扶桑華族は身分解消を武器に、日本側にひどく脅されることが常態になり、上流階級というのも形ばかりの有様に堕ちていた。日本側は『身分を残してやっただけ、ありがたいと思え!!』と高圧的であり、扶桑華族の顰蹙を買っていた。この流れで、華族の生き残り策が軍人当主の輩出であり、史実と違い、傍流の軍人の子女、あるいは子息が次々に当主に祭り上げられた。これに日本側は困惑。『我々は法的身分の解消を提唱しているだけで、華族の生き方まで否定しているわけではない』との緊急声明を出す羽目に陥った。だが、周囲の視線の冷却化を恐れた彼らはこの動きを続けたのである。
黒田はこの動きを決定づけたお家騒動の張本人であったため、否応なしに第一線を退くことになり、家の統治に入った。昭和天皇と首相、更には前当主直々の決めごとなので、黒田本家も反対はできなかった。黒田の実母と実父も嫁入りの支度金として貯金していた娘の仕送りの全額を『持参金』として差し出す(=婿を迎えるしかなくなる)羽目になり、とにかく涙であった。しかし、七勇士であった彼女の後釜になり得る者がいるのか、と軍部は強い懸念を表明した。のぞみはその流れで見出され、(素体が名家の出身であったのもあるが)軍人として栄達することになった。彼女が異能者(プリキュア変身者)であることに日本側は顔面蒼白。結局、のぞみの一件からは、日本側が扶桑軍の人事処置に口を挟むことは無くなった。その代わりに、戦略は(参謀格の扶桑軍人の多くが実戦未経験であったのもあって)日本側が主導している。その兼ね合いで、連合軍全体の軍人の昇進は抑え気味になっている。ただし、戦時中であるので、扶桑軍向けに感状の発行は積極的に行っている。これは金鵄勲章の扱いが落ち着くまでに時間にかかったからである。その兼ね合いで、陸軍武功徽章を改定し、全軍を対象にして授与することが決められた。ダイ・アナザー・デイで多大な不都合が生じたからでもある。
64Fが常設になったのは、異能者となった黒江たちの取り扱いに(とんでもなく)困った事もあるが、かかった資金の兼ね合いもあった。つまり、政治家の本音は『異能者の取り扱いは面倒だから、一箇所で管理したほうが都合がいいし、金もかかったから』であった。軍部も『忠誠心はあるし、近衛師団も無くなりそうだから、それの代替になる部隊をお上が求めているし……』ということで、常設化を容認。こうした駆け引きで常設化した64Fは、太平洋戦争の前線で唯一の空軍の実働部隊となるに至った。他の部隊の大半は訓練途上、あるいは司令官が及び腰であるので、張り子の虎。64Fの規模がどんどん大きくなるのは必然であった。日本側はこの是正に努めていたが、人員の質が時代相応に低く、その教育も兵器の質に追いついていないなどの問題があり、結局は64F頼りであった。戦後の武器は電子工学の知識がどこかかしらで必要であるが、それが存在しない時代の人間に与えても、猫に小判なのだ。
扶桑空軍一般部隊はこの頃(1949年)に、一般部隊が戦後第一世代戦闘機に慣れだし、防空部隊が第二世代機の装備を本格化させていた。第三世代機以降は施設の大型化が必要かつ、その運用維持費も跳ね上がるため、64Fと艦載機部隊の特権と化していた。仕方がないが、まだ、レシプロ戦闘機に需要がある時代故、大型のジェット戦闘機は疎んじられたのだ。その一方で、大型爆撃機の脅威を散々に啓蒙されたため、それに対抗できるジェット戦闘機とミサイルの組み合わせは、概ね歓迎された。M粒子のおかげで、ミサイル万能論が生まれる余地が消えたためである。ウルスラ・ハルトマンとしては不本意であったが、ジェット戦闘機同士の空戦も当たり前になる時代の到来は、彼女の出世を妨げる形になった。根本的に(技術開発で)融通が効かないのが、実にまずかったのである。
