ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです


第二百二十八話「二つの世界にて 6」

扶桑皇国は制度疲労を起こしたと見なした華族制の存続の是非を考えていたが、史実戦後日本における旧華族の没落、身分を失った後の周囲の掌返しぶりに青くなった昭和天皇の命で、特権の時間経過による廃止に『後退した』。また、旧公家を特別視していた事の判明は旧諸侯の反発が容易に想像できたため、流石に昭和天皇も(案を)公にするわけにはいかず、結局は妥協的に特権の時間経過での廃止論に同意した。これには、貴族制を持つ欧州の大国が政治的に力を残したままという事情も絡んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

欧州は欧州で、それまで慣習的に認められていた『人種差別的言動で、東洋人を煽る』方法が全面的に禁じられたばかりか、過去に発言していた場合は罰則の対象になるというのは、現場の軍人らを恐怖させた。とはいえ、ウォーモンガーであるルーデルは例外的に対象と見なされなかった。それ以外に興味のないというのは既に周知の事実であったからだ。バルクホルンも若年期の発言がもとで、『減俸処分』を食らうなど、対象は連合国の軍人の多くに渡った。バルクホルンの場合は数カ月の減俸と始末書の提出くらいで済ませられたが、これは幸運なほうで、最悪の場合は人種差別の罪で不名誉除隊になった。これは日本主導の政策で、『無駄に多い』と見なされた軍人のふるい落としの一環であった。しかし、怪異のある世界では、人種差別意識などは吹き飛んでいたし、扶桑の武士団が大暴れした時代の記憶が欧州に残っていたため、東洋人を怖がる風潮すら残っていた。その判明により、欧州諸国の将校が不名誉除隊となるケースは減少に向かう。それは史実の江戸幕府が懲罰的な意味合いでの『改易』を減らし始める際の経緯と似ていた。とはいえ、それはダイ・アナザー・デイで突出してしまった『扶桑人』の武力を抑え込みたい勢力の圧力もあったが。

 

 

 

 

 

ダイ・アナザー・デイでの欧州はカールスラントの無力化、ロマーニャの予想外の敗走により、いいところがほとんどなかった。ルーデルやハルトマン、バルクホルンの獅子奮迅の活躍はあれど、国単位での活躍度は扶桑に到底及ばなかった。その当時はトワ、アストルフォ、ジャンヌ、アルトリア等の正式な帰属先は決まっていなかったためだが、過去の英霊が、日本で生み出された『概念』が具現化したような姿で『顕現』した事は、当然ながら、21世紀世界で議論を呼んだ。とはいえ、伝承通り、あるいはそれに近い能力で現代兵器相手に無双したという力の強大さは事実である。この問題は国際連盟、改組後の国際連合も対応に窮した。転生先が生前と違う国である英霊もいるからである。この問題の長期化も『欧州への手柄の分配』の議論が長引いた理由だが。更に問題なのは、64Fの幹部級の多くが黄金/白銀聖闘士を兼ねていたことであった。これについては、聖闘士が公的な集団ではないものの、オリンポス十二神の一柱が統括する武力であり、最下級の青銅でも、近代軍隊の一個師団を無傷で返り討ちにできる能力を持つのに、その更に上位の力を持つ階級に現在進行系で在位しているのだから。当然ながら、欧州の国々からは反発が強かったが、普通に『世界を十二人で制圧できる』との伝承が現地世界に残されているのみならず、なおかつ、ダイ・アナザー・デイの圧倒的無勢を跳ね返せた原動力であったのも事実なので、『要請があれば、世界全体のために動くこと』を条件に、公的身分等を据え置くという結論を連合軍統合参謀本部は下している。大国の軍事力を一人で吹き飛す。ダイ・アナザー・デイはその伝説を裏付ける戦であったからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ダイ・アナザー・デイ中――

 

「あの時、覚醒したてで、現役時代のパワーが出し切れなくて、苦戦するのも多かったんだけど……」

 

のぞみAはダイ・アナザー・デイ時には覚醒したてで、プリキュアとしてのパワーも現役最盛期の水準に戻りきっていなかった。そのため、必殺技で怪異を仕留めきれない事も多かったわけだが。

 

「どれどれ…。ま、戻りたてじゃ、こんなものだ。落ち込むな。さて……アトミック・サンダーボルト!!」

 

「!!」

 

プリキュアドリームアタックに耐え、再生しようとした怪異だが、アトミックサンダーボルトは再生の暇すら与えず、消滅させる。しかも、黒江は寝ぼけ眼の片手間で撃って、だ。

 

「と、まぁ、こんなもんか」

 

「せ、先輩……」

 

「聖闘士だってのは教えたろ?」

 

