――地球連邦はゲッターの導きにより、第一段階として、かつてのアケーリアス超文明の旧領の制覇を定めるようになった。当時、度重なる外宇宙勢力の侵略に業を煮やした人類は生存権確保を命題と考え始めた。ジオンという内敵が消えた後の仮想敵は外宇宙の侵略者なのである。同時に、地球とその植民惑星に生存圏を広げた人類は『地球星間連邦』の次なるステージとして『太陽系連邦』に目を向け始める。折しも、観測技術が向上し、ラーメタルとヘビーメルダーが発見されたため、30世紀の世界が地続きであることが確かめられた頃に相当した。アンドロメダに代わる旗艦級戦艦『ブルーノア』が戦闘空母に変更された時期でもあり、地球連邦軍の目は外宇宙に向いていたのである――
――プリキュア5の世界の動乱は最終的に、デルザー軍団の撤退などで終結を見た。街の閉鎖は原状復帰が終わり次第とされ、『国連による査察で映画のデータとフィルムは没収され、公開中止になる』というシナリオで通す事になっている。散発的な戦闘は起こっているが、のぞみBに『ドリームキュアグレース形態に覚醒した後で、更にゲッターエネルギーを照射する』という荒っぽい方法が取られ、能力の定着が図られた。これはのぞみBが望んだことであるが、破壊力に特化したのぞみAとは別の道を行くことになったわけである。B世界は当面の間、64Fの観測対象となり、のぞみBも戦いを捨てる道は望まなくなったため、オトナ世界と違う未来にたどり着くことは容易に推察できる。ココBは別の自分の話を聞き、『のぞみたちだけの安寧を願う』事は止める事にした。大人のぞみに空虚感をもたらしてしまった事に罪の意識を感じたからである――
――「その世界では、僕とのぞみは別れるかもしれない」――
Bは小々田コージの状態でそう自嘲気味に呟いた。Aのように転生後に添い遂げた世界線があるなら、やむを得ない事情で袂を分かつ事になる世界線もあるはずである。オトナ世界での自分の愚かさに気付いた彼は、のぞみの望むままにしてやることで、組織の再襲撃に備えることにしたのだ。これはプリキュアが増える=世界にプリキュアが必要とされているという図式に気づいたからで、その点では、オトナ世界での自分自身より聡明であった。オトナ世界での自分の願いが歪んだ形で叶い、プリキュア経験者から力を奪う結果になった事は不本意な結果だとも述べ、オトナ世界での自分の想いを代弁した。同時に……。
――1000年女王になるということは、普通の生活に未練がなくなっていることだろうね――
大人のぞみは使命感を口にしているが、ココBはそれを『青春期の空虚感の裏返し』と解釈した。とはいえ、1000年女王が必要とされる時勢であるのも事実である。それを招いた『別の自分』が腹立たしいらしい素振りを見せたココB。オトナ世界の自分は『加齢で守りに入っている』とも述べるなど、同一人物であろうとも、別の個体は『よく似た他人』という感覚であることが示された。少なくとも、B世界の『彼』は先のA世界ののぞみの前世やオトナ世界の彼自身とは別の道を行くことになるのは確かであった。
――魔女の世界での戦争が膠着状態に陥りつつあるのは、誰の目にも明らかであった。政治的枷が強く嵌められたため、外圧でしか攻勢の許可が出なくなっていた扶桑。人材の払底のために、士官層の損害をあまり許容できなくなったリベリオン。双方の状況の重ね合わせで、戦局は膠着状態に陥った。開戦直後とは違うため、これを『南洋戦線異常なし』と揶揄する声も出ている。主力艦が戦艦である事に、日本からは不満が生じているが、空母は魔女の母艦から純粋な『航空母艦』への転換で置き物状態となっており、潜水艦の通商破壊は魔女から文句が出ている。その状況では戦艦の火力でゴリ押しするしかないのだ。在来型巡洋艦と駆逐艦の質的劣位が顕著になってしまった以上、戦後型に多少の防弾性を付与した型を造るしかないのである。だが、それらにも弱点はあるので、砲熕型巡洋艦と駆逐艦の設計は続けられていく。戦後型は戦中までの『艦隊戦を考慮していない』からであった。そんな技術発展に落胆した扶桑海軍だが、日本が砲熕型戦闘艦の設計ノウハウを戦後に捨て去ってしまったことで、その点では絶対的優位にあった。