ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第二百三十四話「二つの世界にて 12」

――扶桑軍は結局、日本からの(思い込みによる)強引な人員整理により、士官不足が顕著となった。これは想定外の結果で、日本側は『(史実で)活躍したパイロット連中がなんで女体化しまくってんの!?』と文句を言いまくったが、後の祭りであった。結局、似て非なる世界という事が認識されるにつれ、華族解体論なども勢いを失った。皇族と軍事を切り離すという目的自体は達したからである。また、貴族制の残る国々が力を残したままの世界であるので、華族を残す必要があった。そのため、ガリアの醜態は民主共和制の普及に多大な悪影響を及ぼしたとして、強い非難を浴びたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

皇室に代わる軍事的権威の構築、軍事研究の鈍化による、魔女関連研究の停滞など……。扶桑に日本が課した枷は大きかった。結局、日本の人々は『軍事予算に厳しい制限を課しただけだ!!少ない予算で成果を出してみせろよ!』とヒステリックに宣うだけ。これを救ったのが、アメリカ合衆国による極秘裏の援助であった。扶桑はあまりに無知な日本を(軍事・科学面で)見限りつつあり、アメリカ合衆国との裏の結びつきを強めていった。それほど、日本が停滞していた証でもある。日本の科学・軍事関係者はこの動きを察知しており、政府や関係省庁を説得し、扶桑を『都合のいい植民地』と見る考えを一掃させ、扶桑の独自路線を許容するように認めさせる。扶桑は日本の植民地ではないのだから。結局、太平洋戦争の長期化は民需優先の施策を(戦争が続いている世界にも関わらず)強要させたことも要因であったわけである。

 

 

 

 

 

 

 

魔女優先の施策も、ダイ・アナザー・デイでの醜態で、実質の終焉を迎えた。F6F/F4U、P-47にすら、まともに抵抗できないで、全員が撃墜される部隊が続出したからだ。義勇兵が特攻すら(躊躇なく)実行していった中、戦闘すら放棄する魔女が戦域規模で続出した。それに代わって、ダイ・アナザー・デイを支えたのが、ヒーローユニオンであった。当時はまだ組織化されていなかったが、大人のび太が(ビッグワン=番場壮吉のつてで)いくつかのスーパー戦隊を呼び寄せ、戦線に参加してもらった。それに乗じて、クライシス帝国も侵攻してきたため、ダイ・アナザー・デイは予想以上に大規模・長期化。戦闘機隊は本土や南洋の防空隊すら駆り出さなければ、数で拮抗にも持っていけない始末であった。魔女達は言い訳を並べ立てたが、義勇兵らが体当たりや自爆攻撃すらしているのに、彼女らは逃げ口上を並べ立てるだけ。結局、マスコミに報じられ、『臆病者』や『敵前逃亡者』とのレッテル貼りを受けることになり、以後にまともな人生を送る権利を失った。64Fの面々が英雄とされたのは、魔女からのいじめ同然の孤立無援な状況を覆していったからである。大人のび太が歴代のスーパー戦隊を呼び寄せたのも、その状況を崩すためであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

――西暦2010年代後半――

 

 

「そんな事があったんだ」

 

「僕がスネ夫のツテで、ヒーローユニオンの前身に連絡を取ったんだ。彼らが物資を融通してくれなきゃ、64Fも物資の枯渇が起きてた。それと、地球連邦軍を動かして、燃料と弾薬の融通を頼んだ。僕の子孫がアナハイム・エレクトロニクス社の大株主だから、その線で動かした」

 

ダイ・アナザー・デイの後、肉体の蘇生が終わったばかりの朝比奈みらいに、大人のび太は言う。ミーナの更迭が起こったほうが、弾薬と燃料を有効活用できたというのも、皮肉な話だ。

 

 

「何代後の子孫なの?」

 

「えーと、セワシのひ孫だから、僕から八代から九代は後だな。僕の一族はだいたい、数十年ごとに子供を儲けるから、代替わりも早くてね」

 

