ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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複数のパートに分かれます。


第二百九話「魔女の世界での東西冷戦の伏線と、一つの騒乱の終わり」

――魔女の世界は皮肉な事に、ダイ・アナザー・デイを境に『東西冷戦』へ舵を切り始めた。日本連邦の剛腕に反感が渦巻いたが、国家自体が日本連邦に逆らえる力を残していなかったため、ダイ・アナザー・デイ後に鞍替えする国々も生じた。日本連邦は結局、その動きから、連合国の瓦解を覚悟。やむなく、超大国へ脱皮していった。それに伴い、懸案事項の解決に務めた。とはいえ、最終学歴が小学校卒の者すら普通にいた1940年代の人間に、大卒当たり前の21世紀の常識を当てはめることは不可能であった――

 

 

 

 

 

 

 

 

――この学歴と教育格差はどうしようがなかった(魔女の年齢的縛りも関係する)ので、結局、重宝されるのは、中等・高等教育機関を出ている人間たちであった。幼年学校卒の軍人達は(当時の多数派であったが)使い捨て同然に消耗され、1949年までに4割強が戦死か、傷痍軍人となっていた。これはリベリオンの圧倒的火力が要因であり、凄惨な殺し合いになった故に、圧倒的に死傷率が上がったためであった。流石に、下級将校と下士官の不足が大問題になったため、こうした『あからさまな間引き』は終わったが、軍への不信感がテロ行為に転ずるのを恐れた評議会は結局、Gフォースの超兵器で戦局を安定させる選択を取り、自衛隊式教育を若い世代に受けさせるなど、思想面の転換を急いだ。しかしながら、自衛隊は『防衛は専門だが、攻撃はタブーであった』時期が長かったので、米軍の支援が入った。海軍は置き物状態、陸軍は本土の部隊の増援が望めないため、次第に南洋軍の規模は縮小。結局、見かねた米国の圧力を受け、九州と四国の陸軍部隊の出征が(政治的妥協で)決まり、装備を近代化させる事が急ピッチで進んだ。Gフォースの指揮下での活動が前提にされたが、これは本土の人間の人的被害を抑えるためで、(仕方がなく)外地を認めた日本の中での『扶桑外地の維持反対派』の抵抗であった。だが、南洋軍自体が激しく消耗していたため、実際には(大多数の部隊が)損耗補填に充てられ、Gフォースには最精鋭の人員のみが回された。その関係上、地球連邦軍による介入も行われ、地球連邦軍(旧エゥーゴ、カラバの穏健派主体)の活動も公然と行われている。また、日本の政治家が(シビリアンコントロールを盾に)公然と軍人へ暴力を振るうことも、彼らの武力が抑止した。とはいえ、ダイ・アナザー・デイから通しての教訓で『戦死したとされ、二階級特進した将兵が帰還した場合は、階級を特進後で据え置く』事が認められた(上層部が天皇からの追及を恐れたため)。義勇兵による士官への凄惨な暴力問題もあり、上層部は64Fへの依存を深めた。同時に、前線で指揮を取れる士官=エリートの認識が深まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

――64Fに防衛戦略の根幹を依存するのは、軍組織として健全ではないが、当時の扶桑軍は、日本による政治的介入で人員の『横の繋がり』を断たれたために、方面軍間の連携にすら支障をきたす有様。また、日本の政治家が露骨に扶桑本土の陸軍部隊の出兵を渋った事から、南洋軍は消耗が限界に達しつつあった。さすがに状況を見かねた地球連邦軍が側面援護を敢行。リベリオン軍を『ジークフリート』や『ヘビーフォーク級陸戦艇』で蹂躙。数カ月は行動不可能に陥るほどの損害を与えた。その間に南洋方面軍の再編成を急ぐしか、扶桑に手はなかった。その頃、64の主力は遠征を終え、遠征軍と共に帰途につく準備に入った。デルザー軍団とナチス残党の撃退に成功したからである。最後まで粘っていたヤークトティーガーは結局、このようなプロセスで無力化された――

 

 

 

「エレクトロファイヤー!!」

 

「プリキュア・サファイアアロー!!」

 

