ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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今回は後半部がメインです。


第百八十話「オトナプリ宙キュアの世界の花海ことはと宇刑事ギャバン」

――扶桑で起こったクーデターで失われた試作航空機/ストライカー群はその後の扶桑の航空開発の主流を変えてしまう(自由リベリオンのライセンス生産)ほどのショックとなった。試作機が失われたこと、処罰を恐れた技術者の他分野への流失で開発能力が一気に低下。仕方なく『自由リベリオンのF-86』をライセンス生産する流れとなってしまう。志賀が第一線に復帰しなかったのは、この事態の出現に責任を感じていたからである。とはいえ、その試作機群は(史実を考えれば)ほとんど絵に描いた餅と言わんばかりのテックスペックを公称しているものばかり。日本からすれば『資料的価値しかない』ものでしかなかったのだ。大事になったのは、宮藤芳佳用に配備が検討されていたストライカー『震電』が失われたからで、それが横空内で『欠陥品』と言われていたことの判明で『炎上』してしまった。上層部もこの事態を重く見、横空(横須賀航空隊)の解体を決定。志賀はその決定が下る前後に『震電の残骸と残されていた予備パーツ』を極秘裏に回収。私的に購入した格納庫で復元作業を開始していた。宮藤に渡すために。既に軍事的意義は失われたが、震電のエンジンには亡き宮藤一郎技師の理論が使われていた。それを復元し、手渡すことを宮藤と坂本への禊と考え、軍籍に留まった。名目上は『メーカーへの返却のための復元作業』と説明しているからである。また、ついでに戦闘機としての震電は先立って復元しており、メーカーに手渡し、メーカーはドキュメンタリー番組の制作に使用している。震電は色々と未完成の状態であったので、熟成を考えれば、実用量産は1946年になり、第一線機でいられた時間は(良くて)半年程度と見積もられている。横空の生き残り達は公にされたP-51HやP-47Nなどの高性能機の諸元に絶望したという。震電や橘花に賭けた努力が徒労にすぎないと知らされたに等しいからで、1949年度に同隊出身者の戦死が相次いだのは、メンタルが死に体になってしまったからであった――

 

 

 

 

 

 

