ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

767 / 787
前回の続きです。


第二百五十一話「二つの世界にて 29」

1949年秋時点での64Fは実働戦力のメンツも熟れ、隊の体制も確立された。皮肉なことに、旧・501統合戦闘航空団の遺産は人材に僅かに残るのみになった。これはダイ・アナザー・デイを以て、徐々に旧メンバーが(色々な理由で)隊を離れていったためだが、行き場のないカールスラント系の人材は居残っている。本来は501を核にした『第509統合戦闘航空団』を一時的に設立する計画であったと、ドワイト・アイゼンハワーは述べた。だが、計画はミーナの独断専行で破綻。結局は64Fの復活に取って代わられ、用意された資材や人材は同隊に流用された。この当初案はダイ・アナザー・デイ後に明るみになり、ミーナの不手際を責める論調が強くなった。結局、扶桑に外国不信を抱かせたからである。Bはこの論調に気まずさを感じており、Aに代わり、公向けの謝罪文を新聞向けに執筆する仕事を請け負った。

 

 

 

 

「美緒、この事件はここの私自身の幼さが招いた事態よ。謝罪文も畏まっておかないと……」

 

「うむ…。人格が入れ替わる前に言質は取っておいたから、それを参考にしておいてくれ。娘の面倒を見なければならんから、最近は長くは出歩けん身だしな」

 

坂本Aは子持ちになったが、魔力は維持しての引退であったので、往時の髪型は保っている。ミーナBに仕事を押しつける形になっているのは気まずいが、本人(A)は人格自体が入れ替わっているため、実質的には別人であり、その前の出来事での気持ちを推し量るのは不可能に近い。そのため、概ねの性格などが同一である『平行同位体』のBが代行するしかないのである。BはAより成熟した精神を持っており、なおかつ、幼き日に扶桑を訪れており、事変の詳細を知っていた。故に、Aの不手際に引いてしまった。また、扶桑への滞在歴を持つ故に、アジア文化圏の慣習も心得ている。それを買われたのである。

 

「でも、いいの?この世界の私の代筆なんて」

 

「本人の人格が入れ替わった以上、お前に頼むしかないのだ。事実上の別人と化しておる以上はな。限りなく本人に近いから、問題はあるまい」

 

と、坂本はあまりそこは気にしていないようだ。

 

「これはここのお前自身が数十年後に故郷に戻れるようにするためのものだ。数十年もすれば、人間が入れ替わって、事件のことは忘れ去られるからな」

 

「それでいいの?」

 

「いいのだ。形の上での謝罪がきちんとされていれば、後世の人々はお前の細かい罪などは気に留めん。ここのお前は扶桑への滞在歴がなく、事変の詳細を知らなかった。それが間違いのもとだった。当時を知っていれば、取れるはずのない対応だったし、国際問題ものだとわかるはずだったんだが……。フーベルタも大変な目にあったからな」

 

「あの子が?」

 

「若いときの発言が問題視されて、土下座謝罪を世間に強要された上、国外追放に近い扱いになった。コンドル軍団にいたのが問題視されて、懲罰的に予備役に入れられた。まぁ、別世界線の身勝手な思い違いのせいだが」

 

フーベルタ・フォン・ボニンは若かりし頃に『僚機が最下級軍曹であっても、撃墜数が多ければ(=実力が上であれば)空では命令に従う』と公言していたが、『平和な時代に生きるパイロットの立場はどうなる?ええ?』と言いがかりをつけられた挙句に、ティターンズへの内通を(日本の)公安警察に疑われ、海老責めや石抱きなどの前時代的な拷問をされた。ついには、コンドル軍団の生き残りであった事を理由に、問答無用でカールスラント軍から実質的に追放処分とされたが、マリーダ・クルスの(どこかの世界での)転生体であると判明したため、追放後に扶桑皇国に拾われたわけだ。既に帰化もしているため、カールスラント系扶桑人の扱いである。彼女を慕う者は大勢いたので、それもカールスラント空軍の形骸化の一因である。

 

「その後は扶桑に移住して、うちの幹部だ。貴族の家柄だったのもあって、カールスラントに居場所はなくなったと言っている」

 