特に重装甲の戦艦に関しては(史実の日本帝国と違い、技術検証や研究が絶え間なく続いていたため)、日本側が驚愕するほどの耐久性を元より与えられるほどであった。未来技術で設計時間は遥かに短縮されたが、規格統一もせねばならなかった都合、戦艦の塔型艦橋は大和型のそれを基本に、内部容積などを拡大したタイプが標準となった。また、装甲厚を単純に増やしたとしても、対艦ミサイルで機能不全にされる危険性が指摘されたので、船体装甲には未来世界のガンダリウム合金と超合金Z系列のハイブリッドの多重空間装甲が採用され、最重要部には硬化テクタイト板も加えられた。この時点で、20世紀の兵器では(原爆でも)傷一つつかない堅牢性を誇る。扶桑は核兵器や反応兵器よりも、波動砲のような照射兵器に魅力を感じていたため、脅し目的と技術検証目的でしか持たないときめている。その一方で、波動砲搭載艦を極秘裏に買い込み、切り札として位置づけていた――
――アンドロメダ級戦略指揮戦艦。人手不足に伴い、高度に自動化を押し進めた戦艦であった。だが、カタログスペックこそ、ヤマトを凌いでいたが、実際には半年未満でネームシップが非業の最期を遂げるなど、運に見放されてきた。ガイアの古代進からも謂れなき批判をされる(彼はこれで出世コースから外れてしまう)など、どうにも情けなさがつきまとった。とはいえ、個艦戦闘能力自体は宇宙戦艦ヤマトを超えるスペックを達成しており、軍事上は有用な艦艇であった。コズミック・イラ世界への介入のうち、最初の介入の際には……。
――コズミック・イラ歴世界の第一次大戦末期――
全長自体はコズミック・イラ世界での平均より大きい程度であったアンドロメダ級だが、恒星間航行艦である都合、単艦で地球連合軍の大規模艦隊を殲滅する事も容易であった。当時のコズミック・イラ世界の最速艦であったエターナルを以てしても、追従が不可能な巡航速度を見せつけ、古典的な砲配置ながら、一撃で複数のネルソン級戦艦を『串刺し』にする出力のエネルギー砲を見せつけた。
「ミーティア装備でやっと追従できるとは……これが彼らの技術力なのか……」
ジャスティスのパイロットで、後にオーブに亡命する『アスラン・ザラ』は念のため、アンドロメダ級の護衛についていたが、ミーティア装備で増強された推進力を以ても、アンドロメダ級に追従することは至難の業であった。これは波動エンジンの推進力は(戦艦用の巡航速度の遅めのモデルであっても)熱核ロケットエンジンがカス扱いのものであるからであった。
「あの艦……一隻で艦隊を相手取って、攻撃を弾き返してるようだけど」
「外宇宙航行用に、硬度が桁違いの特殊金属を装甲に用いているそうだ。地球軍やプラントの兵器では、表面に傷をつける事も困難という話だが……信じられん」
「艦載機はないのかな?」
「本来は艦隊旗艦としての運用が前提で、内火艇以外は積んでいないそうだ。大昔の大艦巨砲主義そのままだな」
アンドロメダ級はコスモタイガーを積めるスペースはあるが、実際の運用では内火艇を積まれる場合が多い。これは艦隊旗艦としての運用が前提で、単艦運用があまり想定されていなかったためであった。とはいえ、コズミック・イラ世界の兵器相手には、天下無双に近い戦闘力の差があった。地球連合軍のビーム砲は(エネルギー兵器でありながら)『ガィィン』とも形容しそうな勢いで装甲に弾かれ、逆にアンドロメダ級の主砲は一撃でネルソン級戦艦を数隻まとめて串刺しにする形で撃沈していく。
「いくら、外宇宙用と内惑星圏用という差があるとはいえ、ここまで違うものなのか?大人と子供の喧嘩に見えるぞ」
仕方がないが、ヤマトよりも二周りも大口径のショックカノンを持つアンドロメダ級相手では、アヘン戦争当時の清朝のジャンク船が第二次世界大戦の大和型に挑むようなものである。アンドロメダ級は対艦戦重視の設計で、自衛用の対空兵装をさほど持たない。とはいえ、コスミック・イラ歴のMSやモビルアーマー相手では充分すぎた。ゴースト無人戦闘機を余裕で撃墜できる能力を持つからだ。また、M粒子はMS戦には必須だが、コズミック・イラ世界では、ニュートロンジャマーが似た役目を果たしていたので、レーダーと通信の過度の撹乱は必要ではないという判断で、あまり散布していない。とはいえ、地球連合がいくら撃っても、装甲に傷すらつかないアンドロメダ級。古風なSFの戦艦にしか見えないが、その戦闘能力と航行能力は本物であった。
