――西暦2000年からの長い時間をかけて、日本連邦は実現したが、左派が軍事的取り決めをちゃぶ台返しし、扶桑の軍事組織の解体を提言するなどのシッチャカメッチャカも挟んだため、実現は2016年にまでずれ込んだ。結局、現地情勢への配慮という形で、現地の軍事援護政策の継続、魔女の人権への配慮などの項目が明文化・罰則の明確化がなされた。魔女への補償金の拡大を財務省が恐れたからだ。また、魔女となった女子の知識が必要以上に多くなるのを嫌がる農村部の大人を黙らせるため、玉音放送と行幸が必要になるなど、(日本にとっての)予想外の反応も起こった。教育の刷新も行われていくため、師範学校は新制大学の教育学部に転換されていき、そこに在学していた山川美千子(芳佳の従姉妹)は自動的に大学生に身分が変わる事になった――
――だが、師範学校には『優秀でも貧しい家の子弟への救済策』という役目があったため、(日本連邦のできた時代の)日本も(自分達が教員不足に陥って久しいため)在籍者への救済措置に、却って手間がかかることに『こんなはずではなかったのに』と嘆く羽目になった。結局、国民の貧富の差が顕著である時代故の難点が浮き彫りになり、軍学校の学費徴収の正式化は棚上げとされた他、『優秀でも貧しい家の子弟への救済』を新たに考えなくてはならない(日本での奨学金制度を当てはめられる状況でもなかったため)など、省庁の負担が増すだけであった。また、経済至上主義の政策を取らせたところで、景気が悪化し、数の多い世代が子を儲けなかったら、ものの数十年程度で国自体が傾くというのを、自分らが証明してしまっている日本としても、扶桑にそれを強制することはできなかった。結局、扶桑の人材と富を上手く活用し、日本に活力を戻すという指針が政府や省庁に完全に周知されたのは、夢原のぞみの騒動の後であった――
――扶桑軍や華族の関係者を『名士』と扱うべきか?それも日本連邦の樹立が大きく遅れた理由であった。華族には(西洋の爵位を模した制度なので)成り上がりの家系も多い。日本は廃止前、旧公家や旧大名家以外の新華族を『成り上がり』と蔑む風潮が強かった事が理由だが、旧公家や大名家は戦後も名家扱いであったのも事実だし、旧軍の将官級の生き残り達は(主権回復後)公の場に出れば、現役の頃の地位に沿う扱いを受けている。また、自衛隊が苦労しているように、若い官吏に叙勲されるなどということは滅多にあるものではなくなったのが戦後の常識であったが、諸外国では『軍人への勲章は普通にあるもの』であった。結局、この問題は(扶桑を日本に合わせようとした勢力もいたが)政治的妥協で『扶桑の金鵄勲章は、日本国内では瑞宝章と同様の扱いにする』ことで解決が図られ、日本での危険業務従事者叙勲の特別枠に組み込まれていった。これは扶桑の金鵄勲章を授与される、若い自衛官が増加してしまったからでもあった(扶桑の金鵄勲章は、日本でのそれの廃止時と異なる授与基準であったため。更に、本来は旭日章以上の名誉勲章とされているため、日本政府と官僚は妥協点を見出すのに四苦八苦する羽目となった)。――
――一方、カールスラント軍の現場はドイツ連邦の無理な抑え込みでモラルが崩壊寸前の有様であり、それを起こしたと見做された『ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ』は部内で白眼視された。一時はアドルフィーネ・ガランドの後継を目されていただけに、彼女が犯したミスは『カールスラント軍の良識を疑われる』事態であったのだ。この騒動は扶桑軍の人事部門にも特大の衝撃をもたらすことになり、山本五十六の提言で『扶桑海事変従軍記章』が新設されることになった他、連合軍全体で『事変の経験者』の待遇が大きく改善するきっかけになった。後世、『ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケはなぜ、扶桑最大の英雄を冷遇したのか?』というのが、当時の謎として、『謎本』などで取り沙汰されていくが、実際には『坂本美緒を奪われる』ことへの恐怖、三人を『お目付け役』と勘違いしての『子供のような反発心』が合わさってのものであった――
