ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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今回はウマ娘世界編です。


第五百五十七話「アオハル杯。結成・チームブリュンヒルト」

――ウマ娘たちの世界で始まった『アオハル杯』。どのようなものか。元々はハイセイコー達以前の時代に行われていたチーム対抗戦であった。だが、時代が移り変わり、トゥインクルシリーズが隆盛すると、チーム戦を平行して行えるほどの日程の余裕が確保できなくなり、廃れていった。だが、トゥインクルシリーズを引退したウマ娘達も闘争心は依然として健在である事から、引退したウマ娘達もレースに参加する事になったが、有力なウマ娘の多くは『チーム・ブリュンヒルト』が抑えていた――

 

 

 

 

 

 

 

 

――かくして、アオハル杯の第一回戦が行われたわけだが、マルゼンスキーがスプリント、ダートがアグネスデジタル、マイルがオグリ、中距離がブライアン(のぞみ)、長距離がルドルフという組み合わせになった。マルゼンスキー、オグリ、ルドルフはドラえもん世界で措置を受け、全盛期の能力を取り戻していたので、相手チームが泣くくらいの差が、開催前の時点で既にあったと言える――

 

 

 

 

 

 

 

――ウマ娘は基本的に、史実で因縁のあったレースの結果は本人の意志と関係なく、史実通りになる因果があった。それを知ったゴルシはオグリとタマモをけしかけ、歴史改変の実験を行った。その結果はオグリが現役時代に望んだような経緯を辿り、新たな縁……。『怪物』の二つ名を受け継ぐ存在であるナリタブライアンとの縁が生まれ、歴史改変後においては『師弟関係』となっていた。また、テイオーもオグリの引退レースの映像を見ていたのと、オグリとタマモの両名が『引退しても、走り続ける意志に変わりはない』という趣旨の言葉を双方の引退時のインタビューで残していた事から、後輩であるテイオーも引退後の展望に希望を見いだせるようになっており、『(怪我で長らく走れなかったために)あと数年は現役でいる』と公言している。史実の記憶が宿ったためもある。アオハル杯にも参加しており、もはや、トレセンのエース格の殆どが集結した編成は『大リーグのオールスターチームが(理事長代理の率いるチームの能力を指して)高校野球の優勝チームと本気で戦うようなもの』と裏で言われていた――

 

 

 

 

 

 

 

――かくして、チーム・ブリュンヒルトの初陣となるレースはマルゼンスキーが往年の『スーパーカー』ぶりを発揮し、相手の心をへし折るところから始まった。スプリントとはいえ、相手がまるでついて行けず、マルゼンスキーが全盛期に見せていた『赤いオーラを纏った、閃光の如き速さ』が蘇っていた――

 

「……私の勝ちね」

 

マルゼンスキーは涼しい顔で勝利を宣言するが、裏では全盛期の感覚を取り戻すのに必死に特訓を繰り返しており、そのお披露目となったわけだ。続くダート。今まさに昇り龍のアグネスデジタルが見事に一位になり、マイルでは、オグリキャップが久方ぶりのレースに臨んだ。

 

――いくらオグリ先輩でも、引退から久しいんだ。往年の怪物ぶりは……――

 

と、相手はたかをくくったが、それは大いなる間違いであった。現役引退後とはいえ、レース経験豊富なウマ娘には違いなく、相手チームの若いウマ娘は逃げて、距離があったはずが、往年と遜色ない末脚の伸びぶりを発揮。距離を一気に詰めてきた。

 

「ひぃぃぃ!?」

 

「久しぶりだが……やってみよう!」

 

彼女は必死にゴールへと足を動かすが、オグリからは逃れられない。一瞬でオグリキャップに追い抜かれ、その力の差を思い知らされる。

 

「は、ハハ……引退して何年よ……」

 

「すまない。久しぶりなもので、いまいち感覚が戻らなくてな……」

 

オグリは天然なので、地味に残酷な事を言ってしまう。感覚が戻り切っていないのにも関わらず、並の現役ウマ娘を置き去りにできるポテンシャルを尚も発揮できる。それは下位の『ステークスレースに出る』くらいのレベルのウマ娘には残酷な事実であった。『引退しても、G1ウマ娘はG1ウマ娘である』。その歴然たる事実の証明であった。そして、中距離。最近は落ち目と見られているナリタブライアンであった。観客席には、同期かつ親友のサムソンビッグの姿があった。

 

「ブーちゃ~ん!!がんばれ~!」

 

