皮肉なことに、史実で柱島艦隊と揶揄された、戦艦部隊は(核融合炉による航続距離の問題の解決)により、史実と正反対の『実働戦力』として奮戦していた。また、装甲材の刷新により、懸念材料であった実際の耐弾性能も解決され、政治問題化した居住性も改善した。その一方で、駆逐艦や巡洋艦の航続距離は(機関の世代交代での燃費性能の改善はあれど)史実と大差ない距離で落ち着いたため、欧州への遠征は切り捨てられたと嘆かれている。これは日本が欧州への海軍の遠征に興味がないためで、ブリタニアの要望により、結局は艦隊にタンカーを随伴させるか、ブリタニアに軍港での補給整備を確約させることとされた。
空軍の負担も激増していたため、空母機動部隊の再建は妥協的に進められている。これは空母なしでは、海戦を戦えないからである。とはいえ、平時を前提にする日本と、戦時急造を望む軍隊の齟齬により、結局は遅延を重ねていた。黒江らはそんな状況を支えていたため、補給品も要望通りのものが支給されていた。また、扶桑軍が64Fの任務を軍機扱いにしている関係で、不手際を起こしたブリタニアは空母の売却をせねばならなくなった。送った武器が旧式や欠陥品であったのを問題にされたからで、結局は英国が物的補償を主導せねばならなくなった。国家間の公的な武器の供与でケチれば、国際問題になる。カールスラントはそれで破滅したのだから、ブリタニアも報復を恐れるのは当然であった。扶桑の顔色に神経質な様子を見せた。幸いなことに、英国がすぐに64Fの要望に適う武器を多数供与したことで、ブリタニア自身は空母の提供で事を収めることに成功した。なんとも言えないが、援助を惜しんだら、ろくなことにならない。それがカールスラントから得られた教訓であった。
扶桑は空母大国を自認していたが、自前の設計思想自体が旧態依然と化したことに困惑。結局、機動力を削ぎ、その代わりに、露天駐機含めての搭載数を増やす上、円滑にジェット戦闘機を運用するには、大和型以上の船体が必要という史実を受け入れつつも、独自の方向性として、装甲空母を追求した。これは大戦型の海戦が死に絶えておらず、戦後型の空母では、被害を受ければどうなるか。その懸念があったからだ。カタパルトの世代交代で、フル装備の機体でも迅速に発艦させられるようになったが、その頃にはレシプロ機は大半が一線を退いており、ジェット戦闘機専用になっていた。大戦型は大鳳を含めての全てが旧式扱いにされており、士気がだだ下がりであった。このコンプレックスが解消されるのは、85000トン級の瑞龍型空母の竣工を待たねばならなかった。信濃型空母が存在しない以上、翔鶴型航空母艦基準の空母は『小型』なのだ。空母機動部隊の形骸化は『大戦型軽空母の一律の退役による数の低下、雲龍型空母で多数運用の困難な大型機が主流になる、大鳳型空母の量産の頓挫』にあった。結局、大艦巨砲主義に頼らざるを得ないのは、急速な革新についてこれない人間が多すぎたためで、電子装備が完備されたジェット戦闘機が一気に主流になると、今度はそれに対応できる人間を一から育てなくてはならない。電子工学の黎明期にあたる時期なら、なおさらであった。
64Fは扶桑で唯一の『完全に宇宙戦闘に対応できる』部隊であった。これは地球連邦軍や元ジオン公国軍の経験者らが教官となっている関係であり、装備もMS時代に対応するものであるからだった。一般隊員でも、MSは最終型のジェガンであった。地球連邦軍はジェガンの後継機となり得るものをいくつも制作したが、殆どが『モノにならず』。ヘビーガンとジェムズガンは失敗作となり、ジェスタは政治的都合で大規模生産の見送り、グフタフカールは宇宙での高機動戦に疑義を呈されているため、宇宙軍の主力になれるかどうか。ジャベリンは成功作だが、小型MSの耐弾性能の限界を露呈する形にもなったため、結局はジェガンの使用が続いている。これはジェガンの生産ラインが最も良く稼働できていたこと、後継機種とされた機種の生産ラインの多くがあれこれで破壊されていったこと、サナリィの急速な衰退で、F80などの『Fシリーズの量産モデルの供給』が不可能になったことによる。結局、外宇宙戦闘では『物理的強度』がある程度は必要であった事の判明により、小型MSは急速に衰退へ向かったのである。
「そんな経緯で、サナリィはF91の改良型のプランを復活させたのか?」
「小型MS自体が斜陽だから、最後の華ってことでしょうね。F91自体は傑作だけど、連邦の評価は『質量を持った残像』を使えた試作機ありきだし」