――元来、扶桑軍は橘花と火龍を第一世代ジェット機の雛形として運用するつもりであったが、遥かに進歩した設計の『F-86』にお株を奪われる結果となった。瞬く間にF-104、F-4EJ改も出現したため、旧型のレシプロ双発爆撃機や軽爆撃機が無用の長物と化した。また、滑走距離が長く、アスファルト塗装滑走路必須のジェット機の主力化で旧来の野戦飛行場が役に立たなくなる弊害も生じた。更に、扶桑軍は欧州の航空戦に適応しようとしていたところに、真逆の様相の太平洋戦線の開戦で機材の航続距離切り詰めがタブーとなり、空中給油や空中補給が問題になる事態に遭遇。地球連邦軍の協力で、ガルダ級を補給母艦として運用する方法で、強引に武装の補給の問題を解決した。仕方がないが、扶桑軍は野戦飛行場を中継地点や補給基地として使うドクトリンだったため、太平洋の長距離戦闘をそれ無しでやれという政治的に嵌められた枷に大混乱となっていたのだ。仕方がないが、ジェット機の組織的運用が可能な飛行場は維持費も莫大なのだ。史実と異なり、南洋が一塊の大陸であった幸運はあれど、心理的疲労を強いられてしまう長距離行軍は問題として取り上げられた。日本もガダルカナルやラバウルの戦訓は身に沁みているので、やむなく要請を承認。地球連邦軍との共用を前提にした大規模飛行場を建設するに至る。地球連邦軍は扶桑軍に代わり、戦線維持を行う事も多々あったので、MS用の格納庫も設けられた。このように、軍事面では超未来的になるのに、民生面は史実より多少進んだ程度なのは、豚に真珠、馬の耳に念仏な事になることが懸念されたからであった――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――軍人であっても、バルクホルンのように最新電子機器に苦戦する例もあるので、黒江のように、違和感なくスマホにまで対応できるのは稀な例である。この頃は世界の覇権は財政的疲弊が顕になり、軍事的衰退が表れだしたブリタニア連邦が『太平洋の動乱に介入できる力を持たぬ』ことを自覚しだし、カールスラントは形骸化。ガリア共和国の派閥抗争にドゴーリスト派が勝利した時期だ。だが、ガリアはそのドクトリンが理由で、日本連邦に敵愾心を持つに至る。民間主導でガリア革命の負の側面が白日の下に晒されてしまい、革命派の暴走による非道がクローズアップされたからで、ド・ゴールはこれを『自由ガリアへの挑戦である』と息巻いたが、この時点でガリアは往年の軍事力も経済力も喪失しており、無理に対外戦争などすれば、国家どころか、民族の破滅である。ド・ゴールはティターンズに近づくことで、早期の復興と対日戦争の準備を長期のスケジュールで進める。だが、日本連邦とは既に科学力で隔絶した差が生じていた。ド・ゴールはわからなかった。海軍力で既に日本連邦は最強の座を射止めていることに。その象徴たる敷島型の強大さを。ガリアが40cm砲の実用化さえ遅延していたのに対し、扶桑は艦砲の実用限界を極めた『56cm砲』を既に量産していたのだ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――太平洋の戦艦達は『艦隊決戦を前提に肥大化している』。欧州の軍事論者達は1930年代頃にそう評したという。実際は耐久力向上も兼ねている。怪異との戦闘には戦艦の火力が必要である兼ね合いもあった。扶桑はM動乱の『ヒンデンブルク・ショック』で超大和の建造に邁進せざるを得なくなった。また、対艦徹甲弾の世代交代も進み、通常弾が史実の最終型『一式徹甲弾』のさらなる改良型『五式徹甲弾』に交代した。弾芯部のさらなる強化、使用炸薬を未来世界の最高性能のものに交換したものである。また、航空主兵も大艦巨砲も無惨に敗れた記憶から、日本側は科学力の差を生かした『チート』を推進するよう、扶桑に提言。扶桑も了承した。その象徴が播磨であり、敷島である。魔女たちの大半は(自分らに寄与しない事から)反対したが、急速に発達する対空砲火や通常の戦争での『脆弱さ』が認識されるにつれ、止んでいった。南洋は扶桑の生命線だが、史実と違い、一塊の大陸であった事から、戦車戦を存分に行える。幸いにも、南洋地域の戦車工場は大陸内陸部にあり、各地で消耗した部隊は鹵獲品の修繕の他、そこから新品を受け取っている。日本列島よりは大きい面積であったのが幸いした形である。日本は太平洋艦隊が他の海域から回り道をすることを警戒していたが、ブリタニアが扶桑と同盟を続けている上、史実通りの運河が存在していないという地政学的幸運により、ハワイ(1941年の地殻変動で大陸より分裂)を抑える程度しか、リベリオンに手段がない。人類統合軍という枠組みが崩壊し、連合軍という形にせざるを得なくなったのは、リベリオンやヴェネツィアの離脱などで欧州の兵站の維持が困難に陥ったこと、カールスラントを無理に軍縮させたことや、オラーシャ帝国の分裂と紛争、カールスラント内戦で、まともな戦争遂行能力を持つ国が数カ国しかなくなったからである。また、ブリタニアが大艦巨砲主義の巣窟であった弊害で、正規空母不足に陥った連合軍は扶桑に財政演説を行ったが、日本の意向でインフラ整備に使われてしまうなどの齟齬により、連合軍は薄氷を踏む思いであった。日本が扶桑の軍事に口出ししなくなるのは、のぞみの一件、扶桑の地政学的違いへの理解の深まりを待つ必要があった。また、ブリタニア連邦もジブラルタルをやむなく領有せざるを得なくなった(ヒスパニア軍の無力化による政治取引による)ことでの財政負担の増加で太平洋に構う余裕はなくなった事から、扶桑を連合軍の盟主に祭り上げていく。これにより、連合軍を主導せねばならなくなった日本連邦は超兵器に傾倒を強める。これは徴兵による民の犠牲の増加を日本が許容しなかったためで、扶桑としては『やむを得ない』措置であった。故に、MSやコンバットアーマーでの蹂躙も許容された。人型兵器は重要性の低下した軽戦車に代わるものとされ、配備されている。日本としては軽戦車と装甲車の代わりに、機動戦闘車を与えるつもりであり、扶桑に先行して与えていたが、ダイ・アナザー・デイで思わぬ苦戦と損害を被ったことで、16式機動戦闘車の価値自体にケチがついてしまう有様。第二次供与分が撤回されたため、予定の部隊が宙に浮くことになった。その部隊にMSが回されたのである。ジェガンである。ジェガンはマイナスイメージ(史実での小型機への散々たる有様から)こそあれど、普通に第二世代MSの量産品としては最高到達点であるのと、大きさが『ハッタリが効く』ため、未だに現役機である。星の数ほど製造されたため、いくらでもパーツの補充が効く。その利点が扶桑に高く評価されたのである――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――連邦軍も次世代の量産型の開発に何度も挑戦していたが、尽くが『敵への性能的劣位が強い』『エースパイロットを満足させられる限界性能を確保できない』という有様を晒し、ジェガンの駆逐に失敗し続けている。軍縮期がジェガンの新鋭機時代に入ったのもあり、連邦軍はビームシールドや小型化に一歩遅れることになった。だが、外宇宙勢力との戦争で『小型機の戦略的優位性』が否定されてしまったことで、抜本的な後継の開発が難航。ジェイブスにしても、『ミッションパック型』が母艦艦載機隊に不評であり、ヴェスバーを固定装備にし直した型が制式量産に入る始末だ。(コズミック・イラと違い、パック換装の手間よりも『本体の汎用性でどうにかしろ』という思想が連邦軍には根強いからで、これはアムロ・レイの一年戦争当時の活躍に由来する)とはいえ、ヴェスバーやバイオコンピュータが標準装備と化した分、ジェガンより高コストであったので、従来のソフト開発・使用ノウハウが適応可能なOS(現用技術からのさほどの逸脱がない)を持つジェガンは前線で強く支持されているのである――