時代の変化で、戦役の中途で五体満足で退役=落伍者と蔑む風潮が生まれてしまったため、Rウィッチ化処理は最盛期を迎えていた。軍自体を辞めなければいい話であったが、武士の価値観の色濃く残る扶桑では、前線から退く=役に立たなくなったと解釈する大衆は多く、結局はRウィッチ化処理は継続されている。異能者に転じられれば幸運だが、それは極めて確率の低い出来事。その兼ね合いで、ひとまず『対象の時間を巻き戻す』タイムふろしきによる若返り施策は続けられた。それを家庭の事情で選ばない者も大勢いたが、64Fの過労を危惧する良識的な魔女も大勢おり、そうした古参らが対象であった。若返る年齢は概ね『13歳半~15歳』程度。これは一般的に『覚醒する年齢』がその前後であったからで、公には、既存の人材の再活用としての暫定的な処置とされた。これは体質の根本的変化には、世代交代を経る必要があるからで、異能者以外の魔女が前線勤務を続けるための仕方がない処置であった。この処置は以後の時代も続いたため、21世紀頃には『実年齢と外見年齢に大きな差異がある軍役経験者がいたら、それは生き残りと思え』と言われるほど定着したという。
かくして、新京~64F基地間の路線は(装甲列車を使うためか)しばらくは電化がされていなかったが、装甲列車の軍事的な意義の陳腐化により、電化がなされた路線に刷新された。発電施設等を『貫通爆弾に耐える』地下街内に設けるという形で落ち着いたからである。これにより、路線の所要時間は大きく短縮された。ドラえもんの道具での敷設であった。
「ここがムー大陸とはな。文明はあったのか?」
「定かじゃないそうよ。扶桑が発見した時には無人島だったそうだし、太古はもっと大きい面積だったけど、大きな地殻変動で沈んだところがあるそうで、人がいたとしても、万単位は昔だそうよ」
と、南洋島=伝説のムー大陸であるが、伝説通りに文明があったかはわからないと、キュアマジカルはいう。ムー大陸の資源集積地帯が残ったのだと推測され、資源埋蔵量は不明。日本が枯渇を煽ろうにも、資源を完全に採掘できるようになったのは明治以降のこと。結局、資源貯蔵庫を地下に設けることで妥協され、宇宙からも資源を採掘する案が通り、以後、しばらくは本土のインフラ整備に資源が使用されていくことになる。
「本土のインフラ整備に南洋の資源を使おうにも、太古に怪異を封じた記録のある地点は使えないそうで、史実のような強引な開発はできないらしいわ。史実のようなコンクリートジャングルに、東京を変えるには、100年近くかかるって試算があるそうよ」
この時点では、太古に封じられた怪異の復活が懸念されたことから、東京地域の再開発に躊躇いがある扶桑。結局、怪異の脅威を完全に乗り越えるには、次世代ユニットの実用化は必要とされ、1950年代に急速に開発が進む。これは1951年頃に魔導技術の革新が起こるからで、吾郎技師が楽観的であった真の理由であった。
「試算は試算だろう?」
「ええ。怪異さえ倒せればいいのだけど、問題はそのレベルに本土部隊が達していないってところ」
「紫電改ユニットさえ行き届いておらんというが……。ひどいものだな」
「扶桑って、本土の兵器はおざなりだったのよ。ダイ・アナザー・デイでB-29が出てきて、初めて、雷電や紫電改の存在意義が認識されたようだから……。しかも、日本側に史実の惨禍の写真を突きつけられて、膝から崩れ落ちた担当将校が多いそうよ」
「前線はB-36どころか、B-47が出てきているご時世だぞ?連中の頭はどうなっとるんだ?」
「ショックでやる気を無くした将校が多くて、自衛隊の人たちが代わりに仕事してる有様」
「まったく。扶桑の軍人の思考回路は武士の時代から変わっておらんな」
と、ブライアンも防御軽視であった扶桑軍の組織に呆れ返るしかない。航空戦略担当の将校らが戦略爆撃機の脅威を軽視し過ぎであったからだ。
「だから、自衛隊が扶桑軍の改革をする時間と余裕を、私たちで稼がないとならないのよ」
「だから、うちの隊は色々な年代のジェット戦闘機があるのか」