皮肉なことに、F91は量産モデルで削除された機能が現場に大好評であり、エースパイロットは特注で機能を復活させていたほどであった。だが、サナリィが不祥事の発覚で規模を縮小させられ、既存機のパーツ供給でさえ怪しくなったため、結局は既存機の保守ををアナハイム・エレクトロニクス社が担う有様となった。その現状を打破せんとしたのだろうが、結局はF91のブラッシュアップモデルの域を出ない外観に落ち着いたF92。とはいえ、使用部材の更新等で、性能は設計当時より数段高い水準である。装甲のガンダリウム合金もγより数段上の性能のεに更新されている他、F91のフレームを流用した結果であるが、小型機としては久方ぶりのムーバブルフレーム採用機であった。これは小型機の構造は市井の製品では修理が不可能な複雑さを持つようになっていったのが否定される形となる。結局はジェガン以前のムーバブルフレームタイプに回帰することが整備的意味でも改善とされたのだ。
「F92のサブタイプは?」
「コードはνよ。再設計の際に、νガンダムの長所を取り入れたらしいわ」
「ノズルをファンネルやヴェスバーとの併用にしたのか?」
「その方が作りやすかったらしいわ」
F92は再設計の際に、背中のノズルを複合的な装備に変更されたことが明言される。その際に参考にされたのが、名機と名高いνガンダムであることも。
「ネオサイコミュの更なる改良型と、改良型のサイコフレームを取り入れているそうでね。グランジオングの存在で、ネオ・ジオンの穏健派を追求した結果、サイコミュ周りをフルスペックにしての製造が許されたそうよ。ま、本当はミネバ・ザビも処刑もんだけど、一年戦争の時は赤子だし、ハマーンやグレミーにいいように傀儡にされていたって話だから、別人として生きる分には、お咎めなしになったそうで」
「いいのか」
「親父と似ても似つかない、美女だからってことらしいわ。ザビ家で二番目に人気があった男の子だって」
「ああ、あの娘はドズル・ザビの子だったのか」
と、ブライアンも、元の世界で(マヤノトップガンやキセキが好きだったためか)機動戦士ガンダム関連の知識は(ある程度)ある様子を見せた。のぞみの肉体を使っているが、声のトーンは総じて低く、ドスも効いている。戦闘時には紫色の闘気を纏う事もあり、本人との違いは大きい。
「明日にも調整は終わるのか?」
「ええ。バイオコンピューターの調整に手間取ったそうよ。F90の頃、バイオコンピューターの調整不備で、戦場で機能停止したって事例があるそうで、それで、サナリィも神経尖らせてんのよね」
バイオコンピューターがいまいち普及しない理由も、サナリィ特有の高コスト気質のせいであり、日本軍の空技廠と同様の組織と見なされた。その結果、ジョブ・ジョンが管理責任を取る形で退任してからは、一挙に衰退を余儀なくされた。半官組織の負の側面が一気に吹き出した形であった。
「後ろ盾だった、元ホワイトベース乗員のジョブ・ジョンさんがザンスカール帝国への支社の肩入れの責任を問われて退任したそうだから、アナハイム・エレクトロニクス社への売却が囁かれてね。結局、保有技術がアナハイム・エレクトロニクスに流れたり、ザンスカールみたいなイカレポンチの手段に使われた咎を受けたのよね」
「ザンスカール帝国はどうなったんだ?」
「幹部層が全員死んだショックで、組織が空中分解。ギロチンで抑圧していたような連中だったから、国も負けたその日に解体されて、地球クリーン作戦に従事してた、ペスパの連中のうち、士官以上の連中は、問答無用でギロチン刑。結局、ペスパの構成員を生贄にする形で、サイド2は生き残ったけれど、賠償金で財政破綻したそうよ」
サイド2とサイド3はそれぞれの咎を受ける形となった。サイド3は移民船団への改編が進んだが、サイド2は財政破綻と、不満が爆発した市民によるペスパへの逆・虐殺のせいで、すっかり秩序は消え失せ、コロニー群自体が放棄されるのも時間の問題と言われている。そのため、サイド3は最も穏便に独自体制の終焉を迎えられたと言っていい。
「それを考えると、皮肉なもんだな。地球人類の存亡の危機が、地球連邦が息を吹き返すきっかけなんて」
「ガトランティスとの戦争で、政府の日和ってた連中があの世に行ってくれたおかげよ。とはいえ、それで、連邦政府の統制も完全に失われたから、今は軍事政権も同然だけどね。
「議会の選挙どころでもないんだろ、23世紀の地球連邦は」
「ハーロックの話だと、当分はその状態のままだそうよ。直にボラー連邦と全面戦争になって、その次は……だもの。」
