ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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今回はオトナプリキュア世界編の息つき回です。


第五百九十六話「戦いの合間に…」

――結局、扶桑皇国は世界の安定のために、大規模な軍事力を維持しなければならなくなった。日本側は近代化による規模の相対的縮小を志向していたが、ダイ・アナザー・デイで物量差を人員の質で覆した結果、質で量を越えろという宿命を背負わせられた。だが、元々、魔女の質の均一化が図られていた矢先であったので、精鋭部隊の設立は『比較的に質のいい部隊をベースにして拡大する』しか方策がなく、末端までの完全な精鋭部隊は64Fに限られる事になった。また、中堅層が太平洋戦争を前にしてクーデターを起こし、『粛清された』事も扶桑皇国内の魔女の立場低下を招いていた。その関係で、プリキュア達に魔女の名誉回復が託される事になった――

 

 

 

 

 

――日本(ドラえもん世界)は結果的に、同盟国のアメリカ合衆国の権威が度重なる争乱と失政で陰りが見え始めたため、自前の軍事力をゆっくりと再建する方向となり、(時間稼ぎのために)扶桑軍を大いに活用することにした。当面の間は扶桑軍の活用で間に合うからであった。また、扶桑の(史実での陸軍強硬派と海軍保守派の)高級軍人や史実の親独、親露派の外務官僚、内務官僚の多くを有無を言わさずに失職させたはいいが、その穴埋めにする人材の選定に四苦八苦するなど、感情優先の施策のツケを支払う事になった。64Fの部隊編成が恒久化したのは、一連の締付けで起こったクーデターで魔女の部隊が予想以上に弱体化したため、史実太平洋戦争のようなエースの分散配置では『各個撃破される』という危惧が強まったからだった――

 

 

 

――折り悪く、扶桑の魔女覚醒の休眠期に入っていた事も、魔女兵科廃止に弾みになってしまった。最盛期の状態に戻るのは、早く見積もっても、(史実で警察予備隊が設立される)1954年夏以降という悲観的予測が立ち、その通りに『日本軍が解体され、武装組織がなかった空白期』にあたる1945年秋から1949年までの『魔女の覚醒数』は最盛期の30分の1以下であり、その大半がMATに入るという有様であった。この世代の断絶も魔女の社会的地位の低下の一因となった。日本側が覚醒した10代前半の少女を軍で雇用する事を差止めさせ、それまでの魔女の社会的特権の多くを廃した事も要因であった。この予想外の反応に困惑した日本は『制度を廃した後も、廃止までに恩恵を受けていれば、それ以後も年金受給の権利は発生するし、傷痍軍人ならば、然るべき支援が受けられる』と啓蒙活動を続け、軍事援護の継続をする事を明言せざるを得なくなった。また、『1945年8月までに入隊済みの魔女は期間雇用でなく、正規雇用として扱い、人事処理上の待遇も継続させる』と明言し、士官層の繋ぎ止めに努めた。また、世代間の対立を防ぐため、1946年以降の入隊組(プリキュアは原則的に前者が適応されたので、除外)にも事実上のキャリアコースを用意するなどのギャップ緩和策も取られた。これに防衛省は『変に我々に合わせさせようとしないで、現地の人間たちにゆっくりと制度を変えさせておけばいいものを』と延べ、政治家達を揶揄したという。一連の日本の『戦後の成功体験に由来する、大転換政策』は全ては上手くいかず、軍事関連施策の少なからずが予想外の反応で修正を余儀なくされた』という結果で終わったのである――

 

 

 

 

 

 

 

――この施策で表立っての大規模な軍事力増強に制限が課せられた扶桑は、裏でそれを急いで行った。地球連邦からの軍事援助を用いたのだ。しかし、1947年12月の開戦までに軍備の近代化は間に合わず、内部対立の問題は空軍で特に顕著に表れた。特に、64Fでさえ、志賀少佐が隊を去り、坂本が出戻る羽目になるなどの混乱が生じたので、他部隊では尚更であった。それに加え、扶桑は外征軍としての役目を背負わせられたため、戦略爆撃機の存在はどうしても必要であった。B-29やB-52などの高価な超重爆を多数維持するだけの人的余裕が自由リベリオンにはないためであった。そこで問題が起こった。富嶽と連山は海軍が作り、陸軍航空隊は大陸での戦術爆撃に特化した機体とドクトリンであったからだ。その責を問われた井上成美中将(海軍)は空軍の事務方に退く事になった。また、陸軍が1945年に試作中だった『キ91超重爆』は『富嶽系に戦術爆撃機を一本化する』という方針で淘汰される事になったが、ジェット機の時代に入った後に『最後の新規設計のレシプロ旅客機』に設計の多くが流用され、史実戦後型ジェット旅客機の登場まで(一時的な栄華だが)花形となる未来が訪れる。富嶽系はそれと対照的に、戦略爆撃機というジャンルの生き残りとして戦陣に立ち続けるのである――

 

 

 

 

 

 