と、ブライアンをあだ名で呼び、ブライアンがそれを許しているので、気心の知れた関係である事は一目瞭然。ブライアンも笑顔で応え、『サムソン~!あとで肉をおごってくれよ~!』と返す。これに周囲は驚くが……。

 

(夢原女史……キャラがだいぶ明るいですよ)

 

同じく、観客席にいるブライアンの姉のビワハヤヒデは(事情を聞いているため)妹の体を借りているのぞみの振る舞いに(ブライアンとしては『明るすぎ』なので)苦笑交じりであった。とはいえ、妹があまりにストイック過ぎるために『同年代の友人が少ない』事に気を揉んでいたため、本来のブライアンより快活な振る舞いをするのぞみのフレンドリーさは大歓迎であった。

 

「サムソンくん、ブライアンはかなり食うぞ。後で、君のトレーナー君に言付けをしておくから、レースが終わったら、食堂の手配に向かい給え」

 

「うん!ありがと、ハヤヒデさん」

 

「なに、君にはブライアンが世話になっているからね」

 

ハヤヒデも妹の親友であるサムソンビッグの事は可愛がっており、何かと目をかけていた。だが、サムソンビッグの史実の最期については不明である。少なくとも、2011年頃までは存命していたようだが……。それを知らされためか、ハヤヒデの心中は穏やかではなかった。

 

 

 

 

 

――現役時代は運動音痴なのぞみであったが、転生した後は職業軍人として相当に鍛えられた体を得ていた都合上、ブライアンの体のポテンシャルを発揮できている。本来は走り以外への興味が薄く、身内にも無愛想なブライアンだが、のぞみが入れ替わった事により、人当たりが良くなっていた。ある意味、ブライアンが幼少期に人見知りがない状態で育っていた場合はそうなるという見本であった。更に、現役時ののぞみ(中二)とブライアン(高校生)の背丈は殆ど同じであり、感覚の違いはパワー以外になかったのも、のぞみの幸運であった。更に、転生からこっち、上官の黒江や戦友のシャーリーにオートレースに引っ張られ、ナビゲーター代わりにされていたという偶然により、『レースのカン』が培われていたのもあり、ウマ娘という特殊な種族の体に適応できたのである――

 

 

 

 

(なるほど。普通の人間で言う、陸上のトラック競技に近い感覚なんだ。芝やコースの高低差とかの要素も入るから、どこで仕掛けるかの駆け引きがあるわけか)

 

のぞみは歴戦の経験と、黒江らによって培われていた『レース運びの経験値』によって、2400mほどの距離のレースでのしかけどころを思案する。

 

 

(ペースを上げて、周りをバテさすか。ブライアンちゃんは有馬の3000を余裕で勝ててるから、2400くらいは軽い。周りのオープンレースクラスの子達には残酷だけど……速度をじっくり上げていこう)

 

のぞみはペースをじっくりと上げていく戦法で周囲のスタミナを奪う事にし、気づかれないように、徐々にスピードを引き上げていく。その作戦は的中し、最終コーナーを曲がる頃には、先行する5人の若いウマ娘達はバテ始めた。

 

(今だ!!)」

 

のぞみはブライアンの体のパワーを信じ、温存していたスタミナを最終コーナーからの加速で消費するつもりで加速した。

 

「行けーーーー!!」

 

観客席のサムソンビッグらのヒートアップした歓声が響く。先行する五人の表情はみるみるうちに青くなる。ブライアンが『本気』を出したからだ。元々、史実でも『シャドーロールの怪物』と恐れられたほどの実力を全盛期に誇り、『フルポテンシャルであれば、当時の欧州三冠を得たラムタラにも対抗しえた』とも言われたほどのツワモノ。そのフルポテンシャルが戻ったのなら、オープンレース級のウマ娘程度は『撫で斬りも同然』に抜き去れる。のぞみとしては『軽い加速』のつもりが、当代屈指の瞬発力を誇ったブライアンの体は予想以上に『出足が良かった』のである。

 

(おお、この加速の良さ……まるで『二式単戦』(キ44)みたいだ!!)

