ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第五百七十六話「西暦2000年のある日 5」

――時間振動はドラえもんらの世界の近接世界に特に影響を及ぼした。プリキュアのいる世界線の内の『いくつかの世界』は一つにまとまっていった。住民も気づかぬままに。キュアエトワールはその説明を受けた後、キュアスカーレットの勧めで、自衛用の銃を選ぶように言われたが、元々がフィギュアスケーターで、予備知識ゼロであるために、ちんぷんかんぷんであった――

 

 

 

 

――かくして、キュアエトワールは先輩たちの薦めに乗っかり、適当なオートマチック拳銃を選んだ。殆ど使わないし、形式的に持つだけだからだ。とはいえ、仕事の都合で持つようになっていた者も多い。キュアムーンライトは素体が『新見薫』(ガイア)であった都合上、普通にコスモガンを携帯している(当初はガイアから持ち込んだモデルであったが、アース規格のものに変えたという)。キュアドリームはAがベレッタ92、まもなく、確認される大人バージョンが『戦士の銃』であった。大人バージョンの彼女は戦いが激しい都合上、戦士の銃が渡された。本来はメンテナンスのために、大人のび太に送られていたもので、オトナプリキュアの世界にいた彼女に渡され、戦果を挙げる事になる。――

 

 

 

「はひー、カイザー級はシミュレーターでも凄く『来る』なぁ。桁違いだよ」

 

「ご苦労さまです」

 

「スカーレット、エトワールは何してるの?」

 

「手持ちの銃を選ばせているのですが、予備知識ゼロのようで」

 

「それじゃ手こずるな。それと、大人ののび太くんからだよ、のび太くん」

 

「大人のぼくから?タイム速達便だな……こいつは……驚いた。コスモドラグーンだ」

 

「戦士の銃じゃん!!」

 

「うん。30世紀のトチローさんが死ぬ前にいくつか制作した『小型の波動砲』。サレザー・イスカンダルが聞いたら、泡吹くよ」

 

「えーと、アースにとってのイスカンダルはサンザーで、ガイアがサレザーだっけ?」

 

「その内のアースの波動理論の究極だよ、これは」

 

機械化人に唯一、一撃で致命傷を与えられるものにして、雪野弥生の成れの果てであったプロメシュームを滅した武器。トチロー(30世紀)の遺した究極の拳銃。実は当初はショックカノンの小型化であったが、改修後は波動砲と化している。元々、30世紀は『子供がいじれる工作機械で、初航海当時のヤマトと同性能の波動砲がミニサイズで建造できる』ほどの進歩ぶりであったので、トチローが改修を加えた最終形態では、コスモドラグーンは波動砲なのだ。

 

「最大出力だと、いくら君たちでも、肩痛めると思うよ。ハーロックは元々鍛えられてる戦士だし、クイーン・エメラルダスはラーメタル人だ」

 

「うへぇ……」

 

「綾香さんが君の姿で、バスターランチャーを使ったことあるだろ?あれよりは影響は小さいな。バスターランチャーは最大パワーだと、空間を歪めるから」

 

「先輩、あの時さ、、あたしの姿で『Gアームライザー』を纏って、ソードトマホークでチャンバラしたって言うんだもん」

 

「ああ、大人のぼくいわく、気が立ってたから、キュアマリンに怒鳴っちゃったそうだよ」

 

「えりかから聞いたよ……。ああ、先輩、あたしの姿で好き勝手してくれちゃってぇ……」

 

「それと、キュアフローラが転移前に遭遇したっていう超巨大ゲッターだけど、皇帝の幼態説出てきたって」

 

「エンペラーの前身!?」

 

「たぶん。その場に居合わせたブルーム達の証言によると、竜馬さんの声で、ゲッターチェンジのかけ声が木霊してたって」

 

「フローラも大変な体験したんだなぁ」

 

と、キュアフローラが転移前に目撃した謎のゲッターと『バグ』。その世界にいたオールスターズが圧倒されたのも当然といえる力を誇っていたバグ。雷ひとつで星の環境を変えてしまうのみならず、初代とS☆Sの最大必殺技の同時攻撃さえも通さないバリア。

 

「初代とS☆Sが同時に必殺技撃っても、バグには通用しなかったっていうからね。それを更ににぶち破れる力は……インフレも極まってるよ」

 

「ゲッターアークを半壊に追い込めるからなぁ、あいつ。それを上回るから……」

 