――日本は『敵はアメリカなんだし、飛行機は数年で機材を刷新する』方針を扶桑に徹底させたかったが、実際には不可能であった。現地でレシプロ機の時代が終わり、ジェット機の時代に入ったからだ。いくら、メタ情報があると言っても、戦後第二世代以降の高性能機の開発と運用には『必要技術の相応の発展』が必要であるためだった。そのため、当座の対策で『地球連邦の余剰機を買い取り、ライセンス生産を裏でする』事が1947年から始まり、新京防空群のいくつかの部隊にそれらが1949年度に出回った。セイバーフィッシュやレイブン・ソード、ブラックタイガー、初期型コスモタイガーⅡなどが主流であった。精鋭にはVF-1EX、VF-11などの可変戦闘機も回されたが、AVF以上の極上は64Fと、その支援を担当する部隊のみが有した。性能を引き出せるパイロットがそこにしかいないからである。こうして、64F主力が遠征中に扶桑の防空体制は一定の質的改善を見たのである。日本は扶桑のこの施策に困惑した。平時での財政優先の施策しか頭になかったため、戦時の機材消耗を考えず、事実上の『日本の予備機材置き場』としたかったからだ。新鋭機を本土防空部隊に優先配備とした事への反発が大きかった事の表れであった。現地部隊の多くは『本土で充分にテストをしてから送れ!!』という声が強かったが、扶桑本土では不可能な技術テストも多い事から、64Fとその支援部隊に先行生産機を回し、それで課題を洗い出した後に全軍に回すという『回りくどい』手段が取られた――

 

 

 

 

 

 

 

 

――かくして、戦争は膠着状態に入った。扶桑は陸軍戦力の機材更新に横槍によるトラブル(センチュリオンやチーフテン、コンカラーなどの扶桑での採用に反発する陸自や日本の軍需産業などが原因)が起こり、海軍は酷使による大型戦闘艦のオーバーホールと空母機動部隊の形骸化で作戦行動能力が低下し、空軍も平均練度のばらつきが大きすぎたからである。日本の政治家は『せっかく、74式のライセンス与えたのに』とぶーたれたが、冷戦中の自衛隊戦車は『本土での待ち伏せ戦闘』に事実上特化した設計であり、運動戦が前提条件の扶桑陸軍にはいまいち合致していなかったのだ。ダイ・アナザー・デイで、ロマーニャ陸軍がことごとく返り討ちとされ、M動乱で既存の扶桑戦車がことごとく返り討ちにされた事から、扶桑の前線は重装甲・重火力の戦闘車両を求めていたからである。16式機動戦闘車が想定外の運用で損害が大きかった事も作用していた。日本の防衛官僚は『本土であんな重いのは運用できん!』と怒鳴ったが、さすがに史実の機甲部隊の惨状を『魔女の世界』で繰り返すわけにはいかないため、結局は認めるをえなかった。その結論に至るには何年もかかったため、扶桑はコンバットアーマーに傾倒したのだ――

 

 

 

 

 

 

――この兵器の大発展に追従できなかった魔女たちはF-86で急場を凌ぎつつ、第二世代理論の熟成を待った。プリキュア達はフィールドを選ばずに戦えるが、彼女らはストライカー技術のブレイクスルーが起きない限り、超音速の領域に安定して踏み込めなかった。史実でのシャーリーのそれは個人的技能と技量に由来する奇跡によるもので、遷音速機にすぎないF-86、それもジェットエンジンでは、レシプロエンジン機のような『エンジンの限度を超えた加速』を行う仕組みにはなっていない。それはストライカーでも同じだ。史実のバルクホルンによるMe262の試着のメタ情報で、エンジンにリミッターがつけられていたのも大きい。そこで魔導理論を根本で見直し、魔力を『再燃焼』させることで加速力を上げる魔導再燃焼装置(俗に言うアフターバーナー)が加えられ、それを前提にした高出力エンジンが開発された。これが第二世代宮藤理論である。だが、当時の技術レベルでは、燃費性能を妥協せざるを得なかった。それが1947年からしばらくの魔導理論の『限界』であった。それと対照的に、陸戦魔女はパワードスーツの概念の流入で飛躍を起こし、1949年度に戦後第一世代戦車相当の攻防性能を持つ『軽装式』がまとまった数で完成し、南洋で評価試験に入った。装備も刷新されており、白兵戦用の装備が常備とされた。これはティターンズ残党の幹部層が皆、南斗聖拳の伝承者であり、放たれた弾丸を手刀で斬り裂いてくるのと、格闘訓練さえも省略されている世代の魔女では為す術もないため、自衛手段として持たされたのだ――

 

 

 

 

 

 

 

――64Fの中隊長の一人『宮部大佐』は武子不在時の戦隊長代理の一人であったが、日本側に『保守的』と見做されており、戦隊長代理の任にあった際に日本へ呼び出され、『君は機種変更に肯定的か』と査問される羽目にあっていた。これは64Fが敗戦まで一式戦のままであったため、それを憂慮した防衛省の意向であった。実際には、戦隊長代理と言っても、業務の都合で据え置かれた立場にすぎず、機種変更に関して、彼女に決定権はなかった――