「対艦戦しか考えてなさそうな、古風なデザインにしか見えんが……びっくり場のように、武装を隠蔽式にしている…。それも一撃で小型艦を粉砕できるものを…」
アスラン・ザラはアンドロメダ級をこう評し、後年に『地球連合軍の旧来型の設計に似通っているが、海上着水が可能な構造になっている上、自力で大気圏離脱が可能な推力の機関…。宇宙から偶発的にもたらされた技術を再構築したというが、地球産の技術に比しての格差が大きいはずだ。それを切羽詰まっていたとはいえ…』と感想を述べたという。この時のアンドロメダ級は軽い調整程度の認識で交戦していた。ズォーダー大帝をして『純粋な戦闘能力はヤマトを超えておる』と言わしめた能力ポテンシャルの証明であった。このアンドロメダ級はガトランティス戦役後に同級の残骸をパッチワークして完成した個体の一つで、ルナツー方面軍の戦隊旗艦として使用されていた『メティス』であった。ガイアでのA級が『イニシャルがAで始まる名前』を無節操につけているのに対し、アースのアンドロメダ級は『女神の名前』が慣習となっている点で違いがあり、ガイアは(量産性を重視して)主砲口径をヤマトより小型化した設計であるが、アースはその逆に(少数生産の最高級モデルとして)大口径化している。これはネームシップが『ポスト・ヤマト世代』の象徴を目指していた関係でもある。その差もあり、同艦は『軽いウォーミングアップ』の感覚で地球連合軍の艦隊を蹂躙した。無論、MSもいたのだが、精密なアウトレンジ砲撃で接敵すら叶わずに粉砕されていた。ある意味、マゼラン級が就役当初に想定していたものを『M粒子下での戦闘を想定した設計の大戦艦である『アンドロメダ級』がなし得た事になる。
「ん、発光信号……これまた……。キラ、あの艦が特殊兵装を使用するそうだ。距離を取れと」
「特殊兵装?」
「おそらく、艦首の二つの開口部がそうなのだろう。これ見よがしに、大口を開けているいる以上、虚仮威しではないだろう」
キラ・ヤマトとアスラン・ザラはこの時に初めて『拡散波動砲』を見ることになった。二人がインテークと判断していたものは波動砲の砲口なのだ。
『エネルギー充填、120%!』
『拡散圏内に敵の後続艦隊、入りました!!』
『拡散波動砲、発射!!』
と、お馴染みのシークエンスで発射された拡散波動砲。コズミック・イラで言えば、『陽電子砲』に相当する武装だが、波動砲はその比ではない。タキオン粒子砲ともいうべき代物であり、拡散波動砲は対艦隊用に開発されたモデルである。アンドロメダ世代の波動エンジンの出力を前提に開発されたもので、艦隊殲滅用のものだ。ガトランティス戦役時の用兵側の非は『想定外の大型要塞の破壞に使おうとした』ことであり、本来の目的であれば、充分な破壊力を持つのだ。
「エネルギーが途中で分かれた!?」
拡散波動砲は途中までは一束のエネルギーであるが、ある任意の地点で拡散を起こし、散弾のように相手を貫く。キラが驚いたのは、狙ったように、地球連合艦隊の増援艦隊を丸ごと包むこむように拡散し、一発一発が戦艦を貫くシャワーと化したことである。
「すごい……一瞬で艦隊が消えた……」
「対艦隊用の特殊兵装とは……こういうことか……。タキオン粒子が実在し、それをエネルギー兵器とするとは……」
タキオン粒子の実在、それを利用した超兵器。二人は後に、この拡散波動砲は序の口にすぎず、さらなるものがあることを知ることとなった。
――この戦闘でルナツーの戦力を脅威と見た、第一次大戦後期のプラント評議会議長『パトリック・ザラ』(アスランの実父。後の時代では『最重要戦犯』との烙印を押される)はルナツーの接収を目論み、この後に一戦を交えることになる。結果は様々な理由で地球連邦軍の圧勝となるわけだが、両勢力の軽はずみな威力偵察は地球連邦軍の大戦への直接介入を招き、連合とプラントは大打撃を被るのである。オーブが関わった『三隻同盟』は表向きの戦争終結の立役者として祭り上げられるが、ラクス・クラインの隠棲は両勢力に復讐戦の機会を目論む機会を与えてしまう。そして、その数年後にその懸念が現実となったわけである。