ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第五百七十五話「西暦2000年のある日 4」

――野比家に寝泊まりすることになった五人のプリキュア。キュアスカーレットについては『さる国の貴族で、日本にお忍び旅行』との説明で済ませた。嘘はついてないからだ。とはいえ、2002年~2005年に生まれた近年組、1992~93年生まれの「5」組とでは、ジェネレーションギャップがやはりあった。のぞみたちと共闘した経験がある二人であったが、本来の年齢差には驚かざるを得なかった――

 

「そういえば、ドリーム。本当は差があるってことは……」

 

「プリキュアになってなきゃ、中学生の姿でお互いに会えなかったってことさ。あなたたちが『なる』頃、あたしたちは就職してる年頃になる計算だからね」

 

「ぼくなんて、その頃は子供が六歳くらいさ」

 

「え~~!!」

 

エトワールは腰を抜かすが、のび太は1988年生まれ。HUGっとのデビューした年には、一児の父になっているのである。

 

「おまけに、ぼくはポケベルの全盛期を見た世代だ。君とはずいぶん離れてるよ、キュアエトワール」

 

「昭和64年だっけ?」

 

「63年だよ、ドリーム。世界線によっちゃ、ぼくは1964年には生まれてるようだから、その中で一番若い世界線の存在さ」

 

のび太は世界線によって、1960年代~1980年代のどこかの生まれとなる。一番年嵩な世界線で1964年、一番若い世界線で1988年だという。そのうちの1988年の8月に生まれた世界線が『未来世界に連なる世界線』ということだ。更に、この世界線では、1990年代に災厄が繰り返され、鉄人兵団のリルルが歴史改変を大規模に敢行した(自分の消滅と引き換えに)結果、1999年が数回も繰り返され、その最後の回にラーメタルの襲来が起こり、雪野弥生(後のプロメシューム)が1000年女王として、関東平野の大空洞船を起動させている。ただし、雪野弥生の存在は秘匿され、公的な記録には残されていない。彼女の教え子であったという『雨森始』の手記が後世に残されただけである。彼はどうなったのか?ある仮説によれば、彼は星野鉄郎の直接の祖先であると同時に、プロメシュームの夫になった(Dr.バンの前身)説がある。そうなると、人間関係がややこしくなってしまう(鉄郎がDr.バンを通し、メーテルやクイーン・エメラルダスと縁戚関係になってしまう)のだが。

 

 

「あれ?なんで、1999年の日記が何冊もあるんだろう?」

 

「僕達が最初に鉄人兵団と戦ったときに、鉄人兵団の存在を抹消しようとした敵方の子がいたのは知ってるね?その影響らしいんだ」

 

「あ、あの映画の出来事の影響?」

 

「うん。ちょうど、ドリームが現役の一年目を終えた時期、僕たちの世界は1999年を迎えていたんだ。君のいた世界に時空振動が伝わってたらしいから、その影響で、君は中学二年を繰り返したんだ」

 

リルルの行った『大規模な歴史改変の試み』は強い時空震を起こした。その影響はプリキュアがいる世界にも伝わり、プリキュア5が二度目の戦いに突入しても、のぞみたちが進級することも、かれんとこまちが卒業することもなかった。この不思議な出来事の真の原因は『リルルが図らずも起こした時空震が、時の流れを乱したから』であったのだ。

 

「じゃ、座標が遠いはずのこの世界で起こった時空震が、あたしらの世界の時の流れを乱したの?」

 

「そういうことになる。だから、君たちは14歳の姿で後輩たちに会えたんだよ」

 

「そうなると、あたしらの後続のプリキュアがいない世界線だと、その影響がないってこと?」

 

「魔法つかいの子達がかけた大魔法で、後輩たちとの繋がりができるからね。それがないことになるから、5の後にプリキュアは生まれてないし、時間経過で君たちの力も失われただろうね」

 

「……!!」

 