 

のぞみは転生後、日本の戦闘機乗りであるため、加速の良さの引き合いにかつての愛機『二式単座戦闘機』を出した。アスリートではない自分の体より基礎的な加速がいいからだろう。元々、二式単座戦闘機は(高高度性能を考慮しないで見た場合だが)、日本機でも屈指のダッシュ力を誇り、要撃機としては最高の評価を戦後に得ているほどの名機であり、転生後の世界では、乗ることがステイタスと見なされるほどであった。その時の感覚を思い出したのだろう。のぞみ自身は気づいてないが、拳を握って走っていたので、相手側からすれば(ウマ娘は手を広げて走ることが全力の証である)流して走ったと見せつけているも同然の挑発であったが、ブライアンは自身より下位のウマ娘に厳しいことで知られていたので、相手側からとやかく言われる事はなかった。

 

「ご苦労さまです、女史」

 

「あ、うっかり拳を握ったまま走っちゃったよ。相手の子、泣かせちゃったみたいだ」

 

「我々にとって、拳を握ったままで走るのは挑発に等しい行為です。以後は気をつけるようにしてください」

 

「ヒトの感覚でやっちゃった。次からは気をつけるよ」

 

次走のルドルフに注意を受けつつ、レース場を出る。パドックに戻ると。

 

「女史、中々の走りでした。」

 

「ありがとう、ハヤヒデちゃん。妹さんの体を借りてるよ」

 

「あの子が体を貸すなど、今でも信じられない気持ちですよ。妹は他人に無愛想に接しますから」

 

ビワハヤヒデと会話を交わす。

 

「サムソン君が学園の食堂で待ってますよ」

 

「どこまで行けるか、試してみるかな。現役の頃は大食いでさ……」

 

「我々は体質にもよりますが、基本的に大食ですよ。中には、ルドルフ前会長やタイシンのように少食のウマ娘もいますがね」

 

レースはその後、ブライアンと同じく、勝負服を持ち出したシンボリルドルフが(大人気なく)『汝、皇帝の神威を見よ』と言わんばかりの圧倒的な走りで横綱相撲をし、チームの初陣に華を添えた。ルドルフの現役最盛期同様の走りは観客席にいた『ミスターシービー』の闘志を再燃させるのにふさわしいものであり、食堂に向かっていたハヤヒデ、ブライアンの姉妹と(偶然を装う形で)出会った。

 

「や。」

 

「アンタか、シービー。私に何の用だ」

 

「手厳しいね。ルドルフに言付けを頼みたいんだけど」

 

「回りくどい事を。アンタが直接言えばいいだろ?」

 

「立場上、そうもいかなくてね」

 

シービーは自由を愛する気質である事から、ルドルフとブライアンのような『闘志を前面に出す』性分ではなく、普段は思わせぶりな態度を取る。名誉や地位に執着はないが、偉大な従姉『トウショウボーイ』の実質的な跡取りと見なされ、一時は生徒会長への就任も取り沙汰されたくらいには、周囲の期待を背負わせられていた時期もある。また、たとえ従姉や両親であろうと、命令されることを極端に嫌い、あのルドルフが恐れる唯一のウマ娘『メジロラモーヌ』(ルドルフの史実での交配相手)と普通に会話をこなすなど、メンタル自体はタフネスを誇る。

 

「次のレースを楽しみにしてるって。そう伝えてくれる?」

 

「わざわざ、私を介して伝えることか?」

 

のぞみも転生後は中々の役者になったか、見事にブライアンの無頼な雰囲気を演じきる。

 

「いいでしょ?それに……伝えてくれる?えーと、夢原のぞみさん……だっけ?いつか会いたいって」

 

「おい、どこから聞いた?」

 

「うちの姉さんから。姉さんはルドルフやあたしの入学した時の会長だからね」

 

「そのラインかよ……」

 

のぞみは平静を装うが、『ドキッ』とさせられた。それを悟らせないようにするのが『プロ』である。シービーはトウショウボーイから聞いていたらしいが、詳しい情報は教えられていないようである。

 

「こう見えても、子供の頃は彼女が昔にしてた事みたいなアニメ見てたからね。ルドルフよりは流行に詳しいつもりだよ?」

 

ミスターシービーはその端麗な容姿から、史実でも『グッドルッキングホース』として名を馳せていた。ウマ娘としても当代最高の『グッドルッキングウマ娘』と言われ、トウカイテイオーがデビューする以前は『容姿端麗』の代名詞であった。そんなシービーだが、現役時代はルドルフに一度も勝てず、辛酸を嘗めた時期が現役時代の後半にあり、実はルドルフと『万全の状態で競い合いたい』という願望を抱いていたのである。

 

「あんた、プリキュアの事を?」

 

「向こうの世界だと、そういう呼び名なんだ?」

 

「なんなら、後でサインでもねだってやろうか?」

 

「頼むよ。子供の頃はこう見えても、夢見る女子だったからさ」

 

