ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第二百四十七話「二つの世界にて 25」

日本連邦はミーナの不祥事により、連合軍全体の軍規を細かく改定。人事裁量権は司令部の裁可を得ることが原則とされた。これはミーナの件を受けての裁定で、魔女の部隊長の裁量権を縮小させることで、統制を強めようとしたのである。その一方で、64Fの裁量権は強大になっていった。昭和天皇が装備テスト部隊を解体させたためで、戦後に改めて再建させるまでの繋ぎとしての任務と位置づけられた。中央から完全に独立した指揮系統となったのも、彼の要請であった。つまり、日本連邦評議会の直接の指揮下に置かれたわけだ。そのため、それまではテスト部隊が多く独占していた良質のパイロットや整備兵を64Fが好きに使えるということになった。

 

 

 

 

 

これは装備テストは専門家の多い専門部署にやらせるべきで、兵力不足が顕著な現状では、前線を支えるベテランを多くすべきでは?と、昭和天皇が疑問を呈したからで、この言葉に、軍関係者は反論できず、妥協的に、64Fとその支援部隊に振り分けるという政策で応じた。その際に、64Fの権限を強化することで、彼女らに自活するように促した。これで装備や食料品調達の自活にフリーハンドを得た。元々、徴発の禁止と、軍票の廃止を見込み、ドラえもんに頼んで、地下部に大規模な食料品プラントを構築していたし、各国の現金を貯蔵していた。他の部隊が徴発の禁止と軍票の廃止に対応できずに右往左往する中でも、業務を抜かり無く行えたのである。

 

 

 

 

 

軍票は扶桑の国民がパニックを引き起こし、いくつもの銀行で取り付け騒ぎを起こしたことにより、日本側も『法令の廃止は決めたが、救済措置は講じる。今後数年間における法的効力は約束するし、今回の法令は1955年までに通常の銀行券に換金することを勧めるものである』と妥協的声明を発することで、騒動の沈静化を図った。これにより、軍部は軍票の使用を停止。以後は通常の紙幣などの備蓄に切り替えるものとされたが、すぐの切り替えは不可能であったので、現有分の消費のため、緊急の経過措置が取られた。全てを燃やすわけにも行かない上、末端の部隊にまでは指示が行き渡らない可能性が高かったからだ。結局、自前のコネで一定の現金を用意しえた64Fは野比財団のバックアップもあり、ダイ・アナザー・デイの全期間で活動しえたのである。

 

 

 

 

ダイ・アナザー・デイ以後に軍に入隊していく、歴代プリキュアに強い権限が与えられたのは、学園都市の能力者の代替と見なされたことも大きかった。学園都市が実質的に解体され、往時の面影は無くなったことが政府に認知されたのは、2010年代後半。その報は、64Fの異能者の(国家的な貢献を条件にしての)保護の大義名分に使われ、迫害していた側の魔女らは(カールスラント軍の相次ぐ不祥事で)逆に社会的地位が失墜。各国で、中世以来の魔女狩りが復活するという惨劇すら起こった。結局、各国はこの人々の移り気に嫌気が差した魔女たちの扱いに困り、扶桑へ義勇兵として送り込んでいった。その兼ね合いも、指揮系統の独立化に関係した。

 

 

 

 

 

 

ダイ・アナザー・デイの終了から数年後、クライシス帝国は滅んだ。霞のジョーの率いたレジスタンスが先立って、善良な国民を地球や月へ避難させていたため、クライシス国民の全滅は避けられたが、数十億いた国民の大半は皇帝の死とともに全滅した。生き残り達は難民として、地球に居住した。これは良識派が事前にレジスタンスに地球の環境に適応できるように『強化細胞』を横流ししており、それを得られた数千万(東京都+α程度)の臣民は無事に地球各地に散っていった。それがRXへの救いであった。また、クライシス皇帝の(自分が人であった頃の姿を模した)分身体であるダスマダーはRXに倒されたわけだが、その際に『バダンごときがいなければ……』と公然と愚痴ったとの事なので、バダンに自身が踊らされていたことに気づいた節があった。また、そのことからも、バダンこそがクライシスすらも踊らせるほどの巨悪であることがわかる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

