ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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説明回です。


第百九十三話「2つの世界の状況」

――タイシンらの見た記事には続きがある。海軍航空隊のある幹部は『我々は戦力の尖った部隊の存在意義を認めていたのに、人命軽視の権化のように罵られては……』と嘆いていたという。これは、旧64Fの戦果を認める者達は精鋭部隊の別枠での設立に賛成であったが、当時の多数派の反対で潰えていた事を示唆している。その者達は日本連邦化による再編の過程で軍を追われ、賛成派が上に収まった頃には、海軍航空隊は抜け殻同然になっていたというもの。大西瀧治郎の失脚で、彼についていった魔女が大人数であった上、熟練者の多くは空軍に移籍していったからだ。日本の大衆は『どうせ特攻させる』という先入観で、多くの将校を左遷、あるいは強引に解雇させたが、それが却って、組織の機能不全を招いたのである。結局、戦後を予測してのリストラは社会不安を招くということで、自粛され、それで起こった部隊の能力低下への対処が目下の課題であった――

 

 

 

 

 

 

――ルミナスウィッチーズがせっかく設立されても、扶桑の領内で公演ができないのは、曲芸飛行への扶桑人の理解が低いこと、曲芸飛行自体がブルーインパルスで充分に間に合っていたからだ。ブルーインパルスの精度の高い公演は、練度自体は高くないルミナスウィッチーズの活動にプレッシャーとなっていたのも事実であった。ましてや、レシプロより『細かな機動ができない』と言われているはずのジェット機で、見事な曲芸飛行をしてのける彼らの腕前はルミナスの隊員らにはプレッシャーであり、練度を磨く事を優先する上層部の意向もあり、ルミナスウィッチーズの日本連邦内での公演は避けられた。また、扶桑人自体、時代的に曲芸飛行=後方で遊んでいるとの認識を持っている者が多いのも不幸であった(ルミナスウィッチーズの魔女は『戦闘に向かない魔女』の集まりであったのもある)。また、64Fが『復活』したことで『戦闘能力の高い者』が名実ともに必要とされる現状もあり、彼女らの公演が扶桑でなされるのは、戦争のピリピリした空気が扶桑から消える時代を待たねばならなかった――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――超甲巡が戦艦扱いにされた結果、旧来の乙巡は駆逐艦との境界線が曖昧になったとして、阿賀野型を最後に廃止。逆に、旧来の甲巡は維持された。デモイン級へのカウンターパートが必要であったからだ。軽空母も廃止され、代わりに強襲揚陸艦が艦種に加わった。この変革により、扶桑軍の水上戦闘艦艇は充実を見た。問題は後方支援艦艇に至るまでの大型化で、扶桑全土の港湾設備の刷新が必要になることであった。空母に至っては、扶桑の量産品でも、10万トンを超えてしまう見込みであったのも、扶桑の軍備整備が遅れる原因であった。空軍が『先進装備』の名目で、可変MSなどを購入するのは、海軍がこれらの変革に伴う混乱で『張子の虎』状態にあったのを秘匿するためで、海軍の健在を示す材料として、水戸型の竣工が急がれたのである――

 

 

――敷島型戦艦(二代)はあまりに巨大であるので、評議会で増産に疑問が呈された。とはいえ、超甲巡を戦艦扱いにした以上、敵の新型への抑止力は必要。その観点から、敷島型戦艦の調達は隔年で行われることになり、敷島型戦艦の三番艦は『大和』の代艦の扱いで1949年に予算が計上。武蔵と信濃の代艦はその翌年以降に繰り越された。戦時で船体疲労が蓄積されているからで、大和型のいずれかは日本に記念艦として売却される見通しにあった。平時なら、もう15年は使い倒すが、戦時では、なるべく新型艦が求められるためである。無論、扶桑が比較的に国力を温存できていた故の贅沢である。日本も『戦後型艦艇は戦中までの大規模な艦隊戦を想定されていない』という事実があるので、大型水上戦闘艦については、口出しがほとんどできないという難点があった。扶桑は史実より早く対空装備が発達する一方、水雷関連は酸素魚雷すらも、M動乱でようやく有効性が認識された有様であった。水雷装備は結局、M動乱での戦訓で装備し直しとなったが、それで船体の寿命を縮めた艦艇も多かった。大型化は電子装備やミサイル装備も装備するための選択で、扶桑が志向していた『コンパクト化』は兵器技術の進展で、却って否定されることになった――