「つか、なんですかそれぇ!寝ぼけ眼で言う事ですか!?」

 

「昨日の空戦が夜戦で、長引いたんだよ。奴らにこの時代の飛行機の区分は意味を為さないからな。数百単位が入れ替わり立ち替わりでな……ふぁぁ~。三時間しか寝てねぇんだわ」

 

「落としたんですか!?」

 

「補給と再出撃を数回繰り返して、六割は俺とケイのVF-19で叩き落した。だいたい六割も落とせば、アメリカの連中は帰ってくれる」

 

「先輩、それで聖闘士なんですか」

 

「パイロットは趣味と実益込みだからな。高みに行くために聖闘士の門戸を叩いた。まぁ、今となっちゃ、ゼウスに気に入られてるがな。俺は基本的に山羊座だが、射手座もしたことがある。んで、アトミックサンダーボルトを使える。まぁ、そう拗ねるな。覚醒したてのお前と違って、言い方は変だが、転生はもう三回目くらいだからな」

 

「えぇーーーー!?」

 

「それに、シャーリーみてぇに、色々しゅごい過去生持ちらしいのもいるぞ。これから、色々と大変になるが、まずは現役時代の感覚を取り戻せ」

 

「あ、ハンバーガー……って、これ、どこから」

 

「ドラえもんの道具で造った。時代的に、某大手チェーンも黎明期くらいだろ、今頃(1945年当時)は」

 

「つか、先輩、ごく当たり前に食べてますね……」

 

「21世紀の空自にも平行して在籍してる身だぞ、俺。お前らと食い物の感覚は変わらんさ」

 

黒江は畑のレストランで作ったハンバーガーをキュアドリームに差し出し、食べさせる。

 

「ドラえもんと本当に親しいんですね」

 

「ああ。だが、ヤツはある時点で行方不明になったらしい」

 

「ど、どういうことですか」

 

「これもややこしくてな。のび太の要請に、歴代のスーパーヒーロー達が応じてくれる理由だ。そうだな、今後のためにも話しておくか。俺も最近に聞いたばかりでな」

 

 

 

「……って感じです。事も無げに、聖闘士の技を撃ってました。その時辺りから、あたしは幹部級扱いになりまして」

 

ダイ・アナザー・デイの事後に行われた上層部による設問は次々と明らかになった『それら』の管理をどうするか』という問題への対応のためであった。だが、この問題は次なる戦争が急速に差し迫ったため、棚上げ状態に陥った。

 

 

 

 

 

リベリオンの国力があれば、ものの数年で太平洋戦線は開かれる。欧州は楽観的であったが、日本連邦は史実で『あっという間に劣勢に追い込まれた』記憶から、軍部は戦力の強化に予算を費やそうとしたが、日本側は本土の強靭化を理由に、軍部の予算の多くを削減し、人員削減もした。だが、たった数年で戦線が開かれてしまい、今度は魔女の世界の各国から非難された日本。結局、扶桑は地球連邦軍の協力で兵器を強化し、抜けた人員は義勇兵で補うという戦略を取るしかなかった。日本が兵器の供与等に踏み切ったのは、のぞみの事件で完全に弱みを握られた後であり、完全に遅きに失していた。

 

 

 

 

 

このグダグダは扶桑軍を警戒した防衛省内の警察官僚組の『たった数百の艦艇で、数千のアメリカに勝てると思ってるのか!』という勘違いからの喧嘩腰が始まりであったという。だが、扶桑軍は自分らの楽観論で『国が焦土になった』事のほうが半ば正史になっていることに震え上がっており、地球連邦軍に泣きついてでも、装備近代化を押し進めた。日本側が気がついた時には、21世紀のそれより性能の良いファランクスやRAMが出回り、戦艦の高角砲と機銃もパルスレーザー砲に換装が進んでいたという有様であった。主砲周りは宇宙戦艦のものという、オーバーテクノロジー満載の状況。また、大和型の弱点と名高い副砲は撤去され、後に残されたスペースに暫定的にCICが置かれていたりした(後の再改装で変更されるが)。その一方で、防衛省が流した『第一世代型護衛艦』の設計は採用され、順当に量産されていた。これは日本駆逐艦の設計では、戦争後半以降に一般化した電子装備などを載せられないとされたためで、扶桑の駆逐艦は急速に戦後化していった。海援隊が連合艦隊に取り込まれるため、海援隊の隊員は直ちに軍籍を得るものとされた。民間軍事会社では無くなるからである。このことも近代化の促進の理由に用いられた。日本が現存艦隊主義を取らせたのは、この近代化をさせたかったためでもあった。その中で日本側が手出しできなかったのは、攻勢的な空母運用であった。プロペラ機の時代の経験しかない上、それもはるか以前の過去のことである日本側には、洋上で空母を運用するノウハウはとうに失われていたからだ。さらに、古典的な艦種である重巡や戦艦の運用ノウハウも継承されていないため、政治的に口出しは憚られた。特に、八八艦隊型はいざ知らず、大和型とその発展型が竣工した世界であったのだから…。

