――太平洋戦争は扶桑陸軍の攻勢がまたも直前でストップがかけられた。これは日本の政治家の都合であったが、既に部隊は集結済みであった上、兵器も刷新済みであったため、結局は実行された。日本側はアメリカ合衆国の『圧倒的火力』に強いトラウマがあり、少数精鋭部隊によるゲリラ戦を強く推奨したのだが、都市の奪還くらいで神経を尖らせる必要はない。結局、扶桑軍が時代を超えた新兵器をたんまり投入したこともあり、第一目標は果たした。皮肉な事に、スーパーXシリーズとメカゴジラもそれに含まれていた――
――スーパーXのうち、有人かつ、冷凍兵器を持つⅢ型が投入された。怪異にも対応がスムーズにできるからで、主な仕事は『冷凍兵器で敵兵器を奇襲で凍結させる』こと。旧日本軍が本土決戦用に開発していたものを戦後に完成させたもので、一説によれば、ラ號に積むはずの試作品をもとに発展させたという。その冷凍温度はマイナス200度を超える(ほぼ絶対零度)。その性質上、装備のみを凍結させるべく、高速(マッハ3。動力をM式核融合炉に換装)で奇襲を敢行。敵の兵器集積地を文字通りに凍結させ、ある中規模都市を無傷で奪還する一助となった。科学が極度に発達したことで『人工ダイヤモンドコーティング』とその延長線に位置する『対ビームコート』技術が使われ、怪異のビームへの一定の耐久性を通常兵器が獲得したことも、魔女の優位性の減少の理由であった。他国が魔女頼りの現況の脱却に四苦八苦しているのに対し、日本連邦は科学と異能の両立に成功しつつあったが、その日本連邦も『凡百の魔女は戦場に立たせない』方針へと変化しつつあり、結局はごく少数の英雄らに戦力の多くを依存する『少数精鋭主義』へ陥った。皮肉にも、その傾向はジオン公国とその残党組織へ引き継がれた。ジオン公国が帝政ドイツと戦前日本の間の子と揶揄されるのは、そういう事からである――
――64F主力の不在ながら、日本連邦軍は奮戦した。とはいえ、予定を変えられた関係で、戦線の前進程度に留められたものの、普通は大戦果と報じられるほどの戦果を挙げていた。兵隊達は報道の規制に憤慨していたが、日本側の『無駄にナショナリズムを煽る必要はない』との方針で、軍の戦果はほとんど報じられることは無くなっていた。仕方がないが、大本営発表のトラウマが根強い日本側にとって、『戦術の範囲内の戦果は糠喜びになる』と公表を差し控えるものであったのだ。だが、給料泥棒と言われかねないのは承知していたため、明確に『影響のあるレベルの戦果』のみが公表されていた。これも大本営発表の悪影響であった。水戸型戦艦の竣工が急がれたのは、軍事を尊ぶ風潮の強い扶桑向けの話題提供の側面もあった。実際、水戸型は扶桑海軍最強の『戦艦』であったからだ。また、扶桑は既にコンピュータを使うようになり、1944年まで絶対優位にあった暗号機『エニグマ』は瞬く間に『子供のおもちゃ』扱いとなり、その国産化を目指していた『登戸研究所』を落胆させた(最も、エニグマは史実では『1939年に解読されていた』が)。そのため、旧来の暗号機は欺瞞作戦に用いられるようになり、平文での打電も推奨された。対するリベリオンは史実では日本が解読に失敗した『コードトーカー』を用いていたが、日本連邦は後世のコンピュータを以て解析し、言語を解読。見事に意趣返しに成功していたが、そのことも『あまりの物量』の前では意味がなかった。扶桑陸軍が数万を動員すれば、敵は15万人以上がやってくるのだ。そのことへの答えが『ひたすら引きこもり、自陣に引き込んで大損害を与える』という方法が好まれた。旧式化した戦車地雷の下に、800kg~1000kg航空爆弾を埋めるという鬼畜な方法も取られ、『中戦車が空高く吹き飛ぶ』光景もザラであった。中には、史実で特攻用に造られた『桜弾』を地雷として埋め込み、地形が変わるほどの爆発と共に、侵攻してきた一個師団を吹き飛ばした(同爆弾は史実の日本軍の爆薬で『前方3km、後方300mが吹き飛ぶ』とされていたので、それより遥かに高品質の爆薬を使えば、威力は上がる)例もある)例すらあった――