 

 

『自分は業務の都合で据え置かれたにすぎない立場です。機種変更の決定権は自分にはなく、ただの判子押しの身です』

 

これが彼女が戦隊長代理であった頃の見解であった。扶桑海以来の勇士揃いの部隊を率いるほどの野心もないので、ただの判子押し役に徹した。史実とは状況が違う上、隊の運営は黒江たちが回しており、『新参者』である自分は立ち入れないとの説明は本当であった。これは武子以下の幹部はほぼ全員が扶桑海以来の古参であり、事変後の志願である彼女はまさに外様であるからだ。

 

『君ほどの者が、かね』

 

『尉官が少なく、下士官が整備班にしかいない時点でお察しくださるかと。わが部隊は軍神部隊なのですよ?私など、単なる外様です』

 

宮部大佐は武子の療養中のみの『判子押し』だという自覚があった。参謀本部が目論んだ『思惑』で派遣されたが、秘密を知ってしまった故、中隊長として残留する事になっていたので、隊に独自色を出そうという野心はなかった。彼女は書類上、セラの後任の代理だが、セラと彼女は『判子押し』に徹していた。黒江達の武勇を元から知っていたからだ。

 

「では、F-15とF-14の配備を通してくれるね?」

 

「それは私の感知することではありません。加東閣下にお伝え願います」

 

と、ビジネスライクな返しで日本の査問を潜り抜けた彼女は武子の復帰後は予定通りに中隊長扱いになり、武子の産休に際しては、檜大尉の指揮下で戦うという変則的な扱いであった。主力の不在時はセラが士官代表としてまとめ、その副官に檜大尉がつくとされ、セラが如何に幹部層の信頼を得たかがわかる。そのため、後世の記録で公式に64Fを率いた経験者と記録されるのは、『広瀬世羅・バルナック』大佐(それが本当の階級である)のみであった。

 

 

 

 

 

 

――セラの技量は『セイレーンの魔女』を自称するだけあり、当代のトップエース級であった。黒田の同期であるが、家柄の都合で黒田よりハイペースで出世を果たしていた。1945年時点で既に大佐であり、ダイ・アナザー・デイで再結成された64Fの追加人員の候補に早くから上げられていたが、彼女の父である陸軍少将が『源田の子飼い共に娘は渡さん』と息巻き、妨害工作を働いたことで一旦はお流れとなった。圭子の小学校の後輩であり、圭子とは元から面識があった故、後に参謀本部を手玉にとる形で着任したのは隊内で語り草であった。扶桑海三羽烏(黒江、智子、圭子)の三人は後世の記録では、退役まで大隊長を続けたが、総隊長にはつかなかったという。これは三人の戦闘能力を生かすための措置とされ、武子が在任中に決めた方針であった。また、既にGフォースの役職なり、広報室の室長、Gフォース内の特機部隊長を兼任していたためでもあったという。特に黒江はGフォースの司令に任ぜられたため、64Fまでは管理が追いつかないというのも大きい。これが黒江の腹心であった黒田が1948年度に侯爵家を継承し、軍務の一線から距離を置かざるを得なくなったためでもあった。黒田が隊で担っていたポジションをなし崩し的に継ぐことになったのが、夢原のぞみであった。早期に大尉となったのは、武子の『黒田に代わる、黒江の護衛兼世話役』にしたい思惑からでもあった。黒田も家を継ぐ都合で軍務から距離を置かざるを得なくなったことにより、自身に代わる『斬艦刀の継承者』を探しており、ダイ・アナザー・デイで台頭したのぞみは『黒江の護衛ができる』戦闘能力、『後輩プリキュアを指揮できる立場』などを勘案し、推薦。こうして、のぞみはデザリアム戦役で黒江の副官に任ぜられた。ただし、それはのぞみ自身の問題に一定の解決を見た後の事。

 

 

 

 

 

――オトナプリキュアの世界――

 

オトナプリキュア世界の大人のぞみは軍人としてののぞみAの代役であったが、存在の同一化作用(ZEROの力による)により、のぞみAと同一人物として振る舞っていた。デザリアム戦役でのぞみAと共に戦った『シン・アスカ』には懐かれており、ルナマリア・ホークにそのことを不思議がった。

 

「うーん」

 

「どうかしましたか、少佐」

 

「いやさ、シンに懐かれてんだけど、心当たりがなくてさ」

 

「シンは強い調子で接すると、反発するんですよ。アカデミー時代からそうで、元の世界での上官だったアスラン・ザラ一佐(階級はオーブ移籍後)なんか、シンをぶん殴ったせいで、完全に反りが合わなくなって」

 

シン・アスカは基本的に、褒められるとやる気を出すタイプであり、アスランは一戦士として最強クラスだが、指揮官適性は低いのか、シン・アスカの教育に実質的に失敗している。それを考えると、キラ・ヤマトが倒した『ラウ・ル・クルーゼ』は(如何にそれが演技だとしても)部隊指揮官としては上々の振る舞いをしていたかがよくわかる。

