※後半に銀河鉄道999および、新竹取物語~1000年女王~の用語多数です。
――扶桑皇国軍は高級士官層の多くが日本人に『粛清された』結果、史実で戦後に自衛隊の高級幹部になった者たちを昇任させ、失脚した者の後釜に添えるしかないという危機的状況が続いた。そんなこんなで『妥協的』に金鵄勲章は存続した。外国の勲章への無知で大恥をかくケースが続発し、武功を誇示しなければ、現場でぞんざいな扱いを受けるケースすら生じた。黒江たちは後者であった。ミーナは結果として、後者の行為をしてしまい、外交問題の当事者となったために失脚したのだ――
――黒江達の501への赴任での騒動は扶桑海軍航空隊の集団主義的な気風をも駆逐した。志賀などは最後まで抵抗したが、結局は自分らが左遷させられる顛末に終わった。天皇に諌められるというという、扶桑軍人最大の恥辱の当事者となった彼女は二度と第一線には復帰せず、教育部隊を転々とする日々を送ったのだ。それと同時期、元の501基地の片付けの際に、1つの手記が発見された。ミーナが人格変貌前の最後の数日で書き残したもので、錯乱した一方、自分の罪と無知を最後には悔いていたことが記されていた。扶桑が事変の時期に『軍事と無縁だった』故の無知であるので、本来は責められるべきことではないが、中佐という『機密に触れられる』立場が災いした。この騒動により、『1945年八月15日以後に軍へ入隊した魔女は10代のうちは佐官になれない』という規則が儲けられた。だが、太平洋戦争で大尉の戦死と増加が起こり、それどころでなくなる。結局、連合軍の魔女たちはミーナのたった一度の過ちで、ものすごい苦労を強いられたわけである。ダイ・アナザー・デイの長期化は日本政府の横槍も大きかったが、ミーナの判断ミスも絡んでいるため、その現場責任を取らされたのも事実である。その後、カールスラント軍の有名無実化で佐官に再任されるという流転の流れは、後世の人々の同情を呼び、連合軍も1950年代以降、ダイ・アナザー・デイでは、日本の過失のほうが重大であった事を鑑み、『悲運の魔女』に仕立て上げていく。なんとも都合の良い話だが、そのほうが連合軍の維持のためには良かったのだ――
――連合軍も次第に連携に綻びが生じてきているため、日本連邦は独力で太平洋戦争を戦い抜くしかなかった。日本側が戦時体制を忌避している都合もあり、扶桑軍は実質的に戦時動員を封じられた。義勇兵募集が大規模化した理由はそこにある。軍縮で職にあぶれた他国の軍人たちは高給と年金に釣られ、次々と応募。ブリタニアは財政的疲弊から、援助は兵器のライセンス提供などに留まっている。強大化したリベリオンの大西洋艦隊を倒せる力は既にブリタニア海軍にはないからで、実質は張り子の虎である。日本連邦が急速に水雷装備を復活させたのは、対潜アスロックの装備に在庫の魚雷発射管を転用するためでもある。M動乱で大恥をかいた扶桑海軍は、慌てて対潜学校などを設立したが、10年以上も研究していなかったツケにより、潜水艦のソナー員を対潜ソナー員へ転用しなくてはならないという悪循環を生み、嘲笑の対象となった。結局、在来護衛艦艇の再改装(航続距離と居住性を諦める代わりに、武装の装備バランスを元に戻す。ただし、機関換装で航続距離は上がった)で余計な費用と時間がかかったのも、空母機動部隊の再建の遅延に繋がった。当時、魚雷関連研究が1920年代後半レベルで停滞していた大半の国々は『果てなきシーソーゲーム』で水雷装備が追尾魚雷にまで到達したりする日本連邦とリベリオンに恐怖し、太平洋戦争への関わりあいを避けた。それが日本連邦の一強体制を確定させる理由となった――
