ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第二百四十九話「二つの世界にて 27」

黒江らは掌返しが連続したことから、外部の評価は気にしなくなった。だが、部隊を運営する立場となったので、結局はある程度は気を配る必要があった。それが自らの戦果であった。扶桑では『前線で手柄を立てないと、世間に能無し扱いされる』風致が強いので、軍政方面の志望であった山本五十六でさえ、前線部隊の指揮経験を持つ。黒江らは異能者にカテゴライズされた後は『いついかなる場合でも成果を挙げる』ことが強く求められた。そのために、ミーナの一件がことさらに国際問題とされたのだ。在扶カールスラント人への嫌がらせや殺害事件も起こったため、カールスラント政府は軍に『ミーナをスケープゴートとして差し出せ』と指令。軍も『扶桑とのパイプを失えば、ゲルマン民族自体が滅んでしまう』という危機感を強く持っていたための選択であった。結局、ミーナを生贄にすることで非難は止んだが、国際関係の冷却化は避けられず、カールスラントという国家が空前絶後の暗黒時代に突入してしまうのである。

 

 

 

 

 

この一件以降、扶桑はカールスラントに見切りをつける形になり、以後は自由リベリオンやブリタニアとの蜜月の関係を築いていく。ブリタニアはカールスラントの没落を尻目に、自身の最新装備を提供。センチュリオン戦車はベストセラーとなり、以後、しばらくの間、連合軍の主力戦車として活躍していくのである。その一方で、前線に遺棄された兵器の回収は進められた。カールスラントはその再整備と提供を行うことを扶桑への『詫び』とした。日本側は『早晩に旧式になるのは目に見えているのに』と、扶桑のその施策に難色を示したが、四式中戦車や五式中戦車の性能水準で自己満足されても困るので、扶桑軍内の守旧派の排除の大義名分として使用した。この一環で、『1945年八月以後に入隊した者の装備は官給品とする』規則も作られた。これは士官の雑多な拳銃装備を統一する意図でのものであったが、古参の士官から文句が出まくったため、『1945年七月以前に士官であった者は私物の使用を認める』という一文も添えられた。これは扶桑軍の古参の士官の多くは九四式拳銃を使っていなかった関係によるものであった。この通達以後、古参か新参を見分ける手段として、装備が官給品かどうか』が現場で普及していくことになった。

 

 

 

 

 

また、64Fの独立性を『天皇自ら保証した』事により、軍中央としては『遊撃部隊として扱う』他なかった。更に、常に最前線に置く必要が生じたため、他部隊と交代させて、他部隊の練度を上げるという手が使えなくなった。更に、日本の政治判断として、『実戦経験のない部隊は案山子も同然である』と断じたことにより、安易に本土部隊を出征させられなくもなった。64Fは軍事的に無敵だが、それを援護するのも大事なはずである。仕方がないため、本土部隊から有望な人員を64Fに出向させ、ノウハウを伝えてもらうという方法も取られたが、あまりに空戦理論が先進的過ぎて、他の部隊の幹部が理解できないという問題が発覚。こうした流れで、扶桑空軍の練度均等化の試みは挫折。逆に尖った練度の精鋭を暴れさせている隙に、他の部隊を一人前にするという手法をとるしかなかった。

 

 

 

 

 

『本日、旧明朝のあった大陸中央部にて、都市群の遺跡の発掘が……』

 

「この世界での中国ですね」

 

「コスモクリーナーDで、土地を浄化して調査してるらしい。あんま金属食わない時期の怪異が主流だった時代だから、存外に鉱物資源が温存されてたそうだ」

 

「どこから調査を?」

 

「南京や北京からだそうだ。モンゴルが生き延びた一方で、漢民族の国が儒教のために滅んだなんて、シャレにならねぇと思うぜ」

 

魔女の世界では、漢民族自体は各地の華僑のおかげで存続しているが、民族としてのまとまりは失っている。これは明朝が李氏朝鮮を道連れに滅んだ際に、王侯貴族や軍人達が各地に逃れた後に、逃げた先に同化していったのも大きかった。そのため、欧州人は中国の存在を忘却してしまい、ダイ・アナザー・デイの際には、『孫子の兵法も知らないのか』と、カールスラントの将校らは嘲笑の対象になってしまった(それを知る者はごく少数)りしている。

