか(キュアフラミンゴ)にタメ口を聞いている。

 

「あ、まなつちゃん、ゆいちゃんに会った?」

 

「一年ぶりだからね、あたしにとっては。直近同士だから、先輩後輩って感覚はないなぁ」

 

「そういうもんさ、直近同士は」

 

「のぞみ、久しぶりだな」

 

「久しぶり、箒」

 

今度は箒がやってきた。こちらはIS学園の制服姿だ。

 

「織斑先生からの手紙だ。後で目を通してくれ」

 

「あの人、堅苦しい文章なんだよなぁ。まぁ、軍人気質残ってるからだろうな」

 

「箒のお目付け役で呼ばれたけど、ボクで良かったの、のぞみ」

 

「あたしの先輩にセシリアに声が似てる人がいるから、一応、その防止。織斑先生に要望は伝えといたんだ、シャル」

 

大人のぞみは増援の面々との面通しを済ませる。箒とシャルは珍しい組み合わせだが、状況的に『冷静に動ける』のと、機体特性に比較的に癖がない事から、選ばれた感がある。

 

「不思議だなぁ。普段は生きる時代も、世界も違うのに、同じ目的で集められるなんてさ」

 

「お前、調子に乗って、大ぶりの武器で突撃するなよ、シン」

 

「なんだよ、お前の機体の刀だって、大ぶりじゃないか」

 

「お前の機体の対艦刀よりはマシだぞ」

 

刀を何かかしらの形で持つ者同士な故、シンと箒は何かと喧嘩しがちである。仕方がないが、シンはインパルス搭乗時から対艦刀の扱いは我流(もっとも、ザフト在籍時に剣術の訓練は受けている)なところがあるが、箒は曲がりなりにも剣術道場が実家であり、実家の剣術を(姉に代わって)継ぐ事が目標である側面がある。そのため、シンがデスティニーで突撃する際に『対艦刀をやたらとブンブン振り回す』のが剣術使いとして我慢ならなかったらしく、デザリアム戦役中から喧嘩しがちである。

 

「まぁまぁ。黒江さんみたいに、示現流使えってわけじゃないし、智子さんみたいに、ツバメ返しやれってわけでも…」

 

「私だって、示現流はともかくも、燕返しくらい……佐々木小次郎の剣技ではないか」

 

「それに、智子先輩なら、逆燕返しを覚えてるけど」

 

「何だとぉ!?ぐぬぬ……」

 

シャルとのぞみが仲裁に入る。

 

「燕返しは割に簡単だし、あたしもフルーレでできるよ。シンは近代戦で生き残るためのもので、生身だと、本当はナイフとか銃剣術だから、そこはね」

 

「一応、元はエリートだったんだからな、俺」

 

「よく赤服になれたな、お前」

 

「そりゃ、士官学校時代に努力したからだ」

 

シンは士官学校(アカデミー)時代の初期は教官に反抗的な学生でありつつ、下位の成績をウロチョロしていたが、ルナマリアやレイ・ザ・バレルなどとの出会いで才能が開花し、任官時には上位に入る成績であった。アスランのように、士官学校時代からトップクラスであったわけではないのだ。

 

「シンは努力で赤服になったんですよ、箒。コーディネイターの中でも、成績の上下でいじめは普通にありますし。ルナマリアとしてですが、私も同期と普通に揉めた事ありますし」

 

ジャンヌがフォローを入れる。シンは座学が弱かったが、その分を実技でカバーしたので、学科成績は最低レベル(赤服で)だが、実技はトップクラスになっており、その才をギルバート・デュランダルが買ったのだ。また、ルナマリアも士官学校時代に同期と揉め事を起こすなど、品行方正ではなかったので、現在の聖女の如き振る舞いは(元上官の)アスラン・ザラを卒倒させたとか。

 

「そ、そうですか…。あなたに言われては」

 

「何、私は聖女でもなんでもありませんよ?」

 

箒も、ジャンヌ・ダルクに言われて、鉾を収める。英霊に言われては、自分などは凡百の学生にすぎない自覚があるからだろう。

 

「でも、ボクは不思議な感覚ですよ。ヴァロワ朝時代に生きた貴方と話せるなんて」

 

