ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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オトナプリキュア世界編ですが、前半は状況説明です。


第六百二十六話「状況説明と大人のぞみの選択」

――日本は結局、扶桑の風土が大日本帝国と一致しない点が多すぎたこともあり、『よく似た国』として考えるようになった。安土が政治拠点として存続している一方、ちゃんと大阪と江戸が栄えているからで、それでいて、生存圏確保のため、定期的に外征をしていた事が要因であった。そのため、扶桑に大陸領の殆どをすぐに放棄させることは困難だと悟り、扶桑が1990年代を迎え、1945年時点で生きている『元住民の大人たち』が死に絶える時代に判断させることにした。目下の課題は『軍事と皇室の切り離しをどう進めるか』であったり、『将校たちを全員、最前線で死なせるわけにもいかない』という実務上の問題であったからだ――

 

 

 

 

 

――軍事と皇室の切り離しは日本側の意向で行われつつあったが、日本側が政治的な失態を繰り返したことで『扶桑の皇室に連隊の指揮権を残す』事になり、近衛師団を縮小改編し、人員を大幅に削減する事にした。装備は21世紀の最新兵器に変えた上で。その一方で、対怪異の観点から、魔導エネルギーの通りがいい『エネルギー転換装甲』製の刀剣がアーミーナイフなどを押しのけて、制式装備に残るなど、驚くべき現象も起こった。また、本土配備の戦車は多くが三式以前の旧型であったため、M41や五式改で代替されていった。本土は大規模戦闘が想定されていなかった上、全体的なインフラが大正期と大差なかったので、30トン級戦車の配備は躊躇われた。だが、時代の趨勢がそうなっていったために承認された。1945年の時点で『ラーテ』の代わりになる超兵器が投入されたので、戦車程度はどうということのないものとされたのだ――

 

 

 

 

 

 

 

――大和型戦艦は史実と真逆に、『最前線で戦いまくる』艦生となった。史実と違い、早期に後継艦が竣工したため、1949年(竣工から10年近く)には、大和は第四戦隊に配置換えとなっていた。近代化改装後はプロパガンダ用の艦としても活用されていたが、ドック入りによる重整備に入っていた。これは1949年当時の殆どの主力戦艦に当てはまり、それを補うために、水戸型戦艦が急がれたのである――

 

 

 

 

――連合国の殆どの国々には『大規模に戦艦を建造・維持する』余力はもはやなく、日本連邦に否応なしに『戦艦部隊の維持』を押し付けた。戦艦は本来、日本人のイメージや、未来世界の宇宙戦艦ヤマトのような『単艦無双』をする艦種ではない。その運用コストは当然ながら、『魔女の世界』でも悪化しており、たいていの場合の存在意義は『怪異への直接打撃力の維持』のためでしかなかった。日本連邦は『敵が量産してきた上、ミサイルが有効でないから…』という理由で多数を現役に留めさせており、大和は(相対的性能低下から)象徴的意味合いでの現役に移行しつつあった。もっとも、艦影が宇宙戦艦ヤマト寄りに改造済みな事から『改造し過ぎ』という声もあった。主砲も艦幅などの限界で『48cm砲』に留まっている事から、扶桑内部では二線級扱いであった。仕方ないが、主力がもっと大口径の艦砲へ移行した故である。とはいえ、史実より大口径には変わりない。21世紀世界では『アイオワがおもちゃ扱い』の戦力であるため、仮想敵国への示威に役立っている。アイオワはあくまで、『大本の射撃指揮システムに手が加えられないので、一部の武装を換装した』という程度の改修だが、大和は大元の射撃指揮システムも変えるほどに手を加えられ、『原型がない』と自衛隊が唸るほどのものであった。これほどの改修を以ても『第一線を張れない』と判断される点に、魔女の世界でのリベリオンとの建艦競争の激しさが窺える――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――これは魔女の世界での空母機動部隊の場所取りが『合戦』と言われるほど激しく展開されたが、ジェット戦闘機の登場で魔女が劣勢になったのがつい最近である事、魔女部隊の軍事的な有用性が大きく低下したことで『移設先』が問題になっている故である。怪異がスーパーロボットに駆逐され、当面の脅威では無くなった故で、魔女に整備を邪魔されない戦力が戦艦であったため、リベリオンは積極的に建造していた。リベリオンの最新世代の戦艦は世界的に見ても『最有力』の部類に入る故で、日本連邦以外には『恐るべき敵』であった――

