ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第百八十三話「魔女の時代の終焉の経緯と、シンボリルドルフへの報告」

――ダイ・アナザー・デイの中心は誰がなんと言おうと、64Fであった。連合艦隊はその支援で活躍したと言える。連合艦隊は戦艦がやたら多い事に批判が飛んだのだが、雲竜型空母は史実の45年時点では陳腐化しており、それをやたら増やした事で批判されており、結局は10万トン空母の少数建造が代替にされ、次いで、(他国の要望で)6万5000トン級の量産が雲竜の後釜とされた。ジェット空母は大型・少数精鋭化しており、強襲揚陸艦の航空運用などで旧式空母に代えるものとされた。6万5000トン級の建造費は陸軍の縮小と空軍の旧式機の売却で捻り出すとしたため、予算確保が遅れ、建造開始は1951年度に延期とされた。その弊害で、主力戦艦群が酷使でドック入り続出の失態を犯したため、扶桑軍は1949年度の攻勢を完全に断念し、戦線の安定に全力を傾けた。水戸型戦艦はその間の抑止力代わりに配備が急がれた。播磨の小改良扱いだが、より攻防力は上である。戦艦らしい艦影を維持しているのは『戦艦にステルス性は必要なし。戦艦に必要なのは、殴り合いに必要なものだけだ』という実状による。日本側は『体当たり攻撃を考慮せよ』と無茶を言ったが、扶桑はそれを実現した。結局、戦艦を『時代遅れの花道』と見なした日本側により、扶桑戦艦は無茶な運用が続けられたが、結果的に、艦隊決戦用の戦艦としての最高峰に大和型戦艦の基礎設計が位置することが証明されていく。そのことで、技術立国を気取っていたカールスラントの造艦技術が1940年代の始めには時代遅れであったのが証明されてしまうことになり、以後の時代、扶桑の思慕が一気に近代国家としての繁栄が約束された時期のリベリオンへと傾いていくことになる――

 

 

 

 

――ブリタニアは扶桑との同盟の主従関係が入れ替わり、国家もついに衰退期に入った。軍部も縮小されていく時代に入り、魔女たちも例に漏れず、リストラが相次いだ。それを引き取ったのが、クーデターで熟練の魔女が不足した扶桑であり、1949年には、ブリタニアの時代は終焉し、日本連邦こそが覇者である時代と認識されるようになっていた。だが、海洋国家であった故に、陸軍の機械化が遅れていた身の上の日本連邦は機械化部隊の研究が進んでいたカールスラントとブリタニアの技術者と実物を死に物狂いでかき集め、南洋防衛のための研究を青天井の予算で行わせた。それが結果的に、日本連邦が単独で世界の守護者にならざるをえない時代の到来を示し、日本連邦自身もそれを自覚する。ロンメルやグデーリアンなどの一部のカールスラント高官は『カールスラントに居場所はなくなった』と判断。1949年度でカールスラント軍を去り、日本連邦陸軍の軍事顧問に就任。東京へ移住していったが、それはカールスラント内部の帝政派と共和派の内戦に嫌気が差したからでもある。国家と民族の再建はエーリカ、バルクホルンらの世代に託され、二人は日本連邦で戦いつつも、カールスラントでの地位はどんどん上がっていく事になる。内戦で人材が枯渇したからでもあるが、二人がまごうことなき英雄であったのは事実だ。カールスラントの旧皇室は1950年を目処に、二人へ爵位を与えることを決め、臨時政府を運営するNATOに通達。NATOも『英雄は必要である』との判断により、それを追認。二人はカールスラントの貴族になり、以後のカールスラント社会で絶対的な地位を得るのであった――

 

 

 

 

 

 