「ストナーサンシャインを撃ったらしいんだよね。桁違いのパワーとサイズで」

 

「……それで?」

 

「プリキュア達が気がついたら、姿を消してたみたいだ。だけど、フローラの『絶対に諦めない!!』って、バグに叫んだ瞬間に、辺り一帯にゲッター線が吹き出て、そこから出てきたらしいから、例のゲッター」

 

「フローラの意思に呼応したのかな?」

 

「たぶん。バグのパイロットは君らにも情け容赦なかったみたいだから、そのゲッターが現れるまでに、何人かはあっけなく倒されたみたいだ」

 

と、バグに何人かの同位体は倒されたことが伝えられる。

 

「誰なの?」

 

「ミルキィローズ、キュアミント、キュアパイン、キュアハニー、キュアベリー、キュアピースが一瞬で倒されたそうなんだ。バグの放ったエネルギーに耐えられなくて。ローズとミントが倒された瞬間、君とかれんちゃんの絶叫と悲鳴が響き渡ったそうな」

 

「……なんてこった」

 

「つまり、バグを……カムイ・ショウを討つ理由は君にもできたってことだよ」

 

 

「拓馬の言ってた、ゲッターキリクのパイロット……。あたしが今の状態で居合わせれば、指一本触れさせなかったのに」

 

「その世界にいた君らが、その後も戦士であるかはわからないそうだ。二人も目の前で失えば……」

 

「……だろうね。拓馬に伝えて。あたしにも討つ理由ができたって」

 

「大人のぼくに伝えてもらうよ」

 

カムイ・ショウ。以前はゲッターキリクのパイロットであったが、ゲッターエンペラーを知ってしまった後は『バグ』という超兵器で反旗を翻し、人類の歴史を断ち切るために行動を起こした。彼は世界線をさすらう内に、キュアフローラの現役時代におけるオールスターズ戦の起こった世界に現れ、六人のプリキュアを瞬殺したという。彼の駆る『バグ』はゲッター軍団と戦うための兵器。その世界にいたプリキュア達の抵抗を意に介さないレベルの強さであった。見せしめに、拓馬と共に戦っているという『プリキュア5』からミントとローズを、『フレッシュ』からはパインを有象無象のように消し去ったという。仲間のあっけない最期に怒り狂った、その世界のドリームとピーチであったが、ベリー、ハニー、ピースも続いて瞬殺されてしまう有様に心が折れ、戦意喪失。なおも必死に初代とS☆Sが最強の技で立ち向かったが、それすら通じず、ハエを払う要領で叩き伏せられてしまった。これに残りのプリキュア達は殆どが戦意喪失に陥り、キュアフローラはそんな状況にも関わらず、抵抗を試みた。ドリームとピーチが制止するのを振り払うかのように。その想いがゲッター天を呼び寄せたのだろう。

 

「その世界のあたし、情けないところを見せちゃったってことだよね」

 

「うん。そうなる。君だったら?」

 

「あたしなら、戦うよ。相手がバグでもね。その世界にいた自分の気持ちはわからないわけじゃないけど、世界が滅ぶか否かの瀬戸際に、逃げ場なんてない。殴ってやりたい」

 

「ZERO、君のせいで、ドリームが過激になったじゃない」

 

「ワレは知ラヌ!」

 

と、しらばっくれるマジンガーZEROの意思。ドリームに抱き抱えられるぬいぐるみのような姿になっているが、それでも強面の面構えに変化はない。珍しく現界しているが、それはドリームにマジンガー乗りの心構えを示すためだという。

 

「君が現界するのは珍しくない?」

 

「フン…。ワレはコヤツにマジンガー乗リとシテノ心構エを示シテイルダケダ」

 

「この子、素直じゃなくてね」

 

「世界をいくつも滅ぼした君もこうなると、ただの妖精だね」

 

「甲児ガワレ(Z/ZERO)以外のマガイモノに乗ロウトするノガイカンノダ」

 

「そんなだから、皇帝にボコボコにされんだよ、君」

 

「グヌヌ…」

 

のび太にも『ZEROは自分の想像力に欠けているから、魔神皇帝に負けるんだ』という一つの事実を指摘され、タジタジのZERO。元はZの後続機であろうが、『マガイモノ』と断じ、倒してきた彼も『全ての魔神を統べる者』という宿命を、ZEROの創造主であった兜十蔵自身に課せられた魔神皇帝には及ばないらしい。

 

「珍しいのが見れたよ」

 