――この果てない兵器の応酬に、魔女たちは内心では嫌気が差していたが、社会的に『居場所を得る』ため、兵器の発達で『地獄』となった戦場に身を投じていた。怪異と戦うほうが精神的に『天国だ』とすら公言する魔女もいた。魔女たちの武器は怪異との戦闘ほどの優位性はないので、空戦魔女よりも陸戦魔女のほうが活躍した。この時代は空戦魔女の冬の時代。防空兵器の強大化、空戦のシステム化についていけず、旧来のストライカーでは『やれること』に限界が明確になったのもあり、『空戦が自衛的にこなせる魔女』という立ち位置が明確になった――
――この頃になると、宮藤や黒江らのような『時代を切り開く天才』が平々凡々の魔女を引っ張る構図も崩壊へ向かい、魔女のコミュニティも自然に縮小へ向かった。21世紀以降の個人主義が浸透してきたためで、結局、魔女という存在そのものが太平洋戦争後に『社会的地位を維持できるか』という問題にまで発展しつつあった。カールスラントの魔女のコミュニティは既に衰退し、それに次ぐ規模であったはずの扶桑とブリタニアでも、ダイ・アナザー・デイを契機に衰退へ向かいつつあった。ダイ・アナザー・デイのサボタージュが社会全体の顰蹙を買った上、精鋭と宣伝されていた部隊の尽くが無人戦闘機『ゴースト』の餌食になったのが痛手となった。また、精鋭とされていても、実際の練度が(世代交代で)軍の想定より低い部隊も多く、結局、ダイ・アナザー・デイの完了時に実働可能な魔女の航空部隊は64Fのみに落ち込んでいた事が報じられた事、事前に64Fの戦力を参謀本部が削減していた事は猛批判を浴びた。結局、バーナード・モントゴメリー大将がアフリカの失陥と併せての責任を負わせられる形で処分され、参謀本部が引き抜いていた各統合戦闘航空団の出身者の多くは処遇が宙に浮いた状態となり、腫れ物扱いとなった。64Fに復帰しなかった隊員のほうが多かったが、その穴は歴代のプリキュアらと、各地から志願した若者たちで埋められた。その中には、史実で統合戦闘航空団の次世代を担った者も含まれた――
――参謀本部はこの失策の穴埋めに失敗。言い訳を言い繕うのに必死であったが、結局は扶桑の派閥抗争の引き金を引いただけであった。軍閥同士の抗争を嫌った日本の手での大鉈で扶桑の魔女コミュニティが一気に衰退すると、結局は司令部直属という形で『残された優秀な魔女を抱え込む』しか、優秀な魔女の保護を合法的に行う方法はなかった。64Fに多数の外国軍出身者が加入したのを黙認したのは、財政重視の軍縮の結果、高給取りであった魔女は財政的に反感を買う存在でしかなかったことへの償いであろう。実際、64Fの肥大化は日本側の『各戦線で遊んでいる精鋭を戦わせる』という意図も含まれている。日本の官僚は『終戦になれば、要員の教育費用は無駄になる(復員していく)ので、残っている精鋭を一箇所で使い倒す』という節約を公然と行った。教育部隊は憤慨したが、日本軍自体に『航空要員を使い捨ての爆弾にした』前科があるので、文句も言えなかった。64Fはその決定を押し通すために、常に大戦果を求められたのだ――
――結局、大衆と官僚の感情論に扶桑軍は振り回されたわけである。また、自由リベリオン軍の人員は史実の日系人への仕打ちのメタ情報のせいで、家族全員が理不尽な暴力に晒された者も多く、信頼を得るために、我が身を省みない戦いを行うしかなかった。連合軍の盟主は今や、日本連邦であるからだ。ブリタニア連邦は史実のメタ情報で『連邦の維持』すら怪しい有様となり、連合軍の統制どころではなくなった。日本連邦は否応なしに、(アメリカ合衆国の意向で)連合軍の主導権を持たせられたのである。自由リベリオンは南洋新島群という安住の地を得たが、扶桑本土への立ち入りは制限された。日本の沖縄出身者らが無理に押し通したためだが、これは民主主義の平等性の観点で明らかに無理があるので、戦時の解除で緩和との一文が加えられた。自由リベリオンの中で、扶桑本土への渡航権を持つのは、提督/将軍などを除けば、Gウィッチであり、プリキュアを兼務するシャーリーただ一人であった。遠征中に大佐への昇進が通達されたのもあり、自由リベリオンの中で最強の強さと自由な権利を有する、唯一の現場将校となった――