――日本連邦とリベリオンの果てなき戦いは、互いの装備のレベルを大戦前半期のレベルから東西冷戦時代の前期のレベルに飛躍させた。旧来の野戦飛行場は用を為さなくなり、アスファルト塗装の数千m級滑走路の完備が必須とされた。これは輸送機に至るまでがジェット化されてきたからで、純然たるレシプロ機は消えつつあった。そんな兵器の革新に、航空ストライカーは追従しきれなかった。強力な魔力に耐えられる魔導伝導管やエンジン、ジェット機の外板を貫ける武装が(当時の量産技術の限界などで)大規模には作れず、第二世代理論式も大規模量産には至っていなかった。ジェットストライカーは第一世代型では加速力と機動力がなく、ベテランの魔女の殆どから忌避されていた。実戦データの収集にそうして手間取るうちに、カールスラントでの研究が実質的に止まってしまったため、航空ストライカーの技術研究は数年間の停滞を余儀なくされた。その間に、通常兵器が東西冷戦レベルに飛躍し、お互いの関係が逆転してしまったのである――
――魔女たちの不寛容さが(サボタージュで)浮き彫りになった結果、軍での立場は一気に悪化した。扶桑でさえ『穀潰し』と陰口を叩かれるほどになったからだ。世間からの白眼視を緩和するため、従軍記章の新設が議論された。既に黒江たちが現地で軽視されたという報は伝わっており、扶桑は『このような事態を避けるためだ』ということで検討していたが、日本の政治家たちの多くは『ドイツ軍の職務怠慢なのだ。ドイツには厳重に抗議したし、経済制裁の検討をしている』と、カールスラント軍に全責任があるという姿勢であった。だが、カールスラントで内乱が起こった事、カールスラント皇室が公式に謝罪した事、ミーナの人事書類の不確認が明らかになったため、日本側も渋々と承諾した。同時期に、智子の白バラ勲章で彼らが大恥をかいたからでもあった。こうした流れで、カールスラントの軍事国家としての権威は崩れ去り、軍事国家としての姿も失われていく。それに代わる強国となる事を、日本連邦は求められたのである。扶桑もそれまでの集団主義をある程度は転換せざるを得なくなった事から、海軍の青年将校らに不満が蓄積。魔女のクーデター事件はそうした不満の爆発だった。日本が扶桑への介入に興味を無くすのは、2010年代末頃の疫病と『プリキュアの実在の判明』からである。のぞみの問題が外交問題化したのがとどめであった。彼女は予備役に入り、教職に転じる予定であったが、日本の文科省の一官僚が問題視し、話を潰してしまった。それは皇室のお墨付きの話であったため、日本の総理大臣は文科大臣と事務次官を叱責。件の官僚は最終的に懲戒免職となった。扶桑は引き渡しを求めたが、日本は『こちらで処分は下し、社会的制裁も受けている。大尉への賠償とは切り離すべき問題である』とした。これは扶桑が不敬罪での処刑を示唆したため、先に処罰することで、それを阻止した(日本ではすでに不敬罪など存在しないため、法的すり合わせが必要なのだが、それを法務省が嫌がったのも大きい)形である。のぞみへの賠償は本人以外に、転職が内定していた学校への損害賠償も含まれており、日本はそれに腐心したのである――
――結局、扶桑軍人への集団リンチが完全に止んだのは、のぞみの一件がきっかけであった。だが、その時にはすでに参謀や後方業務=閑職のイメージが根付いてしまい、日本もそのイメージの緩和に苦労する羽目となった。他国から『日本連邦の将官はホイホイ前線で戦うから、後方で戦略的な作戦会議ができない』という批判が出たからだが、日本連邦のように、将官が自ら戦うのは、近代以降の軍隊では超レアケースである。日本は武士時代の倫理感がなにかかしらの形で残っており、それが日本連邦の軍事への視線に影響を与えていた。