 

 

 

 

 

 

ダイ・アナザー・デイで、大人のび太との関係を公にした、宇宙刑事ギャバンら銀河連邦警察。長期政権を担ってきたコム長官の引退が迫ってきた時代なようで、その後任人事が難航していること、その娘婿かつ、親友の子であるギャバンを内勤にし、後進の育成に宛てたいという組織の都合も絡んでいたが、銀河連邦警察自体、ドラえもんに(間接的に)助けられた恩義があったので、のび太の要請に応えた。そして、バード星の『伝説の戦士・シャイダー』の最期を看取ったのが、のび太の遥かな先祖の一人であったことが確認され、その意思をのび太以降の子孫が正式に一族の使命としたことも、銀河連邦警察を動かしたのである。また、のび太と親しくなったギャバンが要職に抜擢されそうなので、銀河連邦警察はのび太の要請があれば、最高戦力たる『三人』(ギャバン、シャリバン/スピルバン、シャイダー)を派遣するようになったのだ。

 

 

「……のび太くんの一万年くらい前の先祖が?」

 

「ドラえもんに確かめてもらった。バード星の大英雄の一人の親友であり、最期を看取ったってよ。地球を守る使命を、遥かな先祖の代で背負ってたってことだ。お前も、もう『力を捨てること』は許されん身だ。どうする?」

 

「……門戸を叩きます。ここまで来た(ZEROと融合した)以上、突き抜けようかと」

 

「よし、話は決まりだな」

 

この事も、のぞみAが聖域の門戸を叩いた理由であった。聖戦後の聖域はまともな聖闘士がほとんどおらず、ゼウスの厚意で、戦死者を蘇らしてもらったほどの戦力不足にあった。Z神は『他の連中(神)が手出ししてくるやもしれん』と述べ、アテナの施策を追認。シオン以下、同意の取れた数名を(全盛期の肉体に固定した上で)蘇生させた。また、既に現地も、1991年を迎えようとしている頃であったため、Z神は『女聖闘士の掟は有名無実化して構わん』と最高神として下令。また、教皇以下の聖闘士の体制を一から作り直すと、百年単位の長い年月がかかるため、経験者のシオンに再任(若い肉体で)してもらい、聖域の体制を復旧させるしかなかったのである。このため、前任者達が(主に有事即応要員)留任したりしたのである。また、星矢の生存には全力が注がれた。これは『天馬星座無き聖域は滅びるだろう』という神話時代の予言があったことによる。実際、天馬星座の聖闘士がいない場合の聖域は聖戦に負けるケースが平行世界で複数回も確認されたからで、それが重く見られた事による。

 

 

 

 

 

結局、扶桑の国民を大きく動揺させた罪を問われた日本は結局、自国の技術の多くをを供与したり、日本の戦前から存続する大企業に、その前身と同じ企業にあたる、現地の企業を子会社化させるなどの救済措置を行わざるを得なかった。時代的に、大企業経営のスーパーマーケット等もないため、軍を辞めさせても再就職は難しいし、農村出身者の中途退職は凄惨ないじめの対象になり得る。この問題が生じたため、『窓際族』は生まれていく。扶桑では『軍の出世コースから外され、皇室への忠誠心もないと見なされた輩』という意味合いから生まれていった。それまでの軍閥の解体の過程で、64F以外の部隊が『お飾り』状態に陥っていったのに、『政治的に不始末をした場合は(前線で)派手に死んでもらうが、家族は不自由させない』という暗黙の強制を日本側が強く押し進めたためであった。横の繋がりが(日本型組織での)連携に不可欠であるとわかった日本も、黒江たちと交友関係にある者を出世させ、前線指揮に充てるなど、場当たり的対応でお茶を濁した。とはいえ、太平洋戦争の日本で『大局的行動をとれた』者は少ないし、南雲忠一や栗田健男などの『史実の敗将』に代えるべき人材も、史実ではいいところなしの戦歴の者が多いため、(海軍は)結局は山本五十六に軍政をやらせ、軍略は小沢治三郎、ないしは山口多聞にやらせるという妥協案が取られた。空軍は史実で戦後の空自に在籍した参謀達や井上成美にやらせることとなったが、空母艦載機部隊は結局、既存の部隊は『書類上の所属が変わっただけで、やることは同じ』という状態になり、陸上に上がっていた部隊は戦わずして、能力を落としてしまう(整備班長の不手際による自刃など)不手際も起こした。この状況により、現存艦隊主義が取られたが、デコイ代わりに、戦艦部隊は馬車馬のように酷使された。この結果が『水上艦のドック入り』という無様な有様であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とはいえ、デモイン級重巡洋艦の登場により、従来の重巡の全てが陳腐化してしまう事態となるのは、扶桑も予想外であった。伊吹型は所詮は『鈴谷型の武装強化型』でしかないため、量産を扶桑は躊躇ったが、旧式重巡の代替が急務であったこと、ダイ・アナザー・デイ時点で『船体の工事中』であったことから、装甲を緊急で強化するなどの変更を施された。空母化が(急に)撤回された事から、工廠が大混乱。結局、『旧来型軽空母の陳腐化により、却って水上戦闘艦艇が必要になった』流れから、伊吹型は無事に重巡として完成したが、あくまで『繋ぎ』目的での建造である事から、当初から一線級と見なされない有様であった。これは本来、扶桑は『超甲巡』で甲巡の任務を代替するつもりであったからだが、それは『巡洋戦艦が適当な艦種である』とされてしまったため、結局は重巡の建造が再開された。この結果、新世代の戦艦が300mを超える大きさとなり、旧世代のものは最後のご奉公として、練習艦などに転用されていった。

