魔女の時限性というデメリットがクローズアップされることにより、軍事的・社会的地位は一気に悪化した。また、カールスラント系は人種差別の疑い、愛国主義の蔓延、文化財軽視の疑いでの殴打込みの厳罰が士官級に相次いだ。中には、理不尽な金属バットでの殴打で片目を失明に追い込まれ、以後のパイロット生命を断たれた者もいたという。64Fに転属した者は極めて幸運な例であった。魔女の最後の砦である宮藤芳佳も、子育てで半引退状態であったので、1940年代後半はまさに『魔女の冬の時代』であると言えた。
その逆に、そこから別の能力を手に入れ、力の永続性を手にした異能者は『我が世の春』であった。黒江は1945年以降はいくつかの容姿を使い分けているが、使い慣れているのは、調を多少成長させたようなもので、それが普段のデフォルトであった。素の顔に見合わぬハイトーンボイスになってしまったので、それに似合う容姿ということで、シンフォギア世界での一件が終わった後も使用し続けている。そのため、元の容姿を知る者は親や兄弟を除くと、軍の上層部の一部や古い戦友(ドラえもんらとヒーローたちを含む)のみ。黄金聖闘士であるので、シンフォギアも問題なく使用可能である。なぜか?それは聖衣自体がムー大陸のロストテクノロジーの結晶かつ、真なる神の洗礼を受けた聖遺物のようなものであるのと、シンフォギア世界の人類と違う形で生まれた(シンフォギア世界の人類は明確に、先史人類が戦争で全滅した後に、その時代の猿を人為的に進化させて生まれたとされている)人類である故に、シンフォギア関連のリスクを気にする必要がない(根本的な異世界の存在であるのも大きいとも)からだ。そのため、黒江は身体保護の観点から、シンフォギアをよく使っていた。調に敵地の調査などをさせるため、居場所の欺瞞をする必要があったからでもある。
「それで、そっちの私からギアを?」
「まぁ、一時に入れ替わってた時の名残りで、共用にしてる。今は能力でコピーした品を使ってるがね」
調Dは色々と戦闘などで制約が多いため、影武者などは出来ない。Dにはある『枷』がAにはない関係だ。こればかりは『個体差』としか言いようがない。
「ギアを使っても、色々なことを気にしないでいいなんて……」
「お前達とは種の成り立ち自体が違う世界にいるし、規制する法律もないからな。それに、俺はギアよりも上の力を元から持ってるんだ。身体保護目的で使うのが目的だよ」
調Dは色々と不満だが、手数の少なさや単独での戦闘力の低さなどの制約が多いのは自覚しているため、声を荒げることはしなかった。とはいえ、(仕方がないとはいえ)A世界での自分の立ち位置の大変化と、切歌と疎遠気味になってしまったことの経緯についての不満は口にする。
「それじゃ、切ちゃんが元の世界にいられないどころじゃないですか」
「この世の秩序を乱した大罪人として、メネシスに裁かれそうになったからな。ゼウスの執り成しがなきゃ、あいつは地獄行きだった。ゼウスの温情で、聖闘士としてアテナに仕えることを『刑として扱う』ことで、地獄行きを免れた。元の世界には帰れなくなったが、名前を変えないで良くなったし、アテナは人間界で大財団の総帥してんだ。そのお付きなんだから、かなりいい暮らしだぞ」
「それはそうだけど……」
「セレナは転生して別人になってるけどな、記憶はあるから、マリアと会ってやってんだぞ?向こうが了承してくれなきゃ、そんなのは一方的な願いで終わる。それを思えば、元の姿で会えるだけマシだ」
マリア・カデンツァヴナ・イヴはA世界では、夭折した妹のセレナ・カデンツァヴナ・イヴが別人として転生していることに複雑であったが、その本人であるリコ(キュアマジカル)が快く受け入れてくれたため、円満に会えているが、切歌の場合はそうなったわけではない。法的に死んだことになっただけであり、そもそも、日米に正式な戸籍がない以上、法的にはいないも同然である。そのため、別世界で生存しているのは幸運なほうだ。義憤などを司る神の怒りに触れたのを、最高神のお目溢しで許されたのだから。
