――大人のぞみはあくまで『地球人類の守護者』であるので、地球そのものの意思の代弁者であるキュアアースやヒーリングアニマルとは相容れないところがある。故に、彼女らが人類に牙を抜いた場合は、自分が憎まれ役を務めてでも、人類を守護する。のぞみAと違い、名実ともに『大人である』ので、そういう役回りも必要な時があると理解しているのである――
――ちょうど、ブライアンが出かけたのと同じ頃――
「お前は憎まれ役も覚悟してるのか」
「ええ。万一、ヒーリングアニマルが牙を抜いた場合は彼らを倒しますよ。地球の意思云々よりも、オリンポス十二神の都合が優先されますからね」
人類がいなくなれば、人類が生存の前提条件になってしまった生物に生きる道はなくなってしまう。そこを考慮に入れていないのでは?と、大人のぞみは考えていた。故に、脅しのつもりで公言することにしたと、黒江に伝える。
「つまり、連中への『警告』か?回りくどいことを」
「ヒーリングっどがこっちにいるかわからないですし、今は角を立てたくないし……」
「気持ちはわかるがな。もし、会ったらどうする気だ?」
「それとなく、脅しは入れますよ。地球の意思であろうが、人類が生きる権利は奪わせませんよ。たとえ神だろうと」
「今のお前はそれをできるからな。だが、優しさを見失うなよ」
「わかってます」
大人のぞみは『大人の思考』で動いているため、少女期の頃の思考へほぼ戻っているのぞみAと違い、立場相応に『打算的な考え』をする。黒江は一応の忠告をし、釘を刺す。のぞみAが見せた『暴走時の攻撃性を理性のある状態で奮える』可能性があるからだろう。そうなれば、(万一の場合)ヒーリングアニマルを全滅させてしまう可能性が大きい。子供時代に躊躇ったことをやってしまう事があるのが大人への成長でもある。
「大人だからって、周りは途端に残酷になる時ってありますからね。教師生活で……」
「それ、子供時代のお前自身が聞いたら、幻滅ものの発言だぞ」
「あの頃は、楽天的に考えていれば良かった。けど、なってみたら、生徒の力になれないわ、周りの同僚から疎まれるわ……自分のしている事がなんなのか……」
「それで、『戻りたかった』のか」
「笑ってくれていいですよ。泣き言言ってるんですから」
「志があるヤツが現実に打ちのめされるのは、どこでもあるもんだ。心療内科には行ったか?」
「学生ん時にあれだけ啖呵切っといて、行けると思います?」
「……そうだったな」
大人のぞみは教師生活の現実の残酷さに疲れているようで、テレパシーで延々と愚痴を吐く。家族や友人らの手前、弱音を吐けなかった事でのストレス、職場で浮いた存在であったことでの鬱憤。社会人数年目故の苦しみを吐き出していた。黒江は自分もこの手の事は経験があるので、つき合ってやる。
「心療内科のカウンセリング受けるべきだったぞ、マジで。皆の手前…ってのはわかるが」
「若い時にアホしてるわりに、志が高いこと言った代償なんですかね…?」
「バカ、滅多な事をいうもんじゃない!」
黒江は直感的に、大人のぞみのいた職場の空気が(志のある若者を疎んじるという意味で)最悪に近かったと悟った。思わず怒ってしまう。
「……すみません」
「仕方ない。今夜はつき合ってやる。上への報告書をまとめてるし、俺は骨折の治療中の身で、暇だしな」
「ありがとうございます……」
「それと、お前にも伝えておくが、前に、第三のお前の別個体が発見された」
「三番目の?」
「そいつ、めぐり合わせがお前らより悪くてな。観察してたらよ。子供をかばって、車に轢かれた」
「なぁ!?ひ、轢かれた!?」
「頸動脈をやられてたから、俺がとっさに、芳佳に送るつもりだった医療用の糸で結紮した。芳佳の実家、診療所だったろ?本土に戻ってた時に下宿してたんだよ。多少の医療知識をそれで身につけた。その後に日本連邦大学の医学部の講義を受講してなぁ」