――カールスラント、ヒスパニア、ロマーニャの軍事力の無力化は連合軍の弱体化を進展させ、日本連邦の一強化を引き起こした。日本としても、『ここまで軍事力が壊滅してしまうとは』と困惑しており、もはや、この三カ国は番人以外の役目は期待できなくなった。日本連邦はこうした欧州軍事力の顕著な弱体化により、強大な軍事力の維持を否応なしに求められたのであった。つまり、国家間の軍事力の拮抗の時代が終わり、数カ国の列強が世界そのものの運命を握る時代が(史実と違う形で)到来したのである。超大和型は(日本の政治的思惑もあり)海軍力の象徴として扱われた。これは建艦競争を意図的に起こすための措置であったが、21世紀の諸国の妨害もあり、それは起きず、必要とした国のみが建造するに留まった。また、空母も『純然たるジェット機の運用に足るサイズにする』と、どうしても、80000トン以上の超大型艦にせざるを得ないことの判明で、中小国は空母の保有を諦めていく。このショックは日本の『魔女の世界』の防衛構想の崩壊を招き、結局、日本も扶桑の空母機動部隊の維持を最終的に承諾する。魔女たちが『空中給油では航続距離を伸ばせない』という現実問題がふりかかったからである。ただし、魔女たちを空母で無理に運用する意義は薄れたので、強襲揚陸艦が実質的に魔女の母艦の役目を引き継いだ。ジェット機の艦載化でスペースが足りなくなったからである。戦争相手がリベリオン合衆国になり、少しでも多くの機体を載せる必要が生じたからでもある。魔女たちは(怪異が相手であった都合で)『歩兵用の軽装備しか携行しない』傾向が強かったため、当時最高水準の重装甲のリベリオン機相手では火力不足が顕著となった。64Fのように『20ミリ機銃』を使うことさえも珍しかったためだ。特に重装甲で鳴らした『P-47』相手では、部隊全体で機銃を掃射しても、まったく通じない事例が続発。この問題への当座の対処として、二〇ミリ砲の普及』が図られた。当時、生産ラインを修正すれば、九九式二〇ミリと『ホ5』20ミリはすぐに提供できたからだが、だが、国産機銃は不評であったため、最後までダイ・アナザー・デイで活躍した部隊ほど、カールスラント軍が放棄していった『MG151/20』を好んだ。64Fは扶桑の弾薬庫で死蔵されていた数十万発の同機関砲用弾薬を引っ張り出し、それで対処した。大戦型航空機関砲では最高水準の性能を持っていたからである。(在庫処分をしなければ、新式銃の弾を置けないという事情もあった)同機関砲はエース部隊による効果的使用もあり、大活躍した。それが実質的な『第一世代宮藤理論式ストライカー』最後の華であった――
――電探開発も扶桑の技術陣は日本側に蔑視されていたが、ブリタニアと同盟関係にある上、南洋から鉱物資源が手に入るため、史実より遥かにマシなものが造られていた。怪異探知のためである。だが、その配備は戦艦と空母が中心であったため、結局、技官は罵倒され、技術士官の多くが左遷される事になった。魔女による索敵も妨害するM粒子の登場で、探知系魔女も需要が下がってしまったのは誤算であった。更に、ダイ・アナザー・デイで問題になった『第五世代ジェット戦闘機への誤射』問題。第五世代機が早々に使われなくなった理由は『魔女が怪異と誤認する』からで、連合軍で大問題となった。会議で、魔女の代表たちは『高速怪異に形が近いものを使わないでくれ』と懇願したが、逆に日本の政治家らに嘲笑される有様であり、刀傷騒ぎになった。この問題はアメリカ軍の仲裁で収まったが、日本側の魔女不信を招き、これが扶桑の魔女組織の衰退の一因となる。皮肉にも、ダイ・アナザー・デイで魔女たち自身が、M26やM46などの新鋭重戦車の威力を思い知った結果、魔女関連装備技術が素材の限界(この当時の『魔女の世界』の金属精錬技術では、極めて高密度の魔力を無駄なく動力に転換し、なおかつ、そのパワーに長く耐えられる伝導管を安定して量産することが困難であった)から、第二世代式の生産の歩留まりは悪く、事実上、エース級専用機となっていた。この状況も、世間的な魔女への評価の下落に繋がった――
