ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

728 / 788
前回の続きです


第二百一四話「説明と、近づく決戦 2」

C世界のプリキュア5は現役真っ只中である事から、敵が襲う可能性はあった。ブライアンは示威のために、ゲッターノワールの使用を示唆した。敵が市街地に現れなければ、という条件付きだが。ゲッターノワールは圭子がいた『ゲッター艦隊』で使われていた個体で、大型ゲットマシンへの変形機構と、『ゲッターノワールG』への合体機構を備えている。そのうちのノワール1である。

 

「コイツを使う時がないことを祈るよ」

 

「これは?」

 

「ゲッターロボの一種で、ゲッターノワール。その一号機だ。本当は残りの二機と共に合体するんだが、単機でも充分に運用できる。コイツの力はよほどでなければ必要ないだろう」

 

「連中が大型を使わないかぎりはね」

 

「念には念を…って奴だ。地球連邦のお偉方は滅亡寸前の事態を三度も経験したもんだから、よほど念入りの計画立てんと、予算が降りんらしい」

 

「おっそろしいわね」

 

「それで、のぞみの転生先の日本軍は楽観論を木っ端微塵に打ち砕かれて、多くの軍人がクビになるか、予備役入りにさせられたそうだが。おかげで、現場は一部の有能な連中に丸投げされているそうだ」

 

地球連邦・日本国の双方により、扶桑皇国軍は軍の人的資源に大損害を被った。この損害は『数十年かかっても回復出来ない』ともされている。実務向けの生え抜き軍人が大量にいなくなったからで、1940年代前半に60代になる、山本五十六たちが1950年代に入ろうかという時代でも現役扱いなのは、彼らの『代え』が確保出来ないからである。黒江たちが扶桑軍で若いうちに将官になれたのは、そのことも大きいのだ。自衛隊からの出向者が多くなったのは、予想以上に現場の空洞化が激しかった上に『横のつながり』が断たれた結果、部隊間の相互支援意識が無くなったという本末転倒が起こったからである。その結果、64Fにあらゆる業務を背負わせてしまったというのは否めない。そのため、『天皇に勅諭を出してもらって、内外で同調圧力をかけなければ、扶桑皇国は軍組織が機能しない』有様なのだ。

 

「それっていいの?」

 

「過剰に軍国主義者を警戒しすぎた結果だそうだ。それで、二昔前の学生運動まがいのリンチを別世界の現代日本の観光者とかがしまくった結果……だ。紅衛兵というのが、中国にあっただろう?あれのように、理性のタガを失った連中の暴虐は凄まじかったそうだ」

 

日本が取り締まりをようやく始めたのは、1949年の夏。短期間に老年層だけで数百人(学生運動の生き残りだという)も逮捕され、ほとんどが強制送還されている。やられた軍人たちは片目の失明や脚の半月板損傷はザラで、現地の医療水準では(魔法以外に)回復手段が存在しないレベルである。意外に、若者ほど(理性がある)マシで、老年層の者たちは(鉄パイプでの滅多打ちなど)残虐行為を躊躇しないという結果となっている。これは老年層が『自分たちの親から聞いた話』由来の憎悪を持っていた故の暴力である事が確認されており、厄介事であった。その関係で、扶桑は(せっかく育ってきた)有能な軍人を理不尽に奪われるケースが多かった。その埋め合わせに日本は苦労を強いられた。否応なしに有能な自衛官を供出せねばならなくなったからだ。扶桑は国防体制を根本から揺るがされたので、日本にさらなる埋め合わせを求めた。日本の治安当局からは『贅沢』だという声があったが、カールスラントの事実上の滅亡を起こしたのを静観した事への責任を各国から追求されたため、やむなく、自衛隊からの派遣を増やすしかなかった。また、カールスラント軍人の雇用に反対したイスラエルも流石に『ナチスが影も形もない世界の人々なのに、ナチスがある世界での戦争責任を負わせるのはどうなのよ』という批判を浴びたため、雇用への反対を引っ込めた。雇用されたのが、主に空軍のエースパイロットや熟練の戦車兵であったり、降下猟兵であるからだ。

 

