――大人のぞみは『エクス・マキナ』(神剣・草薙)を発動させ、敵を斬り裂いた。超光速の一撃であり、本来はナインセンシズに到達していなければ、発動は不可能である。だが、彼女は別の自分が持ったおかげで使えたのである。衝撃波は任意にコントロールできるので、敵にのみ伝えることも可能であるなど、意外と便利であった――
「神剣・草薙。その力の一端。まさか、ここまでとはね……さすが東洋最強」
「手刀でここまでだなんて」
「多分、ブラックとホワイトが見たら、ひっくり返ると思うよ。あの人達はパワーでゴリ押ししてきたタイプだし」
先輩達に手厳しい評価なのは、大人になったからだろう。実際、なぎさはどの時期でも喧嘩殺法であった。そのため、経験が増した後の時代には『自分たちにないのは、ブラックとホワイトの絶対性だ』と考えるようになったようだ。
「あたしたち『後続組』には、パワーがない。あの二人のような絶対的な。向こうのあたしはそれを気にしたんだろう。で、向こうの世界の動乱でそれを突きつけられた。だから、半分は自分から融合を選んだんだろうな」
のぞみAの心境は『同一人物』であるので、容易に推し量れる大人のぞみ。プリキュアとしてのスペックの限界に突き当たり、それに頼らない方法を模索していき、それを遠因にニュータイプに覚醒。それがMSを乗りこなせる理由の一つだと悟ったようだ。
「なんで、のぞみちゃんが選ばれたの?」
「なぎささんとほのかさんの後継ぎのような扱いだからだろうね、メタ的に。多分、あたしたちの戦士としての不滅を信じる人たちの気持ちが向こうの世界のあたしと戦った魔神を動かしたんだろうな。その魔神はその気になれば、理も覆せるから」
かつてのプリキュア5の活躍に惚れ込んだ人々の願い、アニメとして自分たちが存在した世界の人々の願いが複合してZEROを動かし、今の自分の奇跡が半分以上ある(1000年女王たちはそれを固着化させる役目を果たしたわけだ)という自覚があるからだろう。
「この世界では、あたしら初期世代は引退するはずだったからね。その理を覆した。ココはそれを知らない。ナッツも半信半疑だし、実際に見せないといけないしなぁ」
大人のぞみは世界の理をも変えた自覚がある。それは今の変身が噂の『タイムフラワー』による一時の奇跡でないからで、変身前の肉体も実年齢よりだいぶ若い姿に戻っている(往時より数年ほど加齢した時の姿ではある)。
「私がどうにか説明してみるよ」
「お願い。この後も軍の仕事を入れちゃってるからさ」
ゆい(キュアプレシャス)はこの世界での、のぞみの相棒的ポジションに落ち着き始めていた。当時に現役後期を迎えつつあった彼女はのぞみが実は自分より遥かに年上であった事、大人となった故の悩みにがある事に驚愕しつつも、かつて出会った時のように『友人』であろうとしている。彼女はのぞみの力になろうと考え続けており、それは『魔女の世界にいるプリキュア達に加勢する』事を以て、具体化するのだ。
「さぁて、残りの連中に塵に還ってもらうかな」
ドリームの胸のリボンが変形し、マジンエンペラーGのようなV字型の二重構造の放射板となり、凄まじい高熱を帯びる。後続の機甲師団へ向けて放たれるそれは。
「グレェェト・ブラスタァァッ!!」
グレートブラスターであった。ファイヤーブラスターと対になる、グレート系の『皇帝』の必殺武器。圧倒的な一撃は機甲師団を跡形もないほどに溶かし、殲滅する。叫びも往年のカンを取り戻したか、無理のない発声に戻っていた。
「ふう。向こうのあたし自身と違って、ここ6、7年は叫ぶ機会なくてさ。だけど、カンは戻るもんだね」
久方ぶりに叫びまくったおかげで、スッキリした感覚らしい大人のぞみ。実年齢は26歳なだけに、若かりし頃のように、思う存分戦えるのが嬉しいらしい。
「力が戻って間もないんだし、無理しないでよ?」
「わーってるって。この次元でも百戦錬磨なんだし。もうブランクは解消済みさ」