――結局、ミーナはカールスラント軍の1945年以前の体制での『最後に降格された魔女』という不名誉を被ることになった。更に、彼女が檜舞台を降りてまもなく、のぞみ達が活躍しだしたため、余計に自業自得感が当事者の間で否めなくなった。彼女らが文字通りに体を張り、ティターンズの超人たちと戦った(しかも、血反吐を吐きながら)事、実質的な後任であった『加藤武子』が指揮官先頭を範とする気質であり、事変の英雄の一人であったという好対照ぶりも『カールスラントの落日』を強調していた。とはいえ、のぞみも順風満帆とは言えず、ダイ・アナザー・デイでは、最強フォームでありながら、南斗鳳凰拳に為す術もなく敗れてしまうという醜態も見せている。続く『大決戦』では、偶然に(ドラえもんの道具で)入れ替わっていた黒江の判断で、好きに暴れたわけだが、その際の鬼気迫る言動などから、他のプリキュアの誤解を招いたりと、本人にはとばっちりの出来事が起こったりもした。その影響は意外と大きかった――
――キュアドリームが休暇に出た後――
「からくりは分かったんだけど、なんか釈然としないなぁ」
「仕方がないさ。中身が入れ替わってたんだし」
「ドラえもんは子供の頃から見てたけど、実在した世界があるなんて」
キュアマリン/来海えりかはガイア(反地球)に転生しており、相方のキュアブロッサム/花咲つぼみと違い、大決戦の記憶を持っていた。そのためか、キュアハート/相田マナに愚痴っていた。
「あん時、すごく怖かったって言っといて。おかげで、別の戦いの時……」
「あん時は緊急事態だったし、ブチ切れてたからね、あの人。なぎささんも怯えるくらいに。まぁ、のぞみちゃんが後で苦労することになったけど」
「鬼気迫るってもんじゃなかったよ、あれ」
「だって、あの人、九州の出だから。先祖は島津に仕えてたとか……」
「うへぇ……」
黒江の先祖はどうやら、どこかで島津家に奉公していたようであることはプリキュア達にも知られていた。島津家といえば、戦国でも『イカれてる』ことで名を馳せた大名であり、その家臣を先祖に持つのなら、戦闘では修羅になる。納得という表情の二人。
「のぞみは?」
「休暇」
「今だからいうけど、昔の大学ん時、卒論を手伝わせられたんだ」
「本当?」
「うん。理由はわかるっしょ」
「だいたいね」
苦笑交じりの二人。仕事の休憩時間なため、プリキュアの姿だ。転生したためか、二人とも『現役当時の変身システム』では変身していない。かといって、『オトナプリキュア系列』の世界のように、タイムフラワーが絡むわけではない。それも謎だ。
「でも、マナ。あんたの転生先、相当に変わってるわよ」
「確かにね。古い戦車を使っての武道なんて、他の世界からすれば、どだい変なものだもの。まぁ、その部長なんだけど」
「あんた、転生先だと、高校生?」
「二年。昔の記憶が戻ったから、ありす(転生後は西住みほ)との関係が気まずくなったよ、一時的にだけど」
「そりゃ、昔の記憶が戻ったったって、すぐに戻れるとは限んないし。のぞみにしても、つぼみにしても、転生先での立場があるし。あたしは反地球で普通に学生だけど、つぼみはあのフェイト・テスタロッサのお姉さんっしょ?しかも、正史じゃ絶対に生存しないっていう立ち位置の」
「うん。まぁ、生存しても、結局はプレシア・テスタロッサは事件を起こすみたい。それが帳尻合わせなんだろうけど。つぼみちゃんもそれは不思議がってる」
「そうじゃないと、なのはは魔導師にならないから、なんだろうけど」
キュアハートはそう推測する。仕事中なので、プリキュア姿だが、コスチュームの上に黒森峰のパンツァージャケットを羽織っており、逸見エリカの要素も出している。一方のキュアマリンは『青のプリキュア』でほぼ唯一のギャグキャラなため、素でコミカルな表情を連発する。
「あたし、休暇になると、元の世界で部活してるんだけど、プリキュアだっての知られたからさ、学校中にファンが」
「羨ましい~!あたしなんて、ギャグキャラ扱いが定着してるし……」
「だって、他の青は個性が定着してるじゃん。かれんさんやれいかは文武両道、みなみとかはサポート寄りだし」
「そういえば、ピンクはいちかまでは欠員はいないような」
