ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第五百七十四話「西暦2000年のある日 3」

――ダイ・アナザー・デイの激戦を経て、魔女はその地位の低下が現実味を帯びた。戦争が対人戦に移行していくにつれ、サボタージュが深刻化し、更に人種差別疑惑も持ち上がる有様だったからだ。従来の魔女の括りに入れられない『プリキュア』の出現は大いに魔女界隈を揺るがせた――

 

 

 

 

 

――プリキュア5は世界線によって、『加齢などで変身能力を喪失する』(変身は青春の一瞬の奇跡という扱い)が、それは主流の世界線ではない。更に言えば、『ヒーロー(ヒロイン)は不滅である』という人々の願いも作用したため、のぞみは現役時代よりも遥かに強大な力を得られる状況に置かれた。のぞみは(前世の経緯もあり)それを受け入れ、錦への償いも兼ね、錦が就いていた職業もこなした。ダイ・アナザー・デイ後は『役目は果たした』と判断し、彼女本来の志望であった教職への転職が内定にまでこぎつけていたが、日本の官僚の傲慢不遜な振る舞いで潰された。この事件は日本と扶桑の外交問題になりかけたが、最終的に『日本側が非を認め、謝罪。扶桑軍の予備役制度の混乱は該当人員の召集継続の扱いで処理すること、予備役制度の改革を行うことで収束させる』という妥協的な解決がなされた。予備役という当たり前の制度への無理解が招いた混乱であった――

 

 

 

 

 

 

 

――のぞみへの補償は日本でも議論があったが、転職を潰してしまった詫び代わりに昇進させることは警察系官僚から『形式的な試験だけでも受けさせろ』との反発があったが、元々、日本系の軍隊は(素行に問題がなければ)士官学校卒であれば、大佐になれる道が約束されていたため、制度そのものを変えなくてはならないため、防衛省から警察庁の無知をなじる声が生じた。のぞみの問題が発覚した時点では、防衛関係者に顔が効いたことで有名な『正木俊介』が警察庁を退官して久しく、国防に無理解な警察官僚が多くなった故の無知であり、面子丸潰れ案件であった――

 

 

 

 

――野比家はメカトピア戦役を境に、地球防衛の秘密を隠す場所と化しており、2000年の末頃の時点で既に相当数が地下空間に置かれていた――

 

 

――野比家 地下空間――

 

「エトワールにも見せておこうと思ってね」

 

「だいぶ下がるんですね」

 

「ドラえもんが扶桑や地球連邦の要請で設けた空間だから。街まるごとの地下空間分の広さは確保してある。シェルターに将来できるように」

 

少年のび太は庭に設けた地下空間へのアクセスのエレベーターを起動させる。新野比家の時代には、マンションの部屋に備え付けられているが、この時点では庭の偽装された入り口からはしごで下った上で、エレベーターに暗証番号を入力する必要があるなど(親たちが入らないように)、厳重なセキュリティになっていた。上野駅の地下部分よりも下降して、たどり着くそこは整備途上とはいえ、なかなかの大規模整備基地であった。

 

「この時点でこんなに?」

 

「中枢部は引っ越す時点で移設するけどね。見てくれ、ここが扶桑に頼まれて、秘匿してる『各国用の海底軍艦』のドックさ」

 

「うわぁ……ここに隠してたんだね、うちの軍隊」

 

「日本の連中が技術漏洩を懸念して、引き渡しをボツにしたものも置いてある。扶桑は怒ったらしいんだけどね、信用問題だって」

 

「仏、露、独、伊……昔の列強諸国の戦艦をちゃんと模した外観になってるんだね」

 

「大人のぼく曰く、本当は『ダイアナザーデイ』のタイミングで一斉に引き渡しの予定で造ってたんだって」

 