 

 

 

 

 

 

その一方で、戦闘が主目的でない巡洋戦艦であっても、一世代前の戦艦と同等の長砲身40cm砲を必要とする日本側の要求には、扶桑軍は呆れていた。だが、日本側の想定する仮想敵はアイオワ級戦艦(旧来の40cm砲には耐えられる)以上の高性能艦であったし、ベネチアやガリアに『変節』が噂されていた時期であるのも事実。結局、扶桑は超甲巡を実質的に『巡洋戦艦』化することで、日本側の要求に応えた。その兼ね合いも、重巡の建造再開の理由である。それらが完遂される見通しなのが、(少なくとも)1953年。これは急いだ場合である。日本側は航空燃料や重油、潤滑油の備蓄を『三倍以上にせよ』というが、扶桑の備蓄量は(燃料の『いらぬ』艦艇の分を省いても)『連合艦隊が数年は休みなく動ける』分には達していた。更に言えば、既に、ドラえもんの尽力で『全世界的な輸送ネットワーク』の構築に成功していた。足りないのは『新式の兵器と、それを縦横無尽に操れる乗り手』であった。

 

 

 

 

 

 

 

64Fの帰営までを支えた功労者として、Gフォースは扶桑皇国から最高の名誉を賜った。特に航空部隊の活躍は目覚ましく、ジオン残党との戦闘をくぐり抜けた猛者達の存在、超兵器の効果は絶大であった。日本は(厄介者と扱った者達が)英雄になる様を目の当たりにし、愕然。扶桑の基準で金鵄勲章の叙勲基準を満たしたからだ。また、扶桑の軍人のかなりを『使い物にならなくした』負い目から、日本防衛省もこの叙勲の辞退はさせなかった(野党は政治問題化を恐れ、手を引いていた)。この時期には、統合戦闘航空団でも横行していた『物資と人員の横取り』は兵站周りのシステムがコンピュータ化された影響で不可能となった(グンドュラ・ラルがガランドの後任人事を引き受けたのは、『物資と人員の横取り』が明るみに出たことで、軍法会議で軍刑務所に収監されるか、人事を引き受ける代わりに、これまでの行為を不問に付すという選択を迫られ、引き受けるほうを選んだからである)ので、Gフォースは豊富な補給を受けられたが、それと引き換えに『便利屋』とされていたのである。通常部隊が案山子も同然の有様となっている現状では、彼らこそが要であった。

 

 

 

 

 

 

 

とはいえ、南洋の中央部の地下工廠では、ありとあらゆる兵器や食料品の生産が半自動で行われており、既に製造される兵器の平均的な水準は史実の1950年代のそれに達していた。扶桑軍は劣勢ながらも、精神的な余裕があるのは、それらが行き渡れば、逆転できるという希望があったからである。実際、自分たちが異常なのであって、他は兵器技術が戦間期水準のままである国のほうが多い。ブリタニアとて、ライオン級戦艦も史実の最初期の設計で造られたために、ダイ・アナザー・デイでの大立ち回りという見せ場はあれど、旧式化を露呈。だが、ブリタニアの疲弊で、その後継のクイーン・エリザベスⅡ世級への置き換えは完全にはなされない見通しであった。その都合もあり、扶桑は十隻以上の新鋭戦艦を稼働状態で維持しなければならなかった。原子力潜水艦の建造がタブーであったため、『戦艦が抑止力となるなら』という理屈で、日本も維持の予算をひねり出しやすかったからである。空母が護衛艦隊込みの値段で高額とされ、その規模で扶桑と日本が大揉めとなっているため、戦艦と重巡は『明治末~大正期の旧式艦の更新』という題目が使えるために、比較的早期に代替艦の予算が手配できた。空母が(全ての装備の高額化で)遅々として更新が進まない中、水上戦闘艦艇は加速度的に装備が刷新されていった。