 

 

 

 

 

 

 

――連邦軍はジオンが仮想敵であった時代が長いため、鹵獲した武装の使用も前提にしており、そこがサナリィ製MSが嫌われた理由(専用品の多い構成とOSの仕様の関係で、他機種の武装の流用があまり効かない)であった。とはいえ、サナリィもF91以降は武装の融通が効くセッティングにしなおしたが、結局は自社製造をザンスカールの勃興などで断念するしかなく、アナハイム・エレクトロニクス社の牙城は揺らぐ事はなかった。形式上、完全な民間企業であるので、軍縮が撤廃された時にもすぐに対応できたわけで、サナリィが斜陽となったのは、プリベンターの公的扱いが二転三転したための弊害でもあった。彼らは(外宇宙勢力の襲来で)固有の武装が許された情報組織という形に落ち着いたが、軍が存続した関係で肩身は狭く(ガトランティス戦役でベテラン軍人の多くが戦死した要因の一つと見なされた)、サナリィを斜陽にしてしまうなど、扱いが二転三転する過程での道連れを多くしすぎた。結果、従来の諜報部に代わる組織に位置づけることで落ち着きはしたが、ハト派の大半が(ガトランティスの本土襲来時に醜態を晒した)軽蔑され、外宇宙勢力の尽くが『鬼畜生が似合うような帝国主義の国家』であった事で、地球人に『殺られる前に殺れ』の風潮が定着してしまっていた。ウィンダミア王国のハト派が危惧したのは、『地球人の激昂心に火がつけば、星間国家をを星系ごと滅亡させてしまう』ことであった。これはガミラス帝国と白色彗星帝国、暗黒星団帝国の滅亡で証明されている。いずれも銀河規模の星間国家であったが、宇宙戦艦ヤマトに敗れ去っているからで、ゲッターエンペラーと並び、宇宙戦艦ヤマトの飛来は『星間国家の命運を左右する瀬戸際』と非地球系の星間国家で危惧と共に認識されたのである――

 

 

 

 

 

 

 

