ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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プリキュアINゲッターロボGです。


第二十四話「次元震パニック出張版その六」

――扶桑皇国は軍事的責任をそれまで以上に背負う立場になったが故の出費は大きかった。それを少しでも削減しようとした日本連邦財務省はウィッチ関連予算を削減した。これに伴い、ウィッチ兵科の将来的解消は『既定路線』とされた。しかし、解消後に訪れる混乱が大きい事は1945年の時点で予測されており、その混乱への対応を嫌がる部署が多かった(要は保身)事から、太平洋戦争を機会に、教育を改める事で当座凌ぎが行われている。当時の中堅はクーデターやダイ・アナザー・デイで社会的信用がガタ落ちし、半ば消耗品扱いされているが、ダイ・アナザー・デイを戦い抜いた者らは英雄扱いされている。その格差がGウィッチの酷使に繋がっている。1945年の政治抗争はウィッチ兵科そのものの息の根を止めたと言える。――

 

 

 

――ウィッチ兵科の解消を予期する者は意外と多かった。ダイ・アナザー・デイで一部の強者以外は戦局に何ら寄与しなかったからだ。怪異への対処に歴代のスーパーロボットとスーパーヒーローらが有効である事も判明した事で、別部署のMATに移管する声が大きかったが、ノウハウの維持をウィッチ出身参謀らが主張し、血判状を出す騒ぎになったため、ウィッチ兵科の解消の準備期間が設けられる事で妥協された。その一環がMSなどの導入なのだ。また、この頃、しつこく提案されていた事がある。軍人のみの勲章である金鵄勲章の代替としての功労勲章として、『国家または公共に対し功労があり、公務等に長年従事し、成績を挙げた者への勲章として、瑞光章を位置づける』事は日本の野党主導で繰り返し俎上に乗せられているが、金鵄勲章はたとえ一兵卒でも、戦功さえあれば、授与資格を現役中に得られる点は忘れ去られており、その点が指摘された。また、金鵄勲章は扶桑独自の物として「扶桑政府」が「指揮した戦役、紛争」に於いて扶桑の国益に沿った勲功を挙げた者に対する平等な表彰であって、日本政府にそれを廃止させる権利や権限は無く、それを強行する事は「内政干渉」であるという事実が突きつけられたことで、日本野党群による第五次発案は却下される。実際に制度を廃止してしまうと、色々な弊害が出る。現場で新たな武功章の創設が必要となり、更に給付金などで年金の利益を担保すると、余計に金がかかるとする試算が出され、更に授与資格を有する者が一兵卒にまで及ぶ事もあり、扶桑の金鵄勲章は廃止を免れた。この指摘がされる時に、現役時代に佐官以下の階級で退役すると、瑞光章の授与資格を持たないとする指摘が出たからだ。自衛官は原則的に高官を経験しなければ、国からの正式な勲章を得られないため、それに扶桑軍を合わせようとしたとされるが、これは流石に『内政干渉』になる上、扶桑の財政は大日本帝国より遥かに裕福であり、金鵄勲章の年金制度も維持されていて、扶桑の財政を全く考慮していない。

 

――評議会にて――

 

 

『下手に制度を変えて、奴さんに日本を攻められる口実を与えるより、奴さんの軍事力を上手く使う方法を考えたらどうだ?自衛隊だけで極東ロシア地域の警備は無理な相談だし、歴代のプリキュアを抱えてるんだ。それに、陸海空自衛隊の隊員の多くがアニメオタクになっている時代だ。彼女らが敵になったら、自衛隊がまるごと裏切るぜ?』

 

麻生タローの言う通り、扶桑の軍事力は日本国憲法の制約を受けない利点がある。自分たちが手をこまねいている内に、扶桑が歴代プリキュアを抱え込んだ事は警察関係者から苦情が出ているが、身辺警護も兼ねての軍編入は理に適っているし、歴代のプリキュアの戦闘力は学園都市解体後の日本の治安組織の能力を完全に凌駕している。扶桑が日本の制圧に乗り出した場合、在日米軍は内乱とみなして静観するだろうという予測、核兵器にも耐える超戦艦を阻止する術は空海自衛隊にはないこと(30世紀最強級の能力を持つ艦もある)から、日本は45年の8月を以て、軍事面で扶桑への優位を取ろうとする動きを放棄し、上手くコントロールしようとするようになった。日本側が64Fに多額の予算をつぎ込むようになったのは、44JVのような部隊を本当に欲しがったからでもある。

 