二度目の介入の後、ラクス・クラインは二度目の大戦を招いた責任を問われ、その贖罪のため、公職に就くことになる。地球連邦内部でも、サナリィがザンスカール帝国との関わり合いを咎められ、その地位を没落させ、アナハイム・エレクトロニクス社が野比家に寄生先を乗り換える形で中興を始める。ジェイブスはそのサナリィの政治的地位の没落とアナハイム・エレクトロニクスの中興の起こりの時期にロールアウトした機体の一号となった。そこは半官半民であった故の驕りがあったサナリィと、一応は民間企業であるアナハイム・エレクトロニクスとの差である。つまり、ビスト財団との癒着が終焉した直後に野比財団に寄生先を乗り換えたのである。この流れはビスト財団から野比財団に『禅譲』されたと考えていい出来事であった――
――地球連邦軍はMS偏重の軍備を捨て、コスモタイガーや可変戦闘機との混成部隊を組むようになった。その都合上、巡航速度や航続距離などを合わせるため、可変MSが好まれるようになり、リゼルやZプラスの増産が進められた。ルナツーの一時的な転移はそれを促進した。アンクシャはネオ・ジオンにアッシマーの相当数が流失していたこと、円盤獣が敵である故のマイナスイメージで、一部部隊の要望による代替機としての生産に留まる見込みであった(他の理由として、いくらリフティングボディとっても、机上の理論での話であり、実際には強大な推力で強引に飛翔させていた故か、事故がVF-19以上に頻発したのも大きい)。デザリアム戦役が終わった後、VF-171が現役を退き、VF-19(地球の資源だけで量産可能なVFでは、依然として最高性能)再主力化されるなど、防衛体制の強化が進んだ。コズミック・イラ歴世界は地球連邦軍の介入により、地球連合が解体へ向かい、地球連邦へと再編されていく過程にあった。プラントは第二次大戦でさらなる損害を被ったが、独立国家としての体裁が完全に承認されるという悲願を達成した。それと引き換えに、コーディネイターの種としての限界が国家の上層部に完全に認識された。それは大衆には伝えられなかったが、人々は(第三世代の出生率低下から)既にそれを悟っており、数十年後まで国家があれば万々歳であると口々に語り合うようになっていた。その状況を受け入れず、ザラ派の過激思想を継承しつつも、表向きは中立派の立場を取ってきた者たちは第三の戦乱を目論む。地球連邦軍の軍備を楽観視しつつ……。それを更に察知していた者達は、地球連邦軍におけるロンド・ベルを手本にした独立組織を志向し、第二次大戦の直後から組織作りを始める。将来に蜂起するであろう、ある国へ対応するため……。
――オーブ首長国連邦は間接的な日本国の後裔である。これは近代国家運営のノウハウがある日本人たちが再構築戦争の戦禍から落ち延びていった際に、旧植民地であった地などに移民していって、現地の国家を近代化した経緯があるからである。地球連邦の現地における旗振り役となっていた。これは魔女狩りと化したロゴス狩りの影響で主要国の経済が死に体になり、更に紛争が頻発するようになり、地球連合は統制を失っていたからである。オーブは比較的に影響がなかったが、周りからは疎んじられていたが、軍事力の根本の小ささは如何ともしがたいものがあった。故に、地球連邦軍に取り入ったのである。キラ・ヤマトらにあまり頼りわけにもいかないからだ。現主力のムラサメも、戦時下のモデル寿命から、マイナーチェンジを余儀なくされた。だが、異世界の技術が完全な形で流出すれば、瞬く間に『標的』に成り下がる。故に、その対策で地球連邦軍のMSを購入しているのである――
――オーブ軍のMSは未来世界のMSに比しての非力さが否めないのは事実である。コズミック・イラ世界で動力の主流である『超電導バッテリー』はバッテリーの技術的限界と宿命で経年劣化による交換は避けられない。だが、M式核融合炉はメンテナンスフリーに近く、炉心の老朽化によるパワーダウン以外に取り替える必要はあまりない。ジオン残党の長年の抵抗を可能にしている理由である。ヘリウム3ガスはその気になれば、月からも採集はできる。それはオーブ軍には魅力であった。コズミック・イラの根幹と言える『ニュートロンジャマー』関連の技術は20世紀以来の核分裂技術の理論を根幹にしているため、それより次世代の理論である核融合炉には何ら影響はない。未来世界では、それすらも『宇宙船の動力源』としては力不足になり、波動エンジンなどへ置き換えが始まったところである。更にその他の超エネルギーの前には、原子炉は非力な存在なのである――