 

 

 

 

 

 

 

――その日本連邦は護衛艦タイプへの中小型艦艇への世代交代を急いでいた。当面は戦後第一世代式のものであった。扶桑の『精鋭でない一般将兵』の手に負える範囲で近代化する場合、戦後第二世代以降のガスタービン艦は時期尚早とされたのである。だが、直接打撃力の低下が魔女に問題視されたため、重巡と戦艦が『現役の兵器として残る』状態となったのである。日本型重巡は元々が雷撃至上主義であったので、『軽装甲』だと批判されている。超甲巡が巡洋戦艦扱いになった故で、重巡は結局、デモイン級の後追いで『大型・重装甲化』に舵が取られる。実際、史実での日本巡洋艦はあっけなく最期を遂げたケースが大半であった。更に、旧来の巡洋艦の存在意義がミサイル艦の登場で消滅した事も重なり、元の一等巡洋艦が二等巡洋艦の任務を吸収する事になり、旧来の軽巡洋艦は在籍艦の大半が存在意義の喪失で退役に追い込まれていく。阿賀野型のみは(建艦が新しい故に)早期退役の予定とは裏腹に、しばらくは現役に留まるのである――

 

 

 

 

 

 

 

――扶桑陸軍は戦争終了後に軍備の削減が予定されていたが、大陸領の奪還を望む扶桑の世論と大陸領出身の軍人らの暴発が恐れられた結果、太平洋戦争で消耗させるという選択が取られた。扶桑とリベリオンの国力差が史実の日米ほどではなかった上、魔女の人数で絶対的優位にあったという違いがあったからだ。日本は意図的に消耗戦に持っていったが、予想以上にリベリオンが烏合の衆かつ、扶桑の一部将校が百戦錬磨・一騎当千であったため、意図した結果は得られていない。とはいえ、ダイ・アナザー・デイの失態以後、日本も迂闊に兵器廃棄を実行できなくなった。更に、カールスラントへの経済制裁のやり過ぎで同国が死に体になったという事態により、同国の優秀な軍人の管理のために、日本連邦が代わりに雇用せねばならない事になった。これも軍事予算を抑えられなくなった理由だ。ダイ・アナザー・デイで死ぬほど鹵獲した『M4中戦車』をまとまった数で売却しつつ、その金で国産新装備を得るという方法で、扶桑軍の装備は更新されていった。ダイ・アナザー・デイで投入された同車両は雲霞のごとき量で、終結後に64Fが管轄地域に残置したものを集積させただけで『数千』。小国の軍隊なら充分な数であった。全体では万を超えていた。M4だけで、ある。これに他の戦闘車両を足すと、有に数十年は小国の需要を満たせる量であった――

 

 

 

 

 

――扶桑陸軍の機械化は急速に戦後水準へ進化していった。旧来的な志向の戦車兵はダイ・アナザー・デイとM動乱で淘汰されていくが、車両の保有数に制限がかけられる見込みであったので、扶桑軍は人型ロボットで穴を突いた。日本が気がついた時には、ジェガンやリゼルなどが精鋭部隊で闊歩するようになっていた。更に、コンバットアーマーが量産され、軽戦車の需要を置き換えてしまうという事態に至る。日本は慌てて、歩兵戦闘車や装甲兵員輸送車のライセンスを扶桑に供与した。この一連のゴタゴタで、カールスラント陸軍はは一挙に時代遅れの軍隊と化し、扶桑陸軍を世界最新最強に押し上げていった。日本の発達しきった食文化も同時に流入した故に、民間からの食料品の徴発を禁じられた扶桑軍は各部隊の裁量で、自給自足を始めていった。これに驚いた日本政府は『徴発を禁じただけで、合法的に購入する事は認めている!!』と声明を発した。だが、遅きに失した感の否めない声明であり、扶桑は戦時を理由に、大規模に食料プラントを各地の工廠に建造し始める。結局、この問題は(農村や食料品製造業との兼ね合いもあり)日本企業から扶桑軍に自衛隊規格の戦闘糧食を卸す契約が正式に交わされた。この騒動が扶桑軍の食料事情の改善と『日本化』の契機となり、一般に『三時のおやつ』が完全に普及(農村部には、室町時代以前のままの風土が残っていたところも多かったため)するきっかけともなった――