「ミラクルとそれで大喧嘩になったんだけどね。いやぁ……は、ははは……」

 

「ZERO、君のことは話してあるけど、兜十蔵博士は偉大だね。グレートが勝てないことを見越して、早乙女博士に託してたんだから。エネルガーにゲッターエネルギーを浴びせるなんて」

 

マジンガーZのプロトタイプの内、武装テスト機であったというエネルガーZ。それに高濃度ゲッター線を浴びせ、変異させる。兜十蔵博士は自身の暗殺を見越し、早乙女博士にその実験を依頼しており、早乙女博士は兜剣造の立ち会いのもと、ゲッターエネルギーを浴びせたという。一年戦争より前のことだという。また、マシンパイルダーをカイザーパイルダーの操縦機を兼ねるように改修をしたのは弓教授である。つまり、カイザーパイルダの構造はブレーンコンドルタイプではなく、マシンが操縦機を兼ね、ドッキングして動かす仕組みであった。(なお、エンペラーコンドルは普通にブレーンコンドルの後継機であった)

 

「ワレノ創造主ナノダ。当タリ前ノコトだ」

 

ZEROの本質は『きかん坊であったが故に、親に嫌われた子供』なのかもしれない。創造主である兜十蔵を褒められ、胸を張るような仕草を見せるからだろう。

 

「あ、そうそう。ドリーム。話したがってるらしいね、兜十蔵博士と」

 

「うん。でも、亡くなってるんでしょ?」

 

「本人はね。だけど、あらかじめ、自分の記憶と人格を超コンピュータに記憶させていたんだ。そのコンピュータの端末を甲児さんから預かってきたよ」

 

少年のび太は部屋に置いてあった、一つの機械を作動させる。すると、小さい立体映像に映し出されたのは、生前の兜十蔵博士の姿を模したアバターであった。

 

「君がキュアドリームじゃな。息子と孫から話は聞いておる」

 

「ど、どうも初めまして……」

 

生前の兜十蔵の人格そのままの挙動をし、生前の彼の記憶を全て持つウルトラゴージャスコンピューター。この個人の人格の正確無比な移植技術は後の時代に大山一族へ伝わり、より改良された『魂そのものを移植する』機械として完成され、大山トチローが自分の死を以て、自身の最高傑作『アルカディア号』のメインコンピューターに魂を移植することになるが、それより1000年近くも昔に、ここまですごいコンピュータを制作できたあたり、兜十蔵の異常な才能がわかる。

 

「ZEROもどこかの世界でこのワシが完成させた存在じゃ。だが、ワシの想いから離れた魔物になってしまった。それは痛恨の極みじゃった。別の世界線の存在を知ったワシは早乙女くんの研究していたゲッターエネルギーに一縷の望みを託した。倅には、ZEROに対抗しえる魔神のアイデアを遺してやった。それがグレートであり、ゴッドじゃ。じゃが、もし、グレートしかできていない段階でZEROが現れたら?その最悪の事態に備え、ワシは手を打った。それが皇帝じゃよ。魔神皇帝」

 

「それで、ミネルバXは何が気に入らないのですか、グレート系統の」

 

「奴に組み込んでいたパートナー回路の名残りじゃろう。弓くんが新造のアンドロイドボディに中枢部品を移植する際にも、そのままにしたのじゃろう。グレートは奴の弟じゃというのに」

 

「オジイちゃん」の反応は紛れもなく、兜十蔵そのものである。また、制作者が自分の子であるグレートとその系列機もけなさないあたり、ミネルバXの器量の小ささを嘆いているようでもあった。

 

「博士、グレートカイザーの何がいけないのでしょう?」

 

「ミネルバには、別の世界線を観察できる仕組みを仕組んでいる。それは巨大ロボの時代から同じじゃ。恐らく、ZEROに力及ばずに敗れる世界線があったのじゃろう。因果律兵器はその結果を出現させる効果を持つ。故に、ミネルバはGカイザーを否定したのじゃろう」

 

オジイちゃんはそう回答する。Z(ZERO)のパートナーとして設計されたが故に、Zを兵器として洗練させたグレート系のマジンガーを嫌うのだと。だが、自分はそのような進化を認めているとも述べる。

 

「昔、太平洋戦争の頃、日本海軍のパイロット達はゼロ戦を信奉し、後継機に同じような性能を求めた。じゃが、そんな淡い信仰をグラマンとシコルスキーが打ち破っていったように、Zから進化しないことなどありえぬのじゃ」