 

 

 

 

 

黒江たちの超人ぶりは皮肉なことに、プリキュア達の登場、それをも上回る能力を持つことが明らかになることで、周知の事実となった。また、一国の軍をも一人で倒せる力(聖闘士)を誇っている事も、ダイ・アナザー・デイでのミーナの起こした不祥事をきっかけに、全世界へ公表された。これにより、扶桑陸軍は針の筵状態となった。結局、彼らは黒江たちの軍閥化を恐れたが、エースの尽くが『転生者』であることが判明すると、一転して『手放した』。扶桑空軍はこうした政治の世界での駆け引きで設立された。魔女閥はこのような動きに反発したが、逆に自分達が公の立場を失うか否かの瀬戸際に追い込まれていった。魔女は(宮藤芳佳でもない限り)戦略に影響を及ばさないが、黒江達は多大な影響を及ぼせる。この差が政治家たちに『魔女の公的権利の縮小』を検討させるに至った。大量雇用での軍事的メリットが見いだせなくなったからである。

 

 

 

この流れは魔女閥の必死の抵抗にも関わらず、北方戦線の敗北で決定的になったわけだが、芳佳は『100年単位で一人の突然変異』である事が判明したこと、黒江達は魔力と別の異能を主力にしていることの判明(逆に言えば、魔力値自体は平凡であった事の表れ)で、魔女たちは苦境に立たされた。北方戦線で無惨に敗北したことも、政治的な痛手であった。当時、既に各国では(1945年当時のエース達からの)世代交代が一定程度は進んでおり、額面上の戦力と差があった。そのために、怪異の強大化に対応できなかったのである。北方戦線に日本連邦は無関心であったが、他の各国はそれなりに防戦に努めた。その懲罰も含めての太平洋戦争への『細々とした支援』であったが、逆に、それが日本連邦の総力戦体制を強固にする大義名分に使われた。

 

 

 

 

 

 

 

陣地高射砲は『五式15cm高射砲』や『三式12cm高射砲』で統一された。ミサイルは一発の値段が高価に過ぎるという難点が総力戦では問題視されたため、旧式とはいえ、弾丸自体は安価な高射砲は重要な兵器となった。野戦防空は携帯式防空ミサイルシステムの量産等で対処するとされた他、烈風や紫電改などの旧式機も防空用に少数を残すという方針とされた。これは防空戦では『数が重要』であったからだ。また、改装の際に大和型から降ろされた主砲塔と副砲塔も防空砲台として、沿岸部に配された。また、野比財団はこの時期に、23世紀で発見された『鳥人戦隊ジェットマンの遺産』の近代化改修を終えていた。これは鳥人戦隊ジェットマンの再結成が(後年においては)不可能であったので、残されたメカニックを再利用するのが最善であったからである。試験的に『大決戦』で使用された後に、本格的に改装されたのである。同メカニックは64F基地の第7格納庫に保管された。

 

 

 

 

「鳥人戦隊ジェットマンのメカを預かったのは、彼らの本来の所属組織が解散してる上、ブラックコンドルが1995年に亡くなったんで、以後の時代の再結成が不可能になった後、メカニックが宙に浮いた状態にあったからだ」

 

「つまり、ジュウレンジャーに代替わりした後は放置されてたんですか」

 

「次の公の組織の戦隊はオーレンジャーだし、その頃には、色々と管理も入り乱れてたみたいでな。2025年を最後に、彼らの出現は途絶えるみたいだ。それもあって、放置されてたんだろう」

 

スーパー戦隊の出現は2025年が区切り。のび太はそう報告したと、黒江は言う。その兼ね合いから、それまでに現れた戦隊のうち、比較的に古い年代の戦隊であれば、(アカレンジャーやビックワンも)動向を把握しているとのことで、付き合いやすい。

 

「今回の遠征は長くなるし、お前は途中でウマ娘世界にいくからな。その前に伝えておく」

 

遠征前に、黒江はそのことを伝えた。そして、64F主力は帰還したわけだが……。

 

 

「で、お前らはどうする?」

 

「もうしばらくは、このままでいる。のぞみもがんばってるみたいだし、あいつに『呼び出し』があるやもしれんだろ」

 

「私もちょうど暇ですし、トリプルティアラを取るのが因果レベルで確定しているのがわかった以上、慌てる必要はないですわ」

 