ノビタダはセワシのひ孫であるので、のび太本人からは遠い子孫にあたる。ノビスケはスポーツ選手で成功するが、彼以外の一族は大半が官僚か、一介の会社員などの一生である。のび太はその中でも、出世したほうである。また、軍人をしていたのは、直系の子孫ではノビタダが初である。

 

「そいつにあれこれと動いてもらった。我が家はその頃には、『地球連邦きっての名家』らしいからね。僕のせがれくらいなもんだ、ウチでスポーツ選手になったの」

 

のび太の子であるノビスケは青年期になると、スポーツ選手として名を馳せていく。これは母親由来の運動神経の良さによるものでもあるが、ウマ娘たちとの交流により、アスリートに憧れを抱いた事による。同時に、キャリアが(最盛期の終わりで)下降線に入りつつあったナリタタイシンを再起させた。これは同期のビワハヤヒデが(治療を受けたが)引退を選んだことも大いに関係しており、『私の代わりに、妹の行く末を見届けてくれ』と言う内容のメールが詫び代わりに入っていたという。これはウイニングチケットより適任であるというのもあってのこと。更に、別世界線のハヤヒデ自身から『ブライアンの挫折と夭折が起きた世界線』のことを知らされたことから、ハヤヒデに代わって『再起が叶う場合のブライアンの行く末を、近い立場で見届けてくれ』との願いを託され、その願いに応じる形で、現役を続けていくのである。

 

「極限まで追い詰めると、日本人は逆に奇跡を起こしてしまう。扶桑の魔女が自分たちの本質を忘れたとはね……。なんとも皮肉なもんだ。仲間が追い詰めた事が、逆に64Fの無敵ぶりを確定させたんだ」

 

64Fへの情報提供や支援を意図的に絶った魔女閥であったが、逆に自分たちが近代兵器に追い詰められる羽目に陥った。64Fは連邦やヒーローユニオンの強大なバックアップを得る事になり、戦線を単独で押し返す離れ業をやってのけた。だが、ティターンズの幹部層はその時点ののぞみらを圧倒する戦力を誇っており、最強フォームでありながら、一敗地に塗れるという屈辱を味わされた。

 

「だけど、ティターンズの幹部たちは肉体を極限まで鍛えてたから、それでも負ける時は負ける。だから、聖闘士の力が必要になった」

 

「あの力、人が到達しうる?」

 

「最高到達点。オリンポス十二神をも肉体的に殺せるからね。また、存在が人から上がった場合は、神殺しを行えるままで、同等の存在になる。積尸気を操れれば、より完璧だ」

 

聖闘士の力は、地球人が『ヒトのままで到達できる』才能としては最高峰である。第一線を張れるのは、平均で(聖闘士は肉体の加齢が遅いのもあるが)が数十~百年。平均寿命が短いのもあり、一回の聖戦で『使い捨て』のような形になる事も多いので、技の断絶も日常茶飯事。黒江達は冥界に普通に行けるので、それで前任者らから伝授され、使用している。そのことから、黒江達は蟹座のデストール(デスマスクの前任者)から積尸気の奥義を伝授された事がわかる。

 

 

「積尸気……」

 

「蟹座の聖闘士が代々使う技の総称みたいなもんさ」

 

大人のび太のみらいへの説明はざっくばらんとしていた。とはいえ、プリキュアの使う力を超えるものがこの世にあるのかと、驚きの表情だ。

 

「多分、のぞみちゃんは今後……聖闘士の力を求めていくだろうね。あの子は前世の記憶がそうさせるのか、力を求める傾向があるからな」

 

その予測は数年後に的中。ZEROとの融合で『神』の座に登りつめるわけである。それに飽き足らず、聖闘士を志願。箒のコンバートで空いた射手座を引き継いだ。これは(黒江がのぞみの姿で纏ったことがあるため)星矢が廃人同然であることなどの事情が複雑に絡むためだった。

 

 

 

 

 

 

