ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第二百四十八話「二つの世界にて 26」

――連合艦隊はダイ・アナザー・デイ当時が、士気の意味で言えば、最盛期であった。それが終わると、ゲリラ戦法に特化していくようになり、正面切っての艦隊戦は半ばご法度となった。これは空母機動部隊の形骸化が理由であり、第二次世界大戦型の海戦を正面切って戦えたのは、ダイ・アナザー・デイとM動乱が唯一となった。これは空母の単艦運用が是となった戦後米国のドクトリンが魔女の世界では問題視されている故の齟齬であった――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海軍の仕事は減り、空軍はてんてこ舞いである。必要上、戦略爆撃機の維持は必要であったため、富嶽と連山の生産は予備パーツ中心に切り替えつつも、500機ほどは生産された。他国がそれどころでなくなったので、政治的要請によるものであった。また、F-4が旧来の双発爆撃機を凌駕する搭載量であったことで、それらが廃されたため、それらのパイロットの受け皿としても利用された。結局、設計能力の低下は避けられなかったので、クーデター後の処罰により、既成機の改修を主流にする方策が採用されたのである。エンジンの自主製造能力が残っただけでも、史実の航空産業の有様を考えれば、遥かにマシであった。また、弾道ミサイルへの忌避感が強いお国柄の日本への配慮として、特殊MSとしてのジークフリートの導入も進められた。これは戦略爆撃機の一部を代替する機材かつ、軍事的に意義の低下した魔女の代わりも兼ねていた。

 

 

 

 

 

 

 

バルクホルンAは第二世代ユニットの開発に心血を注いでいた。高性能・高速化があっという間に進むジェット戦闘機に相当する能力を与えなくては、空戦魔女は立ち行かなくなるからだ。これはISなどの空戦型パワードスーツが大活躍したことを受けてのものだが、魔女の世界の既存技術では、あそこまでの自由度は得られない。それもあって、新技術の実用化が必須であった。その兼ね合いで、量産品の開発は遅延。だが、搭載量の倍加と『誰でも大火力装備を扱える』アシスト機能は好評であるが、1949年時点では、機材の希少性などから、エース専用機であった。

 

「異世界から持ち込まれたパワードスーツの活躍もあって、次世代の方向性は決まったが、個人の資質で強度が左右されるシールド頼りの防御構造が問題視されてな。要は数回でも被弾に耐えられればいということで、物理的な防弾装備が生き返った。なにせ、歩兵でも対空ロケットを撃ってくる時代だからな」

 

レシプロ機が退役し始めた原因の一つは、歩兵の対空装備の充実である。皮肉にも、カールスラント軍が遺棄した装備が鹵獲された後に改良され、生産される道を辿ったわけで、更にダイ・アナザー・デイの最後の方で、敵方で近接信管が実用化されたことから、物理的な防弾無し=危険となったのも作用したのである。

 

 

 

「高射砲も、高度10000mに届くものが実用化されているからな。おまけに、対空ロケット兵器の誘導弾化も進んだ。シールドを飽和させる方策で戦死した者も多かった。今の扶桑は新人と古株の二極だ。だから、中間に育つだけの余地を作る必要があるのだ。今のカールスラントに、我々の帰る場所はないからな」

 

と、自身が戦前からの軍歴を持つ故に、内乱後のカールスラントに帰る場所はないことを明言する。これはドイツ連邦政府の無茶な施策のせいで、これにより、カールスラントの優秀な軍人の九割方が友邦扱いの扶桑に亡命するに至った。バルクホルンのような模範的な航空科将校でも例外ではない。妥協的に、扶桑への亡命者のうち、どうしても手放せない人材を『外国勤務者』と扱うことで、軍籍を維持させた。事実上の軍事国家であったので、こういう芸当が可能であったのだ。カールスラントの悲劇はナチとシュタージ。そのドイツ史上最悪級の組織があった国家の同位国であったことにある。その関係で、カールスラントは五体を引き裂かれたも同然の損害を被る羽目になり、二等国としても怪しい有様になった。そのため、バルクホルンやエーリカでさえも、帰国は数十年単位で無理である状況であった。

 