カールスラントの秩序崩壊のせいで、故郷を追われた(血筋が貴族)者は王侯貴族にも多数生じ、国は崩壊状態となった。そのため、貴族(華族)がまだあり、なおかつ、元は親カールスラントであった扶桑への亡命者は多数生じた。クーデター後の人材の空洞化に愕然としていた扶桑軍は、このムーブメントを諸手を上げて歓迎。このムーブメントで、質の高い魔女が得られた事も、扶桑軍の魔女の育成枠の縮小の大義に使われた感は否めない。だが、ドラえもんの道具で『摂理を変えられる』ようになった以上、定年まで働いてもらうという思想が生まれるのは当然のこと。

 

「あの子が国外追放……?」

 

「後で詳しいことを説明する。そこは政治の不手際が絡むんでな」

 

 

結局、カールスラントは自身の別の可能性のせいで、無為に戦前以来の資産が四散させられ、国家秩序すら崩壊に追い込まれた形になり、以後の世界への影響力を失った。その資産の大半を拾った形の扶桑は以後、望んでいない立場たる『世界の超大国』として担ぎ上げられていく。その引き金を引いてしまったミーナAは表向き、数十年は『ある時に少佐として除隊した』と説明される。人格の入れ替わりなど、大衆は誰も信じないからで、公向けの偽りの説明が用意されたのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかしながら、扶桑もダイ・アナザー・デイ直後のクーデターで、当時に勤務していた魔女の中堅層の大半と、古参の一部を(政治的理由で)喪失。ノウハウの伝承の断絶が危惧された。新時代に適応する世代が(安心して軍生活を送れるようにするため)現れるのは、早く見積もっても、1955年(史実で警察予備隊が生まれる頃)以降と見積もられた。その穴埋めの時間稼ぎのため、カールスラント系の人材は一元的な管理のため、64F預かりになった。反乱の意思はないが、時代的にファシズムのような国粋主義への傾倒が疑われたからで、政治家からは(史実の意趣返しで)捨て駒同然の存在と扱われている。だが、当時の最高の空軍を担っていたのは伊達ではなく、64Fの一翼を担っている。図らずも、思わぬ形で、カールスラントは外貨の獲得手段を与えられたため、1948年以降は『人材センター』のような商売を始め、扶桑に代金を払わせていた。仕方がないが、カールスラントの再建資金を得るには、傭兵稼業をするしかなかったのである。

 

 

 

 

 

扶桑も、クーデターで本土部隊の低練度が露呈したため、長期計画で重装備の運用可能なインフラを整備しようとしたら、太平洋で開戦してしまったという重大な問題に直面。海洋国家として、外征可能な規模の陸軍を無くそうとしたら、それが必要になる有様になったのである。結局、機甲装備の全面刷新などが必要となり、莫大な予算が使われているわけである。扶桑の不幸は『軍備の世代交代期に、世界大戦の当事者になったこと』であった。世界大戦の当事者である以上、機甲装備の水準を向上させなくてはならないが、元々、騎兵/歩兵閥の強かった扶桑陸軍を機甲装備重視に変えるには、上層部の少なからずを生贄にしろという意見もあったが、M動乱で散々に苦しみ、『井の中の蛙』と突きつけられた後なので、(日本側がうろたえる勢いで)機甲装備の強化に躍起になっていた。その一端がジェガンなどの導入であった。

 

 

 

 

 

連邦軍もいい加減にジェガンからの刷新を望んでいたが、ジェガンは稼働率や故障率の低さ等で後発機を上回っていたこと、市井の電子製品で回路の修理が可能という利点があったので、ジェガンは生きながらえている。アニメと違い、ジムⅢがクロスボーン・バンガード相手に醜態を晒したため、ジェガンは『旧態依然とした設計』と落胆されての登場であったが、当初の配備先が(ジオン戦争を生き延びてきた)熟練将兵であったため、クロスボーン・バンガード相手に渡り合った。ジャベリンが完全に代替になれなかったのは、機体の根本的剛性が大半の小型機より高いため、宇宙戦艦ヤマトの登場を期に到来した『外宇宙時代』に、ジェガンが適応できたためであった。隠密性や防御力の限界から、ビームシールドも以前ほどの流行りでは無くなった上、金属精錬技術の世代交代で実体シールドが復権。ジェガンはこうした時代の恩恵を受け、異例の長寿命のモデルとなっていた。

