かくして、警察の武器庫にあったものは明治期の旧式の物ばかりで、シャーリーをして『熊も殺せねぇような古いのじゃねぇか……』と嘆息させた。とはいえ、最新の銃器は扶桑警察の手に負えないので、ないよりは…との論理で警察官に装備させることになった。
「明治期のものだが、ないよりはマシだ。江戸の頃の火縄銃が出てくるかと思ったぞ」
「そりゃそうだが、野比財団の贈り物は?」
「ここに届くそうだ。ホテルはチェックインしてあるから、直に……ああ、カウンターからお呼びだ」
野比財団からの『荷物』が運ばれてきたようであり、一同は取りに行く。弾薬等も込みなので、意外に量があった。部屋で梱包を解き、バラされているライフルがあれば、部品を組み立てる。
「M4カービンに、P90、スミス&ウェッソンのマグナム、レミントンのショットガン……まぁ、アメリカで手に入りやすいものだな。まぁ、日本の公的機関に横流しさせるわけにもいかんからな。ところで、日本は扶桑警察に何かしてやってるのか?」
「当初の計画が破綻した後は及び腰だよ。特に警棒は不評でな。一般人が武器を持ってるご時世に、平和な時代基準の警棒じゃな。怪異がいる以上、ある程度の銃器は必要だし」
シャーリー曰く、日本は扶桑警察の軽武装化を進めようとしたが、怪異の存在と、熊害により、計画が破綻したという。それ以降はほとんど何もせず、軍が余剰銃器を提供する始末であった。日本政府もこの不始末により、警察庁を叱責する有様であった。そのため、野比財団は扶桑警察に武器を提供する見込みであるとのこと。
「怪異は下手な自衛隊の部隊じゃ、対処も出来ませんからね。野比財団の手配した装甲車に積んでおきましょう。ヤツの生態もまだわからないし」
「場合によっちゃ、マシンで焼き払うことになるやもしれんな。例のガンダムの調整は?」
「フレームをセミモノコックから、最新のムーバブルフレームに変えたから、OSの設定の調整が長引いてな。あと数時間で終わるそうだ。
「まぁ、武装もとっかえてあるから怪物は焼却処分できるだろう。ビーム兵器に耐えられる生物は『普通は』いないしな」
「パニック映画だと、赤ん坊産み落とすとか、ねずみ算で増えるってパターンがベタだけどな」
「よくあるんだよな、そういうパターン」
「ああ、前にのび太と元祖のほうのハリウッド版ゴジラを見たんですが、それでしたよ」
「ああ、よく『ガジぃ~ラ』とか揶揄されてる……あれなぁ。古典だけど、怪獣ものの元祖な『原子怪獣現る』も見てみろ」
と、途中から映画談義じみてきているが、だいたいは映画であるようなパターンで、パニックが拡大するのがお約束である。逆に言えば、パニック映画などを見ておけば、だいたいのケースに対応できるのも事実だ。小説や映画はこういう有事への対応の一例を提示してくれるので、扶桑軍も読書や鑑賞を推奨している。ただし、64Fのように、自由に映画館に行けるわけではない、他の部隊は上映会に留まっているが。
この頃、軍隊を過剰に締めつけすぎたために、志願数がガタ落ちになったことは、日本連邦評議会でも非難轟々であった。日本側は文民統制と非軍国化を理由に抗弁したが、日本主導の指導による締めつけがあまりに苛烈すぎたのと、警察組織の増長と失態があまりに目に余ったため、結局は揺り戻しが承認されたが、横のつながりを断った事による部隊間連携の無さが統合参謀本部の人材難の象徴とされた。黒江たちを前線に置くしかないことは、1940年代当時の扶桑陸軍人事部の失態だと、強く非難された。だが、黒江たちは前線の要であり、引き抜くことは戦線の崩壊を招く。その代替になりえる人材もいない上、隊が(事前の天皇の意向で)評議会であろうとも、ほとんど手出し出来ないということになっていたため、戦後も編成を維持することが正式に決められた。