「なぎささん、それと、はなちゃん以降の子がいないかな。それに、2023年は青が中心で、男子も入るチームが出てくるし」
「え!?青が!?」
「のび太さんが調べてくれた。それと、のぞみちゃんは多くの場合、ココと結婚に到れるみたい」
「本当!?」
「あなたの世界がむしろ、イレギュラーらしいんだ」
キュアハートはキュアマリンがキュアドリームと同じ世界線にいた存在な事を念頭に、話を進めていく。のぞみとえりかがいた世界線は(彼女がいる平行世界の中でも)指折りに陰の属性の出来事が多く、のぞみとココは別れ、それがもとで不幸になった。それがのぞみの『プリキュアという属性への執着に繋がったのでは』と黒江は推測している。
「ある種の不幸な世界線。幸せになれる世界線があれば、どれかの世界線では不幸になる。その中でも、トップ級の世界線ってことに」
「あんだけ世界を救っても、最期が『ああ無情』じゃねぇ…。葬式に行った記憶あるけど…」
「だから、その負の記憶が転生した後も苦しめてたわけ」
「ココはなんで、転生してから、名乗り出なかったのよ」
「負い目があったからだって。それに、お互いに昔と立場が違うからって。だけど、のび太さんが背中を押してくれた。そうじゃなきゃ、ウジウジしてたと思うよ」
キュアハートは逸見エリカの激しさを持ったため、現役時代より激しい気性になった節があり、コージが煮えきらない態度を取り、のぞみに会いにいかない事を強く咎めたり、ワガママを言うのぞみBに一撃を見舞い、青龍刀『冷艶鋸』を首元に突きつけ、『ガキの癇癪に付き合ってる時間はないんだ』と、逸見エリカ寄りの低めの声で脅すなど、荒事に躊躇しなくなった。(ただし、のぞみBがそれで更に屈折した心境に至ってしまい、仮面ライダーブラックの忠告を無視し、シャドームーンと戦ってしまう遠因になったが)
「あんた、愛のプリキュアって言ってる割に、荒事に躊躇しなくなったわね」
「優しさだけじゃ、世の中上手くいかないってことを学んだからさ。あたしも転生して、自我意識が戻る前はありすの転生した西住みほに嫉妬して、嫌味な態度取ってたし……」
「あー。それ、アニメで見た記憶ある。アンタ、ガチでああいう態度してたの?」
「直したって、自我意識が戻ってからは。それに、戻った後は戦術眼は互角になったし」
「でも、あんた、戦車の運転は荒いっしょ。足回り弱い国の戦車使ってんのに」
「それはドイツ陸軍がわるいのー!なによ、虎の足回り……」
それはドイツ戦車に多い弱点である。如何にスペックは強力でも、戦略機動性が低い車種は枚挙に暇がないのが、戦中のドイツ戦車。カールスラントもそれは同じ。ドイツ連邦が戦中型を生産中止させた理由の一つである。ある程度は部品を変えている戦車道で『足回りに気を使う』のなら、カールスラントの戦仕様は尚更、足回りが弱い。重戦車は特に、だ。
「もしかして、あんた……戦車道でタイガーの履帯を切ったり、転輪が外れたり…」
「なんでわかるのー!?」
「いや、実戦でそうじゃん」
「うぅ……誰よ、あんな配置の転輪考えたのーーー!!」
と、戦車道/実戦の双方で、ティーガーの足回りに泣かされたからか、その話題になると、途端に愚痴っぽくなる、キュアハート。実際、カールスラント/ドイツ軍はティーガーやパンターの大重量に見合うだけの頑強な足回りを造れなかった。最も、カールスラントは『実戦で分かったところを順番に改良すればいい』という思考であり、その旨を『フレデリカ・ポルシェ』(ポルシェ博士の同位体である元・魔女)が述べていたが。
「な~に愚痴ってやがる」
「あ、ケイさん」
「フレデリカが聞いたら、怒ってるところだ。虎はむしろ、駆動系が問題だった。ストライカーと実車の双方を指揮下に置いてた経験あるからいうが。欧州の戦いで問題になったのは、ドイツの無定見のほうだ」
「どういうことです?」
「安直に生産ラインを止めるからだ。いくら性能がもっといいのがブリタニアから買えるからと、アハトアハトのラインを止めやがった。それが大間違いだった。75ミリ砲でどうやって、M26やM46を止めろっての。おかげで、ロマーニャ陸軍は壊滅だし、各地の重戦車部隊は大パニックだ」