 

 

 

 

 

 

64Fは他部隊がジェガンやリゼル止まりなのに対し、ガンダムタイプが独占配備されている。地球連邦軍の分署的な扱いを受けている事も大きかった。ZやZZ系統も持つのは、ロンド・ベル本隊の援助によるものであった。連邦政府も白色彗星帝国との戦争で保守派が死に絶えた事により、ガンダムタイプの使用に積極的になった故であった。故に、白色彗星帝国は地球連邦に『宇宙戦争は生き残った者が勝つ』というルールを教えてしまったとして、23世紀の地球連邦政府の近隣諸国に恨みを買ったわけである。地球連邦はニュータイプとオールドタイプのいがみ合いを『外宇宙時代』の到来で捨て、生き残るための進化を求めた。それがガンダムを久方ぶりに組織のイコンとして活用しだした理由であった。

 

 

 

 

「64Fはなぜ、大量にガンダムを持てる?」

 

「ロンド・ベルの支援と、連邦議会議長の意向だそうだ。白色彗星帝国との戦争の後、残ったガンダムを回収したり、残ったガワを新しいフレームにつけたりしてるそうだ。古いものでは、一年戦争のものだからな」

 

デザリアム戦役の後、64Fはパルチザンとして回収していた、ガンダムタイプの一覧表の作成を行い、そのまま、アナハイム・エレクトロニクス社に近代化をさせていた。コックピットが一年戦争中の旧世代の代物であったりするからだ。

 

「見給え。64Fがデザリアム戦役で回収したガンダムの総覧だ」

 

「すごいですな……RX-78-7まである」

 

「RX-78シリーズは戦後、どこかに秘匿されていたそうだからな。その内、RX-78-6のみは廃棄予定だったのを回収したと、ある」

 

「なぜです」

 

「おそらく、旧ザクに負けたという事実によるものだろう。開発データそのものは、ジム・キャノンⅡやGキャノンに活用されたそうだがね」

 

山本五十六は、自衛隊の高官に説明していく。RX-78の忌み子として、マドロックが廃棄予定で相模原の兵器庫に置かれていた事を伝える。7号機は敵に勝ったが、六号機は敗北者とされ、実機は廃棄されようとしていた。それが回収され、64Fに(近代化改修の上で)配備された。

 

 

「ただし、RX-78-8のみは本当にペーパープランだったようだ」

 

「なぜです」

 

「かの文明によれば、そこで一年戦争が終わったからだそうだ。7号機までは戦中に承認されていた故に、製造されたそうだよ」

 

RX-78シリーズはレビル将軍の押し進めた計画で生まれたので、戦後は疎んじられた。だが、白色彗星帝国戦の折、本土決戦用に近代化が画策され、調査がなされた。それで集積されたのは、現存していた『RX-78-3』、『RX-78-5』、『RX-78-7』であった。6号機は所在不明とされたが、実際には(元のパイロットがティターンズの経験者であったことから)廃棄予定物に紛れ込ませていたとのこと。

 

 

「一年戦争の時、8号機までを製造する予算は降りていたそうだが、7号機の製造開始段階で終戦で、関連書類も破棄されたそうで、8号機の構想は闇に葬られたと見ていいだろう。7号機は戦後の残党狩りのおかげで、日の目を見たがね」

 

「戦後はどうなったのです」

 

「残党狩りに7号機が使われた後、軍縮派が予算を削ったそうでね。関連計画は中止されたそうだ。その後、グリプス戦役以降の戦乱期には、次世代機が主役になったので、白色彗星帝国の侵攻まで、顧みられなかったそうだ」

 

結局、連邦はジーラインの計画中止後、高級量産モデルの開発の殆どが失敗に終わることになり、量産型νの再検討はそのリベンジであった。ジェスタも、政治的理由で頓挫。次善の策で、グスタフカールがその役目を担うことになった。ジェスタの残った機体は、ロンド・ベルで使用される見込みである。

 