――地球連邦軍はガミラス戦役後、宇宙戦艦の動力を波動エンジンなどの恒星間航行の機関に急速に切り替えを進めたが、波動エンジンのエネルギー伝導管はレアメタル『コスモナイト』を必要とするので、とても民生用には利用できない。とはいえ、民生用の高出力エンジンも開発が進んだので、波動エンジンが軍用に限定されているのに対し、フォールド周りの理論で構成されるフォールド機関は民生用にも普及しており、波動エンジンが(エネルギー伝導管に必須なコスモナイト鉱脈のある)いくつかの主要星系の部隊にしかないのに対し、フォールド機関のほうが普及している。他にも物理法則を書き換えながら航行するものも開発されたが、倫理上の問題が露呈し、ヱルトリウム級以外には採用されていない。そのため、バード星の技術供与によるワープ技術の進歩などでの往来の増加が期待されている。とはいえ、銀河系は宇宙怪獣の巣が消えた後はガルマン・ガミラスとボラー連邦の二大国の覇権争いの場と化してしまい、バード星を主幹とする銀河連邦の影響力はかなり減退した有様。そのため、ガルマン・ガミラスは急速に拡大する戦線の将兵の統率が追いつかず、後々に大失態を演じてしまう。その償いと、古代進とデスラーの個人的友情が地球連邦に頼もしい同盟国をもたらし、以後は共存共栄の道を歩むことになる。また、デザリアムに代わる敵国に『ボラー連邦』が認定され、東西冷戦下時代のソ連のような立ち位置にされる。つまり、ガルマン・ガミラスをかつての米、ボラーはソ連邦、地球連邦が日本の立ち位置という具合の情勢となっていくのである――
――宇宙戦艦ヤマトの辿る顛末はプリキュアやウマ娘たちも『古典的SFアニメ』として存じている。それがガンダム、マクロスなどと混合して存在する世界には、流石に驚愕せずにはいられなかった。ひいては過去にゴジラによく似た怪獣が現れたらしいという情報もあり、摩訶不思議な世界である。更に、一時期はドラえもんを本当に造れるほどの科学力を誇っていたが、何かしらの原因でそれが廃れたという。プリキュア達はその原因を調べるのも仕事にしている。また、ザビ家は(未来世界においては)ロシアで興り、ドイツに渡った後、統合戦争直前の段階では、ロシアとドイツにルーツを持つ資産家として名を知られていたとの情報も残っていた事から、統合戦争で反統合同盟の資金集めに奔走した後、デキンの代に実質の貴族と化したことは事実であろう。ガルマさえ生存していれば、早期和平の芽もあったが、キシリアとギレンの派閥抗争とシャアの復讐劇、アムロ・レイの猛威でその可能性は潰えた。そして、尖鋭化化した残党軍はティターンズ残党に与する形で魔女の世界に介入。もはや、同世界の戦争は戦いは地球連邦軍(エゥーゴ/カラバ穏健派の後身ら)とティターンズ・ジオンの両残党軍の代理戦争の様相を呈していた。当然、連邦とジオン系双方のMSが入り交じる戦場となってしまっているため、連邦軍は第一次ネオ・ジオン戦争以降に開発されたZ系MSやジム系MSを見分けのために使用している。ジオン残党もデザリアム戦役でネオ・ジオンが解体された後は統制が完全に失われていたため、魔女の世界でティターンズ残党に与する者も多数生じ、その行為がコロニー単位で行われる場合もあるため、プリベンターの摘発は上手くいかず、結局、共和国解放戦線なる組織まで生まれてしまい、ミネバ・ザビ(その名を使う同位体と言える『メイファ・ギルフォード』。オードリー・バーンとなった個体とは別のミネバ・ザビであり、平行世界の存在)はシャア・アズナブルに『クワトロ・バジーナに戻って、残党狩りをしてくれ』というトンデモ要請を出す羽目に陥ってしまった――
――未来世界のサイド1――
「ノビタダさん、私にクワトロ・バジーナを今一度、名乗れと?」