「それで、リストラされたドイツの熟練の兵士や士官を、ドラえもんの世界とのぞみの転生後の世界の日本の連合が雇った。その穴埋めのためにな」

 

「人がいないんですか?」

 

「事件のせいで、規定の入隊人数を確保できないし、自衛隊から割いても、そいつらが戦死してみろ。日本の世論が騒ぐのは目に見えている。だから、練度が高いドイツ軍の人材はうってつけだった。ナチスが存在しない世界線で、大っぴらに士官を雇えるから、だそうだ」

 

「お国の事情、ねぇ……。外国は納得してるの?」

 

「ドイツは海軍以外の軍隊は精強だったのは、政府や軍の関係者なら常識だ。戦記物を読んだか、プラモを造った事があれば、子供でも知っているよ」

 

日本としても、歩兵至上主義者が残る扶桑陸軍の生え抜きよりも、機械化部隊の地位を築き上げたドイツ相当の国家の将兵のほうが『近代戦に理解がある』と好意的であったので、カールスラントの元将校と下士官の登用には反対しなかった。特に、空軍のエースパイロット達に関しては『諸手を上げて』大歓迎であった。これにより、扶桑空軍のパイロット育成に弾みがつき、攻勢に目処を立てられるまでにスピードアップした。無論、育成向けでない者は前線で戦ってもらう。この義勇兵の増加は1947年から起こり、その二年後には最高潮に到達した。コンドル軍団の経歴持ちの魔女とパイロットが配下の部隊ごと加入する事例が相次いだからで、カールスラントによる歯止めがかかった段階では、同国の熟練者の9割方が日本連邦に与するまでになっていた。

 

「生えぬきのパイロットが育つには、最低でも五年くらいはいる。日本は平時の必要最低限の数しか育成してこなかったから、消耗戦になった途端に人材不足になる。それに、民間航空が栄えてるわけでもない時代の日本では、そもそもの確保が難しいからな」

 

「大学出の人も全体の一割しかいない時代でしたね?」

 

「そうだ。戦前の教育制度で大学に行けるのは、一部の富裕層の更に上の方に、昔の諸侯や公家の末裔である華族、皇族くらいなものだ」

 

扶桑の従来の教育制度では、一般大衆の受けられる教育は中等教育止まりであった。故に、高等教育を(ほぼ)無償で受けられる軍部の人気が高かったのだ。教育制度が変わり、コンピュータなどの導入で、単純労働者があまり必要とされない時代が訪れたが、いきなりの変化はありえないので、農村地域の次男、三男の働き先としての軍隊は今しばらくの間は健在だろうと思われる。

 

「そこに戦後の教育制度を無理に充てがっても、すぐには機能しないだろう。特に、田舎の連中は高学歴者を嫌っていたというからな」

 

ブライアンの言う通り、扶桑の農村地域の社会構造は農地解放による地主の没落が立て続きに起こっているため、急速に戦後化が進んでいる。つまり、戦前の街が健在である状態で農地解放を行おうと、自ずと史実と同じ結果を起こすのだ。問題は華族への逆差別意識も芽生えたため、名家の血が(ノブリス・オブリージュの実践で)絶えそうになるという問題も起こっている。

 

「20世紀前半以前の意識しかないところに、21世紀の倫理観をいきなり持ってきても、上手くいくはずがないが、日本の大衆は暴力で強引に変えようとした。その歪がモロに悪手になった。現地は戦争中だったのに、強引にあれこれしたからな。それで、お前らにおんぶにだっこだそうだ」

 

「何よそれ」

 

「農家の連中がブルって、軍に入んなくなるわ、別世界の重要な信仰だった魔女への差別意識が現地で生まれるとかの弊害が出まくった。で、今さらって焦った日本政府はお前らに戦ってもらおうと考えた。兵隊を死なせるより、お前らに一騎当千してもらうほうがいいとな」

 

日本は桶狭間以来、少数精鋭による一騎当千を志向する傾向が強い。それはプリキュア達への防衛戦の依存で極限に達しつつあった。これは艦の防空能力の飛躍で、一式陸上攻撃機などによる航空雷撃が短期間で陳腐化したため、その代替手段であるミサイルの普及に時間がかかる事が予測されたこと、ジェット機空母への切り替えによる空母機動部隊の小規模化による『数の不足』を補うためには、超人らによる一騎当千しかない。情けないが、扶桑本土の兵力を動かしたくない日本政府が導き出した結論であった。(在来式空母を数合わせで投入するという発想がないあたり、貧乏性である)