ヤークトティーガーはその重装甲を武器に、連合軍の前に立ちふさがってきたが、懐に入り込んだライダーとプリキュアの連合の猛攻を受けた。相当な改造を受けたらしく、エレクトロファイヤーとサファイアアロー(ただし、キュアアクアAの『中身』はウマ娘・ジェンティルドンナである)の同時攻撃をも物ともしない。サファイアアローは水属性の技であり、Aのパワーアップを反映して発射された矢が螺旋状の渦を巻いていたが、それを容易く防いだ。(ヤークトティーガーは戦時中のものでも、250mmもの装甲厚を誇った。残党のものはそれを増強したらしい)エレクトロファイヤーとサファイアアローの組み合わせの同時攻撃を容易く防いだ。

 

「さすがは、ドイツ軍最強の駆逐戦車……。弾丸が直撃すれば、現代戦車もスクラップ行きと聞いていましたが……」

 

「連合軍の事前砲撃も無傷で凌いだというからな。M48の手に負えんはずだ」

 

M48は90ミリ砲を持つが、ヤークトティーガーの装甲を『正面切って』撃ち抜く力はなく、逆にアウトレンジで圧倒されていた。連合軍の主力火砲の事前砲撃にびくともせず、ヒーローたちの必殺技すらも余裕で凌ぐ。戦後に改良が施されたのだろうが、それでも戦後型の徹甲弾を弾くのは異常だ。

 

「伏せろ!!」

 

ストロンガーの叫びと共に、ヤークトティーガーの主砲が吠える。弾丸は彼らの頭上を通り抜け、遠くで支援を担当するM48戦車をぶっ飛ばす。車体前面を貫通したのだ。

 

「戦後型戦車も型なしだな、あの火力」

 

「連合軍は尻込みですか?」

 

「まともな歩兵用の対戦車火器を持ってないからな。バズーカは愚か、パンツァーファウストさえねぇときてる。パンツァーファウストも魔女に使わせてたが、生産が止まったらしい。で、お前の時代の対戦車ミサイルは第二次世界大戦型の戦車戦に使うには、高価すぎるってやつだ」

 

「やれやれ」

 

結局、高価な戦後型対戦車火器を補うため、戦中型の「バズーカ」が生産続行(ただし、後期型の『スーパーバズーカ』として)されることになり、パンツァーファウストは戦後型へ移行することになったが、カールスラントの荒廃で生産見込みが立たない。そんなお寒い事情もあり、重戦車は彼らが狩る事になっていた。連合軍の兵器工場であったカールスラントの荒廃は日本連邦を困惑させることとなり、結局は自らがその役目も負わなくてはならなくなったわけだ。

 

「鹵獲しろとのお達しだから、ドリルキックとかは使えん。仕方がない。乗員だけ倒す手段を取るしかあるまい」

 

「どうなさるのです?」

 

「何、やりようはある」

 

ストロンガーはそういうと、付近にあった『放棄された自動車』のバッテリーを呼び水にする形で『チャージアップ』を敢行。超電子エネルギーでのエレクトロサンダーを行った。流石に、超電子エネルギーのエレクトロサンダーには耐えられなかったようで、動きを止める。

 

「中の連中は黒焦げになっただろう。回収を手配しろ。MSに運ばせたほうがいい」

 

「わかりましたわ」

 

「本当は戦車隊に華を持たせたかったらしいが、当たったら一撃死な状況があるのが日本の政治屋に知られたら、師団長はその場でクビだそうだ」

 

「ずいぶんと感情的なのですね」

 

「日本の政治屋は戦後の軍事を分かっちゃいねぇからな。日露戦争で認識が止まってる。お前の時代なら、遠隔からの指揮が当たり前だろうが、ミノフスキー粒子で後方からの指揮は過去の時代のものになってるそうだ」

 

「それで一時、インターネットや携帯電話が廃れたと?」

 

「この時代の通信技術を阻害する効用があるからな。それで二十三世紀になると、将官だろうが前線指揮は当たり前。死傷率は高いそうでな。地球連邦軍も艦隊司令級がごっそり死んだことがあるそうだ」

 

