ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第百五十三話「奇縁」

――扶桑軍は機甲兵器不足を補うため、他国聖兵器の大量購入と人型兵器の導入に踏み切った。扶桑本土が戦場ではないためと、機甲兵器の不足が顕著であったからだ。本土より南洋のインフラが進んでいる現状は批判されていたが、そもそも、本土は利権やらで再開発に踏み切れないところがあり、更に、史実では焼失した城郭が普通に現存する場合もあったからだ。安土城などがその典型であった。例えば、伊達家は仙台城を売却しようとした罪で侯爵から降格の憂き目に遭い、当主がショックで大病を患うなど、大混乱に陥った。(代替わり後に名誉回復を果たすが)織田家も安土城の取り扱いで釘を刺されるなど、シッチャカメッチャカの有様。拝金主義の嫡男が廃嫡され、魔女である者が次期当主にされるケースも華族に相次いだ。このパニックはノブリス・オブリージュが根付いているが故であった――

 

 

 

 

 

 

 

 

――この種のパニックはカールスラントの有力軍人が『文化遺産をおざなりに考えている』と糾弾され、失脚した事が発端であった。エディタ・ノイマンは日本の役人に殴打されたショックで鬱病に罹患し、1948年付で退役した。このショックが魔女系の軍人のパニックを呼び込み、魔女系の軍人の減少を招いた。プリキュアたちに過剰に期待がかかったのは、その流れが由来である。扶桑の魔女は黒江や芳佳の献身のおかげで、地位を保全できたようなものであった。それでも、前線で戦う事が至上とされた結果、『非戦闘系の魔女』の軍での居場所が無くなってしまう弊害も生んだ。これは武士の頃の価値観が強く残っていた時代であったからでもあり、ルミナスウィッチーズの予算が通ったのが1947年、正式結成が1948年であることで証明されていた――

 

 

 

 

 

 

 

 

――同部隊が遅れた理由は、ダイ・アナザー・デイでのサボタージュとクーデターで魔女への視線が一気に冷却化してしまったからだった。ルミナスウィッチーズの編成上の上官であるジョージ・パットンは『サボタージュさえなきゃ、45年までに活動開始できてたのによ』と嘆いていた。それは皮肉な事に、64Fのプリキュアに芸能経験者がおり、ルミナスウィッチーズの想定していたものより遥かに高度なライブパフォーマンスがこなせた事が原因であった。更に、扶桑が連合軍の主導権を握ったことで、その手の部隊が許されなくなったのも理由であった。結成にこぎつけるまでには、パットンの尽力があったのである。また、自由リベリオンと扶桑の国民がティターンズと対峙することで『危機感を持っていた』事も大きかった。サボタージュで視線が冷却化した上、武士の時代の価値観が根強く残る扶桑の農村部の人間らがそうした活動を蔑んだ事も関係し、パットンの尽力がなければ、予定メンバーは飼い殺しに遭っていたからだ。その関係上、扶桑での公演は避けられている。扶桑は戦時になると、神社の祭りもしなくなるからだが、観光面でよろしくない風潮なため、外圧による是正が試みられている。この影響も、ルミナスウィッチーズが扶桑で公演しない理由付けにされた――

 

 

 

 

 

 

 