――魔女の世界でカールスラントの権威が没落すると、同国の軍人らは戦争論に傾倒していることを嘲笑されるようになった。仕方がないが、孫子の存在が半ば忘れ去られていた世界線であるためである。マルセイユやハルトマンでさえ、転生と交流で存在を認識したくらいなので、カールスラント軍人の大半は孫子の兵法を知らなかった。それが原因で、問答無用で連合軍の要職から排除されたケースも存在する。元々、カールスラント軍人は他国軍人への居丈高な態度が問題視されていたため、要職からの排除の大義名分に使われてしまった感は否めない。ルーデルでさえ、同位体が同位体であるため、米英仏などの政治家から排除の声が出ていたが、ハンナ・ルーデル自身は単なるウォーモンガーであったために『害はない』とされた経緯がある。(ただし、ルーデル自身は流竜馬のもとで東洋の礼儀作法を学んだため、一見すれば(鼻の傷以外は)良家の令嬢に見える)日本軍義勇兵らに喧嘩でぶちのめされ、病院送りにされるケースが多かった(義勇兵には、空手や柔道の有段者も多い)ので、1949年度には『日本人をキレさすな』というのが、カールスラント軍出身者の共通認識であった。これはゲーリングが『Me262』の最新概略図を出し渋っただけで、国家を半死半生の有様にされてしまった経緯によるもの。報復の苛烈さに、アメリカ合衆国は『気持ちはわかるが、足腰が立たないほどに追い詰める必要はあったのか?』と苦言を呈したほどであった。仲裁したアメリカ軍のある高官は、空軍の高官になった黒江に『日本人を怒らせたら、何をしでかすか。それを向こうのドイツ人はわからなかったのか?』とぼやいたという――

 

 

 

 

 

 

 

――カールスラントの没落劇は連合軍の地力を削ぐ事になった。軍事国家=迅速に軍が動けるという利点はあったが、軍の暴走を理由に、国の仕組みを強引に変えようとした結果、国家自体が霧散しかけた。日本もこの有様に青くなり、自国の左派勢力と市民団体等の扶桑への妨害を止め始める。現地が混乱しては何もならないからだ。扶桑軍隊の解体を叫んでいた(現地の防衛は否定してないから、自衛隊の一部にせよと叫んでいた)左派も現地の情勢が扶桑に全てがかかることにも関わらず、利敵行為を働いていた。日本に法律がないのを理由に、だ。結局、連合軍の規定で憲兵に逮捕される者も続出した。日本側の時代がもう数十年早ければ、ゲバ棒で抵抗することもあっただろうが、既にそういった思想の持ち主は老人になっており、大半がそのまま逮捕され、強制送還されている。ただし、那覇の怪異の封印を解いてしまった者は(那覇を戦火に晒した責任を取らされた)処刑となっている。結果として、那覇を無武装地帯とする彼らの目論見は怪異の存在で御破算となり、運動の説得力を無に帰す結果に終わった。MATの伸長は彼らの巻き返しの唯一無二の成果であった――

 

 

 

 

 

――そんな情勢下の軍部は人材不足が極まり、義勇兵と超兵器で戦線を維持していると揶揄された。また、歴代プリキュアが各国の軍人を素体に転生してきていたことがのぞみ、シャーリーを始めとして、数人ほど確認されると、その他の来訪者にカテゴライズされたプリキュアも自動的に連合軍で抱える事になった。そのほうが色々と楽であったりするからで、戸籍も新規に作成されていった。のぞみのみは(肉体自体の変化であるので)戸籍を騒動後に作り直す羽目となった。現状、二人しか確認されていない『プリキュアを超えたプリキュア』(一定の壁を超え、根本から進化した形態。通常時で既に、以前の超プリキュア形態と同等以上の力を持つ)であるので、戦闘での要である。仕方がないが、扶桑にはもう、1945年より前の時代と違い、『強力な魔女が産まれる可能性』は『過去の魔女の血縁者以外には生まれない可能性が大きい』ことが判明したので、その風潮は加速した。これは日本が軍隊を捨てた時期に相当する時期に入ったためで、自衛隊の組織が確立されるのに相当する時期に入らないと、人員の質は一定程度も戻らないだろうとされた。これは軍隊の撃墜王が1945年で出なくなるからで、これが最終的なとどめとなり、扶桑とカールスラントの魔女界隈は衰退期に突入する。過去の名うて達を前線に戻すことが超技術で可能になると、黒江達のような『特異体質者に頼ることがないように』という願いを上層部は持ったが、ミーナが人事書類の不確認という凡ミスを犯した上、黒江らを人種差別を疑われる処遇に処し、整備班の冷遇の告発をされた事は更迭に値するものであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