――各プリキュアは『正史と異なる存在』である。そのことを示すためもあり、のぞみとことははプリキュアの姿で活動することが多くなった。ことはに関しては、神では無くなったため、万能の存在で無くなってしまったが、精神年齢は外見相応になってきている。その関係上、言葉づかいは多少なりとも荒々しくなっている。その代わりに、ゲッター線の使徒になった側面を得たため、ストナーサンシャインやシャインスパークを使える。ダイ・アナザー・デイの途中で『64Fの交代要員の派遣』が頓挫した事により、のび太の厚意で呼び寄せられ、ダイ・アナザー・デイに参戦した。当時はみらいとリコが復活間もなく、(プリキュアとして)戦える状態ではなかったためである。また、のぞみが現役時代と変わっていない事を装いつつも、どこか影がある事を見抜いていた事から、ダイ・アナザー・デイでは、のぞみのサポートに回った。更にいえば、アニメと違い、二人は共に暮らしている。ダイ・アナザー・デイ後、のぞみは(姿が完全に別人になったので)中島家に戻れなくなったため、野比家に転がり込んだ。それからしばらくすると、野比家が入居するマンションのワンフロア丸ごとが『歴代プリキュアの根城』と化した。合流した面々だけでも、おおよそ数十人に及んだからだ。チームは数チームが集合し、バラバラに各チームからメンバーが現れた。それへの対応のためであった――
――デザリアム戦役の終わった後では、輝木ほまれが現状の『最年少』プリキュアにあった。これはのぞみとほぼ同時代の者たちは2020年代には成人、もしくは大学生ほどの年齢に達するからで、2020年に20歳である計算の彼女はもっとも若輩になった。また、声が(偶然にも)マンハッタンカフェに似ており、彼女と腐れ縁のアグネスタキオンですらも間違えるほどであった。その彼女はオトナ世界に呼び出されるまでは、日本連邦の戸籍作成や扶桑軍への入隊手続き等に追われていた。(彼女のプリキュアの力が転移で変質し、恒常化した事もあり)キュアエトワールの姿で活動している。また、(順当に加齢すれば)2024年に成人する計算になるが、本人は現役時代から転移したので、その時点の年齢である――
――2024年ごろ――
「飲む?」
「ありがとうございます。別の世界に飛ばされたら、飛ばされたで忙しくなっちゃうなんて。体力には自信あったんだけどなぁ」
「あ、エトワールはアスリートだっけ」
「ええ。元は。でも、まさか……あなたが1990年代前半の生まれなんて。一回りも違うじゃないですか」
「仕方がないって。本当はプリキュアになった時代が10年単位でズレてるんだからさ」
「ドリームはどうして、ここに?」
「本当は向こうに私物移そうとしたんだけど、防空司令部に止められてね。しょうがないから、骨川銀行の貸金庫借りようと思って」
「あの人、銀行も?」
「大震災で潰れかけた地方銀行を買い取ったとかなんとか。そこから銀行業もするようになったんだってさ」
のぞみ(キュアドリーム)の口から、2024年には、骨川家は銀行業でも成功を収めたことが語られた。ススキヶ原は練馬区にある。つまりは都内だ。2000年代に地主が世代交代で土地を売却し始め、再開発が入った。だが、それはいささか性急であったため、一年戦争での惨禍から立ち直る頃、街は1990年代の姿を基準に再建されることになる。
「金は唸るほどもらったからね。当分は貸金庫行きのものも多いよ。戦争が続いてるから、新居に引っ越せないし、空襲で焼ける可能性もあるから」