――結局、連合軍の主導権を握ったことで、自分らの一挙一動が全世界に影響を及ぼす事を思い知るにつれ、扶桑内部での対立も顕現化。農村部と都市部の意識の差も大きい事がわかった。64Fはそんな状況で『国をまとめるための象徴』とされていった。扶桑の旧来的な将校らが排斥されたせいで、魔女への視線が冷却化した故の対策であった。反軍的風潮が広まったことで、排斥した将校らの代わりも埋められない有様であったからだ。また、メタ情報が伝わったことで、反欧米主義も一定の支持を受けるようになってしまい、高雄にまつわる『大使襲撃事件』などの根拠になった。他国は扶桑(日本人)の(堰が切られた場合の)情け容赦なさに震え上がった。ガリアは自分らが欧州の防波堤になると思い込み、急速に反アジア主義に傾倒していく。その流れがガリア没落の序曲になるとも知らずに…。ブリタニアは(メタ情報での没落を知った故に)植民地統治に寛容性を強めていくと同時に(各植民地が軍事面の庇護を求めた結果)連邦の形態を変えていく。また、扶桑との同盟なくば、全ての面で没落あるのみと悟り、史実と異なる道を歩んでいく(異世界のブリタニア帝国の顛末を知った故に)のである――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――扶桑海軍は旧世代の軽空母や隼鷹型を代替しうる量産型空母の整備が必要となったが、戦後型空母は『量産など考慮外の一点もの』に近くなっていたため、結局はミッドウェイ級を戦後型に改装して使用するという方針で当面の間は乗り切るとされた。大鳳型をそのまま量産していれば…と嘆かれたのは言うまでもないが、大鳳型はジェット時代には耐えられないと判定されたため、ミッドウェイ級の改装と使用は正しいとされた。結局、ダイ・アナザー・デイ中にミッドウェイ級が量産されていたため、その鹵獲艦を扶桑自身で使用することになった。結局、純日本型空母の系譜は絶たれてしまうことになったため、大鳳は『最後の純日本型正規空母』の冠を覆せず、翔鶴型航空母艦の三番艦として生きていくことになった。大鳳型の姉妹艦は全てが中止になったからである。第二の問題は艦載機の規模がプロペラ時代の双発爆撃機サイズにまで拡大してしまい、油圧式カタパルトでは用を為さなくなってしまったことである。結局、蒸気カタパルト派と電磁カタパルト派の対立もあり、扶桑海軍空母機動部隊は有名無実化。空軍の主力化が促進されていった――

 

 

 

 

 

 

 

――結局、日本は扶桑の国家戦略を独善で破綻させた責任を取らされる形となり、21世紀の科学力をほぼ無償で提供した。この恩恵は日本軍の史実での最大の弱点である『暗号強度』の解決などで表れた他、20ミリ機銃の迅速な普及などに貢献した。特にダイ・アナザー・デイ当時、魔女は『13ミリ機銃』を好んでいたが、米軍機の重装甲ぶりが知れ渡るにつれ、20ミリ機銃の存在が再注目された。連合軍の魔女の共通装備が20ミリ機銃へ切り替えられる契機は『B29を接近して落とせない』若い魔女が多すぎたためでもある。当時、既に刀剣を用いて戦う風潮は欧州で廃れ、扶桑でも減少傾向にあったため、この有様は事変世代が現場でこき使われる理由付けにされた。この切り替えは横須賀航空隊などが反対したが、日本義勇兵らの後押しでつつがなく行われた。20ミリでも不足だという声はあったが、バルカン砲やリボルバーカノンがそのくらいの口径であることや『航空機関砲の大口径化の限界の判明』により、20ミリ機銃への切り替えはごく短期間に行われ、太平洋戦争までには統一に成功した。また、ダイ・アナザー・デイでの戦訓で『接近戦への対応策』として、サイドアームの携行が推奨され、自由リベリオンで入手可能なマグナム弾『357マグナム』が魔女の間で人気を博するようになった――

 

 

 

 

 

――扶桑では、日本経由で伝わった影響で『マグナム弾』の人気が爆発した。扶桑の銃規制が(怪異退治の都合で)それほど進められなかった関係である。軍の魔女は(輸入解禁間もない)44マグナムをこぞって買っていったが、64Fの者たちはそれよりも更に強力な.454カスール弾や500S&W弾を自前で購入し、使用していた――

 

 

 

 

 

――遠征軍では、キュアドリームに扮するブライアンが500S&W弾を購入していた。ウマ娘としての筋力が適応されている状態なので、それを片腕で撃てる。ブライアン曰く、『これがジェンティルドンナなら、反動を意に介さずに連射できるだろうよ』と語り、彼女の筋力がずば抜けている事を明言している。もっとも、そのくらいの拳銃弾でなければ、改造人間の装甲を貫通できないのだが――

 

「風見さん、それって本当ですか?」

 

「ああ。俺達にとっては、なんてことのない雑兵の怪人でも、日本警察が採用していた拳銃弾は余裕で弾く。だから、自衛隊が最低限でも必要だったんだ。それでも死傷者は覚悟の上で、だが。マグナム弾でも、並大抵のものでは通用しない。21世紀時点で最大最強のもので『必要最低限』になる」