他の魔女部隊が(世代交代で)練度が低下し、烏合の衆に落ちていた上、教官層もダイ・アナザー・デイへの動員や、クーデターで世代交代が起こり、(教官層であろうとも)実戦経験者が大きく減少していたからでもあり、折悪く、扶桑の魔女覚醒の休眠期に突入したというダブルパンチから、64Fの現状維持は国家の方針となった。また、軍隊の運用を厳格にした結果、大衆が(怪異や害獣対策で)自衛用の武装を手当たり次第に買いまくるという想定外が発生。結局は怪異や害獣駆除に関する出動のハードルを緩め、間接的に市民の武装化を抑制することが採択された。だが、扶桑軍の一般部隊の多くはクーデター後に組織的統制を失っており、害獣駆除さえ覚束ない始末であったので、64FとGフォースが当面は行うことになったのである。
Gフォースは表向き、日本連邦評議会直属の特殊部隊であった。そうしなければ、自衛隊の隊員を扶桑の戦争に加担させられなかったからだ。自衛隊はジオン残党の『時を超えた攻撃』で打撃を被っていたが、その生き残りを厄介がる者が警察系の防衛官僚に多く、Gフォースは(彼らにとっては)『放り込み寺』同然の感覚であった。だが、日本連邦体制が正式に発足すると、何かかしらの軍事的貢献が必要となったために、Gフォースの実戦化が急速になされ、自衛隊が(長年の間)松代大本営跡に秘匿していた超兵器の配備先とされた。皮肉にも、お披露目された超兵器は日本連邦の圧倒的科学力のシンボルとされ、他国を恐れさせた。2024年前後に、戦後直後に襲った怪獣がゴジラであると確定したため、自衛隊全体の予算が数倍に増加され、Gフォースの力で『再来に備える』こととされた。
「急に日本はGフォースに予算を回すようになったが、なぜだね、山口くん」
「ハッ。向こうの世界の戦後直後に現れた怪獣がゴジラであると、正式に確認されたそうです。初代だったそうなので、オキシジェン・デストロイヤーで殺せたそうなですが、日本は不死身の特性を持つ三代目へ進化する事を恐れていたようですので」
「露骨だね。まぁ、こちらにも出てくる可能性はあるから、戦艦は残しておくに越したことはない。ゴジラの外殻を貫くには、戦艦の火力が最低でも必要だからな」
1949年の扶桑でも、ゴジラの襲来は最大限に警戒されていた。既に歴史的役目は果たしたと揶揄される戦艦という艦種だが、怪異と怪獣対策で生き延びることになった。戦艦の運用ノウハウ維持の大義名分が、ゴジラと怪異、バダンのおかげで成り立ったからである。日本としても、東西冷戦下の頃の装備の更新期を迎えたため、没落した学園都市に代わる『自衛隊の予算確保の方便』に使えるため、敢えて、ゴジラの実在を公にした。自衛隊の戦後型装備では、ゴジラの強固な外殻を貫けないことが問題にされるのは目に見えていたので、扶桑に戦艦の保有の継続への要請を行った。超甲巡の強化はこの流れでなされたのである。山本五十六や、山口多聞などの航空閥の提督としては、なんとも言えない思いだが、ゴジラの存在は日本に戦艦の存在の重要性を再認識させたのである。
欧州各国が40cm砲を搭載することも少ない中、大艦巨砲主義を加速させる日本連邦の姿勢は嘲笑されていたが、ゴジラなどの怪獣の存在の公表は各国海軍を狼狽させた。そこで、日本がニューレインボープランを中止に追い込んだ事を非難する方向で固まった。日本としても、海底軍艦の拡散は望ましくなかったが、国が史実より少ない(中国が滅んでいる)上、扶桑がブリタニアと数百年単位で同盟しているという事実もある。その事から、ブリタニアと自由リベリオンに海底軍艦を提供することがようやく、正式に了承された。日本側はコピーからの拡散を異常に恐れたが、動力源のコピーなど、1949年当時の科学では到底不可能。波動エンジンは愚か、重力炉も同様である。炉心の自爆装置等は製造元の扶桑が握ることが了承されていたのに、日本は闇雲に拒んできた。そのツケが、ゴジラという大怪獣の襲来の可能性で支払われることになった。肥大化していくGフォースを国連の常設軍へと移行する案も出されたが、ガリアが不穏な動きをしていたことにより、没にされた。日本としては、そのほうが嬉しかったが、ガリアの不穏さ、カールスラントの東西対立の顕在化などで、連合国体制自体が揺らいでおり、ガリアのゴーリズム化は警戒されていた。この急速なガリアのナショナリズムの高まりが、後年に凄惨な惨劇を招くことになる。