 

「お前らに呼ばれた先での戸籍を与える見返りに、国家の安全を確保しろってことだろう。国家による脅しに近いが、右も左もわからない世界で生きるには、必要なことかもしれん」

 

実際、扶桑皇国はそのような手段で、歴代プリキュアの協力を取り付けていた。日本政府も追認したが、それは扶桑の近代化に必要な人材を温存できるから、である。そのくせ、日本政府は閣僚にまで『扶桑軍の人員は消耗品』と考え、見下す者がいる始末である。旧日本軍への意趣返しのつもりだろうが、厳密には『似て非なる』者である扶桑軍には、はた迷惑な話である。それも歴代プリキュアの負担が大きい理由だ。

 

「そちらののぞみだが、経過は良好だそうだ。だが、戦闘に耐えられる体力には、当面は戻らない。当面はプリンセスと、手空きのプリキュアの誰かに防衛は任せろ。私もカモフラージュのために、戦闘を代行する」

 

「いいの?あなたがいなくて」

 

「この体の持ち主である、別世界ののぞみ自身が私のやる事を代行している。ヤツは運動神経が全部の世界で一番にいい個体だ。そうでなければ、プロのアスリートの代行など、頼まんよ」

 

 

ブライアンはこうして、のぞみAとCの役目を代行していく。本人も(父との確執の拡大もあり)しばらくはレースと距離を置きたかったためだが、本質的に闘争から逃れられないのも、競走馬であった過去を持ちつつ、ウマ娘でもある故の因果であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

連邦宇宙軍は白色彗星帝国残存艦隊との決戦の準備を急いだ。既に、土星の衛星であるタイタンに設営隊が到着し、その他の衛星にも、臨時の補給基地が建設されつつあった。21世紀の地球の知る由もないところであるが、記憶と能力を共有した一部のプリキュアはその世界の代表として従軍。別個体の身分を借りる形で、任務に当たっていた。

 

 

 

 

「地球側の戦略はどうなのです?」

 

キュアエース(オトナ世界)が大人のぞみに尋ねる。『ドキプリ』は『能力を保つ』珍しいプリキュアであるが、外見上は現役時代とさほど変化はない。元から大人びた外見のエースは尚更である。

 

「無人兵器を特攻させて、弾切れ&エネルギー切れまで暴れさせて、敵陣で自爆させて、数を減らすのが第一の戦術。連邦は無人兵器嫌いだけど、相手が天文単位級の数だからね。有人部隊の盾兼爆弾代わり。一機種あたりで千機は集めたけど、敵からすれば、雀の涙程度の数さ」

 

 

無人兵器の内、戦闘機は数万、モビルドールはプリベンターの管理下にあった資源衛星などから供出させた残存の『ビルゴⅡ』、『トーラス』などが合計で数千。今回の作戦で使い潰すことを前提にかき集めたものである。また、アナザーガンダムも何機か参加の見込みである。

 

「まぁ、空母機動部隊さえ叩けばいいからね。盾兼特攻兵器として役に立ってもらうって奴さ」

 

「有人兵器は?」

 

「ジムの最新とその二世代前までをかき集めて、ゼータとダブルゼータの量産型と、派生型もできるだけ持ってきて、熟練者に渡す手筈。バルキリーも、エース用の高性能型をかき集めたそうだよ」

 

「それをできるだけ温存するって寸法ですか?そううまくいくと?」

 

「敵も、物量で押しつぶす以外の戦術をあまり好まないかららしいよ、ロゼッタ」

 

「白色彗星帝国ですか…。私のおじい様が子供の頃に見ていた宇宙戦艦ヤマトの敵ですよね」

 

「うん。その白色彗星帝国。モノホンのね。まぁ、ガミラスは戦争慣れしてたけど、白色彗星帝国は物量でどうにかしてきた連中だからね。知略に長ける司令官はそんなにいないそうな」

