ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第百五十二話「1950年代への序章 7」

――宇宙のみならず、異世界に進出した地球連邦。それは生存のためであったが、敵に対抗するために練り上げた軍事力は『23世紀時点では最強』と言える水準にあったが、さらなる強敵の存在が明らかとなった他、ラーメタルと1000年女王の存在も公にされた。そんな中、のぞみBは大人になった時間軸の自分が別にいること、数多の自分の中でも、最強の戦闘能力を持った個体が『のぞみA』であること、今回の戦いから少し前に、第四の自分が観測されたこと、その自分が『思いもがけない事故(横断歩道を歩いていたが、居眠り運転のダンプカーから子供を助けた)で重傷を負ってしまったが、出先であった上に、夕暮れ時の人通りのない道であったという不幸で手遅れになりかねなかったため、緊急でのぞみAがその世界で数ヶ月(Bの時より長期間であった)ほど代行した事を知らされた――

 

 

「その世界の私、どうなったんですか?」

 

「完治するまで、こっちの医療施設に入院してもらったよ。道に迷ってた上に、夕暮れ時、おまけに人通りのない道で居眠り運転のダンプカーから、子供を守っての事故でな。かなり深刻な重傷だったから、救急車も間に合わんかもしれんかった。それで、だ。その世界の仲間たちには、俺が自衛官として事情を話したよ。入院先は明かせんから、『自分の権限で、自衛隊病院に担ぎ込んだ。かなりの大怪我で面会謝絶だ』と言って。嘘じゃないしな。休学にさせるかは迷ったが、こっちのがいたから、代行させたよ。タネは別れる時に明かしてある。その世界だと、エターナルの後、フレッシュの敵の『ラビリンス』と交戦に入って、フレッシュと早くに面識があったらしいぞ、お前ら」

 

 

「はえー…それぞれ違うんですね」

 

「つか、お前らの力だが、世界線によっては『世界の平和が完全に訪れると消える』らしい」

 

「え!?」

 

「大人のお前がいる世界はその流れだ。だが、とんでもない有事が起こったんで、また戦いに戻っていった。超常的な存在の力を借りて」

 

「超常的……?」

 

「1000年女王。そう呼ばれている者たちだ」

 

「1000年女王?」

 

「地球がまだ文明のあけぼのだった頃、太陽系に1000年に一度くらいに接近してくる『ラーメタル』という星の支配を受けていた。これはいくつもの世界線を同時に支配できる科学力の賜物だった。大人のお前の世界もその一つだ」

 

黒江が解説するラーメタルと1000年女王。ラーメタルは1999年の時点で、地球の発達でいう28世紀相当以上の文明を築いていたが、その科学力をしても、母星の環境まではどうにもできなかった故に、1999年に地球へ侵攻を試みたこと、職責は植民地帝国における『総督』のような管理職である『1000年女王』の現任者が地球人の側につき、侵攻を食い止めてくれたこと、その1000年女王の歴任者は錚々たる顔ぶれであったこと、その『最後の女王』こそが、かのメーテルの母親であった事が伝えられる。

 

 

「プロメシューム。銀河鉄道999のメーテルの母親であり、最後の1000年女王。人間であった頃はメーテルに瓜二つの姿だったらしい」

 

プロメシューム。その名は機械化帝国の冷酷非情の女帝を表すと同時に、かつての1000年女王『雪野弥生』の本名である。世に知られるのは、機械化帝国の女帝としての冷酷非情の巨悪。だが、若かりし頃はメーテルに瓜二つの『慈愛に溢れた女性』であった。その事から、後年に『雪野弥生はメーテルが普通の人間であった頃の姿では?』という憶測を呼んだ。実際はその母親たる『プロメシューム』の前身であり、機械化する前は『メーテルに瓜二つであった』(その親なので、瓜二つなのは当たり前)のだ。

 

「その人がどうして、悪の道に……?」

 

「わからん。機械化の弊害による精神の変容と言われているが、まるで別人のようだからな…。30世紀の人間に聞くしかない。その前任者たちは錚々たる顔ぶれだぞ。クレオパトラ、卑弥呼……」

 

歴代の女王は世界各国の黎明期から揺籃期に活躍した女性らであった。そのコンプレックスが米国にはあったのかもしれない。そう考えれば、戦前~戦後間もない時期のアメリカがマッチョイズムに傾倒していた理由も分析できるかもしれない。また、戦艦大和に込められた『念』に自由リベリオンは恐怖したというが、扶桑とて、艦娘になるまでそれが練り上げられていた事には畏怖したのは言うまでもない。また、『大和は最強であるべし』という怨念に近い願いは『宇宙戦艦ヤマト』として具現化したばかりか、姉妹艦を再生したフネたちにも適応されている。扶桑の造船官らはその有りように落胆したとも伝わるが、これは扶桑と日本の1940年時点での国勢の差によるものである。扶桑にとっては『またつくれば……』だが、その当時の日本は『換えの効かない超強い戦艦で日本を守る!!』という信念で練り上げた一点ものに近い。その差異も大きい。