――日本連邦はリベリオンとの戦争を終わらせるロードマップを公式には描けていない。核兵器を使用された場合の報復措置などで日本と扶桑とに相容れないものがあるからである。扶桑は核兵器への報復を同等以上のもので行う腹積もりだが、日本は『核を使われないようにしろ』と喚くからである。とはいえ、扶桑の国民は激昂心が強く、戦後の日本人が失った激しさを持つ。もし、原爆が使われれば『同じようなことをしてやる』と考えるのは目に見えている。扶桑も重臣らも『報復やむなし』と考えている。昭和天皇も国民感情を鑑み、『核攻撃への報復はやむを得ない』と承認済みである。日本(左派勢力)は主戦派排除の大義名分を原爆で得ようとしており、皮肉にも、史実の爆心地である広島や長崎を生贄に捧げるつもり満々であった。Y委員会は日本の政権にその扶桑革命論者の目論見をリークしており、日本の公安警察も『連邦転覆罪』を理由に、彼らを摘発する腹積もりを固め、2022年からの数年で一気に摘発した。また、革命論者が流布した『1940年代の日本製装甲板は他国産の半分以下の性能』という情報は『五式中戦車改の実車をティーガー戦車で射撃する』という方法で払拭が図られた。また、彼らの認識と違い、扶桑陸軍は史実より強大な機甲戦力を運用可能な状況にあり、日本軍が史実で『本土決戦用に開発していた秘密兵器』が普通に量産されている。1949年度の本土で行われた観閲式はそのお披露目を兼ねていた。武器も黎明期の自衛隊より豊富であり、『日本軍が戦後まであったら?』を実現したようなものであった。とはいえ、海外派遣が多い都合上、歩兵装備は統一されておらず、部隊によってバラバラであった。更に、史実の空襲被害を大義名分に、扶桑の空軍論者を神輿にした日本側の行いは海軍航空の若手士官の反発を起こしたが、日本の空襲被害の凄まじさに言葉を失い、海軍航空関係者の殆どが防空議論から締め出されることもままあった。現場でも防空意識の薄さが銃後から糾弾されることも常態化。64Fに負担を課す意識が蔓延した。仕方がなく、自衛隊関係者による防空意識の再教育がなされている他、時代遅れと見なされた従卒の廃止がなされた(とはいえ、明治期以来、代々、その英才教育をなされていた者たちへの救済措置も必要だが)。従卒は魔女の世話役の役目も負っていたが、既にそういう時代ではない故の廃止であった。それも、軍への志願数低下に絡んでいた。また、軍勤務に必要な学識が以前よりも大きく上がってしまった事も理由であった。しかし、魔女は完全に身分を問わず、ランダムに出現する。それが官僚や教員に魔女が嫌われた理由である――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――社会的に爪弾きにしきれないため、腫れ物扱いとなった魔女たち。ランダムに覚醒する割に、働ける期間に個人差がある事から、結局、軍人やハンターなどしか職がない上、引退後にモデルや女優などの芸能関係に転職することも周囲の視線で憚れる(ビューリングはそれが理由で、雑誌のファッションモデルを辞め、軍に戻らざるをえなくなっている)ようになった風潮もあり、MATの勃興はある程度の歓迎がされた。転職にマイナスイメージの強い日本連邦が連合国軍の実権を握った故の妥協であった。ルミナスウィッチーズも扶桑の公演は避けるなど、扶桑の戦争一辺倒の風潮は厄介と取られ、国際的評価の下落のもとであった。日本により、矯正が図られたが、却って騒乱を起こす有様となった。だが、それが原因で、扶桑国民の本音が表面化。軍部は64Fにおんぶにだっこの状況を事実上の容認をせざるをえなくなった。日本も戦中の教訓で、扶桑にある同調圧力を吊し上げなどで潰したら、扶桑国民が集団行動を放棄しだすという想定外の事態が発生し、狼狽した。これで皮肉にも、大和民族はどこの世界であろうが、たいていはマニュアル小僧であることが露見することとなり、憲兵や防空法が槍玉に挙げられた。当時の青森県知事に至っては、見せしめで有無を言わさずに免職となるばかりか、暴徒に凄惨なリンチをされ、病院で唸るという事態となった。これらの事件の悪役にされ、職務に支障を来したばかりか、病院送りにされる者が続出した憲兵達の嘆願もあり、憲兵は国民への警察権を一切持たぬ『警務隊』に縮小改編される見通しとなった。繋ぎとして、64F幹部層に警務官としての権限が付与される運びとなった。結局、この措置は軍組織全体の軍紀の弛緩の懸念を招いたが、憲兵の評判の悪さから、国民からは却って歓迎されるという有様であった。これ以降、憲兵=冷や飯食いの認識が生まれ、前線勤務=花形との認識が根付くことになるので、人員のまとまった教育のあり方が議論される事になり、戦時の人員教育は迷走することになる――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――なぜ、ジェンティルドンナが裏ですんなりと実家の後継者に選ばれたのか?それは母親が家族間の争い事を嫌い、つい、夫の『ナニ』を蹴り上げ、悶絶させてしまう珍事が裏で発生したり、ジェンティルがレース界で姉(ドナウブルー)の成し得なかった成功を収めつつあり、学業面も優秀であり、『次代を担う才媛』との評判を欲しいままにしだしたからである。とはいえ、父親としては子ども達を争わせているのは『後継者選びのため』だが、妻の言うことも確かなので、かつての清朝の『太子密建』に倣い、ジェンティルを跡継ぎに添えることを内密にし、表向きは三人の子供らを切磋琢磨させ続けさせることで、発言の整合性を取ろうとした。そこはブライアンの父親より家族思いかつ、聡明であるといえた。