――南洋新島群の主要島は1991年に再統一後のリベリオン合衆国の準州になり、それとバーターで、ハワイが日本連邦へ返還されるという。元々、瑞穂国という扶桑系住民の国を滅びし、住民を虐殺した上で西海岸を得ていたリベリオン国民の潜在的恐怖心もあり、ハワイ返還はかなり揉めたが、リベリオン本国側の疲弊度が極限に達していたという実情もあり、あっさり承認されるという。その事のメタ情報を1949年の時点で、連合軍は得ている。つまり、ティターンズ残党は意図的にリベリオンを分断国家にすることで、アメリカ相当の国家の繁栄のフラグをへし折ったわけで、日本連邦はその代役をせざるを得なかったわけだ。予算の制約上、物量合戦は不可能であるので、兵器と人員の質を極限まで上げなくてはならない。このような強迫観念が支配的であったため、必然的にゲリラ戦主体の戦略となっていく。他国が時代相応の兵器の実用化にさえ四苦八苦している最中に、航空機に搭載できるフェーズドアレイレーダーが量産され、第四世代相当のジェット機が量産間近であったなど、既に数十年分以上の『隔絶した差』があったのにも関わらず、だ。日本側のトラウマが原因であったこれらは、現場の萎縮を招いていた。結局、日本は扶桑のナショナリズムの高まりを押さえつけるのとバーターのつもりか、積極的に技術の輸出を行った。その結果、1949年の段階で『史実の高度経済成長期相当の暮らしを扶桑国民が享受できる』に至った。これは国民の生活レベルをゆっくり上げたほうがいいという判断であった。軍人と科学者が2000年代以降の時代の暮らしぶりを謳歌できるのに比べ、大きな落差があるが、軍人と科学者は『ハイテクを理解する必要がある』からである――
――のぞみAも遠征が一段落ついた段階で(大人のぞみの箔付けに)中佐への昇進が通達された。本来はアムロやカミーユがコズミック・イラ世界への派遣の候補であったが、ボラー連邦との戦争が予測されたため、新進気鋭として名を馳せていた彼女に白羽の矢が立ったのである。その彼女も太平洋戦争の激化で、実際はそれどころではないが、記憶と技能の共有化が起こった『大人のぞみ』がその代行をする事になった。とはいえ、のぞみAの軍籍を使用することから、大人のぞみの実年齢からは(五歳)ほどサバ読みした年齢が書類に記されていたりする。大人のぞみは白色彗星帝国との戦争に(自分の意思で)身を投じ、実質的に『教師』の身分を擲る形で『地球連邦軍の将校』になっていた。その世界の小々田コージはそれをキュアフェリーチェから正式に知らされ、大いに憤慨したが、自分が『のぞみから戦う力を奪った』という事実に罪悪感を感じ、のぞみに会うのをやめてしまった。そして、罪滅ぼしとして、のぞみの帰る場所を守ると言い出し、大人のぞみがほっぽりだした諸方面の手続きを自分が代行した。フェリーチェが別世界での自分の義理の叔母となっている事にも、彼は腰を抜かす事になった――
――大人のぞみの選択は『オトナプリキュアの世界の騒乱』が収まっても『戦士であり続ける』事を意味していた。キュアフェリーチェから『ココが来ているが、会うのか?』と聞かれ、『戦いが一段落つかないことには、気持ちよく会えない』と返事を返した彼女は北米地域の解放のために戦っており、エースパイロットとして、現地のメディアにも報じられており、元々の職業が教師である事は一切載っていない。戦闘技能が訓練されている軍人のそれであったり、階級が職業軍人のそれである佐官(将校)である事から、根っからの軍人にしか見えない(旧日本軍と違い、自衛隊は防衛大学校及び、幹部候補生学校を出ていない限り、幹部には任ぜられない)。とはいえ、物理的に若返ったため、見かけが『若すぎる』と言われるのもしばしばであった――
――白色彗星帝国との戦争は『オトナプリキュアの世界の地球』には重荷であった。航空戦力が決定的に足りず、米軍でさえ、モスボール保存していた旧式機を引っ張り出す有様であった。核兵器が通じず、通常兵器で対抗するしかなかった故の苦肉の策だった。日本は全国的に大損害であり、衰退期に入っていた国力では『完全な復興』は荷が重いとすら評されていた。結局、白色彗星帝国という理不尽な侵略者の存在は世界に『自衛ができる力の必要性』を痛感させた。同時に、世界的にプリキュア経験者への非難を巻き起こした。小々田コージはこの流れを目の当たりにしたことで、自らの罪悪感を強くしたのである――