 

「それに、運び込んだのが、宇宙戦艦ヤマトの医務室なんだよ」

 

「え!?う、宇宙戦艦ヤマトぉ!?」

 

「ああ。その時、新任の部下たちの研修先で、空いてる艦を知り合いに打診したら、宇宙戦艦ヤマトが来たんだよ。それで研修ついでに、お前たちの世界線の派生の調査を手伝ってもらったんだ。で、その世界線のお前の治療だが、緊急だったから、ヤマトの集中治療室を使わしてもらった。

 

 

「それで、その私は?」

 

「ヤマトの設備を以てしても、数ヶ月かかった。無論、現地時間で。お前の親に俺とダチが説明しにいったり、そこでのりんたちにも伝えてもらったり……。ひき逃げ犯は三週間後に逮捕されたが、お前のポジションを空けるわけにもいかない事情もあった」

 

「それで、こちらののぞみが代わりを務めた。私らの世界が発見される、ちょっと前のことだそうだ」

 

「そんな事があったんだ…。って、その私たち、エターナルが壊滅したら、今度はラビリンス(フレッシュプリキュアの敵)と戦ってたんですよね?せつなちゃんと戦ったってことは?」

 

「当時はイースだが、彼女はラブたちにかかりきりだったらしいから、可能性は低いな。連中も、フレッシュと5の双方と同時に事は構えられんだろう」

 

黒江、のぞみB、ブライアンの三人は『B世界の今後』のことを話し合っていた。のぞみAへの伝達、Bがしなければならないことなど、話し合う事は多い。

 

「それで、お前も忙しくなるぞ。こちらも兵力をしばらくは置くが、連中の報復に備えんとならんし、ドリームキュアグレースをモノにしろ」

 

「私、そっちみたいな大技ないですよ~!」

 

「いなくなる前に叩き込んでやるから、それは安心しろ。錚々たるメンツでな」

 

「はい??」

 

 

と、のぞみBはここからしばらく、歴代仮面ライダーらなどの面々による特訓を受けることになる。また、ブライアンも我流であるが、護身術を一定程度は心得があったので、させる側であった。また、のぞみDはこの時点でも入院中(瀕死の状態であったため。リハビリテーション室でリハビリ中)であり、その世界はキュアフローラが代理で守護についている事も伝えられた。

 

「え、はるかちゃんが?」

 

「ああ。はるかにはしばらく、その世界でのこの街を守ってもらう。お前自身の回復には時間を要するからな」

 

「そんなにひどかったんですか?」

 

「ダンプカーにはねられたからな。それもかなりの速度で。打ちどころが悪けりゃ、その場で即死してたそうだ。だが、プリキュアしてるおかげで、とっさに受け身が取れたから、瀕死で留まったとは、ヤマトの艦医の診断だ。今はヤマトから、地球連邦軍の病院施設に移した。リハビリテーションに長くかかりそうだから、フローラは当分帰れん」

 

「はるかちゃんに悪いなぁ」

 

と、春野はるかと面識がある事を口にするのぞみB。

 

「で、そのダンプカーのひき逃げ犯は?」

 

「事故の数週間くらい後に、警察に捕まった。近くの住民の目撃情報が決め手になった。その世界のココがショックで倒れて、とても親に伝えられる状況になかったから、俺が親御さんに事故のことを伝えた。俺の身分を説明するのが大変だったがな。お母さん、おっちょこちょいだな」

 

「そこに似ちゃったんですよ、私」

 

「お前もすごいもんな。こっちじゃ転生して、多少良くなったが」

 

「うぅ。生まれ変わっても、そうなんだぁ…。その世界はフローラが?」

 

「折を見て、他の子にバトンタッチさせる。俺達も色々と仕事が溜まっててな。今回のこともそうだ」

 

「連中は他にも?」

 

「デルザー軍団はあれくらいじゃ死なんからな。歴代ライダーの動きを参考にしろ。彼等はプロだ」

 

「私、我流なんですよ。転生者の私はプロなんですか?」

 

「そりゃ、バリバリの職業軍人だしな」

 

「じゃ、なんでこの子も?」

 

