ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第二百二十九話「二つの世界にて 7」

扶桑軍は魔女偏重の軍政を根底からひっくり返された上、ジェット機への知見を変えざるを得なかった。この時の粛清人事以降、扶桑軍では北方への赴任=左遷という認識が定着していく。F-86があまりに革新的過ぎたのである。日本側からすれば古典的機種だが、Me262から飛躍的に進歩した設計の同機を量産しない手はなかった。ダイ・アナザー・デイでMe262より進歩した設計の機種が矢継ぎ早に投入されてきた事も、同機の量産の決定打となり、日本連邦は数週間で数千機を量産した。その時点での最高性能の戦闘機であるからで、雷電や月光などの旧式局地戦を消耗した部隊から優先して配備された。史実からの改善点として、エンジンの燃費が向上した他、機銃も20ミリ機銃の四門に変更されていた。また、史実で現役末期に搭載された空対空ミサイルについては、必要な部隊のみに支給されるオプションとされた。標準装備化は太平洋戦争まで待たねばならなかった。

 

 

 

 

 

 

 

黒江達が個人のツテでVF-19以降の可変戦闘機を保有してなければ、ダイ・アナザー・デイの制空権は崩壊していた。万単位の敵を迎え打てる戦闘機など、可変戦闘機やコスモタイガーをおいて、他にないからだ。第一世代ジェット機が戦場で無敵とされている時代に、更に進んだ世代の戦闘機を使うのはチートであったが、物量合戦では絶対に及ばない故の選択であった。特に、連合国では、50機も動員するような作戦は珍しかったが、リベリオン軍は一回の出撃で数百~千機を普通に動員してくる。その事を鬼の首を取ったように、強く叩かれた扶桑軍は、ヤケクソのように、他の全戦線と本土から、全稼働機を集結させた。その補充込みで数万。結局、この時に反対した各地の参謀たちが本土召還の末に、義勇兵に病院送りにされまくったことから、扶桑軍での参謀職は有名無実化が進展。自衛隊の幕僚がその代わりを勤めた。後世、『魔女はダイ・アナザー・デイで働いていれば、特定の世代が白眼視される事はなかった』とされるが、『魔女達の好む武器では、F6FやP-47は落とせなかった』ので、『却って被害を増やしていた』だろうともされる。実際、既存の九九式20ミリでは、F6Fの装甲を撃ち貫き難いところがあり、紫電改の20ミリ砲四門を以てしても、致命傷を負わない事例が相次いだ。即座に機銃のさらなる長砲身化、炸薬の世代交代などが実行された。とはいえ、さらなる大口径である30ミリ機銃は局地戦闘機部隊以外の需要が乏しかったのも事実であった。魔女は携行弾数を重視する傾向があり、20ミリすら反対論があった。だが、相手が『重装甲を誇るリベリオン機』であったため、最低限度の火力にすら到達していない問題が発覚。航空行政の一大不祥事となった。

 

 

 

 

 

 

ダイ・アナザー・デイを通して戦った、魔女の部隊は64Fを含めて、指で数えられる程度。ほとんどは『最末期にサボタージュを止めて参戦したが、部隊が一回で半壊以上の損害を受けた』という醜態を晒した。特に零戦が新鋭機扱いであったところに、大戦末期型の高性能機が続々と現れたのは、魔女の部隊の心胆を寒からしめた。横須賀航空隊がクーデターに加担したのは、『自分たちの提言を無視して、雷電を生産ラインに載せたから』という怨恨からだが、ダイ・アナザー・デイの状況が報じられた後は『本土防空の軽視』を叩かれる立場に転じた故の反発もあった。だが、機材の焼却は擁護不可能な事柄であり、同航空隊は(実戦部門以外を)解体となった。人員も懲罰的に前線送りにされ、多くは還らなかった。その悲劇により、以後の時代、魔女でエリートと見なされるには『64Fへの在籍経験を持つ』ことが肝要とされるようになった。

 

 

 

 

 

 

 

その64Fも(政治的な都合で)肥大化した組織を切り盛りするには苦労が伴った。数少ない熟練の魔女は多かれ少なかれ、それなりのリーダーシップが求められたし、プリキュア達は一騎当千であることが常に求められた。その都合、波紋法や小宇宙は願ったり叶ったりであった。精神面の鍛錬と、転生後の肉体に力を馴染ませる目的を兼ねて、変身をできるだけ維持する方法も推奨された。それに最も熱心であったのが、キュアドリーム(のぞみ)であった。ダイ・アナザー・デイでの苦戦と、騒動が要因であった。また、その過程で、現役時代の能力の枠を飛び越えることを模索。その結果が、現時点での『圧倒的破壊力』であった。騒動の後はドリームの姿で勤務するのが常態となった(却って、プライベートの時間が取れる事から)が、それは騒動の際に、『プリキュア変身者なら、プリキュアの姿で勤務してくれ』と日本の当局が懇願したのも大きい。