 

 

 

 

 

 

 

――伊吹型重巡が量産されたのは、デモイン対抗の新式が開発されるまでの繋ぎとしての役目であった。全体的に鈴谷の手直しにすぎないことから、日本からは『最上型のマイナーチェンジ』と嘲笑されていた。とはいえ、デモインが強すぎるのであって、条約型として、伊吹は最強クラスの能力を持つ。以後、条約型巡洋艦は建造されなかったので、伊吹は最後の条約型巡洋艦と、後世に呼ばれたという。実は伊吹は『軽空母化』が決定済みであったが、既に砲塔のターレットリングの設置済みであったことから、無理に空母化するのも……と意見が生じ、結局、数年も工事中断で放置状態であった。軽空母の陳腐化で巡洋艦のままの完成が決められたのは、M動乱と呉の襲撃の大損害による混乱の最中。魔女の軍事的意義の低下も大義名分となった(最も、呉襲撃の際に、伊吹と姉妹艦を空母として改装するためのパーツ一式が複数の輸送艦ごと失われたのも大きいが)。魔女閥はその政治的報復として、飛鷹型航空母艦を使い倒した。だが、元々が客船である飛鷹型は思い切った性能向上策が取れず、結局、エセックス級との交代という形で手放すことになった。飛鷹型航空母艦は戦時下で使い古されていたことから、日本側も『空母のままで記念艦にするしかない』と泣くしかなかった。(状態が良好なら、原型の貨客船に復元する腹づもりであったらしい)魔女閥はこれを責め立てられたのもあり、急激に発言力を喪失。北方戦線の劣勢も拍車をかける形であった。結局、軍事的に形骸化の進んだ海軍航空隊は太平洋戦争の戦況にまったく寄与できぬ状態であったわけで、これが海軍の魔女たちのコンプレックスであった――

 

 

 

 

 

 

 

――日本の市民団体、はたまた官僚に至るまでの軍人への高圧的な態度は扶桑で問題視された。これは扶桑軍人に限らず、自由リベリオンの軍人にも及んだからだ。結局、自由リベリオン人は南洋新島に『隔離』させることになったり、市民団体のせいで、那覇が怪異に火の海にされる(辛うじて、首里城は無事であった)など、日本の『ポカ』は続いた。結局、下手に扶桑人を殺したら『その世界線で自分が生まれなくなる』可能性に気づいたことで、やっと暴行事件の件数が減り始める有様であった。扶桑の社会も混乱に追い込んだために食い扶持も史実の戦後のようには確保できないため、軍の工廠を維持せねばならなくなった。日本は『戦後世界』のように、一般企業に兵器製造を委託するつもりであったようだが、戦時が『身近』であった扶桑人が反対したこと、連合軍の理事国としての責任がある故、国家としての兵器の生産力を一定程度は維持しなくてはならなかったからである(『工廠で働く人間らの食い扶持はどうなるのか』という現実問題があったからでもある)。結局、沖縄でのポカをごまかすために、扶桑本土の再開発を推進させるなど、どうにもアホさが否めない戦後日本。結局、華族制度の完全な廃止も(代替となる名誉が考えられなかった故に)成し得なかったなど、戦後化の試みは尽くが(自分たちの過去である、大日本帝国への見下しも作用して)挫折する有様であった。この失敗は民間主導のものが大半であった。『似て非なる者』という事が理解できなかった者が多かったのである。『内政干渉ではないぞ』といういいわけも、この失態の連続でできなくなった。また、軍を『ゴロツキの失業対策』と揶揄していた左派勢力も、実際は(扶桑基準では)高学歴者の集まりであった。小学校中退すら当たり前の時代だからだ。結局、魔女たちの教育問題や『普通に戦える時間の短さ』も絡んだ挙句、『魔女に覚醒した場合は適齢になり次第、軍に入隊するか、漁師になるか、MATに入るかを選択する』というルートの整備が急がれた。また、皇族・華族の子女のように、選択の余地のない身分の者もいるので、その場合の取り扱いも難儀であった――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――結局、扶桑皇族の権限から軍事を取り払っても、魔女への覚醒は貴賤関係なしなので、妥協的に『皇族が軍務につくことは職業選択の一環である』という一文が日本連邦憲章の補足に記された。女子であろうが、皇族が軍務につくことは(扶桑では)当たり前であったためである。『令和の上皇の世代の次の世代は軍務につかなくなるだろうから』という甘い見通しで、皇族の軍事的権限の廃止を扶桑に強制させた日本の政治的ミスであった。また、扶桑海事変の戦訓から、皇室の指令で動かせる独自兵力の必要性を痛感していた事変経験者の強い反対と、(日本の)皇宮警察の不祥事から、近衛連隊がすんでで維持されるなど、警察関係者にとっての予定外のつまずきもあった。こうして、扶桑での1950年には、日本連邦体制が固まる見込みであった。扶桑がバランスで優位にある状況になったのは、扶桑軍の膨大な兵力と異能者の多さにあった。とはいえ、額面上の兵力とは裏腹に全体的な練度は高くないのは玉に瑕。クーデターの事後処理で有力将校や下士官の少なからずを処刑、あるいは解雇したからである。異能者を扶桑が歓迎するようになったのは、皮肉にも、統合戦闘航空団で不祥事が起こり、各国軍独自の精鋭部隊が政治的に必要にされる情勢が到来したからだが、それまでの迫害から、黒江たちの視線は冷ややかであった――