休憩にやってきた圭子が話に加わる。圭子は地上指揮も経験豊富である故、実は戦車戦の指揮経験もある。ダイ・アナザー・デイや、デザリアム戦役でのゲリラ戦で手腕が発揮されているので、この時点ではパイロット以外にも仕事が増えた状態にある。
「その点は、日本のほうがまだ良かったぜ。わかる連中も多いから、怪異対策に『メーサー殺獣光線車』とかのメーサー兵器を出してくれるし」
「あれ、本当に日本製なんですか」
「バブル期の予算が多い時に造っていたらしーぜ?あの時代なら、開発予算も多かったしな」
「どういう理屈で研究を?」
「学園都市ってのがあった時期に反乱を鎮圧するために、害獣駆除を大義名分に、旧日本軍の研究を引き継いで完成に至らせたって奴らしい。高度経済成長期から、裏でこっそり造っていたらしいが、安定した量産ができるようになった時期がバブル期らしい」
メーサー兵器は21世紀になっても、日本の切り札の一つであった。原理的には兵器には効果がないようだが、コズミック・イラ世界でのサイクロプスがそうであったように、『発生する電磁波や、周囲が加熱されていくことによる燃料等への引火』で破壊できるのである。これはメーサー兵器の応用試験の過程で、1960年代には判明しているという。また、バブル期の遺産として、ハイパワーレーザービーム車なども投入されており、扶桑が旧式の対空戦車などの簡易的な代替に生産しだしていた。
「ただ、いくら対学園都市用って題目があっても、なんで死蔵状態にあったか。それは綾香が自衛隊の資料を漁っても、分からなかったらしい。たぶん、左派の連中から守るためだろうが…」
「なんでです?」
「財務が無知な左派を裏で動かして、あらゆる省庁の予算を削ろうと画策するのが、戦後の日本だ。その対策で松代大本営跡に隠したんだろう。で、今回の戦争で出した。Gフォースの機材としてな。記録があるものはすべて出したそうだから、日本も文句は言えん。そういう作りの組織にしたからな」
「日本の財務はなに考えてんですか」
「連中の頭には、如何に日本の借金を減らすか。それしかねぇよ。扶桑と交わらなければ、2020年代には『お先真っ暗』になってたのは目に見えてる有様なくせに」
扶桑の富がなければ、日本の財政は好調であった時期の状態には戻らなかった。それは財務省も自覚している。故に、Gフォースの結成に口を挟むことはしなかった。だが、扶桑の軍隊の現場に顰蹙を買っているのは、何かと『予算を減らすぞ!!』という脅し文句で、軍や扶桑警察へ居丈高に振る舞う財務官僚(日本)が多いからである。
「と、いうわけだ。休憩が終わったら、あたしに付き合え。例のアレが完成したんでな」
「アレが!?急がせたんですか?」
「あたしの頭に設計図はあるし、資材は23世紀時点のゲッターロボ用でも事足りる。想定される出力に見合うゲッター炉心の開発が難関なだけだ。そこは、キャプテンハーロックに技術データを流すように頼んだ。そこからはトントン拍子に進んでな。作戦前の実働テストだ」
圭子は『作戦前に、新型のゲッターロボの実働テストをする』と行った。それはゲッターロボ斬でも、ゲッターロボアークでも、ネオゲッターロボでもない新型であった。
「それが終わったら、新京で広報業務だ。それを経れば、お前らにも休暇の許可が降りる。作戦前の最後だ、楽しんでこい」
この時期、64Fは『プリキュア5の世界』への遠征を控え、部隊の再編と人員のリフレッシュを行っていた。開戦以来、激戦を戦ってきたのと、異世界への遠征が控えていたからだ。更にいえば、2020年代の日本に『プリキュアの存在価値は戦闘だけではない』という事を示す必要があったのも事実だ。ただでさえ、扶桑軍は過激なファンから『扶桑はプリキュアを戦争に利用している』という批判を浴びているからである。また、(2020年代から見れば)古い世代のプリキュアが多く、広報業務への価値が疑問視されていたのも、広報業務に武子が力を入れる理由であった。
「隊長はなんで、広報業務にも全力を?」
「ダイ・アナザー・デイの教訓だ。カールスラントのアホが人事書類を見ないで、あたしらを冷遇して、坂本のメンツを潰した。あいつ(武子)は個人の戦功に興味がなかったが、ああいうことがあった以上……」