のぞみC、もしくはDの観察で緊急事態となったため、多少なりとも医療知識を覚えていたので、応急処置を行ったと、黒江は伝えた。付け焼き刃レベルであるが、やらないよりはマシであった。その際に医療用ナノマテリアルも注入したと話す。
「ナノマテリアルの注入もして、どうにか救急車が来るまで持たせた。こっちの拠点にした病院に担ぎ込ませて、集中治療室に入れたんだが、お前、2008年の時点だと、携帯持ってなかったんだな」
「あの時期はまだ、携帯がなくても学生生活送れてましたし、高校入ったら…ってことになってたんですよ。まさか、すぐにガラケーが廃れて、スマホになるなんて、思ってなかったけど」
「で、親御さんに説明して、りんたちに説明しにいったわけだけど、ココのやつ、その場で気ぃ失ったし、りんは顔面蒼白で詰め寄ってきたぞ」
「だろうなぁ。現地のエターナルはどうやって抑えたんです?」
「はるか達に来てもらって、エターナルに対処してもらった。お前が戦えない上、生死をさまよう状態じゃ、りんたちはまともに戦えないしな。俺は前の事があるから、むやみに介入できん身の上だしな」
「その世界の私たち、はるかちゃん達を知ってました?」
「りんに聞いたら、数ヶ月前に初期メンバーと会ったばかりだったそうだ。だから、トワに驚いてたよ」
「あ、そうだった。あの子は追加組だ!あの子達が最後かなぁ、私らの頃に戦い方が近いの」
「はるかには、アルケイン用のロング・ライフルのダウンサイジング品を使わせた。向こうのお前らを驚かせちまったが、フルメンバーじゃないからな、プリンセスも」
「あ、そうだ。あの子がいないんでしたね。つか、はるかちゃん、大丈夫でした?」
「ミドルレンジで使わせたよ。で、トワはクラメントで戦ってた。ヤツなら真価を出せるからな」
「あ、そういうわけか」
「ああ。モードレッドのヤロウじゃ、あれの真価は発揮されんしな。円卓の裏切り者かつ、親殺しの逸話持ちが固定属性になっちまってるから」
モードレッドは雑魚散らしはできても、自分の力量を超える力の相手には太刀打ちできない場合が多い。これは生前が生前である故の業であった。対して、トワは現役時代に悪から善に転向した。さらに『ラスボスに洗脳された上、記憶喪失であった』という経緯を持つ。故に、モードレッドの持っている宝具である『クラメント』本来のポテンシャルを発揮できるのである。それはそれで皮肉な話だ。
「その世界はそれ以外は平和だから、俺達もそこまでは介入しなかった。プリンセスの介入にエターナルも驚いてたしな」
「と、なると、私らの世界はイレギュラーなんですね?」
「ああ。ココはそれで落ち込んでるようだ。あれじゃ、お前と復縁できるか。いや、お前が1000年女王になる以上は無理かもしれん」
オトナ世界は本来の流れとは異なる『派生』の一つである。白色彗星帝国残党の襲来で更に混沌とした結果、ココは復縁が絶望的に陥っている。大人のぞみは(直前の環境が環境なだけに)修羅の道に進みつつある。それは一度、力を理不尽に奪われた事による長年の虚無感によるものなので、(オトナ世界の)ココは罪悪感で精神的に追い詰められていた。この点で(世界線が更に)細かく分岐したといえる。また、ゲッター線に(A以上に)魅入られたためか、言うことが過激になっている。
「おまけに、ゲッター線に魅入られたな?お前」
「ええ。そっちの私とは違う道に行くかもしれませんね」
大人のぞみは(15歳以後の人生に虚無感がつきまとっていた故か)自身は修羅の道を承知の上で、人類の守護者になるつもりであった。故に、それまでの人生にさほど未練がないようである。
「15歳以降は虚無感があったんですよ、今まで。だから、高校も大学も心から楽しめたわけじゃなかった。未練はありますけど、しばらくしたら、『普通の生活』はそっちの私に任せます。1000年女王になったら大変ですからね。たぶん、この戦いが終わってしばらくが『普通に過ごせる』最後の機会でしょうから」
「いいのか?」