リシュリュー、リットリオ、ソビエツキー・ソユーズ、ビスマルク。史実での最新最後の戦艦をベースに建造されたそれは本来、ダイアナザーデイの反撃の要としてのもので、その計画を『ニューレインボープラン』といった。既にダイアナザーデイ当時には、最終艤装をしていた艦もあり、ソビエツキー・ソユーズタイプは敵方が有したものとは設計に違いがある。日本(2010年代後半)の官僚らは『海底軍艦を外国に渡すんじゃない!!』と激怒し、引き渡しを横槍で潰したが、その代替措置で逆に苦労する羽目になったのだ。

 

「でも、2010年代後半の日本の政治家連中が潰したんだよねぇ。レムリアだか、ムーの技術由来の重力炉なんて、1945年の世界にコピーできると思う?」

 

「無理なのに、何を嫌がったの?」

 

「さーね。飛行技術も魔女の世界にはコピーできないレベルのものだってのに、何を怖がったんだろうね」

 

プリキュア達も疑問に思う、日本の横槍。何を恐れたのか。核兵器のような『技術の拡散』を恐れたのだろうか?というのが、扶桑の軍高官らの感想である。

 

「引き渡し予定のは、いわゆるモンキーモデルみたいなものだったんだけどね。機能を抑えた廉価版みたいなもの。こっちがお人よしみたいに完全版を渡すと思う?こっちの海底軍艦は波動エンジンで強化済みだってのに」

 

「日本の反応は?」

 

「ラ號の独自改良型を持ってるって流したら、件の横槍を主導した官僚たちは青くなってたってよ」

 

「だろうね」

 

「話に続きがあるんだ。ダイアナザーデイの後、ガリアの地下に、謎の高エネルギーと金属反応があったから、ゲッター2とゲッターライガーの量産型で掘ってみたんだって。そうしたら、とんでもない掘り出し物が出たって」

 

「掘り出し物?」

 

「うん。未来世界で修復を終えて、格納したばかりの『N-ノーチラス号』。ぼくと発見者のキュアミューズはそう呼んでる」

 

「えーーーー!?こんなのがパリの地下に!?」

 

「どこかの宇宙人の置き土産だか、次元漂着物かは不明だけど、埋まってたんだって」

 

その大戦艦はガリアの地下から出てきた『掘り出し物』。魔女の世界のガリアはパリに埋まっていたらしいが、経年劣化はなく、装甲も(未来世界のそれより精度は劣るが)硬化テクタイト板であるなど、かなり高度な技術で構成されていた。

 

「本当の名前はヱクセリヲンだか、ヱルトリウムらしいんだけど、未来世界にその二つはあるからね。混同を避けるために、ぼくとミューズはそう呼んでる」

 

地球連邦の艦の設計規格と偶然にも一致するなど、謎が多い艦であるが、地球連邦の基準で旧式の『対消滅機関』は外され、元の主機であった縮退炉を補機に変えつつ、地球連邦製の新型に交換、新たな主機は波動エンジンとするなど、地球連邦の現時点の規格に沿う改造が施されている。

 

「縮退炉って?」

 

「要はブラックホールエンジン。強大なパワーが得られるけど、扱いが難しくてね。今は殆ど使わない技術って言ってた」

 

地球連邦の外宇宙用機関は波動エンジンやフォールド機関になりつつあるので、縮退炉の採用は珍しいと言われる程に減少していた。出力は大きいが、微調整に難があり、また、波動エンジンと違い、『ウラシマ効果』のキャンセル効果がないため、マシーン兵器に積むエンジンに変わりつつある。そのマシンがガンバスター系列だ。

 

「廃れてきてる技術だけど、トルクはあるからね。あれにも積まれてるよ」

 

「うへぇ……これがグレートガンバスターか……合体状態で?」

 

「まぁ、地下だから、小さくする必要ないからね。ユング大統領が例の二人の帰還を想定して用意してたらしいんだけど、大きすぎてね。初代より100mも大きいし、重量も一万トンだよ?」

 

「い、一万!?」

 

「うん。だから、ひみつ道具で小さくしないと、まともに地表で扱えないよ。東京駅より大きい物体が亜光速でかっ飛んだら……」

 

「だから、大決戦の時に持ち込まれた時は小さくしてたんだね?」

 

「らしいよ」

 

