ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第二百三十七話「二つの世界にて 14」

連合国軍は結局、多くの『慣習』を否定されたことで、内部の統制が崩壊に陥った。特に欧州列強が主導した、部内の慣習が真っ向から否定され、士官の多くが功績を問わずに、情け容赦なく減俸処分(時には鉄拳制裁を伴う)を食らったことで、部内の空気は一気に萎縮してしまった。

 

 

 

「日本人に手荒なことをするな。下手を打ったら、国際司法裁判所に訴えられ、人種差別のレッテルを貼られて、畜生同然の扱いをされてしまう」

 

どの国の士官/将校であろうが、シビリアンコントロールを盾にして、激昂した日本人を止める術は何も無かったため、この嵐を生き残るには『戦果以外に興味がない』ように装うか、以前の非礼をアジア式の詫びで詫びるか。その二つが生き残る道であった。バルクホルンとマルセイユは後者で対応し、ルーデルは日頃の戦闘狂としての行いで『追求』を免れた。また、兵科がそれ以外の士官を見下す理由になるとして、非兵科の士官を『いかなる場合によっても、同等の士官と扱う』という規則が徹底されることになったので、ミーナは『その規則で二階級も降格された、最初の士官』という不名誉を被った。これは日本義勇兵からの参謀本部への抗議への緊急対応策でもあり、急に連合国軍の軍記自体を改定された欧州列強の軍隊は激しく困惑。『人種差別も、兵科至上主義の意図はない』と、懲罰人事からの救済措置を乞う、欧州軍系の士官は後を絶たなかった。また、服部静夏も『非兵科士官への高慢な態度を理由に、上層部からの叱責を受け、しばらく塞ぎ込むなど、弊害も多かった。このパニックにより、以前の慣習の多くは瞬く間に廃れ、代わりに基礎教育の長期化、あるいは『日本人への対応法』という講義が各地の駐屯地で開かれ、盛況であったという。

 

 

 

 

 

 

扶桑軍も、日本側に『合同部隊の指揮官になると、無理に階級を上げる』ことを追求され、1946年以降は、そういった人事は減少に向かった。これは武子が一夜で『大尉→大佐』になったという記録が見つかり、追求されたためである。人事部は事前に隠蔽工作を行っていたが矛盾が見つかって追求され、真実を公表した。これにより、人事部の数代の課長と副長が責任を取らされるわ、1945年当時の人事部の全員が左遷されるなど、大パニックを引き起こした。また、のぞみの一件により64Fは『触らぬ神に祟りなし』と認識したため、扶桑軍の人事部は64Fの提案は審査無しで通すことにした。そのため、同部隊の幹部たちは将官もザラであった。外郭独立部隊と扱うようになったのもトラブル防止のためであった。皇族や華族の政治力が衰える時代に入ったので、士族以下の身分の出身者が多い64Fは立身出世のモデルケースに使えるが、魔力のある子女のいない華族や不祥事を叩かれた一部の皇族から妬む声が出ているので、彼女らを軍の本流から離した。これも扶桑の内部での政治的意図によるものであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

歴史的に言えば、政治的に扱いにくいが戦場で強い人員を有効活用するという考えの発端が64Fということになる。実際に黒江たちは政治に関わる意思は無かったが、扶桑の国情がそうさせてしまった時点で『中途半端にドイツ国家の特徴を真似した』扶桑皇国の不幸があった。結局、ドイツ系国家の『本音』を知ってしまったために、カールスラントは扶桑からの援助を得られなくなるという不運に見舞われ、NATOの軍政を受け入れた。その関係上、カールスラントは長らく『崩壊国家』のレッテルを受けていくことになるのだ。扶桑も昭和天皇が国民の激昂性に恐怖した結果、結果として統治制度などでの近代化に成功する。扶桑の議会制民主主義はこうして、真の意味で端緒についたのである。

 

 

 

 