シャルはフランス出身なので、ジャンヌ・ダルクと話せる事に感動しているのである。ジャンヌ・ダルクは本来、ヴァロワ朝に生きた人間。つまり、フランス最後の王朝である『ブルボン朝』の成立よりもはるか前の時代の人間ということになり、有に700年は時間の開きがある。

 

「生前は誇れるような出自ではありませんよ。皆さんのように、庶民が学問を受けられるような時代に生きてはいませんでしたし、一介の農民の娘でしたから」

 

ルナマリアの姿だが、声色はジャンヌ・ダルクとしての超然さを感じるもので、箒やあすかも圧倒する力を放っていた。

 

「ですから、私は学問を収められる事だけでも、幸せだと思うのです」

 

「あんたがいうと、重みがあるな……」

 

キュアフラミンゴもこの台詞だ。もっとも、ルナマリアの知識を受け継いだ都合上、下手な現代人より頭脳明晰であるのだが、

 

「私の時代は黒パンが食べ物ですからね。現代の美味しい食事を知ってしまうと、戻れませんよ」

 

「軍隊だと、ハンバーガー食べがちだけどね。ゆいちゃんがおにぎり持たせてくれるようにはなったけど」

 

「ハンバーガーばっかだと、栄養偏るからなぁ」

 

「シン、お前が言うか?お昼のエビチャーハンを盛りまくってたくせに」

 

「仕方がないだろ、外宇宙用の艦艇の食事は美味いんだし」

 

「軍隊でハンバーガーって出るんだ~」

 

「空軍じゃ当たり前の食事さ。海軍はカレーのほうが多いけどね、まなつちゃん」

 

地球連邦軍は内惑星用艦艇と外宇宙用艦艇で出る食事に差が生じており、後者のほうが全般的に美味な内容である。居住設備の格差によるもので、サラミス級の食事より『外宇宙用フリゲート艦のほうが食事が美味い』のは当たり前である。これは外宇宙用艦艇には宇宙戦艦ヤマトを基準に『居住設備が整えられてきている』ためで、旗艦級であるヤマト型やアンドロメダ級では、一流レストランに引けを取らない水準の味が担保されている。艦内スペースの大きさにもよるので、D級よりカイラム級のほうが食事が美味しかったりする。

 

「D級でなくて良かったですよ、のぞみさん。俺、D級なら、げっそりしましたよ」

 

「あれは量産品だからって、必要最小限にサイズを切り詰めたから、評判悪いんだよ。だから、先輩がA級にしてくれたんだよ、迎えを」

 

「アンドロメダ級は旗艦クラスだからね。でも、居住設備が新しい艦ほどいいって?」

 

「アンドロメダ級はな。本来、太陽系内の巡視任務しか考慮していなかったから、初期艦では居住設備がしょぼいんだよ」

 

「あ、トチローさん」

 

「よう。お前のフリーダムだが、俺が調整してやったから、後でレポートに目を通しておけ」

 

「恩に着ます」

 

23世紀のトチローが姿を見せる。その時代の『トチロー』であり、後に戦死する『ファントム・F・ハーロックの23世紀の子孫』の親友でもあった。

 

「後期は真田が手を入れたから、相当に良くなったんだが、ガイアの古代がヒステリー起こしてな。こっちの真田が叱りつける大事になっちまった」

 

「向こうの古代艦長の評判は?」

 

「熱くなりやすい青二才だな。こっちの波動砲は向こうと原理が根本で異なるってのに、真田を前にしてわめきやがった。見かねて、こちらの守が奴を叱りつけることにもなっちまった」

 

「あー~……」

 

「向こうの守は本当に死んじまったらしくてな……守が叱りつけたら、嘘みたいに大人しくなった。向こうではもう会えないからだろう」

 

「そうか、こっちじゃ、普通に要職を歴任してますからね、古代参謀」

 

「あいつ自身はまた艦長やりたいっていうんだが、俺たち世代の将校は貴重だからと、司令部付きの参謀にされちまった。艦隊運用担当の」

 

「あの人、水雷でしたね、専攻」

 