扶桑海軍は結局、大和型と超大和型で艦隊を組む都合上、中途半端な性能と見なされた超甲巡は巡洋戦艦化させて使うしかなかった。改装後の超甲巡は55口径41cm砲を有し、規模に見合わぬ機動力を誇るとされた。これは日本側が超甲巡の存在意義を否定しにかかっていたからだが、アメリカ合衆国が『ミサイル戦艦』なるカテゴリーを創設したため、それへのカウンターパートが政治的に必要となったため、古典的技術による戦艦を出しておくというアイデアで保有枠が生き残ったというのが、超甲巡であった。(M粒子散布下では、ミサイルは効果を減ずるため)魔女の世界では、魔女の跳梁跋扈で、計画が中止されていたが、呉軍港の壊滅で軍艦が大量に目減りしたため、旧式戦艦(金剛型)の代替目的で復活。未来世界の技術をふんだんに用いた軍艦として新生していた。それを日本側が知らされたのは、計画の完遂後であった。また、当初は史実通りに31cm砲であったが、日本側が『アイオワ級戦艦とやり合うかもしれない』と恐怖を煽ったため、妥協的に換装されている。実際にリベリオンが重視したのは『大和と殴りあえる』モンタナ級戦艦のラインであったが、日本はアイオワ級へコンプレックスがあったのである。

 

 

 

 

 

――1950年度の海軍予算の審議の場――

 

「乙、両巡を廃止し、甲巡と超甲巡を残すと?」

 

「ミサイル兵装は確実性がこちらでは確保できませんし、水上機は存在意義をヘリコプターに奪われましたので」

 

「戦艦は対策のために?」

 

「空母が少数精鋭化するのなら、確実な支援火力を残しておけというのが、我々の世界での結論ですので」

 

「しかし、46cm以上の砲をよく造れましたね」

 

「かの超文明の援助の賜物ですよ。ドイツから、多数の鉄鋼技術者、砲熕技術者を引き抜いたのも事実ですが」

 

「ドイツにそのような技術が?」

 

「ドーラ列車砲をお忘れか?」

 

「す、すみません……」

 

ドイツには確かに、50cm台の口径を誇る大砲を造る技術があった。80cm列車砲がある以上、それより小さい砲を作り、戦艦に載せることは可能である。日本側の評議員はこうした(無知か、勘違いでの)失言も相次いだため、議席をいくつか失う有様であった。とはいえ、日本側の議員は自分の祖父母、あるいは父の世代の人間達と話すのを怖がる者が多いので、2020年代での重鎮クラスを宛てている事が多い。特に軍事は自衛官でも、かなりのクラスを宛てなくては、旧軍の高級将校相当の存在とまともに議論できない事が多い。これはいかに、旧軍が『歴史の中に消えていった軍隊』となっているかの表れであった。

 

「空母の少数精鋭化に伴う、その代替艦は強襲揚陸艦の航空運用だと?」

 

「アメリカ合衆国はそうしています。純然たる大型空母など、アメリカ合衆国をしても、10隻ほどが維持の限界ですからね」

 

この時に、強襲揚陸艦のコンセプトが固まり、以後はアメリカ級強襲揚陸艦をベースにしての(中型までの)空母の代替艦代わりに運用されていく。魔女の生き残り達はその制空担当という形での運用が決まり、艦政本部で気落ちしていた『甲板の魔術処理要員』の再就職先としても使われた。強襲揚陸艦は陸戦隊の移動拠点としても使われるため、一昔前であれば大型に分類される巨体を備えるに至り、新造艦が出揃うのは、1953年頃とされた。それまでをどう凌ぐか。それが問題となった。

 

 

「戦略爆撃機はそちらの負担で揃えてください。表立って、こちらでの予算援助はできません」

 

「わかっています。こちらの裁量権ですのでね」

 