家柄的に厳格な教育を受けたルドルフやシリウスと違い、ミスターシービーは母親の『シービークイン』が現役時代のトレーナーと駆け落ちした末に生まれたため、シンザンを含めた歴代の三冠ウマ娘で最も権威や地位に興味がなく、最も世俗じみている。子供の頃にスーパーヒロインに憧れていたのを口にするなど、意外に子供っぽい一面がある。

 

「分かった。ただし、一つ条件がある。今度のレースの後、うちの引き抜きに応じてくれるな?彼女の事は最重要事項なんでな……」

 

「そうなの?」

 

「あんたの姉貴に聞いてみろ。腰抜かすぞ」

 

と、のぞみはミスターシービーが自身の事を知っている事を知ったため、引き抜きにかかった。自分のことが漏れたら、大事になりかねないからだ。

 

「じゃ、その代わりに、君も今度のレースでルドルフと同じ時に出てくれるかな」

 

「私とルドルフを同時に相手取るつもりか?」

 

「そうでもしないと、私の現役時代の汚名返上はできないでしょ?」

 

シービーは現役後期の頃の汚名を返上したいのか、ルドルフとブライアンを同時に相手取ることで『三冠ウマ娘として見劣りしない』ところを衆目に示したいようだ。らしくないが、三冠ウマ娘として強い方ではなとされるのは我慢ならなかったようである。

 

「くれぐれも、ルドルフに言付けは頼んだよ♪」

 

と、言いたいことを言い終えると、ストンと姿を消す。こうした点が彼女を『自由奔放』と評する者を多くするのだ。

 

「あれがシービー先輩です。女史」

 

「相手にとって不足なし。あの『天馬』の正統な後継ぎにして、戦後二番目の三冠馬。ルドルフちゃんが頭角を現す頃には落ち目だったとしても……当代屈指のエース格。侮れないね」

 

シービーも三冠の保有者。ルドルフやブライアンなどに実力は劣るという評もあるが、親しみやすい言動などもあり、実は現役時代の人気度はルドルフの数倍はあった。ルドルフの現役時代のコンプレックスは『シービーへのヒールと見なされていた』というもので、強さと人気が比例しない例となっていたことで、それが引退後に『ウマ娘のグッズの監修にうるさくなった』要因だとされる。

 

「シービー先輩の事はご存知だと思いますが、グッドルッキングウマ娘の筆頭を歌われていましたように、現役時代は前会長の数倍は人気が……」

 

「ルドルフちゃん、それで、あんなにグッズの監修に熱上げてるの?」

 

「え、ええ。おそらくは」

 

「あの子……強かった割に、人気がなかったの?」

 

「強さと人気は時として、反比例するものです。前会長もそうです。前会長は……ドラマがないというほどに強すぎたのですよ」

 

ルドルフはデビューから引退まで、三度しか敗北がない。無敗の三冠が後世に語り継がれているものの、現役時代は『走りが堅実すぎて、ケレン味がない』、『強すぎて、むしろ悪役に見える』という評価がなされていた。本人も『悪役にさえ見える』様は気にしていたため、純真に自分を慕うテイオーを可愛がり、その素質を見抜き、自身の後継ぎに添えるつもりだった。だが、テイオーは(成績面で)そうなれなかった。それがルドルフの史実の記憶を呼び覚ます、一つのトリガーになった。ある時にドラえもん世界で買い物していた時に『親子』に見られ、咄嗟にそう演じたできごとがあったというが、ルドルフはテイオーを『自分の愛しい子供』として見るようになりつつあった。テイオーも自分を『カイチョーの不肖の息子』と口にするなど、史実の記憶が宿った故の関係の変化が起こり始めたのがわかる。これは、ドゥラメンテが自分の孫に当たる事を知ってしまった、エアグルーヴにも言えるが。

 

「詳しく聞かせてくれる?」

 

「いいでしょう」

 

 

――のぞみはそんな『史実の関係性が影響を及ぼすようになり始めた』ウマ娘世界の渦中に身を置く事になった。ウマ娘が史実の運命に抗うようになった影響か、オグリとブライアンが師弟関係になり、タマモがルドルフを諌められる立ち位置になっていたりするなど、本来の歴史と違う道になった者もいる。ルドルフも、テイオーに会長職を譲り、自身は一介の『大学入試を控えたウマ娘』になったが、依然として『学園の顔』と見なされる日々は送っている。ブライアンは史実の後半生の苦難を知ったが故に、それを打破する一縷の望みを『夢原のぞみの持つ英雄性と未来を信ずる力』に賭け、イチかバチか、丁か、半か。自身の運命に抗うための博打に出たのだ。たとえ、自身が王者に返り咲く事で、同期のサクラローレルの運命と夢に、大きな影響が生じようとも――