「私はアスリートだ。職業柄、護身術は必要だといって、習わされていたんだよ。素人に毛が生えた程度だが」

 

「あれで!?」

 

ブライアンは自身の護身術を『素人に毛が生えた程度』と謙遜しているが、実際には(年齢を考えれば)かなり上の水準にある。また、ウマ娘でも一流であるが故に、空間把握能力もニュータイプ級のものである(ただし、絵心はない)。

 

「その道のプロに比べりゃな」

 

「俺とかな」

 

忘れられがちだが、異能抜きでも、黒江は普通に格闘技はプロである。仮面ライダー達が超・達人級なので見劣りするが、異能抜きで考えれば、(プロから見て)そこそこレベルの技能は持つ。正規の戦闘訓練(旧日本軍のもの)をきちんと積んでいるので、白兵戦では若い世代の魔女の比ではない(リーネや史実の芳佳はそもそも、対人訓練を積んでおらず、怪異との戦い以外では『素人同然』であるので、曲がりにも戦闘訓練を積んだ黒江は『魔女』としては最高レベルの逸材なのだ)。

 

「俺の故郷は戦争中だが、故あって、異世界を行き交う任務についてる。理由を話すとだな……」

 

黒江たちがこのような事を始めた理由は『連合軍の意向』もあった。黒江らがメタ情報を持つ事が判明した1945年のダイ・アナザー・デイ当時、日本連邦の成立に伴う『日本人による扶桑軍人の間引き』が公然と行われ、史実でミスをしたり、ミスリードした高級将校や現場の士官は情け容赦なく糾弾され、失脚していった。(ただし、末期の兵力の質の低下で手腕の真価を発揮し得なかったとされた者はそれを免れた。小沢治三郎がそれにあたる)そのせいで、現場指揮が可能な中堅士官層が戦線で欠乏する事態に陥った。日本人らもこの結果に、『史実でミスした連中を間引きしただけで、こんなになるなんて』と困惑。更に、魔女のサボタージュは戦線崩壊の致命傷とまで嘆かれた。プリキュア・プロジェクトはその時に立案された。のぞみはそんな状況下に転生し、ダイ・アナザー・デイの戦線で屋台骨として奮戦した。その功績で予備役編入からの教職への転職も内定していた。だが、日本の文科省の官僚の独善と傲慢がそれを潰してしまった。騒動以後、日本は『下手に手出ししたら、国が転覆させられる』と恐れるようになったが、扶桑が負った人材的損失は甚大であり、プロジェクト・プロジェクトは『歴代プリキュアを次元世界全体で探す』計画へとシフト。発見次第、自分たちに協力してもらうというのは、生え抜きの人材を多く失った連合軍の苦肉の策であったのだ――

 

 

 

 

 

 

 

――連合軍の屋台骨を担っていたカールスラント軍が有名無実化していったためもあり、連合軍は急速に弱体化した。ダイ・アナザー・デイは乗り切ったが、各国の財政的疲弊は極限に達しており、連合軍そのものが消滅の危機に陥った。扶桑皇国は数多の生え抜きの人材を内輪揉めで失ったことで、強力な異能を持つ者を少数雇い、魔女の部隊に代わる主力とするという思考に至った。通常兵器は地球連邦軍(と、アナハイム・エレクトロニクス社など)から購入、あるいは日本からライセンス生産権を得たもので更新していく。連合軍の屋台骨がカールスラントから扶桑皇国へ移った故の措置である。この時に供与されたものの一つが(地球連邦軍で余りに余っていた)『RGM-89 ジェガン』であった――

 

 

 

 

 

 

 

――ジェガンの供与は『地球連邦軍が次世代機を導入するための資金確保』であるが、地球連邦政府の多数派は戦乱からの復興を優先しており、軍備再建はおざなりにしていた。『戦乱が続くんなら、すべて終わってから……』という思考であったが、軍の消耗を顧みないものであるので、軍が独自に兵器を軍需産業から購入していく事態に陥った。政府の政権交代で改善され始めたが、政府が機能不全な状態の継続により、旧エゥーゴの時代同様に、アナハイム・エレクトロニクスが前線の部隊に兵器を売り込む事態となっている。シビリアンコントロールが不全の状態が続く地球連邦軍の苦境がよくわかる。戦争が続き、政府が大打撃を受けると、軍の指導者がそのまま国家指導者を兼任するケースがあるが、ユングも元は軍のトップエースであったので、それに該当する。結局、『奴隷か死を』と要求する帝国と遭遇しすぎた故に、ゲッターエンペラーが星系の破壊を辞さなくなるに至る。ウィンダミアはそれを思い知った時には、経済的・政治的没落は免れないものとなっており、王統も途絶える運命となった後であった。短命な種族故に『事を急いだ』が、結局、国家そのものが緩やかな終焉へ向かい、地球のコミュニティに飲み込まれていくことになる――