 

かつての日本海軍航空隊が結果的に、零戦からの思想的脱却を完全には果たせずに敗れ去っていったという戦史上の故事はスーパーロボットの制作者にとっても、開発姿勢での反面教師とされている事がわかる。

 

「だからこそ、倅には、Zの欠点を無くせと指令しておいたのじゃ。グレートの開発当時に」

 

「それで……」

 

「つまり、マジンガーがGに似た姿を取っていくのは必然なんじゃよ。鉄人28号でさえ、三代目はトレンドに則ったデザインじゃろ?そういうことじゃよ」

 

大笑するオジイちゃん。こういう挙動一つ一つに至るまでが兜十蔵なのだ。

 

「ワシの遺した財産で、孫には財団を作っておけと言っといてあるしの。孫はアメリカのワトソン博士のもとに留学しておったが、珍妙な円盤を作りおって」

 

兜十蔵もTFOのことは『珍妙な円盤』と評価しているようだが、10代の最後の年で制作した処女作にしては上出来であった。また、超合金Zを部材に用いることで、大気圏内ではコスモタイガーよりも高速で飛べるなど、意外な高性能を持つ。この経験がダブルスペイザーの設計関与に活きたのである。

 

「ダブルスペイザーのドッキングじゃが、あれは我が孫ながら、見事なアイデアじゃ。宇門くんもそれを、うまく形にしおった。彼が若い頃、倅の大学の後輩じゃったが……」

 

そのことから、宇門博士は元から兜一族と面識があった事が窺える。また、後輩ということなので、意外にも、弓教授は兜剣造とさほど実年齢に違いはない事、宇門博士は三研究所の司令官で最も若いことが判明した。

 

「グレートカイザーの改良には、ワシが力を貸した。お前が癇癪を起こすものだから、ワシャ、あちらこちらお詫び行脚なんじゃぞ?」

 

「博士ガ悪イノダ!!」

 

拗ねるZERO。これにはドリームも。

 

「あんたねぇ…」と

 

ため息と共に、呆れ顔だ。

 

「こんななんですよ、博士」

 

「こ奴は癇癪持ちの幼稚園児のようなものじゃ。君の後輩から故郷を奪ってしまったことは、開発者のワシが代わりに侘びておく」

 

魔法つかいプリキュアの故郷の世界を滅ぼしてしまった事には変わりはなく、それが『ZEROを生かした』事にミラクルが納得できなかった最大の理由である。ZEROはみらいから、家族も、帰るべき場所も、その手から永久に奪い去ったのだ。

 

「何があろうと、ZEROはその子達から帰るべき場所を奪いよった。それは変わりない事実じゃ。君には苦労をかけるが、不肖の我が子をよろしくお願いする」

 

と、オジイちゃんは頭を下げる。

 

「いいお父さんじゃないか。ねぇ、ZERO君?」

 

「ワレの父なのだ。トウゼンだ」

 

と、ZEROは父を誇るが、おじいちゃんは釘を刺す事も忘れない。

 

「くれぐれも、そのお姉さんの言うことを聞くんじゃぞ」

 

と、ZEROへ釘を刺しつつ、『オジイちゃん』は休眠に入る。ZEROは不満そうであったが、ドリームが庇い立てしてくれなければ、アレキサンドライトスタイルのキュアミラクルが『霊的存在を滅ぼす大魔法』をかけ、息の根を止めるところだったのだから、当然であった。

 

「……ウム、父の達しと有れば是非もない」

 

と、口ではいうが、ぬいぐるみ状の姿の右腕にアイアンカッターが生えたため、創造主の言う事に従うものの、内心は嫌そうらしい。

 

「こら、言ってるそばから、アイアンカッターを生やさない」

 

ドリームにペシッとされ、アイアンカッターを引っ込めるZERO。

 

「ワレはネル!!」

 

「あ、拗ねた」

 

と、姿を消すZERO。そのような反応から、『幼稚園児』と表現されてしまうのだ。かつての『終焉の魔神』も、敗れ去った後は自身を助命してくれたプリキュアの妖精のような存在に身をやつしているのである。

 

「ハスキー犬みたいだなぁ、あいつ」

 

「ハスキー犬みたいに、態度が可愛ければいいんだけどねぇ」

 

と、ため息のドリーム。

 

「お~い、エトワール~!決まった~?」

 

「どれがどれなのさ~!」

 

隣の部屋で、エトワールはまだ、銃に悩んでいるようだ。

 