「扶桑皇国はやっと、ハチロクが安定して生産できるようになったばかりだもの。だけど、敵はその気になれば……。だから、技術チートもやむなしなの」
「昔の空戦漫画さながらだな」
「ドラえもんとドラえもんズのバックアップ様々よ。一般隊員にも、F-5Eが回せるんだから」
「それで、エース用がF-20か?」
「野比財団と骨川コンツェルンが航空博物館を作る時に、現存してた個体を解析した上で、それに近代化を施して用意したレプリカを増産したのよ。うちの隊のは、機銃をパルスレーザーに変えて、構造とエンジンをバルキリーのに変えた特別仕様」
F-20はシャーリーの絶賛もあり、扶桑皇国ではエースパイロット専用機として生産されている。これはエースパイロットでなければ、F-20の機動力を引き出せないとされたからで、機動力その他も第四世代機屈指であったため、扶桑皇国には好まれた。これは日本と違って、空軍が外征型であり、レシプロ機時代の流れで、機動力を重視する傾向が根強かった事による。
「あんたも乗っているんだろう?」
「飛行時間を満たすためにね。あれはいい機体よ?」
F-20は比較的小型の機体かつ、機動力もジェット戦闘機の中でも高いことから、扶桑は量産に乗り気であった。日本側は航続距離や搭載量などから、強く難色を示したが、レシプロ機に(割に)近い特性があった機体であったため、扶桑軍が独自裁量で採用した。軽戦闘機だと揶揄されているが、一通りの武装は想定されていたし、そもそも、F-16も元は軽戦闘機が想定されていた。ジェット戦闘機としては小型である故に、なんでも小型軽量を好む扶桑にはうってつけであった。
「日本は反対したけど、扶桑の航空産業もガタガタになってね。結局は他国設計の兵器のライセンス生産が主流になったわ。一部には、その方が多方面の工業能力が上がると宣う連中がいるけど、日本の目論んだ『航空産業の復興』は夢のまた夢ね」
扶桑も、航空装備の自主開発能力の大幅低下により、ライセンス生産が主流になりつつあった。日本も自身のクーデターへの対応策で、そうなってしまったことに困惑。結局、居残った技術者をフル活用せねば、以前からの計画の継続すら不可能であり、皇室の威光で技術者を呼び戻す事も行われた。だが、どこのメーカーも以前ほどの独自設計能力はなくなり、ライセンス生産が主流となる。史実よりマシなのは、航空エンジンの自主開発能力が残った点だろうか。クーデター後、自由リベリオンの技術者は『なんで、我々が過労死寸前になるのだ』とぼやいたという。こうして、自由リベリオンが機体の設計を担当するのが扶桑陣営の航空装備の常となっていく。こうした産業面での結びつきが、扶桑と自由リベリオンの蜜月につながるのである。
「やれやれ。結局は史実と大差ない結果か」
「エンジンが作れる分、マシよ。史実だと、小型の旅客機も量産に至らないもの。ドイツ軍の士官を公安警察がトンカチでボコボコにして、心と体を壊したって醜聞も出たから、史実に似た流れになるほうが都合がいいんでしょう」
「ドイツ軍も哀れだな」
「例のデロス島の一件で、文化財を蔑ろにしたと言いがかりをつけられて、有力将校をその場でクビにされて、何人かは拷問の果てに、ベットから起きられない体にされたそうよ。ケイさんが異能者でよかったって言ってるわ。グデーリアンでさえ、『ナチの蛮行を見逃し、戦後もナチズムを捨てなかった』って、史実での記録での言いがかりで、懲罰的に予備役だもの。それで、カールスラントは内戦」
グデーリアンの追放がカールスラントの崩壊を起こす引き金であったこと、皮肉なことに、扶桑移住後の彼は扶桑機甲部隊の近代化に寄与している。デロス島の一件は文字通りに、カールスラント軍崩壊の序曲になったわけである。後年、未来世界でのギガノス帝国がマイヨ・プラートを左遷させたことが崩壊の序曲になったように、前線に人望のある将校は迂闊に更迭できないという教訓を生むのである。デロス島自体は圭子がストナーサンシャインで怪異を瞬殺したことで解放されたが、カールスラントの加速度的崩壊の始まりとなったのだ。