扶桑海軍は戦艦武蔵の事件をきっかけに、政治的にズタボロな状態であった。それを慰めるためにも、戦艦部隊の維持は必要であった。日本は扶桑の全ての戦艦を特攻兵器代わりに消費する事も目論んだが、モンタナ級戦艦が量産されていたことにより、これまで通りの運用で落ち着いた。モンタナ級戦艦がある以上、そのカウンターパートは必要だからだ。特に、アイオワ級の速力を理由に、大和型を含めての全てを不要としようとしたが、扶桑での大和型は完成時点でも、29ノットの高速戦艦であった。また、そこまで行くと、現代艦ともほぼ遜色ないため、結局は大和型以降の世代に統一するのを条件に、戦艦部隊の維持が認められた。ダイ・アナザー・デイでの戦果はそれだけの威力であった。また、装甲も元から史実より頑強な構造であったのが増強されているので、史実より遥かに強力と言える。そんな状態の扶桑皇国を大艦巨砲主義へ走らせた張本人こと、『H44級戦艦』と思われるヒンデンブルクとグロス・ドイッチュラント。三笠型とも互角に渡り合う戦闘能力は扶桑海軍を震え上がらせた。連合艦隊はそれを超えるために大艦巨砲主義に傾いたと言っても過言ではなかった。

 

 

 

 

 

 

ダイ・アナザー・デイ後、なんとか撃退したものの、ライオン級戦艦の一隻をスクラップ寸前にされた連合軍はその代艦の建造を容認した。それが試験運用中のクイーンエリザベスⅡ級の増強であった。皮肉なことに、司令塔の装甲が薄い設計であったのが不味かったのである(流れ弾の53cm砲弾で艦橋要員の全員が吹き飛んだ)。この凄惨な有様への民衆の猛批判に耐えかねたブリタニア海軍は次級のクイーンエリザベスⅡ級では、司令部の装甲を遥かに増強する羽目に陥った。なにせ、対艦ミサイルで破壊される危険も生まれたからで、日本連邦はそれを見越した耐弾構造に変更していたが、ライオン級は1939年の旧態依然とした設計での建造のため、対艦ミサイルをも持つティターンズ海軍に嘲笑されたのである。

 

 

 

 

ブリタニアの財政難が急速に顕現化した事により、連合軍の形骸化は本格化。日本連邦の外征の方便としてしか機能しなくなった。特にブリタニア海軍の形骸化は、連合軍には大ダメージであり、扶桑軍への物的支援がほとんど用をなさなくなるとさえ嘆かれた。これは国家財政の急速な疲弊が原因であった。これにより、ブリタニア海軍の権威は凋落。代わりに、扶桑海軍が(形の上では)連合軍の主力海軍に登り詰めた。リベリオンという兵器庫を失った連合軍は形骸化の急速な進展により、扶桑皇国がほとんど頼みの綱になっていた。故に、加盟国の総意として、ウィンストン・チャーチルは21世紀の日本に『軍の物量を減らしてくれるな』と外交的に圧力をかけた。日本側もこの偉大な宰相の圧力に折れ、連合軍加盟国の尽くが疲弊している現状から、軍縮を当面は取りやめることを通達。ただし、資源と財政支援を条件に。チャーチルも呑んだため、開戦後の扶桑はそれで戦費を賄っていたのである。

 

 

 

 

 

 

日本はこれを大義名分に、兵器の戦後規格への変更を断行したが、戦後は米以外で軍事的な運用がされなかった戦艦などは不可能であったので、それらは据え置かれた。海軍の習慣などにも変更が及んだが、軍楽隊の練度維持などの問題も絡んだため、ゴタゴタになってしまい、士気自体も見る影もなくなった。そのため、戦艦のさらなる大型化と宇宙戦艦の施設導入は居住性の改善のためであった。義勇兵等の統制のため、特務士官出身の士官の扱いは丁重なものとされた他、非兵科士官の取り扱いも統一された。黒江たちが服部静夏を厳しく教育したのは、この変更で『問題を起こすのを回避させるため』である。

 

 

 

 

 

1945年。ミーナは査問で扶桑の軍規の即時変更を知らされ、その違反を公への罪状とされることに意義を唱えたが、同性愛での依怙贔屓をしていたことのほうが社会的抹殺も同然なので、引き下がるしかなかった。自分に非があったのも事実であり、外交問題になり、自分の謝罪で片付く問題では無くなったことで、処分を粛々と受け入れる以外にないと悟ったのだ。この前後に残した手記が、ミーナ本来の人格の最後の行動となった。