ミノフスキー粒子の影響を受けない通信技術が(イスカンダルとマクロスのおかげで)確立された後、(ギレンのような独裁者を出さないため)インターネットと携帯電話関連の文化の復興が急がれ、デザリアム戦役の頃には、2020年頃と同程度の水準に回復した。一年戦争時に『使い物にならなくなった』携帯端末は回収され、M粒子対応回路に改良された後に市場に出回った。要はリサイクルである。

 

「お前たちの時代のタブレットと同じ大きさになったが、とりあえず、ネット文化が生き返った。戦争で断絶はあるが、まぁ2000年代中頃のアングラな雰囲気と、それ以降の明るさが共存してるって話だ」

 

「あなたは元々……」

 

「おりゃ、1970年代の人間だからな。コンピュータなんぞ普及してねぇ。インベーダーゲームもまだない頃だからな。本当ならこの時代にゃ、白髪のジジイだぜ」

 

ストロンガーまでの仮面ライダーは『1970年代の前半に20代だった人間』が素体なので、もしも普通に生きていれば、2000年代後半には『老人になっている』。改造人間は改造時の肉体年齢を保っているため、ストロンガーは20代半ばの若者らしい口調なのだ(その辺は生きた時代を感じさせる)。

 

「私も競走馬として生まれるのに、あと数年は後ですわ。それはそれで不思議ですが」

 

肉体はキュアアクアから借りているが、ジェンティルドンナ本来の『深層の令嬢』感を醸し出す『ですわ』口調はそのまま。ただし、似た立場のダイイチルビーと違い(競走馬としてのハイパワーなどが反映されて)、ジュニア級の時点で既に将来を嘱望されていた(ただし、明確に頭角を現すのは、クラシック級になってから)。

 

「お前、あのゴルシに呼ばれたんだろ?これからどうするんだ?」

 

「記憶が宿った以上、三冠を確実に取れるのはわかりました。それをより確実にするための鍛錬ですわ」

 

「何故、キュアアクアから体を借りた?」

 

「他にも、候補になるプリキュアのリストはもらっていたのですが、私の特性に近く、なおかつ属性が近いとなると、キュアスカーレットは肉体に人格が複数存在しているのもあり、早期に外しました。キュアマーメイドは転生後の立場と家柄(扶桑きっての武門の名門)の問題で。キュアジェラートは性格面で。それで、手空きかつ、最も属性の適合率の高いキュアアクアにお願いしたのです」

 

水無月かれんは令嬢、戦法がパワー型など、ジェンティルドンナの仮の器に足るポテンシャルと適合性が確認された。それが今回の参加の理由だと。かれんは軍医での採用だが、ジェンティルドンナも医療機関に出資をしており、なおかつ(姉のドナウブルーや母親の薦めで)大学は医学部を周囲に薦められていたので、医学知識も(医学部の学生程度には)高校生の割にはある方である。その関係もあった。

 

「姉からは医学部を薦められていまして。医療機関に出資をする以上は…と」

 

「なるほどな。将来の下準備ってわけね」

 

「医師免許を持っていれば、引退後も食いはぐれないと、母や姉は言っていますが……」

 

「まぁ、医局の血生臭い権力闘争に巻き込まれたくはないというのはわかるが、戦後の日本で『若くしての開業』は無理ゲーに近いからな。親から引き継ぐとかしない限りは。かれんも、いくつかの世界で苦労してるようだと聞いた。その体の持ち主はそれを嫌って、扶桑軍の登用に応じたが」

 

実際、かれんはいくつかの世界での成人後は医師になり、地域の総合病院の医局に属しているが、何のバックボーンもない身の上であるので、若くして頭角を現すことに嫉妬する同僚や、若くしての出世を疎んじる教授などの妨害に遭い、苦労を強いられている。かれんAはそれを予期していたため、キュアアクアとして、扶桑空軍の登用に応じたのだ。

 

「私は家のバックボーンと、レースでの名声もありますから、ある程度は大目に見られるでしょうが、やるからにはきちんと学びたいのですよ。この爆音は…。来たようね」

 

『お待たせしました。こいつを基地まで運びます』

 

「頼む」

 