扶桑は扶桑で、極度の人材難が前線を襲い、前線の士官の4割強が義勇兵という有様であった。また、部隊間連携がないことも問題であり、黒江たちと近しい関係の士官や下士官を近隣の部隊の指揮官に添えることが続いている。指揮官同士の横のつながりが一定程度ないと、円滑に連携出来ないのも、日本の軍隊らしい悪癖であった。扶桑固有の飛行隊の多くは魔女の部隊であったが、ダイ・アナザー・デイ後のクーデターで解散が相次いだ上、抜けた人材の穴埋めが出来なかった事から、空いた部隊は通常の飛行隊へ転換されていき、魔女だけの部隊は64F、50Fなどの以前からの精鋭部隊に限られるようになった。これは無条件で良質の魔女が生ずる時代が終わりを告げたからで、医療魔女も『宮藤芳佳を頂点に、彼女を超える人材は出ない』と突きつけられたため、育成で到達できる限界点が自ずと判明してしまい、育成への情熱も薄れている。現代医学の発達との兼ね合いであった。ただし、現代医学では再発の危険が伴う癌などを根本的に治癒できる手段であることには違いないため、併用が望ましいとされた。他の医療魔女には(致命傷も治せる)宮藤芳佳ほどの治癒力はないからだ。芳佳Aがあまり出張らなくなったのは、子育ても関係しているが、その絶対的治癒力が(プリキュア能力も持つので)妬みの対象になるからであった。
こうした情勢下、64Fは部隊規模が通常の飛行隊の数倍以上に膨れ上がっていた。残された精鋭の魔女のうち、更に異能者へ転じた者の受け皿になっていたためと、Gフォースの母体として、通常兵器運用部門も開設したからである。だが、折悪く、兵器開発費の高騰で、軍需メーカーの淘汰が始まってしまった上、空技廠も史実の彗星における不手際を理由に、縮小の見込みであったので、結局は扶桑の航空業界はリベリオン航空メーカーの下請けも同然に墜ちていくことになることは既定路線化しており、日本の目論見通りにはならなかった。だが、これが史実通りに民需技術の飛躍を起こすので、悪いことばかりではなかった。そして、地球連邦軍もティターンズを祖とする強硬派の衰退により、過去のガンダム開発計画の詳細の機密指定が解除されたことで、検証機名目での再建造の推進が公にされた。下手なジム系よりは依然として高性能であったので、64Fに提供されるガンダムともされた。これはグリプス戦役の前後の混乱で、実際の運用データの大半が失われてしまった故の措置であり、実機の大半もデラーズ紛争で失われていたが、設計データは残っているため、内部構造をフレーム構造に刷新した再建機が使用された。それはかつてのティターンズには皮肉極まる光景でもあった。(サイサリスを除く)
「ティターンズのMSはグリプス以前の旧式が大半で、いいところ、ギラ・ドーガだ。それも、今や旧式の代名詞だ。お前らの機体の敵じゃない。出力も最終型のジェガンに及ばないからな」
ジェガンは最終型では、ギラ・ドーガを数段上回る出力を誇る。構成素材の軽量化が(近代化改修で)進んだので、機動性も初期型よりは上である。問題は乗員の練度であるため、元々は精鋭であるティターンズ相手では、64Fが対応する。
「それでも、ガンダリウム製も多いから、この時代の兵器じゃ傷もつかん。だから、扶桑の機甲部隊は不幸という他ないだろう。まぁ、例の『遺産』のレストアは完全に終わったぞ」
「ジェットマンの遺産が?」