ジェンティルは自分の近未来が判明した故か、状況を愉しむ方向にシフトしたようである。ブライアンはのぞみのがんばりを観察してみたいという考えもあるようだった。

 

「普通に行っても、G1の五勝はカタイ連中は言う事違うねぇ」

 

「そりゃ、あたしらは普通に『歴史に名前が残る』レベルの馬だったんだぜ?その記憶が宿りゃ、多少は『遊んだ』っていいだろ?」

 

「まぁ、お前クラスのツワモノが言うなら……」

 

と、どこかで聞いたような言い回しをしつつ、ゴルシの詭弁にため息の黒江。とはいえ、このクラスのウマ娘であれば、全能力を発揮せずとも、並大抵の相手は『なぎ倒せる』。ジェンティルドンナを例にしても、同期で太刀打ちできる可能性がある同路線のウマ娘はヴィルシーナくらいなもの。ナリタブライアンにしても、顕著に能力の衰えた『史実の晩期』ならいざしらず、絶頂期のキレを取り戻した状態の現在ならば、後輩たちの殆どは未だ寄せ付けない。絶頂期のブライアンは同時代の『無敵』を謳われた。それに、経験がプラスされればどうなるか。『怪我がなければ、ルドルフ以来の逸材となり得た』。それが今のブライアンに与えられた評価である。

 

「どのうち、私の評価には、後世で『怪我さえしなければ~~という修飾語がつきまとうだろう。別の世界線では、史実通りに夭折しちまったようだしな……。その世界線の姉貴からの伝言を、オグリさんから聞いたが……私はその世界線の自分の分まで走らんとならん」

 

「その世界線のお前さんは『すべてが裏目に出た』んだろう。現役の後半から……。だから、別の世界線なら、と、姉貴が夢を託すのもわかる。お前の姉貴は……」

 

「……ああ。今なら、気持ちの整理がつくが……姉貴はガキの頃、私の眼の前で大怪我していたんだ。それが再発したんだろう。いわば、運命。姉貴は諦めたように言った。私はそれが嫌でな……」

 

 

ビワハヤヒデは理論派であるが故に、『運命に抗う』ことを選ばなかった。ブライアンは夭折した前世の記憶が『抗う』ように動かした。この差が皮肉にも、ブライアンが今回のことを選んだ理由の一つであった。

 

「その世界線のお前さんは走りたがったが、病気で叶わなかったそうだ。それを知った以上……」

 

「ああ。のぞみにも言ったが……走るさ。その世界線の自分自身の分もな。オグリさんの後継として……」

 

オグリの異名である『怪物』を引き継いだ世界線に生きているため、オグリの後継ぎにふさわしい幕引きを考えていると、ブライアンは言う。それは『有馬記念の勝利』。オグリが最後になし得た奇跡にして、後世の競走馬たちに色眼鏡かつ『呪い』になっているとも言われる事柄。アーモンドアイがその輝かしいキャリアでなし得なかった栄冠であり、ジェンティルドンナがなし得た名誉。

 

「引退が有馬はむずいぞ?」

 

「なに、キタサンが将来になし得る以上、私にやってやれんことはないだろう」

 

「ま、あたしらにとっちゃ、当分先の事だけど」

 

ブライアンは年齢的に、引退を視野に入れていいが、他の二人は『これから』の若手。それを聞き、苦笑いのブライアン。とはいえ、指導者などのセカンドキャリアは向いていないため、選手ではあり続けるつもりである。これは史実で、自身の産駒が走らず、サイアーラインの直系が早いうちに絶えたことを知った故でもあった。

 

「とはいえ、ブライアン。お前、なかなかの剣技だが、どこで身につけた?」

 

「……不本意ながらも、親父だよ。ガキの頃、度胸をつけさせるだの、なんだの…。それで、あれこれの武術をやらされたんだ。レースに出るにしろ……とか宣ってな」

 

ブライアンは子供の頃の性格が臆病であった。それを見かねた父親に武術をやらされたとのことで、のぞみ同様、天賦の才だけで、高レベルに戦闘をこなしてしまう。二人には、やはり共通点がかなりあるのだ。

 

「それで、あの剣技かよ」

 

「おふくろの親類に、居合道の達人がいてな。それで仕込まれた。最も、ビコーのヤツじゃないが、ガキの時分には、人並みにヒーローものも見ていたんでな」

 

「うーん。お前、マルチだぞ、それ」

 

それらの話を総合すると、ブライアンは見様見真似だけで、かなり高レベルの立ち回りをしてのけていることになる。ましてや、当代最強クラスの戦闘の達人がゴロゴロしている環境となれば……。

 