「うーん……。それはそうと、自分のギア姿を第三者目線で見ることになるなんて」
ギアは魔法少女事変相当の形態だが、黒江はギアのスペックには頼っていないので、ギアの姿のそれ以上の変化は起こしていない。あくまで身体保護を目的に使っているからだ。
「瞳の色は変えてある。響や切歌に言われてな。味方についた後は変えた。肉体は今や、現し世で行動するための器に近いからな。瞳の色は変えられるんでね」
「そ、そんな簡単に……」
「俺はまだいいほうだ。お前自身なんて、色々あって、プリキュア戦士だしな。俺の知る響もだ」
「え~~!?」
「人生、何があるかわからんってことだ」
この場合はまだいいほうで、日本側の論理で断罪され、大勢に殴打され続けた果てに、全身麻痺にされた特高警察の警察官や憲兵も多い。日本側は損害賠償金の金額が莫大になるのを恐れ、被害者を一律で入院させ、その家族に莫大な示談金を支払った。プリキュア達に憲兵が持っていた権限も付与されたのは、憲兵や特高警察の解体や改編に伴う混乱を避けるためである。内務省自体も分割解体を検討されたが、内政干渉になるので、そこには手はつけられなかったが、噂が広まり、混乱を招いた。結局、組織自体を解体すれば、その代わりが必要になることの判明から、公安警察への改編と警務隊への縮小改編、検察官などへの転職の斡旋などで『妥協された』。また、扶桑海軍は暁部隊を押し付けられ、これまた大混乱。結局はその海軍式への改修、残存のまるゆ輸送艇の解体と戦車用の資材再確保などの手間がかかることになり、陸軍は木偶の坊感の否めない有様へ堕ちていた。輸送は地球連邦軍の輸送部隊により、圧倒的な輸送量が確保できたため、まるゆの存在意義は消えた。むしろ、分業制で、陸軍の機甲・工作機材の不足が問題となった。陸戦艇が大規模に導入され、陸戦型MSなども導入されたのは、扶桑陸軍と従来式機甲兵器を取り巻く環境が大きく変わったからで、結局、扶桑陸軍は1940年当時の目標を放棄せざるを得なくなり、大陸領出身者は実質的に捨て駒のような扱いで、意図的に戦死させられていく。大陸領出身者の数をハワイの『奪還』で、ハワイに押し込めるだけの人数にまで減らしたかったからで、そこに、日本の(扶桑の)外地出身者への酷薄さが見え隠れしていた。
扶桑海軍も、旧来型重巡に代わる新型重巡が『一昔前の戦艦より大きくなった』ことに難色を示しつつも、結局は重装甲化と大型化を容認せざるを得なかった。そんな時勢に生まれた伊吹型重巡は『最後の条約型巡洋艦』と揶揄されたが、空母に改装される予定であった名残りで、全般的な防御力は元から改良されていたので、砲塔装甲を改良したのみである。軽空母が『役立たず』とされたため、結局は巡洋艦として完成した。そのためか、新世代の大型巡洋艦までの繋ぎ扱いに甘んじていた。ジャイアント・キリングを常に求められる軍事的事情により、魚雷の搭載は続けられた。世知辛いが、数で劣勢が当たり前の軍隊では、兵器の万能性が物を言うのである。
MSの導入は、既存兵器の劣勢を補うためであり、その最高級品であるガンダムの導入も必然であった。野比財団が試作した『メガゼータ』もそのうちの一つ。ZZ系の開発資産が流用されたため、重装型とされている。その機体がのび太の指揮で、64Fへ納入された。ZZ系であるため、同機の装備が流用できるのが強みであった。数mほど大型になっているのは、ZZのネガを潰すためだが、ジークフリートと違い、通常サイズの範疇に収まっている。違うのは、別世界線での『サンダーボルトガンダム』と同じく、『超電磁砲』を武装として持つところである。超電磁砲は一時、時代遅れと扱われていたが、実体弾の価値が見直された後、バックアップ目的で用意されるようになっている。実体弾への防御は(高度な文明では)却って忘却されていたからである。