 

 

 

 

 

 

――話は戻って――

 

 

「それで、いくつかの次元のプリキュアを見つけたんですね」

 

「別の道を辿ったお前は、これまでに数人ほど見つかっている。そのうちの大人のお前がこっちのお前の任務を代行している。上からの要請が出た時、俺達はここについてたんでな」

 

「大人の私、教師してます?」

 

「してたが、敵の空襲で学校が焼かれたせいで失職しちまったそうだ」

 

「えーーーーー!?く、クビってことですか!?」

 

 

「それで、連邦軍で食い扶持を得るために、1000年女王に能力を戻してもらい、ついでに若返らせてもらったそうだ」

 

「はぁ!?わ、若返ったぁ!?」

 

「と、言っても、26歳から17歳に肉体年齢が戻っただけだ。酒の飲み過ぎで、肝臓がやられ始めてたらしいし、本人は嬉しがっとるそうだ」

 

のぞみBは大人のぞみのことを聞かされたが、26歳の若さで肝臓にダメージが入っている事にげんなりしたか、がっくりと肩を落とす。

 

「か、肝臓……の、呑兵衛って……」

 

「職業柄、ストレスが多いんだよ。本人も『プリキュアしてるほうが楽だった』ってぼやいとるぞ。若返った機会に、酒は辞めるそうだ」

 

大人のぞみは教師生活でのストレスから解放された上、肉体が素で若返るという特典に狂喜乱舞。肝臓も若かりし頃の状態へ戻ったが、酒は辞めると明言している。大人のぞみは軍人としての業務を代行するにあたり、キュアドリームの状態で勤務しており、コスチュームの上に、地球連邦軍の軍服を羽織っている。姿は同じだが、精神面の違いにより、Bより大人びた雰囲気を持ち、ブライアンが入れ替わった状態に近めである。

 

「今は特訓中だ。基本スペックはそこにいるのと同じようになったが、使い慣れる必要があるし、銃器の取り扱いも覚える必要があるからな」

 

「なら、なんで、あなたは普通に使えるの?」

 

「従姉妹連中に誘われて、何回かサバゲーをしたことがあるんだよ。ナリタトップロードやナリタタイシンとかな」

 

それは本当であるらしく、ゴルシが事前にハヤヒデに問い合わせたところ、『トプロくんやタイシンがシャカールくんなどとサバゲーをプレイした事があってな』との事。曰く、トップロードのトレーナーの趣味がサバゲーらしく、海外のシューティングレンジで実銃を撃つこともあるとのこと。

 

「トプロの個人トレーナーが学生の頃に兄弟に誘われて、サバゲーをしてたらしくてな。トプロとは親戚のよしみで付き合いがあるから、そいつとも話す機会があった。それで、暇な時に参加した事がある。近頃のモデルガンは精巧にできているぞ?それで基本的な構造くらいは知っている」

 

「ま、モデルガンと実銃はまったく違うが、こいつは問題なかった」

 

「私たちは普通のヒトより遥かに筋肉量があるからな。普通の拳銃の反動は『あって、ない』ようなものだ。それは不思議と、別の体でも適応されるみたいだ。マグナム弾入りの拳銃でも余裕だろう」

 

「実際、こっちのお前、前に片手でM29やら撃ってるしな」

 

「野比氏のコレクションだろ?あの人も好きだな」

 

「のび太は西部劇映画フリークだからな、ガキの頃から。リボルバーが多いんだが、オートマもあるぞ」

 

「マグナムって、あのダーティハリーとかで有名な?」

 

「そそ。あれも古い映画だがな。大人のお前、殺意ムンムンらしく、支給された給金で買ったって、キュアスカーレットから連絡が来てる。宇宙人相手な上、蛮族みたいな連中だから、レーザーより信用できるってな」

 

「うーん……」

 

「仕方がない。大人のお前は住んでたマンションを家財道具ごと燃やされた上、勤め先も空襲で焼かれてるからな。それにプリキュアの状態で使うから、反動とかは気にしなくていいし」

 

 

「.454カスール弾を買ったらしいが」

 

「なに、44マグナム弾より強いだろ、あれ」

 

「なに、戦士の銃に比べりゃ、実体弾の反動はかわいいもんだ。宇宙人相手でも、充分に通用するしな、実体弾」

 