 

「うへぇ……どうりで硬いはずだぁ」

 

「君たちの力は俺達に劣るからな。そこは仕方ない。パワーアップを重ねたとしても、幹部級の怪人の装甲は正面から破壊できまい。シャドームーンとの戦闘でわかっただろう?」

 

「は、はい……」

 

シャドームーンがB世界のキュアドリームの攻撃を封殺していたように、プリキュアたちの現役時代の能力値では、幹部級怪人の装甲は突破不可能である。また、反射速度でもシャドームーンに及ばないため、たったの数撃で半死半生に追い込まれている。その経験からか、通常形態に限界を感じている様子がわかる。

 

「俺達とて、三号相手では、単独では不利だ。それだけヤツは強い。今回は手を引いてくれたようだが……」

 

ライダー三号は自我を保っていながらも、組織の幹部として君臨し、歴代仮面ライダーの難敵となっている。黒江に対しても優位に立っているほどの男である。

 

「風見さん、残りの敵は?」

 

「後は戦車やMSなどだが、俺達や君等を疲労させるための捨て駒だな。ジオンやティターンズの敗残兵を申し訳程度に配置してある。あと一週間ほどで掃討できるだろう」

 

「やれやれ。厄介なものを」

 

「対人地雷やブービートラップの排除も込みでは、それに三日ほど多くなる。特に、ドイツとその影響を受けた軍隊はあれを好むからな」

 

「地雷、どうなんですかね」

 

「今、地雷処理班が不眠不休で排除している。全部を取り決るには、10日かかるそうだ」

 

「あとはジオンの未成兵器群だな。ったく、未成兵器を完成させて、関係ない世界で暴れるって……どういう神経してやがる。奴ら、過去の世界でも暴れやがるからな。ティターンズがまだマシに見えるぜ」

 

「あれと未成戦艦だろ?連中は好き勝手してるな」

 

「だから、大ショッカーに駒にされんだよ。連中は一年戦争後にどこにも居場所がないからな、ガチに。ネオ・ジオンも今や、ザビ派は死に体だ。大物がデザリアムの時に逝ったしな」

 

アナベル・ガトーなどのザビ派の大物軍人はデザリアム戦役で大半が戦死している。ミネバ・ラオ・ザビもザビ派を顧みない姿勢に転換したため、ジオンのザビ派は思想も捨てた過激派に堕ちつつある。

 

「うぅ。こういう時にパワー不足は泣くなぁ」

 

「お前らは浄化に寄っていくからな。そこは仕方がない。こういう場では猛々しさが必要になるんだ。中坊のお前にはきついだろう」

 

「子供扱いはやめてくださいよー!」

 

「仕方ないだろ。ここにいるブライアンは高校生だ。この時代から更に後の頃に、法的な成人年齢が18歳に引き下げられるが、ブライアンはその頃の高3くらいになるから、卒業後は法的に成人扱いだぞ」

 

「そういう時代になったからな。元号も変わるぞ?あと10年くらいで」

 

「嘘ぉーーーー!?」

 

「住んでる時代の差だな。俺なんて、昭和20年代の20代だぞ」

 

「そんな時代の人なのに、なんで普通に携帯とか使えるんですかーー!?」

 

「異世界を行き交うと言ったろう。それに、海外に駐在してたほうが長いんでな」

 

「私のほうは、お前より10年以上後の頃にいるからな。普通に使える。むしろ、お前らの時代のもののいくつかは廃れてるぞ」

 

「うぅ。未来人ってことかぁ」

 

のぞみBは2008年時点での15歳前後の世代なので、ブライアンらの過ごす頃には、20代後半になっている計算になる。つまり、トレーナーになっていてもいいということだ。

 

「それは後にしてくれ。それをいうと、俺は『ベビーブーム』前後の世代になるしな」

 

「風見さん、1950年ですもんね」

 

「改造人間になると、齢食わないんですね?」

 

「機械的メンテさえできれば、半永久的に生きれる身だからな、俺達は」

 