国家の当面の問題は軍装備の刷新であった。日本は(非対称戦を前提にしての)少数精鋭を是とするが、扶桑の戦争は国家総力戦であった。その相克による対立もあったが、怪異への対応の必要は認められたため、装備の刷新は認められた。その関係で兵器が加速度的に大型化してしまうという問題に直面。軽戦車や騎兵に代わる軽機動戦力としてMSとコンバットアーマーが導入されたのも、自然な流れであった。

 

 

 

 

扶桑の装備刷新は該当部署が(左遷の嵐で)機能不全に陥った陸海軍に代わり、空軍が主導した。その都合もあり、たった数年で(史実の)戦後第2世代ジェット戦闘機が最新鋭扱いで配備されるに至った。レシプロ機の最終世代すらも手に余ると言われていた1945年当時からは信じられない進歩であった。こうして、扶桑軍の装備策定はGフォースの意向で決まるようになっていった。また、扶桑空軍は(プロパガンダ目的で)ガンダムマークⅡを稼働させていた。既に旧式化しているため、戦闘目的ではなく、扶桑のバックの勢力をティターンズ残党に認知させるための運用であった。

 

 

 

――64F格納庫――

 

「ん、空軍本部に貸与したマークⅡがプロパガンダに使われてるな。ま、対日本とティターンズを兼ねてのプロパガンダだから、成功だな」

 

『マークⅡって、古いよね?』

 

「グリプス戦役の初期の頃のガンダムだから、かなり古いよ。しかも、ティターンズがプロパガンダ目的で、妙にケチって生まれたのよね、あれ」

 

キュアミューズにすら、『ケチってる』と言われたガンダムマークⅡ。それは装甲材とフレームがルナチタニウムでなかったことに由来する。第一次ネオ・ジオン戦争で、装甲自体はガンダリウム合金に換装されたが、装甲厚自体は薄い部類であったため、耐弾性能自体は(Zガンダム以降の後継機などと比較して)あまり高くない。とはいえ、ムーバブルフレームの普及に貢献した機種ではある。

 

「装甲を薄くしたのよね、あれ。材料も旧世代のチタン合金だしさ。改良も限界があるから、こういう任務に回した。Zガンダム以降の高性能機があるってのも大きいな」

 

『Zガンダム、そんな高性能だっけ?』

 

「グリプス戦役後期に、贅を尽くして造ったからね。マークⅡより一段上の性能さ」

 

デザリアム戦役以降の地球連邦軍の高性能機のブランドとして、Zガンダム系統は名を馳せている。ZZは量産考慮外の面があったが、Zは元々、増産も考えられていた。その点により、64Fにも系列機が多く配備された。

 

「よし、ボクも乗るとするよ。テストには随伴機が必要だろ?」

 

そう言って、彼女もMSに乗り込む。彼女は(アストルフォとしての特性で)乗り物はなんでも乗りこなせるので、普通の操縦法だ。

 

『なにそれ』

 

『ゼッツー。ゼータの系統で量産に成功した機種の元になった試作機。Zの後継機だね。一応、推進剤の節約で『ゲタ』を使うよ』

 

64Fはサブフライトシステムも活用する。推進剤の節約や、脚部関節への負担軽減などの目的で。

 

『ああ、サブフライトシステム』

 

『可変機でも、推進剤の節約や関節の負担軽減とかで使うんだよ』

 

サブフライトシステムは旧ジオンのドダイ、地球連邦軍のGメカを祖とする。量産メカとしてはドダイであり、MSでの空中戦での必須メカであった。コズミック・イラのように『MSを常に飛ばす』のは『無茶』だとされている。これはメタルアーマーのように設計段階で『飛行』はあまり考えられていなかったこと、推進剤の節約、MSのスラスターの推力では『音速を超えられない』などの問題があったからである。

 

『コズミック・イラの世界みたいに飛ばすのは色々と問題があるし、事故った時に死ぬってんで、サブフライトシステムは安全牌なんだって』

 

 

ミノフスキークラフトを積んだMSはΞやペーネロペーだが、それは超例外のワンオフモデル。サブフライトシステムは依然として有効な手段である。二人は整備班の用意したサブフライトシステムに機体を相乗りさせ、試験飛行に出ていった。