一年戦争後はエネルギー銃に押されていた実体弾式の銃だが、実体弾は『原始的な仕組み』故、宇宙時代の軍隊には却って有効であるという戦訓が得られた後は復興。デザリアム戦役後の時点では、21世紀の状態にまで市場規模も回復済みであった。

 

「と、いうことは……スーパー・レッドホークでも買ったな?」

 

「だろうな。ま、子供には見せられん姿だな」

 

「イメージ壊れるしな」

 

「いいんですか、銃を持たせて」

 

「護身具代わりだ。技を撃てない状況でドンパチすることもあり得るからな。特に、その世界のお前らは戦闘のブランクが長い。10年単位だ。そこまでいくと、いくらお前らが百戦錬磨と言っても、昔みたいに戦えるわけじゃないだろ?用心に越した事はない」

 

職務上の都合で持つのぞみAと違い、大人のぞみは『ブランクを埋めるための時間はやはり必要である』のもあり、護身具として銃器を携帯するようになった事が伝わっているようであった。オトナ世界のプリキュア5は(のぞみを例外として)戦闘のブランクが大きく、現役当時の戦闘能力を発揮しきれていないのが普通であった。その関係で『護身具』として持たせる事になったらしい。

 

「そりゃ、そうですって。10年も戦ってなきゃ、カンも鈍るのは当たり前ですよ。その世界のココはなんて?」

 

「ところが、その世界だと、ココの奴な……」

 

「え、ココ、どうなったんですか?

 

「大学卒業からな、何年もお前と会ってなかったんだと。ほっぽらかしだったと見える」

 

「嘘ーーーーー!?ココに限って、そんなぁ」

 

ココ(オトナ世界)の選択は別世界ののぞみに知られたわけだが、黒江とブライアンをして、『大学卒業から四年もほっぽらかしって、男としてどうなんだ?』と憤慨させていたほどの衝撃であるため、のぞみBもショックであったのか、目が泳いでしまってる。

 

「その世界のナッツからの伝言だ。『お前を泣かせたのは許せんから、地球に行ったら、ボコボコにしてやる』って」

 

「あ、あはは……。四年って、なんで?」

 

「お前の教師生活を邪魔したくないとか、自分はいるべきじゃないとかの御託を並べ立てて、ゴチャゴチャと不誠実のいいわけしまくったそうで、キュアフェリーチェとキュアエトワールにボコボコにされたとのことだ」

 

「はーちゃんとほまれちゃんに怒られたのかー……うん。なんか来ます……」

 

「お前は幸せもんだぞ?男の不誠実に憤って、第三者として制裁してくれる後輩がいるんだから」

 

「でも、ほまれちゃんとはあまり面識ないんですよ、私?」

 

「エトワールに聞いたら、故郷の世界で恩義があると言ってた。おそらく、エトワールの元いた世界で、助けた事あるんじゃね?フェリーチェはこっちだと姻戚関係にあるから、当然だけどよ」

 

「なるほどぉ……私自身は心当たりないんだけどな。はなちゃんとは連絡先交換したことあるけどなぁ」

 

「本来、お前とHUGっとの連中は『生きてる時代』が一回りくらい離れてるらしいが?」

 

「それに気付いたの最近で」

 

代の離れたプリキュアでは、生きている時代のズレも大きい。いくら妖精同士のネットワークでどうにかすると言っても、プリキュア5は平成の半ばほどの時期が現役で、HUGっとは平成の最末期頃である。のぞみBもそれに気づいたらしい。

 

「向こうはスマホ時代で、タブレットとかが普通にある。だが、お前らは自分の携帯を持たせられていない時代の最後ら辺だからな。ほまれたちと10年以上離れてるな」

 

「うぅ……知りたくなかった情報だぁ……」

 

「俺に比べりゃマシだ。俺なんぞ、本当は大正の頃の生まれで、この時代まで生きてりゃ、本当はヨボヨボのばーさまだ」

 

「え!?あなた、大正時代の人なんですか!?」

 

「バカ野郎、生まれが大正なだけで、昭和20年代に生きてるんだ。」

 

黒江は1921年前後の生まれであるので、プリキュア5の現役時代の時点で、既に80代後半に達するという事になり、キュアサマーが現役を張る頃には『100歳』になる公算である。異世界を飛び交う仕事につく関係上、現代人で通用する感性持ちだが、本来は『良妻賢母』を叩き込まれた時代の人間である。つまり、のぞみの祖父母の更に親の世代でもいいくらいなのだ。そう考えると、その時代に生きる者が、遥か後年にあたる『2000年代後半の女子中学生』と淀み無く会話をこなせるのは、まさに奇跡的だ。のぞみBはそれに気づいたのだった。

 

 

 

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