 

「だから、扶桑に変に残ってたり、残ってないところがあるんですね」

 

「アマゾネスやマヤが生き延びてる時点で、史実の世界と倫理観が違うところはあるんだぜ?だから、あたしらみてぇなのが、この時代で大手振って歩けるんだよ。日本で、女が世間で本当に偉ぶれるのは、80年代を過ぎる後だし」

 

 

 

扶桑も大日本帝国と共通の倫理観があるが、軍人であれば、ある程度は大目に見られ、名士と遇される。それに変にメスを入れたがために、扶桑の社会は混乱期に突入していた。結局、扶桑の混乱を解消するには、軍人になることで得られた社会的見返りと金銭的保証の確約が肝要であったと、日本が理解したのは、日本が2025年を迎えた後であった。

 

 

「で、改めて考えると、すげえ絵面だよな……普通の格好がオレしかいねぇ」

 

「そうだな、あたしと調はプリキュアの姿だし、調は元の原型がないしな」

 

「あ、あはは……」

 

キュアズギューンとしては、大人びた外見であるので、他のプリキュアより背が高かったりする。

 

「私もまさか、プリキュアになれるなんて、思いませんよ。これでだいたいの相手に体格で不利になることはないんで、助かりましたけど」

 

「これじゃ、オレが子供みてぇに見られちまうだろ」

 

「お前、150前半しかねぇしなぁ」

 

「それでも、伸びたほうだぞ、チクショウ」

 

と、二人がプリキュアとしても背の高いほうなため、菅野はチビ感が強調されると、強くぼやく。

 

「お前、身分証は?」

 

「最近のプリキュアなんで、割にすぐ作り直せました。現役時代はアイドル業もしてたから、その仕事も増えるだろうけど」

 

「うち、いろんな仕事増やされすぎだろ」

 

「しかたねーだろ、日本がクーデター後にあっちこっちを強引に解散させちまったんだから。で、広報部も田舎の名士サマのクレームで予算を減らされたんだ。あたしらががんばなきゃ、他の部隊がおまんまの食い上げになっちまうだろ」

 

「まったく、田舎の士族出身の名士ってのは……。まだ、下級の華族のほうが話が通じるぞ。田舎の連中はこれだから」

 

「東北や九州に多いっていうからな。黒江さんは東京暮らしだから、カウントしないって、ほざくアホいたし。あの人、バリバリの薩摩人だぞ」

 

と、扶桑皇国内部で前時代と新時代の倫理観の衝突が起こっていることから、軍部は広報活動に予算を割けない事情があることが語られる。そして、64Fの活躍如何で、組織自体の予算が左右されてしまう現状も。

 

「とにかく、会議は長引きそうだ。軍からの金銭的補償の是非も問われるだろうし」

 

「面倒ですね」

 

「まぁ、地下街の店は軍が強引に移転させた連中も多いからな。金銭を補償してなんなきゃ、店主は納得しねえ。あとはあたしらが首尾よく、怪物を退治せにゃならん」

 

「武器は、一両日中に野比財団とアナハイム・エレクトロニクスから送られてきます」

 

「あとは警官の見張りを配置してやるか、だな。本当はいらねぇが、連中にも手柄を与えておく必要あるしな。ショッカーの連中は今んとこ静かだから、あまり連中を警戒する必要はないと思う」

 

ここで、説明する必要があるだろう。野比財団とは何か?のび太がダイ・アナザー・デイ後、扶桑で叙爵を受けたのを期に設立した財団法人であり、23世紀時点では、解体へ向かうビスト財団の(表向きの)業務を引き継いだ、老舗の財団法人という扱いである。デザリアム戦役後にビスト財団が解体へ向かった後、それに代わるアナハイム・エレクトロニクス社の資金源かつ、寄生先と認識されている。のび太の孫の代で、ビスト財団のサイアム・ビストは密約を結んでおり、『箱の解放、あるいはスペースノイドの権利が一定の進展を見た暁には、ビスト財団の諸権利の一切を野比財団へ引き渡す』という内容のもので、ノビタダの代でそれが履行されたわけだ。野比家がのび太以来の功で、地球連邦政府や扶桑皇国政府に多大な影響力を持つためもあり、64Fの後方支援にも尽力している。(これはのび太の遺訓による)

