扶桑は結局、武家や華族、皇族軍人などの旧来からの軍事的な権威が解体へ向かったため、代わりに異能者を組織の権威に祭り上げる方向でしか、秩序の維持が図れなかった。軍閥が解体されたことの弊害のほうが大きくなってしまった結果であった。結局、扶桑軍人への論功行賞は自衛隊式と日本軍式の中間で釣り合いが取られることになり、志願人数確保のため、軍人恩給の支給の継続や、傷痍軍人の優遇政策の廃止撤回などが決められた。また、金鵄勲章と年金の分離政策もなされることになった。大量に対象者が存命中であったことから、年金の廃止は大問題になるのが容易に想像できたからで、論功行賞を自衛隊式に切り替える上での経過措置という形で実行された。時代が時代故に、戦後の世界の倫理観は通用しないのである。カールスラントの二の舞いを避けるため、扶桑は時代の流れとともに、旧来の価値観を忘却させていくという『緩やかな変化』を選んだのである。
主戦場でなかったことから、大正デモクラシー以前の明るさを維持していた扶桑であるが、一気に戦後基準の倫理観の多くが是とされたため、割に合わないと見なされた軍人は人材不足が常態化しつつあった。そのため、非戦派を中心に『異能者に終身の軍籍を与える』施策が実行されつつあった。これは戦後に非職業軍人の多くが復員するからで、確実に60年後も存命であろう異能者に終身の軍籍を与えておくことで、有事の対応力を後世(戦後)へ残しておくという意味合いがあった。軍組織が自衛隊基準に近代化される過程で、既存部隊の連携がないようなものに成り果ててしまったため、64Fの現体制を戦後も維持させるしか、扶桑軍に『今後の有事への迅速な対応力を残す』方策がなかった。また、空母の高額化と日本の政治的都合で、戦艦を抑止力として維持するのが望ましいとされた都合上、潜水艦の発展は意図的に緩やかになった。対潜兵器のほうが急速に発展した結果でもあった。核兵器より遥かに『環境に優しい』とされたからで、潜水艦にいい思い出のない国が覇権を握った故の変化であった。その一方で、ヘリコプターが急速に発達し、旧来の水上機を淘汰していったため、利根型や大淀型などの水上機重視の巡洋艦の存在意義を奪ったからだった。ヘリはカタパルト等の装備を必要としない点から、既に能力面で陳腐化した水上機群を瞬く間に駆逐していった。また、史実と異なる開発状況として、水上戦闘機『F2Yシーダート』が自由リベリオンの財政状況等から、なんと、本当に実用化された事が挙げられる。これは自由リベリオンの空母不足と、史実の日本軍のように、水上機が必要な状況にあったからである。日本やアメリカは『自由リベリオンはイカれたらしい』とあからさまに揶揄したが、自由リベリオンは国力に余裕がないので、水上機が必要であったのである。
「自由リベリオンめ、やりやがった」
と、黒江は漏らしたという。
かくして、扶桑の戦艦狂騒曲は1949年で落ち着いた。あらかたの旧式戦艦を取り替えられたからである。ただし、巡洋戦艦と重戦艦に大別されるようになったのは不況を買っていた。また、敷島型と三笠型は『戦艦の形の移動要塞』と扱われるようになり、通常の艦隊編成での運用は取りやめられた。巡洋艦は甲・乙の区別がミサイル化で消えたため、超甲巡は便宜的に巡洋戦艦に変更され、既存艦は戦艦と同等の装甲厚へ改装された。中速戦艦という概念が切り捨てられたため、原則的に戦艦も32ノット前後を叩き出すように改造され、超甲巡は35ノットに向上した。が、水雷戦術自体がミサイルの登場で変容を余儀なくされる時代を迎えたのと、艦隊編成の都合で、その最大戦速は『あって、ないようなもの』と扱われていったという。この一連の狂騒曲は扶桑最大の軍港であった呉が壊滅したからで、大神共々に、重要軍港としての地位を佐世保や横須賀の拡充などで失っていった。補給基地としては生きながらえたが、工廠を有する拠点としては(ドック拡充や民間転用の都合で)没落することとなった。