苦笑交じりに答える風見。昭和ライダー、特に最初期の七人は昭和後期にさしかかる頃の青年層の人間が素体なので、2008年の時点で既に老境に足を踏み入れる年頃のはずである。

 

「怪人は俺達が始末するが、兵器は君等に任せる。俺達は巨大な敵に対抗する手段がほとんどないからな」

 

「ネオショッカーの時はどうしたんすか?」

 

「洋が足裏の弱点を突いたおかげだ。7人のキックで転倒させるのが、せいぜいだったしな。それを思えば、巨大ロボが普及してくれたのは楽だよ」

 

「光の巨人と出会う確率は低いですからね、M78星雲の」

 

「うむ」

 

「いるんですか?」

 

「彼らほどの存在になれば、平行世界の存在はとうに認知しているよ。本郷さんが前に一度、初代と出会ったというが……彼らも万能ではないからな」

 

M78星雲の光の巨人がどこかの世界にいる事は仮面ライダーらも認知しているようであったが、実はそれ以外の兄弟星や近い環境の星などでも、同様の超人と化するケースはある。無論、仮面ライダーらはそれを知らない。そして、有名な戦士らには、地球派遣の時期には既に子を成していたという者もいるのだ……。

 

「……わたしも新しい必殺技ほし~いぃ~!」

 

「お前なぁ……。ま、気持ちはわかるが」

 

プリキュアは基本的に、アイテムの取得やパワーアップで技が増加したりするが、基本的に、レパートリーが一つか二つなので、それらが通用しない場合は『詰んでしまう』。実際に『シュプリーム』との戦闘でそれが露呈した結果、ほぼ80人のプリキュアが為す術もなく全滅してしまう惨劇を招いた。大人のぞみとのぞみAはその経験を経ているため、技のワンパターン化を危惧し、様々な技の会得に力を注いでいる。

 

「大人のお前から聞いたが、この先に『シュプリーム』というバケモノと戦い、倒されてしまうことが起きるそうだ。そいつは80人近くのお前の仲間を皆殺しにできるほどの実力を誇った。その対策も兼ねてると思え」

 

「そんな、そんなにいて、全員が…!?」

 

「はーちゃんはその記憶も持っているから、大地母神としての自分の存在を捨ててでも、対抗できる力を求めていた。その力が空間支配能力だ」

 

「空間支配能力……?」

 

「そうだ。俺達が最終的に目指すべき境地がそれになる。空間自体を支配できれば、相手がどんな存在であろうが、赤子の手をひねるように蹂躙できる。それを会得して、上位の神々と真に対等だと認められる、すべての異能の最高位だ」

 

黒江達は空間支配能力の会得を目指している。神々の中でも最高位の者が持つと噂される、異能の中の異能。真の姿が意識体である彼らをして、『打つ手がビッグバンしかない』と嘆かせる相手『時天空』へ対抗し得る存在となる可能性を人類に与えるものである。根本が意識体である神と異なり、遺伝子の組み合わせによって進化し、同胞との戦闘と破壊、更に殺戮を繰り返す事で強化される、ある種の『戦闘的な種』であることを求められて生まれたのがヒトであり、アケーリアスの自滅の後に勃興したいずれの分明もその領域には到達しなかった。だが、地球人類はその領域に踏み込みつつあった。彼らが億や兆単位の時間をかけても待望する、『宇宙を滅ぼす、機械のバケモノ』を産み出すために……。

 

「宇宙の外の空間にいる存在を滅ぼすために、地球人類は同胞殺しをも想定して生み出された。それこそが神々の望む道だ」

 

「神々って……彼らが恐れるほどの存在が……?」

 

「彼らはこう呼んでいる。時天空と」

 

「時天空……」

 

地球人類が殺し合ってきた事の真の理由はその『時天空』に対抗する『兵器』となるためだと、最高神達はいう。カオス、ガイア、ウラノス、クロノスといった上位神らは『そのために、いくつもの分明を何回も宇宙に蒔いた』と公言する。

 

「じゃ、プリキュアの力も?」

 

「そうだろうな…。実験の過程で生まれたものの一つという感じだろうな。世界線によるが、お前らの力は初代の『亜種』と解釈されるらしい」

 

「……!?そ、そんな……」

 