時空管理局がM動乱で醜態を晒したのも、その盲点を突かれたことによる。御坂美琴が示したように、実戦での有用性は依然として健在であった。その戦訓により、時空管理局は旧時代の資料を漁ろうとしたものの、時空管理局体制の誕生と共に、大半が闇に葬られており、技術自体を地球連邦軍から輸入せねばならないという屈辱に塗れる。魔導師主体体制の崩壊により、時空管理局はそのシステムの維持に無理が生じ、次第に地球連邦政府の行政総督府(要は植民地)の統治地域と見なされていき、従来通りの組織運営はなされなくなっていった。そのため、フェイトとティアナは(旧来通りの権限がある意味での)『最後の執務官』という渾名を頂くことになった。
カールスラント海軍は(ドイツの水上艦隊の縮小方針に振り回された結果)、軍そのものが形骸化。エルンスト・リンデデン艦長(ビスマルクの史実の艦長)は史実の発言を理由に、失脚に追い込まれたが、本人の『艦娘を否定しているわけではないし、他国の伝統は尊重する。艦を男性とみなすのは、私の個人的な考えであり、カールスラント軍全体の方針ではない』という釈明、ナチの信奉者ではない史実から、どうにか厳罰は免れたが、その時には海軍自体が躯を晒す状態であり、ビスマルクは陳腐化で廃艦を検討される有様であった。だが、竣工が1940年と、比較的に新しかったため、なんとか生きながらえた。軍艦は普通、数十年は使うものであったからだ。だが、ペルー地域のドックも荒廃してしまったため、戦艦は(旧型扱いもあり)後回しにされ、フリゲート艦の整備が優先された。鹵獲艦の修繕すらままならぬカールスラント軍は結局、太海艦隊の復活どころか、沿岸海軍にすら戻れるか否かのところであり、残された大国である、日本連邦がその分も海軍の増強を求められたのは当然の流れであった。
だが、その日本連邦海軍も、空母機動部隊の(軽空母の軍事的意義の消失、魔女の価値低下で)量の低下、巡洋艦以下の多くの陳腐化の露呈により、攻勢どころではなかった。軽巡の枠組み廃止、フリゲート艦やミサイル艦の種別追加などの混乱が続いた他、戦艦などでオートメーション化が急激に進んだため、乗員が余ってしまう問題が発生。かといって、伊吹型重巡も、部分的にオートメーション化されていたので、以前ほどの人数を乗せる必要は無くなった。伊吹型は重装備による航続距離の低下を嘆く声が多かったが、『どうしても必要な時は、燃料タンカーを帯同させれば良いし、被害を受けた時の誘爆はどうするのだ』、『我々の主戦場は太平洋であって、大西洋に行く時はブリタニアから補給を受ければいい』という日本側の割り切りで押し切られ、欧州への興味を失っていった。その一方で、抑止力は必要とされたため、続々と超大和型戦艦は存在を公表された。欧州が46cm砲の搭載に四苦八苦しているのに、日本連邦は61cm砲の開発をしている。この情報は多大な抑止力となり、それをペリーヌを信奉する派閥は軍縮の大義名分としてきたが、ガリア国民は大国志向が強く、結局は押し切られ、1947年以降は積を切ったように、植民地の維持と軍備の再建に狂奔していく。これこそがゴーリズムの害であった。そして、それがガリアを決定的に打ちのめす『インドラの矢』を招来に招くことになる。
扶桑皇国はダイ・アナザー・デイ期間中より、地球連邦軍から極秘裏に反応弾を購入。対消滅反応に改良された世代のものなので、21世紀の核爆弾の範疇に入らない。そこを突いたのである。それらは日本側の委員が立ち入ることを禁じられた、南洋の地下の奥深くの区画に保管されている。太平洋戦争での使用は『敵が原爆を使った時の報復措置のみ』と定められており、ダイ・アナザー・デイ時点で、リベリオンの原爆の完成と、原爆の一定数の保有は想定内であったことがわかる。この反応弾こそが『インドラの矢』とのコードネームを与えられた秘密兵器であった。その威力は21世紀世界の大都市を一撃で消滅させ、余波で周囲に地殻変動を誘発させるとされるほどのものだ。もし、リベリオンに原爆を投下された場合、扶桑は報復で五大湖の工業地帯か、大都市のどこかを消滅させるつもりである。