衝撃を受けるキュアドリーム。ミラクルたちのかけた魔法が後輩たちの存在を肯定する要因となり、自分たちの力が失われない(青春の一瞬のきらめきという扱いではない)理由ともなったといわれると……。

 

「みらいちゃん達の魔法がラブちゃん達の存在を?」

 

「たぶんね。そして、君がプリキュアでいられる理由でもある」

 

「…!」

 

「……嘘ぉ……危うく殺しかけちゃったんだけど」

 

「君、ファイヤーブラスターの後は、サンダーボンバーで思いっきり痺れさせてたからねぇ。あれ、100億ギガボルトだか、1000億テラボルトの電圧だろ?」

 

「うん。つい、リミッターカットで……」

 

「アレキサンドライトスタイルじゃなきゃ、耐えられなかったと思うよ。ガンバスターのバスターコレダーより数段上だよ?宇宙怪獣のメガトン級も焼け死ぬよ」

 

「あの、サンダーボンバーって?」

 

「新世代のゲッターロボの『ゲッターロボアーク』の大技。これがその映像」

 

ゲッターロボアークがサンダーボンバーを放つシーンが端末で再生される。それと同じことをドリームはしたわけだ。

 

「ミラクルを殺す気だったの?」

 

「いやぁ……その……その時はブチギレてたし……」

 

と、冷や汗たらたらで弁解するドリーム。言い訳になっていないが、ドリームはZEROの影響により、その際には攻撃性を増幅されており、ミラクルは覚悟を決め、ドリームと戦うしか選択はなかった。惜しげもなく、最高位の金魔法を使ったが、ドリームは草薙流の炎で、ミラクルの氷魔法を真っ向から打ち破るなど、押されっぱなしであった。

 

「大蛇薙や神威も打ったよね、君」

 

「うぅ。そこまで情報が……」

 

「ヤマタノオロチを払える炎を使うやつがあるか!って怒られてたんだって?」

 

「うぅ。勘弁してよ。頭に血が登ってたんだしさー……」

 

「スーパー1さんに絞られたそうだね?」

 

「うぅ~……最終決戦奥義は使ってないんだしさー……」

 

「大蛇薙の時点で、裏奥義じゃん」

 

「そこまで知ってんのぉ!?」

 

「あれ、この世界だと、ゲームのスーパーコンボだしね。ぼくもプレイの経験あるよ」

 

と、草薙流古武術までも、その情報を持っている事を匂わせる少年のび太。家庭用ゲームをなかなか買えなかったためか、アーケードゲームをやり込むようになっており、12歳を迎えた時代では『100円で30分以上は遊べる』くらいの腕前になっていたりする。

 

「大蛇薙まで使えるってことは、君は免許皆伝に近いってことだね」

 

「そういうことになるね。宇宙空間でも出るなんて、思ってもなかったけど」

 

「しかも、色が青だよ。普通の使い手より高い温度の炎ってことだから、ミラクルが最強形態でなかったら、倒しちゃってたよ」

 

「だろうねぇ……」

 

草薙流は『血筋の者』が使うことで真価を発揮するわけだが、のぞみの転生の素体であった『中島錦』の資質の良さが表れたとも取れる。

 

「転生先の実家の姉貴、あたしか、妹の疾風に親父の後を継がせる気だったんだって。で、妹はやる気ないからって、あたしに継がせたんだよなぁ」

 

とはいえ、結果としては『タウ・リンに抗う力をもたらしてくれた』のも事実なので、悪くはないと思っている。また、名家の息女といっても、長子ではないのが幸いした。扶桑では、長子は男女問わず、家を継ぐのが不文律であるからだ。

 

「たぶん、姉貴は家を守る代わりに、妹とあたしは外に出す気だったんだろうな。別の名前で生きていくことに反対もしなかったのは意外だったけど」

 

「普通は、なにか言われるとかあるもんね」

 