富嶽などは(弾道ミサイルの確実性が未然に低下したことなどもあって)生き残ったものの、他用途への転用で運用数は低下傾向にあった。64Fが宇宙戦艦の保有で、母機として運用しなかった事も理由であった。特に、富嶽は後継機『飛天』(ジェット機)が予想以上に高性能であったことから、早期に置き換えが始まっており、1953年までの退役が予想されるに至った。飛天は(超重爆の需要が残っていることから)800~900機程度の生産が予定されており、1949年は初期生産型の50機が配備に至った年でもあった。仕方がないが、飛行機による旅客便は(怪異の跳梁跋扈もあって)忌避される傾向が大きかったため、大型機はまず、軍用機として開発される傾向が強かった。それが大義名分となり、富嶽などは運用を許されていた。また、誘導兵器の発達で絨毯爆撃をしなくて済むようになったのも追い風となった。魔女達はこうした、あらゆる兵器の急発達で『花形としての地位』を喪失していったのである。

 

 

 

 

 

 

64Fの地位が揺るがないのは、日本側の(広報業務を含む)あらゆる要請に即日で応じ、これ以上ない結果を叩き出すからである。ルミナスウィッチーズの結成がずれ込んだのは、時代的に、64Fの幹部層のパフォーマンスを超えるクオリティは不可能に近いこと、人員が21世紀のポップミュージックに対応できない可能性が強く、それをどうにかするための猛訓練が必要であったなどの理由である。また、戦闘ウィッチ自体の数が減少したことも、彼女らに冷たい視線が注がれる懸念を大きくした。結局、お情けで1949年に結成されたものの、扶桑での公演は避けられていた。同国の武人を尊ぶ風潮がダイ・アナザー・デイで余計に悪化したからである。また、64Fの広報業務のクオリティが(21世紀の第一線級の音楽グループやアイドルのステージと比較しても遜色ない)高すぎる事も理由であった。扶桑人は(武士の時代が最近まで続いたことから)銃後の癒やしを軽視する傾向が強い。また、菅野のように、防衛を軽視する考えも根強く(菅野はそれで痛い目にあっている)、それがダイ・アナザー・デイの計画の崩壊の原因となった。遠征中でも、広報業務はきちんと行われており、キュアドリーム(…と入れ替わり中のナリタブライアン)が披露した『シャドーロールの誓い』と『BLAZE』は大いにバズっている。これも、ルミナスウィッチーズが肩身の狭い思いをしている理由である。(生まれた時代が半世紀以上違うので、比べるのは酷だが)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

元々、のぞみは歌がド下手であり、持ち歌も(転生後の精神状態で歌うには)ものすごく恥ずかしい歌詞であったので、カッコいいメロディと歌詞の『ブライアンの持ち歌』はうってつけであった。のぞみ本人も『今となっちゃ、自分の持ち歌は恥ずかしいし……』と要請。ブライアンは奇妙な形でだが、自分の持ち歌を『夢原のぞみ』として披露した。後日にタネは明かした上で。これはのぞみは(世界線によるが)絶対音感を持つが、それを活かせないタイプであったことによる。ブライアンが入れ替わっている状態では、目つきが鋭いという外見上の違いが生じるのみならず、基礎パワーは(ブライアンの気質が戦闘向けであったことによる)素の状態で現役時代ののぞみ本人を数段上回っている。また、ノワールフォームの制御も(ブライアンの境遇もあり)本人より冷静な状態で可能。これはブライアンの属性が元から闇属性であったことによる。入れ替わっている時は(ブライアンの肉体の状態を反映して)筋肉質気味になっている。

 

――遠征を終えて、撤収作業中――

 

「ルミナスウィッチーズが肩身の狭い思いをするぞ、パットン。あの動画は」

 

「日本の連中から、我が軍を満足させられるだけの援助金を引き出すための手段だ。ルミナスウィッチーズは、あの大佐を満足させるためと、戦えん魔女の行き場として機能すればいい。パフォーマンスのクオリティまで求めてはかわいそうだ。ブルーインパルスやブルーエンジェルスの曲芸飛行に打ちのめされとるからな」

 

「つまり、予算を通したのは?」

 

「アイク(ドワイト・アイゼンハワー)の慈悲だよ、ブラッドレー」

 