「数十年単位で帰れんだろうから、既に家財道具は引き払ったし、親類縁者は扶桑に亡命させてある。その方が安全だからな」

 

「数年前からの内乱のせいなの?」

 

「ああ。皇室でさえも国を捨てるレベルだ。100年後に国家があるかどうか…というレベルで殺し合ったからな……」

 

ゲルマン民族自体の存亡の危機に陥ったため、国家存続さえ危ういと、バルクホルンAは言う。連合軍の屋台骨であるはずのカールスラントの崩壊は連合軍自体を形骸化させてしまった。扶桑の外国不信がこじれるのを恐れた連合国は、カールスラント軍人の亡命運動を容認し、なおかつ、自国籍の維持を認めた。これはカールスラント自体を維持するのに必要な人材の確保のためである。

 

「扶桑が突出するのを容認するの?」

 

「もはや、軍事力優先の時代は終わった。そうなった以上、その中で最も大きい軍事力を維持する国に仕事を背負い込ませろ……という風潮がムーブメントとなっている。おそらく、本当ならば、リベリオンが背負うべき責務だったがな。扶桑の連合艦隊も、今は空母機動部隊の更新途上で動けんし、我々が制空権を守る必要があるのだ」

 

 

「それに、前にそちらのルッキーニがバカをやってくれたろ?その教訓で、見せておこう」

 

と、バルクホルンAが連れて行ったのは、64Fの秘匿兵器群の格納庫であった。その中には、鳥人戦隊ジェットマンの有していたメカニックもあった。これは彼らが解散した後、冷戦後の平和な時期に母体組織も解散したため、国連の手でオーストラリアはアデレード付近の格納庫に秘匿された。それから数百年後に回収された後、ヒーローユニオンの手で修理と改修がなされ、投入可能な状態にレストアされた。

 

「これは……すごいわね」

 

「敵方に対抗する手段だ。通常兵器では、MSは倒せんからな」

 

 

「宇宙時代のものとはいえ、なぜ、あんなものを?」

 

「国力に劣る国が勝つために生み出した。有視界戦闘を強いるために。電波撹乱をする物質も意図して散布する上でな。それ以降、ああいうロボットが主流になったが、一ヶ月かそこらでは数が揃えられん問題も出てな。それで、宇宙戦闘機も高性能化が進んだ。中には、双方の役目を担える変形メカもある」

 

地球連邦軍はその双方を維持し、幾多の戦争を乗り切った。また、土着の地球人類自体が少数化したため、平行世界からの移民も受け入れている他、その軍事力で、ミッドチルダを(事実上の)植民地にしている。宇宙戦艦ヤマトの武力であれば、銀河すら粉砕できるからだ。

 

 

「生き残るために、別の世界線にも版図を持たなければならぬという悲哀だな。宇宙時代の。星自体は脆いからな。そして、相手を完全に跡形も無く消し飛ばすというくらいの気概を見せなければ、まともに扱われん風潮があるそうだ。宇宙戦艦ヤマトはそれで、相手の本星を全滅させている」

 

「本星を……」

 

「宇宙戦争では当たり前のことだそうだ。恐ろしいがな」

 

その暗黙のルールに驚くミーナB。Aと違い、冷静に事柄を判断できるので、バルクホルンAは心の中で、ミーナAの『同性愛』を嘆いたという。

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらは菅野とシャーリー。地下生物討伐と調査のため、新京の中心部の一流ホテルに宿泊した。そこに調(キュアズギューン)が合流した。プリキュアになったことの正式な報告のためであった。

 

「お前までプリキュアかよ。クソッタレ」

 

「少佐、拗ねてません?」

 

「そりゃな。しかし、元の原型がねぇぞ」

 

「前世は妖精でしたからねぇ。その時の姿がベースなんですよ」

 

この頃には、菅野は少佐になっている。相棒の芳佳が産休であるので、黒江の僚機を務めている。アニメと違い、ひかりとの接点はあまりない。

 

「うちの幹部級の8割方はプリキュアってことか。ある意味じゃすげぇぞ」

 

「しかしな、菅野。能力の殻を破るのは並大抵のことじゃない。限界まで成長しないと無理だ」

 