 

 

 

 

 

 

国際連合はカールスラント製装備を扶桑に使わせるため、欧州戦線から遺棄された兵器を回収、修理して送り込んでいた。日本連邦が求めるのは陸戦兵器であるが、基地跡の倉庫に新品が予備部品ごと眠っている事もザラであったからだ。これはサボタージュを通常兵器の部隊にも強要させていた弊害である。この有様にエルヴィン・ロンメルは激昂。陸空軍の佐官の多くが皇帝の名の下に懲戒免職、あるいは極刑に処された。結局、カールスラント、扶桑の二カ国の将官と佐官の多くを失職させた結果、その後の組織的な軍事行動に多大な支障をきたすという大チョンボになったので、Gフォースを拡大するしかなかったのである。また、クーデターを理由に有力な佐官を懲戒免職にした結果、部隊間の連携が取られないという問題も発覚。横のつながりをある程度は保たなくては部隊間連携もままならない。これに日本の防衛官僚らは困惑。結局、黒江たちの友人たちを指揮官に昇進させ、連携を取らせるしかなかった点に、日本の誤算があった。

 

 

 

 

 

 

評議会では、軍の本土部隊の練度の低下などが問題視されたが、クーデター前に部隊を支えていた人材が粛清された結果、独自の訓練法などが失伝。日本主導の訓練自粛などのせいで、みるみるうちに練度が下がったと説明され、気まずい空気が場を覆った。結局、自衛隊の訓練法などで補うとされても、自衛隊は(扶桑軍の想定するような白兵戦を考慮していないため)実戦をしない軍隊であったため、実戦経験者から不安視されるなど、前途多難であった。とはいえ、扶桑の有力な将校の多くは士族の出で、先祖が欧州への傭兵として大暴れしていたという者も多いのも事実。黒江や赤松などのように先祖が欧州で大暴れしており、その子孫であるため、類まれな戦闘技量を持ったという者もいる。

 

「仕方なかろう。君等の求める水準にまで上げようとしても、魔女は10年以内に『戦士としては使い物にならなくなる』のが通例であったのだ。長期的な視点からの育成などは……」

 

「かといって、訓練を終え、いっぱしの戦士として使えるのが数年では、割にあいませんよ」

 

「使い魔によっては、戦闘向けでない者も出るのだ。64Fの連中は突然変異のようなものであって、それが普通なのだよ」

 

魔女はこの議論を経て、『在籍人数の低下と、特権意識を持たせないため』という理由で、独自の兵科を廃するという流れに決まる。元々は希少な魔女を保護するためのものであったが、無能な魔女の特権意識の醸成になっているという事実が判明したので、64F以外の魔女に特権は持たせないという妥協案が採択された。その実行は竹井退役中将の死後ということで、正式に決まった。昭和天皇の要請であるからだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう一方の問題は、空母のストップギャップが外国産というもの。仕方がないが、日本空母は(史実では)大鳳で発達が打ち止めになっているので、それ以上のものがない。また、ジェット戦闘機化に伴う大型化で旧来の油圧カタパルトが無意味になるので、空母機動部隊の量の低下が急速に進展してしまった。空母の設計が急激に大型化してしまい、維持費が高騰。中小国の手に余るようになったのも、艦政本部の大誤算であった。結局、満足の行く搭載数と航行速度などを両立するには大型化しか手がなかったため、純然たる正規空母の大きさは(早くも)300m級の時代を迎えた。それを補うために、強襲揚陸艦の航空運用が発達していくのである。

 

「大鳳を量産しなおせんのか?日本側での顛末はあくまで、一つの結果だろう」

 

「あの設計では、早晩に使えなくなります。アングルド・デッキと蒸気カタパルトの導入を進めんことには、今後は使いものになりません。造船所が完成させていた個体はすぐに引き取って、改造させます」

 

「戦力化は?」

 

「53~4年。艦載機の刷新と訓練もありますからね」

 

