ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第二百三十三話「二つの世界にて 11」

2018年の終わり頃、たまたま、日本で公務があったキュアマーメイド(海藤みなみ)が東北で熊を退治したことから、その翌年に大規模な熊狩に64F全体が駆り出された。その経緯が語られた。

 

 

「2018年の終わり頃、私はたまたま、日本に用で来ていたの。公務を終えたその足で東北に足を伸ばしてね。海藤みなみとしての姿でね」

 

その日の夕暮れ近く、彼女は人里に出てきた巨大グマがハンターに瀕死の重傷を負わせるのを目撃。キュアマーメイドとなって、救援を行った。プリキュアであるので、法律等を気にする必要はない。

 

 

 

「その時に変身して、被害を抑えたのだけど、それが報じられたのを期に、うちの隊に熊狩の要請が舞い込むようになったの。その一年後に大規模な熊狩があった。人食いグマが徒党を組んで、ハンターや警官が返り討ちに遭うって大事になったのよ」

 

「そうそう。自衛隊が動けないから、あたしらにいけって指令が出た時は耳を疑ったけど、ガチですごかったもんね……」

 

その時に判明した『熊にも一定の社会性がある』こと、中途退役な傷を負わせた場合、熊の個体別の生命力によっては、超回復で『とんでもないことになる』ことは、学会を大いに震撼させた。さらに、銃器も(異常成長した個体には)脳天に当てようとも、致命傷にならないことは(高威力の銃器のない)日本の治安当局を震え上がらせた。プリキュアたちが駆り出されたのは、その異常個体を討伐するためで、(後代の『戦うことのない、動物のプリキュア』がいたら、卒倒間違い無しの)本気の死闘が展開され、援護のために参加した警官隊に、多数の殉職者が出る(ボス格が10m近くに成長していた個体で、『ガンバの冒険』のイタチのような凶暴性丸出しの個体であった)など、かなりの損害も出してしまったのも事実だ。

 

「温暖化の影響か、熊の近衛軍団の連中、4~5mの個体がゴロゴロいたもんね……。しかも凶暴性たっぷりの連中ときてる」

 

「大正の始めの北海道であったっていう事件の熊より大きい上に、どいつもこいつも、人食いグマだったものね……」

 

歴戦のプリキュアである二人が蒼白で語るので、つられて、キュアフローラも青くなる。しかも、熊であるからか、攻撃への耐久力が『下手な怪異』の比ではなく、『357マグナム相当の打撃力をものともしない』。攻撃力も『突然変異体と異常成長の個体』は『人間の首を軽く跳ね飛ばす』ほど。機動隊の車を体当たりで『原型がないほどにベコンベコンにする』という『昔の闘犬の漫画』もかくやのイカれたレベル。そのため、プリキュアたちも手加減できるわけはなく、本気で戦うしかなかった。それでも、無傷では帰れなかった。

 

「何せ、357マグナムを普通に弾くからな、野郎どもは。慌てて、44マグナムか、457カスールを持ち出したもんなぁ」

 

熊は普通に(日本警察の標準的な)銃弾を跳ね返す表皮を持つ。そこに異常個体のライフル弾すら跳ね返す防御力が加わった場合、警察では手も足も出ない。熊座の激を呼ぶ案も当然ながら出たのだが、日本警察(ドラえもん世界)から『青銅聖闘士の最下級層に何ができるのか?』という有様で、議論すら出来なかった。この一言に激怒した黒江は『機動隊をいったい、何人生贄にする気だ!!』と、警察官僚を怒鳴った。その危惧は当たり、秋田県、青森県の合同機動隊が皆殺しにされるという凄惨な出来事が起こってしまった。

 

「あ、メロディ。帰ったんだ」

 

「よっ」

 

「なんか……ぶっきらぼうになったね?」

 

「現役時代と違って、男社会の全盛期に身を置いてんだ。荒い口調してなきゃ、舐められちまうよ。それに、あたしゃ、知名度落ちるだろ?」

 

「うーん……」

 

苦笑いのキュアフローラ。そこは否定できないからだ。

 

「あれ、ドリームは?」

 

「ヤツは仕事で他人と入れ替わってるから、後で食事するとさ。なんといおうか、向こうさんからの頼みでよ」

 

「ああ、馬が転生した世界って……」

 

「そういうこと」

 

ブライアンは(自分自身の名誉が地の底に落ちていたこと、強大な後輩らが短期間に多数がデビューしたことから)自身の計画の長期化を悟り、ドリームの姿を借りたままで、魔女の世界に来ていた。これはゴルシとジェンティルも同様である。

 