 

 

 

 

 

これは大抵のプリキュアからすれば、信じられない要請でもあったが、既に現役時代の全てが知られている以上、変身した姿で過ごすことで、サイン攻めなどを(公務を理由に)躱せる事から、次第に他のプリキュアも追従するようになっていった。変身した状態であれば、色々とメリットがあったからでもある。その一方、雇用形態の都合で、飛行訓練は必要であったので、T-1B練習機が配備されている(扶桑軍では非武装の練習機は嫌われる傾向にある事から、後継は独自設計になる見込みである)。64F基地も改装が重ねられ(元は『富嶽』用の基地を予定していたため、用地に余裕があった)、合体型スーパーロボットも分離状態で収容できるまでになった。

 

 

 

 

 

「この基地、なんで、地下にこれだけのレクレーション施設や工場を?」

 

「元々、戦略爆撃機の拠点が予定されていたのを転用した関係で、スペースが余ってたんだ。それと、日本が扶桑の『軍都』計画を潰しちゃったから、その代替に、地下のスペースを活用することにしたんだよ」

 

元々、64F基地は南洋の軍都計画の一環で整備されていた。ところが、日本の市民団体等の猛抗議で計画がご破算となった。代替として、地下にレクレーション施設や工廠機能を集約させることになった。元々は地上の『基地の周りに施設を設ける』計画であったが、それがご破算になったため、軍の直轄の計画として、基地の周りの地下を開発する方向となったのである。これはハイパービルディングが軍部に嫌われていたこと、『容易に機能を失わないこと』を軍部が志向したためである。これはハイパービルディングを建築すれば、周りの土地の怪異の封印が解けかねない事が懸念されたためで、地下を開発するほうが『攻撃に強い』とされたためでもあった。これは地下街の構築の試験も兼ねており、この工事の結果如何によっては、扶桑本土の地下開発の促進になりえる。その関係もあり、規模は大規模となり、軍事区画と商業区画は階層が分けられた。軍事区画は工廠を内包した極大規模な施設であり、そこでは、水戸型戦艦の四番~六番艦の建造が進められていた。そのうちの一隻が大和の名を継ぐことになっていた。

 

 

「ここが工場の部分。陸海空の武器がここで造られてる。民間主導だと、のんびり過ぎて、戦時の武器供給には向かないから、軍の直轄工場が必要なんだ」

 

日本は工廠の廃止を扶桑軍に迫ったものの、雇用問題、軍への兵器供給速度の低下への懸念などで立ち消えとなった。特に、陸軍の小銃や機関銃の弾丸の供給の問題は死活問題であったため、工廠からの供給が続けられている。ただし、自衛隊の採用した機関銃は(どういうわけか)欠陥品だらけであった事から、在来の機関銃の供給も続けられた。特に、九二式重機関銃を代替出来なかったことは、防衛省内部でも大問題とされた。とはいえ、現場が好むのは、ドイツの誇るMG42であり、外征していない部隊のみに残るだけであったが。同機関銃は義勇兵らが大量に(弾薬ごと)持ち込んだ事から、そのまま使用されていた。戦中の製造であるので、戦後型へのMinimiへの更新が検討されているが、マタギの家系の出身者の多い扶桑の魔女らは、戦後で当たり前の弾幕射撃に不快感を顕にすることが多かったという。

 

 

「君はこれから研修を受けた後に、士官と扱われる。最も、この部隊じゃ佐官や将官がゴロゴロいるから、尉官は使いっ走りだけど」

 

キュアエトワールは合流後、このような研修を受けていた。キュアミューズ(ただし、アストルフォが素体なので、背丈は現役時代より数段高いが)から教えられる形で。

 

「君とボクは現役時代、交流がせいぜい数回こっきりだったからね。のぞみとも、一回くらいじゃないかい?」

 

「うん。はなは連絡取り合ってたようだけど、私の知るのぞみじゃないし。ここにいるのぞみは」

 

「平行世界の同一人物だよ。多分、全次元でも最強の戦闘力を誇ってる個体だろう。色々あって、闘いに関することに、成長直線を割り振りきってる。たぶん、君んとこのはなが見たら、泡吹くと思うね。よくも悪くも躊躇いがないから」

