結局、ダイ・アナザー・デイでレシプロ機は軍用機としての花形を降りた。急速にジェットエンジンが成熟したからだが、その一方で、レシプロ機も極限に進化。最末期にはターボチャージャーや排気タービンが必須装備のように扱われた。魔導エンジンはこの急速な進化に対応しきれず、急速に戦略的価値を低下させた。魔導触媒の資源温存の観点から、旧型ユニットを解体して取り出した触媒を再利用するという手法も実行されたが、ダイ・アナザー・デイ中に生産効果は現れず、戦線で負傷する魔女が続出した。これはストライカーユニットの装甲を外す改造が横行していた事の弊害で、一日で二個航空団分の人数(30人)が後送されてしまう大惨事も頻発した。その関係上、ユニットが破壊されても、自前の能力で飛べる黒江たちの軍事的価値が認識された。
この時に問題になったのが、99式20ミリ機銃の旧式化である。当時の時点での扶桑海軍航空機のスタンダードであったが、炸薬の世代が古いなどの理由で、史実ほどの破壊力がなかったからだ。64Fでも、坂本が『自分が使い慣れているから』という理由で、長砲身モデルを手持ち式に改造させており、プリキュア達にも使わせていた。とはいえ、魔女の魔力補正を加えてもP-47後期型の重装甲は貫き難く、それが陣風の仕様策定に影響を及ぼした。この時に30ミリ砲の搭載に反対する扶桑パイロットと、20ミリの(末期における)力不足を知る義勇兵らが対立したため、間を取っての『25ミリ機銃の航空機関砲化』が成された。妥協の産物と揶揄されたが、相応に威力は増大しており、命中さえすれば、B-29の主翼をへし折れるほどであった。これは携行弾数を重視する横須賀航空隊が反対したが、義勇兵らが『実戦を知らぬジャク(未熟者の意味の隠語)がアホを抜かすな』と喧嘩になり、血を見る惨事を起こしたための妥協案であった。日本義勇兵は(旧軍出身者が多いのもあり)総じて血気盛んであり、魔女たちを『柔よく剛を制す』でねじ伏せるような達人も多い上、いざとなれば陸海空で体当たりも辞さない。そんな彼らと対等に接するには、陣頭に立って戦うことが必要であった。その関係上、ガンダムタイプはちょうど良かったのである。折しも、アナハイム・エレクトロニクスが政治的都合で中興し、サナリィが規模縮小の制裁(ザンスカールへの加担の罪が裁かれた)を受けた時期がダイ・アナザー・デイとなり、その煽りで『ガンダムF90用のミッションパック』のいくつかが不採用となったため、その代替が『Zガンダム、ZZガンダムの増産』とされた。特に『元々、汎用型のF90の改良で生まれたクラスターに、どうして重MSのZZの特性を与えようとした?』との疑問を払拭出来なかったのである(小型機の限界の露呈も、ミッションパック採用を中止させる理由となった)。これは外宇宙戦闘の増加で、小型機の機体強度の不足が露呈したためで、物理強度に定評があるZZを増産したほうが正解だった。艦のハンガーを占有してしまうミッションパックは以後、細々と使われるに留まる。これはコズミック・イラ世界でのMS運用のデータのおかげであったが、コズミック・イラも、高級機は万能型で落ち着きつつあるため、ミッションパックは地球連邦軍では『科学者の道楽』扱いされていくわけである。
ダイ・アナザー・デイでせめてもの救済措置で実戦に投入されたものもあるが、小型機用のものでは『搭載量』に限界がある上、万一、大型機に格闘戦に持ち込まれればどうなるか。その難点が市街地戦で露呈したことも、高機能ミッションパックの不採用に繋がった(連邦は高機能の汎用型を伝統的に好む。初代ガンダムの残した『呪縛』というべきか)。これは小型MSに過度の多機能・高性能を求めると、下手な大型機より却って『高くつく』からでもあった。また、スーパーロボットの高性能化が進展し、そのパワーで有象無象を粉砕するため、小型機の利点は戦術的な小回りの良さと運用性のみとなっていった。特にマジンガーはグレンダイザーからもたらされた光量子テクノロジーが『陽子エネルギー』(光子力を超えたエネルギー)の実用化に道筋を与え、グレートマジンガーを順当に発展させた、ゴッド・マジンガーの実用化を成功させた。それも、小型機を衰退させた理由である。