「そのお目付け役を含めて、三人が入れ替わっとる状態のまま。のぞみも大変だよ。ディープインパクトとそのライバルたちの台頭してきた時期を走り抜けなきゃならん。それも、陸上競技で」

 

「あれ、現役時代ののぞみちゃんは」

 

「言ってやるな。プリキュアとして、運動神経が活性化された状態で入れ替わったから、その問題は大丈夫だと思う。今頃、あいつは必死になってるだろうけど」

 

「で、入れ替わった子って、どんな?」

 

「90年代に最速の馬って言われた奴の生まれ変わりだ。一匹狼を気取ってたが、全盛期が怪我で終わった途端に掌返しされたのに傷ついててな。それで、最後に一花咲かせるために、のび太たちの提案に乗ったんだ。それと、また別の世界ののぞみ、その世界線じゃ大人になってたんだけど……、宇宙戦艦ヤマトに乗って、大艦隊戦に参加してるよ」

 

「宇宙戦艦ヤマトって……あの?おじいちゃん世代の?」

 

「お前の世代だと、そうなるのか?」

 

「だって、2002年に生まれたから」

 

「お、おう……ジェネレーションギャップぅ……」

 

フローラ(春野はるか)は2002年に生まれている。その頃には幼稚園児であったメロディ(北条響)は思わぬジェネレーションギャップにたじろいだ。仕方がないが、宇宙戦艦ヤマトのアニメが人気を博していた時期は1970年代半ば~80年代始め。はるかからすれば、祖父母の時代にあたるのだ。

 

「仕方がないわよ、メロディ。フローラは現役時代から呼ばれたんだから。ドリームやブルームはもっと前の時代に現役だったから、あなたよりジェネレーションギャップ大きいわよ」

 

「そ、そっか。あいつらはラジカセがあった時期に現役だったんだった」

 

「それどころか、ビデオテープが現役よ、あの子たちの頃」

 

「嘘だろぉ!?」

 

プリキュアも、2020年代には、初代の時代から20年を超える。そのため、再初期の世代が現役の頃にはあった電気機器等が何代か後の頃には『時代遅れ』となることも当たり前。のぞみの代にはあったラジカセが、相田マナの頃には『時代遅れ』になっていたように。何気にショックなキュアメロディ。

 

「これぞ、ジェネレーションギャップだな」

 

「あ、綾香さん」

 

「よっ。事務手続きが終わったとこだ」

 

「あなたがのぞみちゃんや響ちゃんたちの?」

 

「上司だよ。最も、俺のポジションだと、隊全体の運営に噛んでるナンバーツーくらいだけど」

 

編成上、のぞみ、響(シャーリー)、マナ、めぐみなどの『単独戦闘能力の高めのプリキュア』は黒江の配下であり、黒江自身も戦闘要員である。

 

「将軍になっても、前線に出てますからね、あなた」

 

「そりゃ、黄金聖闘士だし、南斗水鳥拳も、Gフォースの副官のおかげで覚えたからな」

 

黒江はこの時、自衛隊と扶桑の双方で将官の地位にあった。黄金聖闘士であるので、警察官僚も一目置いている(ビビっている)。また、自衛隊での直属の部下も、南斗水鳥拳や南斗南斗白鷺拳の伝承者であり、警察官がいくら束になろうとも『相手にならない』。警察関係者は政府がのび太や黒江などの武力に頼っていることにお冠状態であったが、黒江は正式には日本人であって、日本人ではない。また、女性ながらも(軍隊も、聖闘士も男社会であるので)思考回路は完全に男性のそれ。しかも、肉体的には最盛期で固定されているので、能力になんら衰えはない。黒江の自衛隊での同期たちはそろそろ40代に入り、第一線を退き始めている(自衛隊は若年定年制であったためだが、2025年には、少子高齢化で撤回されだした)にも関わらず、だ。結局、この制度は退職自衛官の困窮問題等が原因で、消え始めている。また、扶桑軍人を兼任する場合、扶桑の軍階級は生涯名乗れる上、恩給ももらえる。さらに、武人として尊ばれるので、社会的地位は自衛官の比ではない。そのため、日本側は扶桑軍人の地位を下げようとしたが、風土等の違い、パニックの誘発で断念している。結局、生活の保証がないことが犯罪などの原因であるので、Gフォースの経験者に限り、恩給の受給資格を認めるという案が通った。これは野党の猛反対によるものだが、扶桑軍人との待遇差を埋めようという考えは共通していた。また、扶桑の人材難を招いたのは自分たちであるので、扶桑に派遣する自衛官が増加することはわかっていた。また、扶桑がジェガンを大量に購入したことで財務当局を困惑させたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