「あ、前に誰かが言ってたような記憶があるけど、これだったんだね」

 

「うん。その戦いの記憶がある誰かが伝えたんだと思うよ?」

 

大決戦は『本来は、その時点には生まれていない』プリキュアも参戦する戦になったため、強く印象に残った者は多く、都市伝説のような形で、後代のプリキュア達に伝わったらしい。

 

「おかげで、あたしはあらぬ誤解を受けたけどね」

 

苦笑交じりのドリーム。大決戦での大暴れぶりが都市伝説のように語られていったため、本来は住む世界の異なるプリキュアたちにも(尾ひれがついて)伝わり、その修羅ぶりを恐れられていたらしい。その『正体』は当事者でないと分からないので、当然だが。

 

「部隊の上官と、ドラえもん君の道具で心を入れ替えてたんだけど、そんなのわからないしなぁ~……」

 

「ど、どんまい……」

 

「こいつらは秘匿物だからね。ママだったら、宇宙戦艦だろうが、『捨ててらっしゃい!』か、『捨てちゃいます!』だもんな。まぁ、この時代はしょうがないけど」

 

のび太の母の野比玉子は老年を迎えた後には穏やかな性格の『おばあちゃん』となるが、自身が若い時代は(息子が学業面で『不出来』であったため)口やかましい『教育ママ』であった。のび太は少年時代、その口やかましさに辟易しているのがわかるが、のび太は大学進学後に『憑き物が落ちたように』、穏やかになった母に驚くことになる。

 

「ああ、のび太君のお母さん、教育ママだもんね」

 

「父方のばーさまがまとめ役だったけど、早くに亡くなったからね。で、ぼくは勉強が不出来ときたからね。高校までは今の状態だけど、大学で憑き物が落ちるから、それまでの辛抱だよ」

 

玉子は実際には、のび太の学業の改善がなされ始めると、穏やかな側面が生じ始めており、それが顕著になったのが大学進学後であるだけで、実際はそれ以前に『憑き物が落ち始めていた』のだ。

 

「あれ?あれって、もしかして……四式中戦車じゃない?」

 

「史実通りの性能のものさ。M動乱の時期に配備が見送られたんで、引き取ったのさ。大人のぼく曰く、2024年に自衛隊の博物館に寄贈予定らしい」

 

M動乱で実際に使用された車両は砲塔バスケット採用など、更に再設計が施された改型であるが、それも五式改に置き換えられ、退役済みである。

 

「クーデターの後、残ってた試作兵器を引き取ったの?」

 

「うん。ダイ・アナザー・デイの後、横須賀航空隊の若手が馬鹿やったろ?あれで引き取る事になったんだ。大人のぼくが引き取りに来るまで、ここに置いておいてくれってさ」

 

よく見てみると、M動乱の際に改良型に切り替えられたために、量産が見送られたバージョンの『五式中戦車』と『四式中戦車』以外にも『三式砲戦車』、『一式中戦車』、『三式中戦車改』の姿もあり、ダイ・アナザー・デイの後、メーカーの倉庫で死蔵状態にあった車両を引き取ったのがわかる。

 

「日本の戦中型戦車が勢ぞろいだなぁ。M動乱でいらん子扱いになったのばかりだけど」

 

「相手が独ソ戦で進化した後のドイツ軍の戦闘車両だったからね。こいつらはそれに比べれば、ほんのおもちゃだよ」

 

もっとも、ガリアやロマーニャの戦闘車両に比べれば、格段に強力な車両であるので、供与用としての生産も提案されたが、財務省に却下されたため、このような運びになったのだ。こうした、日本の財務省のケチぶりは他国軍からも批判の的になったので、金銭・技術面での援助を緊急の代替措置としたが、ダイ・アナザー・デイで、対象国がそれどころではなくなってしまったので、財務省は面子丸つぶれであったりする。

 

「ドリームの転生した先の日本って、どうなってるの?」

 

エトワールが質問する。

 