 

 

「のび太んとこの財団、元々はどういう目的で作ったんだ?」

 

「最初は扶桑で得た資産の管理のためだったけど、それが、あれよあれよで事業を拡大していったんです。2025年の時点で、あらかたの分野の事業を営んでます。出木杉さんが宇宙飛行士になる際に、JAXAに推薦したのが、最初の業績です」

 

「出木杉くん、いつから宇宙飛行士に?」

 

「25歳を過ぎた後、親と同じ道を捨てる形でJAXAに転職したんです。その時期に、NASAの宇宙飛行士だった人と結婚して、英世くんを儲けました」

 

出木杉はエリートコースを一貫して進んだ後、2025年では『日本人宇宙飛行士のトップエリート』と目される存在として名を馳せている。のび太らと同じ時期に結婚し、一児を儲けている。それがノビスケの親友である『出木杉英世』である。つまり、出木杉一族や骨川家とのつながりによる政治力も、野比財団の急速な成長の理由であった。23世紀になると、ビスト財団よりも表社会での信用度が高いため、マーサ・カーバイン・ビストは幾度となく、野比財団の失墜を謀ったが、全てが失敗。逆に密約の存在で、ビスト財団そのものを終焉に向かわせるなど、23世紀の地球連邦を中興へ向かわせる牽引車となっている。

 

「野比一族最大の落ちこぼれと言われた男が、23世紀じゃ、地球連邦政府の中興を担う財団の基礎を築いた偉人扱いだもんな…。その基礎固めを助けたのが出木杉くんやスネ夫、ジャイアンだから……あいつらは代を重ねても、友情が同じように続くんだから、羨ましいぜ」

 

 

「それどころか、先祖代々、子々孫々まで続いてますよ」

 

のび太達の友情は原始時代の先祖から、万年単位で続いている。のび太曰く、七万年くらいとのことだ。

 

「つか、恐ろしいな、ある意味」

 

「原始時代からずっとつながりがあるそうなんです」

 

「待て。スネ夫の一族はいつ金持ちに?」

 

「戦国時代の先祖が関東一円の有力者の家老に取り立てられてからだそうです。それ以降は代々が時代の流れにうまく乗っかって、財を維持してたそうで、90年代に、札幌ラーメンを現地に食べに行ってたと豪語してます」

 

「ある意味、贅沢だぞ、その時期……」

 

「のび太が言ってましたが、のび太の家は国内旅行も嫌がる(映画を見ることなどは積極的であったが)家柄なんで、ドラえもんがいなかったら、外国に行くこともなかっただろうって言ってます。それで、スネ夫さんの自慢話にはうんざりしていたそうです。そのスネ夫さん曰く、その自慢含めて、のび太には悪いことをしてきたが、子供の頃は世間知らずだったからだと釈明してます」

 

「なりほどな。まぁ、ガキの頃はとかく、自慢話はしたがるもんだしな。あたしも覚えがあるし。のび太もいいやつだよ。うんざりしてんのに、話を聞いてやってんだし」

 

のび太とスネ夫は立場の違いによる反発などもあったが、大人になった後は、お互いの事業などで融通しあっていたことが、調の口から語られた。

 

「そういう関係、のぞみは羨ましがってるぜ。立場や仕事とかで、みんなが昔のようになれないってことをわかってるから」

 

「仕方がないですよ。昔の友情をダシにして、金銭をだまし取るなんて話も、世間じゃザラですから。のぞみさんの場合は、チームのメンバーの出身世界が違うのもあるかも。」

 

「そこを気にするのも、あいつらしいぜ。ま、それでも、一時よりはマシになったぞ」

 