 

 

 

 

 

――ころばし屋DXへの捜査は続いていたが、依然として行方は知れなかった。ドラえもんは自分の持つ普通の『ころばし屋』を使い、家のボディガードをさせる一方、対DXの備えを客人たちにも徹底させた。特にウマ娘たちは全速力で走っているところを転ばせられる=大怪我であるからだ――

 

――野比家――

 

「ころばし屋は依然として、裏に潜んでいるか…」

 

「ターゲットがのび太さん、その子孫だと思うから、定期的な見回りは必要だとして、これだけの設備が必要なの?」

 

「タイシン、備えあれば憂いなしというだろう?以前の出来事のこともある。たとえ、転ばせられるだけだとしても、ヒトならまだいいが、これが乗り物や建築機械なら、大惨事だ。無論、我々も、だ。いざとなれば、プリキュアの体をまた借りて、討伐をせねばならん。荒事に顔出しはできん身の上だからね、我々は」

 

ルドルフはその腹積もりであった。この時期はトレセン学園を離れ、静養中と発表している。裏では、アオハル杯の次なるイベントを構想している。また、時代の中心が2000年代以降に走った競走馬たちを前世に持つ若者らに移りつつあるため、それ以前の競走馬を前世に持つ者達に最後の華を用意したい。それは自分自身を含む。いずれ大学生になれば、必然的に理事になるための準備を始めたり、スピードシンボリから家を継承せねばならぬためか、この時期は『自身の現役時代の最後の未練を晴らす』事に血道を上げていた。度々、キュアハートの体を借りているのは、自身に最も属性が近い故だ。

 

「会長、今日は競馬のTV番組のゲスト出演の収録ですよ」

 

「わかった。勝負服に着替えておこう」

 

ウマ娘のレース関係の正装でもある勝負服。ルドルフのそれは二昔前の欧州の軍服に近い意匠だ。エアグルーヴが療養生活に入っているので、その親友(学年は下)のサイレンススズカが代打で秘書的な立ち位置にいる。競走馬としては一回り以上離れた世代差なので、無論、前世では縁もゆかりも無い。むしろ、スズカはルドルフを(種牡馬として)苦境に追いやったサンデーサイレンスの実子であり、アグネスタキオン登場前の時代、サンデーサイレンス系で最速を誇った俊英である。また、ルドルフは普段の私生活でしている伊達メガネはこの世界での滞在ではしていない。色々なことの兼ね合いである。ルドルフ自身、ウマ娘として当代最強を誇りつつも、直接の後進育成では成功したとはいい難いことを気にしているし、前世の兄弟と子たちの顛末を鑑み、『自分は突然変異で当代最強の力を得たにすぎない』と自嘲じみた思いを抱くようになっている。それがルドルフを『変えた』と言える。

 

「それと、骨川氏から、野比氏へ申し送りしてほしいことがあるそうです」

 

「なんだ?」

 

「コズミック・イラ世界でオーブが回収した『もう一つのデスティニーガンダムとインパルスガンダム』の解析と修理が終わったので、そちらの地下に送る』とのことです」

 

「ああ、転移の際に分裂した個体か。既にオリジナルがある上、そちらを連邦の規格に直したそうだから、いずれ博物館送りになるだろう。オーブとしても、扱いに困るだろうから、こちらに譲渡したのだろうし」

 