「3つ目の名を名乗ってもいいと言いましたが、あなたはどうあがいても、存在自体が有名すぎる。そして、万が一、旧ジオンの生き残りのトップエースらがミネバ・ザビに反乱を起こしても、余裕で鎮圧可能な腕を持つパイロットだということ。伊達や酔狂で、アムロ少佐のライバルを張ってたわけではありませんでしょう?顔バレはとっくの昔にしているし。これはメイファ・ギルフォード氏の要請なのですよ、クワトロ大尉」
ノビタダ(23世紀の野比財団の若き総帥。のび太の転生体でもある)は野比財団の総帥の座を父から受け継ぎ、シャア・アズナブルをアムロの協力で呼び出した。公には『デザリアム戦役で戦犯収容所に入れられた』とされるシャア・アズナブルだが、実際には『クワトロ・バジーナ』の名義で連邦軍に復帰させられていたのである。
「彼女の願いとあれば、断るわけにもいかんな…。地球にいる妹に『すまなかった』と伝えてもらえますかな?」
「ええ。あなたの居場所を探すのに、彼女の財団に動いてもらいましたよ。ジュドー・アーシタ氏の妹さんの法的後見人になっているようですよ、彼女は」
「そうか…アルテイシアらしい…」
「乗機はデルタガンダム系を確保するよう、アナハイム・エレクトロニクスには伝えてあります。アムロ少佐はしばらく動けないようなので、あなたに代わりに派遣を引き受けてほしいと…」
「今さら、百式は勘弁してほしいところだが、後続のデルタ系ならば……。サイコフレームとバイオセンサーは積んでもらいたいですな」
「先方に伝えておきましょう。それと予備機はどうしても百式系にしてほしいと…」
「マークⅢはないのですか?」
「ゴップ議長によれば、残存個体は扶桑に納入してしまったとのことでしてな。改良タイプにフルアーマー装備を施します」
「私は連邦のフルアーマー思想は経験上、好かんのだが、サザビーに乗っていたのを考えれば、贅沢は言えんな…」
自嘲気味のシャア。世界線によるが、ガンダムの同型機、あるいはそのものに乗る事もあるのを考えれば、ガンダムに縁がないわけではない。一年戦争の最末期、それとクワトロ・バジーナとして潜入した時の初期、シミュレーターでフルアーマーガンダムに苦戦させられたらしいことを示唆した。
「シミュレーターでフルアーマー機に?」
「私は高機動の機体を得意とするので、ああいう砲台のような相手は苦手なのですよ。ジオンのエンジニアが見たら、憤慨ものですよ?」
と、MSの存在意義を機動力はあると説くシャア。とはいえ、自分も連邦軍系に近い設計思想のサザビーに乗っていたわけだが。
「重MS寄りの特性のサザビーに乗っていたあなたが言うことですか?」
「アムロがまさか…あのような手段に出るとは思わんだ…それはご容赦いただきたいものです」
第二次ネオ・ジオン戦争でサザビーを格闘戦で撃墜された身であるので、シャアはMS設計の持論に説得力がなくなったことがショックなようである。ある意味、ジオン系の過度の重武装的思想がRX-78系のシンプルな設計思想に敗れ去ったのと同義であった。とはいえ、ジオンのパイロット達は一年戦争時に『ガンダリウム合金の頑強さ』に泣かされてきたため、必然的にエンジニアもそのトラウマで、重武装にしがちであった。それに異を唱えるべく、ギラ・ドーガ系統は生まれたのだが…。
「まさか、拳の乱打をされるとは。モビルファイターでもあるまいし」
「根に持っておいでで?」
「恥ずかしながら…」
とはいえ、シャアほどのパイロットでも、武装無しでの格闘戦はテクニックを要するものであること、アムロは元々、我流でMS操縦を覚えた故に、正規軍の操縦マニュアルでは推奨されていない格闘戦に躊躇しない。それに対応できる強度を持つのが、連邦軍系の設計思想の長所と言える。
「二週間で、フルアーマー百式改をご用意致します。デルタガンダム系はアナハイム・エレクトロニクス社の在庫に依存するそうですが、サイコフレームとバイオセンサーなどで改修を施すと。これがデルタガンダム系のプレゼン資料です」
ノビタダの手渡した資料のデルタガンダム系の機体は『ガンダムデルタカイ』に見えるが、実際には別の機体であるようだった。ティターンズ系派閥の遺産であるナイトロは破棄される道を辿っているらしく、バイオコンピュータやバイオセンサー、サイコフレームという後発の安全な技術に置き換えられてきているのが記されているようである。ある意味、ティターンズは技術面でも否定され、消えていく存在でしかないことの証明であった。