「いや、あいつ自身は飛行科出身だ。水雷戦隊の指揮官だったのは、あいつが勤務してた艦隊の司令だった沖田さんが水雷閥だったからだ。あの人、水雷艇からのし上がった生粋の水雷屋なんだよ」

 

「へー、砲術かと」

 

「沖田さんは水雷、戦死した土方さんが鉄砲屋だ。だから、アンドロメダ級の量産を押し通したんだが…」

 

その後輩の山南も砲術出身だが、その同期にマルチ隊形の考案者がいたり、彼らの代は割に豊作であったという。デザリアム戦役では、その世代が提督になり、今回の艦隊の司令部を担っている。沖田と土方の世代が白色彗星帝国戦で8割超が戦死してしまったからである。

 

「で、お前らを運ぶ『ネメシス』が土方さんの忘れ形見のようなもんだ。沈めさせるなよ」

 

「わかってますよ、トチローさん。俺のデスティニーの再調整は?」

 

「あ~、エンジン変えといたぞ。それと、試験的にバスターランチャーを使えるように、内装を新品に変えておいた」

 

「バスターランチャー、ですか」

 

「あの名無し砲は悪くないんだが、お前の世界の新技術に通用するか微妙になってきてな。代わりに載せた」

 

「ハイメガランチャーでいいのに」

 

「アレはZ系用だから、お前の機体で使うには色々と改造しなけりゃならんのだ。元々が違う世界のコネクタ規格なんだぞ」

 

「あ、そうか……」

 

「お嬢ちゃんのは、動力系の強化と接続部の強度向上が中心だった。元々の部品では、こっちの高機動型と同じ動きさせると、接続部が壊れちまうからな。コンペイトウの連中が愚痴ってた」

 

「やはり。テストはされてたんですね」

 

「うむ。その時に、百式タイプくらいの高機動をさせたら、コア・ファイターと各部の接続部が壊れちまったらしい。こちらの高機動型は激しい動きをするからな」

 

「Vタイプ用のジョイントを使ったようだ。ミネルバから接収していた部品は強度不足とされたようでな」

 

「それでデスティニーインパルスが没りましたからねぇ」

 

「向こうに、戦死したエースパイロット用に作られてたデスティニーの二号機があるようだから、ラクス・クライン嬢のラインで供出させるそうだ」

 

「え、戦死したエースパイロット……?」

 

「名前は!?」

 

「落ち着け、ボウズ。ハイネ・ヴェステンフルスとか言ったな……」

 

「何だってぇーーー!?」

 

シンは驚愕した。戦死したハイネにデスティニーが回される予定であった話など、聞いていなかったからだ。

 

「ど、どういう事ですか!?」

 

「ラクス・クラインが調べさせた情報だが、お前さんで実戦データを集めた後、デスティニーを30機ほど増産して、トップエリートに支給する計画があったんだと」

 

それは構想段階に留まったが、ハイネ・ヴェステンフルス用のデスティニーが存在し、彼が戦死した段階では既に輸送予定日も決まっていたという。だが、彼は戦死し、デスティニーはシン・アスカ用の一号機だけが日の目を見た。

 

「だが、お前さんもいなくなったことで、プラントにはキラ・ヤマトたちに対抗できる人材は皆無になったそうでな。プラントはそれで穏健路線にならざるを得なかったそうだ」

 

「でしょうね。キラさんに対抗できるのは……悔しいけど、俺の昔の上官だったヤツしか」

 

「コズミック・イラでは、な。こちらでは、いくらでもやりようはある」

 

「彼は射撃戦主体だから、接近戦に持ち込めば、勝ちはあるって、アムロさんが言ってたよ、シン」

 

「そりゃ、アムロさんやジュドーさんクラスのバケモノなら、いくらでも手段あるでしょう。殴るとか。オカルトパワーとか」

 

シンをして、アムロ、カミーユ、ジュドーの三羽烏はバケモノと認識されているのがわかる。また、Z系のバイオセンサーの発動を見たことがあるので、それなら、キラ・ヤマトも為す術はないと見ている。

 

「そりゃ、あの三人は別格さ。シーブッ……じゃなかった。キンケドゥ・ナウさんも接近戦のエキスパートだよ?」

 