「で、扶桑の一強か」
「ブリタニアは財政破綻寸前だもの。だから、連合軍も人材と資源は与えるから、太平洋で勝手にしろと丸投げ。これじゃ、扶桑の外国不信がこじれるから、カールスラント軍人の移住と扶桑での軍役を容認したのよ」
連合軍の有名無実化はダイ・アナザー・デイ後に顕著となった。ロマーニャは頼みの軍事力が張り子の虎だったことで、新造戦艦の整備に全精力を傾ける事態になっている。
「ま、欧州の連中が役立たずの案山子だったのがまずかったのよね。良くて戦間期の水準の装備だったから。ドクトリンなんて、ナポレオン戦争と大差無しだもの」
「ブリタニアしか、近代戦を理解していないってやつか……日本の自衛隊も、地球連邦も頭を抱えただろう?」
「だから、仮面ライダーやスーパー戦隊、宇宙刑事に助力を乞うたのよ。それでトントンな兵力差だったから。あたしたちは目覚めたてだったから、全盛期に及ばない程度だったし、ティターンズは南斗や華山系の拳法の達人がいるし……」
連合軍の結束はダイ・アナザー・デイの時点で綻んでおり、もはや欧州大陸の放棄も現実味を帯びていた。だが、64Fの死闘はそれを覆した。これ以後、連合軍は事実上、扶桑の外征の大義名分に使われる名義貸しへ堕ちていくことになった。
「それで、欧州は関わりたくても、頼みの軍事力がボコボコ過ぎて、自国の防衛もままならない有様か」
「モンタナ級戦艦が強すぎたのよ。だから、イタリアのリットリオ級なんて、日本の自衛隊に『補欠してろ』って言われるのよ」
「従姉妹が前に仮想戦記に凝っていたが……イタリアの戦艦は三下扱いだったな……」
リットリオ級はカタログスペック自体は悪くないが、大和とモンタナが戦う戦場では『三下』扱いである。また、自衛隊は(史実のローマがそうだったように)『弾薬庫への被弾による轟沈』を恐れており、『補欠してればいい』と言ったのである。これはリットリオ級の装甲では、モンタナ級の『50口径40cm砲+SHS弾』の組み合わせに耐えられないとの判断であり、扶桑が超大和型の量産を急いだ理由であった。
「ま、史実で散々だったから。ま、大和も実は大差ないけど、宇宙戦艦になってからは『宇宙最強の戦艦』だから、良しとしましょう」
車窓の流れ行く景色とは裏腹の、業務上の必要な会話。
「何気に、あなたもすごいわね」
「ミリタリーに凝ってるウマ娘の従姉妹がいてな。それに、マヤノに付き合って、トップガンの続編のプロモーションのための試写会イベントに出席したことあるんだ」
「トム・ク◯ーズに会った?」
「ああ。マヤノのヤツ、大感激でなぁ」
と、思わぬ方向でマヤノトップガンに付き合わされていることを語るブライアン。
「マヤノの親父が自衛隊上がりの国際便のパイロットらしくてな。それで知識は仕込まれた。今回のことが決まった時、あいつにプラモを記念にって作らされた。F-14の」
ブライアンの『入れ替わり』は、意外に多くの者達を巻き込んで行われていることがわかる。のぞみも(転生後は現役時代より色々と『マシなところが多い』恩恵もあって)なんやかんやで奮闘中だとのこと。
「昨日、アオハル杯の第三戦の映像が送られてきたが、ヤツも様になってきたようだ」
「あ、本当」
ブライアン(姿はキュアドリーム)がタブレットでその映像をキュアマジカルに見せる。アオハル杯の第三戦は激戦で、マンハッタンカフェの史実での子の魂を持つ『レッドディザイア』や『ブエナビスタ』、『ドリームジャーニー』らが姿を見せていた。いずれも、史実で名を馳せた競走馬の魂を継ぐ、次世代の強豪であった。
「このメンツをぶち抜くのは至難の業だったでしょうね」
「ブエナビスタがこの中では最強だろう。だから、あいつも私の体との同調を高められたと思う」