 

「シンは褒めると、指示されたことを完璧にこなしてくるけど、元から?」

 

「転移直前まではデュランダル元議長の思うがままにされていました通り、元からです。それに、ドラえもんが調べてくれましたが、シンは家族が生きていた頃は内向的な少年でした。恐らく、戦災で人格に悪影響が生じたのでしょう」

 

シンは戦争で傷を負った故に、軍人になった。だが、自身を認めてくれる者に盲目的に従うという形で難点が露呈。もし、転移がなければ、アスラン・ザラかキラ・ヤマトに討たれた可能性も無しにあらずであった。

 

「シンは本来、家族思いの少年です。もし、オーブが戦災に遭わなければ、軍人になることはなかった。そう思えるほどの。私がルナマリア・ホークの存在を乗っ取ってしまったことも受け止めてくれたのですから」

 

「のろけてるねぇ」

 

「今は『ルーラー』ではありませんから。ジークフリートのコピーのホムンクルスとゴールインするのは、別の世界線の私ですし」

 

その事から、ジャンヌは『似た出来事は経験しつつも、そのホムンクルスと出会うことがなかった』世界線の存在であるが、転生の際に記憶は得たらしい事がわかる。ルナマリア・ホークの存在と同一化する形での転生故に、シンに好意を持っていたルナマリアの思いが反映されたのを差し引いても、惚れた事が窺える。ルナマリア・ホークの容姿は取っているが、声色はルナマリアのそれより落ち着いたものである。言葉づかいも敬語であるのと、自分の英霊としての立場をメタっている節を見せる。

 

 

「でも、ルナマリアの姿でないと、何かまずいの?」

 

「私、フランスの英霊ですよ?フランスの皆様方が知ったら、面倒なことになるのが目に見えてますし」

 

「いや、『わが神はここにありて』を使う時点でさ……」

 

ルナマリア・ホークの容姿でも、宝具は普通に使える。のぞみは『その時点でバレてそう』と考えている。とはいえ、生前のジャンヌがどのような旗を持っていたかの正式な記録はない。後世の想像で書かれたものが伝わっているが、正確ではない。アルトリアは派生存在が多く知られていることもあり、聖剣持ちがネタにされていることに憤慨中だが、ジャンヌについては、英霊としての立場故か、派生存在はアルトリアより少ないのは有名だ。

 

「あれはいざという時用ですから。それに私、史実を考えると、セイバー属性はないわけじゃないんですよ?」

 

「むしろ、その方が主流じゃない?」

 

そう。ジャンヌは記録によれば、剣を手にとって戦ったというのが主流の説であり、槍を使ったという記録はない。ルナマリア・ホークとの融合で戦士としての要素が強くなったというのが、本人の感覚との事。

 

「ええ。今であれば、剣は扱えるかと」

 

「問題はあなたの機体のソードシルエットの剣だよ。エクスカリバーじゃん、名前」

 

「ええ。ですので、代わりを手配するように頼みました。素性が知られると、色々と言われそうですし。ザフトの方々は『語感の良さ』でつけたと思うのですが……」

 

「フランスの英霊のあなたがエクスカリバー使うと、色々まずいですよ?」

 

「日本人のあなたも持ってるじゃないですか、聖剣を」

 

「あたしはあれの他に、日本の神剣も使えるし、さ」

 

「それは反則ですって」

 

「そのおかげで、大工仕事とかに不自由しなさそうだ」

 

聖剣を使えば、ログハウスくらいは自力で資材を調達できそうだと、笑うのぞみ。実際、下手な電動ノコギリや斧を使うくらいなら、自分の手刀で切ったほうが綺麗な切り口になるからだ。衝撃波の制御も効くため、包丁がない時は材料を空中に浮かせ、手刀の衝撃波でみじん切りにするといった芸当もできる。聖剣と神剣を図らずも持った事も、大人のぞみが軍に居続ける選択を取った理由だ。

 

「この世界が平和になったら、どうするんですか」

 

「学生時代からの恋に、この世界での決着をつけるつもり。どんな答えだろうと、ね。その後に次の仕事につくよ」

 

のぞみはどの道、ココとの関係に決着をつけなければ、青春に別れを告げられないという結論に達していたので、戦いが一段落した後に会うつもりであることを明言する。それがココのこの世界での罪と言えた。皮肉な事だが、A世界では『前世での罪』を自覚したことでサムライトルーパーに覚醒したが、この世界では『王位にある故のしがらみを意識しすぎている』。また、以前と変わらず、のぞみの力になれない。のぞみが仕事で順調なのを理由に、大学卒業より四年も姿を見せなかったという不義理もしていた事から、かつての仲間達の反感を買っており、ナッツでさえ、のぞみが動乱でどうなったかを知らせていない。美々野くるみ/ミルキィローズはココに知らせたかったが、キュアスカーレットとキュアエトワールに止められていた。彼らが来たところで、この動乱に寄与できないからである。