ただし、日本も航空路線の普及やモータリーゼーション化で海運業は衰退基調にあったため、現地の要請で、結局は二級(工廠無し)の軍港として再建されている。一級軍港は横須賀と佐世保と大神とされたが、大神はやがて、用地拡充に限界があるとの都合で見放され、北海道の室蘭工廠の拡充に情熱が移っていった。結局、佐世保と横須賀が最大の軍港に成長する一方、空母や戦艦の大型化、設備の民間転用で、呉と舞鶴は軍港としての地位低下の苦難を迎えることになった。また、軍施設も(空襲の危険から)地下化が進められるようになったが、建設業者等からの文句も出たため、結局は非重要施設の地上建設は続けられることになった。また、周辺市街への利益供与もしなければならなかったため、軍の民間からの食料品購入や士官の市街地での食事等は容認された。結局、地方都市の民間の中小企業が非軍需分野だけで食っていける時代ではなかったため、軍部との関わりは絶たれなかったといえる。
また、陸軍の装備も急に戦後型へ更新されたために、兵士らが咄嗟に扱えない問題が発覚。仕方がないため、旧来の装備が使用され続けたケースも多い。64Fでさえ、短機関銃は、旧軍型たる、一〇〇式機関短銃が好まれたという点に、日本の兵器開発の病巣があった。これは、戦後日本の作る機関銃はどれもこれも、カタログスペックと別の側面で『出来は最悪』と揶揄される代物であったので、戦前型の一〇〇式機関短銃を使い続けたほうが良かったのである。最も、日本側は戦前の兵器=粗製乱造のイメージを強く持っており、南部弾の製造中止を要望したのだが、民間人が銃器を買える環境にあったので、猛反対が起こってしまう想定外が発生した。怪異の都合で、自衛用の武器が必要な環境にあったからである。
連合軍でカールスラント軍の勢力が衰退すると、今度は自由リベリオンと扶桑軍がポストを独占する事態が出現していった。グデーリアンが閑職へ回されたり、ロンメルも(ドイツの都合で)参謀本部への召喚を没にされたからで、ただし、扶桑陸軍には機甲戦を理解せぬ将校が多かったため、そういった分野はカールスラント系将校が居残った。歩兵閥も失脚が相次いだため、結局は『史実で戦果を残している将校らの寄り合い所帯』と言った感じになっていった。カールスラント系装備は徐々に戦後型装備で淘汰されてきているが、機甲装備は扶桑国産の貧弱さにより、重宝されている。日本側は不快感を口にするも、四式や五式中戦車レベルがやっとであったのを考えれば、パンターやティーガー系を無償で使えるのなら、使うに越したことはない。この当時としては強力であったからだ。
そんな事情で、南洋軍は廃棄予定であったカールスラント系装備を再整備して、定数に加えていた。南洋島は史実の諸島群と違い、硬い地盤があり、機甲装備の運用に適しているからで、それにも関わらず、ろくに機甲装備を与えてこなかった扶桑陸軍は『粛清』の嵐に遭うことになった。それがM動乱から続いたため、扶桑陸軍は人材不足に陥っており、南洋軍は殆ど『Gフォースの下部組織』も同然であった。これには東條英機などの歩兵閥、騎兵閥が失脚したという事情、防衛特化の日本と違い、外征用の機甲軍を持たなければならぬ扶桑の実状があった。とはいえ、機甲装備での外征は久しくされていない日本側も現有人員は経験がなく、結局は地球連邦陸軍が助力するというオチであった。
そんな連邦陸軍の助力により、超巨大ホバークラフト陸戦艇を手に入れた扶桑陸軍はラーテ戦車の代替として購入。ラーテ戦車は『履帯による重量に路面が耐えられない』という問題が製造後に発覚し、完成したものも死蔵されたが、連邦陸軍の陸戦艇はホバークラフトであり、その問題をクリアしていた。整備費は地球連邦持ち。それもあり、ラーテ戦車の代替枠はビックトレーとヘビィ・フォークで占められた。また、ラーテ戦車は主砲が28cm砲であり、一昔前の巡洋戦艦級でしかなかったが、ビックトレーとヘビィ・フォークは51cm砲を普通に備えており、超弩級戦艦級であった。圧倒的物量に押されていた南洋軍にとっては、まさに『救いの神』であった。