「『彼ら』は高級量産モデルの開発でコケるという、妙なジンクスがあってね。それで、ガンダム自体を増産させる方向になったそうな」

 

「ジオンと好対照ですな」

 

「事務方が稼働率を尊ぶそうでね。ジェスタも政治的理由で、計画中止だそうだ。現場の文句を黙らせるために、グスタフ・カールを増産させるそうだよ」

 

連邦軍は高級量産モデルを嫌う傾向が強いが、これはアメリカ軍の名残りだという。結局、ガンダムタイプというワンオフの超高級品で戦場を制圧し、廉価量産モデルの物量で踏み潰すという、一年戦争以来のドクトリンが生きているためだろう。

 

「故に、政治的にバックアップがなければ、ガンダムの運用はできんそうだ」

 

「64Fには?」

 

「天皇陛下のお墨付きがある。議会も、お上の意向には逆らえんからね。ましてや、我々の平行同位体は特攻で人材を浪費している。故に、エースパイロットは前線で使い倒す。後方で次を育てるにも、すぐに復員されては、金が無駄になる……。君等の財務当局から、そう嫌味を言われてね」

 

日本の防衛当局者は山本五十六のその言葉に、一様に気まずい空気となった。結局、財務当局が軍の人材育成費を削ったために、扶桑軍は既存の人材をやりくりせねばならぬことになり、『前線のエースを交代させられなくなった』。これは史実の太平洋戦争で、エースを後方に下げた途端に、その部隊が全滅した事例が多かった上、特攻で人材を浪費したからで、それを振りかざしての財務当局の強権ぶりで、扶桑の軍当局は前線の人材不足に悩まされることになった。そのため、64Fが単独で制空権を支える事態に陥っているのである。つまりは『アメリカのような、余裕のある戦い方のできない』国の悲しい性であった。

 

「64Fは残された人材の更に選良が集められた部隊だ。彼らの行動を自由にさせなければ、我が国は足元が揺らぐ。大半の部隊が張り子の虎の有様だからね。だから、他部隊の再建に予算を割いているのだがね」

 

「申し訳ありません……」

 

 

今次大戦の不幸は、ダイ・アナザー・デイで連合軍の兵力がすり潰され、その再建が進まぬうちに起こったこと、一般魔女が戦力に数えられない情勢である故だった。第二世代ユニットは、その復権のために実用化が望まれているが、ダイ・アナザー・デイで冷却化した、世間の魔女への目もあり、遅々として進まない。魔導師と似て非なる者であるのもあり、時空管理局装備の流用もできない。それが、魔女の急激な衰退の理由であった。しかしながら、そこから異能者に転じたケースもあり、のぞみは『素体の肉体が前世での容姿に作り変えられる』形で、ペリーヌは『別人格の能力』として、シャーリーは『前世の記憶の覚醒で、能力を得た』。また、元は時空管理局の魔導師であったティアナ・ランスターも、前世での能力を得ているので、それに分類される。

 

 

 

64Fの基地では。

 

 

「それで、ティアナは生存がわかって、復帰要請があったが、空戦をしていることがわかって、管理局のメンツ論のせいで、容姿を変えろとなったのか?」

 

「黒江さんの話だと、あの子、ミッドの航空学校の試験に落第したそうなのよ。それが、ケイさんの仕込みと、ストライカーユニットのおかげで飛べるようになって、その内、前世の記憶と能力が覚醒してね。そっちがメインになってるのが通告された時、管理局の一部のお偉方がメンツ論を振りかざしたそうで。はやても、あの子のそのままでの復帰を残念するしかなかった。その兼ね合いなのよ。あの子が日本人の名義を持ったのは」

 

キュアマジカルは組織の調整役も担う都合、はやてと会う機会が多い。はやてが気苦労のせいか、ガサツさが強くなる一方で、表向きは清楚を装う様になるのを目の当たりにしており、黒江、モフルン、みらい共々に『どこかで見たような前世あるやろ……』とツッコんでいる。

 

「はやても前世の記憶があるっぽくて、それで、私的な席だと、お偉方の身勝手を愚痴るのよ。それで、ティアナの復帰に、あの子のお兄さんの死後の名誉回復をダシにしたっぽいのよ。はやてはダシにして、釣ろうとするのを反対したそうだけど、お偉方の意向で」