「うちは旧家だからね。それがネックだったんだけど、姉貴は鷹揚な人でね。それで、すんなりと許可が出たんだよね」

 

「そんなことがあったんだ」

 

「ほんとだよ。肉体の容姿がまるっきり変わったし、声も高くなってんだよ、肉体の元の姿よりは」

 

と、中島錦本来の声は『少年の声』というイメージがピタリくるが、のぞみとしての声色は『多少なりとも可愛らしさがある』というのが合っている。

 

「それで、なんて弁解したらいいのか、ガチで悩んだよ。あっさり通ったけど」

 

「で、そのままなし崩し的に?」

 

「転職はしようとしてたけど、2010年代の日本の官僚連中に潰された。見舞金は家を買えるくらい出たけど、官僚の高慢さにむかっ腹が立ったよ」

 

のぞみが転職を試みたことでの一連の騒動は2010年代末の日本の多くの官庁の頭痛の種ともなった。結局、外交問題になりかけたためもあり、のぞみへは多額の見舞金が振る舞われ、軍階級も昇進させる措置が取られた。なお、警察系官僚は『形式的でいいから、佐官なら試験を……』と喚いたが、扶桑では佐官への昇進自体は割にハードルが低い。これは魔女では顕著で、魔女としての数年の勤務実績があれば、自動的に少佐になる。日本はこの慣習を変えようとしたが、中にはペーパーテストがだめでも、現場で有能な者も多いので、現場指揮官が大尉ばかりになってしまうためか、結局は『適宜、指揮幕僚課程を受講すべし』ということで妥協した。実際、海自での昇進は『指揮幕僚課程の修了は絶対条件ではない』し、海軍も『大学校』を出てなくとも、名を残した提督は多いからであった。日本は結局、自分たちの予備自衛官制度にも打撃を自ら与えてしまう格好となり、官僚の思想調査が極秘裏に行われた他、扶桑の気骨ある将校達の扱いに四苦八苦する事になった。また、空母機動部隊の形骸化に対し、海軍航空隊所属経験を持つ空軍の部隊を載せることでの対処が行われたのも、64Fが遠征の準備を始めた頃である。自主的に艦上運用装備を機材から外していた整備班長の少なからずが上層部の叱責を受け、そのショックで自刃する事態にもなり、結局は生き残っている整備班の腕っこきに数部隊分の整備を統括させる事になるなど、状況の悪化を招いた。

 

「で、あたしの問題に同期して、日本が色々と問題を起こした。よく、別世界のアメリカと戦争やれてると思うよ」

 

「状況は聞いたけど、日本は史実で取った戦略の逆張りが正しいって思ってるからじゃ?」

 

「あるね、それは。参謀の多くを強引にアラスカに左遷させたら、前線の参謀不足になるわ、やたら目立ってた参謀を渡航者が金属バットで滅多打ちにして、病院送りにしたり……かの辻参謀はもう死んでるんだけどね」

 

扶桑は44年からの粛清人事で『幕僚の不足』に陥っていたため、多くを自衛隊の統合幕僚監部からの派遣に頼るなど、人材不足であった。黒江達の判断を司令部が追認することは日本側から問題視されていたが、参謀が不足した上、生存する幕僚の全員に実戦の経験がないので、やむなしであったのだ。また、ドリームの言通り、辻政信参謀は史実と違い、既に戦死しているのだ。

 

 

「書類仕事は先輩たちがしてくれてるから、気楽なもんだけど」

 

「どって?」

 

「定期的に、形式的な射撃訓練と飛行訓練はあるよ」

 

「そういえば、形式的にだけど、パイロットで登録されてるんだったね。私達」

 

「うん。まぁ、業務につく上での義務みたいなもんだと思って。一応は軍隊にいるから」

 

「元の世界にいて、現役だった頃、一日署長とかしたことあるけど、自衛隊の体験入隊は経験してないんだよなぁ」

 