「戦国時代で織田信長が本能寺の変を乗り越えて、天下統一をした世界だからね。そのまま大航海時代になった。当時の日本の森林の量じゃ、大航海時代の需要に耐えられないって説もあったけど、あたしの転生した先じゃ、実際に起こった出来事だった。で、海軍が伝統的に重視されてきたけど、色々あって、陸の近代化が急がれてる。戦車は特にね」

 

日本の現用車両(型落ちだが)を扶桑が1940年代のうちに量産するというのは、日本の技術協力もあるが、扶桑の地力が大日本帝国とは比較にならない事の証明であった。その衝撃で他国はカールスラントの技術陣を争うように引き抜いていったため、技術開発競争が加速しようとしていたが、他国は史実の1940年以前の水準だったりするので、スタート地点で既に差があったのだ。

 

 

「で、財務の連中に武器の保有数の規制論が強いからって、あんなのを買うわけだね」

 

「そういうことだね。大人のぼくの運営してる財団、その仲介で儲けてるっていうし」

 

のび太とドリームが目を向けた先には、扶桑に供与予定の『RGM-89』、『RGM-122』の姿がある。地球連邦では型落ちになりつつあるモデルの量産機だ。

 

「あれ、ジャベリンも供与の対象?」

 

「次のジェイブスが生産されだしたからね。まぁ、コストが上がったとかいうけど」

 

地球連邦はいくつかの失敗作も生み出してしまったが、基本的にジム系は堅実な作りの量産機である。MS用の装甲は実体弾には高い耐久性があるので、扶桑にとっては充分な防御力だ。

 

「君の乗るような、ガンダムタイプは高いからね。それに、保守整備にも腕がいる。だから、君の64Fが優先配備なんだ。他は超重戦車が回される予定だった部隊だ」

 

「超重戦車って?」

 

エトワールが疑問を口にする。

 

「昔は攻防速の三拍子が揃った戦車が造れなかったから、速を犠牲にして、攻防を当時の限界にまで高めた戦車が造られてた。その代わりに足が遅くてね。それが極端になってる上、重さがものすごい戦車を言うんだ。淘汰はされたんだけど、配備予定で組んでた部隊が宙に浮いちゃったんだって。その代替で、重可変モビルスーツが回されるんだって」

 

地球連邦はZZガンダムが完成した後、『無理にダブルゼータを20m級に収めなくていいのでは?』という発想にたどり着き、(原型機で不安視されていた強度の問題が解決されるまでに)大型化した『城塞攻略用MS』の生産を行った。ZZを大型化して量産するのは、地球連邦が情勢的に重火力を必要とする時期であったのもあるが、スーパーロボットの運用を危険視する議会への配慮でもあった。(とはいえ、ハイメガキャノンが相応に威力アップされているので、どっこいどっこいだが)

 

「ダブルゼータを大型化した奴だね」

 

「サイコガンダム造れる技術を流用したとも言えるね。マジンガーやゲッターを造れる世界でのダブルゼータを大型化したんだ。その威力は推して知るべしだよ。生産ラインがグラナダとフォン・ブラウンに残ってたから、今はフル稼働だって」

 

 

ジークフリードという愛称で呼ばれるそれは、35mを超える体格を持ち、内部メカの刷新を経て生産されるそれは『オイ車』と『ラーテ』の代替物としての需要がある扶桑の要請で生産されていた。ラーテ車が諸事情で計画が途中で中止された後、前払いで購入費を払っていた扶桑は困惑し、地球連邦に泣きついた。その関係で、扶桑は同機をその代わりに添えたと言える。(後に、自衛隊からメカゴジラなども納入され、扶桑軍はそれらを駆使していく事になる)

 

「自衛隊はメカゴジラを勧めてるけど、自衛隊に保守できる能力が残ってるかどうか」

 

メカゴジラは1990年代に製造された個体が大半であり、引っ張り出された時には、製造後20年が経過した個体が多かった。そのため、地球連邦が動力などを修繕した上で使われる個体が多い。とはいえ、日本の技術の誇示になるので、自衛隊はバンバン提供。太平洋戦争に技術開発競争の側面を持たせる事になる。また、扶桑は高射砲の平射も躊躇なく行っていたが、高射砲自体が旧式のものであるために、敵戦車に弾かれる事も日常茶飯事であった(野戦高射砲自体の更新が停滞していたため)。戦車砲に本格的に転用されなかった四式七糎半高射砲の生産ラインが維持されたのは、旧式化した野戦カノン砲の代わりであり、擱座させられればいいという思想からの事である。

