――扶桑軍は人材不足が顕著に現れ、黒江たちとその友人達が軍そのものの屋台骨にされる有様である。これは日本による、軍人のリストラを予期していた黒江たちが事前に優良な軍人を抱え込み、64Fとその支援部隊に集めていたのが幸いした形だが、前線に優良な人材を全て集めるというのは、自衛官を中心に批判も大きかった。日本にしてみれば、『野心家の軍人は死なせるに限る』であり、扶桑の軍人の犠牲を顧みない姿勢である政治家も多かった。だが、組織が回らなくなるのは望んでいないので、異能者でもある黒江達の動きを容認することで、扶桑の戦争指導の一本化を図っていた――
――64Fが異様に巨大な組織になったのは、各国の優良な人材の避難所と化していたこと、日本が教育・装備テスト部隊を懲罰的に廃したことにより、行き場のなくなった者を受け入れたからである。扶桑の大衆は後方支援に無知であり、それらの人員に石を投げる始末であった。結局、前線で装備テストを行う方法が是とされ、64Fの肥大化を招いた。その関係上、実戦データのメーカーとのやりとりに支障を来たす事も多かった。その解消の目的も、軍部のやりとりのデジタル化を促進させた。その都合上、用済みとなった機械式暗号機などは一部が偽装目的で残された以外は廃された(新規開発もストップしたが、通達が発しられた段階で試作途中の型は士気の問題と、兵員の教育の都合もあり、最後まで完成され、1950年代末まで現役であったという)。それが皮肉にも、扶桑軍が均衡を保てる理由であった。地球連邦軍最新のコンピュータが生み出す暗号は、ティターンズ残党のコンピュータでは解読が困難な難度を持っている。それに偽装目的で『エニグマ』の扶桑独自改良型が加えられたため、少なくとも数十年は優位を維持できる見通しであった――
――64Fの整備班は人員の入れ替えが行われ、ミーナが行っていた、締めつけ施策の全てが廃されたこともあり、士気は上がった。ミーナ(元の人格)は人格が入れ替わる直前に事態の隠蔽工作を試みた痕跡があり、司令部は頭を抱えた――
「まいったな。これでは不満を持つ整備員が世間に漏らすぞ」
「諜報部に話して、誅殺する手筈は済ませてある。扶桑人が怒ったら、在留カールスラント人を皆殺しにされかねんからな」
「いいのか?」
「今や、連合軍の財布は日本連邦が握っている。日本人に知られてみろ。来年以降の予算を大幅に減らされるし、強引に人員整理がされるのは目に見えている。戦時に人員整理を無理にしてみろ、戦線が崩壊するぞ」
「日本の大衆には、責任者である中佐の降格処分と謹慎処分で済ませたと、この作戦の後で公表するだけでいい。彼らは軍事に無知だ。感情論で振り回されたからな、今回は」
日本に振り回された、連合軍首脳達はダイ・アナザー・デイ中、このような会話を交わした。501の元整備員らは正当な理由で不満を伝えたが、事態の露呈による、国家間の関係悪化からの扶桑世論の極右化を恐れた首脳陣の意向で、整備員の幹部級と下士官は実績の低い者を『間引く』こと、実績のある者は箝口令を引いた上で、整備教官の任務につける事が決められた。ユニからの報告では、ミーナは上層部不信に陥っており、司令部の巡察がある日だけ、整備員に交流を許すなどの隠蔽工作を試みた形跡が見られるともあり、なまじっか『寛容性』を武器に出世してきただけに、世間に知られれば、『社会的抹殺』間違いなしな愚行であった。
「この報告はどうするんだ?」
「ケイと話したが、整備班は入れ替えたほうが早い。口を封じ、書類を改竄しても、どこかで綻びがあれば、そこから漏れるからな。我々全体で口裏合わせをするのも必要だ。モンティ。貴様の政治ごっこのせいで、こういう事態を招いたんだ。責任を取ってもらうぞ」
「うむ……」