 

「そうでもせんと、籍を戻さんと思ったんだろう。連中も節操のないことだ。それで、今は高次物質化能力者(HIME)としての活動のほうがメインなのか」

 

「ええ。あの子も時空管理局に愛想尽かしてたし、前世での記憶が戻ったから、その時の名前を使ってるわ。そのほうが気楽に過ごせるとか言ってる。魔力は補助で使う程度。デバイスも怪異と戦っていくうちに壊れて、今は修理中だそうよ」

 

クロスミラージュは転移後の従軍のうちに壊れたらしく、この時点では(国交樹立の恩恵で)技術部に送っての修理中である事も語られた。

 

「で、なのはとの関係は?」

 

「お互いの元いた世界が平行世界として分岐したから、そのへんはややこしくてね。スバルやティアナの記憶と、なのは達の記憶が一致しないから、おそらく、なのはが13歳の時点で分岐しているんでしょう」

 

ティアナはなのはとの気まずい事件の記憶を持ち、それを圭子に伝え、そこから智子と黒江が知り、子供なのはを教育した結果、世界線が分岐した。また、ブライアンはなのはと素の姿で会った事があり、雰囲気に押されたか、なのははブライアンに敬語を使い、ブライアンはタメ口である。

 

「でも、なんで、なのははあなたに敬語を使ったのかしら」

 

「素の姿だと、私は年嵩に見られるんだよ。本当は妹キャラなんだがな」

 

と、キュアドリームの姿で愚痴るブライアン。本人は次女であり、妹キャラだと自負していたらしく、そこは愚痴りたいらしい。

 

「PXは閉まったから、新京に買いに行くわよ。ちょうど定期便の夜行列車が出るし」

 

「なんて、間に街がないんだ?」

 

「元は軍事都市計画があったのよ。聞いた話だと、事変の後、連山の次に富嶽ができるタイミングで、その補給基地として計画されて、そのついでに周辺部を開発する計画が立てられてたけど、それが日本の横槍で頓挫。それで、うちの部隊の基地に流用されたのよ。元々が大型爆撃機用だった格納庫なら、MSも格納できるだろって寸法で」

 

「この地下の駅はその名残りか?」

 

「ええ。元はこの辺のターミナル駅にするはずだったから、使われてないスペースが多いのよ、この駅。軍当局者しか使わないんだからってことで、列車も減らされたってヤツ。最近になって、間の空いた土地を使う案が採択されたけど、後出しなのよね、日本の連中」

 

二人もこうして、夜行列車で新京へ向かう。64F基地の地下部の隣の都市区画の人々の新京への交通手段でもあるため、普通の列車である。

 

「一般人も多いな?」

 

「地下都市の実証実験代わりに、数万くらいの住民を住まわせてるのよ。基地の隣の都市空間に。私達は専用の車両よ」

 

滑り込む車両は地下鉄と普通列車を兼ねられるもの。軍人専用の車両が設けられているが、一般人による車両の通過は許可されているとのこと。

 

「1940年代の終りにしては、ハイカラな作りだな」

 

「戦時でおまんまの食い上げになった国際寝台車会社の連中を拾って、設計させたらしいわ。この世界だと、中東とかは生き残った国が少ないのよ。それで、おまんまの食い上げになったらしいわ」

 

オリエント急行は魔女の世界にもあったが、戦時で『おまんまの食い上げになった』のを扶桑の資本投下で生きながらえたことが示唆された。また、オスマン帝国が辛うじて生きながらえた世界であるらしい事も伝えられる。

 

「イスラム教があるのか?」

 

「どうでしょうね。あったとしても、世俗派が生き残ったと考えたほうがいいわよ。原理主義派はどう考えても生き残ってないと思うわ」

 

「確かに」

 

ウマ娘世界も、世界三大宗教は普通にあるらしいことがわかる。また、魔女の世界では、『イスラム教があったとしても、寛容な派閥しかないだろう』と推測されている。二人はこの時、まさか、新京で大変なことが起こっているとは露知らぬ状態であった。その頃、新京では、対策会議が紛糾していた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。