そう豪語するくらいの戦闘経験が素であるので、どこの世界でも、ドリームはプリキュアオールスターズの要であるのがわかる。二人は空間騎兵隊を援護しつつ、台北北部の安全を確保していく。別の自分が何をしているのか。それも気になるが、今は台湾を守る事に専念するのであった。
――こちらはのぞみA。しずかに苦言を呈した。ノビスケや街が危険にさらされた遠因がメカトピア戦役での少女時代のしずかの発言だからであった。『身内』と言える関係になっているからこそ、ズバっと言える事があるのだ――
「ジオンの指導者層の責任は問うても、扇動された大衆に責任はないんじゃ?」
「じゃ、一週間戦争で殲滅されたサイドの人達への哀悼の意を連中が出したかしら?テロ行為も、犠牲になった大衆に哀悼の意を出しておけば、それで許されるとでも?シドニーとキャンベラ、それとサイド2、サイド1、サイド4、サイド5の人々への哀悼の意は?北米の穀倉地帯で農業をしてた人々への哀悼の意は?地球圏から実質的に追放するだけに済ませるんだから、ティターンズよりましよ。緒戦で40億を殺した罪をグローブ事件の悲劇で帳消しにできるとでも?しかもそのうちの半分は自分らの同胞たるスペースノイドよ?」
シャアも一週間戦争でのザビ家の所業自体は否定的であったが、自身はもっと危ないことをしようとしたので『同じ穴のムジナ』と断じられ、結果的に宇宙開拓時代における評価は低い。もっとも、シャアにとって、ネオ・ジオンの再興などは本心ではなく、アムロとの決着が全てであったので、アクシズの阻止はむしろ歓迎している(妹のセイラ・マスを手にかけずに済んだので)。
ジオンも流石に一週間戦争の犠牲は『やりすぎた』と考える者も戦後には多く、それが巡りにめぐって、シャアのネオ・ジオンの所業の阻止に少なからずのスペースノイドが動く大義名分となり、地球連邦の技術革新も進んだ。
「それに、三回もコロニー落として、北米の穀倉地帯にあった食料プラントを消し飛ばした罪を鑑みれば、波動砲でサイド3が消し飛んでも、文句は言えないわ。旦那は仏陀のように寛大よ。それだけの事をした連中を実質の追放だけに留めるんだから」
コスモリバースシステムを以てしても、ジオンの起こした戦争での傷は完全には癒えない。だが、異星人の攻撃で『スペースコロニーは仮住まい』という認識が広まった結果、コロニーを恒久的な住処と考える風習は廃れ始めている。デザリアムがスペースコロニーに価値を見出さず、問答無用で破壊したからだ。その事により、従来のシリンダータイプのコロニーの新規建造は勢いを無くしつつあり、他星系への移民船団化するサイドも出てきている。とはいえ、地球圏に留まりたい者も多いので、サイド7に続く『サイド8』『サイド9』の建設が予定されている。シリンダー型より頑強な構造の『ネオコロニータイプ』の増加が望ましいという知見もある。また、コスモリバースシステムで地球の環境が劇的に回復したため、一定数の地球への逆移民も受け入れが始まっており、20世紀半ばほどの人口(30億ほど)の居住と、スペースノイドの一定数の緊急避難場所としての再生が始まった他、21世紀初頭頃の都市環境を参考に、地球上の都市の再生も進むが、中には、地方丸ごとが一つの都市として扱われて再生されることもあった。結果的に、シャアの掲げた大義名分は異星の超技術であっさりと達成され、地球連邦があっさりと地球への逆移民を許可したことで有耶無耶になり、本人も『アルテイシアを手にかけんで済んで……、良かったかもしれん』と述べるなど、ネオ・ジオンの将兵には半分裏切りに近い発言もしている。
「シャア・アズナブルには、移民船団の指導者にそのうちになってもらうわ。それが彼が同胞にできる贖罪よ。アムロ少佐と戦いたいがために、ネオ・ジオンを一時的に復興させたのでは、ネオ・ジオンの将兵があまりに道化過ぎるわ」