「要は『みんながいてくれる』ことが、のぞみさんの拠り所なんでしょうね。それで、自分の背中を押してくれる人も」

 

「ココがまさか、サムライトルーパーに転生してたなんてなぁ。2026年じゃ、タイムリーになっちまったが」

 

「本人も苦笑してますよ、そこは。アニメでの全能力を発揮できるそうですよ」

 

「輝煌帝を呼び出せるんだから、アニメでの最高到達点と同等の能力を持ってるのは間違いないな。で、普段は高校の教師かよ」

 

「のび太が50代に入る頃以降の話ですけどね」

 

「タイムマシン様々だな。時間軸がおかしくなるぜ」

 

「それ、今の私たちの気にすることでもないですよ」

 

「そりゃそうだが……おっと、もう時間だ。行くぞ」

 

三人はこうして、新京の行政や警察との『怪物退治』会議に赴く。普通の魔女代表が菅野なところは突っ込まれそうだが、荒くれ者揃いとも評判を取る64Fの中では、比較的に『普通の魔女』であるのも事実であった。異能者揃いの64Fの第一中隊『新選組』。菅野のかつて属した『第343海軍航空隊』の組織構成を引き継いだ関係で、第二中隊は『維新隊』、第三中隊は『天誅組』という名称を引き継いでいる。第一中隊が最も大規模なのは、プリキュア達が属する扱いになっているからだ。

 

 

この構成は、64Fの組織が『陸海の最精鋭部隊を一つにまとめる』という大義名分のもとに構築された関係で実現したもの。本来は志賀が坂本の推薦で『飛行長』のポジションを担うはずであったが、気風が陸軍航空隊のそれになることなどに反発した志賀が出奔したため、坂本が出戻る羽目になった。それ以外は構想通りに人選が進み、天誅組と維新隊はこの時点では、新選組のバックアップと拠点防衛が主な仕事になっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本では、魔女の世界での歴史と地理関係が改めて顧みられるようになり、中国と朝鮮は(日本での)近世で滅んでしまっていたこと、扶桑は外征を『武士団の商船団への提供』という形で繰り返し、欧州の騎士団を恐怖のどん底に陥れてきた歴史を持つこと、その関係で、扶桑はリベリオン西海岸に『瑞穂国』という衛星国を築いていたこと、それがリベリオンに後から入植してきた白人らの手で虐殺され、国家の解体に追い込まれたこと、戊辰戦争相当の動乱の際に、ハワイ王国を庇護下に置いた一派がおり、それが改編されたのが『太平洋共和国』であったこと。扶桑はブリタニアと数百年来の同盟国であり、カールスラントとの関係は比較的浅かったこと、それにも関わらず、第一次大戦後も軍事大国として持ち直してきていた様子にシンパシーを感じた者たちが『史実での親独派』に一致するメンツであったこと。

 

「扶桑のカールスラントとの関係を重視する派閥だが、史実で破滅を招いた連中だ。事前に摘むほうがよかろう」

 

「しかしだ。史実と違う条件が多すぎる。戦前の町並みが健在な街も多いのだぞ。それを我々の基準で再開発するには……」

 

「史実どおりに損害を蒙らせれば……」

 

「何を馬鹿な事を。史実どおりでない歴史なのに、史実通りに何百万もの死人を出せと?」

 

「戦いに勝ってばかりでは、いずれ身の丈に合わぬことをしでかすから、戦いの敗北から学べと言っている」

 

「君はいかれてるのかね。史実の我らの父や祖父母の成功は運良く、処方面での条件が揃ったためであって、怪異という脅威のある世界で、本土決戦をやらせろと?それに、彼らは既に外地の一部を失って、事実上の負けを経験したのだぞ」

 

「所詮は戦争で得たものではないか。我ら固有の領土に深刻な被害を与えておかなければ……」

 

「君は別の世界線に、広島や長崎の惨状を再現させようというのか!?」

 