ブリタニア連邦のバーナードー・モントゴメリーはこの時に元帥昇進が吹き飛んだと言っていい。智子の戦功の隠匿に加え、今回の事態を招いた一連の責任を問われたのである。兵站部署への配属も決まり、実質的な左遷であった。その逆に、カールスラントのロンメルは(後方業務に疎いという欠点を指摘されていたので、半分は名誉的な昇進である)元帥に正式に昇進。これが彼のカールスラントでの最終階級となる。
――司令部でも、モントゴメリーの事実上の失脚に伴い、山下奉文大将が後釜に添えられるなどの人事異動が行われ、海軍では山本五十六、小沢治三郎の元帥叙任と、山口多聞の大将昇進も決まった。ただし、小沢はこの後のクーデターの責任を取る形で司令長官を辞任するので、小沢の元帥叙任は制度移行後になり、山本五十六が最後の『旧制度下における元帥』となった。また、史実での汚点を指摘されたため、山本に権力が集まる事はなく、元帥を数人ほど在任させ、合議で戦略を決める形式に落ち着いた。そのうちの一人がロンメルであった。自分が政治の都合で退役させられることを予期していたので、ダイ・アナザー・デイの事後処理完了後にカールスラント軍を去り、日本連邦の軍事顧問としての人生を歩むようになった。イスラエルなどから批判もあったが、ロンメルは史実通りに中産階級の出である事、ナチスのナの文字もない世界線の住人である事などから、日本連邦で第二の人生を歩むことに成功した。元帥待遇で遇され、扶桑陸軍の近代化に尽力していた――
――ダイ・アナザー・デイで使用された、自衛隊の超兵器はGフォースがそのまま保有し、引き継ぎ、太平洋戦線で使用された。無論、メカゴジラなどもそれで、怪異に対しての有効手段として使われた。本来は学園都市の離反に備えて開発がされていたともされる。20世紀中に、そのような超兵器を造れたのか?という疑問もあるが、ともかくも、リベリオン本国軍はメカゴジラ、スーパーXシリーズ、メーサー殺獣光線車らに蹂躙され、莫大な人的被害を出しまくっていた――
――スーパーXは初代、二代ともに現存しないので、保管されていたⅢが投入された。黒江が調べたところ、Ⅱも1990年代初頭に『エネルギー兵器の反射実験』の失敗で初号機が失われ、予備機は次世代機のためのデータ取りに利用され、1995年頃に解体されたとの事で、事故で失われた初代も含めると、寿命は意外に短かったことがわかる。Ⅲはその失敗を経ての完成形であり、原子力事故に有効な装備を備えていたが、実際に使われる事はなかった。時の自衛隊上層部が野党の追求を恐れ、松代大本営跡に秘匿してしまったからだ。結局、その時の野党は一時的に与党になった時代の大災害で活用する機会を逃し、スーパーXⅢの存在は事後に判明。防衛省と財務省が喧々諤々の喧嘩になる有様であった。こうして時の政権による厄介払いのような形で、それら超兵器は扶桑に事実上提供されたわけだ。メーサーは並の魔女のシールドでは防げない貫通力を誇るため、宮藤芳佳級の防御力が必要であった。だが、宮藤芳佳は数十年に一度の逸材であったので、敵の魔女にはいない。その事も、メーサー兵器の優位性を強調することになった――
「統括官、メーサータンクの配備は進みつつあります」
「ジェネレーターを旧型のレーザー核融合炉からM/Y式に変えといた分、むしろ量産性は上がったからな。マグネットコーティングで砲塔の可動性も上がってるし」
「整備員の給与を上げますか?」
「司令部の承諾は得てある。整備員の待遇は良くして来てるが、徐々にしないとマスコミのいい餌になるからな。隊員には整備員を労うように教育してきてる。今の連中は特に苦労してきたからな。先月の二倍に上げてやれ」
「ハッ。財務に文句言われそうですな」
「連中の言う事を聞いてては、戦争は戦えんよ」
と、冗談めかしつつ、整備員は換えの効かない者も多いので、整備員は丁重に扱えと徹底させてきた事が言及される。