 

 

 

 

 

 

 

――更に言えば、別個体と半ば同一化したが故に、戦士へ完全に戻った状態である事の説明に時間を要するからでもある。更にタイムフラワーが関係しない変身であるといっても、素で若返っている事の説明に手を焼くこと請け合いだからだ。それはこの世界の常識では説明不能である。元から戦闘能力は高かったが、別個体の超能力と技能がプラスされたおかげで、後輩らに引けをとらないポテンシャルを得たなど、説明の余地がほぼない。パルミエ王国にはアカシック・レコードの概念がないからである。超越的な存在が地球を裏で統治していたという事実も、説明に困るものであった。また、夢原のぞみ(キュアドリーム)という存在そのものは平行世界にいくらでもおり、その中で最強の戦闘能力を誇る個体と同一化が進んだ。それだけでも、徹夜になるだろうからだ――

 

 

「とはいえ、軍人してたほうがある意味、気が楽だね。教師ってのは聖職でもなんでもないし。むしろ、立場弱いし、昨今」

 

「言えてますね。責任押し付けられる割に、給与は高くない、個人の自由時間がないとか」

 

「図太い神経無いと、やってられない仕事だよ。軍人よりきついかもねぇ」

 

現職の教師ながら、指導教諭の嫌味や保護者らのクレームで疲弊していたのか、就職当初の情熱が薄れてきている様子を見せる大人のぞみ。

 

「だから、比較的に親のクレームが少ない私立にしたんだけどね。母さんと親父も心配してたしさ……こういう時、一人暮らしだと、ね」

 

のぞみは一人っ子であった上、就職後は一人暮らしであった。それも精神のすり減りの理由であった。その関係か、軍人をやる事に抵抗が却ってなく、ごく自然に軍人らしい仕草を見せている。この世界での仲間達が驚いているのは、まずその点だ。

 

「軍人に偏見ないんですね」

 

「そりゃ、同一化作用がなくても、命張って、敵と戦ってた事には変わりないさ。むしろ、あたしは隠してたけど、個人的には自衛隊の活動に肯定的だし、気持ちわかるよ」

 

「ココとは?」

 

「ココがイギリスの『王冠をかけた恋』の故事みたいな真似をしてくれるか、国を立憲君主制にするとかしないと、まず無理だろうね。ココは責任感強いから、総理大臣や宰相を置く考えないだろうし。若い頃、自分とナッツの未熟さで国が一回滅んでるからなぁ。あたしをさ、四年もほったらかしだよ?まったく……」

 

「溜まってますねぇ…。あなたがシンプソン夫人をご存知とは」

 

「そりゃ、大学で教育学部だったし、そのくらいはね」

 

大人のぞみは大英帝国末期の『王冠をかけた恋』を知っており、ココがそのような事をしてくれるのかの賭けをしていた。だが、ココは元より責任感が強いため、王位の放棄はしないだろう。最善は宰相に政務を丸投げできる体制になることだ。近世以降の王制はそのような仕組みになっているからだ。

 

「こういう時、向こうが羨ましいよ。何のしがらみもないし。そりゃ、ココも向こうじゃサムライトルーパーの宿命背負ったけど……」

 

大人のぞみはAが心底羨ましいようであった。自分は士官、向こうは高校の教諭。戦争が終われば、南洋に買っておいた邸宅で夫婦生活を送れる身の上だからだ。対して、大人の自分は……。そう考えると、気が重いようだ。

 

「それに、この変身がタイムフラワーによる一時的な奇跡じゃないって、どう説明すりゃ…。あーーーー!!もーーー!会ったら、一発殴ってやりたいよ」

 

「まぁまぁ…」

 

ココへの不満が蓄積しているのもあるが、能力が完全に往時の状態に戻り、見かけが往時のものに戻っているという状況ながら、26歳の女性としての不満がタラタラというのは、シュールである。変身状態では、声色も完全に14歳当時のあどけないものに戻っている。口を開くと、飛び出すのが20代半ばの女性の持つ様々な不満や恋人にいいたい愚痴な点をのぞけば、往時のキュアドリームそのままだ。

 

「少佐、インパルスとデスティニーの対艦刀の換装作業の許可を願います」

 

「ご苦労、許可する。元のはアナハイム・エレクトロニクスに送ってやれ」

 

「ハッ」

 

艦の整備班の下士官が声をかけ、指示を仰ぎにくる。のぞみは許可を与え、整備班に両機の対艦刀を換装させる作業をさせる。

 

「後で、休憩室で軽い食事を取ろう。この歳になると、愚痴っぽくなっちゃって」

 

「その姿で言っても……」

 

「確かに」

 

のぞみとルナマリア(ジャンヌ)は休憩室に行く。すると、先に来ていたシンが胡椒餅に舌鼓を打っていた。

 

「あ~!あんた、それ……」

 

「ゆいちゃんがおすそ分けしてくれたんですよ、のぞみさんも食べます?」

 