「コックピット周りとかに手を入れてある。あのままだと、ジェットマン本人たちしか使えないし、スーパー戦隊自体が2025年を最後に、確認されていない」
「本当?」
「ああ。野比財団が回収の時に機体の内蔵コンピュータの記録を確認したんだそうだ。大決戦の時はとりあえずだったが、今回は完璧だ」
スーパー戦隊のメカはいくつか、かつての戦場や基地跡で放置された例があり、野比財団が百年近くの年月をかけて回収。レストアが進められた。運用すべき本人たちが不在になったため、装備の回収も行われた。
「あいつがマスクマンの武器と技を使ったろ?それで、お前らの後輩たちに噂になってるそうだ」
「うへぇ……マジかよ。連絡ありがとう」
と、出向中のアストナージからの連絡を受け、ちょっと困った顔のシャーリー。黒江の『やりたい放題』はのぞみの姿でも同じであったので、それはそれで、プリキュア達の間で噂になっていた。
「あの人、素で黄金聖闘士で、ふざけてても、ものすごく強いからなぁ。寝ぼけ眼なのを不意打ちしても、ライトニングプラズマで瞬殺されるしよ……」
「仕事はきちんとしてるんだから、文句言うな。それに、記憶の封印期は苦労してるんだから、それでチャラにしてやれ」
「いいのか?」
「どこかで捌け口があったほうがいいからな。あいつは世渡りが上手いが、その分、世の暗部を見てきてるのも事実だろう。私も、目上に媚を売る必要があることを今更覚えたが……。あんたも、前世のうちの一回は最重要指名手配犯だろう」
「それ言われるとなぁ……」
「私達は見かけが若い時間が長いが、身体能力的意味の絶頂期はサラブレッドと同じように、刹那のように短い。だからこそ、その数年でその後の全てが決まってしまう。引退した後の生活は様々だが……。だからこそ、捌け口が必要なんだ。私はそれがわからず、苦労していたんだがな」
体はのぞみだが、ブライアンの性質を表すように、ドスの効いた声である。ドリームとしての声質をもう一段低くしたようなものだ。心なしか、肉体も筋肉質さが増している。
「親父は姉貴を自由にさせる代わりに、私に家業を継がせたかったようだが、私はそうならなかった。姉貴に押しつける形になったのは悪いと思うが、いずれは親戚の誰かに事業を売却しろとは言ってある」
ブライアンの不幸は、史実の展開が展開だけに、史実の勝数以上の勝利を掴み取れる可能性が低いことである。チートを使ってでも、それを選ぶあたり、ブライアンは史実の不遇の後半生の運命を超えたいのがわかる。
「だから、ゲッター線に魅入られても?」
「構わん。生物の進化は周囲の種を淘汰することだ。ホモ・サピエンスとて、他の人類を淘汰して、地球の覇者になっていったんだし」
それはブライアンなりの進化への回答であった。実際、現生人類が他のヒト族を淘汰し、地球を支配したのは歴然たる事実だからだ。
「それに、地球意志が人類の存続を決めるなら、神を超え、悪魔を倒せばいいと、あいつも言っている。未来世界の連中がスーパーロボットを造ってきたように」
地球意思など、ゲッター線の究極の目的『時天空の打倒』の前では、取るに足らぬものである。神を超えた先にあるのは、究極の敵との果てしなき闘争なのだ。のぞみAは確実に、ゲッター線の意思に身を委ねつつある。それをブライアンが代弁する形になった。
「この世界も、今の戦争が落ち着けば、東西冷戦の時代が数十年ほど続くだろう。あんたみたいなアメリカ人が祖国の地を踏めるのは、最低でも90年代だろうな」
「ドイツのように、心理的意味の分裂を抱えたままの統一はしたくないんだがね」
「仕方がないだろう。90年代くらいなら、ティターンズも自然消滅してるだろうし、人々も再統一を望む。ハワイの正式な譲渡と引き換えに、南洋新島群の施政権を正式に得るのが、ベターな報酬だろうさ」