「上も過激な手段を講じましたな」
「末端の整備員から漏れるのを恐れたんだよ。かわいそうだが、何人かは国家安寧のための犠牲になってもらう。それが連合軍統合参謀本部の判断だ」
「よろしいのですか?」
「おそらく、公には戦死で処理されるだろうから、遺族にも莫大な補償金が支払われる。遺族としても、下手に心を病んだ状態で帰ってくるより、死んでくれたほうが楽だろう。そのほうが綺麗サッパリ片付くからな」
下手に帰ってくると、遺族の生活もめちゃくちゃになる。ハッピーエンドのほうが稀だ。旧日本軍、フランスの旧植民地関連の戦争、アメリカのベトナム戦争……。それらで、いくらでも事例はある。それが連合軍の統合参謀本部の言い分であった。残酷なようだが、集団のために、個を犠牲にする。往々にして、歴史上で何度もあったことだ。
「仕方あるまい、マロリーの息がかかっていた者もいたからな…。それらを間引くのは必要だった。それが司令部の言い分だ。一カ国の意向だけでは覆せん。日本もこれで、外交のシビアさを学ぶだろう」
「まぁ、日本もこれで、戦争のシビアさを学ぶでしょう」
「うむ……」
「統括官もゲッターの技を?」
「まぁ、ケイに比べりゃ、精度は低いがな。それがわかった時に掌返しがあった」
「現金なものですね」
「毒ガスや核兵器の研究を禁じた代わりに、俺達の異能を抑止力にしようとする魂胆なんだろうが、毒ガスの対抗手段の研究は続けさせた。ティターンズはG3ガスを普通に使っている集団だからな。対抗手段は持っておかないと、滅びるだけだ」
そのことから、日本がそれら研究を禁じさせたが、敵は既にそれらを実用段階に持っていったのは容易に想像できるため、対抗技術の研究のみは続ける(原子力発電などは容認された)ことにした事がわかる(ただし、扶桑は反応兵器を既に、地球連邦から大量に購入済みであり、21世紀中の核兵器と原理が異なるのもあり、存在を秘匿している)。
「日本政府は自分たちの常識が時代遅れなのを理解してないからな。ティターンズがバックにいる以上、情け容赦なく大量殺人するのは目に見える。この戦争は向こうの本土に10発以上の反応兵器を叩き込まんと、終わらんかもしれん」
「よろしいのですか?」
「向こうにも天罰という概念があるだろうが、ソドムとゴモラを思い出す者は少ないだろう。ましてや、白人至上主義華やかりき時代だからな、本当なら」
「たしかに。医療体制は?」
「安易な医薬品の投与は控えさせている。耐性菌が出るからな。本来、この時代は初期のペニシリンができたくらいでしかない。が、日本から次の世代の薬剤が入るようになった。しかし、耐性菌の知識のない奴が乱用する危険があるから、21世紀以降の時代で研修経験があるか、知識のある奴しか、処方できんようにしてある。一般人の医学常識は大正期以前の水準だからな、この世界」
その事は黒田家のお家騒動の要因の一つでもあるので、急速な未来技術の流入に、大衆がついてこれないことの表れであった。軍部は急速にデジタル化が進んでいるが、大衆の文明レベルは1950年~1960年の水準に留まっている。これは軍部の近代化は必要であるが、大衆の文明レベルは順当に進化させるべしという声があったからだ。とはいえ、日本への劣等感を招くという声から、『20年以内に、1980年代の水準の文明レベルに向上させる』というロードマップも作られた。
「この世界は歪な進化を遂げそうですな」
「仕方あるまい。ティターンズの中でも最精鋭とされた集団が丸ごときた上、ネオ・ジオンやらクロスボーンやらの残党まで混ざりやがってるからな。それに対抗する術を持つためだ。普通なら、MSの空挺降下であっという間に制圧されてるぜ」