「まったく。やっとデザリアムを滅ぼしたと思えば……と言いたくなるだろうな、連邦も。だから、ゲッターエンペラーのようなバケモノを生み出してしまうんだ。ウィンダミア王国も、今のうちによしておきゃいいのに。エンペラーが来てしまえば、星団自体が滅ぶぞ?」
「彼らはわからないのよ。因果律自体に干渉できるほどの機械神の力を……」
当事者ではない二人にすら、そう言われるほどに道化じみた行く末をたどり得ることが公然と口にされるウィンダミア王国。ゲッターエンペラーほどの機械神が顕現してしまえば、星団自体をなかったことにもできる。プロトカルチャーの力に頼っても、それ以上の力に滅ぼされる。かつて、戦艦アンドロメダの力に頼った連邦艦隊が白色彗星帝国の手で破滅させられたように。自陣営のメカとはいえ、ある意味では、ゴジラ級の災厄でもある皇帝の顕現は避けようがない。ウィンダミア王国の強硬派はプロトカルチャーの力に溺れているからで、それは地球人類がプロトカルチャーをも超えていく証でもある。ゲッターエンペラーが現れる条件を自分で揃えてしまうウィンダミア王国に、二人は本気で同情するのだった。
魔女の世界が壮大な『グリプス戦役の残り香の処理場』と化して、四年あまり。そのせいで、同世界の空気は一変したと言っても過言ではなかった。魔女はMSや宇宙時代の超兵器に圧倒され、過去に『異端児』扱いしていた者達がそれに対抗できると知ると、国家首脳らは『それ見たことか』と、魔女らに冷酷な視線を向けた。ミーナAはその風潮を世間に知らしめてしまう結果となり、失脚。魔女達は『世間的な評判が地に落ちた』状態で、1946年以降の時代を迎えたわけである。ルミナスウィッチーズの予算が1948年まで降りなかったのも、魔女の関連装備の既存技術の強化が頭打ちになってしまい、それ以上の発展には、魔導理論自体の世代交代を必要とするという事実がのしかかった上に、曲芸飛行に理解の薄い国が連合軍の主導権を握ったことが、ルミナスウィッチーズの誕生を遅らせた。彼女らの飛行は(曲芸飛行のレベル自体はそれほど高くない事もあり)扶桑では(戦争中は)拝めなかったが、それは親が武士であった『明治初期~中頃生まれ』(当時の時点で少数派だったが)が『武士たるもの、民に媚びて、なんとするか』という(前時代の時点で『時代錯誤である』)思想を振りかざしていたからで、しかも、そういう者に限って、地方の名士であったりするという問題があった。64Fの業務に広報業務が含まれたのは、日本のブルーインパルスと同等の曲芸飛行が可能かつ、21世紀のアイドルらと遜色ない『ライブパフォーマンスができる』ことが評価されたからで、ある意味、求められるパフォーマンスの水準が遥かに近代的かつ、高いレベルになってしまったことが、ルミナスウィッチーズの悲劇であった。
黒江たちへの戦間期における扶桑での迫害は目に余るものであり、事を知った昭和天皇を激昂させるほどのものであった。昭和天皇が実務権限を握っていた最後の時期に、彼の命で決められたものは『64Fの軍中央の指揮系統からの独立性の保証』などがあり、天皇の決定に、連合軍が追従した形になった。各国で魔女単独の部隊が次々に解体されていったのは、魔女らの高圧的な振る舞いに耐えかねた整備兵らが次々に告発したからで、ミーナAはその火蓋を切る役割を果たしてしまった格好であった。結局、軍事的意義の低下と、整備兵らの一斉告発で、魔女達は瞬く間に針の筵に陥ったわけだ。501の実質的な解体は軍部の世間へのパフォーマンスだと(ダイ・アナザー・デイ直前の状況では)批判されたが、戦況が(却って)迅速に動いたことから、64Fへの改編は強く歓迎されることになった。特に、黒江たちに次ぐ異能者が次々に現れた事は、軍部を狂喜させた。ティターンズの超人らに(真っ向から)対抗し得る可能性を広げられたからである。その筆頭であったのぞみは(南斗鳳凰拳に手もなくひねられたことはあれど)、ダイ・アナザー・デイの戦功第一となった。扶桑ものぞみの意向を汲むつもりであったが、日本の役人の高慢と偏見が(扶桑の天皇の勅を破るという『前代未聞の愚行』も犯したのもあって)扶桑と日本を戦争寸前にさせた。結局、戦争回避のために、日本側が全面的に非を認め、謝罪。その代わりに、のぞみの予備役編入は『なかったもの』として処理され、代わりに少佐へ昇進させ、危険手当等を倍額にするなどの形で損害賠償がなされた。その際に、海保や警察関係者らは『第二次世界大戦当時の技術しか持たぬ連中に屈するのか!』と総理大臣をなじったが、自衛隊関係者の『コスモタイガーIIやバルキリー、ガンダムの本物を持ってる上、マジンカイザーや真ゲッターロボ(原作版の)を連れてこれる連中に勝てるか(涙)!』と言われ、押し黙ったという。特に、グレートマジンガーとゲッターロボGよりも、遥かに強大なマジンガーとゲッターがいることが世間的に認知されたことは大きかった。