コズミック・イラ世界で大破した状態で月に墜落していた両機は『転移の時に、機体とパイロットが分裂して生まれた』もの。アムロの介入で戦線が崩れだしたところに、史実とだいたい同じ流れで撃墜されたが、撃墜時の衝撃で搭乗者は死亡してしまっており、遺体も回収されている。ミネルバからパーツも回収できたので、検証目的で再組み上げを行ったものだ。目撃者も多く、シンとルナマリアは戦死扱いにされていたので、生存判明後はプラントも扱いに困るため、籍だけは残し、他組織へ出向ということで『厄介払い』したのだろう。そして、機体も。

 

 

「かの世界はどうなるんでしょうか」

 

「一つわかってるのは、ある小国が騒乱を起こすことだ。だが、未来世界の介入が既に入っている以上、大きなことにはならん。ゲッターロボGの群れがオーブの上空を遊弋する上、そいつらは合体して、一つの龍になる機能を持つ。それに歯向かう気など起きるか?しかも、武器は余裕で星を消し飛ばす威力だ」

 

量産型ゲッターロボGは殆どが無人機であるが、有人機の指令で『ゲッター真ドラゴン』に合体する機能を持つ。合体した場合、全長は6kmに達し、星をも破壊するビームを撃てる。また、ある世界と違い、特定のパイロットの搭乗を想定して作られたわけではないらしい。それも恐ろしいものだ。

 

「その国は騒乱をそれでも起こすと思いますが」

 

「後には引けんだろうからな。だが、地球連邦軍の軍事力からすれば、ささやかな抵抗だろう。心を読める能力と言っても、表層的な思考を見れるだけで、深層心理まではわからんはずだ。ニュータイプには明確に劣る」

 

ウマ娘たちもニュータイプ能力のことを、この頃には知らされていた。そのため、コズミック・イラ歴世界で今後に現れるであろう国が有する存在も『取るに足りない』と表現される。『史実』によれば、トップレベルのパイロットたちが本気になれば倒せるくらいの脅威度であるとのことなので、ニュータイプ能力を備えていれば、更に容易だろう。

 

「彼らがどうにかするだろうが、月が欠けることはあるだろう。施設を破壊できる威力の武器など、先方はいくらでも持つからな」

 

ルドルフはそう〆る。コズミック・イラ世界の事は地球連邦軍がどうにかするからだろう。それよりも、主を失った機体が取引の材料に使われたのに同情しているからで、前世の記憶が蘇ったためか、そういうことにはナイーブになるらしかった。

 

 

 

 

 

 

――この頃の21世紀日本は扶桑からの富と人手で経済復興の悲願を達成しつつあり、扶桑活用論が政権の共通認識となっていた。扶桑が売却した旧式のレシプロ機が自警目的やスポーツ目的で使われるようになり、その中には、四式戦闘機も含まれていた。四式戦闘機は扶桑では『悲運の機体』と評されている。それはレシプロ機最初で最後の華である『ダイ・アナザー・デイ』に殆ど間に合わず、戦間期に『二式戦の代替配備機』として使用されたのみで、華々しい戦歴と無縁であったからである。それは四式自体が『魔女の嚮導機』としての運用が当初の目的であり、史実同様の運用は二次的であった故で、ダイ・アナザー・デイ開始直前、日本側はこれを激しく叱責したが、長島飛行機とすれば、たまったものではないので、当然ながら猛抗議した。だが、時代の趨勢は20ミリ砲でさえ『弱火力』と言われ始める時期。おまけに、重防御で鳴らすリベリオン軍航空機が相手では、20ミリ砲でさえ『心もとない』と言われてしまう。結局、扶桑は携行弾数の維持と火力の増大を両立させるため、緊急で25ミリ砲を開発した。旧式化していた九六式25ミリ機銃のラインを流用し、緊急で生産することでとりあえずの解決を見た。だが、四式戦闘機は翼部の全面的な再設計が必要になったなどの理由で『戦闘機型』の完成と生産が遅れてしまい、結局はダイ・アナザー・デイにほとんどが間に合わなかった。その後は急速にジェット化が進んだため、配備から数年で退役が始まるという悲運に見舞われた。第三国への供与も考えられたが、日本側の反対で潰え、長島飛行機は大損害を被った。このショックで長島飛行機は次第に航空産業への熱意を薄れさせ、(創業者の死去もあり)新興の自動車事業に事業の軸足を移していく。やがて、名前を『富嶽重工業』と改め、自動車事業を本業にしていく。とはいえ、既に建築中であった飛行機用工場は宮菱重工業や川滝飛行機などへ譲渡され、史実通りの構図の航空産業構造に移行し始める。とはいえ、軍の要望で、既存機の予備パーツ生産や航空機の生産自体は続けられたため、長島飛行機全盛の名残りはしばらく残り続けることになる――