 

『64Fに多額の費用をかける理由は?』

 

『貴方方の要請に従い、エースとベテランを全世界からかき集めたからですよ。我が軍は本来、世代交代期だったのですよ?他部隊からのクレームは山程出ています。ですが、転生者は他部隊では扱いかねる人材です。聖上の寵愛を受ける者もおりますので、下手な手出しはお控えになられたほうが懸命かと』

 

『できることは?』

 

『トップエースが転生者なので、下手な口出しは貴方方の火傷のもとですよ?戦隊長が負傷で後方に下がった際に、『代理』という形で人員を送り込む事は出来ますが、なにぶん、64は人外魔境ですから…』

 

『亜神が数人、使徒クラス二桁、聖人レベルで対等なのが新人扱いって英国清教の分析もあったなぁ、各国の機密組織に情報流してたわ。君らはコントロールしたいようだが、諦め給え」

 

この時に武子の負傷の際に『代理』を立て、中央の意向を通りやすくする方策が背広組により練られ始めたが、64Fの練度を高くしすぎたため、古参兵ほど、戦隊長を代理でも務める勇気のある者はいない。だが、自身の箔付けに、中堅層から合計で四人ほどが志願し、太平洋戦争中の一時期、彼女らが武子の代理を一時的に務めるが、模範を示そうとしての陣頭指揮で二人が戦死、一人が後送の事態に陥る。最後の一人である宮辺英子大佐は前任者の広瀬沙羅・バルナック大佐と共に、実質は降格人事であるものの、再配属後に維新組の中隊長、天誅組の中隊長の任につく。黒江らを動かすための気苦労が多かったためで、戦死者と事故死もそれぞれ生じたため、軍中央も64を自分達の手駒にする計画をその段階で諦め、以後は『先任大隊長の誰かが代理に就任する』とする規則が認められた。生き残った二人の『代理』は64Fの機密を知るため、正式な他部隊への異動(戦隊長就任)が憚られたため、再配属という実質の降格人事が取られ、彼女らは以後、一中隊長として隊に留まり、そのまま戦う事になる。戦隊長に準ずる地位にいた者が『降格人事』になるというのも異例だが、代理たちの大半は黒江達の統制については、着任後の数日で匙を投げており、そこも激戦を生き残った二人が中隊長への辞令を喜ぶ理由であった。

 

 

 

――この事は1948年以降の出来事だが、64は未来兵器絡みで機密が多く、外部に漏らされると、今後に支障が生ずるため、書類上は『新任の中隊長から代理を選抜した』扱いになっている。武子の復帰が彼らの予想より早く、元の木阿弥になったので、口封じも兼ねて、生存した二人を中央に転属させたかった背広組だが、機密を知っているため、外に出すわけにもいかなくなってしまったわけである。二人は戦隊長経験者でありながら、当初の思惑通りに、他に転出させられずじまいになってしまった(64の戦術ノウハウを中央が得るために行ったが、結局は生き残った二人に離反された上、この事で黒江に『弱み』を握られた)ため、中央はこの施策を悔いたという。要は戦車道協会が大洗にしようとした事と似たことを扶桑軍中央が目論み、見事に不発に終わるのである。――

 

 

 

――1947年――

 

この頃になると、第一期プリキュアの殆どは勢揃いしていたが、一箇所に固まってはおらず、新選組で一線勤務につく者と維新隊で錬成中の者とに分かれていた。『プリキュア三羽烏』(ドリーム、ピーチ、メロディ)の三人の補助役として、何人かのチームメイトが新選組勤務である。この三人は同世代である事もあり、広告塔としての任務も担っているが、基本は黒江の配下である。ただし、圭子にもこき使われているので、ドリームはゲッタードラゴンに乗せられているのだ。

 

『マッハウイング!』

 

ゲッタードラゴンのマッハウイングが展開され、ギャプランの改良型との空戦に入る。ゲッタードラゴンは改良されている事もあり、ジオン残党が採用したギャプランの独自改良機『シュツルム・イェーガー』を物ともしない性能を見せた。

 

 

『ダブルトマホーク!!』

 

ゲッタードラゴンのダブルトマホークが炸裂し、シュツルム・イェーガーを両断する。スーパーロボットは『リアルロボットより運動性能に劣る』(俊敏性に欠ける)とされるが、実際はスーパーロボットの動作性の向上でお互いの垣根は薄れている。また、スーパーロボットの装甲と接近戦用武器に使用される素材はアナザーガンダムを含めた全てのMS用装甲を薄紙のように斬り裂けるため、MSの装甲は有って無いようなものだ。