 

 

 

 

 

 

――64Fはそんな流れと隔絶し、完全な21世紀以後の食文化を味わえる唯一の部隊であった。同等の措置が可能なのは、連合艦隊の最新鋭の大型主力艦のみであったのもあり、腕に覚えのある将校は配属を切望した。当時、政治的意味で、旧来の『カチコチの参謀タイプ』は政治的都合で排除される傾向があったので、『幕僚であろうと、前線指揮能力を持ち、前線で一定の人望を得ないとならない』という不文律が軍全体で生まれていったので、その育成機関としての顔も持たされたのである。64Fは遠征後、幕僚タイプの将校の実務研修所としての運用も課せられる予定になっていた。これは一部隊としては『あまりに組織が巨大化していた』ことを官僚組織に納得させるための事実を作るためであった――

 

 

 

 

――実際、64Fは日本連邦評議会の直属になり、双方の軍令部署の指揮下ではなく、その自由裁量権が憲章で保証されている。これは史実の343空を場当たり的な命令で消耗させた海軍軍令部への意趣返しも兼ねたものであったが、軍の一部隊でありながら、評議会の議決なしに『軍の作戦に無条件で参加させられない』という特権は統合参謀本部の参謀らの反発を起こした。だが、その反発はますます参謀への締めつけを強めるだけに終わり、完全に幕僚への役職の置き換えが決まる原因となる。それにあたって、旧・陸軍大学校、旧・海軍大学校出身者の取り扱いも問題となり、結局は防大への留学生らが以後の幕僚の中核となっていく。その関係上、1945年を本当に分水嶺とし、扶桑陸海軍と大日本帝国陸海軍の共通点はなくなっていくのであった――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――その一方で、連合艦隊旗艦が戦艦(後に、平時に限り、空母も務める事に改定)である事に批判が大きかったが、対怪異戦には戦艦の防御力が必須である事から、現場判断で継続した。21世紀で用いられる『指揮専用艦』がM粒子で用を為さないためである。M粒子は結果的に『指揮専用艦』の登場の芽を摘み、戦艦に指揮艦としてのポジションを与えたわけだ。怪異との戦闘での自衛力と生存性が重視されたのである。実際、モンタナ級戦艦とその改良型が跳梁跋扈する戦場では、大淀のような艦の居場所はないのである。必然的に大和型戦艦とその後継艦が花形になるのである。結局、水雷戦隊の旗艦任務を担うのを期待されていた超甲巡は『巡洋戦艦』としての装甲強化と火砲の換装などが進み、当初の巡洋艦としてではなく、戦艦として使われる事が確定した。水上機の陳腐化でヘリコプターの搭載に切り替えられ、艦影を大和型戦艦に近づける線図の変更と既存艦の改装が進められた。当時、51cm砲などに主力が切り替わったので、41cm砲への変更は焼け石に水と言われたが、リベリオンのバケモノ以外には充分な火力であり、むしろ、史実より大規模な戦艦を大量に運用できる日米が異常なだけであった――

 

 

 

 

 

 

 

 