「ビコーには言うなよ、後々に面倒だし、人並みに見てただけで、あいつのようなオタクでもないし」

 

「わーった。お前らの世界も普通にあるんだな、そういうの」

 

「ウマ娘がいるから、スタントのなり手は多いと思うけどな。この世界の事知ったら、鼻血出すレベルで、大いに喜ぶと思うぜ」

 

「等身大ヒーローは多数が確認されてるけど、巨人系はあまり確認されていない」

 

「光の巨人は?」

 

「M78星雲があるから、いるとは思うんだけど、該当する時期には、大規模な防衛組織が無くてな」

 

「獅子座の姉妹星は?」

 

「確認されたが、マグマ星人に滅ぼされてると思われる。あの巨人は数多いだろ?どこがどこだが……」

 

と、78星雲以外を故郷とするウルトラマンも増えていることを肯定する黒江。ドラえもん世界の該当する時代には『科学特捜隊』や『ウルトラ警備隊』に相当する超国家的な防衛組織が存在していなかったため、詳しいことはわからない。ただし、戦後間もない50年代に、初代ゴジラらしき怪獣による災害が起き、オキシジェン・デストロイヤーらしき兵器が使われた事、ゴジラの再来を恐れた日本政府が自衛隊に『旧軍の極秘研究を引き継ぐ』ように極秘裏に通達を発していた事、いくつかのウルトラマン達の存在は(TVと関係なしに)知られていたであろう証拠も、23世紀で見つかったという。また、ウルトラマンの中のウルトラマンともされ、M78星雲のウルトラマンの長とも言われる『ウルトラマンキング』は素の能力で時天空に対抗しうる存在とも言われる。

 

「ウルトラマンキングに連絡取れたらなぁ」

 

「あのお方、ガチでオリンポス十二神か、それ以上の神格と同等かもしれんからなぁ。本気で動けば、世界の理を曲げられるそうだ。たぶん、俺達で対処できないくらいのヤツがきたら、手を貸してくれるだろう」

 

「キングの力がいるくらいの敵って、いるか?」

 

「プリキュアの力で対処できなかった敵がどこかで確認された。そうでなきゃ、ZEROの因果律兵器にひっかからんからな。のぞみらもそれを危惧している」

 

「ウルトラマンか……」

 

「彼らも元は人間だったそうだ。人工太陽の光線で種族単位で変異して生まれた。キングは元から、ああだったって話だがな」

 

ウルトラマン達も、元は地球人型タイプのヒューマノイドであったらしい。それはTVなどで触れられた事があり、子供でも知っている。その彼らをしても、手も足も出ない危機に対応できる『ウルトラマンの神』がウルトラマンキングであろうと言われている。

 

 

「彼らの中の精鋭戦士団がウルトラ兄弟、特にタロウまでの六人が最強だそうだ。のび太がガキだった頃はな。のび太は仮面ライダー、それも昭和派だったから、それ以上はチェックしてないんだそうだ」

 

「ある程度の年齢になると、等身大のヒーローのほうがカッコよく見えるからなぁ。それに、あいつの時代、巨大ヒーローを小学校の中頃まで見てると、バカにされるって言ってた」

 

「まぁ、大きくなると、対外的用の『趣味』をでっち上げないといけねぇからな。平成の始めの生まれまでは」

 

「上の世代が昭和のファミコン以前の世代だったからな。平成の後期になると、映画は一回見るだけで、数千円が飛んじまう」

 

「のび太の親父さんが腰抜かしてたな。昭和の中ごろは、1000円でポップコーン込みで、一日居られたのにって」

 

「仕方ねぇ。今はシネコンの時代だからな」

 

のび太が40代の目前になりつつある2020年代には、すっかり過去のものとなったが、そういう風潮があった。特に、昭和の『戦後生まれ』の初期世代が現役のうちは、『20を越えたら、車やゴルフ、麻雀を趣味にすべし』という認識が強かった。のび太もそのうちの車を『対外的な趣味』としている。そのうち、子供の頃から、アニメを見ていた世代が大人になり始めると、アニメ鑑賞を趣味としていても、問題にされなくなった。特撮ヒーローは90年代の終わり頃以降は気にされなくなったともいう。

 

「そういうものですのね?」

 

「お前の家ほどの地位があればいいけど、普通はそうはいかねぇんだぞ、ジェンティル」

 

と、ゴルシはいう。メタ・フィクション的だが、世の中、アニメや特撮好きは長らく、『肩身の狭い』思いをしてきた。第一世代のオタクが社会の中枢部に入り込み始めた時代になって、初めて『国がその力を利用せんとする』ようになるが、『第二次ベビーブーム世代が青年のうちにやるべきだった』とも批判される。また、自家用車で遊ぶという発想が時代の変化で薄れたこと、不景気が2000年代以降も続いた結果、旧来型の趣味をしようにも、『金のない』若い世代が当たり前になり、結婚すれば、家族サービス用の車しか買えなくなる。遊び用の車など、富裕層しか不可能だ。