マジンガーの中でも、Zを祖とする系統と、Gを祖とする系統は特性を異にする。その双方のいいとこ取りが『皇帝』である。特異的な誕生ながら、一種の『マジンガーの開発目標』とされるほどの性能を持っていた。だが、特異的(ゲッターエネルギーによる)進化であったため、あまりに従来機との性能差が生じてしまったという問題も発生。グレートマジンガーの後継機種が『マジンエンペラーG』に変更されるに至る。グレンダイザーのもたらした技術は『皇帝の増加』に貢献したわけだ。そのグレンダイザーは『ダイ・アナザー・デイ』と『大決戦』の双方に参陣。スーパーロボットのパワーを、これでもかと見せつけた。これが抑止力となる形で扶桑は数年の猶予を得たが、それを活用できなかったところに、扶桑の軍事大国化を阻止せんとした日本の左派の失態があった。この頃から、『超人たちが書類上で現役を張れる年齢なのは、あと数十年。その後の事を考えているのか?』という議論が、次第に日本と扶桑とで交わされ始める。日本側もそれは考えていたが、ペリーヌの一族の例を見てもわかるように、魔女は素質が世襲されることが多い。そのため、『黒江らが退役しても、その親類縁者の誰かに後を継がせればいい』。多くはそう考えたのである。これはアジア的な思想と言える。
聖闘士も後でわかったが、星矢は神話の時代のギリシアに珍しかった中華系の人間『希星』の繰り返しの転生者であり、前世は日本系の『天馬』(星矢の直接的な前世)であり、神を封印する役目を代々担わされていたという。ハーデスはそれに気づき、呪いをかけた。だが、ゼウスがそれを破綻させつつあり、聖域は蘇生者や外部からの入門者らの手で再建が進んでいた。皮肉にも、双子座のサガの悪人格と、それに加担した蟹座のデスマスクが破綻寸前に追いやった体制を立て直すには、外部からの入門者が必要であったのだ。黒江たちが入門したタイミングはそれと重なり、素質もあったので、大半が黄金聖闘士とされた。これは十二宮の防衛が急務であったこと、一輝を除いた四人の傷が深く、長期の療養が医学的に必要であったからである。黒江たちはその再建に貢献した形になる。
黒江たちはその事は上層部にその旨を報告していたが、バーナード・モントゴメリー将軍が『各国間のパワーバランスが崩れる』として伏せた。この判断が混乱を招いたとして、彼は1945年度での元帥昇進を棒に振ることとなり、ブリタニア自体が政治的制裁を受けてしまう要因となった。以後、軍事的にブリタニアはカールスラント同様に『落ち目』となり始め、自由リベリオンと扶桑の寡占状態に登り詰めていくのである。
1945年のダイ・アナザー・デイにて、ブリタニア海軍は新鋭戦艦『ライオン級戦艦』の活躍で面子は保ったが、性能不足も明らかになった。本来、ブリタニアは個艦性能をあまり重視せずに来たが、大和型とその後継者たちの『ありえないほどの大艦巨砲主義』ぶりに(政治的に)圧倒された。ダイ・アナザー・デイの戦後処理の会議で、新鋭戦艦の造艦が認められたのは数カ国のみ。皮肉にも、旧式戦艦が保有戦艦の大半であったブリタニアは、多く枠を得た。だが、財政難がそれを許さず、空母の増勢と引き換えに、戦艦の保有数を減らす方針に転換。これは扶桑にも寝耳に水で、結局は、扶桑が戦艦を多く保有せざるを得なくなった。水戸型はその対応で生まれていったのである。この過程で、46cm砲がスタンダードとされたが、扶桑は既に、50cm以上の艦砲がスタンダードとなっていたりする。結局、連合軍が有名無実化する時代を迎えたことで、扶桑はかつて以上の軍拡をせねばならなくなっっていった。その過程で、魔女の地位も低下。1949年当時の扶桑皇国軍全体に残る航空魔女の在籍人数は95人。そのうち30人ほどは攻撃・爆撃魔女であった。雷撃の陳腐化で、雷撃ウィッチを戦闘ウィッチに転科させる訓練も実行していた。もはや航空魚雷は過去の遺物とされたからで、そうせねば戦闘ウィッチの定数すら満たせないからで、史実と別のところで第一線への人材供給に困るのは、因果というべきであった。