「ああ、このスペシャルウィークに似てる子?」
「奴の娘だよ、史実での。その中で最強の逸材だ」
ウマ娘世界でも、スペシャルウィークとその子であった競走馬を前世に持つ者達は容姿の相似性を強く持つ。ウマ娘としては、あくまでも、他人の空似なのだが、実馬としては親子関係にあった関係か、多くがスペシャルウィークによく似ている。その中で最強を誇るのが、オルフェーヴルの登場までは現役最強を誇った逸話を持つブエナビスタである。シニア級を迎えた年頃には見えないほどの童顔で、そこもスペシャルウィークによく似ていた。既に最強の座はオルフェーヴルに譲った後であったが、それでも、並大抵のウマ娘よりはるかに強い事には変わりなかった。
「すごいわね、最盛期の実力を出せる状態に戻った貴方(の肉体)に食らいつけてる」
「奴とて、オルフェーヴルの現れる前に、最強を謳われた逸材だ。私を充分に楽しませられる実力だよ」
と、ブエナビスタを高く評価している様子のブライアン。一応は生徒会副会長に在任中であるので、後輩の情報は逐一の報告を受けていたのがわかる。
「しかし、あんたらの上官の坂本美緒……だったか?なぜ自虐的なところがある?」
「あの人も転生者なのだけど、前世で馬鹿なこと繰り返したから、今回は後方業務に転じるって感じで生きてきたみたい。日本でのアニメでの裏設定で、零戦フェチみたいなところがあるってことだから、本人もそれを気にしていてね。ダイ・アナザー・デイの時、震電ストライカーユニットの芳佳への配備をゴリ押ししたのだけど、テスト部隊の連中に断固拒否されたの。それで、そのストライカーユニットが愚行で失われたと聞いた時の落胆はすごかったわ。最後の純国産ストライカーユニットになりそうだったから。その後に後方に退いたのだけど、横須賀航空隊の後輩が自分の顔に泥を塗ることをやらかすわ……運がないのよね」
坂本Aは自分のアニメでの姿に、なんともいえない思いがある。実務でも、震電ストライカーの配備を実現できなかったなど、史実に比べると、後輩に侮られている節がある。そのため、割に小物扱いされているが、人材育成等には多大な貢献がある。これは表向きは豪放磊落を演じつつ、裏では(前史の反省で)人材育成に力を入れていたからである。そのため、史実より育成等に関わる者達に人望があると言っていい状態であり、本人も引退の大義名分に、それを公向けの理由に使っていたりする。
「それで、史実ほどは芳佳との関係が強くないことは、どういういいわけをしているんだ?」
「状況が根本で違ったから、出会ったきっかけも違うし、自分が見出したわけでもないからって言ってるわ。むしろ、あの子の親父さんに恩義があるからって感じ」
そこまで言ったタイミングで、最近(49年年頭)に開設された中間駅につく。日本の(お詫び代わりに)計画する分譲都市のために開設された駅で、チラホラと日本式の(正確には、21世紀式の)コンクリート造のオフィスビルや高層マンションなどが立ち始めていた。軍関連施設が地下化され、それでの収入を見込んでいた地域の自治体に苦情を入れられたため、日本が慌てて計画した分譲都市。結局、日本の左派が主導しての軍事と民間の切り離しは(まったく)上手く行かなかったのである。
「ここは最近に日本が立てた駅よ。立派すぎて、周りの住人が駅だってわからない現象が起こったわ。時代にそぐわない、現代的な作りにするから……」
「まったくだ。現代的な駅ビルにしたところで、1940年代の田舎の人間はその概念すらもわからんというのにな」
と、日本の想定外で、駅に営業利益が出ていないことが語られるなど、日本の認識と扶桑の認識が噛み合わない故に起こる『想定外』は多かった。実際、扶桑の大衆に『軍専用の駅』と勘違いされていたという話もある。日本は扶桑でやることがチグハグすぎる問題もこの時期の扶桑で問題になっていたのである。