空母機動部隊の再建は『早くて』1953年以降になる。それは日本側が練度にこだわったためであった。外国は平均で数百時間で投入し、一定時間の勤務で教官にするが、日本系国家は『決戦に何度も挑めない』ため、一回の決戦での完全勝利に固執し、練度の指標を真珠湾攻撃当時の南雲機動部隊にしがちである。扶桑も『東郷閣下の負の遺産だな……』と嘆息だった。本来、魔女が戦力の中枢であったため、要員の飛行時間の平均は低い部類であった扶桑にとって、(最低で)千時間超えを誇った『南雲機動部隊』と同等の技量に到達させよというのは、あまりに無理難題であった。その過程で、有力な護衛艦の不在も問題になったため、超甲巡が(皮肉にも)クローズアップされる。要は『レーダーやミサイルの発達で、どうせドンガラも大型化するんだし、一昔前の戦艦サイズの船を流用するんや!!』というケチ臭い理由であった。実際、ミサイルをたんまり積もうとすると、いずれは戦艦サイズになるであろうという予測があり、それを裏付けるものとなった。扶桑はミサイルの補充を気にしたため、補給艦を随伴させるものとされた。

 

 

「護衛は金剛型では無理だ。大和を回せ」

 

「大和型は重戦艦ですよ?」

 

「アイオワが出てきたら、巡洋艦では手も足も出んぞ」

 

「あれはそう簡単に」

 

「そういい切れないでしょう!」

 

日本側はアイオワ級の速力と火力を過大評価気味であった。実際は大和型の高威力の砲弾を喰らえば、速力低下が容易に起きる。空母機動部隊のいない場では、大和型を抑えられる兵力であるアイオワ級を通商破壊戦に割く理由はないし、純然たる艦隊決戦用の戦艦である大和に、万能型を志向したアイオワ級をぶつける理由は(本来は)ない。この議論により、扶桑は超甲巡の巡洋戦艦化を促進せざるを得なくなる。モンタナ級戦艦を軽視する一方で、アイオワ級を脅威と見る点に、日本側の『戦艦の時代が終わって久しい』故の認識があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オトナプリキュアの世界」。キュアプレシャスは別世界のドリームの辿った道を知らされていた。ある意味では、『人々に求められた』故に、涅槃から呼び戻され、別世界である程度の時期を『別人』として過ごした後に『転生』し、現地世界の日本軍の一員として戦う事になり、その後はいうならば、ウルトラ戦士のように『普通の寿命は持たない』存在に変容してしまったこと。そして、どこかの世界には、自分たちが手も足も出ない存在がおり、ドリームはそんなバケモノに対抗するための力を求めた結果、存在そのものがヒトでは無くなったこと、その影響が自分の世界ののぞみに及び、彼女をも変えた。それに絶句する。

 

「あたしたちが手も足も出ない存在が?」

 

「そう。どこかにいる。ウルトラ戦士を呼ばないと、食い止められないくらいのね」

 

「ウルトラ戦士なんて、いるの?」

 

「ピンチの宇宙戦艦ヤマトが、ウルトラマンタロウに救われた(ガトランティスの艦隊を皆殺しにした)事があるんだそうな。そうなると、昭和の頃に、ウルトラマンが怪獣を倒しまくってたり、ゴジラが東京を襲ったかもしれない世界線なんだって。ドラえもんの世界」

 

「なに、そのカオス」

 

「ホント。ウルトラ戦士の世界も内包してるとなると、宇宙人もあくどい連中ばっかになるなぁ」

 

と、キュアエトワールは嘆息混じりにぼやく。M78星雲に『ウルトラの星』がある世界。昭和から数百年以内の世界なら、ウルトラマンタロウやウルトラセブンの子供は幼少期の頃思われる。タロウとセブンの二人も現役真っ盛りに近い年齢の世界のはずである。(最も、ウルトラ戦士は平均で50万年以上生きるともされ、ウルトラマンキングは既に、30万年以上生きている。さらに言えば、ウルトラ戦士が種として成立するより前から超人であったのが彼である(ウルトラ戦士の成立は26万年前ともされる)。

 

「それに限りなく近づいた機械が?」

 