ルミナスウィッチーズはそういう思惑で生まれ、史実通りに一定のクオリティのパフォーマンスは確保されていた。だが、64Fの『現代的』なミュージック・クリップのあまりのクオリティは(結果的に)上層部が、ルミナスウィッチーズに予算を割くのを遅らせるだけのものであった。64Fの助っ人扱いのジャンヌ・ダルクによる『約束はいらない』、『プラチナ』などは、ものすごいバズりようである。また、シャーリーが特訓で得た歌唱力で魅せた『一度だけの恋』、「僕たちの戦場」も反響がすごい。これは日本による軍事予算削減を予期した武子のアイデアによる『予算確保のための広報業務』であり、扶桑の壮老年層を納得させるための施策であった。当時は安土時代生まれの老人もまだ少数がおり、彼らは『武人たるもの、背中の民草に目もくれるな』という思想を持っていたからである。これは民と武士の役割分担で生まれた考えであったが、近代化で、身分としての武士が消滅して久しい1940年代には『時代遅れ』である。ルミナスウィッチーズの公演が避けられたのも、この思想の存在で、老人が公演中に問題を起こす事が懸念されたからだ。

 

「64Fのメンバーに広報業務もやらせたほうがクオリティは安定している。だが、我々の時代で、あれほど先進的なパフォーマンスは受け入れられん。ルミナスウィッチーズの公演すら、演目をかなり妥協しているという。だからこその二枚看板なのだ。魔女への罪滅ぼしというべきだな、日本の」

 

「何事も予算か……」

 

「連中は金の使い方の効率を気にするが、国が滅ぶか否か、なんだがね、我々は……」

 

 

パットンにすら、こうやって嫌味を公然と言われるくらいに、日本の財務当局は実務関係者に嫌われ者であった。とはいえ、日本連邦の保護国という実情では、逆らえない。いつの時代もスポンサーは強いのだ。とはいえ、自由リベリオンはマシである。アメリカ合衆国のバックがあるので、財務当局に睨みが効いているからだ。64Fは日本連邦の一部署であるので、ああした手段で非正規の活動資金を得ているのである。

 

「まさか、カールスラントがあんなバケモノを量産しようとしていたとは」

 

「ラーテを使おうとした国だ。あの程度は簡単に用意できるんだろう…」

 

 

ヤークトティーガーやマウス。超重戦車がバシバシ登場してきたバダンに震え上がる二人。アメリカ合衆国と違い、物量合戦が取れない自由リベリオンは史実と多少なりとも違う戦車開発史を辿るだろう。強力な装甲戦闘車両をとかく必要とする内情があるからだ。

 

「我々の世界でも、ありえたのかな」

 

「アヤカの話だと、プロトタイプは工場でできていたらしい。問題はそこから出す前に、人間が殺し合い始めて、放置されたことだ」

 

「カールスラントの内戦を煽った連中の罪深さ……」

 

「だな…」

 

 

 

カールスラント軍も、ヤークトティーガーなどは(ベルリン奪還のために)用意されつつあったが、ラーテが優先された都合で、増産が遅れていた。その弊害により、内乱で再生産もままならなくなる有様となった。結局、扶桑に多数が流失した『パンターⅡ』や『ケーニッヒティーガー』を慰めとする形で、カールスラント装甲部隊の栄光は静かに終焉を迎えるに至る。カールスラント(ドイツ)製の兵器は砲弾などに独自規格も多く、カールスラントから流失した在庫で供給は賄われた。その消費のためもあり、カールスラント製車両の使用は解禁された。

 

「幸いにも、保守整備のアテはできた。カールスラント製車両にはせいぜい、戦線の維持に貢献してもらおう」

 

カールスラント製の装甲戦闘車両最後のご奉公。それは扶桑の戦線を支えること。パットンからも『使い切り』だと認識されているのは辛いが、それが帝政の実質的解体の後に残されたカールスラントの誇りであり、同国の誇った装甲戦闘車両技術の見せた最後の輝きである。パットンとブラッドレーの後ろに置かれている『パンターⅡ』戦車はその象徴であった。

 

 

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