回収部隊のジムⅡがやってきた。通常は戦車回収車を使うが、ヤークトティーガーは戦車としては最上位級の重量であり、連合軍が使う戦車回収車の手に余る(『魔女の世界』での作り主であったカールスラントでさえ、ヤークトティーガーの重量に見合う戦車回収車を作れていなかった)。その関係上、一線から退いた『ジムⅡ』が(かつてのガンタンクなどの代わりに)重機代わりに使われていた(旧式の機体とはいえ、1500Kw級のパワーがあるので、戦車の回収は簡単にできる)。

 

「あれは?」

 

「空でゲタ付きのMSを、お前の先輩が黒いゲッタードラゴンで落としてんだ。あいつ(黒江)がいうには、筋が良いそうだ」

 

空で閃光が走り、爆音が響く。それは、ブライアンの奮戦を示すものだった。ドダイに乗ったマラサイやハイザックを、自力飛行能力を持つゲッタードラゴンで追い回しているのである。サブフライトシステム付きのMSは基本的に、機体の上に乗っての空戦(撃ち合い)である。アムロ、カミーユ、シャアのように、MSをSFSより離れさせ、敵を攻撃してからSFSに戻る戦術を取れるのは、一握りのトップクラスのみ。MSに空戦能力を持たせる試みもされていた小型MS、ないしはミノフスキークラフト関連技術搭載機や可変機以外でのMSでの空戦はサブフライトシステムへの搭乗が前提である。故に、空戦能力はサブフライトシステムの飛行性能で、ある程度決まってしまう面がある。だが、サイコガンダム以上の体躯とはいえ、高度な独自技術で滑らかな駆動が可能かつ、空中戦闘用に設計されているゲッタードラゴンを相手にするには無謀であった。

 

「見な」

 

「やりますわね……」

 

上空で、黒いゲッタードラゴンがダブルトマホークを縦横無尽に振るい、ハイザックやマラサイを斬り裂く。体格差があるので、大人と子供、いや、子供がプラモデルで遊んでいるように見える(ゲッタードラゴン以降のゲッターロボは基本的に50m級である)。だが、そのサイズに見合わぬ敏捷さを見せるゲッタードラゴン。

 

「あれでマッハ四は出るのでしょう?どういう仕組なのですの?」

 

「ゲッター線の技術の応用だと。元々、民間の研究所が独自に開発したロボだから、パイロットの安全なんぞ、ちっとも考えてないそうだ。むしろ、人外魔境な連中が暴れるための器に近いな」

 

初代の時点で、早乙女博士は搭乗者の安全はほとんど考えていなかったらしく、人型兵器の普及後も『強化服無しでは、通常の人間は数分で肉塊になる』というのが、ゲッターロボだ。黒江たちやプリキュアたちが乗り回せるのは、『肉体が尋常じゃないくらいに強化されている状態』故である。ウマ娘たちも(通常より能力の高い上位の者たちであれば)ゲッターロボに乗れる保証はされている。これは肉体が『ヒトより遥かに高速で走れるように』なっているため、耐えられるGの係数も遥かに上回っているからだが、協会からの通達以降は『ウマ娘として乗るのは、物議を醸しそう』なので、ブライアンとゴルシは『プリキュアの体を借りる』という選択で、その事項への抵触を躱している。

 

「お、年代物の大飯ぐらいを落とすようだ」

 

ブライアンのゲッタードラゴンは、護衛機を失った『鹵獲品である、ガウ攻撃空母』に攻撃を仕掛けた。ゲッタービームでは手間取ると踏んだらしく、シャインスパークを使うようである。

 

『ゲッタァァァ・シャイィィン!!』

 

ゲッタードラゴン以降のゲッターロボが『切り札』として積んでいる『シャインスパーク』。黒江、圭子の両名も用いるこの技、直撃した場合は『大型移動要塞を一撃で粉砕する』ほどの威力を誇る。

 

『シャイィィンスパァァク!!』

 

大仰な叫びが必要なのが難点だが、スーパーロボにはつきものである。

 

「あ、あの、あれは!?」

 

「見てご覧なさい。あれが別の貴方のたどり着いた必殺技ですわ」

 