ミーナの失態は事後においての連合軍の全体の教訓となり、連合軍そのものが広報業務に力を入れるきっかけとなった。ルミナスウィッチーズが見直されたのも、64Fが広報業務までもさせられていることへの批判が部内で強かったからだ。特に、歴代でも人気が高いとされる、キュアドリームは戦闘・広報の双方で高い成果を求められる。それは本人の負担になっているので、後輩たちには負担を軽減させられるだけの奮励努力が求められていた。
「お前らには苦労をかけるが、プリキュアである以上は多少なりとも、銃後の連中の心を慰める必要がある。戦うばかりがプリキュアの存在価値でもないだろ?」
「確かにそうですけど、この子に歌は歌わせないでくださいよ。超がつく音痴ですからね」
「うっ……人が気にしてるとこを……」
広報業務は(端的に言えば)アイドルや歌手の『ドサ回り』と同じような仕事である。細かなノウハウは連合軍にほとんどなかったので、ウマ娘達のウイニングライブが大いに参考にされた面がある。実際、行った先でのライブも、64Fに一級の人材を集中させていることの大義名分となっているので、そこも全力投球しろというのが、武子の方針だ。とはいえ、21世紀からの観光客もいるであろう今の扶桑で求めれるのは、『21世紀の若者も納得させられるだけのパフォーマンス』。つまり、ライブへ要求されるパフォーマンスが飛躍してしまった事が、ルミナスウィッチーズの結成やその活動のハードルを大きく引き上げてしまったのである。64Fのプリキュア達には、前世、もしくは転移前に『芸能活動で生計を立てていた』者が若干名はいるが、全体のレベルはけして高いとは言い難かった。そこで、ウマ娘達に協力を求め、彼女たちの協力で『21世紀の芸能界でも通用する』水準のパフォーマンスに到達しつつあった。特に、ウマ娘の中でも『ダートレースを蹂躙する強さを誇りつつも、アイドル活動にも性を出している』スマートファルコンは広報業務の臨時講師にうってつけであった。ルドルフとエアグルーヴの紹介で、仕事を引き受けた彼女は(自分のウマドル活動の強化も兼ねて)プリキュア達に『ライブパフォーマンスの何たるか』を仕込みつつ、自己研鑽を欠かさない。
「まぁ、武子が広報業務の講師に呼んできたウマ娘の『ファル子』にしごいてもらうんだな。あいつのパワーと足の速さはお前ら以上だから、逃げられると思うなよ、マリン?」
「な、なんで、あたしを狙い撃ちなんですか―!!」
「つぼみから聞いたぞ?現役の頃……」
「おぉーーーと!!そこまで言われちゃ、この来海えりか……いや、キュアマリン、女がすたる!」
と、見得を切るが、現役時代に『夏休みの宿題が面倒で、敵に学校を壊させようとした』程度には悪ガキであったキュアマリンであるので、意外と普段の信用度は高くない部類に入る。とはいえ、ファッションデザイナーを目指しつつも、教職免許を取るだけ取るという考えで、先輩であるのぞみと同じ大学の同じ学部にいたなど、意外と堅実な側面もある。現役時代のだらけぶりが伝説な彼女だが、意外と堅実に人生設計をしていたので、ある意味では『オンオフの切り替わりが激しい』性格と言えよう。また、スマートファルコンのパワーとスピードは(ダートで一時代を築くほどであった)二人を軽く上回る事も伝えられる。なお、同じダートウマ娘の『ワンダーアキュート』曰く『本気のファル子さんは赤鬼のようだった』とも述べており、(ただし、ファル子は芝適性が低い部類であった)その速さとパワーは推して知るべし。とはいえ、レース、ライブの双方に全力投球である彼女の姿勢は周囲の尊敬を集めている。なお、その彼女が明確にライバルとしているのが、自身のファンであり、史実では自分の先輩であった『アグネスデジタル』である(アグネスデジタルは芝とダートの双方で極めて高い能力を発揮するため)。また、ダートウマ娘は高いパワーを持つが、彼女は特に凄く、素のパワーで『海をかち割れる』。
「ダートウマ娘って、どういうパワーなんですか?」
「一言で言えば、異能なしに、海をかち割れる。ファル子は歴代でも特に高いパワーを持つからな。意外に筋肉質だぞ」
「ひぇえぇ……。プリキュアでもないのに、そんなパワー!?」
見かけはそれほどでもないスマートファルコンだが、そのパワーは下手なプリキュアを上回るほどのもの。それを明言され、震え上がるキュアマリンであった。