キュアマジカルとキュアドリーム(ブライアン)が話している横で休んでいた整備兵の読んでいた、日本の新聞の一面記事は『マジンカイザーと真ゲッターロボはどこからきたのか?』という、ダイ・アナザー・デイの開示された情報を探る内容の記事であった。マジンカイザーは『OVAでの姿』ではないこと、真ゲッターロボは『原作版デザインである』ことなどが事細かに解説されていた。真ゲッターロボの圧倒的機動力、マジンカイザーの無慈悲までの防御力と破壊力も含めて。アニメオタク(マニア)には既に当たり前のことだが、マジンガーとゲッターのアニメシリーズの終焉後に生まれた存在であった二体の一般的な知名度は低い部類であったので、『グレートマジンガーとゲッターロボGよりはるかに強い』後継機種があるという事実は、驚きを以て迎えられた。こうした情報の開示は慎重に行われているが、マジンカイザーと真ゲッターロボは(日本でも、存在自体は知られているため)誇示する形で開示された。地球をも滅ぼしかねない力を秘めしスーパーロボットだが、兜甲児や一文字號らが(原作通りに)乗り込んでいることも開示されており、連合軍全体を救った救世主と扱われていた。甲児は(おおむね、UFOロボグレンダイザー時の容貌であるので)精悍な好青年、一文字號は(原作版に近い容貌なので)いかつい好漢といった印象を与えていた。流竜馬は(OVA版の強面かつ、ワイルドな風貌なので)扶桑軍の要請で、記事には起用されなかった。彼の乗機も(ちょっと、扶桑国民にはワイルド過ぎる姿なため)公にはされていない。
「あ、見てくださいよ、この記事」
「ふむ、ダイ・アナザー・デイの記事か。どこの新聞だ?……日本のか」
「連中には信じらんないでしょうね、この勇姿」
真ゲッターロボとマジンカイザー。実際にはサイズの差がある(おおよそ、20m前後)ので、扶桑はかなり、両機の見栄えに気を使った写真を提供したのが窺える。
「しかし、ゲッターのほうがかなり大きいだろ?」
「たしか、55mのはずよ」
「ドラゴンよりもデカいな。ノワールGはその倍か」
「合体ロボは得てして、合体するマシンが大きいと、サイズも大きくなるのよ」
「マジンカイザーも、たしか……30mくらいだったな?」
「グレンダイザーとほぼ同じ身長だから。マジンガーZが子供扱いよでも、Zの二号機は最終時の大きさだから、25mだけどね」
「最初は18mだったと聞いた。となると、Zはかなり小型になるのか?」
「陸戦型って感じで設計されてたから、18mだったって話。グレートマジンガー以降は武器や翼を内蔵する設計の都合で、一回り大きいのよ」
マジンガーZは実のところ、陸戦メカとして設計されており、空戦は兄弟機(グレートマジンガー)に任せるつもりであったとのメモが発見されている。兜十蔵博士はマジンガーZを習作とし、自身の息子(兜剣造)に空戦型の兄弟機を作らせるつもりであった。それに加え、万一に備え、プロトタイプの一機にゲッターエネルギーを浴びせておくなど、策を弄していた。その結晶がマジンカイザーであった。グレンダイザーをも超えるマジンガーがあるのは、ある一定の年代以上ののファンには衝撃であろう。
「マジンカイザーだが、元はプロトタイプなんだろう?どこがどうなって、グレートマジンガーより強そうな外観になったんだ?」
「装甲も地球で一番固くなってるわよ。ガンバスターのバスター合金とスペースチタニウムがトタン板扱いくらいに、ね」
「想像がつかんな、そこまで硬いと」
「宇宙戦艦ヤマトの体当たりを弾くそうよ。だから、地球で一番固い。反応兵器をものともしないもの」
マジンカイザーは自己進化機能を持つので、超合金ニューZαの硬度も更新され続けている。それを一種の指標として設計されたのが、マジンエンペラーGである。その両機の力はマジンガーZEROをも超える。
「ZEROが進化を続けたのは?」
「一つは甲児さんの第二の愛機になる運命を持つカイザーへの嫉妬でしょうね」
と、キュアマジカルも推測をしているようであった。マジンガーはスーパーロボットの元祖である。その更に究極の領域とは?地球を容易に滅ぼす悪魔として、幾多の世界を火の海にしてきたのがZEROなら、最後の切り札という立ち位置で、兜甲児の駆る究極の魔神となることが多いのが、カイザーと言える。その複雑さに、ZEROが何に嫉妬していたのか。ブライアンは少しづつ、ZEROの本心を探ることにした。