 

「あー……なるほど」

 

「今なら、敵の頭を普通に44マグナムで、トマトにするくらいにガンギマリしてるから。ボク達なら、普通にマグナム弾の装填済みの拳銃も撃てるし」

 

「なんか怖いよ」

 

「仕方ない。置かれた状況が昔と違うからね」

 

プリキュアの状態なら、マグナム弾を使う拳銃の反動も意に介さないので、マグナム弾入りの拳銃は戦闘向けのプリキュアも護身用に持つように至っている。

 

「それに、この世界の歴史を史実寄りにしちゃった責任がボク達にはある。直接的にしてなくても、間接的にそうさせちゃったからね。その責任を取る意図もあるのさ。この世界で働くってのは」

 

「どういうこと?」

 

「この世界じゃ、普通の人じゃどうにもならない怪異が古くから、いくつもの国を滅ぼしてきたそうでね。最近じゃ、中国……明朝の頃だという記録があるけど、そこで絶えてる。無論、各地に生き残りがいたけど、王朝の再建よりも、その土地に土着することを選んだ。この世界の日本には、そうした人たちの末裔が数多くいる。この世界では、時限付きの魔法使いが代々出ては、国を救ってきた。日本でも、森蘭丸が織田信長を救った故に、織田家がそのまま天下を取って、太平洋に漕ぎ出して、ムー大陸を発見した。ボクたちのいるここがそうさ」

 

「つまり、ここは戦国時代で歴史が?」

 

「本来は違う歴史を歩むはずだった。だけど、ある別の世界……機動戦士Ζガンダムって、ロボットアニメに極めて近い経緯を辿った世界から、戦争に負けた軍隊の生き残りが大量に飛ばされてきたことで、歴史が史実の血なまぐさい流れにされていった」

 

「そんな事起きるの?」

 

「現に起こってる。この基地がその証拠。1940年代の日本に不可能だろう、こんな近代的な作りの地下街を作るなんて」

 

キュアミューズはそう説明する。現役時代は幼い(HUGっとのキュアマシェリは年齢的には、現役時代のキュアミューズよりは年上であった)印象があったが、アストルフォとしての成熟した(その時は『男性』であったが)精神を持った状態で、キュアミューズに戻ったため、現役時代より遥かに大人びた印象を与えている。口調もアストルフォとしての男性的なものになっている。

 

「そんな状況になった理由を話すよ。長くなるから、覚悟してくれ」

 

こうして、キュアエトワールは自分たちが『オリンポス十二神』のうちのゼウスとアテナの意思によって、一つの世界に集められつつあることを知らされた。この時に、のぞみの『変容』と『担わされた役目』も教えられたわけだが、のぞみが『魔女の世界の日本軍人の家に転生していて、その家に代々伝わる拳法(草薙流古武術)の継承者としての使命を元から背負わされていたのに、プリキュアオールスターズのリーダー格としての役目を国連から期待された』という、トンデモな状況に同情せずにはいられなかった。エトワールも、以前に(別の個体としてのキュアドリームが)『リーダーっての、嫌いなんだよね』と口にしていたのは覚えていたので、周囲から否応なしに『まとめ役』にされてしまったのは、『大人の世界の都合』のように思えたからだが、実際大人の世界で生きるには誰かがまとめ役を担わなくてはならないので、不本意ながらもドリームにはその素質があったのだろう。ここからしばらくした後に、エトワールはオトナ世界へ送られたわけである。そのため、オトナ世界の輝木ほまれが『能力を復活させたわけではないので、ややこしいことになった。

 

 

 

 

――オトナ世界――

 

「今更、平行世界だって言われても、特に驚かないけど、私たち、高校くらいになってるから……」

 

「変身した状態だと昔のままだから、変わってる感覚沸かないよ?ま、私は現役時代から飛ばされたんだけど」

 

「エトワール、そんなキャラだっけ……」

 

「色々あってね。今回は艦隊戦だから、白兵戦に持ち込まないかぎりは出番ないと思うよ」

 

「異星人、それも話し合いの余地ないってのはわかったけど、どうやって死人を?」

 

「宇宙の文明には、もう死人になって久しい死体も、生前の全記憶を維持したままで蘇生させられる医療技術を持ってるのがいるんだそうな。それに加えて、施術した側がいつでも爆弾に転換できる技術もある。かれんさんの勤めてた病院はそれをやられた。それもあって、あの人は闘いに戻ったそうだよ」

 