 

白色彗星帝国は基本的に、かつてのアメリカ合衆国を思わせるような特徴が多く、比較的に新しい国家(ヤマトに敗れた大帝は何代目かの『ズォーダー』だという)であるという。また、ハーロック達曰く『白色彗星帝国はイルミダスと同族で、ある時代、イルミダス軍での派閥抗争に敗れた科学者こそが、初代のズォーダーである』との事であるので、イルミダスはかなり昔から、軍事国家として栄えていたことになる。その事から、イルミダスと地球連邦政府との因縁は『初代ヤマトの全盛期』の時点で生まれていたことになる。

 

「それがつけこむ隙…ですか」

 

「うん。まぁ、大帝のいかれた超戦艦こそないだけマシだけど、この時代の地球に抵抗する術はない。だから、地球連邦軍の存在を黙認したんだろうさ、国連も」

 

「曲がりなりにも、まともに戦える力を持つから、でしょうね」

 

「この世界は、私たちの存在云々以前に、本来は滅ぶ結末を迎えるはずだった。だけど、座して滅びを待つよりは、戦って傷ついたほうがマシさ。みんなをあたしに付き合わせちゃうことになったのは詫びとく」

 

「いいよ。記憶と能力を共有しちゃった以上は引き返せないし、代の離れてる後輩たちの手を汚すわけにもいかないし。とはいえ、デバプリの子らはついてきちゃったけど」

 

「その時々の現役の子らは関わらせないと、後でめんどくさいことになるからね。ラブちゃん達の代からの伝統だったけど」

 

「そのラブだけど、別世界の?」

 

「うん。この世界のラブちゃんじゃないよ、ダイヤモンド。この世界のラブちゃん達は力を失ってるからね。今は響ちゃん達の診察とチェックに立ち会ってる」

 

「あなた、教師の割に、肝が座ってるわね」

 

「ガチで教え子たちの未来がかかってるからね。腹も決まるさ。まぁ、空襲で学校が物理的に無くなったから、本気でクビになったけど」

 

「それで、のぞみちゃんは何を充てがわれるの?」

 

「ガンダムX。ダブルエックスは別の私が使ってるそうだからね。その他はゼータを使うつもり」

 

「Zガンダムはピーキーなマシンだと聞きましたが?」

 

「ウイングゼロに比べりゃ、ゼータなんてカワイイもんさ。」

 

と、ウイングガンダムゼロはその流麗なフォルムと裏腹の『悪魔的システム』の存在により、歴代ガンダムでも有数の『悪魔』と恐れられている。ウイングガンダムゼロは複数の世界線で『複数の案』があったとされており、実際に完成した個体は『H教授の保管していた設計案』で造られたという。ヒイロ・ユイか、ゼクス・マーキスしか、完全な性能で扱えないとされている。その関係もある。

 

「ウイングガンダムの別仕様設計を建造しなおす案もあったけど、間に合わなさそうってことで没。で、その代替がゼータ」

 

「バスターライフルが魅力的だったのでしょうか」

 

「たぶんね。アレだけでも使えるように、ガンダニュウムで作り直した仕様になるそうな」

 

地球連邦軍は予てより、バスターライフルの破壊力を『侵略者への対抗力兼戦争抑止力になる』として好意的であった。黒江達の用いるダウンサイジング品はその計画の一環で製造されたものだ。当然ながら、バスターライフルの発砲に際しては『機体に負荷がかかる』ので、ガンダニュウム合金、ないしはそれに近い素材でのフレームを持つことが望ましいとされていた。バスターライフルだけでも、なんとか使いたい地球連邦軍は『近い特性を持つ機体をガンダニュウムで作り直し、バスターライフルを装備させる』という荒業で敢行。のぞみに支給される見込みのZガンダムはその仕様となる。

 

「どんなに強くても、ウイングガンダムゼロは一機しかないからね。それと、ガンダムXはサテライトシステムのあれこれがあるからね」

 

とはいえ、バスターライフル自体は、上位のツインバスターライフルと異なり、一応はカートリッジ式であるので、カートリッジが用意できれば、機体本体に負荷をかけずに撃てるという利点がある。それが軍部による生産ライン構築の理由であった。