魔女の世界でのハワイには、ハワイ王国の後身かつ、日系国家である太平洋共和国が存在していたが、ハワイの占領で自然消滅しているため、90年代あたりにリベリオンが再統一されれば、ハワイの施政権を扶桑本国へ『返還』する代わりに、南洋新島群を買い上げるという形での取引が交わされる。日本はそれを見越し、扶桑に不毛の地であるシベリアの施政権を手放させるつもりであった。ハワイの獲得はシベリア領域の元住民の移住先にするためである。
「ベタだけど、そういう流れになるかね」
「東西冷戦はそういうものだ。あんたらの常識ではわからんだろうが、超大国の拮抗は数十年で限界を迎えるそうだ。50年くらいだな」
「扶桑が心配すべきなのは、華族の衰退だよ。法的な特権が消えれば、周囲は敬うことをしなくなるから、生きづらい世の中になる。皇族もだ。軍人になってた者は留まりたいだろうが、日本の大衆は許すまい」
「戦後の日本に合わせる必要はないはずだぞ?」
「彼らはそれで経済的に繁栄したからだ。だが、それは薄い氷のようなバランスで成立したものに過ぎんがね」
しかし、華族という地位を必要とする状況があったため、形骸化は進むが、華族という身分自体は存続した。皇族軍人も(日本の意向で)時代とともに消えていく運命であったが、形式上の大元帥という地位は昭和天皇の存命中は使用される見込みであった。だが、皇族軍人などに代わる『軍部が服従する権威』が政治的に必要となり、映えある戦功を挙げている黒江たちを『英雄』として担ぎ上げるのが最善とした。扶桑はそういうところで苦労するのである。
「軍部が残った以上、権威が必要だ。絶対的な、な。それがあんたらだよ。これから、ますます、何でも屋をさせられるぞ」
「面倒だぜ、そういうの」
「仕方ないだろう。大規模に軍隊を動かせば、日本側に文句言われるんだ。あんたらを放り込んで、無双させたほうがコスパいいと言われてるようなものなんだ。あんたらも災難だよ」
「クソ、入隊人数の確保をおぼつかなくしといて」
「政治の有力者を抑えておいたほうがいいぞ。そうでないと、連中はろくに食料品も回さんだろう」
「それは手を回してる。今頃、吉田老が日本の総理大臣に脅しをかけてるだろう」
「池田勇人と佐藤栄作にもパイプを築いとけ。そいつらを抑えておけば、当分は大丈夫だ」
64Fは時代時代の最有力な政治家の後ろ盾により、統合参謀本部の嫌がらせを切り抜けてきた。軍部の政治への影響力が消えていく時代を迎え、さらに国家総力戦を前提としていない時代の仕組みで動くのを強要されるため、武力を一部の部隊に集中させたほうがいいと考えた政治の思惑を、『異能者の身辺保護』を思案していた岡田啓介や鈴木貫太郎が利用し、64Fの地位を確立させたのである。その過渡期に起こったのが、武子の負傷期の『代理の頻繁な入れ替わり』であったりする。
「やれやれ。政治を味方につけないと、戦争も出来ねぇとは」
「戦後の日本では、如何に財務の財布の紐を緩めるかが寛容だ。私も生徒会で、ダーティーな交渉を理事会や協会としてきたんでな。アメリカ人と違って、戦後の日本人はマニュアル小僧味が強いんだよ」
「だからって、有事に平時のマニュアルは意味ねぇだろ」
「事後に問題視されるのを防ぐためだよ」
「ったく……これだから……」
有事にも、平時に定められた行動マニュアルを遵守したがる気質のある日本人のお硬さに呆れるシャーリー。なんだかんだで、アメリカ人(リベリオン人)であるためだろう。しかしながら、これでも、仮面ライダー達などのヒーローたちが裏で戦い続けている世界線の日本なので、他の世界に比べれば、有事法制の制定のハードルは低めである。問題は表向きは平和であった故の大衆の『平和ボケ』だろう。その大衆の右往左往に振り回されない部隊を求めた軍部なりの誠意が『異能者の勤務における特権の公認』だろう。武器の梱包を解きながらも、平時の法制を絶対視する、日本の政治家に嫌味を言いたいシャーリー(キュアメロディ)であった。