「あんたは色々とチートできてんだろ。オレなんぞ、多少ある程度なんだぞ」

 

「のぞみなんて、有名度の差があるのか、超サイヤ人2みてぇな新形態に至ってんだぞ?羨ますぃぜ」

 

「あんたの代は制約多いからなー。つか、ドラゴンボール知ってんのか」

 

「現役時代にも読んでたし。つか、あたしらのうち、みらいまでは読んでるぞ、世代的に」

 

「ま、それ以降だと、NARUTOも怪しいし、下手すりゃ呪術廻戦や鬼滅の刃だしな」

 

と、菅野も仕事で21世紀に行く都合上、そのくらいの漫画は目を通しているのがわかる。

 

「でも、みらいさんもロボットオタクになったから、混ざってますよ」

 

「ま、あいつはそれで大卒の資格持ったから良しとしよう。機械工学と電子工学のの博士号もある」

 

「それで、プラモを造ってますよ。それで、なのはさんを沼に引きずり込んでます」

 

「野郎の仕業かよ。ま、年食わなくなったから、老眼にもならねぇ。それが良い点だな。それに、ヤツもまともな趣味持ったから、少しは落ち着くだろ」

 

朝日奈みらいの大きな変化はなのはにも影響を与えた。二人とも、魔導を極めた主でありながら、それと対極にあるものにハマったという皮肉な状況となっている。

 

「一応、武器は運んできました」

 

「警察のは古い奴の在庫整理だからな。こっちで、ある程度は用意しねぇと」

 

「デザートイーグルに、スミス&ウェッソンのM500も持ってきました。対デザリアム兵用に弾の威力を上げた特別チューンをした上で」

 

「ま、巨大生物にぶち当てるから、対人で使えねぇ弾も使えるからな。そうでないと、相手が子供を産んじまう」

 

「ゴジラじゃない分、マシだろ。初代のゴジラでさえ、オキシジェン・デストロイヤーじゃないと殺せねぇぞ」

 

「最近は災害扱いみたいだけど、初期シリーズは単に『人類の既存兵器の通じない生物』の扱いだったかんなー。その方が面白いと思うんだがなー」

 

「それやったハリウッド版の初代はコケただろ」

 

「そりゃそうだが……」

 

「それはともかく、私は大変ですよ。これからはライブもしないといけないし」

 

「そりゃ、お前の代はアイドル業が半分は本業だし。その気になりゃ、あたしたちもできるが、あたしらの世代は戦士としての側面がメインだから、文句来そうでな。のぞみもそれ言ってたぞ」

 

「慰問って言葉も禁止になりそうなご時世だからな。まったく、言葉狩りじゃねぇか」

 

「そうしないと、日本が予算を出さねぇんだと。特に、軍部の広報活動なんて、予算の無駄だって言われてるそうだ。扶桑の地方の連中も圧力をかけてるらしい」

 

「まったく」

 

「それで論功行賞をケチるから、クーデターが起きるんだよ。そのいいわけが『軍人は日陰者であるべきだ。恩給は確約してやってるのに、これ以上の文句を言うな』だからな」

 

日本と扶桑の温度差により、軍人は割に合わない仕事と認識されるようになり、志願数は壊滅状態に堕ちている。その事も、黒江やプリキュア達への依存状態を強めさせている。これは組織としては大問題であるので、日本も扶桑軍人の取り扱いを改善させ始めている。仕方がないが、大卒の人間など、1940年代時点では一握りのトップエリート層しかいないのだ。他は旧制中学の卒業がいいほうなほうだ。

 

「電子工学のでの字もない時代に、電子工学云々いっても無駄だってのにな。おまけに、扶桑は日本帝国よりは品質管理の概念はあるのに」

 

「おまけに、文化財を軽視した発言すりゃ、海老責めと金属バットでタコ殴りの上、爪剥がしだぜ?あれでカールスラント空軍が大パニックに陥ったし、うちらも士気が崩壊したぜ」

 