魔女という表現は、ウィッチという言葉が欧州発であることに不満を持つ右派を宥める意図で使われだした。魔導師などが確認されたための兼ね合いでもあった。扶桑が華族制を形骸化させつつも、維持するのを選んだ一因でもあった。昭和天皇は『公家系の華族しか心の底から信用していなかった』ことが(日本経由で)暴露されてしまうことが恐れられ、昭和天皇はクーデターで虐殺される事への恐怖もあり、以前から検討させていた『華族解消』案を引っ込めざるを得なかった。旧諸侯に知られれば、皇室全体への信頼が大きく揺らぐ。そのことも、華族の形骸化という案を台頭させた。昭和天皇はクーデターの過激化を恐れ、この案に同意。同時に政治への興味を時とともに薄れさせ、学者としての活動に専念していくため、以後の国政の真の主導権はY委員会が担っていくことになる。同様に、皇室軍人も(皇室の軍事的権限が新憲法のもとで、内閣に委譲されたことで)時とともに消えていくことになる。それに代わりうる(軍人へ睨みを効かせるための)権威として、黒江たちは政治的思惑のもとで担ぎ上げられていくわけである。扶桑海事変とダイ・アナザー・デイの従軍記章は、その裏付けと箔付けに使われていくことになった。
そんな急転直下が起こったが故に、プリキュアたちは『ちょうどいい、軍縮の言い訳に使える』と見た日本の左派は、彼女らの存在を盾に扶桑軍の人員削減を断行したわけだが、それが扶桑軍の人事の柔軟性を損ねる有様となってしまった。結局、扶桑は一部の超人に依存するような体制へされてしまった。英雄依存からの脱却を図った六年以上の月日は無駄に終わったのである。この六年に教育された世代、特に海軍出身者は肩身の狭い思いをする羽目になった。その世代の例外は菅野だが、ウォーモンガーと取られた上、防空軽視の言動をマスコミに咎められ、えらい目に遭ってしまうなど、本人も踏んだり蹴ったりな有様であった。そして、マジンガーの上位機種が存在するという実証、ティターンズの超兵器(モビルアーマー)もものともしない強さは、まさに扶桑の人々には希望であった。
――オトナプリキュア世界――
「鉄也さん、どうして、エンペラーを急いで完成させたんですか」
「ミネルバXにな、GカイザーではZEROに勝てないと断言されてな。それで、別案として新造していたものを強化する形で『第三の皇帝』としたんだ。敷島博士から、本来はドラゴンの強化に使うはずだった実験用ゲッター炉心を提供されたのも効いた。グレンダイザーから得られた技術も入れたから、マジンガーとゲッターの間の子だよ、技術的には」
エンペラーがZEROに破壊されなかったのは、ゲッター炉心が入っているので、純粋なマジンガーとはいえない特性を持つことも大きいと、大人のぞみに話す鉄也。
「今回は俺にとっても、遺恨のある相手だからな。若い頃、白色彗星帝国相手には苦い思いをさせられた。その借りを返す時が来たと思っている」
「あの巨大戦艦相手ですか」
「それもそうだが、アンドロメダの撃沈を防げなかったからな……」
グレートマジンガーが最新型であった時代に起こったという、ガトランティス戦役。その際にアンドロメダの撃沈を防げなかったことが尾を引いていることがわかる。グレートマジンガーよりも数段強力なマシンかつ、正統な後継機をひっさげて参戦したのも、白色彗星帝国への意趣返しを目論んでのものであるのは明らかだった。