 

 

 

 

 

――運命の女神の悪戯か、ブライアンの檜舞台からの退場を促すかのように、彼女の三冠馬としての次代を担った『ディープインパクト』、『オルフェーヴル』が入学し、デビューを迎えると、世間は彼女らを『次代の三冠候補』と讃え、ブライアンを見放し始めていた。ブライアンは師であるオグリがなし得た奇跡に一縷の望みを見出し、サクラローレルを『世代の王者』に引き上げようとする因果に抗うため、のぞみとの関わりを持った。のぞみも『ウマ娘達に作用する超常的な因果』を知ったが故に、尊敬する姉との対決を公式戦でできずに終わり、自身も斜陽を迎えたと判断され、実父からも半ば見放された身の上であったブライアンに手を差し伸べ、その賭けに協力したのだ――

 

 

 

 

 

――オグリが現役時代に残した功罪(有馬記念で勝ってこそ、真の一流という風潮を人々に根づかせた)についての議論はあるが、ブライアンやテイオーなど、自身の次代を担ったウマ娘たちに『復活への一縷の希望』を残したのは確実であった。そして、巡りにめぐって、プリキュアとして『戦い続ける事に疲れていた』夢原のぞみに『大事な誰かのために、運命に抗ってでも、勝ち取りたいものがあった』生きざまを垣間見せ、彼女に『立場が変わろうとも、明日への希望を持ち続ける』事の意義を再認識させていく。芦毛の怪物が後世に残した『生きた証』。それは自身の『怪物』の二つ名を継いだ後輩に引き継がれ、別世界の英雄にも『光をもたらしていく』――

 

 

 

 

 

 

――のぞみはこうして、『ウマ娘という種族』に深く関わる事で『自身が転生後に抱いていた、戦いへの疑問と怖さ』を払拭し、『戦いの答えは戦いで見つけていく』という前向きな回答を見出しておく。アストンマーチャンのように、『史実の因果を全て受け入れていくが故に、世界そのものに存在が認識されなくなってきていた』例があるが、のぞみは転生した後も『夢原のぞみ個人として生きるよりも、キュアドリームとして周囲に求められる』現状に内心で苦悩していたが、もっと過酷な運命を生きながらも、存在の証明に全てを賭けているウマ娘たちを知る事で、自身の転生した後の存在意義を本当の意味で見出しつつあった。後日、彼女がキュアドリームとして、正式に出した楽曲のカバーアルバムの楽曲の多くがウマ娘達の持ち歌であったのは、彼女らへの敬意であったのかもしれない。黒江によって訓練され、ナリタブライアンの体を(一時)借りた事で、彼女が潜在的に持っていた絶対音感が目覚めたのか、現役時代が嘘のような歌の上手さであった。そのアルバムの制作を知らされた、のぞみの戦友かつ後輩である『キュアレモネード/春日野うらら』は芸能経験者である自分を差し置いて、のぞみがカバーアルバムを出す事に衝撃を受け、『魔女の世界』で芸能界デビューしようかと、本気で考えたという。

 

 

 

 

 

 

――トレセン学園理事長代理に就いたトレーナー資格を持つ、教会の幹部『樫本理子』は自身の悲しい過去のトラウマを主原因に、自身が策定した方針を学園全てに策定しようとしたが、それが学園のウマ娘達全員の団結を促す結果となった。彼女の予定外の始まりであった。更に、ナリタブライアンとシンボリルドルフ、オグリキャップの三巨塔があらかたのエース級を集め、一つのチームにまとめてしまった事は青天の霹靂であり、彼女らの人望の高さの証明であり、引退者も含めて、学園のエース級を一致団結させてしまった事は衝撃であった。更に、シンボリルドルフ、オグリキャップ、ナリタブライアンは突如として『全盛期の輝きを取り戻した』ことが話題になっており、自身の率いるチーム(育成途上)で太刀打ちできるかわからない事を突きつけられつつも、彼女は日々、奮闘していく事になる。根は善人ながらも、過去のトラウマによる恐怖、強大過ぎる自身の権限などに振り回されている姿は(事情を知れば)同情を買われるであろうが、大半のウマ娘からすれば『とんでもないことをしようとしている人物』でしかない。トレセン学園のウマ娘の大半を敵に回す事になったのは当然であろう。チームファーストはこうして、『チーム・ブリュンヒルト』に対抗するための日々を過ごす事になった――

 

 

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