「使いたくはないが、相手が原子爆弾で無辜の国民を虐殺した場合、向こうに五発前後を大都市か工業地帯へ叩き込むしかない。お上(昭和天皇)も『やむを得ない』と承諾なされた」
「古賀閣下」
「その時が来ないことを祈るしかあるまい。ティターンズが既に二つの大都市を破壊した後だが、さらなる惨禍をリベリオンにもたらすため、意図的にこちらの大都市に原子爆弾を落とすことは充分にあり得るからな」
扶桑の秘密武器庫の管理者は古賀峯一大将であった。史実では『劣勢に手を打てなかった凡将』とされており、知名度の無さに由来し、日本からも『無能ではないが、平凡な将官』として軽視されていた。それで抜擢された経緯がある。悲運の提督でもある彼が、史実で日本に最大の災厄をもたらした最悪の兵器の究極の発達型の管理を任せられる。それもまた、歴史の皮肉であった。
それを秘匿する一方、MSは大々的に宣伝されていた。戦車が年式を問わず、劣勢を報じられ、陸軍も予算縮小の嵐に遭っていたため、宇宙戦闘機と戦車、歩兵の役目を兼ねられるモビルスーツは『予算の節約になる』と財務官僚にバカウケであったからだが、地球連邦軍も『モビルスーツはそれなりに高価である』と、日本の財務官僚に啓蒙している。日本では『弱い』と馬鹿にされる『ジェガン』にしろ、戦車の三両分くらいの値段があるという。その関係上、扶桑は予てより、地球連邦軍に協力する見返りに、MSを扱えるように、パイロットと整備員の育成を進めている。64Fはロンド・ベルとアナハイム・エレクトロニクス社、サナリィという最高のバックアップで、地球連邦軍のハイエンド機たるガンダムタイプを使いまくっているが、それは黒江らが、地球連邦軍の正規の軍籍も持つからである。日本側は戦時という状況にまったくの不慣れであり、臨時予算も宛てがおうともしない有様であったため、装甲戦闘車両の不足に悩んだ扶桑軍はMSの導入を決定。緊急展開軍の役目が空軍にあることも、その決定と同時期に定められた。状況的に、TMS(可変MS)が好まれ、地球連邦軍はリゼルを納入していった。これは本式のZ系はロンド・ベルで研修を受けた者しか手に負えない上、必要上の理由で、64Fの専属になっているからである。可変戦闘機もOTMを含むため、他部隊への配備は見送られており、Gフォースに『VF-19F』などが配備される程度であった。しかしながら、大抵の相手には、それで充分な性能であったのも事実であった。
「で、あれこれチートしまくった結果がこれだもんね」
「まーな。ダイ・アナザー・デイの時点で、可変戦闘機はハイエンドを揃えたが、ミーナの勘違いで死蔵させちまった。みこっちゃん……もとい、グンドュラの緊急判断で使えたが、あれの戦局が既にグダグダになってる時だったからな。当初の計画だと、あれで軍港や海軍工廠を事前に空爆して、あらかじめ、敵に打撃を与えておくはずだった。19と22はそのために造られてたからな。それが何の因果で、連合海軍の主力を動員しての迎撃戦になぁ……日本の財務に散々に嫌味を言われたぜ」
ミーナはダイ・アナザー・デイの戦局に多大な悪影響を及ぼした責任を追求された結果、あえなく失脚したわけだが、可変戦闘機の死蔵についても、当然ながら、上層部に厳しく追求された。地球連邦軍からの厚意で提供されたものを『機体だけ送ってきた』と悪態をついていたと、隊の整備兵から密告されており、連合空軍の高官から『性能諸元は送っていたはずだが』と怒鳴られるなど、物資の詳細の未確認という失態も露見。魔女の通常兵器への関心の低さを表す悪例とされてしまった。ミーナは査問で可変戦闘機のその性能を知らされ、事の重大さに愕然としたが、敵の主力が抜錨した後では、手遅れ感が否めなかった。山本五十六がドラえもんとドラえもんズの力を借り、連合艦隊の新鋭艦を短時間で欧州に集結させるという『奥の手』でダイ・アナザー・デイは作戦の破綻を免れた。また、彼の密命で、艦娘たちがゲリラ戦を展開したことも戦局に多大な貢献を果たした。