ジェガンは白色彗星帝国戦時に緊急で大量生産されたため、その消費が急務とされ、後継機の開発が難航。いくつもの失敗作が生み出された。元々、ジェガンはグリプス戦役後期の頃のガンダムマークⅡよりは総合性能で上回っていた。また、ビームシールドなどの新技術を用いていないため、教育さえ施せば、扶桑人でも容易に整備できた。それも採用の理由であった。特に、ハイパーバズーカ装備では、戦艦級の実体弾を容易に取り回せることは魅力であった。既に軽戦車部隊であった機甲部隊の多くが導入済みであり、日本の一存で止められる状態ではなくなっていた。日本の防衛産業等は軽戦車の機動戦闘車での代替を目論んでいたが、ダイ・アナザー・デイでの失態で水の泡。結局は世代の違う兵器に代替される結果となった。また、戦闘機は普通に順当に(自衛隊の採用機種を)採用すればいいため、機甲戦力の技術革新で、構想が根底から覆った陸軍の窮状は際立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

更に、中堅層の軍人を国籍問わず、人種差別の疑惑で更迭し、そのまま不名誉除隊に追い込んだりした結果の人手不足も、軍部の行動を縛った。これが魔女兵科の解消が避けられなくなった原因であった。特に扶桑では、戦死や失意のうちの自刃による一子相伝の固有魔法の断絶が多発。結局、一度は迫害した黒江たちの異能に頼るしか手がなくなり、魔女自体の面目が潰れてしまった。更に、その黒江たちを迫害していた事が世間に発覚。一般魔女たちの社会的立場はなくなっていった。とはいえ、以前のような『あからさまな優遇』はなくなっていったものの、社会的に有利になれることへのパスポートとしては健在で、皇族、華族、軍人の令嬢等の覚醒が慶事として扱われることなどは続いていた。これは黒江、智子、圭子の三人が没落気味の士族の出身であったからで、『(上手く手柄を立てれば)家の再興をできる』という、一般の士族と旧諸侯系の華族にとっての希望とされたからである。また、時代的に、地方には、『高等教育を女が受けるものではない』という旧態依然な思考回路をした老人が未だに多いため、地方出身ながら、軍で事実上の最高実力者に登り詰めた黒江たちは『扶桑の風土の近代化を促進させるためにも』不可欠な存在であった。

 

「あなたはどれだけ強いんですか?」

 

「普通に下級の神くらいはピンで討てる。黄金聖闘士だからな」

 

黒江は黄金聖闘士なので、普通に下級神くらいは単独で討つ(真っ向から戦える神々であれば)のは簡単なくらいの力を持つ。それを軽くねじ伏せられる『黒井響一郎』の強大さが際立っている。

 

「光速で動けるし、異次元に相手を飛ばすのもお手の物ですからね、あなたは」

 

「五感剥奪も覚えた。まぁ、よほどの悪人相手でないとせんし、サイボーグや神相手には効かんしな」

 

シンフォギア世界への滞在当時は出来なかった『五感剥奪』だが、天舞宝輪を(乙女座の正統後継者と指名された瞬が若齢であることから)1949年には会得した黒江。そのため、黄金聖闘士の中でも随一の『何でも屋』な印象が強い。これは(更に別次元の)山羊座の黄金聖闘士が反逆者であったことの観測により、それと真逆の黒江に裁量権が大きく与えられたからである。また、核兵器の保有が日本側の事情で不可能である以上、強力無比な異能は歓迎するところであるというのが、日本政府の方針。故に、黒江たちへの迫害を確認された者は不名誉除隊か、極刑に処されているのである。

 

「昔に、俺達をいじめた連中は有無を言わさずに極刑に処されてるのは知っとるな?軽くて、不名誉除隊だ。それに付随して、俺達を全面的に押し出すことになったから、『凡百の魔女は前線に出さない』という規定ができるそうだ」

 

「どうしてですか?」

 

「10代の女の子が大量に戦死するのは好ましくないし、政権のスキャンダルにされるからだと。俺達は戸籍は大人だし、お前らはアニメって形で、実力が保証されてる。最も、雁淵の妹とかはどうすんだって話も出た。その関係で、お前らに負担が更にかかるのは確実になった」

 

「やれやれ……。日本の『体の良い弾除け』ってところですか?」

 

「日本の政治屋は核を持てないからって、俺達の異能に期待してんのさ。学園都市亡き後、ロシアの報復を異様に恐れてるって話だしな。日本の連中は俺らより恐ろしいぞ。不名誉除隊が決まったヤツをだな、その場で金属バットでタコ殴りして、最後にそいつの脊髄を損傷させて、全身麻痺に追い込むのを、扶桑の東京で見せしめとして、公開したんだぞ。そりゃ、人手不足になるわ」