――プリキュアに敗北の因果が存在する事は、因果律兵器の存在で明らかとなった。それを打ち破るカウンター兵器の開発には時間がかかる見通しであったので、因果を自力で打ち破るしか方策がなかった。その一環が波紋法の戦闘技能の取得であり、全く異なることの体験だったりする。のぞみは後者を休養代わりに選んでおり、ブライアンの提案をいい機会としたのである。つまりは利害の一致だ。軍人としての職務は大人のぞみが代行しているため、のぞみAは安心して、ウマ娘世界にいられるのである――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――運命に抗う選択を選んだ現役組は措置を受けた上で、波紋法を訓練することで『ピーク期』の能力の維持に務めた。個人差(実馬の運命)があったピークアウトの回避は波紋法で成った(好きな時に引退する)のである。引退組も全盛期の能力を取り戻す事になり、怪我でレースを離れたフジキセキも『ドリームトロフィーへの出走』を公言するに至った。また、前世の運命が成せる業であった事が判明した病の研究も未来世界の技術で進められる事になった。ブライアンは全盛期の能力を取り戻したが、それに上乗せするものを得たため、ディープインパクトとオルフェーヴルに対抗可能な伸びしろを得た。凱旋門賞に二年連続で入賞した後に有終の美を飾るというロードマップを描くブライアンにとっての当面の敵は『下の世代の強豪達』であった――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――その頃、大人のぞみは大人のぞみで大変であった。教師よりはマシとはいえ、昼夜問わずのスクランブル発進があるからで、プリキュア化していなければ、過労で倒れているところであった。これは他のプリキュアも同じであった。白色彗星帝国は既に本体が滅んだので、根本的な補給が望めないはずだが、ボラー連邦の援助があり、捨て駒に使っている説が濃厚となっていた。元々、滅びに向かう世界線であった事から、各地で(先進国の抑えが消えたことで)民族紛争が起こり、国連は無力を露呈。結局は地球連邦軍が力で抑えるしかなく、必然的に『国家中枢が残った先進国』の中で比較的に無傷であった日本に資源が集中していく。爆撃の後に国家中枢が残った国は多くなく、中には、生き残った地方都市の行政府がキャパオーバーになってしまった故に、国家の秩序そのものが崩壊したケースもあったからだ。オトナプリキュア世界の日本は(宇宙戦争を)生き残るため、地球連邦の拠点に変貌を遂げていく。大人のぞみはこうした世界情勢の混乱で、なし崩しに『国語教師』から『職業軍人』へとその職業を変えることになった。コスモタイガーやブラックタイガーの操縦も自家薬籠中の物にしたので、戦闘機からロボットまで操縦できる事になった(事後に活用できるかは、さておき)。公には失職したので、失業保険の申請はしている。(私立学校の教諭は公立学校の教諭ほど身分の保障はされないのである)

 

「全員に連絡は取れないけど、揃ってる人数で戦う他ないか」

 

「仕方がないわよ。力がまた必要な時がくるなんて」

 

「なぎささんたちへの連絡先は知らないの?」

 

「ドリーム、あんたも?」

 

「現役ん時に聞いとくべきだったよ。あの頃は中学のうちから携帯を持たせられる時代じゃなかったしさ」

 

「同感。あたしも持てたのは、モデルの仕事が本格的になる高校からだし、しかも、その頃にはスマホよ」

 

キュアベリーも、美墨なぎさ達への連絡先は知らなかった。これは各世界の初期世代のプリキュアに共通していた。

 

「あんた、教師は?」

 

「学校が閉鎖になったんで、クビさ。力が戻ったんで、当分は軍隊を飯の種にするよ。マンションも焼け出されたしさ……」

 

「生活費がないからじゃ?」

 

「仕方がない、まだ四年しか働いてないし、家財道具が燃えちったから。貯金じゃ、とても……。失業保険もたかが知れてるじゃん」

 

「あたしはモデルで仕事あるけど、あんたは再就職先探さないと…。でも、いくら高待遇だからって、なんで、あんたが将校なのよ」

 

「それは色々と事情があんの。パイロットだから、危険手当も高いし」

 

「あんた、それも?」

 

「まぁね」

 

キュアベリー(大人)はキュアドリームが将校の待遇で遇されている事をツッコむ。世知辛いが、パイロットとして働いているのは、危険手当などが高額だからというのも含むと明言するのは、公には失職しているからだと。

 

「でも、現役時代は戦闘はともかく、そういう質じゃなかったじゃない」

 

「車とかの運転免許は、終わったら取るつもり。せっかく得た技能は腐らせておくには、ね」

 

「あたしは取ってるわよ。仕事で必要だったから。あんた、どうすんの?」

 

「せっかくだから、マニュアルとオートマの両方を取っとくよ。軍隊内の資格は与えられたけど」

 