 

 

 

 

 

 

 

――黒江たちの後継者たちが軍務についている時代で語られる記録によれば、黒江たちは記憶の封印期に規定通りに後方配置などにしたら、そこでいじめに遭うなどの災難があったので、記憶の復活後は前線に置く事が望ましいと判断され、寛容性で上層部の信頼を得ていたミーナのもとに送り込み、源田の構想のテストケースとするつもりであったという。だが、ミーナが上層部へ不信を抱いていたことで、その当初の構想は脆くも破綻。結局、統合戦闘航空団そのものが凍結される原因になり、ミーナ自身も長き療養生活を強いられた……というのが公式記録であった。64Fの戦闘記録は初期ほど映像が残されていないが、これはミーナが錯乱した際、隊の保有する記録用映画フィルムを見境なく焼却したからで、これは武子も着任後、いきなりの有様に困惑したという。そのため、ダイ・アナザー・デイが序盤を終え、日本からフィルムではない映像媒体が輸入される時まで、64Fの戦闘の記録映像は存在していない。これは1949年の時点で上層部も困っていたが、こればかりはどうしようがなく、写真のみが残された。扶桑海事変とミーナの一件の教訓により、扶桑で『前線で手柄を挙げた者は下手に後方に置けないし、下手な士官の下にも配置できない』という慣習が生まれてしまったのである。そのため、『前線で装備の試験を行う』という、未来世界の事例の起源は『1949年以降の扶桑空軍』にあったのだ――

 

 

 

 

 

 

 

 

――未来世界で政治的制裁を受けたサナリィは急速に衰退を始めていた。小型機の内部回路の複雑化で、製造コストが大型機よりも複雑化した事が問題視された上、耐弾性能にサイズ上の限界がある事がわかり、一気に衰退を始めた小型機。F91などの近代化改修でどうにか当座を凌いでいるが、ジャベリンが完全に普及しないうちに、その次が必要となる時勢など、連邦政府と軍需産業は予想できなかったのだ。結局、急いで工廠の再建を進めたものの、デザリアム戦役で破壊されるなどの不幸が続いた。結果、宇宙戦艦ヤマトの神通力に頼る事が続くことになり、ヤマトの初代艦長である沖田十三の蘇生計画も、この時期に急速に進展を見る。かつての司令長官であった土方竜が生存していれば、倫理的問題で実行されはしなかっただろうが、度重なる戦乱で換えの効かない将官の尽くが黄泉路に旅立っていた地球連邦にとって、『質の良い、前線指揮可能な提督』の存在は死活問題であり、組織全体のために、沖田の蘇生は急速に具体化されたわけだ――