オトナ世界のプリキュア5は同世界の個体に1000年女王らが能力を戻させて、復帰させた。大人になっている状態で変身しているので、覚悟はガンギマリ状態である。

 

「はな。今回はガチの戦争だよ。だけど、逃げるのは許されない。私たちが倒れたら、この世界の地球に、連中(白色彗星帝国)を防げる手段はない。核兵器なんか、閃光花火扱いの宇宙船を億単位で持ってるからね。あっという間に火の海にされて、生き残りは奴隷だ。そんなのは止めなきゃならない。だから、別の世界線の地球……といっても、銀河系に版図広げてる時代の……軍隊に動いてもらった。今回は総力戦ってわけ」

 

「地球はどのくらい?」

 

「できるだけ、武器をかき集めてるけど、船は万にいくかどうか。内乱のしすぎで人の質がだいぶ下がってるそうだから、無人兵器もかき集めてるそうだけど、大規模運用がタブーにされてたそうでね」

 

この「オトナプリキュア世界の動乱」は白色彗星帝国との決着を企図された事から、宇宙戦艦ヤマトと超時空戦艦まほろばを含めた、地球連邦宇宙艦隊の最精鋭がかき集められた。度重なる戦乱で数が低下していた地球連邦艦隊にとっては大きな負担であったが、白色彗星帝国との完全決着を企図し、できるだけの部隊がかき集められている。民間軍事会社にも艦隊を供出させているが、その到着は法務局の不手際で遅延してしまっている。

 

「艦隊の人たちは?」

 

「みんな、遺書を書いてるそうだよ。生きて帰れる確率は高くないから。敵はワープを駆使した超兵器を持ってるそうでね。私たちの力でも防げない、ね」

 

それは火炎直撃砲のことだ。当たれば、ドレッドノート級宇宙戦艦程度は必ず轟沈し、マジンガーZの超合金Zも耐えられないという、恐るべき兵器だ。その弾道が予測できたとて、プリキュアの力でも防げない。

 

「それを持ってる船がいたら、特攻してでも止めろ。それが至上命令だそうだよ」

 

「そんな命令がまかり通るくらいの……?」

 

「うん。前に地球連邦軍が戦った時、数百単位の戦艦と巡洋艦をやられたそうだよ。死傷者は当然ながら、万単位……」

 

「そうか、宇宙船、それも戦闘用なら、最低でも1000人は乗ってそうだから……」

 

白色彗星帝国の火炎直撃砲は恐るべき超兵器である。ドレッドノート級戦艦が一撃で轟沈させられるのだから、奇策か何かを講じなくては、まともな艦隊戦に持ち込めない。また、大戦艦の衝撃砲は地球の巡洋艦程度は一撃で粉砕する威力を誇る。そのことも、地球連邦軍が次世代の装甲の研究に血眼になった理由であった。その研究の成果が改良型の硬化テクタイト板などである。しかし、それでも火炎直撃砲は避けれないため、恐れられているのだ。

 

「これだけの艦隊で、勝ちが保証されないって……」

 

「昔のガチのSFじゃ、一艦隊が万単位だから、地球が如何に新興国扱いかって話になるんだって。もっとも、惑星を貫く兵器を巡洋艦までの艦艇にもれなく持たせてるのは贅沢だって言われてるんだってさ。決戦兵器は本来、国の総旗艦に積むのが慣例だそうでね」

 

地球連邦軍が軍事的に宇宙の大国と伍するとされる理由は『決戦兵器を巡洋艦以上には必ず積んでいる』こと。これは地球連邦政府が星間国家としては新興もいいところであり、一艦隊を万単位の艦艇で編成することなどは不可能であることからの苦肉の策でもある。とはいえ、ずっと内乱を繰り返した故の『ノウハウの蓄積』は下手な大国を遥かに越えている。特に、空母機動部隊の運用は群を抜いている。

 

 

「波動砲…か。あれって、効くとは限んないんでしょ?」

 

「相手が要塞クラスだとね。波動砲のエネルギーは一個の銀河と同じ。そのエネルギーに耐えられるバリアか装甲があれば、無力化される。最も、銀河一個分のエネルギーに耐えられるものなんて、そう出てこないけどね」

 

銀河一個分のエネルギー。それを叩き出せる、タキオン波動エンジンの強大さ。それを量産しなければ、大国相手に生き残ることも出来ない。『宇宙帝国主義』の全盛期に、宇宙開拓時代を迎えた地球の悲哀がそこにある。

 

「空母が少ないのは?」

 