「ココと結ばれたとしても、危機に対抗できる力を持たないで、ただ滅ぶのを受け入れるわけにはいきませんからね。これで良かったかもしれません」
大人のぞみはさらなる危機が今後に起きないとは限らない事から、力を捨てる事は望んでいない。その点で相容れなくなった事から、ココとの復縁を諦めた節が見受けられる。ココ(オトナ世界)はこの状況で、うつ病に近い精神状態に陥っており、とても会わせられる状態ではない。
「ココははーちゃんに面倒を見てもらおう。戦闘は俺達の世界の個体にやらせろ」
「みらいちゃんが大混乱してますよ」
「だろうなぁ。こっちが大地母神でなくなってるから、共存できてるようだしな。ZEROの改変の力で」
未来世界のことはは『キュアフェリーチェの容姿は保ったが、能力面はゲッター線と光子力の使徒となっている』存在であるので、本来の道筋を辿った彼女自身とは別の存在と化している。有名な漫画でいえば、超サイヤ人4と超サイヤ人ブルーへの進化の分岐のようなものだ。
「こっちのは現役時代より強大な戦闘能力と引き換えに、プリキュア本来の浄化の力はほとんど残らなかったからな。大地母神属性が失われたからかもしれん。本来の流れのはーちゃんと共存できてるのは」
「つまり、今の二人は…?」
「似て非なる者。そういう理屈なんだろう。ZEROも妙な改変をしたもんだ」
未来世界のことははオトナ世界の個体と厳密には異なる存在と化しているため、同一の世界で共存できるのでは?という推測がなされた。実際、未来世界のことははゲッター線の力を使って戦闘しており、本来の力はほとんど使っていない。得物がゲッターサイトやゲッタートマホークであるのも、その証明だ。現役時代の得物が失われた代わりに、ストナーサンシャインで浄化をするなど、かなりの荒療治をするようになっている。
「そっちのみらいになんとか説明してやれ。はーちゃんが二人じゃ、パニックだしな。どうしてる?」
「フェリーチェの姿を保ってます。口調が荒っぽいとこあるでしょ?それでみらいちゃんがパニクりまして」
「まぁ、普通に中高大を順番に出て、精神面が多少なりとも外見に追いついたし、今は神じゃなくなってるから、存在としては、『強めのプリキュア』なんだよな。うちのはーちゃん」
「みらいちゃんが聞いたら、怒りますよ?それ」
「仕方ないだろ、パラレルワールドでの事だから。みらいはなまじっか、マホウ界行ってるからなぁ」
大人みらいは別次元の自分が一度死んだ(プリキュアとして敗北した)後、科学の力などで蘇生するまでのタイムラグの間に、ことはが順当に学生生活を送っていた(自分の世界では『望みつつも実現しなかったこと』であるため)事に不満であるようで、大人のぞみはなだめていたようである、
「管巻かれましたよ、それで。私もやりましたけどね、教師生活で」
「お前、肝臓やったんだって?若返って、ダメージが回復したとはいえ、これからはやめとけ」
「ええ。ノンアルにしときます」
大人のぞみは教師生活のストレスを酒で紛らしていたせいで、若返る前の健康診断では『肝臓の値が悪くなっていた』。若返った後は酒を付き合い以外は控える事にしたということを伝える。
「教師はストレス貯まるからな。特に昨今はサラリーマンみたいに『割り切らない』と、すぐに鬱病で離職だ。俺の時代と違って、教師の立場が弱いから。お前みたいな熱血漢は嫌われ者だ。わかるだろう?」
「ええ。ココみたいにはなれなんだ……ですよ。生徒受けは良かったんですが」
大人のぞみは子供受けは良くとも、生徒の親や同僚、上司には『扱いにくい』と疎まれていた。その事は自覚していたので、教師の職自体には未練はあるものの、軍人の立場になることで、当座の衣食住を確保するしかないことは受け入れていた。
「衣食住が消えちゃったんで、当分はそっちの私の代役を務めます。平和になれば、いつでも教師に戻れますからね」