「あの人は小型機乗りだし、分身を読まれるし……俺、自信無くした事ありますよ、のぞみさん」

 

「しょうがない。あの人、元は質量を持った残像で鳴らした撃墜王だよ?」

 

「マジかよ……」

 

シンはそれを教えられ、絶句する。質量を持った残像。それを持つガンダムは『F91』。キンケドゥ・ナウの本名は『シーブック・アノー』。F91を完全に使いこなした撃墜王として知られている彼の変名であると。その彼から『ボウズ』と言われ、子供扱いされた事があるが、分身使いの大先輩だったのだ。

 

「F91乗りじゃ、俺より先輩じゃないか!くそっ……あれのパイロットだったのか、あの人」

 

「F91と特性が違うクロボン使いこなすからな、キンケドゥの小僧。ボウズも見習えよ」

 

「キンケドゥさんあんな近接主体の機体で狙撃装備の機体潰せてるのか、本当によく分からないよ」

 

「ですねぇ。それでいて、コックピットだけを引き抜けたりするし……」

 

のぞみはGXで模擬戦に負けたクチであるし、ジャンヌもリゼルで同じ経験がある。トチローから『強者』と認められているのも、彼の腕前を示している。彼曰く『手数を潰せば、勝機があるもんさ』との事で、接近戦で彼と戦える者は指で数えられる程度だという。

 

「クロボン自体、一号機はガチで近接仕様だから、腕に自信がなきゃ乗れないぞ」

 

「ひぇ……おっそろしい」

 

のぞみが身震いするので、シンは余計に怖くなったようだ。接近戦では、のぞみのほうが百戦錬磨であると知っているからだ。

 

「ありゃ、居合の理に自力でたどり着いてるな、ヤツには間合いとか関係ないぞ」

 

と、追い打ちをかけるトチロー。それに同意ののぞみとジャンヌ。シンの顔はそれを見て青くなる。

 

「世の中、上には上がいるんだぞ、ボウズ」

 

「トチローさん、ガクブルさせてどーすんですか。シンはまだ16、7の子供ですよ」

 

「お、俺を子供扱いしないでくださいよ、のぞみさん~!」

 

と、見かけは自分より若い(プリキュア姿なので)のぞみに子供扱いされて、今度は顔から火が出る勢いでツッコミを入れる。

 

「お前は瞬間湯沸かし器か?」

 

「箒、うるさいぞ!!」

 

「なーに、ガキなら学ぶ機会があるってこった、居合の理は学んで損は無いぜ、へっへっへっ」

 

「そういえば、トチローさんは先祖代々」

 

「うむ。19世紀の先祖の代からの居合の名手だ。俺の子孫はガンスミスもやるようだがな」

 

23世紀の段階ではガンスミス業には縁がないようだが、30世紀のトチローは宇宙最高のガンスミスとしても名を馳せる。

 

「それじゃ、戦士の銃の整備は?」

 

「俺の末裔が作ったもんなら、整備できるかもしれん。大山家の家訓でもある」

 

大山家の人間が作るものには代が違えど、何かかしらの共通点があるらしく、子孫の作った戦士の銃の整備を引き受けてみる。実はこの一言が大山家がガンスミス業にも手を出すひとつのきっかけとなるのだ。

 

「それと、お前ら、剣持ちだろ。後で会おう。俺が教えてやる。刀鍛冶はやれんが、奮うのは先祖代々、子々孫々の大山家の宿命だ」

 

と、彼は腰に下げる刀を見せる。太平洋戦争で航空技術者であった先祖がかの山下奉文将軍からもらったという軍刀であった。

 

「先祖伝来のものだが、大山家がそれで生き抜いてきた証だ。子孫の作ったという重力サーベルをドラえもんに持ってこさせろ。扱いてやるぞ」

 

重力サーベルの存在は知らされているようである。大山家は代々、剣術で鳴らしつつ、近代以降は技術屋の家系であり、その集大成がアルカディア号だ。この会話より数時間後、安全が確認されたばかりの台北の無人の市街地で一同はトチロー相手に模擬戦(剣術)をしかける事になり、大山家の人間が持つ剣技を目の当たりにするのであった。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。