 

 

 

 

 

 

――複数の夢原のぞみの内、大人のぞみは(若き日の喪失感からか)力を求める傾向があり、ゲッターロボへの搭乗にも躊躇しなかった。ゲッターは三人の搭乗員が必要なのだが、フルポテンシャルこそ発揮できなくとも、一通りの戦闘は可能なので、一人で動かしていた。『オトナ世界』の他のプリキュアには酷だからだ。

 

『チェェェェンジ・ドラゴンッ!!スイッチオン!』

 

空中戦が多く、汎用性の都合から、ゲッタードラゴン(ネイサーの製造した量産型だが)を使用する。のぞみAの技能を受け継いだ事により、正規量産型の『D2』では操縦に追従できないという事により、ほぼオリジナル通りの能力を持つ量産型ゲッタードラゴンを与えられた。隼人のはからいである。北米では『人命救助と瓦礫の撤去』が主な仕事だが、ジムⅡより多くの瓦礫を持てる(馬力が圧倒的に違うので、当然だが)ので、瓦礫の撤去などに大活躍であった。

 

『あらよっと。こいつは戦闘用なんだけどね、本当は』

 

「でも、この時代の重機じゃできない事ができるんだし、戦闘用だろうとさ、使わないと」

 

北米は未来世界でも軍事拠点が多いため、特に攻撃がひどく、目処がつくまでは復興支援をしなくてはならない。西海岸の沿岸部は避難と死亡で、ほぼ無人状態である。軍隊も初動の遅れで多くの部隊が壊滅したので、おそらく、この世界の北米は以前ほどの影響力は持てなくなるだろう。日本も地球連邦の申し出を打算なしに受け入れたことから、敵との科学力の違いは認識しているようだ。

 

「中国とロシア、どうする気なんだろ」

 

『西側が弱まった隙に…って奴だろうけど、連中も打撃は受けてるはずだし、核兵器が線香花火扱いだから、人同士で自滅する気はないとは思うけど、冷戦からずいぶん経ってるからなぁ』

 

 

オトナ世界の西側諸国は今回の争乱で大打撃を被ったため、冷戦時代どころか、第二次世界大戦以前に秩序の時計の針が戻りかけている。日本は地球連邦の支援なくば、九州を見捨てていたほどの打撃であった。結局、人間ではない相手が敵では、自分たちの論理は通じない事が『嫌というほど』思い知らされたわけで、大人のぞみが1000年女王になろうとするのも無理はない。

 

『土星軌道上の基地が完成するまでは警戒を続けるよ。まぁ、中国とロシアが馬鹿したら、北京とモスクワを制圧するしかないけど。いざとなれば、核弾頭の信管のみを斬るしかないな』

 

「できるの、そんなこと」

 

『以前に、私の上官がしたことあるんだそうな。初代ガンダムの人だから、超人に近いけど』

 

「つい最近、横浜に立ってたあれ?」

 

『そそ。あれは後世のレプリカモデルらしいけどね。実在する世界じゃ』

 

この世界のプリキュアの中では現役であるキュアプレシャスにしてみれば、50m級のマシンが滑らかな動きで作業をしていること自体が夢のようである。21世紀前半時点の技術では、人型の機械を滑らかに稼働させることす

 

『こいつは本当は三人乗りだけど、乗れるのがあたし一人だから、一人で動かしてる。パワーは出せないけど、一通りのことはできる』

 

『なんで、パワーを?』

 

『そういう動力だからね。数合わせでもいいけど、頑丈な人間じゃないと、一回で潰れるからさ』

 

「うへぇ……」

 

ゲッターロボは普通の人間では乗れもしないという難点がある。適性ある人間を一人でも乗せていれば、あらかたの戦闘はこなせる。動きが鈍くなるという難点があったが、これは技術改良で克服されている。また、如何にプリキュアと言えど、乗り物酔いは普通にするので、現時点での『オトナ』世界では、大人のぞみのみでゲッタードラゴンを動かしている。

 

「だけど、ひどいもんだね」

 

『全部の国がそうさ。こんな時に戦争なんて…』

 

 