 

 

 

 

 

 

――日本連邦の兵器輸出方針や資源を外交取引に使う姿勢は魔女の世界の各国に嫌われたが、日本連邦を怒らせたら、民族自体が滅びかねないという恐怖があったので、誰も異を唱えなかった。カールスラントが部内の意見でMe262の設計図をケチった(初期段階の設計図を渡した)ら、国際裁判所に訴えられるばかりか、21世紀水準の日本製品が市場からカールスラント製品を駆逐するわ、自由リベリオンのF-86が標準戦闘機になる、有能な将校が作戦立案のミスを理由に、勲章の褫奪と左遷される。エディタ・ノイマンの一件に関しては、現場側が更迭に強く反対したが、政治がシビリアンコントロールを理由に押し通したのである。文化財保護を考えていない作戦立案が拙すぎたのである。エディタ自身は退役後にこう釈明したと、部下であったマルセイユが後年に出版した回想録に記されている――

 

 

 

――怪異は何をおいても殲滅あるのみだと教わってきたし、文化財と言っても、過去の遺物に執着したところで、今の我々が恩恵をこうむるわけでもないというのに…。また作ればいい話じゃないか……艦砲射撃でもなければ、奴らは……――

 

彼女は怪異殲滅を第一に考えていた。だが、それが原因で日本の外交官にしこたま殴られ、病院送りにされた。芳佳レベルでなければ、どうにもならないレベルでボコボコであった。無論、その外交官は懲戒免職になったが、道義的には正しかったので、カールスラントも左遷の人事に異は唱えることはできなかった。また、艦砲射撃用に手配されていた艦艇はリベリオンのタラント空襲で擱座させられて使えなくなり、万事休すであった。山本五十六はその報に『ケイ君を行かせたまえ。彼女は七勇士の一人だ』と言い、圭子をデロス島に行かせた。史実より出来事がかなり前倒しになった上、海軍の支援が不可能になった状況での単騎での空挺降下であった。この提案は反対論が強かったが、圭子は山本五十六の期待に応えた――

 

 

――ストナァァァァァァ・サァァァァンシャァァァァイン!!――

 

圭子がゲッターの使徒の顔を持つことを知っていた山本五十六は圭子に『全力を出して良い』と伝えており、圭子は転生で得た力である『ゲッター線制御能力』をフル活用した。その結果がストナーサンシャインである。この顛末はモントゴメリー大将(当時)の意向で機密指定されたが、それがミーナの失脚の遠因の一つとなってしまうことになり、事後に彼は『日本連邦にパワーバランスが傾いてしまうから……』と釈明したが、結局は混乱を招いたということで、元帥昇進が潰れ、補給部門へ異動という左遷人事を味わう事になった。後年(1970年代以降の時代)、『この時にデロス島の出来事に箝口令など引かなければ』と呆れ混じりに語られることになるが、当事者としては『国家間のパワーバランス』が何より大事であったのだ。程なくして、日本連邦一強の時代が訪れたために『無駄な努力』と、後世の人々に笑われてしまう事になる。モントゴメリーはダイ・アナザー・デイ中にこう釈明している。

 

―「箝口令は引いたが、佐官以上であれば、容易に閲覧可能なグレードの機密にはしてあったんだ。中佐ほどの立場であれば、確認は容易なはずだし、人事の申し送りくらい……」―

 