地球連邦に敗れた集団が徒党を組み、ティターンズ残党を援助するので、結局は大戦争になっていること。時代が時代故に、白人至上主義者が戦争をリベリオンで煽ったという人種差別故の闇もあると思われ、扶桑は文字通りに『大和民族の生き残りをかけた戦い』を行う羽目となっている。
「地球連邦の本軍が睨みを効かせているおかげだと?」
「奴らの装備はよくて、コスモ・バビロニア建国戦争の頃までだ。こっちはザンスカール帝国戦争以降の技術な上、技術退行が起こってないんだ。そりゃ格差があるさ」
イスカンダルなどの技術のおかげで、地球連邦のMS技術も飛躍的に向上している。ティターンズはそれが起きる前の時代の水準で止まっている。とはいえ、アニメのように大型と小型で劇的な差があるわけではない。小型機は『小回りは効くが、本体への攻撃への耐久性が低い』という問題が顕在化し、結局は廃れ始めている。そのため、小型機の技術で大型機を造る傾向が生まれ、その中間サイズの規格が模索されている。外宇宙の戦いでは、一定以上の大きさがむしろ必要だったのだ。
「怪異も、今までの常識を超える奴が出てきてる。北方戦線の連中は認めようとせんが、直に追い出されるだろう。デュアルコアに対処できてないからな。日本にしてみればシベリアを切り捨てる、いい理由付けだろう。北方戦線は直に店じまい、樺太に脱出する動きが加速するだろう。ウラジオを維持する一方で、シベリアをくれてやるつもりだ。ティターンズにな」
「そのような…」
「日本政府は、扶桑を海洋国家に一本化したがっていた。そのいい理由づけになる。これで、陸軍を『間引く』だろうが、ハワイともう一つくらいの土地を代替に取らないと、扶桑の国民は納得せん。この世界で荒涼地帯になった土地を、コスモリバースでいくつか復活させるしかないだろうな……。ティターンズも長くは『持たん』ことはわかるだろうに」
この時に日本が切り捨てた扶桑の領土の代替には、本土の未開拓の土地では全く間に合わないことがわかり、結局はリベリオン西海岸までの侵攻を容認するしかなかった。外地の人間が史実より数倍は多かった故の誤算であった。
「どうするのでしょう」
「西海岸への侵攻にGOサインを出すだろう。民主国家の手前、扶桑の外地の人間を『間引く』なんて言ったら、日本の政権は一瞬で崩壊する。この世界では、大陸中央部に版図を広げる必要はなかったが、結局、新大陸が必要になるとはな」
日本が蒼白になったのは、外地にいる人間が史実よりも多かった故に、全部を受け入れると、1940年代時点の本土の適正人数を遥かに超えてしまうという事実である。故に、外地を戦後も残す事を容認せざるを得なかった(外地がなければ、本土を怪異に落とされた場合の避難場所が確保できないので)。それが扶桑の戦争指導をとんでもなく、グダグダにしている原因であった。
――こちらはプリキュア5の世界。やっとデルザーを撃退したのに、エターナルの残党が『忘れるな』と言わんばかりに来たので、のぞみAと入れ替わっているナリタブライアンはブチギレとなり、ある技を使った――
「チリ一つ残さず、消し去る!!」
「な、何あれ!?」
「黒いエネルギーがあの子の手に……!?」
闇属性を持つ者は破壊に特化したゲッターエネルギーを扱える事がある。のぞみAはその資質を(転生後の経緯故に)備えていたし、ブライアンも闇属性を持っている(史実の馬生の後半などが理由)ので、使用に問題はなかった。
「うおおおおおっ!!」
黒いゲッターエネルギーがキュアドリームA(ナリタブライアン)の右手に収束し、黒と赤の光球を形作る。ゲッターエネルギー由来の力であるので、プリキュアのパワーソースから供給は受けていない。のぞみAが『プリキュアであって、プリキュアではない』存在に変異した証であろう。光球が輝きを増し、黒い太陽と化した瞬間、彼女は叫んだ。
『ズワルトォォォッ!!ストナァァァァァァ・サァァァァンシャァァァァイン!!』