 

 

 

 

 

その4年後、バルクホルンAがミーナBに、Aの残した手記を見せた。内容は事変の英雄への無知を恥じるのと、国家へ迷惑をかけたことへの悔恨であった。

 

「これが?」

 

「この世界線におけるお前の犯した最大のミスだ。残念だが、お前本来の人格はこの手記を遺し、謝罪することをけじめとしたんだ……」

 

手帳に残された内容はまとまっているとは言い難いが、色々な理由で故郷に戻れなくなることを悟っていた故の悲憤もあって、『座学を受けるべきだった……』との内容の後悔も綴られていた。

 

 

「事変の戦局を終結に導いた本人たちがきたのを、司令部の嫌がらせと解釈したが、実際は天皇陛下のご意向に沿った派遣でな。それをきっかけに、ノイエ・カールスラントは内戦に陥ったんだ。西側の住人の東側への差別意識が暴かれたのも理由だったがな。あれだけのことをなしえた方々だ。普通の魔女との違うことは容易にわかるはずだったというのもまずかった。映画はだいぶマイルドにしたほうで、実際は異能祭りのような状態でな」

 

「……」

 

事変の戦局を一回で覆した異能者。それを扶桑軍の魔女たちも迫害したが、今度は自分らが迫害を受けた。因果応報だが、ミーナの場合は幼稚な嫉妬心からの疎外であったので、余計にまずいとされ、ミーナの名誉回復を考える者たちの計らいで『書類の不確認による、初歩的ミスであった』とした。実際、黒江たちの実力の把握後は怯えた顔で『バケモノじゃない……』と呟くのが目撃されており、残された私物からは(事態の把握後は)教官業務を担わせるつもりであったと伺える。だが、事態の進展で彼女自身が失脚。急速に部隊の衣替えが進められていったのが真相であった。

 

「結果、お前は実質的に失脚。閣下たちが部隊を衣替えしていき、今に至る。整備員も入れ替えたからな。お前の元の人格に関することは最高機密扱いにされてな。箝口令が解かれたのも、つい最近のことだ」

 

バルクホルンAのいうことは本当だ。これは64Fの立場が完全に確立された事も大きい。

 

「結局、扶桑のみならず、数ヶ国に異能者が確認されたので、その受け皿に使用されてな。英語と扶桑語が公用語になっている。カールスラント語は主要兵器の切り替えで使われなくなった」

 

カールスラント製の兵器は(予備部品の枯渇で)ダイ・アナザー・デイ中に殆どが姿を消し、64Fの装備は大半がリベリオン製などに切り替えられた。米国系のジェット戦闘機などを装備したためだ。

 

「銃も殆どは部品調達が簡単な国のものに切り替えられた。仕方がないが、生産中止されたからな」

 

「あの子達は銃を使わなくてもいいでしょ?」

 

「しかし、その方が穏便に片付く事もあるんでな。リーダー格には護身用に持たせてある」

 

銃器は形式的に配られるが、使わない者のほうが多いのがプリキュア達だが、のぞみやシャーリーなどは(転生後の立場もあり)好んで使っている。

 

「超兵器を使う相手ばかりが敵でもないんでな。ひどい時は自治体の手に負えん、人食いクマの軍団を退治するように言われた事もある。その事もあって、ある程度の銃器は備蓄している」

 

相手が軍隊から、人食いクマに及ぶことから、自衛用の銃器は備蓄されている。異能は破壊力がありすぎたりするが、銃器は威力の調整が効くため、市街地戦や人食いグマなどの退治で使われていると、バルクホルンAはいう。

 

「自治体で手に負えんと、ウチを呼ぶのも多くてな。熊の荒い気質の連中が現れると、人が食われるんでな」

 

「宮藤さんはなんていうかしら」

 

「この世界では、気にせんよ。気質も変わったんでな」

 

芳佳もAは(熊害の多い時代の記憶を得たため)そのあたりの割り切りはできているという。また、Bが持っていない銃器も、Aは(子持ちになったので)持っている。

 

「それに、あいつも今や母親だ。二人目も作るそうだから、当分は顔は拝めんが」

 

「!!」

 

「年齢的にはおかしくはない。もう21だしな、あいつも」

 