しずかはシャア・アズナブルに『サイド3船団の長になってもらう』と延べ、ネオ・ジオン将兵への償いをさせる事を明言した。ジオンの灯火が消えた世界に興り得る可能性として表れる『宇宙戦国時代』に失望しているスペースノイドは多く、シャア・アズナブルに人身御供をさせるしかない。それがジオン系スペースノイドにできる最後の連邦への抵抗であり、(オールズモビルを除けば)ジオンの存在が歴史上で無駄ではない事を証明するための行動であった。
「既に地球は20世紀半ば当時の人口を基準に復興が始まっているわ。コロニーで起こる風土病もない。30億程度であれば、旧主要国の主要都市と世界遺産の管理にも充分だし。生物のクローニングと、過去から連れてきたつがいを繁殖させる試みも始まってる。土から離れては生きられないって奴ね」
「いいんですか、そんな事」
「デザリアムのおかげね。ある意味」
デザリアムなどの異星人や宇宙放射線などがもたらした宇宙病は皮肉な事に、管理された環境であるコロニーで猛威を振るう一方、移民星や地球ではそれほど流行らなかった。惑星の自然環境に弱いが、『管理された環境』で威力を発揮する病であったからだ。以後、地球そのものは『全土で30億』の人口を保つように最低限のコントロールがされ、増加分は移民船団とするようになる。地球は徐々に『象徴』としての維持が主になり、経済の中心は月へ移動していく。コロニーの攻撃やスペースデブリへの『脆さ』がクローズアップされた結果、ジオン共和国の右派の構想であった『コロニー共栄圏構想』は泡と消え、『宇宙戦国時代が本当に訪れ、コロニー一基単位での殺し合いが常態化する未来よりは…』と、『腐っても鯛』理論で地球連邦の統治を妥協的に受け入れていく。実際、宇宙戦国時代が訪れた場合、文明を退化させるほどの抗争が起こるのは確実という『平行世界の調査結果』が掲示されたからであった。
「生まれが宇宙でも地上でも、地球人って括りには違いないのに、宇宙生まれはアホよ。異星文明からすれば『地球人』なのに、みんな」
しずかは地球至上主義ではないが、地球連邦にある種の理想を持っていたことがあるためか、スペースノイドが多少なりとも持つ、アースノイドへの優越意識を切って捨てる。子供の頃に異星人と接触していたためだろうか。20世紀終わりの頃に子供であった世代であったのを考えると、人類初の統一政府である地球連邦に、ある種の『幻想』が強くあるのだろう。のぞみAはこの会話をきっかけに、のび太に代わって『しずかにはっきりと物言う』ようになろうと決意するのである。
「そうそう。言うの忘れてたわ。向こうのあなたの映像がドラちゃんから送られて来たわ。変身した姿はあなたと違わないようね」
しずかがのぞみAへ大人のぞみの戦う映像を見せる。姿は同じだが、置かれた環境の違い故に(扶桑で正規の訓練を受けた状態でプリキュアに戻った自分に比して)戦い方に違いがある事に苦笑交じりの顔をする。
「あなたは当面、この世界に?」
「ええ。約束事があるので。戦いは当分、向こうのあたしに任せます」
と、ナリタブライアンの体を借りた状態で、そう明言する。ブライアンとの約束があるからだ。
「記憶は共有してるはずだから、もし、なにか用事があれば、向こうのあたしに。ドラえもんくんに連絡してください」
「わかったわ」
のぞみは全ての記憶が共有されているという利点を活かす事にした。それ故、当面はウマ娘として過ごすと述べる。ブライアンが自分として戦っている事に応えるためである(ブライアンの肉体の背丈は14歳当時ののぞみとほぼ同じ、160cmちょうど。ウマ娘としては平均的な身長である)。
「その体、どうなの?」
「背丈は現役時代の時のあたしと同じなんで、扱いやすいですよ。あんまり違っちゃうと、今度は感覚が狂うんで。それと、財団を通して、哀悼の意を出したほうがいいですよ。形式的にも」
「既に旦那の子孫らが出しているのだけどね。それに、ノビスケ以降の代の野比家の人間は私の子孫でもあるのだけど。私はその時代に生きる人間ではないのに、名を出せと?当事者の世代の仕事じゃないの?」