「あれが……!?」

 

「シャインスパーク。戦闘用ゲッターロボの代々が引き継ぐ切り札。それを貴方は必殺技として会得した。そう聞き及んでいます」

 

「俺がその証人だ」

 

遅れてやってきた、ドリームキュアグレース(のぞみB)。のぞみAが生身でも、他の世界の個体を圧倒的に上回る戦闘力に達した証がシャインスパークやストナーサンシャインである。ダイ・アナザー・デイでの苦戦を受けて、ゲッター線の深層に触れた出来事をきっかけに会得した。

 

 

「あの技は、お前という存在のアカシックレコードにバッチリ刻まれたが、お前は別の道に至るだろうから、あの領域になることはないだろう。が、あいつは状況的にそうならざるを得なかった。なにせ俺達同様に、宇宙規模の敵とドンパチやるしかなかったからな」

 

「宇宙規模って……」

 

「宇宙からやってきた連中だ。俺達を改造した組織の首領もそうだったからな。地球は意外にも、条件がすべて揃っている星なんだとよ」

 

「条件?」

 

「住みよさ、人間が1000年以上暮らせる資源、生物の多様性。ここまで揃った星はなかなかないそうですわ」

 

「それもあり、敵は短期間に多くやってきた。俺達の時代からは特に、な」

 

仮面ライダーの敵も、宇宙からやってきたこともある。ショッカーの首領も元々は宇宙にいたと思われるなど、意外と宇宙に関係がある。

 

「それに対抗できる力はあるに越したことはない。お前の想い人がなんと言おうが、危機は突然に来るからな」

 

オトナ世界でのプリキュアメンバーの人生は実質的に反面教師とされたようで、ココ(小々田コージ)Bも、相当に罪悪感を抱いたらしく、プリキュアの力の有無に干渉しないと表明したという。

 

「ココ、相当落ち込んじゃって…。大丈夫かな」

 

「別世界では、精神科に通うことになったようですよ。あなたが高校と大学の間、空虚感に囚われていたことにショックを受けて、会話もままならない有様だと」

 

「その世界のココと私、どうなると思います」

 

「ハッピーエンドはよっぽど頑張らねぇと無理だぜ。フラグが折れまくってるし、その世界でのお前は『先祖に地球の真なる統治者の血族』がいたようだしな」

 

「なんですか、それ!?」

 

「貴方、普段からマゼンダ色の髪の色をしておられるでしょう?地球連邦軍が遺伝子の解析を試みた結果、その世界での貴方の遠い先祖に、宇宙人がいた事がわかったそうよ。それも、現代の地球を難なく植民地にできるレベルの文明を持つ……」

 

大人のぞみ特有の特徴に、先祖にラーメタル人がおり、プリキュアの力の復活で、その遺伝子が呼び覚まされた事が、ストロンガーとジェンティルドンナから伝えられた。そして、それは、かつてのプロメシュームが忘れ去ってしまったことを引き継ぐことを意味する。1000年女王。かの楊貴妃(候補)、クレオパトラ、卑弥呼はその歴任者であり、その直近の先代がプロメシュームである。彼女が機械化帝国を興すことで、その称号も意味のないものとなったが、ラーメタルの血を持つ誰かがその役目を引き継ぐのは、問題ない。つまり、大人のぞみはそれに即位し、地球の真なる統治者として、同世界を破滅から救いたいのである。

 

「あなた自身はその彼らの遺した統治システム『1000年女王』を引き継ぐことにしたそうよ。既に歴代の女王からの記憶の引き継ぎも済ませたそうな」

 

「!?」

 

大人のぞみは(ブライアン達の戦いが終わる頃には)正式に1000年女王の継承者となり、(1000年女王としての)装いも見せ、先祖由来の超能力が目覚めた事も告げられる。地球を破滅から救うためとはいえ、今までの人生をほぼ捨て去ることになったため、ある意味、地球の破滅が半ば確定した世界での『人々の意思』が大人のぞみの血筋の『ラーメタル星の王族の遺伝子』を呼び覚ましたと言える。

 