「君の友達も多くは慣れていないだろうからな、宇宙戦に。俺がサポートしよう」
「ありがとうございます」
プリキュアで、MSの操縦技能をこの場で行使できる者は、この場では数人。平行世界の同一人物の技能をインストールされたとしても、馴染まなければ意味はない。
「MSは戦闘機などより簡単だが、レバーとペダル、パネル操作などを頭に入れていなければならないからな。パソコンやタブレットの操作もおぼつかない子もいるだろうから、選抜せねばならんよ」
「ええ。それはわかってますよ」
のぞみはAの技能を完全に自家薬籠中の物にしたので、ガンダムタイプも乗りこなせるが、他のプリキュアは多くが機動兵器の操縦技能を持たない。技能が馴染んだ数人を帯同させるのは決まっているが、宇宙空間での戦闘経験がないプリキュアもいるので、その辺は訓練次第としか言えない。
「さて、援護しよう。グレートスマッシャーパーンチ!!」
鉄也は先制攻撃とばかりに、エンペラーのパンチを発射する。G合金(ゲッター系の装甲とニューZαのハイブリッド素材)製なので、白色彗星帝国の艦艇の光線をものともしない。そのまま、巡洋艦と駆逐艦を数珠繋ぎのように貫いていった。宇宙戦艦の装甲を真っ向から貫くあたり、マジンガーの面目躍如といったところか。
「よおし、あたしも!」
のぞみは自身用に調整されたZガンダムに持たせているバスターライフル(デザインはウイングガンダムの『別案』のもの)を放った。バスターライフルは、アナハイム・エレクトロニクス社の手で、エネルギー供給の経路に柔軟性を持たせ、ツインバスターライフルに近い特性を持たせた、新造の『第二世代型』である。反動吸収機構を内蔵(それでも、量産機では腕がへし折れる)している。バスターライフルはビームを放つだけで、ビームマグナムと同等以上の反動を機体にかける。グリプス戦役時のガンダリウムγではなし得なかったことだ。
「しかし、敵も相変わらずの物量だ。先鋒の水雷戦隊だけで数万か……」
「連邦は無人艦で時間稼ぎですか」
「外宇宙戦闘用の艦艇にとっては、内惑星巡航しかできん世代のフネなどは漁船に毛が生えたもの扱いだ。だが、外宇宙戦闘用艦艇は高価だ。サラミスが十隻できる金で、数隻のドレッドノートを造ることしかできんくらいにな。人員を省いた無人艦でお茶を濁した。前の闘いで船乗りの多くが死んだからな。その後継ぎが育っていないんだ。ドレッドノートも古くなってきたから、新設計を造っているが、旗艦級が優先されててな」
この一言により、『サラミス改やマゼランなどは外宇宙戦闘では戦力にならない』こと、ドレッドノート級も旧式化しつつあるが、大国の衝撃砲の威力に耐えられる装甲を施そうとすると、既存サイズの設計に収まらないという問題が起こったことがわかる。また、アンドロメダ級の配備が政治問題にされたため、それに変わりうる旗艦級戦艦の設計を旧列強諸国(現・行政州)がこぞって行っている。そのうちの旧・アメリカ合衆国が『アリゾナ級宇宙戦艦』を竣工させたという。
「北米がアリゾナ級宇宙戦艦を造って、派遣を州政府に打診したら、断られたそうだ。戦力の温存指令が保守派から出てな。その代わりに、英国がヨーロッパ艦隊の旗艦として、『プリンス・オブ・ウェールズ』を送ってきた」
「縁起悪くありませんかね、その名前」
「英国の連中にとっちゃ、戦列艦の時代からの伝統ある名だぞ?まぁ、有名なのがマレー沖海戦なのは否定せんが…」
正確に言えば、英国の竣工させたのは『キング・ジョージ』級であり、その二番艦にあたる。量産性重視であるので、武装は心もとないと評価されているが、英国中心の欧州行政州の旗艦である。こうした一点ものに集中しがちであり、量産艦に無関心なのは、地球連邦軍の(外宇宙進出期の)悪癖であった。また、欧州行政府は一年戦争の惨禍で、仏と独の地域が衰退してしまった兼ね合いで、比較的に国土の健在な英国が主導権を握っていることも暗示される。