昔の東側諸国が宇宙からの侵略にあっさり屈し、尖兵に成り下がったことを吐き捨てるように言う大人のぞみ。学生時代や別世界の自分より『精神年齢が上である』故か、キュアドリームの姿を取っていても、実年齢相応の側面が顔を覗かせる。これは他の世界よりシビアな経験を若いうちに積んだせいでもあり、ある意味、ココの犯した罪であった。

 

「ドリーム、これからどうするつもりなの?」

 

「みんなを付き合わせて悪いけど、場合によれば、昔の東側の国々を鎮圧しなけりゃならなくなる」

 

「東側?」

 

「プレシャス、学校で歴史の授業やったっしょ?」

 

「あたしの時代、近代になる前に終わるか、ぶっ飛ばしちゃうんだよ」

 

「ちゃー……私の頃よりひどいなぁ」

 

エトワールもため息だ。仕方がないが、2020年代に現役の中学生であるキュアプレシャスは、実はきちんと明治から現代に至るまでの流れを把握していないらしい。

 

『近頃の現場は余裕ないからなぁ。古代もぶっ飛ばしちゃうし』

 

「そうそう。なんでだっけ?」

 

『あ、そっか、プレシャスも、エトワールも生まれる前の出来事だからねぇ。私が子供の頃の2000年か、2001年くらいに、石器の捏造事件があったんだ。小さい頃に聞いたきりだったから、後で学校や職場の先輩に聞いたんだけど……」

 

のぞみもその頃は七歳前後であったので、後の時代に教えられたと前置きしつつ、そのことを教える。なぎさが現役の時代には既に、日本の古代史は触れなくなっていたと聞いている。その時期に10代前半であったのび太曰く、『事件のせいで、古代の研究の努力の殆どが消し飛んだんだ』とのこと。

 

「そんなことあったんだ」

 

『あたしらには縁遠い世界の話だけど、それでおまんま食ってた連中には死活問題だったわけ。この戦争で、歴史研究は停滞しちゃうだろうけど、1000年女王に関する記述は発見されてるからね』

 

「どうしても……なるの?それに」

 

『先祖がやり残したことだからね。それに……今の時代、誰かが導かないと、人間は破滅するのがオチだしさ』

 

大人のぞみは先祖の血の導きで、1000年女王への即位を決意している。ラーメタル人の血の目覚めで『普通に生きたとしても、みんなと同じ時間は生きられなくなった』故だろう。ある意味では悲壮感すらある。

 

「だったら、あたしたちを頼ってよ!プリキュアになんなきゃ、お互いに違う世代だから、会うことなかったけどさ……」

 

『若い子にそう言われちゃ、大人としては立つ瀬がないね』

 

自嘲混じりのドリーム。そう言いながら、ゲッタードラゴン越しに作業をする。ドラゴンは量産型であっても、90万馬力を誇る。これは初代のパワー重視形態のゲッター3と同数値である。なお、MSはガンダムタイプやそれに匹敵しうる高性能機であっても、十数万馬力がせいぜいなので、スーパーロボットは量産型であっても、MSや可変戦闘機とは隔絶したパワーがあるのがわかる。

 

『米軍が放棄しても、避難できなかった貧民層や移民はたんまり死んでる。この分じゃ、この世界が続いていくには、宇宙開発にでもエネルギーを向けないといかなくなるな。損害補償する金はないだろうからね』

 

「アメリカでこの有様だものね。日本はもっと悲惨だろうし」

 

『欧米列強も核ミサイルが通じないから、白旗挙げた国が出てきてるからね。秩序はこれで崩れる。問題は地球人全体が生き残れるかの瀬戸際だってのを理解できるかどうか……』

 

白色彗星帝国と地球連邦の戦争の第二ラウンドと言うべき動乱は、地球連邦が質で、白色彗星帝国が量で対抗するという様相である。とはいえ、白色彗星帝国の兵器はエネルギー兵器には強いが、実体弾には脆いという弱点(星間文明にはありがち)があり、21世紀レベルの通常兵器でも、対抗できないわけではない。

 

「ドリーム、敵の斥候艦隊がワープしてきたって」

 

『わかった。すぐに迎撃しに行く。マッハウイングッ!』

 