「鼻っ柱を完全にへし折って、戦争屋どもを厳しく調教せねば、我々の父祖らの犯した過ちを繰り返すだけだ!!そのためには、たかが数百万程度!!復員兵の起こすベビーブームですぐに取り返せる人数だ!!文化財が心配なら、我らがあらかじめ接収すればいいし、現地の華族などは身分を解消させればいいんだ!!」

 

「彼の地への内政干渉になるぞ!!」

 

このような議論が、2025年の日本で繰り広げられていた。これにより、扶桑への差別意識を持つ者が炙り出される形となった他、政治家の中にも、『扶桑は都合のいい金づる』としか見なしていない輩がいたことがあきらかになった。日本政府の『日本連邦の運営』はこうした議論が内々で行われながら、十年目を迎えつつあった。扶桑海軍の戦艦の武威が日本を悩ませていた問題を沈静化させていったことから、(政治的に)ありがたがる声が大きくなっていった。とはいえ、(世間的には)大艦巨砲主義の誹りを受けているため、日本としても、扶桑の空母機動部隊の再建と刷新は命題であった。ところが、戦後の空母は(ジェット戦闘機の運用のために)大型化の一途をたどる運命であるので、財務当局が予算を認めないという問題が発生。瑞龍型(仮)も『大戦型空母のやむにやまれずの代替である』という弁論が認められたからで、日本のインターネット上では、『扶桑と日本の軍当局の最大の敵はティターンズでも、ネオ・ジオンでも、バダンでもなく、お互いの財務当局である』と揶揄されるに至っている。そして、軍の増長を異様に嫌う各省庁の派閥を財務当局が抱き込み、意図的に扶桑の人材育成の予算を削っているという陰謀論もこの頃に囁かれ始める。これはGフォース越しに『扶桑はクーデターの後始末の際に、多数の(前途有望な)若手士官を失った』という情報が伝わったからで、日本政府はその詳細を週刊誌で知るという体たらくであった。これは防衛省内の警察官僚が意図的に報告をしなかったからで、事の次第が知られたのは、扶桑在住のいたいけな少年から『なんで、あなた達は六十四戦隊に何でもかんでもやらせるのか?』という投書が届いたからである。『実戦経験豊富かつ、戦場で最強』な人員が多いが、その技能の多くは固有の技能が多く、教えで得られるものではない』という、64Fの実情は、この投書がきっかけで、日本政府にも(完全な形で)周知されたのである。また、統合戦闘航空団に代わる『最強部隊』としての需要で生み出された事も。扶桑では『後方で教鞭を執ることは誰でもできることだ。戦場で手柄を立ててこそ、真の誉である』という戦国時代の価値観が残っており、実際にそういう気質の戦士が大勢いる。

 

 

『史実の343空は足手まといの一般兵がいたから、幹部級がいたずらに戦死していった』

 

 

このような認識を持っていた日本の政治家はは64Fの精鋭部隊としての側面のさらなる強化を望んだ。武子はこの流れを快く思わなかったが、魔女たちが近代兵器を相手どって生き残るための戦術マニュアルなど、後方には一切存在しないためもあり、(それを作るために)その流れを隊長として容認。その一方で、交代要員の育成を名目に、極天隊(64F麾下の教育大隊)の拡充を呑ませる。実際、黒江たちの勤務実態は1949年時点で、ブラック企業並の『ものすごい』勤務時間に到達してしまっており、その交代要員の育成は急務であった。当時、黒江の腹心として著名であった、黒田那佳が(黒田侯爵家のお家騒動で)一線を退くことは大ニュースとして報じられており、その後継者として、ダイ・アナザー・デイの英雄と誉れ高い夢原のぞみが正式に昇格する事も報じられていた。その彼女らをシフト交代させられるだけの魔女の不在を、扶桑の軍当局も、武子も嘆いているわけだが、時代は既に1949年。史実では、日本軍はとうに解体されていた時期。扶桑生え抜きの腕っこきが(数年以内に)新規に大規模に現れる可能性は限りなく低いとしかいえない。それもまた、『旧来からあった外征型の軍隊が敗北で解体され、(戦勝国の都合で再編された)防衛特化の組織が後釜になった歴史』を持つ国の同位国である故の悲劇だろう……。

 

 

 

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