「そういえば、元は……」

 

「背が伸びすぎて、現役から離れたけど、子供の頃は名が通ったフィギュアスケーターだったんだから」

 

キュアエトワール(輝木ほまれ)は元はフィギュアスケーターという経歴を持つ。史実ではプリキュア引退後に現役スケーターに戻り、26歳頃までトップスケーターの地位を維持するのであるが、転移でその道筋からは外れたことになる。

 

「芸能活動の経験あるんだし、あたしにもコツ教えてよ」

 

「うーん。そういうのは、さあやのほうが……って、いないんだった」

 

キュアエトワールはスポーツ選手だが、一定範囲の芸能活動の経験があるが、人に教えられるほどのものではない。

 

「ああ、君の戦友にいたね。元子役の子が」

 

「知ってるんですね」

 

「大人のぼくから教えられてね。ドリームはグレートカイザーのシミュレーターしておきな。綾香さんが常に乗れるか、わからないし」

 

「分かった。用意いいね」

 

「光子力研究所が納入してくれたんだ。実機での訓練は体調が万全の時にしないとね」

 

マジンガー系列、その最高位である『皇帝』級のマシンは乗り手に負担をかけるのが常である。そのため、シミュレーターによる訓練もなされるようになってきている。そのため、のび太はドリームにも訓練を受けさせておくことで、乗り手を確保しようとしている。

 

「メニューが終わったら、戻ってきな。ぼくとエトワールは部屋に戻ってる」

 

「おつかれ~」

 

――こうして、地下施設の紹介を終えたのび太は宿題を終えた達成感で、部屋に戻った途端に昼寝をしてしまう。ごくありふれた小学生男子の部屋だが、本棚は隙間があることから、時々、親に捨てられている事が推察できる。

 

(ほんと、信じらんないな。私が本当にいるべき時代からは18年も前。家に電子機器がないし、私から見ればだけど、レトロなゲーム機が置いてあるだけ。パソコンが有る生活が当たり前になる前の時代って、こんな感じなのかな)

 

自分の時代には、すっかり見かけなくなっている雑誌もあるため、物珍しそうに本棚を物色するキュアエトワール。

 

「2000年かぁ……たしか、2000円札が出て、プレイステーションが2に切り替わった時期だっけ」

 

自分が生まれるよりも五年も前の時代。そして、その時期にキュアブラックとホワイトは小学四年生ということを知っていたので、重大な点に気づく。

 

「そっか、あの二人は……あたしらより……げ!!一回り以上も差あるじゃん~!!嘘ぉ~!」

 

「あなた達はブラックとホワイトとは別の世界同士である故に、そのような事が起き得るのでしょう」

 

「そうか、そうなると……んじゃ、ドリームとは?」

 

「互いの時間軸の差を超えた出会い。そういうことになりますわね」

 

ブラックとホワイトの世界は「S☆S」及び「5」、「フレッシュ」・「HUGっと」などとは本来、別の世界であった。だが、時間震の影響で(住人らも気づかぬ内に)いくつかのプリキュアの世界が融合を起こしていたようであり、キュアエトワールも『5』の面々を同じ世界のプリキュア』と考えているようである。

 

「スカーレット。99年に何があったの?」

 

「のび太さんもおっしゃるように、歴史改変が試みられたことで、時空間そのものに大きな地震のようなものが起こったのです。その影響は極大であり、この世界は何度か、1999年が繰り返され、他の世界にも大きな影響を及ぼした。のぞみのいた世界もそれです」

 

「歴史改変はそこまでの影響が?」

 

「通常はそうではありませんが、その時は数万年規模の歴史をまるごと、根本からちゃぶ台返しをしたようなものであったので、当人達の思う以上の影響が生じたのです」

 

「歴史をまるごと改変するとなれば、そういうことになるか……」

 

「ええ。その影響で、のぞみはプリキュアのままでいられ、私やみなみ、はるかも、プリキュアの力を完全に自家薬籠中の物にした状態になった。そう考えています」

 