「すまんな。お前がプリキュアだってんで、上も無理難題を押し付けてくるんだよ。アムロさんたちはネオ・ジオンの解体の監視に駆り出されちまって、手を離せないし」
「どうせ、この動乱が落ち着いても、日本政府は生活再建基金の設立も渋るでしょうから、政権はひっくり返る可能性も高い。そうなっても、財務の連中は金を渋るでしょうけど」
「それが連中だ。どこの世界も変わんねぇようだな」
オトナ世界の動乱は全地球規模の災害でもあるので、もはや日本一国の財政でどうにかできる状況ではない。下手すれば、破滅ミサイルで地球自体が消し飛ぶ可能性すらあるので、地球連邦は『ワープによる奇襲攻撃』を警戒している。
「ワープの警戒は?」
「次元レーダーとソナー搭載の艦に見張らせてます。それと、こっちの国連は腹をくくったようで、対中露戦線も覚悟すると」
「当分の間は無理だろうけどな。お前自身はこっちの進化を取ったようだな」
「荒々しさが必要。そう思ったんですよ」
プリキュアは現役時代の能力スペックからの劇的な向上は基本的に起きないが、その枷が取り払われた場合は聖闘士に匹敵する爆発力を得る。大人のぞみは『守るためには、激しさが必要だ』と感じ、Aとの存在の同一化を選んだため、エターニティ形態へ覚醒したのである。エターニティ形態は他の形態と違い、戦闘での破壊力が特に高まっている。これはマジンガーZEROがAの覚醒に介在していた関係で決まったパロメーターである。『優しさよりも激しさが必要な時がある』とは、ZEROの言葉である。
「こっちの進化は純粋に戦闘能力を強化したものだから、現役を続けるんなら、巨悪の撃滅に使え。やりようによっては浄化技も使えるが、お前自身は格闘技を未経験だろ?」
「ええ。それは分かってます。そっちは使えるんですか?」
「転生の素体は草薙流古武術の継承者だしな。それに、色々と鍛えてある」
Aは色々な技能の応用で、エターニティ形態でも浄化を行えるが、大人のぞみは格闘技未経験のままであるので、Aほどは応用が効かないらしい。
「お前にはこれから『いくらでも』時間はある。記憶の見様見真似でいいから、あれでの戦闘のコツを覚えろ。そっちで初代が援軍で来てくれるとは限らんからな」
「なんか、ドラゴンボールでの修行みたいですね」
「それに近いな。お前らには批判もあるからな?困った時の初代って。そう言われないように強くなれ」
「なぎささんたちに助けられてばかりじゃ、後輩として恥ずかしいですからね。大人になったら、急にそう思ってきちゃって」
「それが成長ってもんだ。あの二人に改めて誇れるようになったら、会ったらどうだ?」
「そうします」
この会話は大人のぞみには、いい気晴らしとなった。のぞみAと同じ能力は手に入れたが、細かい練度の差はあるので、それを埋める特訓は必要であったのは事実だ。黒江は(過去に自分に危うい傾向があった経験から)大人のぞみのカウンセリングを自ら行っていく事を決めると同時に、プロのカウンセラーである『新見薫』(兼・月影ゆり。つまりはキュアムーンライト)と以後の連携を取る事にするのだった。
――こちらはのぞみC。件の交通事故で昏睡状態であったが、治療の甲斐あり、意識を取り戻した――
――また別の「プリキュア5」の世界――
「のぞみちゃん、私がわかる?」
「え……あ、あなたは……」
のぞみCは意識を取り戻したが、視線を回し、周囲を見渡すと、見覚えのある後輩プリキュアがいた。それも変身した姿で
「ふ、フローラ!?どうしてここに……つか、ここどこ!?」
「病院よ。あなた、子供をかばったでしょう?それでしばらく昏睡状態だったのよ」
キュアマーメイドが説明に補足を入れる。
「マーメイド…。つか、よくその姿で病院入れたね……」
「友達が入院したからって、特別に入れさせてもらったのよ。あなたが命の危機を脱して……一般病棟に移されて……もう三週間よ?」
「えーーーーー!?と、いうことは……学校は!?」