「サイド3の連中はそれじゃ納得しませんって。過去の太平洋戦争を思い出してくださいよ」
と、のぞみはしずかを言いくるめるべく、論陣を張る。サイド3のジオン軍人らを上手くなだめ、過去に攻撃を仕掛ける残党を孤立させる方策は『これしかない』からで、最も、21世紀の人間に22世紀末に起こった戦争の不始末をどうにかさせるのも変な話だが、ある意味では、地球連邦とジオン共和国の不始末でもある。のぞみAはしずかを上手く乗せるべく、言葉を選びながら、説得を続ける。
「要は形の上でいいから、謝罪が欲しいんですよ、サイド3のジオン派は。グローブ事件は占領軍にいたバスク・オム配下の部隊の暴走だとしても、1000人の人口の村で女を凌辱したり、老人を面白半分に殺していったのは事実だし、サイド3の住民はそれで……」
「1000人のうちの何パーが被害を受けたのかしらね?大陸の一部ごと、近代の世界遺産(シドニーオペラハウス)も消し飛ばされた地球側を考えれば……」
ジオン共和国の戦後財政が良くない部類であったのは、シドニーオペラハウスやエッフェル塔などの世界遺産級の代物を容赦なく消滅させた事で起こった、地球連邦の文化関係者の烈火の如き怒りへの(形を変えた)賠償金が理由の一つであった。特にシドニーオペラハウスとエッフェル塔は旧オーストラリアとフランスのシンボルのような存在であったので、なおさらだ。
「どうせなら、グローブ事件ではご愁傷さまでした。ですが、ブリティッシュ作戦の結果、オーストラリアの一割を海の底にし、環太平洋地域で数十億の被害者の未だに身元のわからぬご遺体が毎日見つかっておりますが、貴方がたもお参りにまいられますか?と言ってやるわ。エッフェル塔やシドニーオペラハウスを消した報いは受けさせないと。彼らは私たちの世代が必死に守ってきたモノを、それにこめられていた想いを踏み躙ったのだから」
ジオン共和国も一年戦争での文化的損失は政治レベルで気に病んでおり、パリ湖の周りに再建された『ヌーボ・パリ』という街にレプリカのエッフェル塔を立て、オーストラリアに残された最大都市『アデレード』にシドニーオペラハウスのレプリカを建てる上での建設費の多くを自主的に支出していた。また、旧時代の文化を軽視していない事を示すために、亡き『マ・クベ大佐』の存在を使うなど、彼らは共和国の維持のために血のにじむ苦労をしてきたのだ。だが、歴代のジオン残党は寄ってかかって『共和国を名乗る売国奴』と罵り、よりによって、キシリア派の連中がテロ行為を多く働いたり、ギレン派はムーンクライシス事変を起こしたのだ。
「ジオン共和国の政治家には同情するわ。何をしても売国奴と言われて、残党にいつも攻撃されてきたのだから。ジオン系の人々がいなくなった後の時代に地球寄りになる世界線のことを考えると、茶番じみてくるけど」
ジオンのあったサイド3は、ジオン共和国も無くなった後、おおよそ100年が経つ時代には、地球寄りのサイドに変貌しているという世界線がある。ある意味、宇宙戦国時代の混乱がもたらした皮肉な結末と言える。その情報も共和国の政治家が情熱を無くす要因であった。彼らの不幸は残党の存在で連邦の良識派からも信用されなくなっていくことだろう。
「それと、残党が大義名分に使うっていう、私の環境保護活動だけど、旦那の財団とは関係ないわ。確かに旦那の就職に影響を与えたのは事実だけど、私個人の意思でしてることよ。まったく……」
「連中に言ってくださいよ、連中に」
「子孫に言って、メカトピア戦役終結記念の何周年かの式典に大人の姿で出られるように手配するわ。そこで解散予定の共和国の政治屋にぶちまけてやるわ」
「残党を刺激する行動は謹んでくださいよ。お願いしますって。あたしらも万能じゃないんですから」
「マルコムXやキング牧師みたいなことかしら?そんな事したら、共和国の自治権の保留は直ちに取り消され、残った残党はテロリスト集団扱いに固定されるのよ。まともならできないわ。軍隊の誇りがあるなら」