 

「世の中、中流以下のほうが多いからな。そこから成り上がったほうが珍しい。のび太は政治的な功績で成り上がったがな」

 

のび太は扶桑との友好促進などの功績で、2020年代の頃には名士と扱われている。21世紀には珍しい立志伝とされているが、実際には血を流して得た信頼によるもの。表沙汰にできるのは、ダイ・アナザー・デイの時の『骨川コンツェルンの仲介人』としてのもの。裏では自分も血と汗を流しているが、表沙汰にできるものではない。

 

「21世紀のご時世、不景気だしな。それでも、扶桑の金で、多少はマシになったが」

 

「まったくだな。1990年代の後半に入るくらいの頃に時間を巻き戻したにすぎんが、それでも、本来の状況に比べれば、だいぶマシだろうさ」

 

日本は扶桑から得られた資金で、経済関連の時計の針を1990年代後半の頃の状況にまで巻き戻したことが語られる。その頃と違い、軍需の需要が扶桑向けに出たため、以前よりは腰が入った状態であるらしい。

 

「のび太はその功労者の一人として、経済史に名を刻むだろう。本来、お互いの時代が80年近くズレてる国を結びつけるのは、いうほど容易いことじゃないからな。特に経済関連は」

 

のび太は日本連邦の成功の立役者として、その後の時代、偉人として語り継がれていくことになる。また、彼が30代になるまでに、学園都市により、ロシアが衰退していたため、それに代わる『東側諸国の盟主』を自負する中国は静かに爪を研いでいき、統合戦争の当事者となる。

 

「これから、彼の世界はどうなってゆくのです?」

 

「ゆっくりと統合戦争へ向かう。それが終わった後に、一年戦争からの戦乱だ。宇宙開拓時代って、いいところもあるが……内乱の時代に入っていく。ヒーローやゴルゴとかの抑えが消えたのも、その要因かもしれん」

 

統合戦争以降は戦乱期。それが地球人に課せられし試練のようなもの。

 

「だから、のび太のカミさんには言えないのよな。せっかく、地球連邦が出来ても、性懲りもなく、内乱に明け暮れるなんて」

 

「その過程で、シドニーとパリが消し飛んじまうんだぜ?日本はジオフロントの研究が進んでたから、なんとか難を逃れたらしいが」

 

一年戦争以来の戦争で、いくつかの歴史ある都市はこの世から消し飛んだ。統合戦争と一年戦争でニューヤークは壊滅、北米の主要都市も多くが消し飛び、デラーズ紛争で北米の穀倉地帯は壊滅。ドラえもんの力で復興に向かっている。

 

「特に、アメリカのあった北米の東海岸は『人の住める状態』じゃなくなって、元のアメリカ人はネオアメリカコロニーに集まってると来てる。こんな有様になるんじゃな」

 

結局、コスモリバースとひみつ道具の力で、北米の穀倉地帯を復活させたが、かつての工業地帯が大ダメージを被ったことには変わりはない事から、北米は無法地帯化しているという。

 

 

「ま、お前さんなら、相手がデビルリバース級の巨漢だろうと、ひねり潰せそうだけど」

 

「それは否定しませんわ」

 

「マジカヨ……」

 

ジェンティルドンナのパワーはウマ娘としても最強クラスであり、パワー重視である、カワカミプリンセスの更に数倍であるという。それ故か、パワーに自信を覗かせた。

 

「うーん。グレートホーンでも覚えてみるか?」

 

「おい、カマセの代名詞じゃねぇか、アルデバランは」

 

「本人いたら、泣くぞ?」

 

牡牛座の黄金聖闘士はいいところ無しで生涯を終えることが多いことから、黒江達からも『典型的かませ』と見なされていた。とはいえ、本来は敵への第二の壁としての役目を担う偉丈夫のポジションである。ただし、ここ数代のアルデバラン(ここ数代の牡牛座は『アルデバランの名を継いでいたという)はテンプレ通りに死んでいるというが。

 

「事実だろ、アルデバランは」

 

「本人が冥府で泣いてるだろうな……」

 

ゴルシからもそう認識されるくらい、1990年のアルデバランはいいところがなかったのも事実である。ちなみに、冥府にいる本人(アルデバラン)はこの一言に苦笑したという。(彼自身は手柄を立てられぬままで戦死したので)とはいえ、ジェンティルドンナはこの後、グレートホーンを会得したとか…。

 

 

 

 

 

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