「ありゃ、ノイマン大佐がコンドル軍団の出だったのも運の尽きだったんだ。悪魔の手先扱いされて、その場の外交官がボクサーからの転身だったんで、それで顔を思いっきり殴られた上、今度はカールスラント叩きの材料を欲しがった日本の公安に凄惨な拷問をされたっていうからな。それで、功績の全否定の上で不名誉除隊が検討されちゃ、精神病になっちまうよ。だから、その薫陶受けてた連中が扶桑に逃げてきたんだよ」

 

「あんな拷問、いいのかよ」

 

「ケイさんがいなければ、その場で撲殺されてたろうな。それで、提督や将軍の誰かが生贄にされて、作戦部隊は自決を要求される。だから、ケイさんがあの場にいたのは幸運だったぜ」

 

「なんで、それをミーナさんは知らなかったんだよ」

 

「モンティのアホのせいだ。アフリカ戦線の様子やケイさんや黒田の戦果を最高機密にしちまったからな。アフリカ戦線で負けた上、ミーナ隊長の件が国際問題化したんで、哀れ、兵站部署に左遷だ。ま、気持ちはわからんでもないが。ストナーサンシャインを生身で撃ったから。非現実的だし、扶桑に手柄を持っていかれたくなかったんだろうが……あんなポカをやらかすなんて、普通は思わねぇから、かわいそうではあったよ」

 

バーナード・モントゴメリーの元帥昇進が史実より遅れた原因は『アフリカやスオムスでの異能者らの戦果を秘匿させたから』で、本人としては『各国のパワーバランスのため』であったが、連合軍の形骸化の原因となったための政治的意味合いでの懲罰であった。また、ロンメルの中央入りも『兵站考えないだろ、あいつは』という批判で潰えたため、扶桑陸軍の比較的に有能な陸軍将官(宮崎繁三郎や山下奉文)などが代わりに連合軍の中央に入る始末であった。

 

「それで、今日のザマかよ」

 

「ああ。連合軍は形骸化してるから、今回の戦争もアテにできねぇ。まともな援軍も送れねぇ有様だからな。討伐も支援はしてくんねぇだろうさ」

 

「ケッ、しけてやがる」

 

「チャーチル卿がねじ込んでくれましたが、送られてきた武器は旧式のエンフィールドとステンガンでした」

 

「馬鹿にしてんのか、ブリタニアは」

 

「野比財団が警備員を送ってくれますが、その方が装備はマシですよ」

 

「まったく、バケモンとやりあうんだぞ。拳銃もマグナム級を、フルサイズの自動小銃もほしいくらいだ」

 

「猪のようなもんだと思ってるんでしょうね。熊より厄介だってのに」

 

「銃剣で殺せる相手じゃねぇんだぞ?まったく、訴えてやる」

 

「ブリタニアの高官に言っとけ。馬鹿にしてるのかって。怪物の写真付きで。人種差別の疑いで、担当のクビが飛ぶだろうよ」

 

と、ブリタニアには、またも災難が降りかかることになるわけだ。この問題は思わぬ方向に飛び火し、結局はイギリス軍が最新の銃火器を提供する羽目に陥り、ブリタニア陸軍の将校たちは人種差別の疑いで、失脚の危機に陥っていく。菅野の抗議を聞き届けたウインストン・チャーチルは直ちに担当将校を直々に叱責。担当将校はみっともないいいわけをするも、そこに民間人が死傷するという凶報が入り…の流れで、ブリタニアは悪循環に陥り、混乱に陥る。結局、イギリスの仲裁により、ブリタニアが建造中のジブラルタル級航空母艦のうちの二隻を扶桑に船体の完成した段階で売却。その代替となる、より大型の『CVA-01級航空母艦』が認可される。これは扶桑がブリタニアに『空母機動部隊の近代化』を強く要望したためで、旧式戦艦を手放す代わりの戦力としての要望もあり、同艦級は最優先で建造が開始されるに至る。これは史実でクイーンエリザベス級空母が整備されたことが伝わり、軍縮派が国民に睨まれ、国防への発言力を失ったためであった。

 

 

 

 

 

『扶桑が加速度的に大型空母の整備を進めていくのに、その政治的抑止力をブリタニアが持たなければ、欧州海軍は扶桑の都合のいい駒のように扱われてしまう!!』

 