「あなた、ずいぶんと変わったわね」

 

「生真面目と、自分を取り繕う必要も無くなったからな。それに、私が出張る必要はあまりなくなったのもある」

 

バルクホルンAは自分以上の戦士がごちゃまんといるためもあって、以前より穏やかな人間性を見せている。最近は教官業務の方が多いからだ。

 

「それに、今はカールスラントの科学を誇る時代ではなくなった。地下の宇宙戦艦はみただろう?」

 

「え、ええ……。あれを一部隊で持っていいの?」

 

「この世界では、我々のみが宇宙戦艦の組織だっての運用方法を諳んじているからな。日本側を出し抜くためにも、ああいう宇宙戦艦が必要だったんだ」

 

 

日本側は野戦飛行場の運用を縮小させている。ジェット戦闘機の運用ができないからとのことだが、魔女の運用縮小の大義名分に使われている感が強かった。そのため、航続距離の問題で、魔女が怪異の討伐に出向けないという問題が起こった。時代的に空中給油は研究段階かつ、魔女に空中給油はあまり意味がない(ストライカーの稼働には魔力も必要なため)。そのため、宇宙戦艦を移動拠点代わりに運用しているのだ。

 

「魔女が単純に航空戦力となる時代は終わったんでな。あれこれしなければ、時代に置いていかれる。それに、あの子らのような異能者たちでも、普通に鍛えた軍人には不利な事は多い。元から軍人であれば理想的だが、そんな確率は少ないんでな」

 

 

 

バルクホルンAは、時代の変化に魔女を適応させようとしていた。時代が確実に高速戦闘と視界外戦闘に向かう中では、旧来通りの方法に固執していれば、いずれは滅ぶ。第二世代ユニットの実用化(より次の世代までの繋ぎとして)の推進も、自分やエーリカの発言力でさせている。

 

「ジェットを履けば、単純に強くなるわけでもない。最後は個人の技能だ。相手も同じ土俵なら、格闘戦になるのは必定だ」

 

「ウルスラさんが聞いたら、泡を吹くでしょうね」

 

「実際にそうなったよ。ジェット戦闘機同士の空戦では普通に格闘戦は起きるし、威嚇射撃をするにも、機銃は必要だ。だから、あの子には残酷だが、現実は非情さ」

 

バルクホルンAはこの後、ダイ・アナザー・デイでの戦闘データをミーナBに提供。ミーナBは『技術が進んでも、個人の技能は必要』と確信。結果的に、B世界の魔女たちの技能向上に寄与することになった。

 

 

 

 

魔女の世界では、怪異のおかげで、滅亡を免れた太古の巨大地下生物がおり、それが新京の人々を襲うことが増えていた。そのため、討伐が大規模に行われた。だが、一般部隊は(練度不足もあって)壊滅の憂き目に遭った。仕方がないが、装備も貧弱であったからである。

 

「クソ、どこのB級映画だよ!」

 

 

と、菅野は愚痴る。地下街に現れた巨大生物の討伐を指令されたからだが、それが存外にハリウッド映画じみた生物であったのだから、こう愚痴りたくもなる。

 

「クソ、狙撃銃の弾倉一杯と、ボルトアクション小銃の装填弾をありったけぶち込んで、生きてるだとぉ!?」

 

「菅野、どけ!!」

 

「ショットガンが効くか!?」

 

「やる価値はあんだろ!」

 

と、シャーリーがショットガンを持ち出す。疲労の軽減などのため、プリキュアに変身済みだ。

 

 

「ニャロウめ!!」

 

シャーリー(キュアメロディ)はジープからショットガンを持ち出し、連射する。米軍のファンから送られてきた『レミントン M870』なので、本来は『まだない』銃器だ。轟音と共に、火を吹く。ショットガンのポンプアクション音と発砲音が交互に響く。

 

「最後はこれだ!!耳塞いでろ!」

 

「象撃ち用かよ!?」

 

「これで倒れなきゃ、ギネスブックもんだ!」

 

と、魔力を込めたショットガン用の弾を込め、二連散弾銃を撃つ。さすがに、大口径かつ、高濃度の魔力を込めた弾頭は耐えられなかったらしく、生物は吐血して息絶える。

 

「うぉっ……くせぇ…。ますます、ハリウッドだぜ…。シャーリー、一匹だけじゃねぇのはお約束だろ、これ」

 