ゲッター系列の利点は『元から、宇宙での運用が考慮されていた』こと。対となるマジンガー系は上位機種でなければ、宇宙適応改造が必須となるが、ゲッターは元々、宇宙開発用ということで開発が始まっていたので、宇宙での行動は想定内である。

 

「すごい……あっという間に見えなくなった」

 

「宇宙に無改造で出れるからね、あれ。しかも、あれで本調子じゃないんだ」

 

「あれで!?」

 

「必要最低限の行動ができる状態。完全な状態なら、もっとすごいことになるよ」

 

ゲッターは基本的に、三人の搭乗でフルポテンシャルを引き出せる。そのため、本調子には程遠いが、適性の高い者が一人でも乗っていれば、一通りの戦闘行動はこなせるのだ。大人のぞみのゲッタードラゴンは衛星軌道で待機していた友軍のMS、VFの混成部隊と合流。敵の斥候艦隊(空母含む)とそのまま交戦に入る。21世紀の時代では、ほとんど手出しも叶わぬ領域での高速戦闘である。スーパーロボットが持て囃されるようになったのは、アクチュエータやマグネットコーティングなどの技術発展の賜物と、MSやVFでは不可能に近いレベルの攻撃力を持つ点である。特に、並の戦艦以上の攻撃力を持つ点は宇宙人との交戦が常態化した時代、高く評価されている。

 

「あんなのが必要な時代、かぁ……」

 

「私達みたいなのが伝説になってる時代、ああいうのが崇められてるんだって」

 

「みんな、力がある人たちに頼るってこと?」

 

「仕方がないよ。理不尽な目に遭う事が地球全体で増えたもの。宇宙に行ったって、宇宙生まれが地球生まれをすごい目で見るって言うからね」

 

「……」

 

スペースノイドとアースノイドの対立は異星人との生存競争の時代の到来で収まりつつあるが、一年戦争での所業から、スペースノイドは地球出身者から未だに疎まれている。ティターンズなどの汚点もあるが、かのバスク・オムにそのような残虐性を植え付けたのは、ジオンの(条約違反の)拷問行為であるという。

 

「異星人が攻めてきたことで、やっとまとまりつつあるっていうけど、結局、争いは続くってことなんだ」

 

地球人は異星人が攻めてきても、一枚岩になれないというのは悲しいサガである。それは21世紀の人間が知れば、少なからず失望する事実である。スペースノイドも『地球連邦による安定』の大事さに気がついたが、その時には後に引けなくなり、自らが争いの火種になったコミュニティも多い。

 

「異星人に地球人と同等のメンタリティはあまり期待できないって論調が強くてね。キュアコスモの母星は稀なケースなんだそうな」

 

地球周辺の異星人らは皆、帝国主義的な風潮を持ち、なおかつ非常に好戦的であるため、地球連邦は波動砲と波動エンジンの改良を続け、地球に仇なした種族は『生かして帰さない』傾向が出てきている。かのウィンダミア王国の破局は、度重なる侵略で異星人への猜疑心が強まった地球連邦の激昂、地球の破滅を公言したことで、機械神たるゲッターエンペラーの顕現を招いたことに尽きる。結局、同王国は『最高の地獄』を味わせられることには変わりはないが、たまたま、ワルキューレが居合わせたことで、その場での滅亡は免れた。だが、国家としては緩やかな終わりを迎えていく。キュアコスモの母星は未来世界には存在しない都合上、彼女は地球人として転生している(ただし、変身すれば、現役時代同様の尻尾が生える)。。

 

「この世界はどうなるの?」

 

「続いていくか、否かは私たち次第だよ。タガが外れたら、昔の映画みたいに、手前勝手に国家が殺し合って……ジ・エンド。人間って、そういうとこあるよ」

 

「……」

 

結局、この世界の人間が存続するか否かは自分たち次第だと、エトワールに言われ、顔を曇らせるプレシャス。仕方がないが、打ち込んでいた分野で挫折を味わった経験から、どこかシニカルな一面があるエトワールと、まだ純真と言える精神性を保つプレシャス。良くも悪くも、これが人生経験の差であった。

 

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