こんな内容のウインストン・チャーチルの一世一代の演説により、ブリタニアは財政負担を承知の上で、大型戦艦と空母の整備を推進していく。予備役にあった旧式戦艦を売却した上で。

 

 

「チャーチル卿はわかってるんですかね」

 

「抗議が入れば、青ざめるだろうさ。マルタ級の数隻はお詫びに送ってくれるかもな。ブリタニアには、戦後世代の『CVA-01級航空母艦』の設計図を流してある。それを造ればいいから、マルタ級はあまりいらなくなる」

 

シャーリーの言う通りに事態は展開し、この数日後、国際司法裁判所での係争を懸念したウインストン・チャーチル首相(大艦巨砲主義者)なりの詫び代わりとして、船体が完成していたマルタ級の一、二番艦が売却される。同級空母は南洋への回航後、直ちに扶桑の自動工場で戦後式の空母への作り変えが行われ、半年後に完成する。元々がミッドウェー級のカウンターパートを企図していた故か、近代化後の艦容は最終時のミッドウェー級に酷似した姿となっていたという。

 

 

「卿は大艦巨砲が好みだ。空母はあまり好みじゃねぇ。そこに漬け込め。日本の横槍で、扶桑の自主建造の大型空母は54年位まで影も形もないだろうから、その前に機関が壊れちまう天城や、転用されていった雲龍型の代わりにするのがいいだろうさ。今言った手土産がそろそろ、卿のもとに届くはずだ。ブリタニアには、空母機動部隊を延命してもらわねぇと、日本連邦が空母機動部隊の再建をする時間も稼げねぇ」

 

「送ってあるんですか?」

 

「蒸気カタパルトの提供と引き換えに、だけどな。電磁式は当分無理だから。数十年は蒸気カタパルトで凌ぐ。ブリタニアには色々と恩を売っといたし、赤城を沈めやがった代償はきっちり支払ってもらう」

 

こうして、ブリタニアはシャーリーの脅しに屈した。ウォーロックの暴走で、貴重な大型空母が海の藻屑になったことは重大な外交問題になる要素であったし、扶桑の同意無しで、テスト中の同兵器を投入したという問題もあったからだ。

 

「それにしても、ウォーロックはどこで造ってたんでしょうね?」

 

「扶桑とブリタニアの数カ所で、リスクを分散して造っていたそうだぜ。黒江さんの話だと、扶桑の研究所は早い段階で潰したそうだが、数人の生き残りがブリタニアの研究所にデータを提供したらしい。それでテスト段階に到達したけど……ってヤツ。結局、危険性が示されたから、未来兵器の導入が決まったんだと。真ゲッターのストナーサンシャインが最大の理由だ」

 

「あれはすげえかっこよかったからな。何はともあれ、ガリアは解放されたから。それと同じ力をケイさんが使えることに気がついたようだが、全部遅すぎだっての」

 

シャーリーが呆れ気味に話すように、ミーナの保身は全てが裏目に出たと言っていい。整備兵の密告があるにしろ、発覚後に頭を下げていれば、部隊そのものの改編は避けられたはずだからで、部隊を『よそ者』から守ろうとしたという理由があるにしろ、擁護できる要素はあまりない。魔女界第一の英雄をぞんざいに扱ったというミスは、ミーナの人物評を大きく低下させたと言って良い。

 

「あの時、黒江さんらに頭を素直に下げてれば、部隊自体が取って代わられることはなかったと思うんだがなぁ」

 

 

ミーナの元の人格への多少の未練を覗かせつつ、カールスラントきっての撃墜王のプライドがそうさせなかったのだろうと評する。部隊を陰謀等から守ろうとするあまりに、司令部の厚意に気づかなかった。一連の『扶桑きっての英雄部隊の復活の呼び水』に使われた、ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケの失敗は、国際協力体制の維持の観点での教訓とされていくのである。彼女が統合戦闘航空団の結成の功労者であったという事実も(コミュニティの閉鎖性の問題の発覚を隠蔽するために)魔女界から忘れられていくことになるが、その功績自体は記録され続けており、彼女の孫の世代が往時のミーナ・ディートリンデ・ヴィルケと同じ年代に成長した時代に再評価されることになるのであった。

 

 

 

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