「空襲か……遠い昔の話と思ってたけど、のぞみちゃんの生まれ変わった先だと、現実問題なんだよね」
「B公がうろついてるからね。防空部隊は装備の更新途上だし、対抗できる高射砲は陣地高射砲だけ。野戦高射砲は第一次大戦に毛が生えた程度。これじゃ、クソの役にも立たない」
当時、五式15cm高射砲の改良型(近接信管等の改良が施された)の配備は進められていたが、あくまで陣地高射砲。日本は弾道ミサイル迎撃用ミサイルの転用も進めているが、いかんせん数が足りない。最盛期の戦略爆撃機の攻撃は数百機単位での空襲が当たり前であるからで、旧世代の高射機銃に代わり、ファランクスも各地に設置された扶桑だが、それでも完璧ではない。更に、それを扱える者の数が不足していたのだ。
「高射砲って?」
「第二次世界大戦まで使われてた、航空機迎撃用の大砲さ。ジェット機の登場で一気に廃れたけど、ミサイルは一発で家一軒分の金がぶっ飛ぶ。それこそ、シューティングゲームみたいに撃ちまくったら、国家予算が消えちゃうくらいのお値段。それで、高射砲も使うってこと。あ、そうだ。今度の遠征はバラバラになりそうだよ、あたしら」
「すると?」
「別の世界の自分を助けにいくんだけど、ちょっとややこしいことになってね」
「??」
ここで、のぞみは二つの世界に『自分の別個体』がいて、それぞれ助けにいくにも、一方しか行けない事をほまれに伝える。この時に話したことで、ほまれはオトナ世界派遣組に回り、大人のぞみを補助していくことになる。
「――……そういう事。その世界の調査はディケイドとラブちゃんの調査待ち。それと、今、わたしもややこしい話が来てさ。結婚生活どころじゃないよ」
「ややこしい話?」
それはウマ娘世界に『ナリタブライアン』として関わるという提案。交換条件とはいえ、のぞみ本人にはメリットはさほどない。だが、ブライアンは真に起死回生を今回の入れ替わりに賭けており、無下にするわけにはいかない。それも引き受けた理由だ。
「自分のメリット自体はさほどでもないけど、あの子は前世の運命に、知らず知らずのうちに縛られてたのに気づいてしまった。それで、わたしにすがってきた。私も褒められた人生を送れなかった記憶持ちだから、なんか……いたたまれなくてね」
のぞみは前世の記憶で苦しんだ事から、それで苦悩するナリタブライアンを放ってはおけず、入れ替わりを承諾したことを語る。
「あの子は90年代前半に日本競馬史上最強を謳われた競走馬の生まれ変わり。子孫を残すのが仕事になって間もなく、病気で夭折した。おまけに、晩年は競走成績も怪我で低迷してた。その記憶が蘇ったのなら、それを覆したいって思うのは、悪いことじゃないと思う」
「でもさ、昔は運動音痴だったよね?」
「現役ん時はね。今なら、転生でリセットされたから、サッカーで国立くらいはいけそうなテクが身についてるし、軍隊で鍛えられてるからね」
のぞみ(A)は職業軍人である中島錦を素体にして転生した都合上、運動神経は生前とは比較にならぬほど鋭敏になっている。また、彼女が草薙流古武術の継承者であったのもあり、ブライアンの肉体のポテンシャルを引き出せる素地が充分に備わっていた。大人のぞみはこの状態を与えられることになる。
「日本軍って、突撃バカみたいなイメージあるけど?」
「アメリカを基準に考えてたら、中国やロシアくらいしか同じことできないって。補給さえ伴えば、アメリカ以外の全部といい勝負はできるよ。特に白兵戦はね。史実よりだいぶ国力がマシだし」
「どのくらい?」
「おおよそ、6倍程度かな?統計が出てないから、はっきりしないけど。工業力は比較にならないくらいの差だよ。それでなんとか、まともに戦えてる。史実だと、語るも涙みたいな有様だったしさ、末期には」