「スーパーロボ。その上位機種。その一つがマジンガーZERO。ドリームと融合して、ようやく落ち着いたそうな」

 

「え。……ってことは」

 

「外見は変わんないけど、内的にはヒトじゃなくなったってこと」

 

そう。のぞみAはZEROとの融合で、色々と超えてしまった壁が多い。その影響は大人のぞみにも及んだのである。大人のぞみはAからの影響で、戦闘能力はAのそれを得た。ブランクがあり、以前通りの戦闘能力を引き出せぬ者もいるのに、大人のぞみが現役時代よりも強いのは、Aの状態が反映されたからである。また細かな違いとして、キュアブルーム=日向咲に妹が存在していない(そうなると、咲が現役時代に取った行動のいくつかに説明がつかないが)こと、キュアイーグレット=美翔舞に兄がいないのだ。これは世界線の差による違いであろうが、そうなると、説明のつかない出来事があるとは、魔女の世界の本人たちの談。

 

「細かい違いがあるはずだけど、のぞみには、それがないんだ。ブランクがあるはずなのに、こっちの現役バリバリの個体と遜色ない戦闘力。影響が及んでると考えるほうが自然だよ」

 

「つまり、のぞみちゃんは物理的に若返ってるから?」

 

「元の職には戻れないね。説明つくと思う?26歳の人がマイナス10歳近くも若返ったなんて。本人も転職は覚悟してる。当分はこっちの代理で、おまんま食うって」

 

「うーん。古い世代の教師が聞いたら、嫌な顔しそうだよねぇ」

 

「まぁ、職業軍人なんてのは、戦後日本じゃ嫌われ者だからね。こっちの代理ってことだから、士官学校出って扱われるし。親御さんには、四葉財閥のツテで、自衛官に転職したっていうつもりらしいけど」

 

「逆は聞くけど、職業軍人になるってのは、お年寄りは嫌うよ?」

 

「今のお年寄り、あの戦争を体験したのは相当減ってるよ。何年前の話って奴さ。もう100年近く昔のことだよ?」

 

「た、確かに。エトワールはそっちで何してんの?」

 

「普段は研修。まだ任官から間もないからね。ここの世界の自分には会えないね。ドッペルゲンガーだと思われても面倒だし、現役時代から呼ばれたから、現役時代の姿だし」

 

「あ、その線があったかぁ」

 

「SFを読んでるとは限らないしね。それに、この世界の私たちは変身能力を失くしてるし」

 

 

キュアエトワールはそこに悩んでいるようである。誰しも、SFに知識があるわけでも、物わかりがいいわけではない。たとえ、自分自身の平行同位体であろうと。

 

「宇宙刑事ギャバンやシャイダーが上手くやってくれればいいんだけど」

 

戦いに加わることを選ばなかった元プリキュアメンバーを(色々なことから)守るため、宇宙刑事ギャバンと宇宙刑事シャイダーが(オトナ世界の)地球で動いている。特に、スマイルやハートキャッチなど、引退後に戦える心境を維持しているかという線が微妙なチームもいる。

 

「こっちのフェリーチェは忙しいよ。別の自分の代わりに戦うし、ギャバンからの連絡で、国連総会で演説するっていうし」

 

「もう一人のフェリーチェ……はーちゃんは?」

 

「宇宙刑事ギャバンが面倒を見てる。みらいの危機を感じ取って、地球に戻ったって言ってるけど、こっちのフェリーチェが来ちゃってたからね。存在としては、別になったから、共存できるそうだけど」

 

ことはは『オトナ』世界の個体が戻って来たのだが、その時には、Aが既に来訪済みで、大暴れしていた。厳密に言うと、お互いに別の存在と化しているので、共存は可能である。違うのは、Aは大地母神の属性を失くしたが、代わりに、ゲッター線の使徒になっている側面があり、言動が外見相応以上に成長し、尚且つ世俗じみている点である。

 

「フェリーチェとしての外見は変わんないけど、能力は別物だよ」

 

「どういうこと」

 