「だが、お前たちは戦士だ。誰がなんといおうが、そういう運命の星に生まれた。これは誰にも否定できん」

 

黒江の言は、のぞみBにはショッキングであった。だが、歴代プリキュアも『戦うために選ばれた戦士である』ことには変わりはない。

 

「戦うのが……宿命なの……?」

 

「そうだ。お前とて、大事な誰かが蹂躙されていくのを座視するようなタマではないだろう?私たちが『何かのために走る』ことを背負うように、お前も『愛する何かのために戦う』宿命なんだ。別のお前はその自覚が芽生えている」

 

「……!」

 

「現に、大人のお前は空位だった『1000年女王』を継ぐ気らしいからな」

 

「!?」

 

「その世界でのことだが、先祖にいたそうだ。1000年女王の前任者の身内が。その資質が再度のプリキュア化で目覚めたんだ。つまり、その世界でのお前の一族には、宇宙人の遺伝子が刻まれていたんだ」

 

ブライアンは伝えられていることを教える。オトナ世界ののぞみ特有の特徴として、遠い先祖に1000年女王の関係者(ラーメタル人)がおり、その血と資質が遠い時を経て目覚め、のぞみの特徴ある髪色と瞳の色の由来のみならず、高位の身分のラーメタル人由来の超能力などが再度のプリキュア化で発現したと。つまり、非公式だが、ラーメタルの王家と遠戚にあたるため、1000年女王を継承するに足ると……。

 

「じ、じゃ、大人の私は……?」

 

「1000年女王に即位するだろうな。事が片付いたら」

 

「どうして、そんな……」

 

「大人のお前は、プリキュアの力を一回、本気で失っている。その虚無感が皮肉にも、ラーメタル人由来の能力を目覚めさせてしまった。そうとしか説明できんそうだ」

 

のぞみBはまたも衝撃で茫然自失に陥る。オトナ世界の自分が『ラーメタル人の遺伝子を継いだ』存在であり、その資質が『プリキュアという異能の消失と復活を理由に、覚醒してしまったと。

 

「どうして、そんな……」

 

「プロメシュームの悲劇を知ったからだ。メーテルとクイーン・エメラルダスの母にして、最後の1000年女王、そして、機械化帝国の冷酷非情の独裁者……その彼女がヒトである頃に願っていたものを受け継ぐために……」

 

プロメシュームはラーメタルの指導者に即位した後(暗黒宇宙からの侵略を危惧したのもあるが)に、ある悪辣な科学者に騙され、自身を機械化したことで『邪悪な支配者』に成り果ててしまい、かつての自分が愛した地球人『雨森始』の末裔である『星野鉄郎』に討たれるという結末を迎えるわけだが、彼女が『雪野弥生』を名乗っていた若かりし頃の姿は『娘のメーテルによく似た、慈愛にあふれる人物』であり、その時期に願い、自身の妹(1999年の戦いで戦死。その面影は、セレンの姪にあたるクイーン・エメラルダスが継いでいる)であった『セレン』が雨森へ伝えたという願い。その願いを、プリキュアである自分がプロメシュームの代わりに叶えようというのだ。

 

「いくら、プリキュアじゃなくなってたって……。名前しか知らない人の思いを?」

 

「お前がココやフローラの思いを継ぐように、オトナ世界のお前は選んだんだよ、プロメシュームが若かりし頃に望んでいた『地球人としての願い』を受け継ぐことを……ラーメタル王族の血を継ぐ一人として」

 

一族が忘却していた、ラーメタルとの奇縁が大人のぞみを1000年女王への道へと誘う。ある意味での究極の選択。その世界特有の事柄であるが、大人のぞみは26歳になる時点で、夢を単純に叶えただけでは埋められない『喪失感と虚無感』に苛まれていた。それを考えれば、この刹那的かつ衝動的な選択も説明がつく。大人になることで失った心への自己嫌悪、自身のアイデンティティ……。ココ(オトナ世界)はある意味で、プリキュア5への大罪を犯したのかもしれない。その象徴的な情報と言えた。『夢原のぞみはオトナ世界においては、かのラーメタル星の王家の血を受け継ぐ者である』という事実と、彼女の即位への意思は…。

 

 

 

 

 

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