――更迭が穏便な『療養による人事異動』と装われたのは、エディタ・ノイマンがデロス島の遺産を『今生きてる者のほうが大事だ』と発言し、デロス島を艦砲射撃する作戦を立案しただけで降格と更迭をされ、おまけに日本の外交官(格闘技経験者)にひどく殴打されたことが原因で鬱病に罹患したことが魔女界隈を震撼させた(1947年前後に退役)からである。実際、ミーナは人格の変貌の直前には、エーリカに見限られるほどヒステリックになっていたので、同性愛気味なのが隠蔽されたのは、名誉のためであった。カールスラント帝室もエディタ、ミーナと、立て続けに有力将校が国家不祥事の当事者となった事に頭を抱えたのは、言うまでもない。結果的に、圭子が怪異だけをストナーサンシャインで消滅させた。これは扶桑に異能者がいることを知らしめたが、扶桑の有力な若手将校団のクーデターの呼び水となり、扶桑の下士官と将校の不足を招いた。結局、扶桑も扶桑海事変後に集団行動前提で育成された第一~第三世代の将校の大半を喪失してしまったことで、魔女のみの部隊の編成が困難に陥る有様であった。通常の戦争への忌避感でダイ・アナザー・デイをサボタージュしたことが明るみに出ると、一気に魔女の求心力は低下してしまった。生きる権利の守護を異能者らに託すしかなかった点で、扶桑は事変直後の七勇士の待遇の仕方を後悔することになった――

 

 

 

 

 

――残された数少ない熟練の魔女は64Fとその支援部隊で集中管理される事になり、異能者(ニュータイプ含む)になれば、それで良し。Rウィッチ化処理は『体質による』と定められた。黒田が侯爵家継承で軍務を休むしかなくなったことは残念がられたが、黒田家の危機であったので、やむなしとされた。その後任がのぞみであったのは、黒田の推薦かつ、デザリアム戦役で共に行動していた故の人事であった。元々、早期に佐官にすることで、騒動の埋め合わせをする合意がされていたためでもあった。64Fのみが特別扱いなのは、空軍司令の源田実の直属であるのと、旧・343空と64F(旧)の統合という体裁を取っているのと、64F自体が事変当時の第1F(旧)の流れを汲む精鋭部隊とされているからである。その当時の新米少尉たちが第二次時代の49年次には最高幹部層を占めている。戦時の扶桑と日本の大衆はアグレッサーを含む教育部隊、曲芸飛行専門部隊を強く軽視する風潮が強いので、念願叶い、結成されたルミナスウィッチーズもそんな事情で公演ができないほどであった。故に、熟練者を前線で使い倒す事は(大和民族の心情として)理に適うものであった――

 

 

 

 

 

 

 

――人員育成を是としていた武子はこの風潮を愚痴っていたが、若き日の名声で神輿にされ、家族も立場相応の手柄を望んでいるという立場であったので、やむなく個人戦果を増やしていた。黒江と圭子は前線で戦わすほうが他部隊の後方業務の将兵の反感を買わない事から、後方業務も自分がせねばならない。それから産休という形で解放されたので、武子は北海道に帰郷し、産休に入った。この時期は64Fメンバーが相次いで産休に入っていっており、独身貴族の黒江たちが隊の運営をどうにかしていた時期であった。のぞみが黒田の業務を引き継いだのは、そんな動きの渦中であった――

 

 

 

 

 

 

――地球連邦軍の要請に応えたくても、こうした事情で断ろうかという議論が起こっていたが、大人のぞみが別個体の業務を代行してくれる事になったので、大人のぞみは『ガトランティス残党』との戦端が開かれて以降は別個体の業務代行者という形で(かつての恋人の望まぬ結果となったが、本人はそれで良かった)戦いの日々に戻った。ココ(オトナ世界)は恋人が(喪失感でせっかくの青春時代の大半をフイにしたことも大きい)自らその選択を取ったことを知らされ。愕然とする事になった。また、ドリームコレットの力をも凌駕する異能者『1000年女王』らの意向で、その軛は断ち切られていること、のぞみの先祖がその継承権を持っていた誰かの縁戚であり、その子孫であるので、その権利が引き継がれ、本人も即位の意向であることが知らされた。当然、恋人が(変身できなくなってからの空虚さで深い心の傷を負っていたため)そんな事になっていたことに声を荒げたが、太陽系全体の存亡がかかること、大人のぞみ自身がそう望んだと諭された。彼は自分のささやかな願いが『地球どころか、太陽系そのものの危機』を招いた事に強いショックを受けてしまい、瞬く間に鬱状態に陥った。宇宙刑事ギャバンはバード星での療養生活を薦め、ことは(オトナ世界)の後押しもあり、ドルギランでバード星の療養施設へ送られていった――