「この写真を見てみ」

 

「こ、これ……」

 

「みらいに見せたら、泡吹いたよ」

 

高エネルギーを圧縮し、それを前に包むように構えた両手の中で一つに集束させ、巨大なエネルギー弾を生成する。プリキュアの技は基本的に浄化がメインであるので、『相手を消滅させる』気満々のストナーサンシャインは(プリキュアの基本的な摂理に)相反するものだ。

 

「ストナーサンシャイン。中規模都市を跡形もなく吹き飛ばせるだけの威力を誇る必殺技。もちろん、私たち(プリキュア)本来の技じゃない。詳しくは後で話すよ」

 

「これから、この艦隊はどうなるの」

 

「敵艦隊と殴り合いになる。プレシャスは負傷者が出たら、医務室に運んで」

 

「わかった。エトワールは?」

 

「ここは宇宙だからね。機動兵器を使う。ガンダムは用意してもらってるよ」

 

「宇宙だと、私たちの力は未知数だもんねぇ」

 

「仕方がないさ。足場がないと、通常フォームの力は引き出せないし、強化フォームは条件付けが厳しいからね」

 

と、プリキュアも戦闘向けでは無いチームも増えてきた故の難点を自虐的に話すキュアエトワール(彼女らの『妖精』に近い存在であった『はぐたん』がいないのもあるが)。それ故に、比較的に古い世代の(戦士の側面が強調されていた頃の)プリキュアが先頭に立つ必要がある。だが、世界線の都合で、多くが力を喪失済みという厳しい状況。故に、戦う意志の残っていたプリキュア5に力を戻すのは、理に適っている。

 

「この世界のプリキュアのことは、宇宙刑事シャイダーとかが調べてる。多分、他の世界線と違う摂理になってるだろうから」

 

「この世界の地球は?」

 

「いずれ、戦争か、環境破壊で滅びる運命だったんじゃないか?そうでなきゃ、プリキュアが代替わりのたびに力を失うはずはないそうだよ」

 

「じゃ、どうすれば?」

 

「星や宇宙の意思を超えるしかないよ。そうしなければ、人に生きる権利がないなんて、おかしすぎるんだけど」

 

結局、この『オトナ』世界線は歴代プリキュアの献身で延命していたにすぎない、地球にとっての『滅びの世界線』であることが、ほぼ確定した。星の意思が人の滅びを選ぶのなら、それをもねじ伏せるしかないのである。そのために、大人のぞみに1000年女王としての超能力が与えられた。エトワールはそう見ている。卑弥呼、クレオパトラ、楊貴妃。その三人に代表される『1000年女王の意思』は地球人類の存続を望んでいる。だが、星そのものは人を排除せんとしている。ならば、星の意思をねじ伏せ、宇宙そのものの意思すら超えなければならない。

 

「その先に、何が……?」

 

「わからない。ウルトラ戦士の敵もいるのなら、ウルトラ戦士と手を組まないといけなくなる。彼らにも敵はいるだろうからね」

 

ウルトラ戦士も、闇の道に堕ちた者は意外に輩出している。のび太も詳しくは知らないというが、古くはウルトラの父と同期の戦士が闇の道に走り、そのウルトラの父の実兄も、一族に反乱を起こしたとも伝わる。また、ウルトラ戦士達も、超人化する前の自分たちとよく似た種族である地球人に親近感を抱いており、また、自分たちのルーツに関わる可能性があることから、地球人が一定の文明レベルになるまでは、時たま戦士を常駐させていたとされる。そのうちのウルトラ六兄弟は(ウルトラの国でも)超トップエリートの戦士たちとされる。

 

「敵は眼前の連中だけじゃないってことだろうね」

 

「ウルトラ戦士かぁ……拓海が子供の頃に見てたっけ」

 

キュアプレシャスは品田拓海(幼なじみ)が子供の頃にTVで見ていたことを思い出す。その彼らが実在するのなら、彼らと戦える巨悪もいるはずである。自分たちが何に足を踏み入れつつあるのか。その全容を測りかねるのだった。

 

 

 

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