「大抵は、あと三匹くらいいるんだよな、こういう映画だと。つか、一昔前か、二昔前のB級パニック映画にあったよな…」

 

「おう…。規制線貼っとけ。警察と協議して、死骸を運び出して、研究させよう」

 

「だな。だけど、このクソくせぇ匂い……」

 

「この区域は封鎖だな。特殊清掃も手配しねぇと…」

 

と、思いっきり21世紀人じみたメタ満載の会話の二人。

 

 

「プリキュアなのに、バリバリに銃器使って良かったのか?」

 

「あたしの代は浄化メインで、破壊力自体はねぇからな。それに、最大技は奏がいねぇと使えねぇの」

 

「不便だな、それ」

 

「のぞみも、プリセットされてる技の威力が足りねぇから、あれこれしてるだろ?あたしも、異能を使えることは使えるが、色々と不味いのもあるからな」

 

「あー、原子崩しなー」

 

「最重要指名手配犯だったしな、前世のうちの一回で。学園都市の能力者だったから、捕まんなかっただけだ。それに、子供の教育に良くねぇ言動になっちまう」

 

「今だって、あんま良くねぇだろ」

 

「うるせー」

 

原子崩しは麦野沈利のそれと同じだが、精神的影響で、麦野沈利じみた『イカれた言動になる』という問題があり、キレた時以外は使わない。数年前にイタズラしたルッキーニBへ使用したが、思いっきり泣かれてしまっていたりする。

 

「それに、グンドゥラさんがまさか、電撃使いたぁな。覚醒前のペリーヌが拗ねてたの、覚えてっか?」

 

「おう。つか、今でもだ。人格が消えたわけじゃねぇからな。向こうのもそうだ」

 

「あいつ、プライド高いからなー。確か、一族最後の生き残りだろ」

 

「それで、残されたのが、ばーさまの使ってたという、先祖伝来のレイピアだけ。それで、電撃使いの家系だったらしくてな。それで、黒江さんや、グンドゥラのアレで凹んじまったわけ」

 

「まぁ、かたや、黄金聖闘士かつ、マジンガーとゲッターのパワーを奮えるバケモン。もう片割れは10億ボルトの電流を起こせて、なおかつ、コンピュータ時代に汎用性の効くことができる技能とくりゃな。しかも、一時代築けるくらいの空戦技能つきと来てるからな」

 

「あいつも青の一番って渾名持ちだが、家の本業は魔法医らしくてな。どんなノウハウを持っていたかは謎らしい。それもあって、撃墜スコア自体は重要視していないが、黒江さんたちの勇名は知ってた。だから、黒江さんの変貌は驚いてたぜ。なにせ、別人レベルで変わってたしな」

 

「なんで、調と同じ顔を使い続けてんだ、あの人?」

 

「声帯が軍に入る前のツヤツヤな状態に戻っちまって、元の顔に釣り合わないのになったからだと。偶然、調と同じ声色だったから、それで使い続けてるそうだ。それに、顔が知られてると、隠密行動できねぇし、私生活で羽目外しにくいからな。あたしも、のぞみもそうだ。だから、変身姿をなるべく使ってんだ」

 

「変身ヒロインも苦労あんだな。あ、隊長に報告しとく」

 

「わかった」

 

 

この日の任務を終えた二人だが、変身ヒロインの裏事情にげんなりの菅野。この世界線では、芳佳との関係が強い代わりに、史実のバディである、雁淵ひかりとの関係が希薄であるなどの特徴がある。管野との違いは、早期に大尉になっているため、言動が相応に理知的になっている点だろう。

 

「警察と協議しろとさ。今日は泊まりになんぞ」

 

「んじゃ、中心部のホテルでもとんか?」

 

「経費で落ちるからな。協議に二、三日はかかるし、同族が仇討ちしにくりゃ、もっとだ。一週間は留まることになるな」

 

「新京の市役所にも話をつけとけ。武器庫の銃を使えるようにしろと」

 

「わかった。日本での熊以来だぞ」

 

「あいつらは熊っていえねぇ連中だっただろ」

 

と、数年前の熊討伐に触れつつ、二人は武子に指示を仰ぎつつ、新京中心部の老舗の一流ホテルを予約するのだった。

 

 

 

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