ストナーサンシャインの中でも、破壊に特化した属性のそれは完全な破壊をもたらす。黒と赤の閃光が迸り、凄まじい爆風を起こした。プリキュア5の他のメンバーが地面に伏せていても、吹き飛ばされそうなほどのものだ。
「あなた、その姿は……」
「別のお前は『ノワールフォーム』と呼んでいるそうだ。あの属性の大技を撃つと、こうなるらしい」
コスチュームが黒に染まっているが、ダークドリームなどのそれと違い、プリキュア5の正規ユニフォームの形は保っている。それだけで、どこか印象が異なる。
「お前は『ヤツ』とは異なる道を行くだろう。しかしだ、これだけは覚えとけ。人生は思うようにいかんことのほうが多いと」
ブライアンも挫折を経験し、のぞみAも人生が歪むレベルの悲劇に直面した過去を持つように、人生は何が起こるかわからないのだ。
「そっちの私はどういう道を辿ったの……?」
「あいにく、私は詳しくは聞いておらんのでな。答えてやれん。それに、私はあんた自身の体を借りてる身だぞ?」
「ご、ごめん」
同じ人物の肉体を使っているが、ブライアンの特性の反映か、声にドスが効いている。とはいえ、一匹狼を気取っていた時期よりはだいぶ人当たりがよくなっている。
「でも、言い方とかでわかるから、こっちは助かるわ。イントネーションとかさ」
「あんたは、どこでも苦労人のようだな?話は聞いたよ」
「え、向こうのココ、そんな事も?」
「まぁ、一定の情報は必要だったんでな。それに、こちらと接触したあんたらは就職済みだしな」
「信じらんないのよね。あたしら全員が生まれ変わっても、プリキュアなんて」
「プリキュアであった者は、何がどうなろうとも、戦う宿命にあるということだろうよ。私など、四本足から二本足になろうとも、走っているからな。分野は違えど、宿命に縛られているよ」
「そういえば、あんたは本当は競馬の馬の……」
「そう。生まれ変わりだ。こう見えても、一時代を築いたんだ。お前らの生まれて間もない頃だがな。親父さんに聞いてみろ」
ブライアンの競走馬としての全盛期はのぞみらの幼児期にあたる時代。親世代の者なら、競馬に興味が無くても、話題合わせで名前くらいは聞いた事があるであろう。そのくらいの知名度はあった。仮にも、晩年は落ちぶれたと言っても、全盛期には『当代最強』を謳われた競走馬。しかも、トウカイテイオーの引退後に現れた『スターホース』なのだから。
「あれ、どういう事?私たちが生まれて間もない頃じゃ、十数年しか……」
「私は馬としては、長生きできなかったんだよ。引退後に病気を患ってな」
馬は30年近く生きるが、ブライアンは病魔に侵され、夭折してしまっている。それを踏まえての返しであった。
「それに私は、ディープの奴とは違う血筋の出でな」
のぞみたちは小学校時代に『ディープインパクト』の活躍を目にした世代なのを聞いていたので、ブライアンは彼の存在を引き合いに出し、競走馬としての自分をうまく解説する。ブライアンとしては色々と複雑である。なにせ、父であるブライアンズタイムの血を後世に残そうにも、自分は夭折し、マヤノトップガンはG1級の産駒を出せず、タニノギムレットはウオッカを輩出するが、それが最初で最後ときている。ダートでフリオーソなどがいるが、サンデーサイレンス系の隆盛には及ばない。多少なりとも、物寂しさが見え隠れしたのは、父親の血を後世に繋ぐ役目を果たせたとは言えず、自身も後継者を出す間もなく、あえなく夭折してしまった記憶を持つが故であった。同時に、自身の知る古参の競走馬(自分の家族を含む)らの血筋の殆どを『サンデーサイレンス系』が淘汰してしまった残酷な事実にショックを受けているようなそぶりもあり、意外とナイーブな一面があるようだった。とはいえ、以前のように、つっけんどんな態度を取らず、逆に気さくな話し口で会話を交わすあたり、ブライアンの精神的成長が窺えた。