「艦娘たちがいなけりゃ、ブリタニア海軍の全滅もありえたから、彼女たちはよくやってくれたよ」
「まったくだ。こっちの主力が来る時間を稼いでくれたからな。ブリタニアのライオン級は1939年の設計で造られてたから、モンタナと撃ち合うのは、本当は危険だった。装甲が薄かったんだよ。よく、戦没艦が出なかったもんだ」
「モンタナは46cm砲への換装を考えてたの?」
「途中でそれが出てきたからな。この世界じゃ、大和型戦艦の性能が公表されてるから、換装を考慮してたんだろう。アーネスト・キング大将が押し通して、16インチで忍ばせたとか聞いた」
アーネスト・キング大将。ダイ・アナザー・デイ前のリベリオンの海軍作戦部長であり、この時点では、消息不明とされている将官である。その彼が1940年頃に大和型戦艦の情報を『ハッタリ』と断じた。だが、実際に46cm砲と判明した後、リベリオン海軍の内部で揉めまくったという。砲身命数を気にしたのだろうが、技術の進歩で問題が解決(砲身命数が長くなった)したので、46cm砲への換装が実行され、大和型戦艦には対抗可能になったが、扶桑は更に強大な超大和型戦艦を投入していたというオチがつく。
「51cmや56cmを開発させといて良かったね」
「まったくだ。61cmを要求してきたぞ、日本は」
「ゴジラが怖いんだな。気休めに近いよ、あいつには。初代からして、オキシジェン・デストロイヤーじゃないと倒せなかったし」
「まぁ、ないよりは……ってことだろう。オキシジェン・デストロイヤーも、ドラえもんがあれこれ苦労して、コピーした資料で復元が試されてるが、対人には絶対に使えん代物だ。1954年の技術で作れたとは思えんオーパーツだし」
「平和利用を考えてたようだけど、ゴジラを完封できたのは、これっきりだ。財団で研究を続けさせるが、公にはしないよ」
「それがいい。デストロイアが生まれちまうかもしれん。ただ、オキシジェン・デストロイヤー自体は持つんだろう?」
「三代目以降には効果は疑問だけどね」
仕事を終えた黒江とのび太は、新京のある喫茶店で落ち合っていた。のび太は30代後半を迎えた姿であるので、ダイ・アナザー・デイ当時より加齢が進んだことが分かりやすい。
「あのガンダムはいつ使える?」
「一両日中には、調整を終える。武器の搬入とOSの調整が済むからね」
「よし。怪物退治は子どもたちにやらせてるが、いいと思うか?」
「それでいいと思うよ。君があまり出張ると、子どもたちの自立心と自主性が育たないからね。今後は子どもたちに仕事をさせるといい。ギャバンも昇進して、今後は事務方に回されて、例の動乱の後は地球にしばらく来れないって、連絡きたよ」
「シャイダーは?」
「教官になるそうだよ。二代目になれそうな後身を見つけたいそうで」
「バード星も人材難ってことだな」
この頃、宇宙刑事らも功績で昇進し、事務方に回る場合が多くなり、シャリバンが『スピルバン』として現場に残る以外は、本当は後身の育成に回される手筈であった。だが、白色彗星帝国の残党の掃討のため、ギャバンはその予定を繰り下げられたという。また、シャイダーは教官に推薦されたという。長らく、太陽系担当であったが、いよいよ昇進で、現場を外れるらしい。銀河連邦警察も、人員育成を増やしたいようだ。だが、それはよくも悪くも、ギャバンらの後ろ盾であった、コム長官の引退が差し迫ってきたからでもあり、彼の引退で宇宙刑事に汚職が増えるのでは?と心配されていた。実際、宇宙刑事の全員が清廉な者ではないし、ギャバン達のような活躍をこなせるのは、一握りのトップエリートのみ。過去の不思議界フーマとの大戦争で、前途有望な若手を大量に喪失した傷を癒しきれていないあたりに、バード星の苦悩があった。