 

「あさま山荘とかの過激派まがいのことを?」

 

「警察が公然としたそうだ。無論、俺が総理に手を回して、凶悪犯罪者として、公安に逮捕させた。警察庁は押し黙ったよ」

 

日本警察のどこの部署が凶行を行ったのか?おそらくは扶桑軍へ反感を持つ部署のどれかだと思われるが、過激な思想にかぶれたとはいえ、20代の女性の人生を完全にぶち壊すような真似は犯罪とされて然るべきものだ。この蛮行は日本警察の予算削減の大義名分に使われ、いくつかの計画が頓挫した。その代替が『64Fの何でも屋化』なのは、陸軍の近代化を『諸外国の放出した装備』に頼っている有様なのを隠蔽し、40年代前半に機甲装備関連の管理を担当していた者たちを(理由をつけて)更迭するための時間を得るためであったと、後世の資料に記されることになる。実際、警察官僚や現場の警官による、扶桑軍人への誹謗中傷や暴力行為が横行していたが、この行為は最悪のものであった。その関係で、黒江たちを『何でも屋にさせる』決定が下ったのである。学園都市を解体したことで、ロシアと中国が報復に出るのが、強く懸念されたためである。

 

 

「それで、俺達を中国とロシアへの防波堤にしようって腹だってよ。戦艦はいくら持ったところで、恐れられないからって理由で」

 

なんとも政治的だが、日本の政治家は戦艦を『見せ物にはなるが、抑止力にはならない』と考えていたからであった(実際は、ミサイルに耐える重装甲と、現在艦にない大口径砲弾による直接打撃力から、却って恐れられている)。

 

「学園都市の件が?」

 

「学園都市の連中、地殻を斬り裂くくらいの兵器を使ったって話だ。その報復で、ロシアと中国が核を飽和攻撃するのを恐れてるんだよ、政治屋は。俺達なら、軍団規模の近代軍隊を地獄に送ることも簡単だろう?それでだ。戦艦のほうがよっぽど抑止力になるんだがね」

 

「私たちが無双しちゃうと、大量殺人っていちゃもんつけられそうですからね」

 

「だから、戦艦を抑止力に使えと言ってんだ。核兵器なんて、色んな意味で持てねぇんだし。原理的に変わらねぇ限りは」

 

結局、黒江のいう通り、戦艦が(超大和型と真っ向から撃ち合える戦闘艦など、21世紀には存在しない)抑止力として機能する(大和よりも強力な装甲を誇る軍艦であるので、21世紀のミサイルで止めるのは不可能である)のである。ましてや、撃沈に1000機の航空機の波状攻撃を必要とした戦艦のさらなる改良型なのだ。

 

「現代艦は、ミサイルや爆弾が一発でも当たればオシャカだが、戦艦は砲弾で沈むことはまずない。魚雷での水雷突撃は廃れてるし、航空雷撃も消えてんだ。戦艦の装甲を抜ける徹甲爆弾なんてのは、地中貫通爆弾の転用しかないが、議会が顔を真赤にするから、使えまい」

 

航空機とパイロットの高価格化、戦艦や重巡洋艦などの重装甲艦艇が二次大戦から間もなくして、第一線を去ったことの相乗効果で、戦艦への航空攻撃は割に合わなくなってしまった。一発あたり、億を超える値段のミサイルを戦中のロケット弾の要領で使えば、議会が顔面蒼白になる。戦後の兵器のお値段はお高いのだ。

 

「要はデーンと構えてりゃいいんだ。戦艦の保有目的の半分は元から外交の道具だ。お前らの時代の大国連中が核をそうやって使ってるようにな」

 

日本は皮肉なことに、扶桑の大戦艦がいくつかの軍港を間借りしていることにより、砲艦外交を実践できていた。(彼らにとっては)時代遅れの艦種であるが、戦艦、それも史実では実現していない『超大和型戦艦』なので、アイオワなどは比較にもならぬ巨体と火力を持つ。

 

「日本って、自分たちの理屈を強要しません?」

 

「お前らがさっき話してた熊の一件もだが、想定外にクソ弱いんだよ。俺が釣り仲間のじいさんたち(日本の治安当局のトップ経験者ら)に手を回してなきゃ、公安委員会はお前らの出動を法律違反だというつもりだったそうだ。俺は釣り仲間に法務省、海保、警察庁、防衛省といった治安当局のトップの経験者がいるから、手を回したんだ。日本の当局はOBの一声に弱いからな」

 

 