大人のぞみは公には運転免許も持っていない。事後に取ることにしたらしい。別世界の自分が車を乗り回す記憶を得たからだろう。別世界(のぞみA)ののぞみ自身はのび太とスネ夫のツテで、『アルファロメオ・グランスポルト・クアトロルオーテ』を入手し、それを時たま乗り回している。ウマ娘世界でも、ナリタブライアン名義で運転免許を取得して、(ブライアンはこうして、運転免許を得た事になる)使っている。マルゼンスキーからは『渋いわねぇ』とコメントされている。

 

「格納庫にある、古めかしい車はあんたの?」

 

「向こうのあたし自身がディーラーに頼んどいた車。事が片付いたら、こっちでも『ころがそう』と思って」

 

「あんたもカーマニアねぇ。普通は今どきのセダンとかっしょ?」

 

「今どきのは個性がねぇ。似たデザインの多くて」

 

と、言うあたり、のぞみA同様に『車道楽』に目覚めた事がわかる。実際、21世紀以降はカーデザインも画一化されつつあるため、のぞみAは(周りが道楽者だらけであるので)『最近(21世紀の)車は面白くない』とぼやいた。転生先の時代的に『国とメーカーごとの個性が強かった』からだろう。

 

「でも、今回の事は公にはできないわよ?」

 

「公には、国連の仕事にスカウトされてたって扱いになるよ。地球連邦は国連の後身だから、国連の諸機関の権利を引き継いでるし」

 

「それで色々と家族を誤魔化すのね?」

 

「あたしらの代とかは、プリキュアだっての隠してたからね。そのお膳立てを頼んである」

 

「でも、あたしら以外にもいるんでしょ、別世界には。その…」

 

「白色彗星帝国に妨害受けてるから、到着が遅れてる。連中の本国はとっくに滅んでても、遠征艦隊は千万級の艦艇を持つから」

 

「せ、千万!?」

 

「アンドロメダ銀河を抑えてた帝国の残党だもの。もっとも、連中はそれを知らないけど。前衛艦隊の一つがまるごと残った。それを倒すのは骨だよ。下手すりゃ、土星の衛星の一つや二つは消し飛ぶ戦になる」

 

「なんで、土星なのよ」

 

「地球に影響を残さないで、ここの世界の地球人に見られない距離にあるってのもある。今の技術じゃ、月が限界だしね、リアルタイムの観測」

 

21世紀の技術での観測限界は意外に近距離である。如何に、未来世界で技術的なブレークスルーが短期間に連続したかがわかる。

 

「地球連邦軍も人足りないからね。内戦と並行して、宇宙戦争なんかしてたから。艦載機の半分近くは無人機さ。反人工知能派もさすがに、人的資源が尽きかけてる状態じゃ、文句はいえないようだ」

 

地球連邦軍の艦載機戦力は(パイロットの数が確保しきれないため)無人機が多い。プリベンターの幹部らも流石に、前回のガトランティス戦役で大量に有能なパイロットが戦死した穴埋めができていない事は知っており、やむなく容認した。練度の高いパイロットを全員は前線に出せないからだ。それと引き換えに、出征するパイロットには一騎当千を求めるという無理難題ぶりである。のぞみが(技能と記憶を共有したとはいえ)実質的に別人であるのに関わらず、同一人物として扱われているのも、それが理由だ。

 

「あんた、ココには?」

 

「言ったら、言ったで、関係ない話だって止められるのは目に見えてるし、最近は会ってなかったから、関係が、ねぇ…」

 

「何年よ?」

 

「大学出てから四年」

 

「うわぁ……」

 

「だから、事後報告にしたいんだよ。本当はこの世界特有の騒動が起こって、あたしらはプリキュアを引退するはずだったらしいけど、そういうの、性に合わないんだよね、ココには悪いけど」

 

キュアドリームははっきりと『ココの願いに反しているのはわかっているが、力を持った者に(全てを放り出しての)安息はけして許されない。事があれば、立ち上がらなくてはならない』事をキュアベリーに示唆した。これは日本人、もしくはアジア人特有の心理であるので、異世界人には理解されないだろうという諦めも含んでいる。

 

「ココがどっかでドリームコレットに祈ったかもしれないけど、結局、あたしはどこの世界でも『戦いからは逃れられない』星の下にいるようだしさ、なら、いっそのこと、とことん戦い抜くだけさ」

 

「だから、別世界の自分の持ってる身分を使ったのね」

 