「Gフォースの組織はどうなのです、山本提督」
「うむ。地球連邦軍と自衛隊の供出により、実戦組織としての体裁を整えてきている。直に、自衛隊の秘蔵っ子であった『メカゴジラ』と『ガルーダ』の本格投入が叶うだろう」
「メカゴジラか…。ゴジラの存在が?」
「こちら(地球連邦)の記録によれば、戦後直後から安定成長期あたりまで、初代と二代が姿を見せていたということです。当時の日本政府は隠蔽しておりましたがね」
「我々は一部部隊の言い伝えという形でしか存じ上げません。ですが、メカゴジラやメーサー兵器など、対策は怠っていませんでした」
自衛隊は一部部隊の言い伝えという形で、ゴジラの実在をほぼ確信しており、故に、当時に最盛期に向かっていた学園都市への対策の名目で『G兵器』というカテゴリを作り、超兵器を秘匿していた。表沙汰にしてこなかったのは『予算削減の言い分に使われる』のを、代々の高官が恐れたからであった。結局は、次元世界全体のために使われることになったので、結果オーライというべきだろう。
「しかし、それらを用いたとして、三代目以降は止めようがないだろう?」
「ええ。その時は玉砕前提だと聞いています。幸い、我々の歴史では、二代目以降、三代目は現れなかったか、ミニラが後継の成体になったかで、敵対行動を取らなくなったものと思われます」
というように、会議は進む。問題は。
「ティターンズ残党はネオ・ジオン残党等も取り込んでいます。おそらく、行き場のない連中がバダンの仲介で加わっているものと思われ、ティターンズ残党は連邦内部の親ティターンズ派の残党により、ガンダムマークⅤやサイコガンダム、クイン・マンサなどを再建造しています。こちらもそれに対抗できるガンダムを用意致します」
魔女の世界はいわば、地球連邦の内紛であったグリプス戦役の残り香の犠牲になっていた。更には、反連邦を理由に、クロスボーン・バンガードやネオ・ジオンの残党も合流していくので、もはや歴代の反連邦組織の寄り合い所帯という感じであり、扶桑軍がMSを使うのも、やむなしな状況であった。
「現在、魔女の世界の制空権はティターンズと我々、怪異とで入り乱れております。シベリア方面の放棄はやむを得んでしょう」
「生き残った部隊からは『なんかすごいものが焼き払ってた』とのことなので、サイコガンダムか、クイン・マンサでも使ったのでしょう」
デザリアム戦役でも、ネオ・ジオン残党とヌーベルエゥーゴが『グラン・ジオング』という巨大機を使ったため、反連邦組織は往々にして、巨大兵器に傾倒する。シベリア方面軍の敗走は、魔女の装備更新の遅滞、オラーシャ帝国の動乱がティターンズ側の超兵器の投入が重なった結果であったことが明確になった。
「サイコガンダムの一機は、殿を引き受けてくれた『六神合体ゴッドマーズ』のおかげで倒せましたが、それでも、本土に逃げ帰れたのは、構成人数の三割も残っていませんでした。魔女に至っては、まともな精神状態の者は20人もいません。おそらくは、サイコガンダムに」
「……」
シベリア方面は魔女が60人以上も配されていたはずだが、敗走した時点では、20人も残っていない有様であった。しかも、その20人も、戦闘ストレス反応で廃人も同然。除隊させざるを得なかったと語られる。おまけに、その内の数人はパニック状態で味方を虐殺してしまい、大罪人として裁かれている。敗走状態でも、人員が残ったのは、ゴッドマーズのおかげである。結局、シベリア方面は(日本が興味がないので)放棄となり、太平洋方面に一点集中となったわけだが、人的資源の浪費はどうにもできない。それが異能者へのおんぶに抱っこに繋がった。特に、航空参謀は、史実の特攻を理由に、その過半数が罷免されるか、降格の末に不名誉除隊に追い込まれたため、航空作戦は黒江たちが作戦の立案まで、自分たちでしなくてはならぬという、まさにおんぶに抱っこの有様であった。航空自衛隊に攻勢的な作戦の立案能力が殆どないのが露呈してしまう醜態にも繋がったため、結局、組織の現状打破のため、扶桑にいる『史実で航空自衛隊の高官になった経歴を持つ参謀たち』を昇進させるか、復権させるしか手がなかった。そこに、防衛特化の自衛隊の泣きどころがあった。