リルルの起こした時空震の副産物は意外に大きく、プリキュア達の使うパワーが変身者の魂に刻まれ、変身能力を完全に自己のものとした。つまり、のぞみたちが覚醒後、直ちにプリキュアに戻れた理由の一端がタイムパトロールの調査で判明したのだという。

 

「その改変を起こしたのは?」

 

「鉄人兵団の尖兵でありながら、のび太さんの側についたスパイ『リルル』。彼女がのび太さんの将来の妻である源しずか女史。彼女の手引きで、鉄人兵団の先祖を生み出した科学者のもとに行き、自分が消えるのを承知の上で、改変を行ったのです」

 

リルルがその生命を犠牲にする形で行われた歴史改変。数万年に及ぶ歴史を変えた事による時間震は極大であり、プリキュア達の世界にも多大な影響を及ぼし、今、ここにいる自分たちを『通常の流れから独立した』存在へ変えたのだと、キュアスカーレットは説明する。

 

「彼女のしたことで、地球は救われました。ですが、その代償もあった。それが繰り返された『1999年』であり、『いくつかのプリキュアの世界の融合』なのでしょう」

 

「そうか、私達は役目を終えれば…。だけど、時間震は『ヒーローはいつも地球を守ってくれる』って想いを増幅させる触媒の役目を……!」

 

「仮面ライダー達が言っていたように、『時代が、人々が望む限り、希望は死なない』。私達はその想いを果たすための宿命を背負ったのでしょう」

 

エトワールとスカーレットは時間震の果たした一つの役目を悟ったようだった。そして、仮面ライダー達だけでは対応しきれない事態に対しての巨悪への防波堤としての役目を『世界の理』のレベルで背負わされたのだと。ある意味、プリキュアを『青春時代の一瞬のきらめき』と考えていた当事者がいる一方で、『いつも、みんなを守ってくれる』と信じている子供たちがいる。その子供たちの抱く思いが『自分たちを戦士に引き戻した』のは?と、スカーレットは推測していた。奇しくも、災害や事件の多い時期に入った日本の人々の願いが時間震にある種のパワーを与え、そのパワーが自分たちの理を覆したのかもしれない。そう結論づけたキュアスカーレット。本来、自分たちはホープキングダムの危機が祓われれば、その時点で役目を終えるプリキュアであった。だが、その理は覆った。いくら転生したと言っても、自己意志だけで(プリキュアのプの文字もない)完全な別世界において、往時同様の変身を果たせるはずがないという前提での推察であったが。

 

「仮面ライダーたち、とりわけ昭和ライダー達は理すらも覆してしまう『ライダーシンドローム』という能力があるのですが、それと似た奇跡が私達に起こったのでしょう」

 

「ライダーシンドローム……」

 

「その影響で、のぞみは往時の姿に戻ったばかりか、キュアドリームに変身できた。再変身にありがちなリスクもへったくれもないどころか、よりパワーアップを果たした状態で変身した。響も、奏無しでキュアメロディへ変身できていますし……」

 

世界が、人々が自分たちを求めた結果の再変身。偶発的な一時的な奇跡などではなく、人々の想いが導いての再変身。そのことをキュアスカーレットは感じとったようであった。

 

「人々の思いで変身した以上、その恩返しは必須。どのような形であれ。これから征く道が修羅道であっても、私達は彼ら『英雄』たちの背中を追うのが肝要なのですよ」

 

「英雄、か」

 

のび太の部屋に飾られている、メカトピア戦役、ダイアナザーデイ序盤戦の際に撮影したと思われる、様々なヒーロー達、魔女たち、調の仲間達との写真。テレビヒーローが本当にいて、自分たちと同じように、人知れず、巨悪と代々に渡って戦ってきた世界。キュアエトワールは一年間という短い間だけ戦ったであろう自分と、昭和以前からずっと戦ってきた彼らの背負うもの。その差を痛感させられる。