「私が親御さんと君の仲間に状況を説明したよ。君の事は知っているからね、夢原のぞみくん。君がキュアドリームである事も」
「!?」
「この子達とは協力関係にあるのでね。申し遅れたね、私は結城丈二。君の主治医だ」
「ど、どうも……。なんで私がプリキュアだって?この子たちから聞いたんですか?」
「その辺は一言では説明できないのでね。後日に改めさせてもらうよ。君の仲間に連絡を取らなければならないのでね」
ライダーマン/結城丈二はのぞみBの世界の戦闘が落ち着いた直後、Cのいる世界に行き、正式に主治医として、治療を担当していた。C世界とB世界は比較的に次元座標が遠く、お互いの経過時間も異なるため、こういう事になっているわけだ。
「わたしが寝てる間、エターナルはどうしてたの?」
「あなたがいない状態だから、私たちとの混成で迎え撃ったわ。奴さん、ものすごい涙目だったわよ??あなたたちと腐れ縁と聞いたけど」
「あいつだね。初めて戦った組織の頃からの腐れ縁でさ。しぶといんだ」
C世界は、プリキュア5の二度目の戦いの前期の時期であるようで、ブンビーのことは敵だと認識している(オトナ世界では既に和解。B世界では和解フラグ成立済み)頃であるようだ。
「あれ、あなたは?あの時(プリンセスの現役の頃のオールスターズ戦)はいなかったよね?」
「ええ。私はキュアスカーレット。四人目のプリンセスプリキュアですわ。この世界では初対面……という事になりますわね」
キュアスカーレットはオトナ世界に行く前、C世界の警護をしていた。C世界では(時系列的に)のぞみは初対面ということになるらしい。
「エターナルはボコボコに叩きのめしましたので、当面の間は大人しくなるでしょう。私達が加勢したことで、戦略の練り直しが必要になりましたから」
「私達は君たちの戦いに関わるつもりはなかったのだが、君が交通事故に遭ったことで、そういうわけにもいかなくなった。故に、この子達に警護を依頼したのだよ」
「うん。だから、安心して。この街は私たちが守るから」
「あれ、あなた達…、学校は?」
「私たちのほうは心配しないで。学校はどうにかなってるから」
キュアマーメイドはちょっと気が引けるが、そう言って、誤魔化す。細かい事情はCが落ち着いてからでいいし、さらに言えば、2008年時点では、プリンセスプリキュアの面々はまだ六歳。小学校低学年の年頃でしかないので、色々と説明が長くなってしまうし、いずれは結城丈二が『医師免許も持つ科学者』であり、プリキュアとは違う『正義のヒーロー』という裏の顔を持つ事も説明せねばならない。それに、今の彼女(プリンセスプリキュア)らは『学生の身分』ではない。
「そ、そう。ほら、マーメイド……みなみさんは生徒会長だし、その辺の融通効くんだー、うちのがっこ……あ、あはは……」
ちょっとキョドり気味だが、キュアフローラもうなづく。やはり気が引けるからだが、とっさに合せられるあたりは流石である。
「ただし、補習しなくてはならないのは嫌ですが……。あなたは事情が事情なので、しばらくは院内学級で補習があるでしょうね」
「うぇ、病院でも勉強ー!?うぅ……」
「仕方がないじゃない。あなた、教師になるつもりなら、勉強の遅れを取り戻さないと。私が勉強見るから」
「うぅ。後輩に勉強を教えられるのかー……。なんか恥ずかしいなー…」
「そこは気にするんですの?」
若干、呆れ気味のキュアスカーレット。
「当たり前だって~。先輩としてはさ~……その、その……威厳と言おうか…さ」
のぞみCは意識が戻ると、病室のベットに横たわっていても、いつもの調子に戻る。それは(プリンセスの面々にとっては)懐かしさを感じるやりとりでもある。のぞみ本来の性格はこのような『抜けている』感じなのだ。プリンセスプリキュアの三人は(普段会っている、のぞみAは転生で大人びているところが増えている上、軍人であるため、現役時代ほどは『間の抜けている』キャラではない)どこか懐かしさを感じるのだった。