 

「あれ、月から遠い場合はどうするの?」

 

「サテライトシステムの送信設備を小型化したものが旗艦級の戦艦に積まれたそうだけど、送信規模が落ちるから、チャージに時間がかかるんだって。だから、バスターライフルの増産のほうが安かったとか?」

 

そこで呆れた表情になるキュアロゼッタにキュアダイヤモンド、キュアハート。世代的に、ゲームなどで『ガンダムW』と『ガンダムX』のことをギリギリ知っているらしい。キュアエースもなんとかついてきているが、いまいちという感じであった。これは、彼女たちの現役時代の2014年で小学生であったこと、その時代には既に、ロボットアニメの制作自体が全盛期より衰退していた事、実質的に一人っ子で育ったため、そんなアニメを見る環境になかったことなどが理由であった。他は環境的に、ロボットアニメとなにかかしらの縁があったからだ。なお、キュアソードは地球の守護のために居残ったので、この場には居合わせていない。

 

「なんとも、まぁ」

 

「世知辛い話さ。人間相手だと、大量破壊兵器とか、非人道的兵器扱いされそうな兵器も、惑星を軽く吹っ飛ばせる相手には必要になるんだから」

 

21世紀の不穏な社会情勢で大人になった彼女たちは、昭和以前の楽観的な価値観がどことなく残るのび太たちに比べ、冷めているところがある。若き日からプリキュアであったので希望を信じている方だが、のぞみでさえ理不尽な大人社会で生きるうちに目標を見失いかけていた。そのため、必ずしも全員が現役時代と同じ心境で戦うわけではない。それもある意味、青春時代に異能を一時的にでも得た者の宿命と言えた。同時に、若き日に『現実』を見せなかった妖精たちの罪な一面とも言えた。ドキプリが妖精なしでも変身が可能となっているのは、A世界にいる個体との同調などが理由である。

 

「でも、パートナーの妖精無しで変身できたのはなんで?」

 

「本来のシステムで変身したわけじゃないからね。緊急事態だし」

 

今回の戦争でのプリキュア達は1000年女王の力で『アカシックレコードから変身後の姿を具現化させる』という方法で単独での変身をなし得た。その都合上、能力を維持していたプリキュアもその方法で変身をさせている。A世界にいる個体との一種の釣り合い取りのようなものである。

 

「別世界に集められて、パワーアップした別の自分たちとの釣り合い取りかもしれない。今回に集まってもらった子達の多くは、その世界に集まったメンバーだから。今回はガチの宇宙戦争だし、子供たちに深入りさせるわけにもいかないから、現役を終えてるあたしたちが前に出ないとね」

 

「確かに。とはいえ、あたしらは能力を持ったままだったから、引退したわけじゃないよ?」

 

「分かってるさ」

 

この時点で集まったメンバーは『魔女の世界』に集まっていたメンバーが大半であった。一方でスマイルプリキュアのように、全員が不参加のプリキュアもいる。国連も決起を期待したようだが、デリシャスパーティの現役時代の頃には初期世代のみならず、第二世代からも不参加のプリキュアが出ている。そのため、召集に応じてくれた者は少ない。魔女の世界にいる者も全員が動けるわけでは無い。そこはプリキュア達から力が(役目を終えると)失われるシステムが多数派であった故の弊害であったといえる。仮面ライダー達のように普段は隠棲しつつ、求める声があれば往年の勇姿を見せるほうが、世界の平和を守るという意味では正しいのかもしれない。

 

「あたしらがいなくなったら、地球は?」

 

「一部は地球に残ってるし、別世界のヒーロー達の加勢も取り付けてある。若い子らをあまり前に出せない戦いだしね、今回は」

 

大人のぞみは相手が相手だけに、若いプリキュア達を戦いに深入りさせたくないようであった。それは大人になった故の思考の変化であると同時に、実年齢が既に成人である自分たち『古い世代のプリキュア』が矢面に立つことを、大人の責務と考えているからであった。とはいえ、戦場は宇宙。現役時代とは勝手の違う場所である。魔女の世界にいる個体との記憶の共有がなされたプリキュアが生じたのは、そのためだろう……。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。