「夜市で買ったの?」

 

「そう聞きました。デリシャスパーティの子たちが有名な夜市で買ったらしくて」

 

「台湾にいる内に、夜市行こうかなぁ……」

 

「でも、あの子達もよく買えましたね?」

 

「連邦軍のおかげで、安全が確保された地域から再開されてさ。あの子達、料理のプリキュアだろ?それで……プリキュアの格好で普通に買えたって言ってた」

 

「流石は昨今のオタク文化あるある……」

 

「のぞみさん達は台湾じゃ知名度下がるかな?」

 

「ラブちゃんが喜んでるよ。台湾で放映されてたし、フレッシュは。日本好きのオタク層なら、わかるかも。まぁ、うららなら、若い頃にアイドル路線だったから、素で知名度あるけどね」

 

「ああ、キュアレモネードの子」

 

「本人は舞台女優に軸を移したけど、なかなか芽が出なくてね。若い頃みたいに、歌えば吹っ切れると思うんだけど」

 

「見本として、ルナに歌わせたら?」

 

「ラーゼフォンやエスカフローネでも歌わせる?色んな意味で属性がすごいことになるけど」

 

「カードキャプターは?」

 

「それだ!あんた、今日は冴えてるじゃん」

 

「うららさんが凹みませんかね…?」

 

「却って発奮するんじゃ?うららの母親、すごい舞台女優で、歌唱力抜群だったし」

 

「音源は俺が持ってますよ。見てください。23世紀の携帯プレーヤーなんすけど」

 

「ignited、ミーティア、インヴォーク、ZIP……意外と、ノリいいの聞いてんね」

 

「オーブで暮らしてた頃の名残りで。亡くなった妹にせがまれて、買った曲もあって」

 

「なるほど」

 

「シン、プライベートだと、大人しめの趣味なんですよ。フォン・ブラウンの家には本がぎっちり……」

 

「意外だぁ」

 

「俺、昔は本好きで…。落ち着いた頃から買い集めだして。俺たちの世界だと、出てないシリーズの続きもあって…」

 

シンはフォン・ブラウン市在住らしい。それもフォン・ブラウンの繁華街の階層の大きめの邸宅を保有している。パルチザン時代に得た慰労金などで買ったらしい。再就職以後は徐々に趣味を以前の状態に戻しつつあり、部屋には遠征前に看取った『レイ・ザ・バレル』との写真が飾られている。また、元ZAFTの将校である事により、この時は当時の赤服の着用許可をもらっている。これはシンの出自への配慮だ。

 

「のぞみさんたちは変身したコスが制服代わりなんすね」

 

「うん。前に転職しようとして、えらい目に遭ってさ。それで扶桑陸軍の軍服がまずかったって、ケイ先輩に言われてさ。それで先輩たちが動かしてくれたんだ、人事部を」

 

「それで、それが仕事着に?」

 

「うん。疲労低減の効果もあるし。あたしは扶桑陸軍の軍服、けっこう気に入ってたんだけどね。旧日本軍の軍服と同じなのがまずかった。おまけに魔女兵科章を歩兵科に勘違いされてさ。はらわた煮え繰り返ったよ」

 

「それ、噂されてましたよ。前に、欲しい本があったんで、ドラえもんの時代にいったら……」

 

「うん。先輩が週刊誌にネタを売り込んでくれなきゃ、あやうく泣き寝入りだよ」

 

「あの時代、陸軍の軍服の知識なんて、一般人はわかんないんすから、飛行服姿とかで……」

 

「それしようとしたけど、坂本先輩に叱られてさ。あの人、風紀委員みたいな事する事あるし」

 

「あの海軍出身の眼帯さん?」

 

「うん。あの人、普段はおおらかだけど、式典とかはうるさくてね。特に面談だと」

 

「航空胸章は?」

 

「つけてたはずなんだけどねぇ」

 

のぞみは件の官僚との面談の際に飛行服か、戦闘服を着るつもりであったが、坂本に叱責されて、軍服一式を着させられたという。しかしながら、それが事が荒れる理由であり、坂本の大いなる采配ミスであった。

 

「で、事が荒れたのを知らされた時には気まずそうにしてたって。隊長に叱られたみたい」

 

「ああ、綾香さんや智子さんがススキヶ原でトラブルに巻き込まれた事あったから、戦闘服着用が推奨になったって……知らなかったんすか、眼帯さんは」

 

「あの人は元が海軍の出だしね。今度、非番の時に、みんなに見せようと思ってんだ。向こうのあたしの状況を教えるついでに、さ」

 

「かれんさんには?」

 

「かれんさんとこまちさんには見せたよ。こまちさんがキャーキャー言ってさ」

 

「ミルキィローズには?」

 

「あ、まだだ。エトワールとスカーレットに預けたから。咲ちゃんは実家のパン屋の服をそのまま着て食堂にいるし。舞ちゃんがすごく喜んでたな。グラフィックデザイナーになったから、仕事に戻ったら、使えそうって」

 