「ラーメタル星人は数万年単位の寿命を誇る種族だったんだが、その遺伝子が目覚めたって事はだな。地球人から変質した肉体になったってことだ。そこに、全部の世界で最強の個体の特徴も上乗せされたから……」

 

「スペック上は最強クラスの能力に飛躍した。そう断言してよろしいでしょう。それを使いこなせるかは、そのあなた次第ですが」

 

「つまり、大人の私はチートもいいところな存在に?」

 

「そうだ。だが、それを受け入れたのは、大義名分があるとはいえ、青春期の空虚感だからな。野郎も罪な野郎だぜ。花も恥じらう年頃の女の子の時間を無駄に浪費させるたぁ…。俺の時代(1975年)じゃ、26は行きおくれって言われるぜ」

 

大人のぞみは20代後半。現代の基準では『まだまだ適齢期』な風潮だが、ストロンガーが人間であった『1970年代半ば』では、『行きおくれ』と後ろ指をさされるのが当たり前(晩婚化が進むのは、1980年代以降である)である。

 

「うわぁ~……12年後の私、独身なんだぁ~……」

 

「お前がそうなるとは限らんよ。お前が大人になった時代は共働きも当たり前だし、お前の相手も、ここじゃお前とくっつくかもしれんぞ?」

 

「ええ。その時代に高校生してますが、世の中、変わってますわよ?」

 

「うーん。かれんさんの姿で言われると、妙に説得力あるなぁ」

 

「かれんは少なくとも、医師になれるとはお伝えしておきますわ。それと、腰を抜かしますわよ」

 

「?」

 

「2020年代も半ばになると、夏は36度超えますわよ」

 

「……は?」

 

2008年頃の夏の最高気温は33度前後。ジェンティルドンナの元いる時代よりは涼しい。その時代の人間に、2020年代の『酷暑』は信じられないのだ。

 

「ハハハ~まさかそんな……」

 

「私は嘘は申しませんわ」

 

「……人間の体温の温度だよね、それ」

 

「まぁ、地球温暖化やらのせいで、ほとんど熱帯のような気候になっちまってな。北海道でも、30度がザラになってきてる」

 

「嘘……」

 

本気で呆然とするドリームキュアグレース。2008年の人間からすれば、それから20年近く経つと、地獄のような暑さの夏が当たり前になるのは信じられないのである。そこで、先ほどのシャインスパークの炸裂の衝撃が伝わる。

 

「うわっ……すごい衝撃……これが」

 

「ええ。ゲッターロボG最大最強の必殺技『シャインスパーク』。あなたもその状態であれば、理論上はできるとのことです」

 

「シャインスパーク……か。そっちの私はそれをどうやって?」

 

「話せば長くなる。この場の後片付けは工兵どもに任せて、引き上げよう。基地で話してやる。俺はその一部始終を見届けたからな」

 

ドリームキュアグレースをカブトローに乗せ、二人乗りになるストロンガー。そこで彼女はふと気づく。

 

「えーと、あなた……アクアの姿を借りてる子だよね?ゴルシちゃんの友達なの?」

 

「あの方の同期ですわ。ジェンティルドンナ。以後、お知りおきを」

 

こうして、のぞみBはジェンティルドンナと面識を持ったわけだが、基地に戻った後、彼女がトップクラスの有望株として将来を嘱望される若きアスリートであることを教えられ、なおかつ資産家の令嬢でもあるという『超恵まれた』環境ながら、『親の跡目争いを姉や弟相手に、否応なしにやらされてきた』ことでの満たされなさと虚しさを抱いていることを知ることになる(最も、ジェンティルがずば抜けた才能を誇る事から、父親は既に、後継をジェンティルに決めていたのだが、『清朝の皇子たちの故事に則り、正式に知らせるまでは、互いに緊張感を持たせるために、この時点では明かしていない)。兄弟間でまともな交流がないのも、ジェンティルのコンプレックスであった。なんだかんだで、ジェンティルも年頃の少女なのだ。ゴルシが今回の仕事に誘ったのは、チームのトレーナーに、そんなジェンティルにふさわしい個人トレーナーを探させる時間を稼ぐことも兼ねていたのだ。

 

 

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