 

 

――オトナ世界――

 

「そっちの私って、どうなってるの?」

 

「姿は同じだが、能力は別物だ。一言でいれば、修羅に近い。おそらく、目の前で二人を倒されたことが、強いトラウマになったのだろうな」

 

「そんな……」

 

「大地母神と切り離され、一介のプリキュアに存在を退化させられた君は当然、大地母神としての力は失った。魔法は残ったが、それだけでは我々の世界では戦い抜けない。故に、別の異能を身につける方向へ向かっていった」

 

「別の異能……」

 

日本。宇宙からの侵略に対抗する術を持たぬこの世界。歴代プリキュアのみが対抗しえるとされ、決起を期待されていた。だが、当然、この世界ではそれはほとんど不可能に近く、地球連邦軍とガトランティスの戦争の傍観者でしかなかった。ココが鬱病にかかったのは、忘れた頃に太陽系全体が危機に陥ったこと、それに対抗する術を歴代プリキュアから奪った張本人であったからだ。

 

「彼は塞ぎ込んでいる。療養施設に入ってもらうしかないな……」

 

「そんな……なんとかできないの?」

 

「のぞみちゃんは戦うことで人生に自信を持った。それを奪った要因が彼と悟っているだろう。この状況では、会っても、お互いの決裂が目に見えているし、彼自身が持たんだろう。時間を置くしかあるまい。こんなことがあった以上、力は持っておくに越した事はないとわかってくれればいいが」

 

ココは罪悪感のあまり、食事にもほとんど手を付けない有様であった。そのため、宇宙刑事ギャバンの手引きで療養生活を行わせる事にしたのだ。

 

「のぞみになにがあったの?」

 

「こちらにいるあの子自身が得た領域の力を手に入れた。そうとしか言えん。プリキュアを超えたプリキュア…。そう言える領域のものだ」

 

「漫画みたいな話だね」

 

「君達自身がそのような存在なんだよ、一般人からすれば」

 

オトナ世界における花海ことはは(既に未来世界の個体が来ていた関係で)宇宙刑事ギャバンが面倒を見ていた。未来世界の個体と違い、精神年齢は元のままなので、口調は現役時代のままだ。

 

「そっちの私はマザー・ラパパとの関係が否定されたのに、キュアフェリーチェのままでいられたのはなんで?」

 

「君たちへの人々の祈りが君を消滅から救った。そうとしか。ただし、キュアフェリーチェにはなれても、現役時代の武器は召喚できなくなっていたので、新たに特訓し、能力を持たなければならなかったと聞いている。他のプリキュアの技を借りる事もあったそうだ」

 

ギャバン(一条寺烈)は銀河連邦警察の高位の役職に昇任した都合、ダイ・アナザー・デイの後は現場から離れざるを得なくなっており、時たまにしか地球の状況を知れなくなくなっていたが、ウインスペクター、ソルブレインの創設者として名を知られた正木警視総監(元)の厚意で情報を得られたのである。未来世界のことはが、ZEROによる因果律改変でも消えなかった理由は正確にはわからない。だが、プリキュアであった故の祈りが救ったのだろうというのが推論である。そして、現役時代と実質的に別のプリキュアと考えたほうが自然であるというのが、ヒーロー達の見解であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「実質的に別の存在になったようなものであるし、今の君自身はゲッター線の使徒のようなものだ。此方側の、だが」

 

「ゲッター線?」

 

「エネルギーという形を取っているが、創造神の意思の具象化のようなものだ。君はその力に選ばれた一人となったのだ」

 