その現状を示すように、害獣駆除の会議に参加した軍関係者は64Fの隊員のみという始末。他の部隊は『我関せず』であったが、これは後に扶桑の国会で大問題と化することになるが、何でもこなせる部隊が64Fしかない故の事実であった。他部隊は64Fのような『何でも仕事をこなす』事は(色々な理由で)不可能であったのが理解されず、政治の力で多数の現場指揮官が罷免される。そんな悪循環により、他部隊は張り子の虎の状態。結局、Gフォースはそんな理由で、どんどん肥大化。気がつけば、下手な扶桑陸軍の方面軍よりも強大な装備と規模に膨れ上がっていた。
「他の連中は張り子の虎で、結局は俺達が害獣駆除の主力かよ。こういうの、俺の性に合わねぇんだが」
「しかたねぇだろ。他の部隊は人員不足だし、この間の懲罰人事で、どこもかしこも士官不足で、まともに動かせねぇ状態なんだ。下士官以下を会議に出すわけにもいかねぇってことで、あたしらが出張るんだよ」
「たしかに、中尉以上だけどよ、あたしら」
「日本のマスコミに報じられる時、会議に下士官を出したら、政治家に問題にされるからな。連合艦隊にしても、大量の下士官が暴力の温床ってことで、見せしめに罷免されて、パニックなんだ。そんな事情で、あたしらが頑張らなきゃならん」
「まったく、床で飯を食うだけで、先任士官が海軍精神注入棒でケツバット食らわされるなんて。おかしいだろ?」
「政治家曰く、士官と最古参の下士官を殴りゃ、兵たちも言う事を聞くからって寸法だ。だが、それを外国の士官相手にもやりやがったから問題なんだ。バットがベコベコになるまで殴って、相手の肩の骨を粉々に砕いちまって、腕の切断に追い込んだとか、顔を殴りすぎて、片目の失明に追い込んた例もある。おかげで、カールスラントの連中はやさぐれた。軍隊の全員がナチスに加担したわけでもないってのに、鬼畜生同然に扱われりゃな。イスラエルも見境がないからな……」
カールスラント軍はダイ・アナザー・デイ以降、イスラエルやドイツ連邦による人的『粛清』で事実上の無力化。連合国軍の屋台骨を扶桑が担う状況が生まれていったのだが、その扶桑も、日本側の強引な人員整理で、現場の人員不足が顕在化。結局は(艦艇の士官専用食堂などの廃止がなされたことなどで、現場のパニックが起こったのも大きいが)64Fに対応を丸投げの有様であった。国会や評議会でも、この問題は議論されたが、人的損害の回復は『順調に行っても、数十年かかる』ほどのものであったため、他部隊は戦闘に専念させるしかなかった。それも、地球連邦の介入が強まる理由であった。
「で、地球連邦が動くって?」
「ああ。あたしの紅蓮は運ばせたし、ガンダムを一機手配した。次の便で届く。それと、例の世界のプリキュアから、一人を寄越させることになった」
「なんでだ?」
「詳しい状況の把握もあるが、宇宙戦闘じゃ、あたしらは真価を出せねぇ場合が多いからな。全員がMSとかの素質があるわけでもないし」
「そりゃそうか」
「それに、向こうの世界は艦隊戦だ。遊ばせておくのも……ってなったらしい」
「そりゃ、全員が宇宙戦闘で強いわけでもないだろうしなぁ。それに、波動砲や火炎直撃砲が飛び交う戦闘だろうから」
「そういうこった。MSでさえ、埋没しそうな大艦隊戦だから、報告を兼ねて、こっちに呼んだんだろうな、隊長」
「誰だ?」
「キュアプレシャスだ」
「割に最近のヤツだな」
「私の二期先輩ですよ」
「ややこしー」
「プリキュアは基本的に同年代の姿で会うから、本当の年齢は意識しないこと多いんですよ。私なんて、前世は妖精でしたし」