ミーナは結局、自身の思い込みと上層部への敵愾心が仇となり、上層部の気遣いをフイにしかけ、戦略構想を潰した格好になった。その懲罰も兼ねての更迭であった。不幸は相手がそんじょそこらの『高齢の魔女ではなく、扶桑最大の英雄の異能者であった』こと。人事書類の不確認のみならず、冷遇は悪手であった。しかも、『周囲の反対を意に介さなかった』というのも最悪であった。エーリカに見限られたのは、エーリカや整備班長の言うことを聞かなかったからでもあった。後年、元の人格が最後に遺した手記にはこう残されていたという。『整備班長や、エーリカの言う通りにしていればよかった……』と。整備班の不満はこれで暴発する格好になった(黒江たちやエーリカに憧れていた、ある若い整備兵が周りに押され、告発した)。64Fへの改編で整備兵が入れ替えられたのは、この時の騒動を表沙汰にしないためでもあった。この時に入れ替えられた整備兵はほとんどが何らかの原因で戦死、あるいは行方不明であったが、告発した若者は偶然の積み重ねで生存し、ミーナの冷遇を(正義感からの善意で)表沙汰にしてしまう。それでミーナは数十年もの長きに渡り、周囲からの白眼視にさらされる事になった。1948年頃の話だ。これがカールスラント関連の騒動の顛末であった。ミーナの肉体を『西住まほ』が使うことが常態化したのは、こうした事情も大きかった。それから目を逸らさせる目的も、プリキュアたちの雇用にはあった。

 

 

 

 

 

 

 

――こうした事情は(入れ替わった時に話を合わせるため)ウマ娘たちも一部の者が関連書類をまとめた小冊子で勉強していた。ジェンティルに渡されていたものは(ゴルシのお目付け役としての参加が予定された都合上)、詳しく書かれていた。これはゴルシが裏で野比財団と深く関わっていたためで、ウマ娘たちのまとめ役であるルドルフと同等の情報開示のグレードであった。ゴルシは野比財団から『レース関連の支援を受ける』見返りという形で、のび太が自ら行う64Fの支援事業に匿名で参加。それに前世の記憶を取り戻したウマ娘たちが追加で参加している。一部のウマ娘達はブライアンと入れ替わった、のぞみAのサポートもせねばならぬので、その関係である。チームファーストの奮戦は別の機会に触れるが、歴代の王者とそのライバルの複数が属するチーム相手の奮戦は褒め称えられるべきことである。チームブリュンヒルトの一人勝ち状態では『つまらない』。だが、他ブロックを勝ち上がったチームには新世代の猛者たちがいる――

 

 

 

 

――のぞみAはブライアンとして生活するうちに、全盛期のブライアンに『脳を焼かれた』サクラローレルの視線を感じるようになっていた。ローレルは基本的には人当たりの良い娘だが、ブライアンが絶頂の頃は自身の問題で燻っていたのもあるため、その頃の一匹狼ぶりに惚れたのだが、それはブライアンの本質ではないので、ブライアン自身も手を焼いている――

 

 

 

 

 

――ルドルフへ、ウマ娘世界から送られてきた画像は『ちょっとふくれっ面のローレルがだらしないゆだれ垂らしで寝ているブライアンを見ている』というもの。のぞみA自身、高校時代から成績は上がっていったが、授業態度自体はちょっと間が抜けていたとのことなので、ある意味、ブライアン本人からは離れているのが表に出てしまったわけだ。とはいえ、学業成績自体は極めて良好であり、レースでの実績も言うまでもないので、お目溢しされている。一応、文武両道と言えるわけだが、のぞみとしては、テストの時は『ほとんど一夜づけ』であると告白している。これは競馬とは生前には縁がなく、転生後に初めてできたものであること、本人も興味がなかったが、ウマ娘世界との関わりを持つにあたって、初めて必要になったからであり、協力者らに仕込んでもらったり、ブライアンの体の記憶を閲覧することで『付け焼き刃』的に覚えている。そのため、黒江は『行く前に、勉強のためにダー◯ースタリオンか、ウイニ◯グポストでもやらせておくんだった』と漏らし、ルドルフも苦笑するしかなかった。とはいえ、運動神経抜群の生活を素で送れる体験は、のぞみには代えがたい嬉しさであり、(他人として振る舞う故の制約はあれど)運動の楽しさに目覚めつつあった。また、三女神像の前で起こる不思議現象で、タイシンが持っている領域『MENESISU』(復讐の女神)を継承したと報告し、当のタイシンを驚かせるのだった――

 

 

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