扶桑は大日本帝国が成し得なかったことを実現している。故に、ダイ・アナザー・デイでも、一定の楽観論があった。日本はそれを悲観論で覆し、とにかく兵器の更新に躍起になって指示していた。
「そっちの敵はやっぱり?」
「そう仕向けられたって言うべきかもね。それで、故郷の世界は太平洋戦争の真っ只中。連中よりも、背後にいる巨悪共が私達の本当の敵さ。当然、軍隊だから、アメリカ軍に対処はしないといけないけど」
「なにそれ」
「軍隊ってのは難儀なとこだよ。政治屋連中には『ただでこき使える作業員』扱いで災害救助に駆り出され、反戦の連中には『人殺し』って罵倒される、事態に迅速に対処しないと、世論に文句をつけられる。魔法がある世界だけど、別に万能ってわけじゃないし、私達は嫉妬される側なんだよなぁ、他の部隊の連中に」
そこで、コーヒーを口にするのぞみ。プリキュアの姿を維持しているが、しぐさなどはは完全に大人のそれであった。現役時代のままなら、コーヒーを飲むのに四苦八苦しているだろう。
「私達は力さえ持ってれば、好きなタイミングでなれるけど、今の故郷の世界の魔法はタイムリミットのあるものでね。ドラえもんの道具でも使わない限り、20で戦えるリミットが来る。それが有史以来の鉄則だった。そこに、年齢を問わずに力を行使できる上、肉体を最盛期の状態に一時的にも指し戻せるおまけ付きの私たちが現れてごらん」
「あー……だいたいわかったよ」
「で、おまけに、限りのない魔力を持ってるフェリーチェがいるんだよ?」
「あの子は神様だったからねぇ。そうでなくなっても、魔力値は変化しない。それってチートだよね」
「神様から意に沿わない降ろし方されたようなもんだし。逆にわたしが不死身になっちったよ。おまけに1000年以上前の先祖に宇宙人がいたっぽいし……」
「え、宇宙人!?」
「髪が普段からマゼンタピンクだから、外人と結婚した先祖でもいたのかと思ってたから、別の世界の自分に無理言って、DNAを採取して、それを地球連邦軍に調査してもらったんだけど、おおよそ1000年以上前にいたんだ。宇宙人とくっついた先祖が。驚きだよ」
のぞみBや大人のぞみには『ラーメタル人』の遺伝子があり、後々、それが完全に覚醒した大人のぞみはやがて、かつての『雪野弥生』(プロメシューム)に代わる『1000年女王』に即位。地球の守護という宿命を(プロメシュームの果たせなかった大望でもある)果たしていく事になる。そして、その世界の地下で秘匿されていた『別世界から漂着した、作りかけのアルカディア号(骸骨艦首型)』をキャプテンハーロックなどの協力で完成に至らしめる事になる……」
「多分、別世帯の私にその因子が目覚めれば……家族と暮らせなくなる。桁違いに長い年月を生きる事になるからね。超長命の宇宙人だから」
「その宇宙人の名前は?」
「ラーメタル人。大昔に地球を支配してた種族らしいんだ。スケールがでかすぎて、ピンと来なくて…」
ラーメタルの栄光と悲劇。それを知ったのぞみA。図らずしも、その彼らの手で、往時の力を取り戻すことになる大人のぞみ。運命のさらなる分岐がここで生まれたことになる。ことは(本来の道)と別のベクトルで地球を人知れず守ることになり、ココ(オトナ世界)が望んだ道とは根本的に異なる道へと進む。大人のぞみは『個人の幸福』よりも『地球人が地球で生きる権利を守る』道を選んだ。その理由は『教師になった事による変化』である点に、のぞみらの安寧だけを願ったココへの皮肉がこもっていた。キュアエトワール(輝木ほまれ)はどこか他人事ではない様子のキュアドリームに、『目の前にいるのぞみも、実はその因子を持つのでは?』と推測するのだった。