ジオン残党は誇りを大事にする。それは史実でフル・フロンタルが組織した配下組織の一つであり、彼の死後に堕ちた『黄金の鷲』以外に当てはまる。オールズモビルも史実では『クロスボーン・バンガードの露払い』扱いであると自覚しつつも、ジオンの旗に殉じていったので、ジオン軍は最期まで誇りが行動原理であったのだ。
「詳しい対策は子孫達と協議するわ。記者会見を開くのは、子供の頃に言った段階で考えてたわ。まさか、11歳の子供の発言を真に受けて、本当に襲撃するとは思ってみなかったけど」
「まったく……」
「連中のすることは宗教の過激派や極端な思想にかぶれた連中と同じよ。力で人の意見を変えようとするなんて、70年代に山荘に立てこもった連中と同列だと思うのだけど」
しずかには一種の確信があった。それはジオンが曲がりなりにも『共和制』としていたのを捨て、自ら『独裁制』を容認したという事実。無力化した民主政治は『専制君主制』を墓場から呼び起こしたという事実が『ジオンの敗北を既に決めていた』事を。議会などがあっても、それは『ザビ家一党の意向を形式的に処理するため』の機関に過ぎない。ナチスは議会を停止させた上で独裁をしていたが、ジオンは欺瞞を敷いた上での独裁を働いた。ある意味、どこかの平行世界で『銀河連邦を銀河帝国に変えてしまった軍人皇帝』よりもたちが悪い。
「昔、父の書斎で読んだ、一世を風靡した国産スペースオペラに出てきた国の初代皇帝より質悪いと思うわ」
「連中が聞いたら、顔真っ赤にしますよ」
「ガルマ・ザビが死んだ時点で、あの国に未来は無くなった。それは事実でしょ。そう仕向けたのはシャアなのよ?それこそ後悔してないのかしらね」
しずかも言うように、シャア自身にそのことへの後悔がないわけではなく、戦後にセイラ・マス向けに送った手記の中に、そのことへの懺悔とも取れる文章があったという。しずかもそう見るように、ジオンが戦後も『残党が望んだ』形で生き延びるとすれば、ガルマ・ザビが戦死せず、ザビ家の家族仲が破綻を来さない状態で終戦を迎えるしかないが、ザビ家の家族仲はガルマの存命中の時点で、『火薬庫』の状態であった。それが彼の戦死で爆発したともとれるので、シャアの行為は結果的にジオンの一年戦争での優位な状況での和平の可能性を殆ど摘んでしまったとも言える。ザビ家は内紛で滅んだが、残党までもが派閥抗争で離散集合を繰り返す様は皮肉であろう。
「してるとは聞いています。前に彼の身内の方に接触したことがあるので」
「セイラ・マスに?」
「デザリアム戦役の時に資金調達が必要だった時があって、それでアムロ少佐に紹介されて」
シャアの身内がセイラ・マスである事は、戦後のある時期以降は暗黙の了解的に知れ渡っていたため、アムロもデザリアム戦役の時の資金調達のツテとして紹介し、その接触をアムロに指令され、その任務を果たした際に面識を持った事を伝える。戦後に資産家となり、生計を財団経営で立てつつ、各地を放浪していた事、アムロ・レイと戦後の一時期に関係を持った事があり、実兄の殺害を焚き付けた事があるほど、実兄のシャア(キャスバル)と険悪な関係になっていた事、ジュドー・アーシタの実妹『リィナ・アーシタ』の身元引受人になっていたりと、意外にも、アムロ、ジュドーと関係が深い、なお、ジュドーに連絡先を伝えていたらしく、デザリアム戦争でのパルチザンが活動費を捻出出来た(MSなどを補給出来た)理由の一つである。
「彼女に会ってみます?ジュドーさんの妹さんの関係で、連絡先は知っているので」
「そうしてみるわ」
こうして、のぞみはデザリアム戦役で出来たツテでセイラ・マスを紹介する事になり、しずかに引き合わせる流れを作っていく。スペースノイドらをどうすれば、納得させるだけの答えがあるのか?しずかをどうすれば納得させ、行動を謹んでくれるのか?のぞみAは戦場で戦う大人のぞみとは違った意味合いの戦いに(レースの傍らで)臨む事になっていくのである、