 

「で、高射砲も置いてあるんだ」

 

「半分は扶桑が倉庫に置ききれない物の管理さ。扶桑は旧式化しても、数を必要にしてるから」

 

四式七糎半高射砲は半ば『野戦砲の代替物』扱いで生産され、旧式の野戦砲/野戦高射砲を更新している。少年のび太の時代の野比家にも、かなりの在庫が置かれているあたり、扶桑での生産品の保管スペースが枯渇しだしている事がわかる。また、日本側が『最新兵器の保有』にこだわるあまりに在来兵器を顧みない姿勢であることに苦言を呈する者も多い証か、扶桑が1944年までに『最新兵器』と扱っていた各種兵器の在庫も置かれている。

 

「それと、この時代じゃ、たぶん使わないだろうけど……」

 

「おぉ……先輩が受領したって聞いた、グレートマジンカイザー……改修終わったんだ」

 

「一時的に置いてるだけだけど、光子力反応炉とゲッター炉心は臨戦態勢にしてあるそうだよ。ミネルバXからは酷評されたけど」

 

グレートカイザーは『プリキュア5の世界』に持ち込まれる前、旧野比家に秘匿されていた。ミネルバXからは『ZEROに既に倒された存在』と軽んじられていたが、炎ジュンが強く反発した事により、黒江に託され、その前段階で『ゲッター炉心搭載』改修が施され、一時的に旧野比家で保管されていた。

 

「あれ、陽子炉とゲッター炉心も積んだんだそうな。ジュンさんの要請でね。未来世界だと、グレートのオリジナルを進化させたらしくてね。ジュンさんが『無駄じゃないってことを証明してくれ』って送ってきたんだっけ」

 

「改造し過ぎな気もするけど、ZEROが『ムカついたから、ファイナルブレストノヴァで倒した』って言ってるからなぁ。仕方ないか」

 

グレートカイザーは陽子炉とゲッター炉心の搭載により、以前と別のマジンガーとして生まれ変わった。元の時点で『シンフォギア世界の異端技術をねじ伏せられる』力を持っていたが、ZEROとの対決を見越し、大改修が施されていた。だが、ミネルバXの提言により、『新造のほうが良い』とされ、マジンエンペラーGが生まれたわけである。そのようなわけで、日陰者となっていたのだが、炎ジュンの強い要望で実戦に再投入の見込みであった。

 

「データ見れる?」

 

「そこの端末に入ってるよ。武装は基本的に弄ってないけど、エンペラーソードを呼び出せるようにしたそうな。共通武器にしたらしい」

 

「どれどれ」

 

「もしかして、ドリーム。興味あるの?」

 

「仕事で乗ることになるかも知れないし、元のグレートマジンガーなら乗ったことあるからね」

 

「乗ったんだ……」

 

「スーパーなロボは普通の人には扱えないからね。限られてるからね、マジンガーに乗れる人」

 

 

廉価版のイチナナ式はパワーを抑えているが、それでも一定の訓練が必要であるので、マジンカイザー級になると、心技体が共にタフネスを極めた者しか乗れない。ドリームはZEROと融合したので、この時点では乗れるのである。

 

「それに、あたしはZEROと一体化してるからね」

 

「君、ZEROの苛烈さに引っ張られて、ファイナルブレストノヴァは勘弁してよ?」

 

「あれは絵面良くないし、控えてるって。どう見ても悪役のやることだしさ」

 

と、本人は控えているらしいが、実はキュアミラクルとの大喧嘩の際にZEROに引っ張られ、『さぁ、零に還れ!!』という、思いっきり危ないセリフを口走り、キュアミラクルを震え上がらせているのである(実際にファイヤーブラスターで月面を焼いた)。