「あの人、この世界だと、デザイナーになったんすね」

 

「うん。こまちさんは普通に小説家。あたしの袴姿見て、キャーキャー言ってさ。喜んでくれたのは嬉しいけど、かれんさんの質問がきつかったな。伝統様式だから、あたしじゃ説明できないとこあるし」

 

「つか、ファッションショーしたら?」

 

「美希ちゃんとゆかりさんいないとな。ゆかりさん呼びたいんだけど、転生先で参謀になっちゃったし、統合参謀本部の」

 

「キュアベリーは呼べないんすか?」

 

「この世界の美希ちゃんと会っちゃったからなぁ。今は日本で避難施設にいる。ラブちゃんに説明してもらいにいってもらったけど、戦士に戻ってくれるかは」

 

「そういえば、スイート組は?」

 

「同一化作用が働いたから、話は通じる。奏ちゃんはお菓子店の店主になってるそうで、今は店の休業のあれこれで日本に戻ってる」

 

「シャー……おっと、この世界じゃ、北条響だった……は?」

 

「あいつは同一化作用のおかげで、今はピアニストとしての活動休止の記者会見中。明日には勤務に戻るって」

 

「あいつ、意外に覚悟ガン決まりするんすね」

 

「あの子は昔から、そういう質だから。こっちだと、多少は女の子ぽさが残ってるかな」

 

「こっちだと、あいつ、プリキュアの姿で機の整備とかしてますからね」

 

「プリキュアの姿だと、おっぱいが小さくなるから、ダイ・アナザー・デイで覚醒したての頃に、ルッキーニがぶーたれた事あってさ。あれには爆笑だったよ」

 

「あの子、その……好きなんすか?」

 

「実家のママを思い出すから、だって。それでキュアメロディの姿になってる時のシャーリーに『ちっさくなってる~!!』って泣いてさ。あいつ、憤慨してた」

 

「だろうなぁ」

 

「そういえば、思い出した。あの子、あたしが覚醒する前、『ニッキー』って呼んでたんだ。それで夢原のぞみとしての姿見せたら、『ニッキーが変になったーーー!』って言われてさ。ずっこけたね」

 

のぞみも黒髪黒目がマゼンタピンクの髪色とピンクの瞳に変わっていたので、ルッキーニにかなり驚かれたという。

 

「もっとも、坂本先輩への説明が疲れたけね、ほら、みなみちゃん(キュアマーメイド)とゆかりさん(キュアマカロン)のことで……」

 

「関係がややこしいですもんね」

 

「で、ゆかりさんにタメ口で話しかけたら、竹刀が炸裂してね。ゆかりさんも説明してくれたけど、不満そうでさ」

 

「そりゃ、北郷少将は眼帯さんのお師匠で、竹井少佐は同期で、しかも、のぞみさんの前の所属先での上官。事情しらない眼帯さんからすれば……」

 

「先輩が通りがかって助かったよ。坂本も黒江先輩たちの言う事なら聞くし」

 

坂本はプリキュアとしては、のぞみのほうが二人より遥かに先任であることを聞かされ、思わず『どうなっているんだーーーー!!』と困惑の叫びをあげたと、のぞみはいう。みなみ(竹井)も坂本を諌め、プリキュアとしては、自分が礼を尽くす方の立場であると説明した。

 

「あなたは誰が言ったか、プリキュア界の風見志郎と言われてますからね」

 

「彼ほどは目立ちたがり屋じゃないんだけど」

 

と、ジャンヌに言われ、補足を入れる。風見志郎とは、仮面ライダーV3のことである。彼は参戦すると、90%以上の確率で場の空気を乗っ取ってしまう。その事はダイ・アナザー・デイ~デザリアム戦役でよくわかった。のぞみBが腐れ気味である理由も、彼や南光太郎(RX)のあまりのヒーロー力の前に霞んでしまう事があったからだという。

 

「いいじゃん、もし、今後、現役時代のあたしの派生世界がまた見つかって、彼が救援に来たとするじゃん?そうなったらさ…。『※ご覧の番組はプリキュア5です』って事態になるのは、火を見るよりも明らかじゃん」

 

「あの人お得意のハンドル手放し変身と、変身前の小気味いいトークやられたら、番組変わっちゃいますからねぇ」

 

「現役時代はそうでもなかったらしいんだけど、スカイライダーの時代には、ズバットみたいに、小気味いいトークかますようになってたって」

 

シンもV3の場の乗っ取りに居合わせた経験があるので、風見志郎の圧倒的な乗っ取り力に同意らしい。これがビックワン=番場壮吉なら、言動がよりキザになり、より茶目っ気が出てくる。アオレンジャーはそういう質ではないので、V3とビックワンが二大『場の乗っ取り常習犯』である。

 

「前、どこかの世界のあたしの援護に来たことあったらしいんだ。話を聞くと、止めようとしたら、『君たちだけに戦わせたら、仲間に合わせる顔がないんでな』とか言って、ハンドル手放し変身。場を完全に乗っ取ったらしい」