 

「すごい、斧で一刀両断だ…」

 

「なのに、斧の刃が欠けてないなんて…」

 

「よぉし、あたしたちも!」

 

ブライトとウェンディの二人は素の戦闘能力が本当に高い時代のプリキュアであり、そこが代を重ねた後の後輩らと一線を画する点である。(第一期プリキュアは格闘能力がそれ以降のプリキュアより概ね高く、戦闘面での主力を担っている)二人の一撃はシュツルム・イェーガーの装甲を軽くへしゃげさせ、バリアはMSを撃破可能なガンポッドの弾丸を弾く。

 

「はぁああっ!」

 

ブライトの鉄拳が二連ガンポッドの片方を粉砕し、ウェンディの蹴りがギャプランの設計を改訂した制空用なために華奢な構造の同機の片腕をもぎ取る。代の離れた後輩らがMSを破壊するのに必殺技を必要とするのに対し、経験を積んでパワーアップした影響か、大決戦当時と違い、素で機動兵器を破壊可能になった様子を見せる。

 

『あれ、二人共。あの時よりパワーアップしてね?』

 

「あれから時間が経ったし、ブラック達としばらく一緒に戦ってたしね。たぶん、そのせいじゃないかなぁ」

 

「後輩がものすごく増えることを教えたでしょ、メロディ。あれでブラックが悩んでたわ、しばらく」

 

『なぎささんらしーな』

 

「あたしだって、後輩が60人近く増えるなんて思ってなかったよ。しかも、平成が終わるまでの間にさ」

 

『次の令和にも後輩がいるからな、あんたら』

 

「それ、平成の次?」

 

『2019年に改元だよ。普通に年食ってたら、あんたらはアラサー女子だよ』

 

「……なんか考えたくないなぁ」

 

キュアブライト(ブルーム)、キュアウィンディ(キュアイーグレット)の二人はキュアブラックとホワイトより二学年下、キュアドリームの一学年上の世代である。1992年生まれであるため、2019年には27歳ほどになっている計算である。その頃は第一世代プリキュアは子供を儲けても不思議でない年齢層になっているという衝撃はキュアブライトにショックを与える。第三世代プリキュアである野乃はな/キュアエールがなぎさの現役時代に生まれている計算なので、世代が違うのである。

 

『そう言えば、はなちゃんが2005年だったな。あ、あれ?メロディ。なぎささんの現役時代はそんくらいだよね?』

 

「あたしと舞は2006年だよ、ドリーム」

 

『と、言うことは…、第三期の子たち、あたしらの現役時代はライト振ってる側だよ!?』

 

『マジかよ…。ヒロインやってるから気がつかなかったぜ…。お、おい、はるかの奴は2002年だから……!』

 

「うわぁーーー!元号変わってる頃のプリキュアの子たち、あたしらの子供でもいいくらいじゃん!!」

 

『つか、はるか達の時点でドリームの頃に5歳だぞ、ブライト』

 

「マジィ!?なんか一気に年食った感覚だぁ……」

 

『あたしとエールで考えが合わないのも納得なんだよなー。あたし達はラジカセが現役で、まだ昭和の名残がある時代だけどさ、エールの世代になると、物心ついた頃からスマホだよ?なんか違うんだよな』

 

「ジェネレーションギャップね。長くプリキュアしてると、そういうのあるのよね」

 

『お前ら、多そうだな、ジェネレーションギャップ』

 

圭子も気になるようだ。もっとも、圭子は大正中期生まれなので、この中では突出していたりするが。

 

『アンタ、生まれは大正の半ばでしょーが』

 

『あたしはいいんだよ。平成だろーが、令和だろーが、どの時代にも慣れてるから』

 

圭子はのび太の両親の祖父母でいいくらいの年代の生まれだが、順応力は高い。1940年代では異端視される『荒くれ者』な振る舞いも、2010年代になると、反骨精神旺盛と評価されるので、圭子は実のところ、あまり自分のいる時代を気にしない面がある。

 

『あんた、1930年代の日本でガンクレイジーやってたもんな…。兵隊やくざとか言われたろ』

 

 

『昔はな。今は逆にファンがついたぜ』

 