「そういう事。たぶん、ココとこれで別れる事になるだろうけど。ココ、あたしらを解放したかったみたいだし」

 

大人のぞみは独身を貫くことも覚悟し、戦いに赴く。同じ頃、事の次第を1000年女王から知らされたココが、パルミエ王国でみっともなく、大パニックを起こしているのを知る由もない。

 

「だけど、これはあたしの意思さ。地球がピンチなのに、座して死を待てなんざ、プリキュア経験者として見過ごせない」

 

「あんた、なんだかんだで、戦闘の天才ね。いくら別世界の記憶が宿ったとしても、ホイホイ、昔みたいに戦えはしないはずじゃない?」

 

「だろうね」

 

のぞみは誰がなんといおうと、戦闘に天賦の才がある。オトナプリキュア世界では『長いブランク』を経ていたのにも関わらず、別世界の自分が持つ技能をすぐに活用できている。いくら『チート』を与えられようと、それを上手く使えるかは別問題。それをすぐになし得たのは、彼女の才覚によるものである。

 

「台湾の敵の掃討も直に終わる。そうなったら、アメリカの敵を叩く。アメリカに偵察隊の本隊がいるようだしね。そうしたら、土星に遠征さ。」

 

「アメリカを叩くのはわかるけど、どうして、こんなちっぽけな島に?」

 

「地球連邦軍のいる世界じゃ、アジア圏の有力な拠点なんだよ。中国やロシアは度重なる戦争でズタボロだから、連中はミサイル基地を叩いた程度に留めてる。もっとも、この時代の核兵器なんて、宇宙戦艦には線香花火も同然でしかないけど」

 

既に、タイタンなどに基地の設営を終えつつあった地球連邦軍は土星圏を絶対防衛線と定め、二度目の決戦に挑む。つまり、ココが人間界に行けるようになる頃には、のぞみは既に土星にいるのだ。

 

「手紙はかれんさんのじいやさんに渡しておくよ。まぁ、理解してもらえないだろうけどね、別世界の戦の第二ラウンドにホイホイ加わるなんて」

 

「のぞみ、あんた……」

 

「これはあたしらの戦いさ。誰がなんといおうと、ね。宇宙戦艦ヤマトや超時空戦艦まほろばまで参戦する時点で、地球の危機なんだよ」

 

「ヤマトが出張る戦じゃ、ねぇ。集まった面子に説明は?」

 

「咲ちゃんとあたしでするさ。こういう時、古参が率先してやんないと、後輩がついてこないからね」

 

「今となっちゃ、昔には完全には戻れないものねぇ…。あたしらの世代は成人済みだし」

 

「お互いにね」

 

キュアベリーもそこは強くうなづく。昔の姿に戻ったとて、心まで当時に戻れるわけではないのは理解している。

 

「で、これが噂の?」

 

「うん。マジンガーZの後継ぎの一つで、グレートマジンガーの強化型の『マジンエンペラーG』。地球の切り札の一つ。よく動員できたよ」

 

二人はヤマトの格納庫(大型機用)で整備を受けるマジンエンペラーGの勇姿を見上げ、頼ましさを感じていた。マジンエンペラーGは新科学要塞研究所から供出された戦力である。今次戦役の切り札の一つだ。

 

「機械文明が発達していくと、こんなヒーローメカみたいなのに行き着くんだから、世の中わかんないわね」

 

「戦艦大和を宇宙戦艦に直して、恒星間航行に使うのも酔狂だと思われるよ、たぶん」

 

「マンガみたいな話よね。ウチの祖父が好きそうな……」

 

「第二次世界大戦の時の『日本最後の戦艦』を宇宙戦艦に直すなんて、日本人じゃないと考えない発想だしねぇ」

 

とはいえ、宇宙戦艦を『艦艇』と扱うにあたって、絶対に避けられないのが、船型の宇宙船の発想である。ドラえもんの時代には様々な形が混在していたが、着水機能の都合で『船型』の宇宙船が軍用の主流となっている。波動エンジンの登場後はなおさらだ。しかし、そうなったという一つの回答が宇宙戦艦ヤマトだ。二人は苦笑交じりに、科学の発達の一つの答えを垣間見るのだった。

 

 

 

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