 

「風見さんらしーや」

 

仮面ライダーV3の知られざる活躍。その時に、その世界のプリキュア5は『仮面ライダー』の存在を知ったわけだが、黒江が言っていたことをふと、思い出す。

 

「あ、この世界になぎささんがいるのはわかったから、詫び代わりの品を用意しとこ」

 

「わ、詫びっすか」

 

「先輩が言ってたけど、なぎささん、どうも、戦隊ヒーローの大ファンらしくてさ。それで、その場にいたなぎささんに種明かしした時、バルイーグル、レッドマスク、レッドファルコンさん達を紹介したら、キュアブラックの姿で、サインねだってたんだって」

 

大決戦が終了した直後の事、キュアブラックに種明かしをした黒江がスーパー戦隊の勇士たちを紹介したところ、ものすごく興奮気味になり、彼らにサインをねだっていた。キュアブラックの姿のままで、だ。ほのかも知らない、なぎさのプライベートな一面であった。その時はドリームの姿を借りていた黒江が呆気にとられるほどの喜びようであり、キュアホワイトとシャイニールミナスもびっくりしていたという。

 

「意外っすね」

 

「あたしも聞いて、驚いたよ。会った時はそういうそぶり見せなかったしさ。むしろ、他人が入れ替わってても、プリキュアになれるのがほのかさんに驚かれたってさ」

 

「で、なぎささんに話聞いたら、子供の頃に見てたんだってさ、戦隊シリーズ。ラブちゃんとやよいちゃん(キュアピース)と同じだって思ったなぁ」

 

「いますよ、子供の頃の原体験がその後も人生を左右するってやつ」

 

のぞみはなぎさの意外な一面を知ったわけだが、意外にも、子供の頃にヒーロー番組を見ていた者が思春期にプリキュアになるケースは多く、ラブは『地球戦隊ファイブマン』、やよいは『五星戦隊ダイレンジャー』あたりを見ていた。なお、2023年に現れる『キュアスカイ』は『故郷にいた頃に、その土地の防衛隊の隊長に助けられた』という経緯を持つ。年代的に、2020年代を迎えれば、のぞみやラブが現役時代に助けた子供、ないしは赤ん坊が次代のプリキュアになっても、なんら不思議でない。現に、朝比奈みらいは現役時代からの逆算では、のぞみの現役時代(2008年頃)に幼少で、ドラえもんの調査により、みらいはその頃にのぞみ(14歳当時)に会っていたという事が判明していた。(ドラえもんが復元した、みらいの過去の記憶にあったのだ。まだ物心がつく前のみらいが現役時代のキュアドリームに助けられていたというできごとが)のぞみもみらいも忘れていたが、二人は出会っていたのだ。それも、みらいがプリキュアとなるよりもはるか以前に)

 

「みらいちゃんもそうかもしれない。お互いに忘れてたけど、あれはお互いに転生する前の2008年。現役時代の頃だった。後から聞いて思い出したから、曖昧なのは勘弁して」

 

と、のぞみは胡椒餅をシンからもらいつつ、運命や宿命というものを信じるようになったほどの衝撃のできごとを語り始める。それはみらいがプリキュアになる運命を背負う者であることの確証とも言え、みらいに何かかしらの影響をもたらしたのは間違いなかった。のぞみ自身も信じられない思いである。まさか、現役時代に助けた、ほんの小さな子どもが成長後に後輩になっていたとは。

 

「どうして、今まで思い出さなかったんすか?」

 

「わからない。歴史の強制力なのか、本来は会っちゃいけない時間軸でエンカウントしたせいなのか……」

 

のぞみにも、それはわからない。だが、みらいの復活の過程で、意識が眠っていた状態のみらいが見た光景で、幼少の自分を怖い何かから助けてくれた年上の女の子がキュアドリームであった事に気づき、それにみらい自身が驚いている内に意識が回復したのだという。その時に幼少のみらいがキュアドリームに何を言い、何の約束を交わしたのか?ドラえもんはそう言い、のぞみも驚天動地である。そのできごとを記憶はしていたが、助けた女の子の顔がモヤがかかったように曖昧であったとの事。大喧嘩の直後にみらいが思い出し、のぞみも言われて思い出したが、確証が得られたのは最近だ。

 

「大喧嘩の直後にお互いに思い出したんだけど、あたしゃ気まずくてさ。でも、ちょっと嬉しかったかな」

 

「なんでです?」

 

「自分が助けた子供が偶然にしろ、自分の後を継いでくれていたんだよ?ヒーローやヒロインにとって、これ以上の幸せはないよ」

 

と、そのできごとは『イレギュラー』かもしれないが、ヒーロー(ヒロイン)にとってのある意味で至上の幸福とも言える。プリキュアは仮面ライダーのような『先輩が後輩に何かを継承させる』イベントは殆どなかったので、ある意味でそれが果たされたと言える。のぞみはそのエピソードを大事に思っていることを明言する。そんな休憩室での一コマであった。

 

 

 

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