 

熊討伐の一件は、黒江が(事が重大と認識されるタイミングで)法律などの問題を人脈でクリアにしていたことが語られた。運よく(?)秋田県と青森県の機動隊による討伐隊が皆殺しにされるという惨劇が起こったことにより、64Fへの出動要請を日本の治安当局は認めた。そして、その彼女らをも震撼させる『異常個体』の存在は日本警察の面子を丸つぶれにさせた。日本警察の火器を寄せ付けない表皮、プリキュアの攻撃にも耐える耐久力。普通に考えて、人間の常識を超えていたからだ。それが『討伐隊が最後の力で手負いにした結果、とんでもない変化を起こした』というおまけ付き。

 

「熊相手に、日本警察の拳銃なんて、豆をぶつけてるようなもんだ。あいつらには、人間相手には過剰といわれる、44マグナムや457カスールで、ワンチャンあるか、くらいだってのに。もっとも、マグナムは日本の警官には扱えんだろうが……ああ、後で公安委員会とかに出された、あの事件の報告書の写しを見せる。警察の面子丸つぶれだから、書いたやつの悔しさが滲み出てるぞ」

 

熊討伐は結局、2010年代末の時点の青森県と秋田県の両機動隊の壊滅による無力化の惨劇と、プリキュアたちによる必死の討伐がセットで語られる事になった事が黒江の口から語られた。日本は銃器による犯罪の増加を抑え込みたいという治安維持と、熊の凶暴化などの獣害とを天秤にかけなくてはならないということに震え上がり、結局は扶桑軍人を『ハンターとして臨時で雇用する』ことを政府が黙認せざるを得なくなっていく流れとなった。普通のツキノワグマやヒグマでさえ、ハンターや機動隊の犠牲を覚悟せねばならぬのに、人食いグマが徒党を組んだ場合、もはや普通の人間の手には負えない。

 

 

「聖闘士に頼むのは、野党に馬鹿にされるからと、治安当局が早々に没にしてやかった。バカなことを。下級の青銅でも、熊くらいは軽く殺せるってのに。下手に見栄なんて張るから、青森県と秋田県の機動隊が皆殺しにされちまったんだ」

 

実際、熊殺しで鍛えた大熊座の激がおり、黒江としても、星矢たち経由で『アルバイト』として依頼するつもりであったらしい。ところが、熊が機動隊の対処できる個体ではなかったこと、大ボスの個体は『鋼鉄ジーグ』級の体躯を誇るバケモノであり、プリキュア達も大苦戦を強いられた。この惨劇とプリキュア達と人食いグマの攻防は歴史に刻まれたわけだが、日本警察の通常配備の銃器では傷つけることさえできないようなバケモノの個体が番を張る軍団がプリキュア達と組織的に戦闘し、しかも、プリキュア達をも窮地に追い込めるほどの力を見せたことは、生物学的常識をも超える出来事であった。これもあり、のぞみAは草薙流古武術の免許皆伝を急いだわけだ。

 

「それが、のぞみがより強い力を求めるようになった理由でもある。まさか、自分たちの技を普通に耐えたりするクマが出てくるなんて、思ってなかっただろうからな」

 

プリキュアの長い歴史の中には、戦わない者も出たが、当然ながら、オトナ世界の動乱には役立てない事がわかっていたので、大人のぞみも(いたとしても)声はかけないつもりだと言っていた。

 

「それと、大人のぞみの世界から連絡だ。主力艦隊が交戦に入った」

 

「……!」

 

「おそらく、6割超は帰れんだろう。白色彗星帝国には……火炎直撃砲がある」

 

黒江をして、6割超の撃沈を明言させるほどの物量を持つ白色彗星帝国。残存艦隊一つが億単位の物量を持つのも、彼らだけだ。さらに、地球連邦軍が恐れる超兵器『火炎直撃砲』の存在から、かなりの損害は元から勘定済みなのが世知辛い。

 

「あなた達はいくつの世界にネットワークを?」

 

「のぞみが人を超えた時点で、いくつもの世界を観測することになっちまってるさ。この世界に現れたあいつ自身、とうとう神様になっちまったし」

 

「えーーーーー!?」

 

「はーちゃんからして、神だろ」

 

「い、いや、そ、そうなんですけど」

 

のぞみAがZEROと融合し、シンギュラリティを超えた事により、姿と能力を保ったまま、かつてのキュアフェリーチェをも超えた存在になっている。そのことをキュアフローラに説明する。そのきっかけの一つが、クマ軍団との壮絶な死闘であった。その当事者である他の三人は『長くなりそうだ』と、軽くため息を付くのだった。

 

 

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