「戦艦に20機前後の艦載機を積めるから…って建前だけど、実際はパイロットの確保の問題が大きいんだって。それに、空母って高いんだってさ、宇宙戦艦の時代でも」

 

地球連邦軍は大艦巨砲主義が蔓延っているようであるが、これは『大国に匹敵する規模の空母機動部隊など、人的資源の規模の都合で持てないから』という世知辛い事情もある。また、一年戦争以前の航空機が技術の進歩による淘汰で消え、ブラックタイガー、ないしはコスモタイガーが主力となっている。コスモ・ゼロが普及していないのは、クセが強い特性であったことに由来する。無論、それ以外の系統も研究されているが、多くは可変戦闘機に淘汰されてきている。

 

「なんでも、お金と人手かぁ……」

 

「スポーツでも、戦争でも、金と人手がかかるんだよ。私は行き詰まったけど、プリキュアを経たことで振り切れたけどさ」

 

「なんか、メタってるよ」

 

「自分の全部がさ、アニメって形で、まるっと晒されてる世界にいてみ?メタい台詞の一つや二つは言いたくなるよ」

 

「そ、それは……」

 

「それはそれで面白いけど、恥ずかしいだのなんだのなんて通り過ぎて、変な気持ちになるよ」

 

と、自分たちの現役時代の全てがアニメという形で知られている世界に身を置いた故か、多少なりとも、そういう類に耐性を持ったらしいキュアエトワール。

 

「それと、驚いたことがある。ブラックとホワイトの生年月日が1990年だってことだよ」

 

「せ、1990年!?私たちより一回り以上は上だよ」

 

「それに、この世界の彼女達が私たちと面識あるか限らないって」

 

「どういうこと?」

 

「それが――」

 

ここで、キュアエール(野乃はな)は現役時代に出会ったキュアブラックたちが自分と同一の世界線の存在ではない可能性を教えられ、驚愕することになった。また、自分とラブ以前のプリキュアは10歳以上離れている事実も知らされ、複雑な感覚を覚えていた。

 

 

 

 

その間にも、先鋒が戦闘に入った地球連邦軍。水雷戦隊の数少ない見せ場になる戦であるため、巡洋艦以下の艦艇が高機動を見せつつ、砲雷撃戦を展開している。砲撃戦では不利なため、肉薄雷撃に血道を上げる様は、かつての日本海軍を思わせた。その様子はモニターされており、砲撃で大破・炎上した巡洋艦が最後の力で一斉に雷撃(と言う名のミサイルの飽和射撃)を行う、駆逐艦が水雷艇を蹴散らし、至近距離で砲撃を行い、敵艦を撃沈していく。宇宙艦隊戦も統制が取れている場合は、かつての水上艦が砲撃戦を行っていた時代を想起させる光景が繰り広げられるのであった。

 

 

 

 

 

 

そして、その頃、大人のぞみは現役時代とはまったく異なる方法での変身方法を手に入れていた。それは全ヒーローの中でも『最も神に近い』と謳われし、最強の昭和ライダーである『仮面ライダーBLACKRX』の変身ポーズと同じもの。右手を天に突き上げ、左手を開いて腹部に当て、突き上げた右手を胸元まで下ろし、右手と左手を手刀を切るように大きく左右に振りかぶるというもので、これはのぞみの存在が『ゴルゴムの世紀王と同格以上』になった事の現れでもあり、皮肉なことだが、のぞみAの脳裏に刻まれた『無敵の存在のイメージ』が『仮面ライダーBLACKRX』の圧倒的強さであるのが反映されたと言える。のぞみAから大人のぞみに送られたデータには、ダイ・アナザー・デイの際に、その彼に救われた時の写真があったし、のぞみBのピンチを救う映像も含まれていた。BLACKの時は『時たまのキングストーンの奇跡で逆転する、平均寄りの仮面ライダー』であったが、RXとしての南光太郎は『万全であれば、並大抵の敵は問題でない』ほどの強者。その清々しいまでの強さと理不尽さは、他のヒーロー、特に新しい年代のヒーローの間でも、羨望の的である。仮面ライダーディケイドと並び、『チート』の代名詞とさえ謳われてもいる。その彼の持つ『奇跡の力』への憧れが皮肉にも、大人のぞみに往年のパワーを戻させたとも言えた。大人になろうとも、『ヒーロー』(ヒロイン)をしてもいい。大人と言える年齢になってから、子どもたちに憧れられる生き様をしている彼らの姿は『大人になっても、ヒーローは続けていい』という、一種の希望であった。

 

 

 

 

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