 

「キュアエトワール。あなたは見知らぬ世界、見知らぬ者のために、自分の命を駆けられますか?」

 

「エールなら……はななら……そうするだろうし、私だって、ドリーム達のことを聞かされたら、見過ごせるわけない。だから、戦うよ。どんな形であれ」

 

エトワールはスカーレットの問答にはっきりと返す。プリキュアとして、ドリーム達に加勢すると。

 

「……安心しました。あなた達はこうした事に……」

 

「私たちの時代には、自分たちがしたいから、そうしたって考えが当たり前になり始めてるんだ。だから、『一緒に戦った子達が一所懸命、世界全体を脅かす邪悪と戦っている』のを見過ごすなんてことはしたくないし、しない。どんな形であれ、私達が力になれるのなら、一緒に戦う」

 

エトワールは2018年の人間であるため、価値観において、先輩達と生きる時代の差による違いがある。だが、プリキュアであることでの使命感、自分の親友ならそうするはずと考え、キュアスカーレットらに加勢する選択を改めて表明した。

 

「わかりました。改めて、よろしくお願いいたしますわ、エトワール」

 

「スカーレット…」

 

握手を交わし、共闘を誓う両者。

 

「それはそうと、スカーレット。定期的に射撃訓練とかあるの本当?」

 

「ええ。軍隊にいますから。形式的に必要なのです。もっとも、仕事で実際に銃を使う者もいますが」

 

「銃は素人だし、適当に見繕ってくれない?」

 

「私は官給品を適当に使っているだけですから、フェリーチェに聞いてみては?」

 

「はーちゃん先輩に?」

 

「ええ。のび太さんや部隊の幹部たちのレクチャーで詳しくなっていますから」

 

エトワールはサバイバルゲームの経験もないので、当然ながら、銃の知識はない。スカーレットも(ペリーヌがそうであるので)官給品を適当に使ってきたので、いざ言われても、何を与えたらいいのかわからない。そのようなわけで、スカーレットは理由を伝え、フェリーチェに銃器のセレクトを依頼した。

 

「そうですね……。掌にしっくり来るものを選ぶべきですね。銃のスペック云々では勝負は決まりませんから」

 

圭子の教育の成果か、銃器を選ばない名人たるのび太の背中を見てきたためか、キュアフェリーチェは銃の種類へのこだわりはない様子を見せ、根城にしている部屋に隠してある、のび太が持つ銃器の数々を見せる。メカトピア戦の後であるため、実在の銃の割合が高い。

 

「ベレッタ、SIG、S&W、コルト……、マウザー、ルガー、H&K、スプリングフィールド……あらかたの国の銃器は揃えています」

 

古今東西の名銃もあれば、ちょっとした変わり種も揃えるあたり、持ち主ののび太のこだわりがわかる。

 

「銃の腕に覚えがあれば、2丁拳銃という芸当もできますが、殆どはハッタリみたいなものと考えておいてください。あれは達人になって、初めてできる芸当です。それと、大口径のものは初心者には薦めません」

 

と、忠告も兼ねた説明を伝える。エトワールはフェリーチェの説明を聞きつつ、様々な銃器を手に持ってみる。自分の自衛用も兼ねてのものでもあると説明されるが、どれがいいのかさっぱりである。反動はプリキュアの状態であれば、全く気にならないが、玄人はリロードのしやすさなども加味して、銃を選ぶのだと言われ、わけがわからなくなる。

 

「うーん……」

 

エトワールは手に持ってみたりするが、どこがどうなのかさっぱりわからない。

 

「サバイバルゲームくらい、やっとくんだった…」

 

と、クラスメイトにサバイバルゲームに誘われたが、参加しなかった事があるらしく、予備知識ゼロである自分の不明を悔いるキュアエトワールであった。

 

 

 

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