「のび太くん、決めてやってよ。あれじゃ、日が暮れちゃうって」

 

「しかたない。ぼくが選んだのから、選ばせるよ。ジグとH&K、ガバメントでいいかな?」

 

「ワルサーのPPKは?」

 

「女性の護身用にいいな。おーい。ぼくが選んであげるよ~」

 

「助けて~~!!どれがどうなんだか、さっぱりなんだよぉ~!!」

 

うるうる目のエトワール。普段はどちらかというと勝気な輝木ほまれだが、門外漢すぎる分野であるため、てんで駄目であった。」

 

「あのねぇ、君たち、少しは助け船を……」

 

「私は官給品をその場その場で使ってたもので……」

 

「私はセールストークが駄目みたいで……」

 

のび太に苦言を呈され、気まずそうなスカーレットとフェリーチェ。

 

「官給品って?」

 

「ブレン軽機関銃ですわ……。拳銃は有り合わせを……」

 

「ペリーヌさんに文句言うべきかな……これ」

 

ペリーヌは家宝のレイピア(祖母が昔の戦で実戦に供したという)以外の武器は官給品で済ませていた質であるので、それをキュアスカーレットは引き継いでいるのである。のび太は頭を抱える。

 

「うーん。はーちゃん、二番目の引き出しにワルサーのPPK/Sが入ってたはずだ。それを彼女に」

 

「わかりました。のび太…、その……ごめんなさい。お手をわずらせてしまって…」

 

「いいさ。何事も特訓さ」

 

この頃はフェリーチェのほうが背が高いらしいのび太。青年期以降は逆転し、フェリーチェを褒める時に、頭を撫でる事も増えるのである。

 

「はーちゃん、すっかり馴染んでんなぁ」

 

「ドリーム、ちょっと羨ましそうですわね」

 

「夢原のぞみとしては、ずっと一人っ子だったしね。ああいうお兄さん、欲しかった時期もあるんだよね。ココと出会う前、子供の頃だけどね」

 

現世においては三人姉妹に生まれたが、夢原のぞみとしては、一貫して一人っ子であったためか、のび太と兄妹のような会話を交わすキュアフェリーチェが羨ましいようだった。『親』であるみらいとリコが見たら、どういう顔をするだろう?スカーレットとドリームは故郷を、自身の大地母神としての根源を失った後のフェリーチェの事が気がかりであったのだが、等身大の一プリキュアとして過ごしているようで、ちょっと安心し、胸をなでおろす。

 

『みなさ~ん!ごはんができましたよ~」

 

炊事担当の調がごはんの完成を知らせてきた。それを聞いたドリームとのび太は喜び勇むが……。

 

『うわぁ~!?』

 

なんと、二人して、盛大に階段の下りで足を踏み外したのだ。旧野比家の階段は長い。落ちればもれなく、どこかかしらに打撲を負ってしまう。

 

「……いけない!!キュアップ・ラパパ!!」

 

フェリーチェがとっさに魔法を使い、二人の落下速度を緩め、安全に着地させる。

 

「ふ、ふぅ……。助かった~。昔に建てられた家って、無駄に階段の角度あるんだよなぁ」

 

プリキュアになっているのに、階段を踏み外したのは恥ずかしい姿だ。とはいえ、これが素ののぞみの姿でもあった。

 

「ふぅ。助かった。ありがとう、はーちゃん」

 

「気をつけてください。この家、階段の角度ありますよ~」

 

「分かった~」

 

「おー、イチチ……」

 

「大丈夫?」

 

「尻もちつくのはいつものことだから…。君は?」

 

「はーちゃんのおかげで、態勢を立て直す時間が得られたから、なんとか。後輩の前で、カッコ悪いとこ見せちゃったよぉ」

 

「後輩に先輩風を吹かせたいんだね」

 

「そ、そりゃ、この中で第一世代のプリキュアはあたしとかれんさんだけだし」

 

古株故の誇りがある様子のキュアドリーム。なんともしまらないが、第一世代のプリキュアであることへの誇りをちょっと垣間みせる。いつもは職場で、黒江達に妹分扱いされているのも影響しているのか、この日はいつもよりちょっとだけだが、『(精神的に)背伸びしたい』ドリームであった。毎年、後輩が続々と現れていくのが『プリキュア』界隈。のぞみも偶には、先輩ぶってみたいのだ…。立場上、ドリームはブラックの次席でいいくらいの功績があるのだから…。

 

 

 

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