圭子の振る舞いは事変当時は『兵隊やくざ』と蔑みを受けるほど異端視され、リベリオンにも噂が届いていたが、この時期になると、逆に憧れの対象と化していた。圭子は元々のキャラだと、ミーナと若干であるが、被っているという指摘がされていたので、現在のガンクレイジーぶりはむしろ好評である。そして、スーパーロボットの代表格たるゲッターロボを操れるという固有の特徴が圭子の人気の理由である。

 

『さあて、あの連中に喧嘩を売った事を後悔させてやるぜ。ゲッタァァァビィィム!!』

 

ドラゴンのビームは部材単位での改良により、破壊光線に転換させた稲妻状のビームを放つのではなく、大出力・低密度のゲッター線を転換せずに放つように改良されていた。威力はオリジナルのゲッターGを凌駕しており、ギャプラン系のガンダリウム合金などは飴細工の如く溶解させられる。一個小隊分の同機がまとめて消滅していくのは壮観ですらあった。

 

「相変わらず、このロボットはすごいパワーね…」

 

『これでも真ドラゴンに比べたら、大人と子供くらいの差があるぜ。ケイさん、今度はあたしにやらせてくれ』

 

ドラゴンが分離し、今度はライガーに変形する。機体色は黒で統一されているが、機体の構成はオリジナルと同一、速度はネオゲッター2を凌駕する。キュアメロディがライガーのスロットルを引き、最大戦速になると、ジオン残党のパイロット達ではまともな反応は不可能である。ギャプラン系得意の機動性や加速性能もゲッターライガーの前では哀れな獲物にすぎない。

 

「な、なんとか目で追えるけど…なんて速さなの」

 

「あんな動き、乗ってる三人が耐えられるの…?」

 

キュアブライトとキュアウィンディの動体視力を以てしても、そのくらいに速いのが改良型ゲッターライガーである。

 

『ドリルアーム!!』

 

サイズ差もあり、MA形態への変形が間に合わなかった一機がドリルに串刺しにされ、粉砕される。同時に左腕をチェーンアタックにし、もう一機を捕縛する。ギャプランのMA形態の推進力は183,000kgを誇るが、ライガーのチェーンはその推進力を物ともせず、逆にライガーのチェーンの引き込みにより、ライガーミサイルのレンジに入れられる。

 

『ライガーミサイル!』

 

敵は姿勢制御バーニアも使って、必死に逃れようとするが、ライガーのチェーンアタックは食い込んでおり、また、背後から命中したためにMS形態になれないらしく、敵は何度も変形動作を起こしていた。そこをライガーミサイルで落とすという中々にエグい方法で仕留める。

 

『うっわ、エグいなぁ』

 

『最後はお前だぞ、ドリーム』

 

『わ、わかった!チェーンジ!ポセイドン!スイッチ・オン!』

 

ここでドリームにお鉢が回る。ドリームはゲッターチェンジをここで思わぬ形で体験する。ポセイドンは飛行可能なように改良されたが、その特性上、機敏さは無きに等しく、求められるのはひたすらに敵を捻り潰すロードローラー戦法である。熟練者であれば、フィンガーネットからのゲッターエレキ、サイクロンを応用しての大雪山おろしからのストロングミサイルが定石だが、初心者のドリームはストロングミサイルとサイクロンを主用した。

 

『あー!もうヤケクソだー!!ゲッターサイクロン・ストーム!!』

 

ゲッターサイクロンを最大出力で薙ぎ払うドリーム。やる時はやる第一世代プリキュアらしく、敵には容赦しないらしい。ギャプランはあくまで高高度迎撃用の可変機であり、それを小手指の改良で制空用に仕立てたところで、両肩を二連大型ガンポッドに変えたのはこの攻撃が間違いであると証明した。

 

『あ、敵が空中分解していく』

 

『ゲッターサイクロンの風がすごすぎて、機体の構造自体が耐えられなかったんだな。あんなガンポッドをつけるからだ』

 

ジオンは補給の観点から、ギャプランのメガ粒子砲を大口径ガンポッドに置き換え、装着箇所をMS形態での肩部にしたのだが、ゲッターサイクロンの最大出力の暴風は機体を空中分解させるには充分である。

 

「でっかい扇風機みたいだね、そのデブッチョのロボット」

 

『元々は水中用なんだよ、ブライト。だから、こんな姿なんだって』

 

「私よりすごい風を起こせるなんて、風のプリキュアの看板がすたるわ…」

 

『特訓すれば、どーにかなるって。ウィンディ』

 

『ゲッターサイクロンは水中だと風が水流に変わって、威力が10倍じゃ効かないほどパワーアップするんだ。あと、いざとなれば、足に履帯を展開できるぞ、ポセイドンは』

 