「ワープで戦艦が来ますよ!」
「大戦艦か。俺に任せろ。バスターライフルは効率が悪いからな」
白色彗星帝国の戦艦は平均して310m級であり、比較的に大きい。主砲は当たれば、ドレッドノート級も粉砕される威力を誇る。ワープで奇襲攻撃を敢行したが、マジンエンペラーGが待ち受けていたのが、彼らの不幸であった。
『グレートブラスター!!』
グレートブラスターがエンペラーの放射板から放たれ、大戦艦が瞬時に溶解する。
「いいんですか、この方法」
「昔は反応機雷や光子魚雷をぶち込んでいたが、外宇宙の宇宙戦艦の中には、それに耐えられる構造のがいて、そういう戦法が廃れてしまってな。こういう方法を取るしかない。議会は波動弾頭に傾倒し始めたが、俺達に戦果が集中するのを妬んでいるんだろう」
砲撃戦ではドレッドノートに優越するとされる大戦艦なので、機動兵器で数を減らすのも今回の動乱での重要なドクトリンであった。宇宙怪獣との動乱があった頃には光子魚雷も使われていたが、宇宙怪獣相手に効果が薄かったのが問題視され、デザリアム戦役の頃には『廃れた兵器』になっている。その代わりを目されているのが『波動弾頭』である。だが、タキオン粒子を用いる都合で生産が捗らず、結局は光子魚雷も在庫分が引っ張り出された。
「光子魚雷も巡洋艦と駆逐艦、フリゲート艦に積ませたそうだが、波動弾頭ほどの効果は出んだろう」
「いいんですか」
「議会は今回の戦を旧型の処分市と思っとるようだからな。ガトランティス戦役時から用意されていた無人艦を全部使うそうだ。波動砲の砲台代わりに」
「どうなんすか、その戦法」
「シャロン・アップル以来、人工知能の研究と言おうか、再研究がストップしていてな。ドラえもんの登場と、アナライザーの自我の獲得で活気づいたが、実用化が間に合わずに、指揮艦からの遠隔操作に留まった。電波妨害される危険があるから、半自律式にした上で。妥協の産物だ。7割は壊されるだろうな」
「波動砲をぶっぱしたら、どうするつもりなんですか」
「適当に戦闘させた上で自爆させるそうだが、テクタイトと波動エンジンの無駄遣いだと思う」
「無人兵器をなんだと思ってるんですかねぇ」
「議会の連中は人件費削減のいい方便のようにしか思っとらんよ。コンピュータが不測の事態に対応できずに、ガトランティス戦役の時の主力艦隊は壊滅していったというのに。マンパワーが確保できないのは認めるがね」
それは自動化の進んだコンピュータの盲点でもあり、真田志郎の危惧した事項でもある。アンドロメダはその犠牲者であった。マンパワーを確保したくともできない状況で生み出され、悲壮な最期を遂げた。
「真田さんも言っていたが、最後はマンパワーだ。どんなに機械が進歩しようと、だ。地球連邦軍は高い授業費を支払った。せっかく生き残っていた熟練の士官たちと引き換えに、な」
ガトランティス戦役後の地球連邦軍は結果的に、大規模行動を抑制するようになり、一艦隊や一部隊に有事の負担を課す悪癖がついてしまった。軍はその是正に努めてきたが、結果的に組織率の最も高い『太陽系連合艦隊』に依存している。アースフリートも本来は地球連邦軍の宇宙艦隊全体を指す意味合いであったが、次第に連合艦隊とロンド・ベルを合わせた戦力のみを指す言葉に変質していった。
「愚痴をこぼしても仕方がないが、軍に頼られても俺達とていつでも応じられるわけではない。議会には、そこを学習してほしいよ」
鉄也は、自分たちに頼りきる地球連邦軍に苦言を呈した。普段は意に介さないが、流石に『自分たちありきの軍略』は止めてほしかったらしい。どこにも、愚痴をこぼしたい状況はある。大人のぞみは鉄也の背中から、それを改めて学んだのである。