――しかしながら、プリキュア経験者の内、政府に把握されていた『ドキドキ!』を始めとして、何代かのプリキュアが必死に戦っている事は把握されており、決起しないプリキュアたちへの非難は大きかった。のぞみ、ほまれなどの活躍が公にされたのは、それらの世論が尖鋭化するのを防ぐ目的があった。(現役時代からの年月の都合で)既に成人した者も含まれているので、彼女らが公的機関に身を置くのは、理に適うからである。大人のぞみは前職が教師である事はサラッと流され、『国連軍のエースパイロット』として、米国のメディアに報じられた。ほまれは『フィギュアスケート選手・輝木ほまれの親類』という形であった。かなり無理があるので、さすがにプリキュアらのミーティングで問題になった――
「結構、無理ない?この説明」
「そうなんだけど、こうしないと、この世界の自分に迷惑かけるしさ。現役時代から転移して、そのまま戦ってるから、昔の姿のままだし」
「あたしは普通に、若返り変身で通してるけどね」
「超常的な存在の力で若返ったってのも、ものすごくさ、めちょっくな話だよ」
「私に至っては、別人に生まれ変わっていたのが、記憶と人格の覚醒でプリキュアに戻ったパターンですのよ?おまけに、元から異世界人ですし」
「みんな、事情がバラバラなんだ」
「そそ。あたしは職場が連中の攻撃で吹き飛んだから、解雇通知来てさ。だから、当分は軍の仕事で食いつなぐつもり」
「マンションとかの保険は?」
「たかが知れてるよ。おまけに、パソコンの月賦、まだ払い終わってなかったのにぃ~……」
「そ、それは……」
皆がプリキュアの姿であるが、話すことは立場に応じた現況の報告であった。大人のぞみは月賦を払い続けなくてはならない事、住まいを焼け出されるなど、踏んだり蹴ったりな有様。
「若返って良かった事は?」
「教師になってから、付き合いで酒を飲みまくってたから、肝臓にダメージ入ってさ。若返ってチャラになったとこ。大人になるってのは、気苦労多いよ、エール」
「そ、そんなに……」
「教師って、色々ブラックだからねぇ。ネットで話題にあがるの多いし。さぁやとかれんさんは?」
「今はヤマトにいるよ。プリキュアの姿で実地研修中。そうじゃないと、体力保たないからね」
「そんなにハードなんだ?」
「ヤマトは矢面に立つのが宿命である軍艦ですから。連中との前の戦闘では、最初に配属されていた乗組員の八割が生きて戻れなかったほどだと」
「……!?」
「ヤマトは連中に最後まで抗ったから。刀折れ、矢尽きの様相に追い込まれ、一歩間違ってたら、ヤマトは刺し違えてたって話」
「うん。わたしも信じられなかったよ。あれは……」
キュアエトワールは扶桑軍に入隊後の研修で、宇宙戦艦ヤマトの壮絶な戦いぶりを学ぶ機会があった。決死隊というに相応しい死闘。古代を庇って散るコスモタイガー隊の隊員ら。蜂の巣になりつつも、真田志郎を死守した斎藤始、古代をヤマトに帰還させたと同時に事切れた加藤三郎、船体が満身創痍となりつつも、特効で刺し違えようとするヤマト。そんな激戦を生き延びたフネに二人は身を置いた事をキュアエールに語る。
「彼らと同じ立場に置かれた時、私はそうする自信はない。だけど、時にはああしないとならない時ってのは訪れる。それを学んだ。さぁやは少しでも、佐渡先生の力になりたいって言ってる」
「かれんさんの場合はもっと複雑でね。勤務してる病院が連中の人間爆弾にやられたんだ」
「に、人間爆弾!?」
「連中は死体を生き返らせて、意のままに操れる技術を持ってる。それを使われた。かれんさんはそれで振り切れたって感じだね」
「うん。目の前で、無関係の患者や同僚たちが諸共に爆破されたらしいんだ。それで……」
「あたしが駆けつけた時、かれんさん、ブチギレ状態でね。それで、キュアアクアに戻って戦うようになったんだ」
「かれんさん……うっ……ご、ごめん……」
「エール、しっかり」