ポセイドンは二足歩行タイプに転換したが、不整地での歩行に不安を持った早乙女博士は保険として、履帯を展開できるようにしておいた。別世界でのゲッター3が履帯を空転させられ、擱座させられた挙げ句にコクピットを破壊されたビジョンを見たため、早乙女博士はゲッターGの第三形態を二足歩行型にしたのだ。

 

『あとはストロングミサイルで…』

 

『威力がある分、外すなよ。日本の市民団体に文句を言われる』

 

『分かってますよ』

 

ポセイドンのストロングミサイルは超合金Zまでの装甲なら、一撃で破壊するほどの威力を持ち、連射も効く。だが、軍のハイマニューバミサイルほど高度な誘導精度はない。空振りを懸念する圭子だが。

 

『フィンガーネットを使って、敵を捕まえるんだ!』

 

『べ、弁慶さん!どこから通信を?』

 

『隼人が完成させたゲッター母艦のクジラからだ。テスト飛行だったんだが、お前らが出てるって聞いたんでな。フィンガーネットのスイッチは俺の意思で立ち上げてある』

 

『あ、本当だ!』

 

この頃には真ドラゴンとともに復活していた車弁慶。復活後はゲッターの武器を遠隔操作可能になっていた。

 

『ありがとう、弁慶さん!フィンガーネット!!』

 

ポセイドンのフィンガーネットが射出され、キレイに捕縛する。投網の要領だ。ギャプランはこれまた逃れようともがくが、身動きが取れなくなる。

 

『ストロングミサイル!!』

 

トドメのストロングミサイルが放たれ、最後の敵を粉砕する。それと同時に、弁慶の搭乗する新鋭の空中母艦『クジラ』が一同の前に現れる。オーソドックスな四発機だが、ゲッター炉で動くゲッター母艦である。

 

『弁慶さん、完成したのか、例の白鯨?』

 

『元は早乙女博士がゲッターを効率的に運用できるように考案し、橘博士に委託して製作していたものだ。戦争で遅れてな』

 

デザリアム戦争の前の当時に早乙女博士が考案したゲッター母艦構想の第一段階。コードネーム『白鯨』。早乙女博士が亡くなった後に橘博士が全面的に引き継いで、隼人が最終的に設計をまとめた母艦である。数体のゲッターを能動的に運用するための空中母艦であり、第二段階が陸上戦艦『タワー』。最終段階は後にエンペラーとして結実する。クジラは弁慶が製作指揮を取り、内部構造はメカニック出身の大道剴が隼人と弁慶に意見を述べ、採用されており、ゲッターのメンテナンス能力を持つが、合体形態での大規模なオーバーホールができるほどではない。(ゲットマシンでならば対応可能)

 

『ドラゴンの簡易メンテを行えと、隼人が通知しているぞ。ゲットマシンで着艦してくれ。プリキュアの子も一緒にな』

 

クジラの口に当たる部分が発着艦口を兼ねているため、あまり戦闘は考慮されていない。ただし、合体形態でのメンテは駐機状態かつ、格納庫の機材の野外展開による固定という条件でなら可能という設計であり、あくまで輸送母艦であるのがわかる。

 

「うわぁ。クジラ型なんて、なんだか、食べられてるみたい」

 

「だけど、なんかかわいいわよ、ブライト」

 

「そ~かなぁ?どうやって飛行機に飛行機で乗り付けるの、ドリーム?」

 

『大まかには普通の空母と一緒だよ。大昔の飛行船はフックに引っかかる危険極まりない方法で着艦させようとしてたんだしさ、それよりマシさ』

 

『アクロンだったな。ウィッチも似た方法でパラサイトしてたから、ツッコミは入れられないけど』

 

「嘘、そーいうのあったの?」

 

『大昔の話だよ、1930年代始めの頃の。それがウィッチ母艦にコンセプトが流用されたんだ。まぁ、未来世界にはガルダ級なんて化け物がいるし』

 

ドリームとメロディが言及する飛行船『アクロン号』。空中空母の始祖にあたるもので、その思想を未来の技術で実現したのがガルダであり、ペガサス級以後の連邦軍MS母艦である。クジラの着艦誘導灯に従い、三機のゲットマシンが順番に着艦し、その後にブライトとウィンディが降り立った。クジラの口が開いていると、クジラの口に入ったような感覚があるのか、どうにも変顔のブライト。これがスプラッシュスターの合流後の初陣であった。


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