ゲッターエネルギーの謎、進化したプリキュアの謎。その謎も彼女達の『進化』に絡んでいる。そして、鍛錬を極限まで行えば、プリキュアや魔法を上回る力を得られることも伝えられる。ダイ・アナザー・デイでの南斗聖拳や華山系の拳法がそれを証明している。また、人間の遺伝子を持ちながらも、前世が競走馬の類であり、その因子が覚醒した状態で母親の胎内で受精すれば、ヒトの肉体構造と競走馬の能力を併せ持つ種が産まれること、しかも、その因子は決まって、女性型の肉体で発現する事、全盛期の身体能力は半年から一年半(長くて数年)程度しか持たないが、普通の人間より容姿の衰え自体は数段遅い。そういう種族も平行世界にはいること。

 

「そのゲッターエネルギーは何のために…?」

 

「仮説の段階でしかないが、全ての宇宙の外の空間にいる『神々でも対抗しえない存在』を倒すための何かが生まれるのを促しているのでは?と」

 

「そんな存在がいるの……?」

 

「仮説でしかないが、神々はそう呼んでいたそうな。『時天空』と…」

 

「時天空……」

 

太古より存在し、神々すらビッグバンでしかダメージを与える手段がなかったという存在。未来世界の地球はその存在に気づいていた。神々の間でも『対時天空の手段』意見の対立があり、そのうちの『宇宙を滅ぼす機械のバケモノ』派が生み出そうとしているのが、かのゲッターエンペラーではないか?という仮説である。

 

「プリキュアもおそらく、当初は戦闘目的で生み出された異能だったはずだ。近年は方向性が違ってきたとの報告も受けているがね」

 

「なぎさやのぞみの代はそうだったはず。つぼみの代からかな?変化が出てきたの?」

 

プリキュアも最近は方向性が当初と異なってきているので、全てのチームが戦闘向けではない。とはいえ、現役時代のままの能力値ではシュプリームに手も足も出ない有様であったと、のぞみAや大人のぞみの回想で明らかになっている。故に、他の異能も手に入れ、能力を強化するという思考が生まれたのだと。また、基礎的鍛錬を極めることが逆に異能の強化に繋がるという教訓も得たため、黒江たちは精神面の鍛錬として、『変身したままでの生活』を課しているのだ。

 

「のぞみ…私の知ってる……はどうするんだろう?」

 

「当分は変身したままで過ごすと連絡があった。彼女にとっては久方ぶりなんだ。半分は『噛み締めたい』んだろう。教職生活にかなり疲れていたそうだからね…」

 

「リコも言ってたなぁ…。ナシマホウ界でもおんなじなんだ……」

 

「近頃は教師は割にあわない仕事と言われるからねぇ。俺も教官は性に合わんが、教師は親がクレーマーだったり、上役からいびられる事も日常茶飯事だ。あの子は熱血漢だが、それは21世紀の世では、大人に嫌われるものさ。特に生徒の親には。いい内申書を上の学校に書いて、機械的に送ればいいと思っとる輩も多いという。最近はそういう時代だ」

 

ギャバンは自身のコードネームの後継候補となる、ある若者からその手の事は聞いていたのか、妙に詳しかった。大人のぞみの苦悩と喪失感。のぞみは根本的に(危機があれば)危険を冒してでも戦う気質だが、ココ(オトナ世界)はそれを完全には理解していない節がある。

 

「あの子から実質的に青春時代の半分以上を奪ったのは、彼だ。その責任を取らせろというのが他のメンバーの見解だが、彼女は過度の罰は望んではおらん。その折衷案を呑ませた」

 

「だから、シュークリーム抜きの刑を?」

 

「彼は彼女の幸せだけを祈った。だが、あの子はそれでアイデンティティを得られたために、力を喪うのを望んではいなかった。事はプリキュア全体にまで影響が出ているので、その責任は取ってもらうということで議論されている。今回の事件が終わったら、籍をなんとしても入れさせろとも。りんくんが強く主張している。女を泣かせた責任があると…な」

 

「パルミエ王国の王妃に?」

 

「種族が違うが、過去にいなかったわけではないそうだからと、くるみ君が押し通すそうだ。彼女は今回のことが済んだら、議院内閣制を導入させたいと述べている」

 

なんやかんやで、りんはオトナ世界でも、ココとのぞみを元鞘に収めたい。それが伝えられると、ことは(オトナ世界)は苦笑交じりにため息をつく。りんは『ココとのぞみの恋仲』を学生時代から応援していたので、周囲を説得してまで、強引に元鞘に収めたいようである。そういう純情さは変わっていない。そう実感したのだろう。

 

 

 

 

 

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