大人かれんはその出来事で『覚悟が決まった』ことが語られる。同時に、ガトランティスが多用する蘇生体の情報もエールの知るところとなった。キュアエールは蘇生体という、敵のあまりに残酷かつ胸糞悪い所業に吐き気を催し、キュアエトワールに介抱される。
「現役時代みたいに『助けよう』ってできる類の敵じゃない。それは頭に入れておいたほうがいいですわ、エール。生存競争に近いという他ないのです、この戦いは」
「せ、生存競争……」
「そう。このまま侵略者に負けるなんて、あんまりにも惨めだからね」
「あ、ドラえもん。元の姿で来たんだ」
「まぁ、偶にはね」
ブリーフィング室にドラえもんが入ってきた。この時期では珍しく、素の姿だ。
「……!!え、え、えぇ!?ほ、ほまれ!?ほ、本物!?だよね!?」
「うん。彼はご存知、ドラえもん。もっとも、声はわたしらの世代が見てたのより前の世代のそれだけど」
「そうなんだ。それは君等の仲間によく言われるよ」
苦笑交じりのドラえもん。彼は往年の大山の◯代女史のどら声風の声色を持つが、平成中期以降生まれの第二世代~第三世代のプリキュア達にとっては却って新鮮であった。彼女らが物心のつく頃には、『ドラえもん』のアニメはキャストが世代交代した後であったからだ。
「ほまれちゃん。99式狙撃銃の調整、済ましといたよ」
「ありがとう」
「ラブちゃん、地球戦隊ファイブマンからVソードを預かってきたよ」
「おお~!ありがと~!」
「あ、あの…?」
いきなりの情報に、キョトンとするキュアエール。
「現役時代由来の技と武器に制約あるから、色んな方面から武器を拝借してるんだ、あたしたち。あたしなんて、キュアフルーレに制約あるし、五人いないと『あれ』使えないしさ」
「うん。そういうとこ、スーパー戦隊寄りなんだよね、あたしら。だから、プリキュア以外の武器や力も使わないとならなくなったんだよ」
ドリームとピーチがいうように、プリキュアの特性はスーパー戦隊の戦士達に近く、最大技はチーム全体で協力して放つことがスタンダードであった。そのため、戦士としての個人データが子供にも知れ渡っている世界では、『やれる事に限界が自然と生じた』。転生時に現役時代の妖精たちとも切り離された状態になっていた者も多いので、別のヒーロー達由来の武器と技を覚えたり、武器を借りるケースも当たり前となったのだ。
「なぎささんが聞いたら、喜ぶかもね。なぎささん、確か、戦隊ものにハマってたって、昔にほのかさんから……」
「うん。あたしも聞いた覚えがある。今は戦隊とも付き合いあるからねぇ、あたしら」
「…へ??」
「えーと、ゴレンジャー、サンバルカン、ライブマン、ターボレンジャー、マスクマン、バトルフィーバー……だっけ?」
「あ、ジャッカーもだよ」
「あ、ビッグワンさん、行動隊長だっけ」
「うん。90年代以降は連絡つきにくいんだよなぁ」
「ファイブマンは宇宙、ジェットマンは解散、ジュウレンジャーはまた別の世界に行ったらしいしねぇ。ダイレンジャーは?」
「カクレンジャー、オーレンジャーと一緒に、別のとこで戦ってくれてるってさ」
自部隊と濃厚な付き合いがあるのは、昭和後期から末期に活躍していた初期世代のスーパー戦隊。90年代後半以降の時代になると、国連が把握していない戦隊も多かったため、協力を依頼し辛い上、連絡がつかないという、キュアドリームとピーチ。とはいえ、地球戦隊ファイブマンについては、彼らと連絡が取れたため、武器の提供を受けたことがわかる。
「機会があれば、紹介するよ。みんな、それぞれ別のところで戦ってくれているから」
「つか、わたしたち以外にもいるんだ……何かのために戦った人たち」
「江戸の以前からいたよ。その流れを継いだ内の一つがプリキュアになるね」
戦国時代から続く『ヒーローの系譜』。ドラえもん、キュアドリーム、キュアピーチはその流れをキュアエールに教えていく。彼らの力を借りる事は恥ではないということも併せて。また、必要上、軍隊の制式装備も用いることも増えたことも。選択肢は多いほうがいい。それは精神的余裕に繋がるというのが、ビッグワン=番場壮吉の談。エールからすれば信じられないが、日本は戦国時代から怪獣や怪人、それに対抗する存在の出現に事欠かない土地柄であったのだ。