「それなー」
それも、プリキュアの不思議な点であった。青年に加齢した姿は限られた者しか判明しておらず、それとて『確定した未来』ではない。
「それで、ヤツの正体は?」
「真田さんは『カンブリア紀あたりの捕食動物の生き残りだろう』だと言ってた。たぶん、地下にいたために、大絶滅を免れたんだな。あのあたりの時代の生物はほぼ全滅したはずだということだし」
「ほぼぉ?」
「かろうじて生き残った奴がクラゲやイソギンチャク、海綿動物の先祖になったって話だ。何回か、環境の激変で大絶滅が起こったが、大陸の地下にいた連中はそれを免れたんだろう」
「へぇ……」
菅野は感心するが、地球は出来てからの途方もない年月の間に、生物の分布は様変わりしている。その間に淘汰された生物も多い。もし、それらの生き残りが現代の環境に適応していたら?その答えだと言える。
「お前は技が一つしかないんだっけ?」
「ええ。固有技は。まぁ、レパートリー自体は豊富になりましたが」
「お前もか。まぁ、あれ(原子崩し)は使いたくねぇんだが。言動がイカレポンチっぽくなるしよ」
「今の時点で、充分にガサツだろ、あんた」
「ぐぬぬ……」
シャーリーは普段の時点で、多少なりとも荒っぽいのだが、覚醒以降は紅月カレンや麦野沈利の要素が強まったせいで、この時代の女性では極稀なほどにガサツな口調になる。21世紀では珍しくはないが、1950年代に入る頃においては、絶対に結婚出来ないと断言されるような扱いである。そういう時代なのだ。
「私も、固有技は一つしか撃てねぇからな。まぁ、いざとなれば、輻射波動とか使えばいいんだが。幸い、南洋の文化財は新京にはない。デロス島ん時はかわいそうだったからな」
「あんた、いたのか?」
「ああ、覚醒する少し前の時期だったけどな。あん時は日本の官僚がノイマン中佐をフルボッコにしちまったから。文民統制を理由に、中佐は罷免されて、今までの勲章も全て褫奪された。退役の時に、日本に非があったからってんで、お情けで戻されたけど。で、ケイさんがストナーサンシャイン撃って、あっさり解放。そんな経緯があったから、国際問題になったんだよ。だから、こいつが呼ばれたんだ」
「ド・ゴール、内通してるだろ、絶対」
「間違いなくな。だが、ガリアには拠り所が必要だってんで、泳がせておけって指令が出てる。アルジェリア戦争で負ければ、自動的に失脚するから」
「悠長なことを」
「まぁ、彼があれこれしても、私たちなら、真正面から粉砕できるし」
「ダイ・アナザー・デイで大恥かいたからって、あの直後に俺等へ食料品を回さなかったりしたからな、あのおっさん。ガリア第一主義だのどうのって。クソッタレめ」
「次女が死にそうだからって、唆されたんだろうさ。この時代の医学じゃ治せない難病だからな。それに、扶桑とリベリオンが台頭するのが気に入らねぇんだよ」
「核をぶち込まれたいんですかね?」
と、キュアズキューン(調)もそう口にするほど、シャルル・ド・ゴールは家族さえも利用してまで、自らの政治的主張を押し通す強硬姿勢である。彼はチャーチルやアイゼンハワーからも毛嫌いされている通りに、我の強い性格であり、ペリーヌも折り合いが悪いと述べている。
「山下のおっちゃん(山下奉文大将)はアルジェリア戦争が起きたら、戒めにぶち込んでやれと言ってたぜ」
「ガリアはお高く止まりやがるからな。二発くらいぶち込まねぇと、しょげねぇかもな」
この時点で、アルジェリア戦争の運命は決まっていたとも言える有様であった。ド・ゴールの振る舞い如何で、核爆弾を叩き込むかを決める段取りすら、公然と口にされる始末。ガリアの不幸は軍部と国民の一部が戦前の軍事大国としての地位の復古を目指し続けていたことであった。ガリアは『自分は欧州一の文化を持つ大国だ』という自負から、高慢とある種の偏見を持つが、そのせいで、連合国内で孤立しつつあった。それに気づかないところに、ガリアの不幸が凝縮されていた。