 

「ミラクルが愚痴ってたっていうじゃない。君、ファイヤーブラスターで月面を焼き払ってきたそうじゃん?」

 

「うぅ。つい本気出しちゃったんだって」

 

「なんですか、それ……」

 

「見てよ、エトワール。この写真」

 

「……ミラクル、よく生きてましたね」

 

ファイヤーブラスターの温度は数百万度を超える。つまり、星も溶かせるのである。そんな超兵器をかましたため、キュアミラクルはアレキサンドライトスタイルにも関わらず、逃げ惑うしかなく、月面の一部を文字通りに火の海としたのである。

 

「ドリームは融合した後、大技をいきなりぶっ放つ事も多いからね。これはその典型」

 

「……月面が焼けてる……どんなパワー……」

 

「多分、数百万度はあると思うよ。ミラクルが『肝が冷えた』って散々に愚痴ってるし」

 

「えぇ……」

 

「場の勢いで撃っちゃって、その……」

 

キュアミラクルが最強のアレキサンドライトスタイルであるのに、その威力に震えあがったと散々に愚痴るほどのパワーを引き出せるということは、紛れもなく『皇帝』級の力を持っていることの証である。

 

「元から、ムシバーンだっけ?……を相手に剣戟をするくらいには、君は肝据わってるからなぁ」

 

「え、なんで知ってんの!?」

 

「大人のしずかちゃんが持ってんだ、その映画のDVD」

 

のび太の何気ない一言である。

 

「そ、そういえば……」

 

「たぶん、君は変身でのプラス補正が歴代で一番強い部類じゃないか?上位形態になって、身体能力が上がったって言っても、個人の才覚がものを言う。剣じゃ、なおさらだよ。君はある意味、かれんさんよりすごいことをしたんだよ?」

 

「うーん……今、思い返してみれば……」

 

のび太の言う通り、キュアアクア(水無月かれん)は元から運動神経も鍛えられ、習い事を多数こなしていたので、剣戟ができても、それほど不思議ではない。だが、キュアドリーム(夢原のぞみ)は現役時代の時点では何の下地もなく、二段変身で身体能力が向上しただけの状態で立派に剣戟アクションをこなしたのである。

 

「現役時代はぼくと似たりよったりの運動神経だったっていうじゃん」

 

「のび太くん、後輩の前でやめてよ~!現役時代のネタバレは~!」

 

「先輩風を吹かしたいのかい?ぼくなんて、子々孫々の存在や、自分の死ぬ時期まで、ネタバレを小学生のうちに食らってる身だよ?それに比べりゃ……」

 

「うぅ~……」

 

のび太は自分の人生の行く末までも、この時点で既に知ってしまっていたらしく、サラッと言う。それを言われて、ドリームはタジタジであった。

 

「考えようによっては、明るく生きれるってことでもあるよ。親をちゃんと安心させられるって事だし、ノビスケが後の時代に続く血脈を紡いでくれる。ぼくもパパに怒られること多かったけど、大学行って、結婚して、子供を持てるって分かれば、精神的に楽になれるよ」

 

のび太は近未来の自分が順当に進学していくことを知った故か、(たとえ、自分の死期を知ろうと)毎日をポジティブに生きている。タイムマシンで未来を知り、その情報を自信にし、自分の人生を少しづつ明るくしようと研鑽をし始めている。

 

「私も、現役時代はそういう考えだったっけ。今からでも、昔に気持ちを昔に戻せるかな……」

 

「戻せるさ。記憶があるとはいえ、前世は前世、今は今だ。ちょっとしたつまずきはあっても、これからだよ、君の今の生は」

 

のび太はある意味、世界最高クラスの楽天家でのあるのかもしれない。自分の行く末を知ってなおも『毎日を明るく生きる』。言葉にすると簡単なことであるが、実際にしようとすると、実に難しい。それをしてのけ、成人後は『名士』に登り詰める。プリキュア達にも難しいことを普通にしてのける時点で、彼は非凡な人物なのだ…。

 

 

 

 

 

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